特許第6038448号(P6038448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6038448太陽熱複合発電システム及び太陽熱複合発電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038448
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】太陽熱複合発電システム及び太陽熱複合発電方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20161128BHJP
   F03G 6/00 20060101ALI20161128BHJP
   F22B 1/16 20060101ALI20161128BHJP
   F22B 3/00 20060101ALI20161128BHJP
   F22G 5/12 20060101ALI20161128BHJP
   F24J 2/42 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F22B1/18 E
   F03G6/00 511
   F22B1/16 Z
   F22B3/00
   F22G5/12 B
   F24J2/42 F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-275686(P2011-275686)
(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公開番号】特開2013-124853(P2013-124853A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2013年12月12日
【審判番号】不服-4578(P-4578/J1)
【審判請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三島 信義
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 尊
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 季彦
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 結城 健太郎
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−121483(JP,A)
【文献】 特開昭58−49855(JP,A)
【文献】 特開2008−39367(JP,A)
【文献】 特開昭59−89950(JP,A)
【文献】 特開2009−198120(JP,A)
【文献】 特開昭57−198952(JP,A)
【文献】 特開昭57−32077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/18
F03G 6/00
F22B 1/16
F22B 3/00
F22G 5/12
F24J 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱により加熱した熱媒体により過熱蒸気を発生又は太陽熱を集熱して過熱蒸気を発生させる太陽熱集熱装置と、ガスタービンと、ガスタービン排熱回収ボイラと、蒸気タービンとを備え、前記ガスタービン排熱回収ボイラの一次過熱器と二次過熱器との間に主蒸気温度減温器を有する太陽熱複合発電システムであって、
前記太陽熱集熱装置で発生させた過熱蒸気を前記ガスタービン排熱回収ボイラの高圧ドラムの出口配管に供給する太陽熱蒸気供給管路と、
前記太陽熱蒸気供給管路に設けられ、該太陽熱蒸気供給管路内を流れる過熱蒸気の温度を減温する太陽熱蒸気温度減温器と、
前記太陽熱蒸気温度減温器での減温を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は前記太陽熱集熱装置で発生した過熱蒸気の温度が低下した場合に前記減温器での減温を取り止め又は減温割合を低下させるようにしたことを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項2】
