特許第6038423号(P6038423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6038423事故確率計算装置、事故確率計算方法及び事故確率計算プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6038423
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】事故確率計算装置、事故確率計算方法及び事故確率計算プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-550893(P2016-550893)
(86)(22)【出願日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2016052437
【審査請求日】2016年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099461
【弁理士】
【氏名又は名称】溝井 章司
(74)【代理人】
【識別番号】100151220
【弁理士】
【氏名又は名称】八巻 満隆
(72)【発明者】
【氏名】石渡 要介
(72)【発明者】
【氏名】花田 武彦
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−257338(JP,A)
【文献】 特開2007−099237(JP,A)
【文献】 特開2011−253302(JP,A)
【文献】 特開2008−003762(JP,A)
【文献】 特開2010−023721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲にある障害物を特定する死角特定部と、
前記死角特定部によって特定された障害物を対象物として、過去に交通事故が発生した位置に基づく確率パラメータを用いて、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を個別確率として計算する個別計算部と
を備える事故確率計算装置。
【請求項2】
前記前記確率パラメータは、障害物の位置に対する過去に交通事故が発生した相対位置の平均及びばらつきを示す
請求項1に記載の事故確率計算装置。
【請求項3】
前記個別計算部は、前記交通事故の発生確率が正規分布に従うとして、前記個別確率を計算する
請求項1または2に記載の事故確率計算装置。
【請求項4】
前記個別計算部は、前記交通事故の相手の物体の運動モデルに基づく確率分布に前記交通事故の発生確率が従うとして、前記個別確率を計算する
請求項1または2に記載の事故確率計算装置。
【請求項5】
前記個別計算部は、前記交通事故の相手となる物体の運動モデルを、2次元平面において前記車両が走行する道路の方向と垂直な方向へのランダムウォークモデルとし、前記ランダムウォークモデルにおける一方向への移動量が正規分布に従うとして、前記個別確率を計算する
請求項に記載の事故確率計算装置。
【請求項6】
前記事故確率計算装置は、さらに、
過去に発生した交通事故の発生位置を絶対座標系で示す事故データを、障害物の位置を基準とする相対座標系で前記発生位置を示したデータに変換して、前記確率パラメータを生成するパラメータ生成部
を備える請求項からまでのいずれか1項に記載の事故確率計算装置。
【請求項7】
前記事故確率計算装置は、さらに、
外部の装置から前記事故データを取得するデータ更新部
を備え、
前記パラメータ生成部は、定期的に、あるいは、前記事故データが基準量だけ取得される度に、前記確率パラメータを計算する
請求項に記載の事故確率計算装置。
【請求項8】
前記事故確率計算装置は、さらに、
計算された交通事故の発生確率に基づき、前記車両に搭載された車両機器を制御する制御部
を備える請求項1からまでのいずれか1項に記載の事故確率計算装置。
【請求項9】
前記死角特定部は、車両の周囲にある複数の障害物を特定し、
前記個別計算部は、前記死角特定部によって特定された各障害物を対象物として、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を個別確率として計算し、
前記事故確率計算装置は、さらに、
前記個別計算部によって計算された個別確率から、前記複数の障害物に対する前記対象位置における交通事故の発生確率を合成確率として計算する合成計算部
を備える請求項1からまでのいずれか1項に記載の事故確率計算装置。
【請求項10】
前記合成計算部は、前記個別確率の論理和を前記合成確率として計算する
請求項に記載の事故確率計算装置。
【請求項11】
車両の周囲にある障害物を特定し、
特定された障害物を対象物として、過去に交通事故が発生した位置に基づく確率パラメータを用いて、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を計算する事故確率計算方法。
【請求項12】
車両の周囲にある障害物を特定する死角特定処理と、
前記死角特定処理によって特定された障害物を対象物として、過去に交通事故が発生した位置に基づく確率パラメータを用いて、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を計算する個別計算処理と
