特許第6038601号(P6038601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6038601ウェイクアップ機能を備えた解施錠制御用無線端末、システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038601
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ウェイクアップ機能を備えた解施錠制御用無線端末、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20161128BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20161128BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161128BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20161128BHJP
   B60R 25/00 20130101ALI20161128BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   H04W4/04 110
   H04W52/02 111
   H04B1/59
   B60R25/00
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-247271(P2012-247271)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-95223(P2014-95223A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信雄
(72)【発明者】
【氏名】今田 諭志
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193500(JP,A)
【文献】 特開2011−44112(JP,A)
【文献】 特開2009−218942(JP,A)
【文献】 特開2010−53632(JP,A)
【文献】 特開2012−17558(JP,A)
【文献】 特開2000−73635(JP,A)
【文献】 特開2013−162476(JP,A)
【文献】 近藤 良久、四方 博之、湯 素華、岩井 優仁、田中 利康、筒井 英夫、小花 貞夫,無線LAN信号を用いたオンデマンドウェイクアップ方式,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 2月24日,Vol.110 No.448,p123−p128
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末であって、
起動させられることにより前記解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
前記制御対象から発信される信号であって該制御対象の識別情報を含む信号を受信可能なウェイクアップ信号受信部と、
前記制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と、
当該解錠予約情報に基づいて、前記制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
前記ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された当該受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
前記ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、前記無線通信インタフェースを起動させるインタフェース制御手段と
を有することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記予約情報管理手段は、前記ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、前記無線端末と接続可能なネットワークに設置されたサーバであって前記制御対象の解錠予約情報を予め登録したサーバに対し、当該解錠予約情報を照会して、該サーバから前記制御対象の解錠予約情報を取得し更新された解錠予約情報として保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
起動させられた前記無線通信インタフェースは、前記制御対象から解錠認証情報を受信可能であり、
受信された当該解錠認証情報と、保持された当該解錠予約情報とを照合し、所定の照合条件が満たされる場合に前記解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を前記制御対象宛てに送信させる制御管理手段
を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線端末。
【請求項4】
前記ウェイクアップ信号受信部は、前記制御対象から発信される信号であって該制御対象の識別情報とともに該制御対象の分類情報を含む信号を受信可能であり、
前記予約情報管理手段は、保持した当該解錠予約情報に基づいて、受信された当該分類情報に対応する前記制御対象の識別子を予め設定し、設定された当該識別子と、起動させられた前記無線通信インタフェースによって受信された標識信号に含まれる識別子とが一致した際、又は設定された当該識別子を接続先として含む接続問い合わせ信号であって前記無線通信インタフェースから発信された接続問い合わせ信号に対応する応答信号を該無線通信インタフェースによって受信した際、前記無線通信インタフェースに対し、前記制御対象との通信を確立させる
ことを特徴とする請求項3に記載の無線端末。
【請求項5】
前記制御対象の識別情報を含む信号は、各々が所定のフレーム長を有する連続した複数のフレームであって、複数の当該フレーム長のなす順列が当該識別情報に対応している複数のフレームであり、
前記ウェイクアップ判定手段は、前記ウェイクアップ信号受信部によって受信された複数のフレームにおけるフレーム長のなす順列が、設定された当該受信すべき識別情報に対応しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項6】
前記無線端末の加速度を測定する加速度センサと、
測定された加速度の情報から前記無線端末が移動しているか否かを判定する移動判定手段と、
前記移動判定手段が真の判定を行った際、前記ウェイクアップ信号受信部を起動させるウェイクアップ制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線端末。
【請求項7】
前記制御管理手段は、受信された当該解錠認証情報と、保持された当該解錠予約情報とを照合して所定の照合条件が満たされ、且つ前記制御対象から発信された信号であって起動させられた前記無線通信インタフェースによって受信された信号の強度が所定閾値以上である際、又所定閾値以上であって且つ所定比以上に増大した際、前記解施錠部を解錠させる信号を前記制御対象宛てに送信させる
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の無線端末。
【請求項8】
前記制御管理手段は、前記制御対象の使用終了に相当する操作を検知した際、前記無線端末と接続可能なネットワークに設置されたサーバであって前記制御対象の解錠予約情報を予め登録したサーバに使用終了通知を送信し、前記サーバに当該解錠予約情報に係る前記制御対象の使用終了を登録させる
ことを特徴とする請求項3、4又は7に記載の無線端末。
【請求項9】
無線通信部を備えた制御対象と、無線通信を介して該制御対象の解施錠部を制御する無線端末とを備えた解施錠制御システムであって、
前記制御対象は、該制御対象の識別情報を含む信号を送信可能であり、
前記無線端末は、
起動することによって、前記解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする端末側無線通信インタフェースと、
前記制御対象から発信される信号であって該制御対象の識別情報を含む信号を受信可能な端末側ウェイクアップ信号受信部と、
前記制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と、
当該解錠予約情報に基づいて、前記制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
前記ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された当該受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
前記ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、前記端末側無線通信インタフェースを起動させる端末側インタフェース制御手段と
を有することを特徴とする解施錠制御システム。
【請求項10】
前記制御対象の前記無線通信部は、対象側ウェイクアップ信号受信部と対象側無線通信インタフェースとを含み、
前記無線端末は、前記端末側無線通信インタフェースが起動した際、前記対象側無線通信インタフェースを起動させる起動信号を送信させる制御管理手段を更に有しており、
前記制御対象は、前記対象側ウェイクアップ信号受信部によって当該起動信号を受信した際、前記対象側無線通信インタフェースを起動させる対象側インタフェース制御手段を更に有する
ことを特徴とする請求項9に記載の解施錠制御システム。