請求項1において、前記制御装置は、前記太陽熱集熱装置で発生させた過熱蒸気の温度が、前記ガスタービン排熱回収ボイラの高圧ドラムで発生する飽和蒸気の温度となるように減温を制御することを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項3】
太陽熱により加熱した熱媒体により過熱蒸気を発生又は太陽熱を集熱して過熱蒸気を発生させる太陽熱集熱装置と、ガスタービンと、ガスタービン排熱回収ボイラと、蒸気タービンとを備え、前記ガスタービン排熱回収ボイラの一次過熱器と二次過熱器との間に主蒸気温度減温器を有する太陽熱複合発電システムであって、
前記太陽熱集熱装置で発生させた過熱蒸気を前記ガスタービン排熱回収ボイラの一次過熱器出口配管の前記主蒸気温度減温器より上流に供給する太陽熱蒸気供給管路と、
前記太陽熱蒸気供給管路に設けられ、該太陽熱蒸気供給管路内を流れる過熱蒸気の温度を減温する太陽熱蒸気温度減温器と、
前記太陽熱蒸気温度減温器での減温を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は前記太陽熱集熱装置で発生した過熱蒸気の温度が低下した場合に前記減温器での減温を取り止め又は減温割合を低下させるようにしたことを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項4】
請求項3において、前記制御装置は、前記太陽熱集熱装置で発生させた過熱蒸気の温度が、過熱蒸気となるように減温を制御することを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記太陽熱集熱装置は、太陽熱集熱器としてトラフ型太陽光集熱鏡と、前記トラフ型太陽光集熱鏡で加熱された熱媒体を加熱媒体として蒸気を発生させる蒸発器と、前記加熱された熱媒体を加熱媒体として前記蒸発器で蒸発した蒸気を過熱する過熱器を有し、
前記太陽熱蒸気温度減温器は、前記ガスタービン排熱回収ボイラの給水ポンプからの給水がスプレーされ、
前記制御装置は、前記スプレーの量を調整することにより減温を制御し、太陽光遮断時に前記スプレーの量を急減する制御を行うことを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記太陽熱集熱装置は、太陽熱集熱器としてヘリオスタットと水蒸気式タワー型太陽熱集熱器を有し、
前記太陽熱蒸気温度減温器は、前記ガスタービン排熱回収ボイラの給水ポンプからの給水がスプレーされ、
前記制御装置は、前記スプレーの量を調整することにより減温を制御し、太陽光遮断時に前記スプレーの量を急減する制御を行うことを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記太陽熱集熱装置は、太陽熱集熱器として、ヘリオスタットと、蓄熱式タワー型太陽熱集熱器と、前記蓄熱式タワー型太陽熱集熱器で加熱された熱媒体を加熱媒体として過熱蒸気を発生させる蒸発器を有し、
前記太陽熱蒸気温度減温器は、前記ガスタービン排熱回収ボイラの給水ポンプからの給水がスプレーされ、
前記制御装置は、前記スプレーの量を調整することにより減温を制御し、太陽光遮断時に前記スプレーの量を急減する制御を行うことを特徴とする太陽熱複合発電システム。
【請求項8】
ガスタービンとガスタービン排熱回収ボイラと蒸気タービンとを備えたガスタービン排熱回収型複合火力発電システムに太陽熱で発生させた過熱蒸気を供給して前記蒸気タービンの出力を向上させる太陽熱複合発電方法であって、
前記太陽熱で発生させた過熱蒸気を、前記ガスタービン排熱回収ボイラの高圧ドラム発生蒸気又は一次過熱器出口蒸気と合流させ、
通常運転時は太陽熱で発生した過熱蒸気の温度を減温して前記高圧ドラム発生蒸気又は前記一次過熱器出口蒸気と合流させ、
太陽光遮断時は前記減温を急停止又は減温割合を急低下させて太陽熱蒸気を前記高圧ドラム発生蒸気又は前記一次過熱器出口蒸気と合流させるようにすると共に、
