特許第6038636号(P6038636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000002
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000003
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000004
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000005
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000006
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000007
  • 特許6038636-貨幣処理装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038636
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   G07D9/00 426Z
   G07D9/00 456F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-279783(P2012-279783)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-123296(P2014-123296A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】織 金 湖
(72)【発明者】
【氏名】佐 藤 幸 宣
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−098895(JP,A)
【文献】 特開2009−223396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を処理する貨幣処理装置において、
表示画面と、
前記表示画面に表示させる表示内容を決定する表示制御部と、
前記表示制御部から前記表示内容に関する指令を受け、当該指令に基づいて前記表示画面に前記表示内容を出力させる出力制御部と、
前記表示制御部から前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像ログ情報の中を検索するための検索部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
貨幣を処理する貨幣処理装置において、
表示画面と、
前記表示画面に表示させる表示内容を決定する表示制御部と、
前記表示制御部から前記表示内容に関する指令を受け、当該指令に基づいて前記表示画面に前記表示内容を出力させる出力制御部と、
前記表示制御部から前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記画像ログ情報の中から所定の文字、数字又は記号を検索するための検索部と、を備えたことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項3】
前記画像ログ情報は、前記指令が送られた時間をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記指令は、前記表示画面で表示される前記表示内容のうち変更される箇所に関する情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記表示制御部から前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令の全てを記憶することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令は、前記表示制御部のみから送られることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記検索部で検索された前記所定の文字、数字又は記号は、前記表示画面で強調表示されることを特徴とする請求項に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記貨幣処理装置で行われた処理の内容と、当該処理の行われた時間とを記録した処理ログ情報も記憶する請求項1乃至7いずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を備えた貨幣を処理する貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店舗管理端末とメンテナンスセンターとを有する店舗システムが知られている。このような店舗システムとしては、店舗管理端末が、障害が発生した時に当該障害内容を記憶する処理ログファイルと、処理ログファイルのデータに基づいて障害報告電子メールを作成する障害情報処理手段と、障害報告電子メールをメンテナンスセンターに送信する手段とを備え、メンテナンスセンターが、障害報告電子メールを受け付ける手段と、障害報告電子メールの内容に基づいて障害処理を行う手段と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような特許文献1に開示されたものでは、障害が発生した時に障害内容を記憶して電子メールを送信するので、障害が発生した時のデータしか分からなかった。このため、過去に異常な取引がありその取引が原因で障害が発生した場合、障害の原因が分からないという問題があった。
【0004】