【請求項11】
前記制御対象は、前記解施錠部が解施錠の対象とする扉部を備えていて、該扉部が閉じられた際、該扉部が閉状態であるとの情報を含む信号を送信可能であり、
前記ウェイクアップ判定手段は、前記端末側ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、前記扉部が閉状態であるとの情報を含む信号であるか否かを判定し、
前記端末側インタフェース制御手段は、前記扉部が閉状態であるとの情報を含む信号を受信したとの判定が行われた際、前記端末側無線通信インタフェースを起動させて、前記解施錠部を施錠させる信号を送信させ、
前記解施錠部は、受信された当該施錠させる信号に基づいて前記扉部を施錠する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の解施錠制御システム。
【請求項12】
無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末における解施錠制御方法であって、
前記無線端末は、
起動させられることにより前記解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
前記制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と
を有しており、
前記解施錠制御方法は、
当該解錠予約情報に基づいて、前記制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する第1のステップと、
前記制御対象から発信される信号を受信する第2のステップと、
当該受信された信号が、設定された当該受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定する第3のステップと、
第3のステップで真の判定が行われた際、前記無線通信インタフェースを起動させる第4のステップと
を有することを特徴とする解施錠制御方法。
【請求項13】
無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末に搭載されたコンピュータを機能させる解施錠制御プログラムであって、
前記無線端末は、
起動させられることにより前記解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
前記制御対象から発信される信号であって該制御対象の識別情報を含む信号を受信可能なウェイクアップ信号受信部と、
前記制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と
を有しており、
前記解施錠制御プログラムは、
当該解錠予約情報に基づいて、前記制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
前記ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された当該受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
前記ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、前記無線通信インタフェースを起動させるインタフェース制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする無線端末用の解施錠制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を介して対象の解施錠を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のドア・トランク等の解施錠を自動で行うスマートキーが普及している。例えば、ユーザがスマートキーを携帯して車両に近づくだけで、車両のドアが解錠され、一方、ドアを閉めた後にスマートキーを携帯して車両から離れれば、自動的に施錠される。
【0003】
この際、スマートキーから暗号化された鍵情報が無線通信として発信され、車両は搭載された受信機を用いてこの鍵情報を受信し、予め保持した鍵データと照合を行う。受信された鍵情報が所定の照合条件を満たせば、スマートキーを携帯して車両に接近してきた者は正当なユーザであると認証され、ドア等が解錠されるのである。
【0004】
このようなスマートキーによる車両のドア・トランクの解錠技術として、例えば、特許文献1には、車両の送信部からRSSI確認コマンドを送信し、受信したスマートキーでは当該コマンドのRSSI値を検出して車両に返信する技術が開示されている。ここで、RSSI値を受信した車両では、このRSSI値が所定の閾値以上であればドア又はトランクを解錠する。
【0005】
また、近年、登録したユーザ間で特定の車両を共同使用するカーシェアリングについても普及が進んでいる。このカーシェアリングにおいても、車両のドアの解錠を行うために鍵認証が行われる。例えば、特許文献2には、携帯端末を、ネットワークを介して共用車両管理サーバに接続することによって予約情報を送受信する技術が開示されている。ここで、携帯端末において受信された予約証情報が、Bluetooth(登録商標)を介して車両に送信され、この予約証情報を受信した車両において照合・認証が行われて、共用車両が利用可能となる。
【0006】
さらに、特許文献3には、鍵情報を、管理センタから携帯電話網を介して受信してメモリに格納する無線通信携帯端末と、同じく鍵情報を、管理センタから携帯電話網を介して受信してメモリに格納する車両とを有する鍵認証システムが開示されている。ここで、無線通信携帯端末に格納された鍵情報は、Bluetooth(登録商標)を介して車両に送信され、この鍵情報を受信した車両は、この鍵情報と格納された鍵情報とを照合し、認証処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−17558号公報
【特許文献2】特開2009−218942号公報
【特許文献3】特開2012−43167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような認証処理を行うスマートキーを、車両との間で無線通信が可能となる車両外の作動エリア内に放置すると、このスマートキーが起動状態となって、車両との間で定期的に無線通信を行ってしまう。その結果、不要な電力が消費される、といった問題が生じる。
【0009】
実際、スマートキーを、車両が駐車しているガレージの近くに置いて保管した結果、このスマートキーが予定よりも相当に早く電池切れ状態になってしまった、との報告もなされている。また、このような事態を受けて、販売するスマートキーのマニュアルに、車両付近に長時間スマートキーを置かないように、との注意書きを行っている例も存在する。さりとて、この対策として、スマートキーの無線通信機能をOFFにしてしまうと、車両に近づくだけで自動的に解錠又は解錠スタンバイが可能となる、というスマートキー本来の利点が損なわれてしまう。
【0010】
一方、カーシェアリング等、予約を行って所定の場所に駐車している車両を利用するような状況は、今後ますます増加することが予想される。この場合、スマートキーが、多数の車両外の作動エリアを経験したり、その中で長時間滞在したりといった状況も十分に考えられる。
【0011】
しかしながら、上述したような従来技術は、いずれも認証のために、無線通信機能が起動していることを前提としており、上記の不要な電力が消費される状況に対処することは何ら想定されていない。因みに、このような消費電力の増大は、車両とスマートキーとの認証システムだけではなく、無線通信を介して種々のタイプの解施錠部の制御を行う無線端末において、重大な問題となる。
【0012】
そこで、本発明は、予約情報を認証した上での解施錠の制御を、低消費電力で実現可能な無線端末、制御システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末であって、
起動させられることにより解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
制御対象から発信される信号であって制御対象の識別情報を含む信号を受信可能なウェイクアップ信号受信部と、
制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と、
解錠予約情報に基づいて、制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、無線通信インタフェースを起動させるインタフェース制御手段と
を有する無線端末が提供される。
【0014】
この本発明による無線端末の一実施形態として、予約情報管理手段は、ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、無線端末と接続可能なネットワークに設置されたサーバであって制御対象の解錠予約情報を予め登録したサーバに対し、解錠予約情報を照会して、このサーバから制御対象の解錠予約情報を取得し更新された解錠予約情報として保持することも好ましい。
【0015】
また、本発明による無線端末によれば、起動させられた無線通信インタフェースは、制御対象から解錠認証情報を受信可能であり、
受信された解錠認証情報と、保持された解錠予約情報とを照合し、所定の照合条件が満たされる場合に解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を制御対象宛てに送信させる制御管理手段を更に有することも好ましい。
【0016】
さらに、本発明による無線端末の他の実施形態として、ウェイクアップ信号受信部は、制御対象から発信される信号であって制御対象の識別情報とともに制御対象の分類情報を含む信号を受信可能であり、
予約情報管理手段は、保持した解錠予約情報に基づいて、受信された分類情報に対応する制御対象の識別子を予め設定し、設定された識別子と、起動させられた無線通信インタフェースによって受信された標識信号に含まれる識別子とが一致した際、又は設定された識別子を接続先として含む接続問い合わせ信号であって無線通信インタフェースから発信された接続問い合わせ信号に対応する応答信号を無線通信インタフェースによって受信した際、無線通信インタフェースに対し、制御対象との通信を確立させることも好ましい。
【0017】
また、制御対象の識別情報を含む信号に係る一実施形態として、当該信号は、各々が所定のフレーム長を有する連続した複数のフレームであって、複数の当該フレーム長のなす順列が識別情報に対応している複数のフレームであり、
ウェイクアップ判定手段は、ウェイクアップ信号受信部によって受信された複数のフレームにおけるフレーム長のなす順列が、設定された受信すべき識別情報に対応しているか否かを判定することも好ましい。
【0018】
さらに、本発明による無線端末の他の実施形態として、無線端末の加速度を測定する加速度センサと、
測定された加速度の情報から無線端末が移動しているか否かを判定する移動判定手段と、
移動判定手段が真の判定を行った際、ウェイクアップ信号受信部を起動させるウェイクアップ制御手段と
を更に有することも好ましい。
【0019】
また、本発明による無線端末の他の実施形態として、制御管理手段は、受信された解錠認証情報と、保持された解錠予約情報とを照合して所定の照合条件が満たされ、且つ制御対象から発信された信号であって起動させられた無線通信インタフェースによって受信された信号の強度が所定閾値以上である際、又所定閾値以上であって且つ所定比以上に増大した際、解施錠部を解錠させる信号を制御対象宛てに送信させることも好ましい。
【0020】
さらに、予約情報を管理するサーバに係る一実施形態として、制御管理手段は、制御対象の使用終了に相当する操作を検知した際、無線端末と接続可能なネットワークに設置されたサーバであって制御対象の解錠予約情報を予め登録したサーバに使用終了通知を送信し、サーバに解錠予約情報に係る制御対象の使用終了を登録させることも好ましい。
【0021】
本発明によれば、また、無線通信部を備えた制御対象と、無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末とを備えた解施錠制御システムであって、
制御対象は、制御対象の識別情報を含む信号を送信可能であり、
無線端末は、
起動することによって、解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする端末側無線通信インタフェースと、
制御対象から発信される信号であってこの制御対象の識別情報を含む信号を受信可能な端末側ウェイクアップ信号受信部と、
制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と、
解錠予約情報に基づいて、制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、端末側無線通信インタフェースを起動させる端末側インタフェース制御手段と
を有する解施錠制御システムが提供される。
【0022】
この本発明による解施錠制御システムの一実施形態として、制御対象の無線通信部は、対象側ウェイクアップ信号受信部と対象側無線通信インタフェースとを含み、
無線端末は、端末側無線通信インタフェースが起動した際、対象側無線通信インタフェースを起動させる起動信号を送信させる制御管理手段を更に有しており、
制御対象は、対象側ウェイクアップ信号受信部によって起動信号を受信した際、対象側無線通信インタフェースを起動させる対象側インタフェース制御手段を更に有することも好ましい。
【0023】
また、本発明による解施錠制御システムの他の実施形態として、制御対象は、解施錠部が解施錠の対象とする扉部を備えていて、この扉部が閉じられた際、扉部が閉状態であるとの情報を含む信号を送信可能であり、
ウェイクアップ判定手段は、端末側ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、扉部が閉状態であるとの情報を含む信号であるか否かを判定し、
端末側インタフェース制御手段は、扉部が閉状態であるとの情報を含む信号を受信したとの判定が行われた際、端末側無線通信インタフェースを起動させて、解施錠部を施錠させる信号を送信させ、
解施錠部は、受信された施錠させる信号に基づいて扉部を施錠することも好ましい。
【0024】
本発明によれば、さらに、無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末における解施錠制御方法であって、
上記無線端末は、
起動させられることにより解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と
を有しており、
上記解施錠制御方法は、
解錠予約情報に基づいて、制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する第1のステップと、
制御対象から発信される信号を受信する第2のステップと、
受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定する第3のステップと、
第3のステップで真の判定が行われた際、無線通信インタフェースを起動させる第4のステップと
を有することを特徴とする解施錠制御方法が提供される。
【0025】
本発明によれば、さらにまた、無線通信を介して制御対象の解施錠部を制御する無線端末に搭載されたコンピュータを機能させる解施錠制御プログラムであって、
上記無線端末は、
起動させられることにより解施錠部を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能とする無線通信インタフェースと、
制御対象から発信される信号であってこの制御対象の識別情報を含む信号を受信可能なウェイクアップ信号受信部と、
制御対象の解錠予約情報を保持する予約情報管理手段と
を有しており、
上記解施錠制御プログラムは、
解錠予約情報に基づいて、制御対象から受信すべき識別情報を予め設定する識別情報設定手段と、
ウェイクアップ信号受信部によって受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定するウェイクアップ判定手段と、
ウェイクアップ判定手段が真の判定を行った際、無線通信インタフェースを起動させるインタフェース制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする解施錠制御プログラムが提供される。
【0026】
本発明の無線端末、解施錠制御システム、解施錠制御方法及び解施錠制御プログラムによれば、予約情報を認証した上での解施錠の制御が、低消費電力で実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による無線端末の利用形態を説明するための概略図である。
図2】本発明による解施錠制御システムを構成するスマートキー端末(無線端末)及び車両(制御対象)の一実施形態を示す機能構成図である。
図3】車両(制御対象)から発信される識別信号の一実施形態を示す概略図である。
図4】本発明による解施錠部制御方法のうち解錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
図5】本発明による解施錠部制御方法のうち解錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
図6】本発明による解施錠部制御方法のうち施錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
図7】本発明による解施錠部制御方法のうち施錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による無線端末は、無線通信を介して制御対象の「解施錠部」を制御する。この制御対象には、カーシェア対象の車両(自動車)、自家用車、及びその他の移動手段や、出入口に解施錠可能なドアを備えた部屋及び建物や、さらには、解施錠可能な扉を備えた家電製品及びその他の装置等、種々の物品・構造物が適用可能である。また、「解施錠部」の解施錠対象としては、ドア、トランク、扉、シャッター、蓋部、ハッチ、連結(コネクタ)部等、種々の形態のものが採用可能である。
【0029】
以下、図面を用いて詳細に説明する本発明の実施形態においては、制御対象をカーシェア対象の車両とし、「解施錠部」の解施錠対象をこの車両のドアとする。
【0030】
図1は、本発明による無線端末の利用形態を説明するための概略図である。
【0031】
図1(A)によれば、最初に、ユーザは、カーシェアリングの対象である車両(制御対象)2の使用を、予め登録する。この登録は、無線端末であるスマートキー端末1を使用し、ネットワークを介して予約情報管理サーバ3に対して行うことができる。ここで、予約情報管理サーバ3は、このユーザの「予約情報」(解錠予約情報)を格納する。
【0032】
次いで、ユーザは、スマートキー端末1を携帯しつつ、車両2を使用するため、車両2に接近する。ここで、スマートキー端末1は、
(a)車両2の「解施錠部」200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信可能な「無線通信インタフェース」と、
(b)車両2から発信される信号であって車両2の「識別情報」を含む信号を受信可能な「ウェイクアップ信号受信部」と