をコンピュータに実行させる事故確率計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の周囲にある障害物の死角から飛び出してくる物体と交通事故が発生する確率を計算する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたセンサを用いて車両周囲の障害物を認識し、障害物を避けながら車両を移動させる自動運転技術が開発されている。早い段階でセンサにより認識された障害物については、離れた位置から車両を制御することで、避けることが可能である。しかし、センサで認識できない死角から、人及び車両といった物体が急に飛び出してくることがある。飛び出してきた物体については、センサにより認識された時点で物体までの距離が短く、避けることが難しい場合がある。
【0003】
特許文献1には、死角構成物の位置、大きさ、形状といった情報を利用し、死角から物体が飛び出してくるかを判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−089084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
死角構成物の位置、大きさ、形状がどうであれ、車両から見えなければ物体の飛び出しがあり得ないわけではなく、危険なことに変わりない。死角周囲で重要なのは、物体が飛び出してきた場合に、飛び出してきた物体を避けることである。
死角からどの辺りの位置に物体が飛び出してくるかが分かれば、物体が飛び出してくる位置を避けて走行するといった対応により、飛び出してきた物体との衝突を回避することができる。つまり、死角周囲のどの位置で交通事故が発生しやすいかを知ることができれば、飛び出してきた物体との衝突を回避できる可能性が高くなる。
この発明は、車両の周囲にある障害物の死角から飛び出してくる物体と、どの位置で交通事故が発生しやすいかを特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る事故確率計算装置は、
車両の周囲にある障害物を特定する死角特定部と、
前記死角特定部によって特定された障害物を対象物として、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を個別確率として計算する個別計算部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、車両の周囲にある障害物を考慮して、対象位置における事故の発生確率を計算する。これにより、死角周辺のどの位置で交通事故が発生しやすいかを特定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る事故確率計算装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係るパラメータ変換処理のフローチャート。
図3】実施の形態1に係る確率パラメータ31の説明図。
図4】実施の形態1に係る死角領域を特定する処理の説明図。
図5】実施の形態1に係る車両100から見える頂点の説明図。
図6】実施の形態1に係る確率計算処理のフローチャート。
図7】実施の形態1に係る確率計算処理の説明図。
図8】実施の形態1に係る交通事故の発生確率の分布を示す図。
図9】変形例1に係る事故確率計算装置10の構成図。
図10】実施の形態2に係るランダムウォークモデルを用いた場合の処理の説明図。
図11】実施の形態3に係る事故確率計算装置10の構成図。
図12】実施の形態3に係るパラメータ生成処理のフローチャート。
図13】実施の形態3に係る相対位置を計算する処理の説明図。
図14】実施の形態4に係る事故確率計算装置10の構成図。
図15】実施の形態4に係るデータ更新処理のフローチャート。
図16】実施の形態5に係る事故確率計算装置10の構成図。
図17】実施の形態5に係る運転制御処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る事故確率計算装置10の構成を説明する。
事故確率計算装置10は、車両100に搭載されるコンピュータである。事故確率計算装置10は、障害物に対する相対位置毎の交通事故の発生確率を計算可能な確率パラメータ31を用いて、障害物データ32によって特定される車両100の周囲の1つ以上の障害物を考慮した場合の位置毎の交通事故の発生確率を計算するコンピュータである。
事故確率計算装置10は、プロセッサ11と、記憶装置12と、車載インタフェース13とを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0010】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0011】
記憶装置12は、メモリ121と、ストレージ122とを備える。メモリ121は、具体的には、RAM(Random Access Memory)である。ストレージ122は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ122は、SD(Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記憶媒体であってもよい。
