(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態にかかる加湿素子および加湿装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる加湿装置1の構成図である。この加湿装置1には加湿素子2が組込まれている。加湿素子2の通風上流側もしくは通風下流側に、加湿素子2へ室内の空気を送り込み、再び室内へ吹出すための送風機5が組込まれている。
【0016】
加湿装置1は、加湿素子2と、水道設備等の給水源に接続されて加湿素子2に加湿用の水を送水する給水管3と、加湿素子2で加湿されずに残った水を外部に排出する排水管4と、加湿素子2に空気流を通過させる送風機5と、送風機5および給水系の電磁弁(給水弁3a)の操作などを行う制御装置6と、排水等を受容し外部に排水するドレンパン7と、を備える。
【0017】
図2は、加湿装置1の加湿素子2部分を拡大した図である。加湿素子2は、ドレンパン7上に一個又は複数個が直接設置される。各加湿素子2の天部構造の両側の稜角部は、仕切壁と本体箱体の正面側内壁面とに装架されたガイドレール(図示しない)等により抜き差し可能に保持されている。加湿素子2には加湿用の水を供給したり、遮断したりする給水弁3aを備えた給水系がつながれており、ドレンパン7には排水管4が接続されている。
【0018】
加湿素子2に加湿用の水を送水する給水系は、加湿素子2に給水する水の圧力と流量を調整する給水弁3aのほか、給水系への塵の侵入を防ぐストレーナおよび送水用の給水管3を含む水路として構成されている。給水源側との接続部を除く給水系の各接続部分は全てドレンパン7内に集約されていることが望ましい。
【0019】
図3は、加湿素子2の斜視図である。
図4は、加湿素子2の分解斜視図である。
図5は、加湿素子2の正面図である。
図6は、
図5に示すX−X線に沿った矢視断面図である。加湿素子2は、互いの間に隙間を設けるように第1の方向(
図5において矢印Yで示す方向)に沿って並べられた多数の平板状の加湿体20を備える。加湿体20の上部には、拡散部材(拡散板)30が接触されている。拡散部材30は、第1の方向に沿って延びるように形成され、1つの拡散部材30に複数の加湿体20がまとめて接触する。
【0020】
加湿体20の上方には、加湿体20に供給するための水を蓄える貯水部12、給水管3からの水を貯水部12へ注入する給水口11がある。また、加湿体20の下方には加湿体20から加湿されずに残った水を受けて排水するための排水部13、および排水口13aがある。
【0021】
加湿体20は、ケーシング10の内部に収納されて固定される。給水口11、貯水部12、排水部13は、ケーシング10に形成される。ケーシング10には、上部構造としての貯水部12と下部構造としての排水部13とを接続する構造壁14が形成される。水は給水口11から貯水部12へ溜まり、拡散部材30に浸透して加湿体20に広がっていき、加湿体20同士の隙間を流れる空気を加湿する。加湿体20で蒸発しなかった過剰な水は下部の排水部13からケーシング10の外部に流れ出ていく。
【0022】
ケーシング10は、例えばABS樹脂、PS樹脂またはPP樹脂など熱可塑性のプラスチックによる射出成型等で形成されている。ケーシング10は、2つの部品であるケーシング10aとケーシング10bとに分かれている。加湿体20を、ケーシング10a、ケーシング10bで挟み込み、ケーシング10aおよびケーシング10bの係合部15を合わせることにより、ケーシング10aとケーシング10bは一体化する構造となっている。
【0023】
ケーシング10a、ケーシング10bにはそれぞれ貯水部12となる部分、排水口13aとなる部分、加湿体20へ被加湿空気を導入する開口部10cが設けられている。また、ケーシング10bには貯水部12へ水を供給するための給水口11が設けられている。ケーシング10の内側には、加湿体20を収納する収納空間が設けられている。
【0024】
ケーシング10のうち加湿体20と接触する部分には、加湿体20の位置を規制するための位置決め突起17が設けられている。加湿体20は含水時に軟化し、水の重さで変形するものもあるため、ケーシング10と接触する加湿体20の外周部分で加湿体20の位置を規制することによって、加湿体20間の流路の寸法を確保し、均一に空気が流れるようにすることができる。
【0025】
