特許第6038711号(P6038711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038711
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20161128BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20161128BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20161128BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161128BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20161128BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20161128BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B01J35/04 301P
   F01N3/28 301P
   F01N3/20 K
   B01D53/94 100
   B01J32/00ZAB
   C04B38/00 303Z
   C04B41/88 C
   C04B41/88 S
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-75390(P2013-75390)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198321(P2014-198321A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 和弥
(72)【発明者】
【氏名】大宮 好雅
(72)【発明者】
【氏名】金田 淳志
(72)【発明者】
【氏名】野呂 貴志
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−214364(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/008664(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86,94
C04B 38/00
C04B 41/88
F01N 3/20
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、
前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、
前記ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、及び前記外周領域を除いた中央の領域である中央領域から構成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記外周領域が、前記中央領域の周囲を完全に取り囲んでおり、
前記外周領域を構成する材料の電気抵抗率が、前記中央領域を構成する材料の電気抵抗率より低いハニカム構造体。
【請求項2】
前記ハニカム構造部及び前記電極部が、炭化珪素を含む材料により形成されている請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記セルの延びる方向に直交する断面において、電流経路の長さが、ハニカム構造部の直径の1.6倍以下である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記外周領域が、前記中央領域との境界部分に境界領域を有し、前記境界領域が、前記中央領域に近いほど電気抵抗率が高くなるように漸次的に電気抵抗率が変化する領域である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製するハニカム乾燥体作製工程と、
前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製するハニカム焼成体作製工程と、
前記ハニカム焼成体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム焼成体を作製する未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程と、
前記未焼成電極付きハニカム焼成体を焼成してハニカム構造体を作製するハニカム構造体作製工程とを有し、
前記ハニカム焼成体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、前記ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、前記ハニカム乾燥体を焼成するハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製するハニカム乾燥体作製工程と、
前記ハニカム乾燥体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム乾燥体を作製する未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程と、
前記未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成してハニカム構造体を作製するハニカム構造体作製工程とを有し、
前記ハニカム構造体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、前記未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、前記未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成するハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、電圧を印加したときの温度分布の偏りを抑制することができるハニカム構造体に関する。そして、そのようなハニカム構造体を容易に作製することができるハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の上流側に、金属製のヒーターを設置して、排ガスを昇温させる方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、セラミック製のハニカム構造体を「加熱可能な触媒担体」として使用することが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136319号公報
【特許文献2】特許第2931362号公報
【特許文献3】特開2011−99405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなヒーターを、自動車に搭載して使用する場合、自動車の電気系統に使用される電源が共通で使用され、例えば200Vという高い電圧の電源が用いられる。しかし、金属製のヒーターは、電気抵抗が低いため、このような高い電圧の電源を用いた場合、過剰に電流が流れ、電源回路を損傷させることがあるという問題があった。
【0008】