このため、過去の取引データを全て保存して蓄積することも考えられるが、このように過去の取引データの全てを保存すると、蓄積データが膨大になってしまい、容量が大きな記憶媒体が必要になる他、後から異常な取引を探そうとした場合に作業が煩雑になるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−317154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のような点に鑑み、本発明は、少ない記憶容量で表示画面に表示された内容を再生することができ、異常な取引等を容易に探索することができる貨幣処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貨幣処理装置は、
貨幣を処理する貨幣処理装置であって、
表示画面と、
前記表示画面に表示させる表示内容を決定する表示制御部と、
前記表示制御部から前記表示内容に関する指令を受け、当該指令に基づいて前記表示画面に前記表示内容を出力させる出力制御部と、
前記表示制御部から前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する記憶部と、
を備える。
【0008】
本発明の貨幣処理装置において、
前記画像ログ情報は、前記指令が送られた時間をさらに含んでもよい。
【0009】
本発明の貨幣処理装置において、
前記指令は、前記表示画面で表示される前記表示内容のうち変更される箇所に関する情報であってもよい。
【0010】
本発明の貨幣処理装置において、
前記記憶部は、前記表示制御部から前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令の全てを記憶してもよい。
【0011】
本発明の貨幣処理装置において、
前記出力制御部に送られる前記表示内容に関する指令は、前記表示制御部のみから送られてもよい。
【0012】
本発明の貨幣処理装置は、
前記記憶部に記憶された前記画像ログ情報の中から所定の文字、数字又は記号を検索するための検索部をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明の貨幣処理装置において、
前記検索部で検索された前記所定の文字、数字又は記号は、前記表示画面で強調表示されてもよい。
【0014】
本発明の貨幣処理装置において、
前記記憶部は、前記貨幣処理装置で行われた処理の内容と、当該処理の行われた時間とを記録した処理ログ情報も記憶してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、過去の取引データの全てを保存するのではなく、記憶部が、表示制御部から出力制御部に送られる表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する。そして、当該画像ログ情報を利用することで、表示画面に実際に表示されていた内容を再生することができる。このため、少ない記憶容量で表示画面に表示された内容を再生することができる。そして、このように表示画面に実際に表示されていた内容を再生することができるので、異常な取引等を容易に探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置の機能を示した機能ブロック図である。
図3図3(a)は、動画データを連続的に記録した場合のイメージを示した図であり、図3(b)は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置における、表示制御部から出力制御部に送られる表示内容に関する指令の内容、当該指令に基づいて表示画面で表示される内容等を示した図である。
図4図4は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置において、検索部で検索を行う際に検索キーを入力するための表示を示した図である。
図5図5(a)(b)は、図4で入力された検索キー(「12000」)を用いて検索した結果が表示画面で表示された態様を示した図である。
図6図6は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置において、別の検索キー(「200」)を用いて検索した結果が表示画面で表示された態様を示した図である。
図7図7(a)−(c)は、本発明の実施の形態による貨幣処理装置において、記憶部に記憶されている画像ログ情報に基づいて統計を取った結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る貨幣処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図7は本発明の実施の形態を説明するための図である。
【0018】
本実施の形態の貨幣処理装置100は紙幣や硬貨等の貨幣を、入金したり出金したりする機能を有している。本実施の形態の貨幣処理装置100は、例えば金融機関等のカウンター内に設置され、行員が使用する出納機である。
【0019】
図1に示すように、貨幣処理装置100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部11a及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部11bを有する紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。束紙幣処理部11aは束紙幣を出金するための束紙幣出金口21を有する。バラ紙幣処理部11bは、バラ紙幣を投入するためのバラ紙幣投入口22aと、バラ紙幣を出金するためのバラ紙幣出金口22bとを有する。包装硬貨処理装置13は、包装硬貨を出金するための包装硬貨出金口23を有する。バラ硬貨処理装置12は、バラ硬貨を出金するためのバラ硬貨出金口24を有する。
【0020】