それにより、加湿素子2の圧力損失の低下が抑えられ、加湿体20の全面が有効に加湿面として使用されるので、加湿体20が歪んだ場合に比べて加湿量が増加する効果が期待できる。なお、貯水部12は、拡散部材30と一体で形成されてケーシング10に収納されている形態でも良い。
【0026】
給水口11は、給水管3が接続され、貯水部12へ水を供給するため、加湿素子2の上方、加湿体20より上面側に設けられる。形状は給水管3に合わせた形状とし、容易に抜けないように周長にわたって凸状の帯(かえし)を形成したり、ホースバンドで縛る等したりしてもよい。
【0027】
また、加湿量に対して給水量があまりに過剰な場合、加湿されずに排水部13から流れる量が多く無駄な水量が増大するため、水量を絞るための機構(例えば、
図3,4,6に示すオリフィス21)を設けて、流量を調整することが望ましい。流量調整の際には、その加湿素子2の最大加湿量より多い流量を供給できるようにする必要がある。また給水口11は加湿体20の上部から水が供給できる構造であれば位置等に制約はないが、給水管3と給水口11とのつなぎ目から水漏れ等が発生した場合等を考慮すると被加湿空気の上流側に配置することで、気流の流れで上流側に飛ぶ水も下流側、すなわち加湿素子2側へ導かれ、周囲への水の飛散距離を小さくすることができる。
【0028】
貯水部12は、加湿体20の上方に設けられる。貯水部12の底面には複数の注水孔12aが形成されている。貯水部12の外側には、注水孔12a部分から下方に延びる筒状の筒状壁面12bが形成されている。筒状壁面12bの先端には、切欠(連通口)12cが形成されている。筒状壁面12bの先端は、拡散部材30に接触する。貯水部12の内側には、注水孔12aを避けた位置に、上下に延びる筒状の導水管100が形成されている。導水管100には、貯水部12の上端よりも低い位置に、導水管100の内部へ水を流入させる流入口が形成されている。本実施の形態では、導水管100の上端が、貯水部12の外壁の上端よりも低い位置になっており、上端側の開口が流入口となる。導水管100の上端が貯水部12の外壁の上端よりも高い場合には、貯水部12の外壁よりも低い位置に開口を設けて流入口とすればよい。
【0029】
貯水部12と拡散部材30の間には板状の導水部材110が挟持されている。また、貯水部12と拡散部材30とは一体で組み合わされ、その一体部品が、ケーシング10aとケーシング10bの間に挟み込まれて保持されている。また、貯水部12内に貯水部12の水位を検知する水位検知センサー8を設置してもよい。検知された水位をフィードバックして、制御装置6によって給水弁3aの開閉を制御してもよい。
【0030】
拡散部材30は、多孔質の板状素材で形成される。水を浸透させて加湿体20へ水を給水するため、素材の表面は親水性であることが望ましく、親水性により浸透性が良好になり給水量が増加する。また、拡散部材30は、水と接触することになるため、水により劣化しにくい材料、例えば樹脂ではPET樹脂等のポリエステルまたはPP樹脂、セルロース、金属ではチタンまたは銅、ステンレスなどで作られた多孔質素材で形成されていることが望ましい。また素材表面の親水度を増すため親水化処理等を施しても良い。
【0031】
加湿体20は、拡散部材30と同様に多孔質の板状素材で形成される。好適な条件は拡散部材30と同様であり、拡散部材30と同一の素材を用いてもよい。加湿体20の表面には、凸部40が設けられている。凸部40によって、加湿体20同士の間隔の保持が図られる。凸部40は、加湿体20に冶具等を押し当てる等を行い、その部分を塑性変形させて形成する。加湿体20上の凸部40の配列位置が異なる2種類の加湿体20を交互に配列することで、加湿体20の間隔を一定に保つ機能を有する。尚、加湿体は間隔が一定に保たれていれば良く、一定間隔に加湿体板厚分の切り欠きが入った櫛を加湿体に噛み合わせて間隔を保持したもの、または波状の複数の加湿体をハニカム状に積層することで間隔を保持する構造であっても、機能上問題ない。
【0032】
拡散部材30の下端と加湿体20の上端は、一部が接触して設置されている。拡散部材30と加湿体20が接触していれば、表面張力の作用により水が淀みなく流下するが、組立て時のばらつき、輸送中の振動の影響を加味して拡散部材30の下端と加湿体20の上端を互いに差込むようにして連結してもよい。
【0033】