【0012】
車載インタフェース13は、車両100に搭載された、GPS(Global Positioning System)受信機、ジャイロセンサ、カメラ、レーザセンサ、ミリ波センサ、速度センサ、加速度センサといった車載装置41が接続される装置である。
【0013】
事故確率計算装置10は、機能構成要素として、死角特定部21と、座標変換部22と、確率計算部23とを備える。確率計算部23は、個別計算部231と、合成計算部232とを備える。死角特定部21と、座標変換部22と、確率計算部23と、個別計算部231と、合成計算部232との各部の機能はソフトウェアにより実現される。
記憶装置12のストレージ122には、事故確率計算装置10の各部の機能を実現するプログラムが記憶されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ121に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、事故確率計算装置10の各部の機能が実現される。
【0014】
プロセッサ11によって実現される各部の機能の処理の結果を示す情報とデータと信号値と変数値は、メモリ121、又は、プロセッサ11内のレジスタ又はキャッシュメモリに記憶される。以下の説明では、プロセッサ11によって実現される各部の機能の処理の結果を示す情報とデータと信号値と変数値は、メモリ121に記憶されるものとして説明する。
【0015】
プロセッサ11によって実現される各機能を実現するプログラムは、記憶装置12に記憶されているとした。しかし、このプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記憶媒体に記憶されてもよい。
【0016】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0017】
***動作の説明***
図2から図7を参照して、実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態1に係る事故確率計算方法に相当する。また、実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態1に係る事故確率計算プログラムの処理に相当する。
実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作は、パラメータ変換処理と、確率計算処理とがある。
【0018】
図2を参照して、実施の形態1に係るパラメータ変換処理を説明する。
パラメータ変換処理の前提として、確率パラメータ31と障害物データ32とがストレージ122に記憶されているものとする。
確率パラメータ31は、障害物に対する相対位置毎の交通事故の発生確率を計算可能な情報である。実施の形態1では、確率パラメータ31は、障害物の位置に対する交通事故が発生した相対位置の平均である平均位置と、相対位置のばらつきとを示す。実施の形態1では、確率パラメータ31は、ばらつきを標準偏差によって示す。図3に示すように、相対位置は、障害物における死角を発生させる境界点の位置を障害物の位置とした場合の交通事故が発生した相対的な位置を示し、障害物の位置からの距離及び方向を示す。方向は、車両100の進行方向を基準とする相対的な方向である。
障害物データ32は、死角を発生させる障害物についてのデータである。障害物データ32は、障害物の位置と、2次元平面における障害物の領域である占有領域とを示す。実施の形態1では、占有領域は、多角形であるとする。なお、ここでは、占有領域を矩形として説明する。
【0019】
また、パラメータ変換処理の前提として、交通事故の発生確率を計算する位置が対象位置として指定されているものとする。対象位置は、車両100の位置を原点とする座標系の座標で表されているものとする。
ここでは、1箇所だけ対象位置が指定されているとして説明する。しかし、複数個所の対象位置が指定されてもよい。複数個所の対象位置が指定された場合、パラメータ変換処理と確率計算処理とが指定された対象位置分繰り返せされる。
【0020】
ステップS11では、死角特定部21は、車載インタフェース13を介して車載装置41から車両100の位置を示す位置情報と、進行方向を示す方向情報とを取得する。
具体的には、死角特定部21は、車載インタフェース13を介して接続された車載装置41であるGPS受信機によって受信された測位信号を位置情報として取得する。また、死角特定部21は、車載インタフェース13を介して接続された車載装置41であるジャイロセンサから得られる信号を方向情報として取得する。
【0021】
ステップS12では、死角特定部21は、ステップS11で取得された位置情報及び方向情報と、ストレージ122に記憶された障害物データ32とから、車両100の周囲にある1つ以上の障害物を特定する。
具体的には、死角特定部21は、位置情報が示す位置の周囲にある障害物を示す障害物データ32をストレージ122から読み出すことにより、車両100の周囲にある1つ以上の障害物を特定する。周囲とは、死角からの飛び出しにより車両100と交通事故が発生する可能性がある範囲である。実施の形態1では、周囲とは、半径が基準距離以内といった範囲のうち、方向情報が示す車両100の進行方向の前方の範囲であるとする。基準距離は、予め定められた固定値であってもよいし、車両100の速度や車両100が走行している道路の制限速度といった情報によって決定されてもよい。