を有している。ここで、(a)の「無線通信インタフェース」は、「解施錠部」200を制御する前の段階では停止状態にある。
【0033】
また、(b)の「ウェイクアップ信号受信部」も、本実施形態では、「解施錠部」200を制御する前の段階で停止状態にある。この場合、スマートキー端末1は、
(c)スマートキー端末1の加速度を測定する「加速度センサ」
を備えていて、測定された加速度の情報からスマートキー端末1が移動しているか否かを判定し、移動しているとの判定を行った際に、「ウェイクアップ信号受信部」を起動させる。
【0034】
図1(A)に示された利用形態では、ユーザは、車両2に接近しているので、(c)の「加速度センサ」からの加速度の情報から、スマートキー端末1が移動しているとの判定が行われる。その結果、「ウェイクアップ信号受信部」が起動する。
【0035】
一方、車両2は、車両2の「識別情報」を含む識別信号を、定期的に(例えば数十〜数百ms(ミリ秒)毎に)発信する。この識別信号の発信強度は、非常に低く設定されており、その結果、この識別信号の受信可能エリアであるウェイクアップエリアは、例えば車両2から数m〜数十mの範囲となっている。ここで、このウェイクアップエリア内に進入してきた「ウェイクアップ信号受信部」(スマートキー端末1)は、起動させられた後、この「識別情報」を含む識別信号を受信する。
【0036】
スマートキー端末1は、さらに、
(d)車両2を使用するための「予約情報」(解錠予約情報)を保持して、この保持された「予約情報」に基づいて、車両2から「受信すべき識別情報」を設定し、
(e)「ウェイクアップ信号受信部」によって受信された信号が、設定された「受信すべき識別情報」を含む信号であるか否かを判定する。
【0037】
ここで、上記(e)の判定で、「受信すべき識別情報」を含む信号であるとの判定が行われた際、「無線通信インタフェース」を起動させるのである。図1(A)では、「ウェイクアップ信号受信部」が、ユーザの予約対象である車両2からの「識別情報」を含む識別信号を受信するので、「無線通信インタフェース」が起動される。
【0038】
また、車両2は、さらに、スマートキー端末1の「無線通信インタフェース」と通信を確立することができる「対象側無線通信部」を備えている。この「対象側無線通信部」は、所定時間間隔で所定強度の標識信号(ビーコン)を発信し、この標識信号を受信して通信接続が可能となる車外作動エリアを形成する。尚、上述した車両2の「識別情報」を含む識別信号は、この「対象側無線通信部」から発信されてもよく、別に設置された無線通信部によって発信されてもよい。
【0039】
ここで、この車外作動エリア内に進入してきた「無線通信インタフェース」(スマートキー端末1)は、起動させられた後、車両2の「対象側無線通信部」との間で通信を確立する。
【0040】
次いで、このように通信の確立したスマートキー端末1の「無線通信インタフェース」は、車両2から「認証情報」(解錠認証情報)を受信する。ここで、スマートキー端末1は、
(f)受信された「認証情報」と、保持された「予約情報」とを照合し、所定の照合条件を満たす場合に、「解施錠部」200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる解錠(待機)信号を、「無線通信インタフェース」を介して車両2(「対象側無線通信部」)に送信する。
【0041】
車両2は、この解錠(待機)信号を受信した際、「解施錠部」200を駆動させて、ドア(扉部)20の解錠、又は解錠待機を実施する。
【0042】
以上説明したように、スマートキー端末1の「無線通信インタフェース」は、当初停止した状態であって、車両2から送信された「識別情報」と保持された「予約情報」とが適合する場合にのみ起動させられて、「解施錠部」200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を送信する。即ち、解錠することが予約されていた「解施錠部」200を認証した場合にのみ、起動させられるので、結果として、解錠に結びつかない不要な電力の消費を抑制することができる。
【0043】
さらに、「ウェイクアップ信号受信部」も当初停止している実施形態においては、「ウェイクアップ信号受信部」は、スマートキー端末1が移動していると判定された場合にのみ、起動させられる。実際、車両2におけるドア20の「解施錠部」200を解錠しようとする場合、ユーザは、スマートキー端末1を携帯しつつ、この車両2に接近する移動を行う。この移動を検知して、ユーザが解錠を意図していると想定される場合にのみ、「ウェイクアップ信号受信部」を起動させることによって、解錠に結びつかない不要な電力の消費をさらに抑制することができる。
【0044】
因みに、1つの例であるが、従来のスマートキーに搭載された無線通信部の消費電力が20μW(マイクロワット)程度であるのに対し、ウェイクアップ信号受信部の消費電力は、その約半分から6割程度となる。従って、「無線通信インタフェース」だけでなく「ウェイクアップ信号受信部」も必要に応じて起動させることによる節電効果は、十分に大きいことが理解される。尚、加速度センサの消費電力は、例えば1μW程度であり、無線通信部と比較して通常一桁又はそれ以上小さい。
【0045】
このように、本発明のスマートキー端末1によれば、「予約情報」を認証した上での解施錠の制御が、低消費電力で実現可能となるのである。
【0046】
尚、上記(e)の判定で、「受信すべき識別情報」を含む信号であるとの判定が行われ、「無線通信インタフェース」が起動した際、スマートキー端末1は、この「無線通信インタフェース」又は内蔵する他の無線通信部を用いて、スマートキー端末1と接続可能なネットワークに設置された予約情報管理サーバ3に対し、「予約情報」を照会して、予約情報管理サーバ3から車両2を使用するための「予約情報」を取得して更新することも好ましい。
【0047】
このように、スマートキー端末1では、ユーザが車両2に接近している間に、予め保持された又は(サーバ3とのやり取りで)更新された「予約情報」と、受信した「認証情報」とを照合して認証処理を済ませることができる。その結果、例えば、従来のようにユーザがカーシェア対象の車両に会員カードをかざして認証完了まで待つといった不便が生じず、速やかに車両2を使用することが可能となる。
【0048】
因みに、スマートキー端末1の「無線通信インタフェース」と、車両2の「対象側無線通信部」とは、例えば、Wi−Fi(Wireless Fidelity)のような無線LAN又はBluetooth(登録商標)等のローカルネットワークを形成してもよい。
【0049】
また、スマートキー端末1(の「無線通信インタフェース」又は内蔵する他の無線通信部)と、予約情報管理サーバ3とは、LTE(Long Term Evolution)、3G(3rd Generation)等の携帯電話網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、又はWi−Fiのような無線LAN等と、インターネットとを介して接続されることができる。
【0050】
さらに、図1(B)によれば、ユーザは、解施錠部200を解錠した後、車両2のドア20を開けて、車両2の運転席に着いている。車両2の車内では、イモビライザの通信部が定期的に標識信号(ビーコン)を発信し、イモビライザの車内作動エリアが形成されている。ここで、スマートキー端末1(の「無線通信インタフェース」)は、車両2の車内に入ることによって、イモビライザの通信部と通信を確立し、認証処理を行った上で、エンジンを始動(待機)状態にするためのIDをイモビライザに送信する。
【0051】
エンジン始動(待機)のためのIDを受信したイモビライザは、エンジンECU(Engine Control Unit)との間で、このIDの照合を行う。エンジンECUは、所定の照合結果が得られれば、エンジンを始動(待機)状態にする。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態によれば、ユーザがスマートキー端末1を携帯して車両2に接近し車両に乗り込むだけで、「予約情報」の照合、ドア20の解錠(待機)化、及びエンジンの始動(待機)化までを、不要な電力消費を抑制しつつ、速やかに且つ自動で実施することができる。
【0053】
図2は、本発明による解施錠制御システムを構成するスマートキー端末1(無線端末)及び車両2(制御対象)の一実施形態を示す機能構成図である。
【0054】
図2によれば、解施錠制御システムは、解施錠部200を備えた車両2と、無線通信を介して車両2の解施錠部200を制御するスマートキー端末1とを備えている。また、スマートキー端末1と接続可能なネットワークに設置された予約情報管理サーバ3が設けられていることも好ましい。
【0055】
[スマートキー端末1]
スマートキー端末1は、ウェイクアップ信号通信部100と、無線通信インタフェース101と、操作部103と、プロセッサ・メモリとを備えている。また、加速度センサ102を備えていることも好ましい。ここで、プロセッサ・メモリは、スマートキー端末1に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、その機能を実現させる。
【0056】
さらに、プロセッサ・メモリは、機能構成部として、予約情報管理部112と、識別情報設定部113と、ウェイクアップ判定部114と、インタフェース制御部115と、制御管理部116とを有する。また、加速度センサ102の設置に合わせて、移動判定部110と、ウェイクアップ制御部111とを有することも好ましい。
【0057】
ウェイクアップ信号通信部100は、車両2から発信される信号であって車両2の識別情報を含む識別信号を受信する。また、後に説明するように、車両2の無線通信インタフェース202を起動させるためのウェイクアップ信号を送信してもよい。