次に、給水口11から加湿体20に至る水の流れについて説明する。給水口11から給水された水は貯水部12に流入する。貯水部12に流入した水は、貯水部12の底面の複数の注水孔12aから流水し、切欠12cを有する筒状壁面12bを伝って拡散部材30に吸水され、拡散部材30の内部に広がりながら流下して拡散部材30の下端に到達する。
【0034】
拡散部材30の下端と加湿体20の上端が接触しているため、流下した水は表面張力の作用でこの接触部から加湿体20に伝わり流下する。水は加湿体20の内部に広がりながら加湿体20全体に含水されながら流下し加湿体20の下端から滴下する。この際、加湿体20の間に通風される空気によって加湿体20の表面から水分が奪われて、加湿された空気として加湿素子2から排気される。このため、加湿体20の下端から滴下排水される水量は、給水口11から供給される水量から加湿空気として加湿体20から奪われる水量を差し引いた水量となる。
【0035】
この一連の水の流れにおいて、貯水部12に貯水される水位と注水孔12aとの関係について説明する。注水孔12aに通水される際に流水抵抗が存在する。注水孔12aを通過する流量Q1、貯水部12に貯水される水位hには簡単には下式の関係がある。
Q1=ah+b (1)
ここに、a、b:注水孔12aの寸法からなる流水抵抗に係る定数
【0036】
例えば、注水孔12aに供給水に含まれる硬度成分およびシリカ、鉄さびなどの蒸発残留物が堆積すると、a、bが小さくなり注水孔12aを流れる流量Q1は減少する。さらに、給水口11から供給される給水量Q、給水が開始されてからの時間t、水位変化h(t)については以下の関係がある。
h(t)=(Q−b)/a×(1−exp(−a/A×t)) (2)
ここに、A:貯水部12の底面積
【0037】
また、給水されて十分に時間が経過した状態では、式(2)でt⇒∞とおいて下式となる。
h=(Q−b)/a (3)
【0038】
さらに、式(1)に式(3)を代入すると下記の関係が得られる。
Q1=ah+b =a×(Q−b)/a+b =Q (4)
【0039】
すなわち、注水孔12aを通過する流量Q1は給水口11からの給水量Qに等しくなるようにして貯水部12に貯水される水位hが決まる。このため、供給水の硬度成分およびシリカ、鉄さびなどの蒸発残留物が経時で注水孔12aに堆積するとa、bが小さくなり、式(3)から貯水部12の水位hが高くなることで流量Q1すなわち加湿量は一定に制御される。
【0040】
このように、加湿体20の上部に設けた貯水部12から注水孔12aと拡散部材30を介して水を供給する加湿素子2では、経時においても加湿量を一定に制御する機能があるが、貯水部12またはケーシング10の寸法から水位上昇の許容すべき上限値は存在する。また式(2)からaが小さくなると一定水位の状態に到達するまでの時間が長くなることから、給水を開始して加湿量が安定するまでに時間を要することになり、このような状態は加湿装置においては好ましくない。したがって、経時においても注水孔12aに蒸発残留物が極力堆積しないようにする必要がある。
【0041】
図7は、貯水部12を下方から見た底面図である。
図8は、貯水部12周辺部の断面図である。
図9は、比較例として示す貯水部112周辺部の断面図である。
図9に示す比較例では、注水孔112aの下端には注水孔112aの内面を下方に延出した筒状壁面112bが形成されているが、筒状壁面112bの先端には切欠が形成されていない。
【0042】
供給される水中には酸素、窒素などの気体成分が溶解している。特に加湿が必要になる冬季においては、水中温度が低いため溶存気体量が多く、気体の溶解度を超えた過飽和状態になっている場合が多い。この場合、気体が水中から遊離し気泡91が発生しやすくなるが、気泡91の発生は凹凸を有する表面部位であることが多い。
図9においては、筒状壁面112bの先端が拡散部材30に接触しているため、拡散部材30が水に接触する部位では気泡91が付着しやすい。発生した気泡91は徐々に体積を増加させ、やがて通水路である拡散部材30の表面を覆い、拡散部材30の通水流量が減少してしまうため、加湿量が減少する。
【0043】
一方、
図8においては、一部側面が開口した切欠12cを有する筒状壁面12bが形成されており、筒状壁面12bの内部は、切欠12cを通して大気に対し開放されているため、拡散部材30に気泡91が付着した場合でも気泡91は大気に触れることになるので、速やかに気泡91が消滅しその結果、良好な通水状態が保持しやすく、安定した加湿量の確保を図ることができる。