前記ガスタービン排熱回収ボイラの主蒸気温度制御と組み合わせて、主蒸気温度を所定の温度に制御した蒸気を前記蒸気タービンに送るようにしたことを特徴とする太陽熱複合発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱複合発電システム及び太陽熱複合発電方法に係り、特に、ガスタービンの排熱を回収して蒸気を発生させ蒸気タービンを回すガスタービン排熱回収型複合火力発電システムに太陽熱集熱装置(太陽熱回収装置)を組み合わせ、太陽熱集熱装置により回収した太陽熱でさらに蒸気を発生させて蒸気タービンの出力増加を図るようにした太陽熱利用の複合発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽熱によって加熱した熱媒体により蒸気を発生させ、この蒸気によって蒸気タービンを駆動して発電する太陽熱発電設備では、昼夜発電を継続するために、ガスタービン発電を組み合わせた太陽熱複合発電方式が提案されている。
【0003】
太陽熱発電では、昼夜の変化に加えて、夜明けから日没までの日中の天気の大きな変化も考慮する必要がある。例えば、特許文献1では、熱媒体が経時的に温度変動を生じたとしても、この熱媒体の温度変動を平準化することにより、蒸気発生のために給熱する時点(熱交換器に熱媒体が供給される時点)では十分に変動抑制された熱媒体を供給することができるようにし、そして、蒸気タービンに供給される蒸気状態の変動を効果的に抑制することができるようにしている。具体的には、特許文献1では、太陽光によって加熱された熱媒体を熱交換器に供給する熱媒体供給通路の途中にバーナを用いた熱媒体加熱装置を設置し、太陽光によって加熱された熱媒体が温度変動している場合であっても、その温度が低下しているときの熱媒体を熱媒体加熱装置によって加熱して熱交換器に供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−39367号公報「太陽熱発電設備および熱媒体供給設備」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽熱を回収して作る水蒸気または高温熱媒体の温度は、晴れの天気が急に曇りになり、また、突然雨が降り出し、太陽光が遮断された場合には、熱媒体温度や蒸気温度が急減する課題を抱えている。太陽熱発電ではこの太陽熱特有の予想できない急激な温度対策が必要である。
【0006】
蒸気タービンやガスタービン排熱回収ボイラ等の電力機器の寿命消費の考え方によると、これらの突然発生する温度急減と温度回復により蒸気タービン等の発電機器の寿命が消費され、将来これらの発電機器の破損につながるおそれがある。発電機器を安全に長期的に運用するためには、太陽熱特有の蒸気温度急減現象に対応して蒸気温度変化が生じないようにすることが特に必要である。
【0007】
特許文献1では、熱媒体が熱交換器に供給される前に熱媒体を加熱することにより熱媒体の温度低下を抑制し、そして、蒸気温度低下を抑制している。
【0008】
しかし、特許文献1では、熱媒体を介した蒸気温度調整であるため、蒸気温度応答の遅れが生ずる。また、熱媒体加熱装置のバーナでの化石燃料の燃焼による、二酸化炭素発生や窒素酸化物、硫黄酸化物が新たに発生する。
【0009】
本発明の目的は、太陽熱エネルギーの急減少が生じても、新たな化石燃料を燃焼させることなしに、蒸気温度の低下を速やかに抑制することが可能な太陽熱複合発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、太陽熱を集熱して加熱した高温の熱媒体により過熱蒸気を発生又は太陽熱を集熱して過熱蒸気を発生させる太陽熱集熱装置と、ガスタービンと、ガスタービン排熱回収ボイラ(以下HRSGと呼ぶ)と、蒸気タービンとを備え、太陽熱集熱装置で生成した過熱蒸気(以下太陽熱蒸気と呼ぶ)の温度が天候急変等で低下するような場合(通常時)を除いて、減温された太陽熱蒸気をHRSGの高圧ドラム発生蒸気又は一次過熱器出口蒸気と合流させ、太陽熱蒸気の温度が低下した場合に、減温を取り止め又は減温割合を低下させて太陽熱蒸気をHRSGの高圧ドラム発生蒸気又は一次過熱器出口蒸気と合流させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、HRSGの主蒸気温度制御弁による主蒸気温度制御を組み合わせて、主蒸気温度を所定の温度に制御して蒸気タービンに送るようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、太陽光が雲や雨により突然遮られて、太陽熱エネルギーの急減少が生じても、新たな化石燃料を燃焼させることなしに、蒸気タービンに供給される蒸気温度の低下を速やかに抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係る太陽熱複合発電システムの系統を説明する図であり、トラフ型太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとを組み合わせた太陽熱複合発電システムの系統説明図である。
図2】本発明の他の一実施例に係る太陽熱複合発電システムの系統を説明する図であり、タワー型太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとを組み合わせた太陽熱複合発電システムの系統説明図である。
図3】本発明の他の一実施例に係る太陽熱複合発電システムの系統を説明する図であり、蓄熱槽と連結したタワー型太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとを組み合わせた太陽熱複合発電システムの系統説明図である。
図4】本発明の他の一実施例に係る太陽熱複合発電システムの系統を説明する図であり、トラフ型太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとを組み合わせた太陽熱複合発電システムの系統説明図である。
図5図1に示す本発明の一実施例における蒸気温度制御を説明する蒸気温度変化特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面を通し、同じ構成要素には同一の符号を付してある。
【実施例1】
【0015】
図1に太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとを組み合わせた太陽熱複合発電システムを示す。
【0016】
本実施例では、太陽熱集熱装置としてトラフ型太陽熱集熱装置100を用いている。本実施例のトラフ型太陽熱集熱装置100は、トラフ型太陽熱集熱鏡34、太陽熱蒸発器7及び太陽熱蒸気過熱器8を基本構成要素とし、熱媒体に太陽熱を集熱する機能と、加熱された(太陽)熱媒体により蒸気(過熱蒸気)発生する機能を有する。具体的には次のように構成されている。
【0017】
太陽60から発せられた太陽光61は、トラフ型太陽光集熱鏡34にて太陽熱媒体に集められる。太陽熱エネルギーを運ぶ高温に加熱された太陽熱媒体は太陽熱媒体配管35内を流れ、太陽熱過熱器入口太陽熱媒体配管36を通過して太陽熱蒸気過熱器8に加熱媒体として導入される。太陽熱媒体としてはタービン潤滑油のような油が大量に使用される。太陽熱蒸気過熱器8では太陽熱蒸発器7で生成した飽和蒸気を過熱蒸気に加熱する。太陽熱蒸気過熱器8を出た太陽熱媒体は太陽熱蒸発器入口太陽熱媒体配管37内を流れ太陽熱蒸発器7に導入される。太陽熱蒸発器7ではガスタービン排熱回収ボイラ9の給水ポンプ28から送水される給水を太陽熱媒体により加温して飽和蒸気を発生させる。太陽熱蒸発器7を出た太陽熱媒体は、トラフ型太陽熱媒体循環ポンプ38にてトラフ型太陽光集熱鏡34に送られ再度加熱され、太陽熱媒体配管35、太陽熱過熱器入口太陽熱媒体配管36、太陽熱蒸気過熱器8、太陽熱蒸発器入口太陽熱媒体配管37、太陽熱蒸発器7と流れて循環する。また、太陽熱媒体配管35から太陽熱蒸気過熱器8をバイパスして太陽熱蒸発器入口太陽熱媒体配管37に太陽熱媒体を流す管路が設けられ、その管路には太陽熱媒体の量を制御するために、太陽熱過熱器バイパス熱媒体制御弁39が設けられている。
【0018】