【0022】
ステップS13では、死角特定部21は、ステップS12で特定された1つ以上の障害物のうち、未だ選択されていない障害物を対象物として選択する。
【0023】
ステップS14では、死角特定部21は、ステップS13で選択された対象物により発生する死角領域を特定する。
図4を参照して具体的に説明する。死角特定部21は、障害物データ32が示す対象物の占有領域の各頂点について、車両100から見えるか否かを判定する。そして、死角特定部21は、車両100から見える頂点と車両100の位置とを結んだ線分のうち、車両の進行方向の右手方向との成す角θが最大の線分と、成す角θが最小の線分とを特定する。なお、角θは、ここでは、線分と車両の進行方向の右手方向との成す角としたが、線分と車両の進行方向の左手方向との成す角としてもよい。死角特定部21は、特定された2つの線分を、死角領域と死角でない領域との境界として特定する。図4では、頂点2,3が境界点として特定される。死角特定部21は、特定された2つの線分が接続された2つの頂点それぞれを境界点としてメモリ121に書き込む。
【0024】
図5に示すように、車両100から見える頂点2,3,4は、車両100と頂点とを結んだ線分が対象物の辺と交わらない。一方、図5に示すように、車両100から見えない頂点1は、車両100と頂点とを結んだ線分が対象物の辺と交わる。そこで、死角特定部21は、車両100と頂点とを結ぶベクトルが、対象物のいずれかの辺と交わるか否かにより、車両100からその頂点が見えるか否かを判定する。
死角特定部21は、車両100と頂点vとを結ぶベクトルpを、p=ta+saと分解する。ここで、ベクトルa及びaは、車両100と、頂点vに接続されていない対象辺の両端の頂点とを結ぶベクトルである。図5であれば、車両100と頂点1とを結ぶベクトルをベクトルpとした場合、頂点1に接続されていない辺は、辺X,Yである。したがって、ベクトルa及びaは、辺Xを対象辺として選択した場合には、車両100と頂点3とを結ぶベクトルと、車両100と頂点4とを結ぶベクトルとになり、辺Yを対象辺として選択した場合には、車両100と頂点4とを結ぶベクトルと、車両100と頂点2とを結ぶベクトルとになる。なお、車両100と頂点vとを結ぶベクトルpは、頂点vに接続された辺と交わることはないため、頂点vに接続された辺を対象辺とする必要はない。
そして、死角特定部21は、t≧0∧s≧0∧t+s≧1となった場合には、ベクトルpが対象辺と交わると判定する。
【0025】
ステップS15では、座標変換部22は、ステップS14で特定された2つの線分によって車両100と結ばれる2つの境界点のうち、少なくともいずれかを対象物の位置として選択する。
具体的には、座標変換部22は、ステップS14で特定された2つの境界点をメモリ121から読み出す。そして、実施の形態1では、座標変換部22は、2つの境界点のうち対象位置に近い方の頂点を対象物の位置として選択する。
【0026】
ステップS16では、座標変換部22は、確率パラメータ31が示す対象物の位置に対する交通事故が発生した平均位置を、ステップS15で選択された対象物の位置を基準とする位置に変換する。さらに、座標変換部22は、変換された平均位置を、車両100の位置を原点とする座標系の座標に変換する。座標変換部22は、変換された平均位置の座標をメモリ121に書き込む。
【0027】
ステップS17では、死角特定部21は、ステップS13で選択されていない障害物があるか否かを判定する。
死角特定部21は、選択されていない障害物がある場合、処理をステップS13に戻し、選択されていない障害物がない場合、処理を終了する。
【0028】
図6を参照して、実施の形態1に係る確率計算処理を説明する。
確率計算処理は、パラメータ変換処理が終了した後に実行される。
【0029】
ステップS21では、個別計算部231は、ステップS12で特定された1つ以上の障害物のうち、未だ選択されていない障害物を対象物として選択する。
【0030】
ステップS22では、個別計算部231は、ステップS21で選択された対象物について、ステップS16で変換された平均位置の座標と、確率パラメータ31が示す標準偏差とから、対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を個別確率として計算する。
具体的には、個別計算部231は、車両100の位置を原点とする座標系で表された平均位置の座標と、確率パラメータが示す標準偏差とをメモリ121から読み出す。そして、実施の形態1では、個別計算部231は、交通事故の発生確率が正規分布に従うとして、平均位置の座標(ox,oy)と、標準偏差(σx,σy)と、対象位置の座標(p,p)とから、対象位置の個別確率P(p,p)を数1により計算する。ここで、変数iは、ステップS21で対象物として選択された障害物に割り当てられた番号である。
【数1】
個別計算部231は、計算された個別確率をメモリ121に書き込む。
【0031】