【0058】
無線通信インタフェース101は、(インタフェース起動部115によって)起動させられることにより、車両2の解施錠部200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる解錠(待機)信号を送信可能とする。また、車両2の無線通信インタフェース202との間で通信接続・認証が完了した後、無線通信インタフェース202から、認証情報を受信することも好ましい。
【0059】
加速度センサ102は、加速度測定部であり、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて形成された、例えば静電容量方式又はピエゾ抵抗方式による、3軸タイプの加速度計測計とすることができる。尚、後に説明するように、加速度センサ102として、重力加速度を計測し、スマートキー端末1を携帯したユーザの歩数をカウントすることが可能な加速度センサを用いることも好ましい。
【0060】
操作部103は、例えば押下ボタン、又はタッチパネル・ディスプレイ等の入力インタフェースであり、例えば、ユーザは、操作部103から車両2の使用(解錠)についての予約を入力することができる。この場合、入力された予約内容は、制御管理部116及び無線通信インタフェース101を介し、予約情報として予約情報管理サーバ3に登録される。
【0061】
操作部103は、また、後に説明するように、車両2のドア20を解錠させる要求であるドア解錠要求を送信させるために押下される(又はタッチ操作される)ドア解錠ボタン(アイコン)を含むことも好ましい。さらに、ドア20を施錠させる要求であるドア施錠要求を送信させるために押下される(又はタッチ操作される)ドア施錠ボタン(アイコン)を含むことも好ましい。また、ウェイクアップ終了通知を車両2に送信するために押下される(又はタッチ操作される)ウェイクアップ終了ボタン(アイコン)を含むことも好ましい。さらに、使用終了通知を予約情報管理サーバ3に送信させるために押下される(又はタッチ操作される)使用終了ボタン(アイコン)を含むことも好ましい。
【0062】
移動判定部110は、加速度センサ102において測定された加速度の情報からスマートキー端末1が移動しているか否かを判定する。移動判定方法として、例えば、加速度センサ102から所定時間内に出力された加速度値の大きさの標準偏差が所定の閾値V以上である際、スマートキー端末1が移動状態であると判定することも好ましい。具体的に、出力される加速度値を3軸加速度ベクトルa=(a,a,a)とすると、その大きさ|a|は、
(1) |a|=(a+a+a0.5
となる。所定時間T内に検出されたk個のサンプルである加速度値をa(i=1,2,・・・,k)とし、aの大きさの平均値をav|a|とすると、次式
(2) (Σ(|a|−av|a|)/k)0.5≧V
の条件が成立する際、移動判定部110は、移動状態であると判定することができる。ここで、Σは、iについての総和(Summation)である。
【0063】
また、他の移動判定方法として、重力加速度を計測し、スマートキー端末1を携帯したユーザの歩数をカウントすることが可能な加速度センサ102を用いることも好ましい。この場合、移動判定部110は、所定数以上の歩数がカウントされた場合、ユーザ(スマートキー端末1)は移動状態である、との判定を行うことができる。
【0064】
ウェイクアップ制御部111は、移動判定部110から判定結果を入力し、入力した判定結果が真の判定(移動状態であるとの判定)である際、ウェイクアップ信号通信部100を起動させる。具体的には、ウェイクアップ信号通信部100の電力供給部をONにする。
【0065】
予約情報管理部112は、車両2の予約情報を保持・管理する。この保持された予約情報は、例えば、予約情報管理部112が予約情報管理サーバ3に予約情報を照会し、その結果、予約情報管理サーバ3から返信された応答を記録したものであってもよいし、当該応答によって更新されたものであってもよく、又は、操作部103から入力された予約内容から作成されたものであってもよい。
【0066】
また、予約情報管理部112は、ウェイクアップ判定部114が真の判定(受信すべき識別情報を含む信号を受信したとの判定)を行った際、車両2を使用するための予約情報を予め登録した予約情報管理サーバ3に対し、予約情報を照会して、予約情報管理サーバ3から車両2の予約情報を取得して更新することも好ましい。
【0067】
さらに、後に説明するように、ウェイクアップ信号通信部100がウェイクアップ信号として、車両2の識別情報と共に車両2の分類情報を含む信号を受信した際、予約情報管理部112は、保持した予約情報に基づいて、受信された分類情報に対応する車両2の識別子(例えばSSID)を予め設定し、
(a)設定された識別子と、起動させられた無線通信インタフェース101によって受信された標識信号(ビーコン)に含まれる識別子とが一致した際、又は
(b)設定された識別子を接続先として含む接続問い合わせ信号(例えばプローブ要求)であって無線通信インタフェース101から発信された接続問い合わせ信号に対応する応答信号(例えばプローブ応答)を無線通信インタフェース101によって受信した際、
予約情報管理部112は、無線通信インタフェース101に対し、車両2との通信を確立させる。
【0068】
識別情報設定部113は、この保持された予約情報に基づいて、車両2から受信すべき識別情報を設定する。設定された受信すべき識別情報は、ウェイクアップ判定部114に出力され、ウェイクアップ判定に使用される。
【0069】
ウェイクアップ判定部114は、ウェイクアップ信号通信部100によって受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含む信号であるか否かを判定する。また、この判定結果をインタフェース制御部115に出力する。さらに、この判定結果を予約情報管理部112に出力することも好ましい。
【0070】
インタフェース制御部115は、ウェイクアップ判定部114から入力した判定が真の判定(受信すべき識別情報を含む信号を受信したとの判定)である際、無線通信インタフェース101を起動させる。具体的には、無線通信インタフェース101の電力供給部をONにする。また、後に説明するように、ウェイクアップ判定部114が、車両2のドア20が閉状態であるとの情報を含む信号を受信したとの判定を行った際、インタフェース制御部115は、無線通信インタフェース101を起動させて、解施錠部200を施錠させる信号を送信させることも好ましい。
【0071】
制御管理部116は、無線通信インタフェース101による通信を制御する通信制御部と、予約情報管理部112が管理する予約情報を用いて照合・認証処理を行う予約情報照合部と、車両2のドア20の解施錠の指示及び解施錠の状態把握を行う解施錠管理部とを含むことができる。
【0072】
制御管理部116は、特に、車両2から受信された認証情報(解錠認証情報)と、予約情報管理部112に保持された又は更新された予約情報(解錠予約情報)とを照合し、所定の照合条件を満たす場合に、解施錠部200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる信号を車両2に送信するように無線通信インタフェース101に指示する。
【0073】
さらに、制御管理部116は、車両2の使用終了に相当する操作が操作部103で実行されたことを検知した際、予約情報管理サーバ3に使用終了通知を送信し、予約情報管理サーバ3に予約情報に係る車両2の使用終了情報を登録させることも好ましい。
【0074】
[車両2]
車両2は、ドア(扉部)20と、解施錠部200と、無線通信インタフェース202と、プロセッサ・メモリとを備えている。また、他の実施形態として、無線通信インタフェース202を起動させるためのウェイクアップ信号通信部201を備えていてもよい。ここで、プロセッサ・メモリは、車両2に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、その機能を実現させる。
【0075】
さらに、プロセッサ・メモリは、機能構成部として、車両・認証情報管理部210と、制御管理部211とを有する。また、ウェイクアップ信号通信部201の設置に合わせて、インタフェース制御部212を有することも好ましい。
【0076】
解施錠部200は、制御管理部211から解錠指示の信号を入力した際、ドア20を解錠し、施錠指示の信号を入力した際、ドア20を施錠する。また、解施錠部200は、制御管理部211から解錠待機(スタンバイ)指示の信号を入力した際、ユーザによって(ドアボタンを押す、又はドアノブに触れる等の)所定の操作が行われるとドア20が解錠されるように待機・モニタする状態である解錠待機(スタンバイ)状態をとることも好ましい。
【0077】
無線通信インタフェース202は、スマートキー端末1の無線通信インタフェース101との間で通信を確立することができる。また、車両・認証情報管理部210から車両2の識別情報を入力して、この識別情報を含む識別信号を定期的に発信することも好ましい。ここで、この識別信号は、別に設置されたウェイクアップ信号通信部201から発信されることも好ましい。無線通信インタフェース202は、さらに、車両・認証情報管理部210から予約に対する認証情報を入力して、この認証情報をスマートキー端末1に向けて送信する。
【0078】
車両・認証情報管理部210は、車両2の識別情報、分類情報、認証情報(解錠認証情報)等を保持・管理する。これらの情報は、予め車両2に設置された操作部を介して車両・認証情報管理部210に入力されてもよく、又は、車両2が予約情報管理サーバ3と通信可能な無線通信部を備えていて、予約情報管理サーバ3から当該無線通信部を介して取得されてもよい。
【0079】