次に、トラフ型太陽熱集熱装置100における過熱蒸気の発生について説明する。本実施例では、太陽熱・ガスタービン排熱回収ボイラ400に過熱蒸気を供給できるよう、太陽熱蒸発器7と太陽熱蒸気過熱器8により過熱蒸気を発生している。ガスタービン排熱回収ボイラ9のボイラ給水ポンプ28からの給水は、給水ポンプ出口配管31内を流れ、太陽熱蒸発器7に給水される。給水は太陽熱蒸発器7において太陽熱媒体により加温され飽和蒸気となる。太陽熱蒸発器7における蒸発量は太陽熱蒸発器給水量制御弁27にて制御され、太陽熱回収熱量も調整される。発生した飽和蒸気は太陽熱蒸発器出口蒸気管32内を流れ、太陽熱蒸気過熱器8に送られる。太陽熱蒸気過熱器8において、飽和蒸気は太陽熱媒体により加熱されて過熱蒸気となり、過熱蒸気は太陽熱過熱器出口蒸気管33内を通過して太陽熱蒸気温度減温器42に入る。
【0019】
次にガスタービン排熱回収型複合火力発電システムについて説明する。
【0020】
ガスタービン排熱回収型複合火力発電システムは、ガスタービン装置、蒸気タービン装置、ガスタービン排熱回収ボイラを基本構成要素としている。
【0021】
ガスタービン装置は、ガスタービン燃焼器においてガスタービン燃料3をガスタービン圧縮機1にて圧縮された空気4により燃焼し、燃焼ガスによりガスタービン2を駆動してガスタービン発電機6を回し発電する。燃焼ガスは、ガスタービン2を出た後、ガスタービン排ガス5となって、ガスタービン排熱回収ボイラ9に流下する。
【0022】
蒸気タービン装置は、ガスタービン排熱回収ボイラ9からの蒸気により駆動する蒸気タービン10、蒸気タービン発電機11、蒸気タービン10の排気蒸気を復水する復水器12、復水をガスタービン排熱回収ボイラ9に給水する復水ポンプ13を有する。
【0023】
ガスタービン排熱回収ボイラ9は、高温ガスであるガスタービン排ガス5により蒸気タービン10に供給する蒸気を発生させる。ガスタービン排ガス5は、ガスタービン排熱回収ボイラ9内に設置された二次過熱器21や一次過熱器20、高圧蒸発器19、高圧節炭器17、低圧蒸発器16、低圧節炭器72を抜けて、それぞれ復水や給水、蒸気と熱交換して低温ガスとなって煙突に導かれ外気に排出される。ガスタービン排熱回収ボイラ9には、復水ポンプ13で昇圧された復水が復水管14を通過して低圧節炭器72に給水される。低圧節炭器72で加温された水の一部は、低圧ドラム15に送水されて低圧蒸発器16で加熱され、低圧ドラム15の飽和圧力に相当する飽和蒸気温度の蒸気となる。発生蒸気は蒸気タービン10(中圧段)に送られる。低圧節炭器72で加温された水の一部はボイラ給水ポンプ28で昇圧され、高圧ドラム水位制御弁29を介して高圧節炭器17に給水される。高圧節炭器17で加温された水は、高圧ドラム18に送水されて高圧蒸発器19で加熱され、高圧ドラム18の飽和圧力に相当する飽和蒸気温度の蒸気となる。高圧ドラム18からの飽和蒸気は、一次過熱器20及び二次過熱器21に導入されて過熱され、主蒸気となって主蒸気配管22を流下して蒸気タービン10(高圧段)に入る。一次過熱器20と二次過熱器21との間に主蒸気温度減温器41が設けられており、一次過熱器20からの過熱蒸気は主蒸気温度制御弁30内を通過した給水スプレー水にて減温される。また、主蒸気温度検出器23にて主蒸気温度は検出され、主蒸気温度制御弁30の設定値と比較され、その偏差がなくなるように主蒸気温度制御弁30にてスプレー水量が制御される。
【0024】
次に、太陽熱集熱装置とガスタービン排熱回収型複合火力発電システムとの組み合わせについて説明する。
【0025】
本実施例では、太陽熱過熱器出口蒸気管33を高圧ドラム出口飽和蒸気配管70に接続し、トラフ型太陽熱集熱装置100で発生した蒸気(太陽熱蒸気)を高圧ドラム18からの高圧ドラム発生蒸気に合流させている。トラフ型太陽熱集熱装置100で発生する太陽熱蒸気の温度は天候急変等で低下する。本実施例では、太陽熱集熱装置で生成した太陽熱蒸気の温度が天候急変等で低下するような場合を除いて太陽熱蒸気を減温して高圧ドラム発生蒸気と合流させ、太陽熱蒸気の温度が低下した場合に、減温を取り止め又は減温割合を低下させて、蒸気タービンに供給する蒸気温度の低下を防ぎ、蒸気の温度を一定に保つようにしている。本実施例では、太陽熱蒸気を受け入れ、蒸気タービンに供給する蒸気温度の低下を防ぎ、蒸気の温度を一定に保つ機能を有するガスタービン排熱回収ボイラを太陽熱・ガスタービン排熱回収ボイラ400と称する。