ステップS23では、個別計算部231は、ステップS21で選択されていない障害物があるか否かを判定する。
個別計算部231は、選択されていない障害物がある場合、処理をステップS21に戻し、選択されていない障害物がない場合、処理をステップS24に進める。
【0032】
ステップS24では、合成計算部232は、ステップS22で計算された個別確率から、ステップS12で特定された1つ以上の障害物に対する対象位置における交通事故の発生確率を合成確率として計算する。
具体的には、合成計算部232は、ステップS22で計算された各障害物を対象物とした場合の個別確率をメモリ121から読み出す。そして、合成計算部232は、数2により、読み出された個別確率の論理和を合成確率として計算する。
【数2】
【0033】
つまり、図7に示すように、車両100の周囲に複数の障害物O1〜O3がある場合、まず個別計算部231が、各障害物O1,O2,O3について個別確率を計算する。そして、合成計算部232が、各障害物O1,O2,O3について個別確率の論理和を取ることにより、全ての障害物O1〜O3を考慮した対象位置の交通事故の発生確率を計算する。
【0034】
なお、上記説明では、ステップS15で座標変換部22は、2つの境界点のうち、対象位置に近い方の境界点を対象物の位置として選択した。しかし、座標変換部22は、2つの境界点両方を対象物の位置として選択してもよい。
この場合、ステップS16で座標変換部22は、平均位置を2つの対象物の位置それぞれを基準とする位置に変換し、変換された2つの平均位置それぞれを、車両100の位置を原点とする座標系の座標に変換する。ステップS22で個別計算部231は、2つの平均位置の一方の座標に基づき、数1により個別確率P(p,p)を計算し、他方の座標に基づき、数1により個別確率P(p,p)を計算する。そして、個別計算部231は、数3により個別確率P(p,p)及び個別確率P(p,p)の論理和を個別確率P(p,p)として計算する。
【数3】
【0035】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る事故確率計算装置10は、車両100の周囲にある1つ以上の障害物を考慮して、対象位置における事故の発生確率を計算する。これにより、死角周囲の位置毎の交通事故の発生確率を計算可能である。
【0036】
図8は、交通事故の発生確率の分布の例を表している。図8では、1つの障害物についての交通事故の発生確率である個別確率は、死角に近い位置ほど高く、死角から離れるに従い低くなっている。この個別確率が統合されて、合成確率が計算されるため、合成確率は、複数の障害物が近くに配置されているような場合に高い確率になる。
【0037】
***他の構成***
【0038】
<変形例1>
実施の形態1では、事故確率計算装置10の各部の機能がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、事故確率計算装置10の各部の機能はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0039】
図9を参照して、変形例1に係る事故確率計算装置10の構成を説明する。
各部の機能がハードウェアで実現される場合、事故確率計算装置10は、プロセッサ11と記憶装置12とに代えて、処理回路14とを備える。処理回路14は、事故確率計算装置10の各部の機能及び記憶装置12の機能を実現する専用の電子回路である。
【0040】
処理回路14は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)が想定される。
各部の機能を1つの処理回路14で実現してもよいし、各部の機能を複数の処理回路14に分散させて実現してもよい。
【0041】
<変形例2>
変形例2として、一部の機能がハードウェアで実現され、他の機能がソフトウェアで実現されてもよい。つまり、事故確率計算装置10の各部のうち、一部の機能がハードウェアで実現され、他の機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0042】
プロセッサ11と記憶装置12と処理回路14とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、各部の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態1では、交通事故の発生確率は、正規分布に従うとした。実施の形態2では、交通事故の発生確率は、交通事故の相手である飛び出してくる物体の運動モデルに基づく確率分布に従うとする。実施の形態2では、この異なる点を説明する。
【0044】
***構成の説明***
事故確率計算装置10の構成は、図1に示す実施の形態1に係る事故確率計算装置10の構成と同じである。
【0045】
***動作の説明***
図6及び図10を参照して、実施の形態2に係る事故確率計算装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態2に係る事故確率計算方法に相当する。また、実施の形態2に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態2に係る事故確率計算プログラムの処理に相当する。