制御管理部211は、無線通信インタフェース202が解施錠部200を解錠させる又は解錠待機状態にさせる解錠(待機)信号を受信した際、解施錠部200に、解錠(待機)指示の信号を出力する。また、解施錠部200からドア20が閉状態であるとの通知を入力した際、車両2のドア20が閉状態であるとの情報を含む信号を送信するように無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)に指示することも好ましい。
【0080】
ウェイクアップ信号通信部201は、後に説明するように、スマートキー端末1のウェイクアップ信号通信部100から、無線通信インタフェース202を起動させるためのウェイクアップ信号を受信した際、インタフェース制御部212に対し、無線通信インタフェース202を起動させるように指示する。インタフェース制御部212は、起動指示を入力した際、無線通信インタフェース202を起動させる。具体的には、無線通信インタフェース202の電力供給部をONにする。
【0081】
[予約情報管理サーバ3]
予約情報管理サーバ3は、スマートキー端末1の無線通信インタフェース101と接続可能なアクセスネットワークに接続されたインターネット4に設置されたサーバである。予約情報管理サーバ3は、無線通信インタフェース101から、車両2の使用(解錠)についての予約内容を受信し、予約情報として記録・登録する。
【0082】
また、予約情報管理サーバ3は、スマートキー端末1(無線通信インタフェース101)から予約情報の照会要求を受信すると、登録された対応する予約情報を、照会結果としてスマートキー端末1(無線通信インタフェース101)に送信する。尚、予約情報管理サーバ3と通信するインタフェースは、無線通信インタフェース101に限定されるものではない。予約情報管理サーバ3は、スマートキー端末1が有する他の無線通信部を介して通信してもよい。例えば、無線通信インタフェース101と車両2の無線通信インタフェース202との間の通信は、Wi−Fi又はBluetooth(登録商標)であって、一方、スマートキー端末1と予約情報管理サーバ3との通信は、携帯電話網によってもよい。
【0083】
図3は、車両2から発信される識別信号の一実施形態を示す概略図である。
【0084】
図3(A)によれば、車両2の無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)(図2)から発信される識別信号は、
(a)所定のn個(n≧1)の第1〜第nフレームと、
(b)第nフレームの後に連なる第(n+1)フレームと
の、計(n+1)個の一連のフレームから構成されている。因みにnは自然数であり、例えば10〜20の間の値とすることができる。また、各フレームのフレーム長は、例えば数十〜数百μs(マイクロ秒)とすることができる。
【0085】
ここで、(a)第1〜第nフレームはそれぞれ、フレーム長L1,L2,・・・,Lを有しており、これら一連のフレームでフレーム長の順列L1,L2,・・・,Lをなす。車両2の車両・認証情報管理部210(図2)は、このフレーム長の順列L1、L2、・・・、Lを車両2の識別情報を表すように設定しており、その結果、第1〜第nフレームは、車両2の識別情報を含む信号となっている。尚、この識別信号は、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LAN、又はBluetooth(登録商標)等における信号であってもよく、または、独自の信号方式における信号であってもよい。
【0086】
一方、スマートキー端末1のウェイクアップ判定部114(図2)は、識別情報設定部113から、受信すべき識別情報として、所定の数の順列nL1,nL2,・・・,nLを判定基準として入力している。ここで、ウェイクアップ判定部114は、受信された連続するフレームのフレーム長を測定し、最初のフレームのフレーム長Lから順次、フレーム長LがnLと一致するか否か、即ち、
(3) L=nL (i=1,2,・・・,n)
の条件が満たされるか否かを判定する。
【0087】
1つのフレームについて条件(3)が満たれた際、次のフレームのフレーム長について同様に条件(3)の判定を行う。一方、条件(3)が満たされない場合、再び最初に戻って、次いで受信されたフレームを最初のフレームとして、フレーム長L(i=1,2,・・・,n)がnLと一致するか否かを順次判定する。
【0088】
ここで、最初のフレームを第1のフレームとして、この第1のフレームから第nのフレームまでの間、フレーム長Lが期待されるフレーム長nLであれば、ウェイクアップ判定部114は、受信された信号が、設定された受信すべき識別情報を含むウェイクアップ信号であるとの判定を行う。その結果、無線通信インタフェース101(図2)が起動される。
【0089】
さらに、上記(b)の第(n+1)フレームは、フレーム長Ln+1を有し、このフレーム長Ln+1が車両2の分類情報となっている。例えば、車両・認証情報管理部210は、
(a)車両2がカーシェア会社Aに属するならば、フレーム長Ln+1=aと設定し、
(b)車両2がカーシェア会社Bに属するならば、フレーム長Ln+1=b(>a)と設定し、
(c)車両2が個人Cの所有ならばフレーム長Ln+1をc(>b)と設定する。
【0090】
スマートキー端末1のウェイクアップ判定部114は、第1〜第nのフレームのフレーム長を測定した結果、受信すべき識別信号を受信したと判定した際、次いで受信されたフレームを第(n+1)フレームとして予約情報管理部112(図2)に出力する。
【0091】
ここで、予約情報管理部112に保持された予約情報には、(n+1)フレームのフレーム長Ln+1と、使用予約対象である車両の分類情報(例えば上記(a)〜(c)のような車両2の帰属する会社・所有者種別)とが対応付けられた分類テーブルが含まれている。さらに、使用予約先であるカーシェア会社に帰属する車両の無線通信部(例えば車両2の無線通信インタフェース202)に設定された識別子も記録されている。
【0092】
予約情報管理部112は、次いで、このような予約情報に基づいて、使用予約対象である車両2の分類情報(例えば会社Aに帰属)に対応する車両2の識別子を予め設定する。例えば、スマートキー端末1の無線通信インタフェース101と車両2の無線通信インタフェース202との間の通信が、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LANによる場合において、第(n+1)フレームのフレーム長Ln+1がaであるとする。この場合、フレーム長Ln+1=aであることから車両2の帰属するのは会社Aであると判断される。さらに、予約情報に記録されているSSID(Service Set IDentifier))であってこの会社Aに帰属する車両2の無線通信インタフェース202に設定されているSSIDがcarsharingaであるとすると、接続すべき先のSSIDは、このcarsharingaに設定される。
【0093】
予約情報管理部112は、次いで、同じく図3(A)に示すように、
(a)設定された識別子(SSID)を、車両2が発信元である標識信号(ビーコン)に含まれるべき識別子として、この識別子と、起動させられた無線通信インタフェース101によって受信された標識信号に含まれる識別子とが一致した際、
無線通信インタフェース101に対して車両2(の無線通信インタフェース202)との通信を確立するように指示する。または、他の形態として、図3(B)に示すように、
(b)設定された識別子を接続先として含む接続問い合わせ信号(例えばプローブ要求)であって無線通信インタフェース101から発信された接続問い合わせ信号に対応する応答信号(プローブ応答)を無線通信インタフェース101によって受信した際、
無線通信インタフェース101に対し、車両2(の無線通信インタフェース202)との通信を確立させることもできる。
【0094】
以上、説明したように、車両2から発信される識別信号は、使用予約対象である車両2の識別情報を含んでいるので、この信号を処理・判定するだけで、無線通信インタフェース101を起動させる前に、車両2が使用予約対象であるか否かを判断できる。これにより、無線通信インタフェース101による結果的に不要な電力消費を抑制可能となる。
【0095】
また、車両2から発信される識別信号が分類情報をも含んでいる場合、この取得した分類情報から、無線通信インタフェース101が接続(通信確立)すべき車両2の無線通信インタフェース202の識別子が予め設定可能となるので、起動させられた無線通信インタフェース101を、より確実に所望の制御対象(車両2)と接続させることができる。
【0096】
尚、車両2から発信される識別信号は、上述した形態に限定されるものではない。例えば、最初に、フレーム長Lのフレームが受信されるのを待つL待ち状態をとり、次いで、受信した信号の中でフレームLの信号を検知した際、フレームLの信号が受信されるのを待つL待ち状態をとることも好ましい。言い換えると、フレーム長の順列L1,L2,・・・,Lにおける1つのフレーム長のフレームを受信した際、この順列におけるその次にあるフレーム長のフレームの受信を待つ処理を、順列の最初のフレーム長L1から順次実施することも好ましい。この場合、この順列における最後のフレーム長Lを待った上で、この最後のフレーム長Lの信号を受信した場合に、受信された一連のフレーム信号がウェイクアップ信号である、と判定する。
【0097】
いずれにしても、フレーム長に係る信号処理だけを実施すれば、識別情報を含むウェイクアップ信号の判定が可能となるので、その結果、ウェイクアップ時の消費電力も大幅に抑制可能となる。
【0098】
図4及び図5は、本発明による解施錠部制御方法のうち解錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