また、ヒーターが金属製であると、仮にハニカム構造に加工したものであっても、触媒を担持し難いため、ヒーターと触媒とを一体化させることは難しかった。
【0009】
また、特許文献3に記載のハニカム構造体は、ハニカム構造の担体(円筒状)に一対の電極が配設され、端子から電極に電流を流すように構成されている。従来、このような構造のハニカム構造体は、電極より担体の電気抵抗のほうが大きいため、端子からの電流が、担体にすぐに流れるのではなく、電極の両端部(担体の外周方向における両端部)に流れるものであった。そのため、このような従来のハニカム構造体(加熱可能な触媒担体)は、担体の温度にばらつきが生じるという問題があった。これに対し、特許文献3に記載のハニカム構造体は、担体の隔壁の厚さを、所定の条件を満たすように設定することにより、担体を均等に加熱しようとするものであった。
【0010】
しかし、担体の隔壁の厚さを、電流の流れに合わせて設定すると、局所的に脆弱な部分が形成されることがあり、機械的強度が低下することがあるという問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、電圧を印加したときの温度分布の偏りを抑制することができるハニカム構造体を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのようなハニカム構造体を容易に製造することができるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体及びハニカム構造体の製造方法を提供する。
【0013】
[1] 流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する筒状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、前記ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、及び前記外周領域を除いた中央の領域である中央領域から構成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記外周領域が、前記中央領域の周囲を完全に取り囲んでおり、前記外周領域を構成する材料の電気抵抗率が、前記中央領域を構成する材料の電気抵抗率より低いハニカム構造体。
【0014】
[2] 前記ハニカム構造部及び前記電極部が、炭化珪素を含む材料により形成されている[1]に記載のハニカム構造体。
【0015】
[3] 前記セルの延びる方向に直交する断面において、電流経路の長さが、ハニカム構造部の直径の1.6倍以下である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0016】
[4] 前記外周領域が、前記中央領域との境界部分に境界領域を有し、前記境界領域が、前記中央領域に近いほど電気抵抗率が高くなるように漸次的に電気抵抗率が変化する領域である[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0017】
[5] セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製するハニカム乾燥体作製工程と、前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製するハニカム焼成体作製工程と、前記ハニカム焼成体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム焼成体を作製する未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程と、前記未焼成電極付きハニカム焼成体を焼成してハニカム構造体を作製するハニカム構造体作製工程とを有し、前記ハニカム焼成体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、前記ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、前記ハニカム乾燥体を焼成するハニカム構造体の製造方法。
【0018】
[6] セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製するハニカム乾燥体作製工程と、前記ハニカム乾燥体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム乾燥体を作製する未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程と、前記未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成してハニカム構造体を作製するハニカム構造体作製工程とを有し、前記ハニカム構造体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、前記未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、前記未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成するハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のハニカム構造体は、外周領域の電気抵抗率が、中央領域の電気抵抗率より低いため、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、電極からの電流がハニカム構造部(担体)に流れやすくなる。そのため、ハニカム構造部が均一に発熱し易くなる。
【0020】
本発明の第1のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム焼成体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、ハニカム乾燥体を焼成するものである。そのため、ハニカム乾燥体を焼成する際に、「珪素を主成分とする複数の粒子」に含有される珪素が、ハニカム乾燥体(ハニカム焼成体)の側面から浸入する。そして、それにより、「中央領域を構成する材料よりも電気抵抗率の低い材料により形成された領域である外周領域」が容易に形成される。
【0021】
本発明の第2のハニカム構造体の製造方法は、珪素を主成分とする複数の粒子を、未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成するものである。そのため、未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成する際に、「珪素を主成分とする複数の粒子」に含有される珪素が、未焼成電極付きハニカム乾燥体(ハニカム構造体)の側面から浸入する。そして、それにより、「中央領域を構成する材料よりも電気抵抗率の低い材料により形成された領域である外周領域」が容易に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図3】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図4】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図5】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図6】実施例1のハニカム構造体を輪切りにして形成した円板である。