また、この貨幣処理装置100は、現金以外の有価証券類を投入する現金外ボックス14と、操作者が入力を行うキーボード式操作部16と、印字処理を行う外部プリンタ18も備えている。
【0021】
貨幣処理装置100は、表示画面15と、操作者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ17も備えている。本実施の形態においてはIDカードリーダ17が用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、操作者を認証するものであれば何を用いても構わない。
【0022】
図2に示すように、貨幣処理装置100は、表示画面15に表示させる表示内容を決定する表示制御部50と、表示制御部50から表示内容に関する指令を受け、当該指令に基づいて表示画面15に表示内容を出力させる出力制御部51と、後述する画像ログ情報を記憶する記憶部55と、を備えている。なお、本実施の形態の出力制御部51は、表示制御部50から送られてくる指令を忠実に再現する「プレーヤー」としての役割を果たしている。
【0023】
画像ログ情報は、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令と、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち及び時間とを含んでいる。本実施の形態では、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令の内容は、表示画面15で表示される表示内容のうち変更される箇所に関する情報になっている。
【0024】
具体的な例を、図3(b)を用いて説明する。
【0025】
まず、行員が入金処理を行う時、表示制御部50から出力制御部51に、表示内容に関する「入金画面全表示」という指令が送られる。このとき、記憶部55には、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち(2011年9月28日)及び時間(12:30)と、指令である「入金画面全表示」が記憶される。なお、担当者に関する情報は、IDカードリーダ17で読み取られた情報に基づいて得られ、表示制御部50から出力制御部51に送られる。そして、出力制御部51は「入金画面全表示」という指令に基づいて、「プレーヤー」として、表示画面15に、図3(b)の符号91で示したような画面を表示させる。
【0026】
次に、行員が伝票内容を入力した時、表示制御部50から出力制御部51に、表示内容に関する「〈伝票〉1、10,000、〈差額〉−10,000」という指令が出される。このとき、記憶部55には、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち(2011年9月28日)及び時間(12:30)と、指令である「〈伝票〉1、10,000、〈差額〉−10,000」が記憶される。そして、出力制御部51は「〈伝票〉1、10,000、〈差額〉−10,000」という指令に基づいて、表示画面15に、図3(b)の符号92で示したような画面を表示させる。なお、本実施の形態ではこのように、指令の内容が表示画面15で表示される表示内容のうち変更される箇所に関する情報となっている。
【0027】
次に、行員が伝票に基づく現金の入金を行った時、表示制御部50から出力制御部51に、表示内容に関する「〈現金〉9,000、〈差額〉−1,000」という指令が出される。このとき、記憶部55には、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち(2011年9月28日)及び時間(12:31)と、指令である「〈現金〉9,000、〈差額〉−1,000」が記憶される。そして、出力制御部51は「〈現金〉9,000、〈差額〉−1,000」という指令に基づいて、表示画面15に、図3(b)の符号93で示したような画面を表示させる。
【0028】
次に、行員が入金した結果、ジャム等によって伝票の金額と入金額とが合致しない時、表示制御部50から出力制御部51に、表示内容に関する「〈アイコン〉ERR」という指令が出される。このとき、記憶部55には、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち(2011年9月28日)及び時間(12:31)と、指令である「〈アイコン〉ERR」が記憶される。そして、出力制御部51は「〈アイコン〉ERR」という指令に基づいて、表示画面15に、図3(b)の符号94で示したような画面を表示させる。
【0029】
次に、ジャム等による異常が生じた時、表示制御部50から出力制御部51に、表示内容に関する「メカ画面全表示」という指令が出される。このとき、記憶部55には、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち(2011年9月28日)及び時間と、指令である「メカ画面全表示」が記憶される。そして、出力制御部51は「メカ画面全表示」という指令に基づいて、表示画面15に、図3(b)の符号95で示したような画面を表示させる。
【0030】
本実施の形態では、以上のようにして、行員の操作に基づく表示内容として、記憶部55に、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令と、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた日にち及び時間とを含んだ画像ログ情報が記憶される。そして、このようにして記憶部55に記憶された画像ログ情報を再生するだけで、図3(b)の符号91〜95で示したような画面を、コマ送りで、表示画面15に表示させることができる。
【0031】