【0099】
ここで、最初に、スマートキー端末1は、使用されずにある位置に留まって静止しており、スマートキー端末1のウェイクアップ信号通信部100及び無線通信インタフェース101は、停止状態にある。次いで、ユーザは、スマートキー端末1を保持し携帯して、予め使用(解錠)することを予約した車両2に接近する。この際、予約情報管理サーバ3には、この車両2の予約情報が登録されている。
【0100】
(S400)最初、図4に示すように、スマートキー端末1の移動判定部110は、加速度センサ102からの加速度測定値に基づいて、スマートキー端末1(ユーザ)が移動状態にあるとの判定を行う。
(S401)ウェイクアップ信号通信部100は、(ウェイクアップ制御部111から)ウェイクアップON信号を受けて起動させられる。
【0101】
(S402)車両2の無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)は、識別信号を定期的に発信する。
(S403)ウェイクアップ信号通信部110が、受信すべき識別情報を含む信号を受信した際、当該信号を受信したとの判定結果がインタフェース制御部115に通知される。
(S404)無線通信インタフェース101は、インタフェース制御部115から無線通信ON信号を受けて起動させられる。
【0102】
ここで、以下の変更態様(ステップS405〜S408)を実施することも好ましい。この変更態様では、当初、車両2の無線通信インタフェース202は停止している。
(S405)制御管理部116は、受信すべき識別情報を含む信号を受信したとの判定結果を入力した際、ウェイクアップ信号通信部100に対し、車両2の無線通信インタフェース202を起動させる信号を送信するように指示する。
(S406)ウェイクアップ信号通信部100は、識別信号受信に対するACK(肯定応答)としてのウェイクアップ信号を発信する。
【0103】
(S407)車両2のウェイクアップ信号通信部201は、ウェイクアップ信号通信部100からのウェイクアップ信号を受信し、受信通知をインタフェース制御部212に出力する。
(S408)無線通信インタフェース202は、インタフェース制御部212から無線通信ON信号を受けて起動させられる。
このようなステップS405〜S408を採用することによって、解施錠に必要となる場合にのみ、車両2の無線通信インタフェース202を起動させることができるので、車両2側においても不要な電力の消費が抑制可能となる。
【0104】
(S409、S410)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101と、車両2の無線通信インタフェース202とは、互いの間で通信接続を確立し、認証を行う。
(S411)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、制御管理部116に接続・認証の完了を通知する。
【0105】
(S420)一方、車両2の無線通信インタフェース202も、車両・認証情報管理部210に接続・認証の完了を通知する。
(S421、S422)車両・認証情報管理部210は、無線通信インタフェース202に認証情報(解錠認証情報)を出力し、無線通信インタフェース202は、この認証情報をスマートキー端末1の無線通信インタフェース101に送信する。
(S423)無線通信インタフェース101は、受信した認証情報を制御管理部116に出力する。
【0106】
ここで、以下の変更態様(ステップS430〜S433)を実施することも好ましい。尚、この変更態様では、無線通信インタフェース101は、予約情報管理サーバ3と通信可能となっているが、スマートキー端末1に設置された他の無線通信部を用いて予約情報管理サーバ3と通信を行ってもよい。
(S430、S431)認証情報を取得した制御管理部116は、無線通信インタフェース101に対し、予約情報の照会を指示し、無線通信インタフェース101は、予約情報管理サーバ3に、予約情報の照会要求を送信する。
【0107】
(S432)予約情報管理サーバ3は、照会要求に対する応答として、登録した予約情報を無線通信インタフェース101に送信する。
(S433)無線通信インタフェース101は、受信した予約情報を制御管理部116に送信する。
このようなステップS430〜S433を採用することによって、予約情報管理サーバ3に登録された最新且つ確実に有効な予約情報を取得することが可能となる。
【0108】
(S440、S411)制御管理部116は、車両2から取得された認証情報と、予約情報管理部112から入力された予約情報とを照合し、所定の照合条件を満たす場合に、解施錠部200を解錠待機(スタンバイ)状態にさせる信号を送信するように無線通信インタフェース101に指示する。
【0109】
ここで、所定の照合条件を満たす場合とは、認証情報及び予約情報内における、例えば、車両2の識別子、車種、乗車可能人数、荷物搭載量、及び帰属会社名等の少なくとも1つを電子データ化(して暗号化)したもののそれぞれ又は少なくとも一部が一致する場合を指す。尚、変更態様として、車両2に、予め予約情報管理サーバ3との間で通信接続した上で予約情報を照会する機能を持たせた場合、認証情報に予約証情報(使用日、使用開始時刻、使用時間)、ユーザ名、及びスマートキー端末1の識別子等の少なくとも1つを含めることも可能となる。
【0110】
(S500)次いで、図5に示すように、無線通信インタフェース101は、ドア解錠スタンバイ要求を、無線通信インタフェース202に送信する。
(S501)車両2の無線通信インタフェース202は、受信したドア解錠スタンバイ要求を、制御管理部211に出力し、制御管理部211は、ドア解錠スタンバイ信号を解施錠部200に出力する。
(S502)解施錠部200は、ドア解錠スタンバイ信号を入力して、ドア20を解錠スタンバイ状態とし、制御管理部211にドア解錠スタンバイ成功を通知する。
【0111】
(S503、S504)制御管理部211は、無線通信インタフェース202に対し、ドア解錠スタンバイ成功通知を送信するように指示し、無線通信インタフェース202は、無線通信インタフェース101にドア解錠スタンバイ成功通知を送信する。
(S505)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、受信したドア解錠スタンバイ成功通知を制御管理部116に出力する。
【0112】
次いで、ドア20の解錠を要求する方法として、ステップS510及びS511の受信信号強度(RSSI,Received Signal Strength Indication)を利用する方法と、ステップS520のドア解錠ボタン(アイコン)を利用する方法とが挙げられる。前者の方法では、
(S510)無線通信インタフェース101は、車両2の無線通信インタフェース202から(定期的に)受信する信号の強度を測定し、このRSSI値を制御管理部116に出力する。
(S511)制御管理部116は、入力したRSSI値が所定の閾値Ith以上であるか否かを判定し、真の判定を行った際、次のステップ(S530)に移行する。一方、偽の判定を行った際、継続して無線通信インタフェース101にRSSIをモニタさせる。
【0113】
尚、ステップS511における変更態様として、制御管理部116は、入力したRSSI値が、ドア解錠スタンバイ成功通知を入力した後の測定時から所定の強度比Rth以上に増大し、且つ所定の閾値Ith以上である際、次のステップ(S530)に移行することも好ましい。
【0114】
また、後者のドア解錠ボタン(アイコン)を利用する方法では、
(S520)制御管理部116は、操作部103のドア解錠ボタン(アイコン)が押下(タッチ操作)されたことを検知し、次のステップ(S530)に移行する。
【0115】
(S530)制御管理部116は、無線通信インタフェース101に対し、ドア解錠要求を送信するように指示する。
(S531)無線通信インタフェース101は、ドア解錠要求を、無線通信インタフェース202に送信する。
(S532)車両2の無線通信インタフェース202は、受信したドア解錠要求を、制御管理部211に出力し、制御管理部211は、ドア解錠信号を解施錠部200に出力する。
(S533)解施錠部200は、ドア解錠信号を入力して、ドア20を解錠状態とし、制御管理部211にドア解錠成功を通知する。
【0116】
(S534、S535)制御管理部211は、無線通信インタフェース202に対し、ドア解錠成功通知を送信するように指示し、無線通信インタフェース202は、無線通信インタフェース101にドア解錠成功通知を送信する。
(S536)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、受信したドア解錠成功通知を制御管理部116に出力する。ここで、制御管理部116は、車両2のドア20が解錠状態であることを認識する。
【0117】
図6及び図7は、本発明による解施錠部制御方法のうち施錠制御の一実施形態を示すシーケンス図である。
【0118】
ここで、最初に、スマートキー端末1は、車両2を運転中のユーザと共に車両2内に置かれており、スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、停止状態にある。次いで、ユーザは、スマートキー端末1を保持し携帯して、車両2の運転を終了し、ドア20を開けて車外に出て、ドア20を閉じる。尚、無線通信インタフェース101は、例えば、エンジンの始動成功通知をイモビライザから受信した際に、又はその受信時点から所定時間経過後に、停止させられていてもよい。
【0119】
(S600)最初、図6に示すように、解施錠部200は、ドア20が閉じられたことを検知し、ドア閉信号を制御管理部211に出力する。