図7】実施例1のハニカム構造体から切り出した棒状サンプルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0024】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1図4に示すように、筒状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面5に配設された一対の電極部21,21とを備えるものである。ハニカム構造部4は、流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面11から流体の流出側の端面である流出端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有するものである。そして、ハニカム構造部4の電気抵抗率は、1〜200Ωcmである。そして、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そして、ハニカム構造部4が、「側面5を含む外周領域7、及び外周領域7を除いた中央の領域である中央領域6から構成されている。そして、外周領域7を構成する材料の電気抵抗率が、中央領域6を構成する材料の電気抵抗率より低くなっている。図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100)を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。図4は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。尚、図3においては、隔壁が省略されている。また、図4においては、隔壁が省略されており、更に、中央領域及び外周領域が示されていない。
【0025】
このように、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が1〜200Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。また、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心を挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部21,21間に電圧を印加したときの、ハニカム構造部4の温度分布の偏りを抑制することができる。尚、中央領域6の温度と外周領域7の温度とは、異なっていてもよい。「ハニカム構造部4の温度分布の偏り」とは、局所的に温度が高くなっていたり、局所的に温度が低くなっていたりすることを意味する。
【0026】
更に、本実施形態のハニカム構造体100は、外周領域7を構成する材料の電気抵抗率が、中央領域6を構成する材料の電気抵抗率より低くなっているため、ハニカム構造体100の電極21,21に電圧を印加したときに外周領域7に電流が流れ易くなる。そのため、電極21,21の端部まで伝わる電流の量が低減され、ハニカム構造部4の温度分布の偏りが低減される。つまり、ハニカム構造部(ハニカム構造体)が均一に発熱し易くなる。
【0027】
ここで、「セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設される」の意味は以下の通りである。
まず、セル2の延びる方向に直交する断面において、「一方の電極部21の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を第1線分とする。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、「他方の電極部21の中央点(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を第2線分とする。そのとき、第1線分と第2線分とにより形成される角度β(「中心O」を中心とする角度(図4を参照))が、170°〜190°の範囲となるような位置関係になるように、一対の電極部21,21がハニカム構造部4に配設されていることを意味する。また、「電極部21の中心角α」は、図4に示されるように、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度である。また、「電極部21の中心角α」は、以下のようにいうこともできる。まず、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部21の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分」を第3線分とする。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部21の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分」を第4線分とする。そのとき、「電極部21の中心角α」は、セルの延びる方向に直交する断面において、「電極部21」と、第3線分と、第4線分とにより形成される形状(例えば、扇形)における、中心Oの部分の内角である。
【0028】
中央領域6の電気抵抗率に対する、外周領域7の電気抵抗率の比の値(外周領域/中央領域)は、0.45〜0.95であることが好ましく、0.5〜0.8であることが更に好ましい。「外周領域/中央領域」が0.45より低いと、電流が必要以上に流れることがある。「外周領域/中央領域」が0.95より高いと、発熱に偏りが発生し、通電によるクラックが発生してしまう恐れがある。電気抵抗率は、四端子法により測定した値である。
【0029】
本実施形態のハニカム構造体100において、中央領域6は、セルの延びる方向に直交する断面において、ハニカム構造部4の中央部分(側面を含まない部分)に位置する領域である。そして、中央領域6は、ハニカム構造部の中央部分を、流入端面11から流出端面12まで延びるように位置する領域である。図1に示されるように、ハニカム構造部4が円筒状である場合、中央領域6も円筒状であることが好ましい。この場合、ハニカム構造部の中心軸と、中央領域の中心軸とが、一致していることが好ましい。
【0030】
本実施形態のハニカム構造体100は、セルの延びる方向に直交する断面において、中心Oから中央領域6の外周までの距離(中央領域半径)が、中心Oから外周領域7の外周(側面)までの距離(外周領域半径)の40〜90%であることが好ましい。そして、中央領域半径は、外周領域半径の50〜80%であることが更に好ましい。40%より小さいと、電圧を印加したときに、全体として必要以上の電流が流れることがある。90%より長いと、「電圧を印加したときの温度分布の偏りを抑制することができる」という効果が、低くなることがある。
【0031】
本実施形態のハニカム構造体100において、外周領域7を構成する材料の電気抵抗率は、中央領域6を構成する材料の電気抵抗率より低い。これにより、ハニカム構造体(ハニカム構造部)の作製に用いられる原料を変更するだけで、容易に、外周領域7及び中央領域6の電気抵抗率を調整することができる。