【0026】
具体的な構成を説明する。本実施例では、太陽熱蒸気過熱器8の出口蒸気を給水ポンプ出口水で減温して高圧ドラム蒸気に合流させ、さらに主蒸気温度制御を組み合わせた2段制御としている。太陽熱蒸気過熱器8からの太陽熱蒸気(過熱蒸気)は太陽熱過熱器出口蒸気管33内を通過して太陽熱蒸気温度減温器42に入る。太陽熱蒸気温度減温器42には、ボイラ給水ポンプ28の給水の一部が太陽熱蒸気温度制御弁26を通じて送られてスプレーされる、太陽熱蒸気温度減温器42入り口蒸気温度は太陽熱蒸気減温器入口温度検出器25にて検出される。さらに太陽熱蒸気温度減温器42出口の蒸気温度は太陽熱蒸気減温器出口温度検出器24にて検出される。太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置40は、両者の信号を集め、設定温度と比較して制御信号を生成し、制御信号を太陽熱蒸気温度制御弁26に送る。太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置40は、太陽熱蒸気減温器入口温度検出器25の検出温度が設定温度より高い場合に減温するように太陽熱蒸気温度制御弁26を制御する。例えば、太陽熱蒸気の温度を常時(通常運転時)数十度減温するようにする。また、太陽熱蒸気減温器出口温度検出器24の検出信号は、高圧ドラム18で発生する飽和蒸気の蒸気条件と比較され、太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置40は、高圧ドラム18の飽和圧力に相当する飽和蒸気温度を作り出すように太陽熱蒸気温度制御弁26を制御する。
【0027】
減温調整された蒸気は、太陽熱蒸気減温器出口配管71を通過して高圧ドラム出口飽和蒸気配管70内を流れてきた高圧ドラム18から出てきた飽和蒸気と同等温度にて合流する。そして、一次過熱器20にて過熱された後、主蒸気温度減温器41に入る。ここで、この蒸気は主蒸気温度制御弁30内を通過した給水スプレー水にて再度減温される。さらに、この蒸気は二次過熱器21に導入され再度過熱され主蒸気となって主蒸気配管22を流下して蒸気タービン10に入る。本実施例におけるこれらの蒸気温度制御を図5に示す蒸気温度変化特性図により説明する。太陽熱蒸気過熱器8で過熱された蒸気は、太陽熱蒸気温度減温器42におけるスプレー水投入により高圧ドラム発生蒸気温度まで減温される。高圧ドラム蒸気と太陽熱蒸気の混合蒸気は、一次過熱器20により過熱され、主蒸気温度減温器41におけるスプレー水投入により所定温度まで減温される。そして、二次過熱器21において定格の主蒸気温度となるように過熱される。
【0028】
天候急変等で太陽熱蒸気の温度が急低下した場合には(例えば、太陽光遮断時)、太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置40により、減温を急停止又は減温割合を急低下させるように太陽熱蒸気温度制御弁26にてスプレー水の量を急減する制御を行う。即ち、図5に示す太陽熱蒸気温度減温器42におけるスプレー水投入による減温の程度を制御(急変化)する。また、太陽熱蒸気温度減温器42におけるスプレー水投入停止では定格温度にできない場合には、主蒸気温度減温器41におけるスプレー水投入を調整し定格温度となるようにする。
【0029】
本実施例では、高圧ドラム発生蒸気と常時減温された太陽熱蒸気を合流し、さらに太陽熱蒸気を常時減温するための蒸気減温器に減温スプレー水をボイラ給水ポンプから送り、減温した蒸気を二次過熱器に送り、さらに主蒸気温度制御弁により主蒸気温度を一定温度に制御して蒸気タービンに送るという二段温度制御としている。このような構成とすることにより、天候の急変により太陽熱にて生み出した蒸気温度が急減した場合、これらの減温スプレー水を急減させて、蒸気タービンに流入する主蒸気温度の低下を予防して常にほぼ一定に保つことができる。
【0030】
また、本実施例では、熱媒体を介した蒸気温度調整ではなく、スプレー水量を急減することにより蒸気温度を調整しているので、蒸気温度応答の遅れが生じない。そして、蒸気温度を一定に保つために新たな化石燃料の燃焼も不要である。