(S601)制御管理部211は、車両2の無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)に対し、ドア20が閉状態であるとの情報を含むドア閉信号を定期的に発信するように指示する。
【0120】
ここで、ドア閉信号は、一連の複数のフレームであって、例えば、各フレームのフレーム長が全て所定値Lであるか、又はこれらフレーム長が所定値の組{Lc1,Lc2,・・・}をなすように設定された複数のフレームとすることができる。いずれにしても、フレーム長によって、ドア20が閉状態であるとの情報を含む信号とすることが好ましい。
【0121】
(S602)車両2の無線通信インタフェース202はドア閉信号を定期的に発信する。
(S603)ウェイクアップ信号通信部100が、ドア20が閉状態であるとの情報を含む信号を受信した際、当該信号を受信したとの判定結果がインタフェース制御部115に通知される。
(S604)無線通信インタフェース101は、インタフェース制御部115から無線通信ON信号を受けて起動させられる。
【0122】
ここで、以下の変更態様(ステップS610〜S613)を実施することも好ましい。この変更態様では、当初、車両2の無線通信インタフェース202は停止している。尚、無線通信インタフェース202は、例えば、エンジンが始動した際に、又はその始動時点から所定時間経過後に、停止させられていてもよい。
(S610)制御管理部116は、ドア20が閉状態であるとの情報を含む信号を受信したとの判定結果を入力した際、ウェイクアップ信号通信部100に対し、車両2の無線通信インタフェース202を起動させる信号を送信するように指示する。
(S611)ウェイクアップ信号通信部100は、ドア閉信号受信に対するACK(肯定応答)としてのウェイクアップ信号を発信する。
【0123】
(S612)車両2のウェイクアップ信号通信部201は、ウェイクアップ信号通信部100からのウェイクアップ信号を受信し、受信通知をインタフェース制御部212に出力する。
(S613)無線通信インタフェース202は、インタフェース制御部212から無線通信ON信号を受けて起動させられる。
このようなステップS610〜S613を採用することによって、解施錠に必要となる場合にのみ、車両2の無線通信インタフェース202を起動させることができるので、車両2側においても不要な電力の消費が抑制可能となる。
【0124】
(S620、S621)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101と、車両2の無線通信インタフェース202とは、互いの間で通信接続を確立し、認証を行う。
(S622)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、制御管理部116に接続・認証の完了を通知する。
【0125】
(S700)次いで、図7に示すように、制御管理部116は、操作部103のドア施錠ボタン(アイコン)が押下(タッチ操作)されたことを検知する。
(S701)制御管理部116は、無線通信インタフェース101に対し、ドア施錠要求を送信するように指示する。
(S702)無線通信インタフェース101は、ドア施錠要求を、無線通信インタフェース202に送信する。
【0126】
(S703)車両2の無線通信インタフェース202は、受信したドア施錠要求を、制御管理部211に出力し、制御管理部211は、ドア施錠信号を解施錠部200に出力する。
(S704)解施錠部200は、ドア施錠信号を入力して、ドア20を施錠状態とし、制御管理部211にドア施錠を通知する。
【0127】
(S705、S706)制御管理部211は、無線通信インタフェース202に対し、ドア施錠通知を送信するように指示し、無線通信インタフェース202は、無線通信インタフェース101にドア施錠通知を送信する。
(S707)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、受信したドア施錠通知を制御管理部116に出力する。これにより、制御管理部116は、車両2のドア20が施錠状態であることを認識する。
【0128】
ここで、ユーザが車両2を長時間使用しない等の事情がある場合に、車両2のウェイクアップ送信機能をOFFにすることができることも好ましい。この場合、以下のステップS710〜S717が実行される。
(S710、S711)制御管理部116は、操作部103のウェイクアップ終了ボタン(アイコン)が押下(タッチ操作)されたことを検知し、無線通信インタフェース101に対し、ウェイクアップ終了要求を送信するように指示する。
(S712)無線通信インタフェース101は、ウェイクアップ終了要求を、無線通信インタフェース202に送信する。
【0129】
(S713)車両2の無線通信インタフェース202は、ウェイクアップ終了要求を、制御管理部211に出力する。
(S714)制御管理部211は、車両2の無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)からの識別信号(ウェイクアップ信号)の発信を停止させる。
(S715、S716)制御管理部211は、無線通信インタフェース202に対し、ウェイクアップ終了通知を送信するように指示し、無線通信インタフェース202は、無線通信インタフェース101にウェイクアップ終了通知(ACK)を送信する。
(S717)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、受信したウェイクアップ終了通知を制御管理部116に出力する。ここで、制御管理部116は、車両2の無線通信インタフェース202(又はウェイクアップ信号通信部201)が識別信号発信を停止させた状態であることを認識する。
【0130】
さらに、以下のステップS720〜724を実行して、車両2の無線通信インタフェース202を停止させることも好ましい。
(S720)制御管理部211は、無線通信インタフェース101に対し、車両2の無線通信インタフェース202の停止を要求する信号を送信するように指示する。
(S721)ウェイクアップ信号通信部100は、ドア施錠通知受信(ステップS706)に対するACK(肯定応答)としての無線通信OFF要求を送信する。
【0131】
(S722)車両2の無線通信インタフェース202は、無線通信OFF要求を受信し、この受信通知を制御管理部211及びインタフェース制御部212に出力する。
(S723)無線通信インタフェース202は、インタフェース制御部212から無線通信OFF信号を受けて停止させられる。
【0132】
また、車両2の無線通信インタフェース202が停止させられた場合でも、車両2がウェイクアップ信号通信部201を備えている場合、以下のステップS730〜S731を実行して識別信号(ウェイクアップ信号)を定期的に発信することができる。
(S730)制御管理部211は、無線通信OFF要求受信通知を入力して所定時間経過後、ウェイクアップ信号通信部201に対し、識別信号を発信するよう指示する。
(S731)ウェイクアップ信号通信部201は、識別信号(ウェイクアップ信号)を定期的に発信する。
【0133】
さらに、他の実施形態として、以下のステップS740〜S744を実行して予約情報管理サーバ3に車両2の使用終了を登録することができる。
(S740、S741)制御管理部116は、操作部103の使用終了ボタン(アイコン)が押下(タッチ操作)されたことを検知し、無線通信インタフェース101に対し、使用終了通知を送信するように指示する。
(S742)無線通信インタフェース101は、使用終了通知を、予約情報管理サーバ3に送信する。
【0134】
(S743)予約情報管理サーバ3は、登録された予約情報に関する車両2の使用終了を登録し、使用終了登録通知(ACK)を無線通信インタフェース101に送信する。
(S744)スマートキー端末1の無線通信インタフェース101は、受信した使用終了登録通知を制御管理部116に出力する。ここで、制御管理部116は、車両2の使用終了が予約情報管理サーバ3に登録されたことを認識する。
【0135】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、無線端末の無線通信インタフェースは、当初停止した状態であって、解錠することが予約されていた解施錠部を認証した場合にのみ、起動させられるので、結果として、解錠に結びつかない不要な電力の消費を抑制することができる。さらに、ウェイクアップ信号受信部も当初停止している実施形態においては、ウェイクアップ信号受信部は、無線端末が移動していると判定された場合にのみ、起動させられるので、解錠に結びつかない不要な電力の消費をさらに抑制することが可能となる。このように、本発明の無線端末によれば、予約情報を認証した上での解施錠の制御が、低消費電力で実現可能となるのである。
【0136】
以上に述べた本発明の種々の実施形態において、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0137】
1 スマートキー端末(無線端末)
100 ウェイクアップ信号通信部
101 無線通信インタフェース
102 加速度センサ
103 操作部
110 移動判定部
111 ウェイクアップ制御部
112 予約情報管理部
113 識別情報設定部
114 ウェイクアップ判定部
115 インタフェース制御部
116 制御管理部
2 車両(制御対象)
20 ドア(扉部)
200 解施錠部
202 無線通信インタフェース
201 ウェイクアップ信号通信部
210 車両・認証情報管理部
211 制御管理部
212 インタフェース制御部
3 予約情報管理サーバ
4 インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7