【0032】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4及び電極部21は、炭化珪素を含む材料により形成されていることが好ましい。炭化珪素を含む材料としては、珪素−炭化珪素複合材料、炭化珪素等を主成分とする材料を挙げることができる。これらの中でも珪素−炭化珪素複合材料を主成分とする材料が更に好ましい。そして、ハニカム構造部4及び電極部21を構成する材料は、珪素−炭化珪素複合材料を95質量%以上含有する材料であることが特に好ましい。本明細書において、「材料が、珪素−炭化珪素複合材料である」という場合、「珪素−炭化珪素複合材料」を95質量%以上含有することを意味する。ここで、「主成分」とは、全体の90質量%以上含有されている成分のことをいう。珪素−炭化珪素複合材料は、複数の炭化珪素粒子が、金属珪素によって結合された材料である。珪素−炭化珪素複合材料は、「複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に気孔が形成されるように金属珪素によって結合されている」ことにより、多孔質であることが好ましい。このような材質を用いることにより、ハニカム構造部の電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。ハニカム構造部の電気抵抗率は、400℃における値である。また、ハニカム構造部4及び電極部21が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極部21の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ成分又は近い成分となるため、電極部21とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ値又は近い値になる。また、材質が同じもの又は近いものになるため、電極部21とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極部21がハニカム構造部4から剥れたり、電極部21とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
【0033】
また、外周領域7及び中央領域6の材料が珪素−炭化珪素複合材料である場合、外周領域7は、「珪素−炭化珪素複合材料における金属珪素の含有率が、中央領域6より高い」ことによって、電気抵抗率が低いことが好ましい。
【0034】
外周領域7の材料が珪素−炭化珪素複合材料である場合、珪素−炭化珪素複合材料中の金属珪素の含有率は、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。10質量%より少ないと、外周領域7の電気抵抗率が高くなりすぎることがある。50質量%より多いと、外周領域7の電気抵抗率が低くなりすぎることがある。
【0035】
中央領域6の中の「中央領域におけるその他の領域」の材料が珪素−炭化珪素複合材料である場合、珪素−炭化珪素複合材料中の金属珪素の含有率は、10〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることが更に好ましくい。10質量%より少ないと、「中央領域におけるその他の領域」の電気抵抗率が高くなりすぎることがある。50質量%より多いと、「中央領域におけるその他の領域」の電気抵抗率が低くなりすぎることがある。
【0036】
本発明のハニカム構造体において、外周領域7は、中央領域6との境界部分に境界領域8を有することが好ましい(図5を参照)。そして、境界領域8は、中央領域6に近いほど電気抵抗率が高くなるように漸次的に電気抵抗率が変化する領域であることが好ましい。境界領域8は、「「外周領域7側の端8b」から、「中央領域6との境界8a」まで」の間に、電気抵抗率が0.1Ωcm/cm以上の割合で変化する領域である。つまり、境界領域8の、セルの延びる方向における「外周領域7側の端8bから、中央領域6との境界8aまで」の間の電気抵抗率の変化率は、0.1Ωcm/cm以上である。境界領域8の、セルの延びる方向における「外周領域7側の端8bから、中央領域6との境界8aまで」の間の電気抵抗率の変化率は、0.1〜10Ωcm/cmであることが好ましい。そして、当該電気抵抗率の変化率は、0.5〜10Ωcm/cmであることが更に好ましい。10Ωcm/cmより大きいと、境界領域で電流集中が発生し、クラックや短絡を発生させてしまう恐れがある。境界領域8の厚さ(中心Oから「外周領域側の端8b」までの距離から、中心Oから「中央領域との境界8a」までの距離を差し引いた値)は、ハニカム構造部の「中心Oから外周までの距離」の3〜30%であることが好ましい。そして、境界領域8の厚さは、ハニカム構造部の「中心Oから外周までの距離」の3〜20%であることが更に好ましい。3%より短いと、境界領域で電流集中が発生し、クラックや短絡を発生させてしまう恐れがある。外周領域7を形成する材料が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合、境界領域8は、以下のように構成されていることが好ましい。つまり、境界領域8は、「金属珪素の含有率が、「外周領域7側の端8bから、中央領域6との境界8a」にかけて漸次変化する」ことにより、電気抵抗率が変化するように形成されていることが好ましい。尚、外周領域7が、境界領域8を有する場合、外周領域7の電気抵抗率は、境界領域8を含む外周領域7全体の電気抵抗率のことである。図5は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態(ハニカム構造体200)を模式的に示す正面図である。本実施形態のハニカム構造体200は、境界領域8を有すること以外は、本発明のハニカム構造体の一実施形態(ハニカム構造体100(図1を参照))と同様であることが好ましい。
【0037】
本実施形態のハニカム構造体100は、図1図4に示されるように、ハニカム構造部4の側面5に一対の電極部21,21が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21間に電圧を印加することにより、発熱する。印加する電圧は12〜900Vが好ましく、64〜600Vが更に好ましい。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4を形成する材料が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜50μmであることが好ましい。そして、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜40μmであることが更に好ましい。ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることにより、ハニカム構造部4の400℃における電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径が3μmより小さいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が大きくなることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム構造部4の電気抵抗率が小さくなることがある。更に、炭化珪素粒子の平均粒子径が50μmより大きいと、ハニカム成形体を押出成形するときに、押出成形用の口金に成形用原料が詰まることがある。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0039】