【0046】
図6を参照して、実施の形態2に係る確率計算処理を説明する。
ステップS21と、ステップS23からステップS24の処理は、実施の形態1と同じである。
【0047】
ステップS22では、個別計算部231は、飛び出してくる物体の運動モデルに基づく確率分布に従うとする。
図10を参照して具体的に説明する。実施の形態2では、個別計算部231は、車両100が走行する道路と直行する方向へのランダムウォークモデルを用いて、確率分布を定義する。つまり、個別計算部231は、飛び出してくる物体が道路を最短距離で渡る動きをすることを想定した運動モデルを用いる。
この場合、発生確率は、物体の移動量に依存し、計算のためには時間の条件が必要になる。そして、t秒だけ時間が経過した時点の物体の存在確率が発生確率となる。
【0048】
道路と直行する方向への1次元のランダムウォークモデルにおける位置を定義する。移動開始地点t=0から時間T経過した時点での位置を位置Xとする。位置Xにおいて、障害物側から道路の反対側への方向である正方向へ移動した時間をT(0≦T≦T)とする。また、物体の移動速度は速度Vの等速であるとする。すると、X=VT−V(T−T)=2VT−VTとなる。
ランダムウォークであるので、正方向へ移動した時間Tはランダムである。実施の形態2では、時間Tが正規分布に従うとする。すると、Xの式からT=X/2V−T/2と表せる。ここから、ある時間Tに対して位置Xに対応する時間Tが定まり、時間Tの生起確率は正規分布から計算することができる。なお、対象位置を位置Xとし、車両100が対象位置に到達するまでの時間を時間Tとする。車両100が対象位置に到達するまでの時間は、車両100と対象位置との間の距離と、車両100の速度とから計算できる。また、速度Vは予め定められているものとする。
【0049】
そして、個別計算部231は、平均位置の座標(ox,oy)と、標準偏差(σx,σy)と、対象位置の座標(p,p)とから、対象位置の個別確率P(p,p)を数4により計算する。
【数4】
【0050】
上記説明では、飛び出してくる物体に対して1つの運動モデルを定義した。しかし、変形例3として、歩行者、自動車、自転車といった、飛び出してくる物体の種別毎に運動モデルを定義してもよい。そして、物体の種別毎に個別確率を計算し、各種別について計算された個別確率の論理和を計算して合成確率を計算してもよい。この際、速度Vは、飛び出してくると想定する物体の種別毎に定められていてもよい。
【0051】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る事故確率計算装置10は、交通事故の発生確率が飛び出してくる物体の運動モデルに基づく確率分布に従うとして、個別確率を計算する。これにより、より適切な交通事故の発生確率を計算可能である。
【0052】
実施の形態3.
実施の形態1では、確率パラメータ31は予めストレージ122に記憶されていた。実施の形態3では、確率パラメータ31を計算する点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明する。
なお、実施の形態3では、実施の形態1に機能追加した場合を説明する。しかし、実施の形態2に機能追加することも可能である。
【0053】
***構成の説明***
図11を参照して、実施の形態3に係る事故確率計算装置10の構成を説明する。
事故確率計算装置10は、図1に示す事故確率計算装置10の機能構成に加え、事故データ33から確率パラメータ31を生成するパラメータ生成部24を備える。パラメータ生成部24の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0054】
***動作の説明***
図12から図13を参照して、実施の形態3に係る事故確率計算装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態3に係る事故確率計算方法に相当する。また、実施の形態3に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態3に係る事故確率計算プログラムの処理に相当する。
実施の形態3に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作に加え、パラメータ生成処理がある。
【0055】
図12を参照して、実施の形態3に係るパラメータ生成処理を説明する。
パラメータ生成処理の前提として、事故データ33がストレージ122に記憶されているものとする。事故データ33は、死角からの飛び出しによる交通事故の発生した地点の高さを除いた2次元平面上の位置と、飛び出し事故を起こした車両の進行方向とを示す。事故データ33は、交通事故の発生時に作成される事故原票が電子化されたデータであり、事故データの座標系は、平面直角座標系といった絶対位置を示す絶対座標系である。
【0056】
ステップS31では、パラメータ生成部24は、ストレージ122に記憶された事故データ33から、未だ選択されていない事故データ33を選択して読み出す。
【0057】
ステップS32では、パラメータ生成部24は、ストレージ122に記憶された障害物データ32から、ステップS31で選択された事故データ33に対応する障害物の障害物データ32を読み出す。