【0044】
また、貯水部12の上方には、ケーシング10の外部と貯水部12とを連通する連通口18が形成されている。これにより、貯水部12は、大気圧に開放されている。さらに、連通口18は給水口11より上方に設けられているため、貯水部12の空間内は常に大気圧に保たれており、貯水部12の底面部での水圧は水位の水柱圧となる。このため供給圧力の変動の影響を抑えて一定の加湿量の確保を図ることができる。
【0045】
次に、夜間など加湿が不要な場合の加湿運転の停止について説明する。例えば夜間など居室が無人となり加湿が不要な場合には、加湿装置1の加湿運転が停止される場合がある。ここで、加湿素子2を湿潤状態で長時間放置することは衛生上好ましくない。空気中の細菌、カビが湿潤部分に付着して増殖した場合、加湿運転を再開した際に加湿素子2の表面を通過する通風に細菌およびカビ胞子が搬送されて居室内に放出される懸念がある。このような細菌、カビ類の増殖抑制方法としては、できるだけ早く加湿素子2を乾燥させることが有効である。
【0046】
このような観点から、加湿装置1を停止する際は、制御装置6からの制御で給水弁3aを閉止後に送風機5を運転させて、加湿素子2を乾燥させる制御を行うことが好ましい。ここで、加湿素子2の乾燥時間を短縮させるためには、貯水部12内を早期に乾燥させる必要がある。しかしながら、貯水部12は水槽形状のため通風乾燥させにくい。そこで、給水弁3aが閉止された後は、貯水部12内の水を素早く拡散部材30の方に流出させることが重要である。
【0047】
図10は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図10では、貯水部12の底面が、注水孔12a部分で最下位となるように傾斜している。そのため、給水弁3aが閉止された後は、注水孔12aに向けて貯水部12内の水が円滑に流下する。したがって、貯水部12内の水が、注水孔12aを通って外部に流出しやすくなり、貯水部12内の早期乾燥を図ることができる。
【0048】
図11は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図11では、貯水部12の底面を曲面で構成しつつ、注水孔12a部分で最下位となるように傾斜させている。なお、貯水部12の底面は、平面と曲面で構成されていてもよい。
【0049】
また、水が停留しにくいように貯水部12の材料をPP、PTFEのような撥水材料としたり、撒水材料そのものを用いなくても表面に撥水処理を施したりしてもよい。さらに、衛生性の観点で貯水部12、拡散部材30、加湿体20、ケーシング10には抗菌処理、防カビ処理を施してもよい。
【0050】
次に、貯水部12で発生した蒸発残留物によって加湿量が低下することを抑えるための他の例について説明する。
図12は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図13は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図12では、貯水部12の底部に注水孔12aを囲むようにして凸部70が設けられる。
図13では、貯水部12の底部に注水孔12aを囲むようにして凹部80が設けられる。
【0051】
蒸発残留物16は水よりも比重が大きいため貯水部12の底面に蓄積、堆積する。貯水部12内の水が注水孔12aに向かって流れる際に、底面に堆積した蒸発残留物16も注水孔12aに向かって流れる。ここで、貯水部12の底部に注水孔12aを囲むようにして凸部70が設けられているため、蒸発残留物16が凸部70でせき止められて、注水孔12aへの侵入が抑制される。
【0052】
なお、底面の水切れ性を良くして衛生性の向上を図るために、凸部70の一部を分断してこの分断部から水が流れるようにすることが望ましい。また、
図13のように凹部80を設けると、水よりも比重の大きい蒸発残留物16が凹部80に入り込むため、注水孔12aへの侵入が抑制されるとともに、水切れ性も確保される。なお、凹部80の一部を分断して分断部を設けてもよい。
【0053】
図14は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図14では、貯水部12の底面に蒸発残留物16の核となる捕捉部材90を設けている。貯水部12内に水が浸漬している状態で、水中の蒸発残留物16が上記捕捉部材90の成分を核として成長し、捕捉部材90表面に析出、定着するため蒸発残留物16の注水孔12aへの侵入を抑制することができる。