なお、記憶部55は、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令の全てを記憶する。また、記憶部55は、貨幣処理装置100で行われた入金、出金等の処理の内容と、当該処理の行われた時間とを記録した処理ログ情報も記憶する。
【0032】
また、本実施の形態では、出力制御部51に送られる表示内容に関する指令は、表示制御部50のみから入力される。
【0033】
本実施の形態の貨幣処理装置100は、記憶部55に記憶された画像ログ情報の中から所定の文字、数字又は記号を検索するための検索部56を備えている(図2参照)。この検索部56で検索された結果は表示画面15で表示されるが、表示画面15で、検索された文字、数字又は記号が表示される際には、強調表示される。
【0034】
具体的な例を、図4乃至図6を用いて説明する。
【0035】
一例として、合計金額「12,000円」として検索した場合について、図4に基づいて説明する。
【0036】
まず、操作者が、キーボード式操作部16から合計金額「12,000円」を検索キーとして入力する。このように検索キーを入力する際には、表示画面15に「データサーチ」画面が表示されることとなる。合計金額「12,000円」を入力した後で、検索を開始させると、合計金額「12,000円」を含む画面を順次表示させることができる。
【0037】
具体的な例としては、図5(a)に示すような画面が表示され、次の画面に遷移させると合計金額「12,000円」を含む図5(b)に示すような次の画面が表示される。なお、表示画面15において、「12,000円」の部分は強調表示される(図5(a)(b)参照)。
【0038】
他の例として、「200」という数字を検索キーとして入力した場合について、図6で示しておく。基本的には図5(a)(b)で示したものと同様の態様で表示されるが、一つの画面に複数の該当箇所がある場合には、各箇所(図6では2箇所)が強調表示される。
【0039】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果について説明する。
【0040】
本実施の形態では、過去の取引データの全てを保存するのではなく、記憶部55が、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する。そして、当該画像ログ情報を利用することで、表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができる。このため、少ない記憶容量で表示画面15に表示された内容を再生することができる。また、このように表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができるので、異常な取引等を容易に探索することができる。
【0041】
この点について、説明する。
【0042】
特許文献1に開示されたような態様のものでは、障害が発生した時に障害内容を記憶するだけであるので、障害が発生した時のデータしか分からなかった。このため、過去(例えば数日前)に異常な取引がありその取引が原因で障害が発生した場合であっても、障害の原因が分からないという問題があった。
【0043】
この点、過去の取引データを、例えば動画データとして全て保存して蓄積することも考えられるが(図3(a)参照。なお、図3(a)の太い直線は、重い容量のデータが連続的に記録されていることを示している。)、このように過去の取引データの全てを保存すると、蓄積データが膨大になってしまい、容量が大きな媒体が必要になったり、持ち運び可能な媒体に記録できなくなったりしてしまう。また、後から異常な取引を探そうとした場合に作業が煩雑になるといった問題もある。
【0044】
これに対して、本実施の形態では、記憶部55が、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令を含む画像ログ情報を記憶する。そして、当該画像ログ情報を利用することで、表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができる。このため、少ない記憶容量で表示画面15に表示された内容を再生することができる。また、このように表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができるので、異常な取引等を容易に探索することができる。
【0045】
また、上述のように、記憶部55に、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令が記憶されているので、当該指令を再生すると、「コマ送り」で画面の遷移を表示させることができる(図3(b)参照)。このため、実際に表示された画面を再生する時間を極端に短くすることができる。
【0046】
本実施の形態では、画像ログ情報に、表示制御部50から出力制御部51に指令が送られた時間が含まれている。このため、時間と関連づけて、表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができる。
【0047】
そして、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令は、表示画面15で表示される表示内容のうち変更される箇所に関する情報となっている。このため、本実施の形態の記憶部55は、より少ない量を記憶するだけでよくなっている。
【0048】