【0031】
また、上述したように、太陽熱を回収して水蒸気を作り蒸気タービンを回転させて発電する太陽熱発電方式の場合は、天気の急激な変化により、太陽光が遮断され太陽熱エネルギーを回収できない時間帯が生じ、その影響が蒸気温度の急激な減少となって現れる。その結果、蒸気を受け入れる蒸気タービンを急激に冷却することになり、蒸気タービンの寿命を損なう影響を及ぼす。急減の後、急速に温度が回復する場合も蒸気タービンの寿命が損なわれる。本実施例では主蒸気温度を一定に保つことができるので蒸気タービンの寿命を損なわない。また、本実施例では、ガスタービン排熱回収ボイラに合流させる太陽熱蒸気の温度を常に略一定に保つ(太陽熱蒸気の大幅な蒸気温度変化を抑制しその変化を最小限に押さえ込む)ことができるので、蒸気タービンへの供給する蒸気の温度変化を防止することができるのみならず、ガスタービン排熱回収ボイラへ供給する蒸気の温度変化も抑制できるのでガスタービン排熱回収ボイラの寿命を損なうこともない。
【0032】
従って、本実施例によれば、太陽熱エネルギーを用いても、天気の変化によらず、ガスタービン排熱回収型複合火力発電システムの蒸気タービンに略一定の温度を常に供給することができるので、蒸気タービンの寿命を損なわず長期安定運転が可能な、太陽熱エネルギー活用により出力や効率を改善した太陽熱利用の複合発電システムを実現できる。
【実施例2】
【0033】
本発明の他の実施例を図2に示す。本実施例では、実施例1(図1)におけるトラフ型太陽熱集熱装置の代わりに水蒸気式タワー型太陽熱集熱装置200を用いたものである。その他は、実施例1と同様である。本実施例では、タワー型太陽熱集熱装置出口蒸気をボイラ給水ポンプ出口水で減温して高圧ドラム蒸気に合流させ、さらに主蒸気温度制御を組み合わせた2段制御としている。
【0034】
本実施例における水蒸気式タワー型太陽熱集熱装置200は、太陽熱エネルギーを水蒸気式タワー型鏡で回収するタワー型太陽熱集熱装置である。太陽60から発せられた太陽光61はヘリオスタット68にて太陽光反射光線62として水蒸気式タワー型集熱器45に集められる。水蒸気式タワー型集熱器45へは、低圧節炭器72出口給水の一部がボイラ給水ポンプ28により昇圧されてタワー型集熱器給水配管44内を流れて給水される。水蒸気式タワー型集熱器45で発生した太陽熱蒸気は水蒸気式タワー型集熱器出口配管46内を流れ太陽熱蒸気温度減温器42に入る。本実施例では、太陽熱エネルギーを運ぶ高温熱媒体は水蒸気(過熱蒸気)である。水蒸気式タワー型集熱器45への給水量はタワー型集熱器給水制御弁43により調整される。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0035】
本実施例においても実施例1と同様の効果を奏することができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の他の実施例を図3に示す。本実施例では、実施例2(図2)における水蒸気式タワー型太陽熱集熱装置の代わりに蓄熱式タワー型太陽熱集熱装置300を用いたものである。その他は、実施例1及び2と同様である。本実施例では、高温熱媒体蒸気発生器出口蒸気をボイラ給水ポンプ出口水で減温して高圧ドラム蒸気に合流させ、さらに主蒸気温度制御を組み合わせた2段制御としている。
【0037】
本実施例における蓄熱式タワー型太陽熱集熱装置200は、太陽熱エネルギーをヘリオスタットで回収するタワー型太陽熱集熱装置と、蓄熱槽、高温熱媒体蒸気発生器を基本構成要素としている。太陽熱エネルギーは高温熱媒体式タワー型集熱器63に集められ、その熱エネルギーを運ぶ高温熱媒体は集熱塔出口高温熱媒体配管65内を流れ、高温蓄熱槽66に一旦貯蔵される。高温蓄熱槽出口配管73内を流れる高温熱媒体は高温熱媒体蒸気発生器入口弁51を出て高温熱媒体蒸気発生器入口配管67を通過して高温熱媒体蒸気発生器52に入る。高温熱媒体蒸気発生器52へボイラ給水ポンプ28から送水された給水を太陽熱で加熱された高温熱媒体により加熱して蒸気を発生させる。高温熱媒体蒸気発生器給水制御弁50を通じて送られた水は蒸気(過熱蒸気)となって、高温熱媒体蒸気発生器出口蒸気配管55を通過して太陽熱蒸気温度減温器42に入る。高温熱媒体蒸気発生器52を出た熱媒体は熱媒体蒸気発生器出口弁56と低温蓄熱槽入口配管54を通り、低温蓄熱槽64に送られ、低温蓄熱槽64から集熱塔入口熱媒体配管69内を流れ高温熱媒体式タワー型集熱器63に送られる。その他の構成は、実施例1及び2と同様である。