【0054】
捕捉部材90は、供給水に含まれる炭酸カルシウム、シリカ、鉄などに対しそれらの成長核となる材料で構成されている。例えば、炭酸カルシウムに対しては方解石、あられ石などの炭酸カルシウムを含む物質であり、シリカに対しては石英などの珪酸化合物であり、鉄分に対しては銅素材が好適である。
【0055】
捕捉部材90は、それぞれの成分を別々に貯水部12に配置してもよく、粉末状にして混合して均一化したのち、バインダーなどで固めて使用してもよい。さらに、水が停留しにくいように貯水部12の材料をPP、PTFEのような撥水材料としたり、撒水材料そのものを用いなくても表面に撥水処理を施してもよい。さらに、衛生性の観点で貯水部12、拡散部材30、加湿体20、ケーシング10には抗菌処理、防カビ処理を施すことが望ましい。
【0056】
また、上述した貯水部12の底面の傾斜、貯水部12の底面に凸部70、凹部80、捕捉部材90を設ける構成を適宜組み合わせてもよい。
【0057】
図15は、貯水部12周辺部の一例を示す断面図である。
図16は、
図15に示すZ−Z線に沿った矢視断面図である。
図16では、導水管100を破線で示している。貯水部12の内側には、注水孔12aを避けて上下に延びる筒状の導水管100が形成されている。導水管100の下端では、貯水部12の底面を貫通する導水管開放孔12dが形成されている。貯水部12の底面外側には、下方に突出されて導水管開放孔12dと筒状壁面12bの周囲を囲む囲み壁12eが形成されている。筒状壁面12bの突出量と囲み壁12eの突出量は等しく、どちらもその先端が拡散部材30に当接している。
【0058】
貯水部12と拡散部材30との間には、囲み壁12eの内側に嵌る大きさで形成された板状の導水部材110が設けられている。導水部材110には、注水孔12aに対応した位置(平面視において注水孔12aと重なる位置)に、筒状壁面12bの外径よりも大きい貫通孔110aが形成されている。導水部材110は、拡散部材30と接触する。
【0059】
注水孔12aに蒸発残留物16が侵入したり、注水孔12aの内表面に蒸発残留物成分が付着堆積した場合、注水量が減少する。この場合、上述したように水位hが上昇する。導水管100の上端は貯水部12の外壁よりも低いため、水位hが上昇した場合、貯水部12からあふれずに導水管100に流入する。
【0060】
導水管100に流入した供給水は、導水部材110の上を流れ、貫通孔110aから拡散部材30に流下する。貫通孔110aが適度な孔径に調整されていれば、各貫通孔110aにまんべんなく供給水が配分されて、拡散部材30に流下する。この作用によって、注水孔12aからの注水量が減少し水位hが大幅に上昇した場合も、貯水部12から供給水があふれることなく、拡散部材30に均一に給水することができる。導水部材110を設けない場合には、導水管開放孔12dの直下部分から多くの供給水が拡散部材30に浸透するため、均一な給水が難しくなるが、本実施の形態では、導水部材110によって、注水孔12aに対応する位置に供給水を流下させて、均一な給水の実現を図ることができる。また、囲み壁12eで囲むことで、供給水が外部に漏れにくくなる。
【0061】
なお、本実施の形態では、導水管100を貯水部12の外壁の近く、より具体的には外壁を導水管100の一部に含めて形成しているが、外壁から離れた位置に導水管100を形成しても構わない。
【0062】
また、筒状壁面12bの先端に形成された連通口としての切欠12cは、筒状壁面12bの内部を、外部と連通させて気泡を逃がせるものであればよいので、切欠きではなく孔として連通口が形成されていてもよい。ただし、気泡が発生しやすいのは、拡散部材30の表面であるので、より先端側に連通口を形成することで気泡を逃がしやすくすることができる。
【0063】
以上説明したように構成された加湿素子2および加湿装置1によれば、複数の加湿体20への水の均一な供給を図ることができる。また、長期間の安定した加湿体20への水供給を図ることができる。また、加湿素子2を簡易な構成として組み立て性の容易化を図ることができる。また、加湿素子2による加湿量の増加を図ることができる。また、衛生性の向上を図ることができる。