ハニカム構造部4の隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましく、35〜45%であることが更に好ましい。気孔率が、35%未満であると、焼成時の変形が大きくなってしまうことがある。気孔率が60%を超えるとハニカム構造体の強度が低下することがある。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0040】
ハニカム構造部4の隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μmより小さいと、電気抵抗率が大きくなりすぎることがある。平均細孔径が15μmより大きいと、電気抵抗率が小さくなりすぎることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0041】
本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の隔壁1の厚さが50〜200μmであることが好ましく、70〜180μmであることが更に好ましい。隔壁の厚さをこのような範囲にすることにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。隔壁厚さが50μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低下することがある。隔壁厚さが200μmより厚いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0042】
本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4のセル密度が40〜150セル/cmであることが好ましく、70〜100セル/cmであることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cmより低いと、触媒担持面積が少なくなることがある。セル密度が150セル/cmより高いと、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなることがある。
【0043】
本実施形態のハニカム構造体100の形状(ハニカム構造部4の形状)は特に限定されず、例えば、底面が円形の筒状(円筒形状)、底面がオーバル形状の筒状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の筒状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体(ハニカム構造部)の大きさは、底面の面積が2000〜20000mmであることが好ましく、4000〜10000mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造体(ハニカム構造部)の中心軸方向の長さは、50〜200mmであることが好ましく、75〜150mmであることが更に好ましい。また、ハニカム構造部の端面の直径が、ハニカム構造部のセルの延びる方向における長さの3倍以下であることが好ましく、0.5〜2.5倍であることが更に好ましく、0.8〜2倍であることが特に好ましい。ハニカム構造部の端面の直径が、ハニカム構造部のセルの延びる方向における長さの3倍超であると、ハニカム容積が小さくなり、充分な排ガス浄化性能を発揮できる量の触媒を、担持できなくなることがある。
【0044】
また、本実施形態のハニカム構造体100のハニカム構造部4の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。0.1mmより薄いと、ハニカム構造体100の強度が低下することがある。2mmより厚いと、触媒を担持する隔壁の面積が小さくなることがある。
【0045】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせ、であることが好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体100に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0046】
図1図4に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる「帯状」に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。このように、本実施形態のハニカム構造体100は、電極部21が帯状に形成され、電極部21の長手方向が、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向であり、一対の電極部21,21がハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、外周領域7及び中央領域6のそれぞれを流れる電流の偏りを抑制することができ、これにより外周領域7及び中央領域6のそれぞれにおける発熱の偏りを抑制することができる。
【0047】
そして、更に、セル2の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部21,21の中心角αの0.5倍(中心角αの0.5倍の角度θ)が、15〜65°であることが好ましい。更に、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21,21の「中心角αの0.5倍の角度θ」の上限値は、60°が好ましく、55°が更に好ましい。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21,21の「中心角αの0.5倍の角度θ」の下限値は、20°が好ましく、30°が更に好ましい。また、一方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」は、他方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」に対して、0.8〜1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、外周領域7及び中央領域6のそれぞれを流れる電流の偏りを抑制することができる。そして、これにより外周領域7及び中央領域6のそれぞれにおいて、発熱の偏りを抑制することができる。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の外周領域7の電気抵抗率より低いものであることが好ましい。更に、電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の外周領域7の電気抵抗率の、0.1〜10%であることが更に好ましく、0.5〜5%であることが特に好ましい。0.1%より低いと、電極部21に電圧を印加したときに、電極部21内を「電極部の端部」まで流れる電流の量が多くなり、ハニカム構造部に流れる電流に偏りが生じ易くなることがある。そして、ハニカム構造部が均一に発熱し難くなることがある。10%より高いと、電極部21に電圧を印加したとき、電極部21内を広がる電流の量が少なくなり、ハニカム構造部に流れる電流に偏りが生じ易くなることがある。そして、ハニカム構造部が均一に発熱し難くなることがある。