【0038】
蓄熱式タワー型太陽熱集熱装置では、蓄熱槽による蒸気温度の変化抑制効果はある程度得られるが、本発明は蓄熱式タワー型太陽熱集熱装置200を用いた太陽熱複合発電装置へ適用しても良く、本実施例においても実施例1及び2と同様の効果を奏することができる。
【実施例4】
【0039】
本発明の他の実施例を図4に示す。本実施例では、太陽熱蒸気の合流を高圧ドラム発生蒸気に替えて一次過熱器出口蒸気と合流させるようにしたものである。その他は、実施例1(図1)と同様である。尚、本実施例は、図2及び図3に示す実施例にも同様に適用できる。
【0040】
トラフ型太陽熱集熱装置100からの太陽熱蒸気は、太陽熱蒸気温度減温器42で減温され、一次過熱器20の出口部(主蒸気温度減温器41より上流)に合流する。合流後の一次過熱器出口蒸気を給水ポンプ出口水でさらに減温して二次過熱器21に導入して過熱し、一定温度の主蒸気とする。一次過熱器20の出口部に合流させる太陽熱蒸気は過熱蒸気となるように、太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置40により太陽熱蒸気温度減温器42での減温が調整される。
【0041】
本実施例の2段主蒸気温度制御においても実施例1と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施例では、過熱蒸気同士を合流させているので、飽和蒸気同士を合流させる場合よりも温度制御効果が良くなる。
【符号の説明】
【0042】
1…ガスタービン圧縮機、2…ガスタービン、3…ガスタービン燃料、4…空気、5…ガスタービン排ガス、6…ガスタービン発電機、7…太陽熱蒸発器、8…太陽熱蒸気過熱器、9…ガスタービン排熱回収ボイラ(HRSG)、10…蒸気タービン、11…蒸気タービン発電機、12…復水器、13…復水ポンプ、14…復水管、15…低圧ドラム、16…低圧蒸発器、17…高圧節炭器、18…高圧ドラム、19…高圧蒸発器、20…一次過熱器、21…二次過熱器、22…主蒸気配管、23…主蒸気温度検出器、24…太陽熱蒸気減温器出口温度検出器、25…太陽熱蒸気減温器入口温度検出器、26…太陽熱蒸気温度制御弁、27…太陽熱蒸発器給水量制御弁、28…ボイラ給水ポンプ、29…高圧ドラム水位制御弁、30…主蒸気温度制御弁、31…給水ポンプ出口配管、32…太陽熱蒸発器出口蒸気管、33…太陽熱過熱器出口蒸気管、34…トラフ型太陽光集熱鏡、35…太陽熱媒体配管、36…太陽熱過熱器入口太陽熱媒体配管、37…太陽熱蒸発器入口太陽熱媒体配管、38…トラフ型太陽熱媒体循環ポンプ、39…太陽熱過熱器バイパス熱媒体制御弁、40…太陽熱蒸気減温器出口温度制御装置、41…主蒸気温度減温器、42…太陽熱蒸気温度減温器、43…タワー型集熱器給水制御弁、44…タワー型集熱器給水配管、45…水蒸気式タワー型集熱器、46…水蒸気式タワー型集熱器出口配管、50…高温熱媒体蒸気発生器給水制御弁、51…高温熱媒体蒸気発生器入口弁、52…高温熱媒体蒸気発生器、53…高温熱媒体蒸気発生器出口弁、54…低温蓄熱槽入口配管、55…高温熱媒体蒸気発生器出口蒸気配管、56…熱媒体蒸気発生器出口弁、60…太陽、61…太陽光線、62…太陽光反射光線、63…高温熱媒体式タワー型集熱器、64…低温蓄熱槽、65…集熱塔出口高温熱媒体配管、66…高温蓄熱槽、67…高温熱媒体蒸気発生器入口配管、68…ヘリオスタット(太陽光反射平面鏡)、69…集熱塔入口熱媒体配管、70…高圧ドラム出口飽和蒸気配管、71…太陽熱蒸気減温器出口配管、72…低圧節炭器、73…高温蓄熱槽出口配管、100…トラフ型太陽熱集熱装置、200…水蒸気式タワー型太陽熱集熱装置、300…蓄熱式タワー型太陽熱集熱装置、400,500,600…太陽熱及びガスタービン排熱回収ボイラ。
図1
図2
図3
図4
図5