事故データ33に対応する障害物とは、実施の形態3では、事故データ33が示す位置に最も近い障害物である。なお、交通事故にあった物体が飛び出してきた位置を事故データ33が示す場合には、事故データ33に対応する障害物は、飛び出してきた位置に死角を形成する障害物である。
【0058】
ステップS33では、パラメータ生成部24は、ステップS31で選択された事故データ33を、ステップS32で読み出された障害物データ32が示す障害物の位置を基準とする相対座標系で交通事故の発生位置を示したデータに変換する。つまり、パラメータ生成部24は、ステップS31で選択された事故データ33が示す位置及び車両の進行方向と、ステップS32で読み出された障害物データ32が示す障害物の位置とから、障害物の位置に対する交通事故が発生した相対位置を計算する。
具体的には、図13に示すように、パラメータ生成部24は、事故データ33が示す位置P=(px,py)及び車両の進行方向v=(vx,vy)と、障害物の位置O=(ox,oy)とから、相対位置R=(rx,ry)を数5により計算する。なお、障害物の位置は、事故データ33が示す位置に最も近い障害物の頂点の位置である。また、変数iは、ステップS31で選択された事故データ33に割り当てられた番号である。
【数5】
【0059】
ステップS34では、パラメータ生成部24は、ステップS31で選択されていない事故データ33があるか否かを判定する。
パラメータ生成部24は、選択されていない事故データ33がある場合、処理をステップS31に戻し、選択されていない事故データ33がない場合、処理をステップS35に進める。
【0060】
ステップS35では、パラメータ生成部24は、ステップS33で計算された相対位置の平均を平均位置として計算するとともに、相対位置の標準偏差を計算する。そして、パラメータ生成部24は、計算された平均位置及び標準偏差を示す確率パラメータ31をストレージ122に書き込む。
【0061】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る事故確率計算装置10は、過去の交通事故が発生した位置を座標変換して、障害物の位置を基準とした相対位置とし、確率パラメータ31を生成する。これにより、過去の死角からの飛び出しによる交通事故の情報を他の地点における障害物の死角からの飛び出しによる交通事故の発生確率の計算に利用可能になる。
【0062】
実施の形態4.
実施の形態3では、事故データ33がストレージ122に記憶されているとした。実施の形態4では、外部から事故データ33を取得して更新する点が実施の形態3と異なる。
【0063】
***構成の説明***
図14を参照して、実施の形態4に係る事故確率計算装置10の構成を説明する。
事故確率計算装置10は、図11に示す事故確率計算装置10の構成に加え、通信インタフェース15を備える。通信インタフェース15は、外部サーバといった外部の装置と通信するためのインタフェースである。具体的には、通信インタフェース15は、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0064】
事故確率計算装置10は、図11に示す事故確率計算装置10の機能構成要素に加え、外部の装置から事故データ33を取得するデータ更新部25を備える。データ更新部25の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0065】
***動作の説明***
図15を参照して、実施の形態4に係る事故確率計算装置10の動作を説明する。
実施の形態4に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態4に係る事故確率計算方法に相当する。また、実施の形態4に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態4に係る事故確率計算プログラムの処理に相当する。
実施の形態4に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態3に係る事故確率計算装置10の動作に加え、データ更新処理がある。
【0066】
図15を参照して、実施の形態4に係るデータ更新処理を説明する。
ステップS41では、データ更新部25は、通信インタフェース15を介して外部サーバといった外部の装置から事故データ33を取得する。外部の装置には、事故原票が電子化され順次新たな事故データ33が登録される。
【0067】
ステップS42では、データ更新部25は、ステップS41で取得された事故データ33をストレージ122に書き込む。これにより、ストレージ122に事故データ33が追加される。
【0068】
パラメータ生成部24は、定期的に、あるいは、事故データ33が基準量だけ取得される度に、パラメータ生成処理を実行する。これにより、新たな事故データ33を考慮した確率パラメータ31が生成される。
【0069】
***実施の形態4の効果***
以上のように、実施の形態4に係る事故確率計算装置10は、事故データ33をストレージ122に追加する。これにより、確率パラメータ31が適切になり、より適切な交通事故の発生確率を計算可能である。
【0070】
実施の形態5.