【0049】
電極部21の厚さは、0.01〜5mmであることが好ましく、0.01〜3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、外周領域7及び中央領域6のそれぞれを、均一に発熱することができる。電極部21の厚さが0.01mmより薄いと、電気抵抗が高くなり均一に発熱できないことがある。5mmより厚いと、キャニング時に破損することがある。
【0050】
図1図2に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びると共に「両端部間(両端面11,12間)に亘る」帯状に形成されている。このように、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように配設されている。これにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、外周領域7及び中央領域6のそれぞれを流れる電流の偏りを、より効果的に抑制することができる。ここで、「電極部21が、ハニカム構造部4の両端部間に亘るように形成(配設)されている」というときは、以下のことを意味する。つまり、電極部21の一方の端部がハニカム構造部4の一方の端部(一方の端面)に接し、電極部21の他方の端部がハニカム構造部4の他方の端部(他方の端面)に接していることを意味する。
【0051】
一方、電極部21の「ハニカム構造部4のセル2の延びる方向」における少なくとも一方の端部が、ハニカム構造部4の端部(端面)に接していない(到達していない)状態も好ましい態様である。これにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態のハニカム構造体100においては、例えば、図1図4に示されるように、電極部21は、平面状の長方形の部材を、円筒形状の外周に沿って湾曲させたような形状となっている。ここで、湾曲した電極部21を、湾曲していない平面状の部材に変形したときの形状を、電極部21の「平面形状」と称することにする。上記、図1図4に示される電極部21の「平面形状」は、長方形になる。そして、「電極部の外周形状」というときは、「電極部の平面形状における外周形状」を意味する。
【0053】
本実施形態のハニカム構造体100においては、帯状の電極部の外周形状が、長方形の角部が曲線状に形成された形状であってもよい。このような形状にすることにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。また、帯状の電極部の外周形状が、長方形の角部が直線状に面取りされた形状であることも好ましい態様である。このような形状にすることにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0054】
本実施形態のハニカム構造体100においては、セルの延びる方向に直交する断面において、電流経路の長さが、ハニカム構造部の直径の1.6倍以下であることが好ましい。1.6倍を超えると、不必要にエネルギーを消費してしまうことがある。ここで、「電流経路」とは、電流が流れる経路のことである。また、「電流経路の長さ」とは、ハニカム構造体の「セルの延びる方向に直交する断面」における、電流が流れる「外周」の長さの0.5倍の長さのことである。これは、ハニカム構造体の「セルの延びる方向に直交する断面」における「電流の流れる経路」の中の、最大の長さであることを意味する。「電流経路の長さ」は、外周に凹凸が形成されたり、ハニカム構造部に、外周に開口するスリットが形成されていたりしたときには、当該凹凸やスリット内の表面に沿って測定した値である。そのため、例えば、ハニカム構造部に、外周に開口するスリットが形成されている場合には、スリットの深さの略2倍の長さ分だけ、「電流経路の長さ」は長くなる。
【0055】
電極部21の電気抵抗率は、0.1〜100Ωcmであることが好ましく、0.1〜50Ωcmであることが、更に好ましい。電極部21の電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、一対の電極部21,21が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部21の電気抵抗率が0.1Ωcmより小さいと、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端付近のハニカム部の温度が上昇し易くなることがある。電極部21の電気抵抗率が100Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たし難くなることがある。電極部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0056】
電極部21は、気孔率が30〜60%であることが好ましく、30〜55%であることが更に好ましい。電極部21の気孔率がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部21の気孔率が、30%より低いと、製造時に変形してしまうことがある。電極部21の気孔率が、60%より高いと、電気抵抗率が高くなりすぎることがある。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0057】
電極部21は、平均細孔径が5〜45μmであることが好ましく、7〜40μmであることが更に好ましい。電極部21の平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極部21の平均細孔径が、5μmより小さいと、電気抵抗率が高くなりすぎることがある。電極部21の平均細孔径が、45μmより大きいと、電極部21の強度が弱くなり破損し易くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0058】
電極部21の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合に、電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましく、20〜60μmであることが更に好ましい。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲で制御することができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が、10μmより小さいと、電極部21の電気抵抗率が大きくなり過ぎることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が、60μmより大きいと、電極部21の強度が弱くなり破損し易くなることがある。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0059】