本実施の形態では、記憶部55が、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令の全てを記憶する。このため、表示制御部50から出力制御部51に送られた指令に基づいて表示画面15で表示されていた内容を漏れなく再生することができる。したがって、より確実に、異常な取引等を容易に探索することができる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、出力制御部51に送られる表示内容に関する指令は、表示制御部50のみから送られ、出力制御部51自らが表示内容に関する指令を作成したり、他の箇所から表示内容に関する指令が送られたりすることはない。このため、記憶部55で、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令を記憶するだけで、表示画面15に実際に表示されていた内容を再生することができる。
【0050】
そして、上述したように本実施の形態では、記憶部55が、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令の全てを記憶しているのであるから、表示制御部50から出力制御部51に送られる表示内容に関する指令を記憶するだけで、表示画面15に実際に表示されていた内容の全てを確実に漏れなく再生することができる。
【0051】
本実施の形態では、記憶部55が、貨幣処理装置100で行われた入金、出金等の処理の内容と、当該処理の行われた日にち及び時間とを記録した処理ログ情報も記憶している。このため、処理ログ情報と画像ログ情報とを日にち及び時間によって紐づけることで、実際に行われていた処理内容と表示画面15の内容とを関連づけることができ、異常の原因をより確実に探索することができる。より具体的には、エラーが発生した等の違算に影響を与えたと考えられる処理の開始時点や違算金額を含む表示を行った時点等において、どのような処理が行われたかを処理ログ情報に基づき読み出すとともに、画像ログ情報に基づいて実際に表示された内容を表示画面15で表示させることができる。このため、違算等の異常の原因をより確実に探索することができる。
【0052】
本実施の形態のような態様では、記憶容量が小さいことから、画像ログ情報だけをUSB、CD、DVD等の記憶媒体に移して持ち帰り、持ち帰った場所にある出力制御部51を画像ログ情報に基づいて作動させて、持ち帰った場所にある表示画面15で画面を表示させることができる。このため、顧客の営業所等に設置された貨幣処理装置100で異常が発生した場合であっても、その原因をメーカーに持ち帰って検証したりすることができ、利便性が高い。なお、このように記憶容量が小さいことから、長時間に及ぶ画像ログ情報を一つの記憶媒体に記録することもできる。
【0053】
また、本実施の形態では、記憶部55に記憶された画像ログ情報の中から所定の文字、数字又は記号を検索するための検索部56が設けられているので、所定の文字、数字又は記号を容易に検索することができる。このため、例えば違算の原因となっている数字がどの場面で使用されたのか、エラーがいつ表示されたか等を容易に検索することができ、異常の原因を探索する上で有益なものとなっている。
【0054】
また、検索部56で検索された所定の文字、数字又は記号は、表示画面15で強調表示されるので、操作者は、自己が検索したい文字、数字又は記号が表示画面15のどこで使われているかを容易に把握することができる。
【0055】
また、記憶部55に記憶されている画像ログ情報が表示内容に関する指令を含んでいるので、記憶部55に記憶されている画像ログ情報を解析することで、所定の表示が何回行われたか、すなわち表示回数の統計を容易に取ることができる。このような統計をとることで、例えばどの程度の頻度で各表示が行われているか、表示される時期、時間帯等を知ることができ、ひいてはどのような処理が、どの程度の頻度、どの時期、時間帯で行われているか等を知ることができる。このため、貨幣処理装置100を改良していく上で有益な情報を得ることができる。
【0056】
具体的な例を、図7(a)−(c)を用いて説明する。この図7(a)−(c)は、支払い画面の出現頻度について統計を取ったものである。
【0057】
図7(a)は各日付(9月1日〜9月10日)において支払い画面がどの程度の頻度で表示されたかを示しており、図7(a)に示した結果からは、所定の法則が見いだせない。
【0058】
図7(b)は各月(3月〜12月)において支払い画面がどの程度の頻度で表示されたかを示しており、図7(b)に示した結果からは、5月で支払い処理が多く行われていることを理解することができる。
【0059】
図7(c)は各時間帯(8時〜16時)において支払い画面がどの程度の頻度で表示されたかを示しており、図7(c)に示した結果からは、昼過ぎ(13時〜14時)に支払い処理が多く行われていることを理解することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、一連の流れとなった画像ログ情報が記憶部55に記憶されているので、画像ログ情報の一部を加工することで、操作者に提供するトレーニング資料や顧客に提供するプレゼンテーション資料等を簡単に作ることもできる。具体的には、一連の流れとなった画像ログ情報の一部を加工することで、エラー画面を表示させる画像ログ情報を作成することができ、エラーとなった場合にどのような画面が表示画面15で表示されるか等を説明するための資料を容易に作成することができる。
【0061】
また、画像ログ情報の記憶容量が小さいことから、画像ログ情報を少ない通信データ量で同時配信することができ、同じ画面を多数の者で共有して見る環境を容易に提供することもできる。
【0062】
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0063】
11 紙幣処理装置
11a 束紙幣処理部
11b バラ紙幣処理部
12 バラ硬貨処理装置
13 包装硬貨処理装置
15 表示画面
50 表示制御部
51 出力制御部
55 記憶部
56 検索部
100 貨幣処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7