実施の形態1〜4では、交通事故の発生確率の計算方法について説明した。実施の形態5では、実施の形態1〜4で説明した方法により計算された交通事故の発生確率に基づき、車両100を制御する点が実施の形態1〜4と異なる。実施の形態5では、この異なる点を説明する。
なお、実施の形態5では、実施の形態1に機能追加した場合を説明する。しかし、実施の形態2〜4に機能追加することも可能である。
【0071】
***構成の説明***
図16を参照して、実施の形態5に係る事故確率計算装置10の構成を説明する。
事故確率計算装置10は、図1に示す事故確率計算装置10の構成に加え、制御インタフェース16を備える。制御インタフェース16は、アクセル、ブレーキ、ハンドル、ディスプレイといった車両機器42を接続するための装置である。具体的には、制御インタフェース16は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)である。
【0072】
事故確率計算装置10は、図1に示す事故確率計算装置10の機能構成要素に加え、制御部26を備える。制御部26の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0073】
***動作の説明***
図17を参照して、実施の形態5に係る事故確率計算装置10の動作を説明する。
実施の形態5に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態5に係る事故確率計算方法に相当する。また、実施の形態5に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態5に係る事故確率計算プログラムの処理に相当する。
実施の形態5に係る事故確率計算装置10の動作は、実施の形態1に係る事故確率計算装置10の動作に加え、運転制御処理がある。
【0074】
図17を参照して、実施の形態5に係る運転制御処理を説明する。
運転制御処理の前提として、確率計算処理で車両100の前方の多数の位置の合成確率が計算されているものとする。実施の形態5では、車両100の前方における基準距離までの間の、車両100の進行方向の車線について、進行方向及び進行方向と垂直な方向との基準間隔毎の合成確率が計算されているものとする。基準間隔は、処理負荷といった情報に応じて決定されるものである。
【0075】
ステップS51では、制御部26は、ステップS24で計算された、各位置の合成確率に基づき、交通事故の発生確率が閾値よりも高い位置を特定する。
【0076】
ステップS52では、制御部26は、ステップS51で特定された事故発生確率が閾値よりも高い位置を避けるようにブレーキ、ハンドルといった車両機器42を制御する。あるいは、制御部26は、ステップS51で特定された事故発生確率が閾値よりも高い位置を通過する前に、急停止可能な程度まで速度を落とすようにブレーキ、アクセルといった車両機器42を制御する。また、あるいは、制御部26は、ステップS51で特定された事故発生確率が閾値よりも高い位置を表示するようにディスプレイといった車両機器42を制御する。その他、事故発生確率が閾値よりも高い位置がある場合に、音、光、振動といった他の手段を用いて、車両100のドライバーに注意を促すようにしてもよい。
【0077】
***実施の形態5の効果***
以上のように、実施の形態5に係る事故確率計算装置10は、合成確率に基づき車両100を制御する。これにより、死角からの飛び出しがあっても、交通事故を防ぐことが可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 事故確率計算装置、11 プロセッサ、12 記憶装置、121 メモリ、122 ストレージ、13 車載インタフェース、14 処理回路、15 通信インタフェース、16 制御インタフェース、21 死角特定部、22 座標変換部、23 確率計算部、231 個別計算部、232 合成計算部、24 パラメータ生成部、25 データ更新部、26 制御部、31 確率パラメータ、32 障害物データ、33 事故データ、41 車載装置、42 車両機器、100 車両。
【要約】
死角特定部(21)は、車両の周囲のエリアにおいて死角を発生させる複数の障害物を特定する。個別計算部(231)は、死角特定部(21)によって特定された各障害物を対象物として、その対象物の位置に対する対象位置の交通事故の発生確率を個別確率として計算する。合成計算部(232)は、個別計算部(231)によって計算された個別確率から、複数の障害物に対する対象位置における交通事故の発生確率を合成確率として計算する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17