電極部21の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合に、電極部21に含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましい。そして、電極部21に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、25〜35質量%であることが更に好ましい。電極部21に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲にすることができる。電極部21に含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、20質量%より小さいと、電気抵抗率が大きくなりすぎることがあり、40質量%より大きいと、製造時に変形し易くなることがある。
【0060】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることが更に好ましい。アイソスタティック強度は、値が大きいほど好ましいが、ハニカム構造体100の材質、構造等を考慮すると、6MPa程度が上限となる。アイソスタティック強度が1MPa未満であると、ハニカム構造体を触媒担体等として使用する際に、破損し易くなることがある。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0061】
(2)第1のハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態について説明する。
【0062】
本発明の第1のハニカム構造体の製造方法の一実施形態は、ハニカム成形体作製工程と、ハニカム乾燥体作製工程と、ハニカム焼成体作製工程と、未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程と、ハニカム構造体作製工程とを有するものである。そして、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム焼成体作製工程において、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、ハニカム乾燥体を焼成するものである。ハニカム成形体作製工程は、セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製する工程である。ハニカム乾燥体作製工程は、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する工程である。ハニカム焼成体作製工程は、ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する工程である。未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程は、ハニカム焼成体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム焼成体を作製する工程である。ハニカム構造体作製工程は、未焼成電極付きハニカム焼成体を焼成してハニカム構造体を作製する工程である。
【0063】
このように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム焼成体作製工程において、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、ハニカム乾燥体を焼成するものである。そのため、ハニカム乾燥体を焼成する際に、「珪素を主成分とする複数の粒子」に含有される珪素が、ハニカム構造体の側面から浸入し、「外周領域に珪素が含浸されたハニカム焼成体」が得られる。そして、それにより、「中央領域を構成する材料よりも電気抵抗率の低い材料により形成された領域である外周領域」が容易に形成される。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム構造部の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合の製造方法である。
【0064】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について、工程毎に説明する。
【0065】
(2−1)ハニカム成形体作製工程
まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製することが好ましい。このとき、炭化珪素粉末(炭化珪素)及び金属珪素粉末(金属珪素)がセラミック原料となる。炭化珪素粉末の質量と金属珪素粉末の質量との合計に対して、金属珪素粉末の質量が10〜40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3〜50μmが好ましく、3〜40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2〜35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。尚、これは、ハニカム構造部の材質を、珪素−炭化珪素系複合材料とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造部の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0066】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0〜10.0質量部であることが好ましい。
【0067】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20〜60質量部であることが好ましい。
【0068】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
【0069】
造孔材としては、焼成後に気孔が形成されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5〜10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0070】
次に、成形原料を混練して坏土を形成することが好ましい。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0071】
次に、坏土(成形原料)を押出成形してハニカム成形体を形成する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚さ、セル密度等を有する口金を用いることが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。ハニカム成形体は、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
【0072】
ハニカム成形体の隔壁厚さ、セル密度、外周壁の厚さ等は、乾燥、焼成における収縮を考慮し、作製しようとする本発明のハニカム構造体の構造に合わせて適宜決定することができる。
【0073】
(2−2)ハニカム乾燥体作製工程
得られたハニカム成形体について、乾燥を行う。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30〜99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0074】
ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、両端面(両端部)を切断して所望の長さとすることが好ましい。切断方法は特に限定されないが、丸鋸切断機等を用いる方法を挙げることができる。
【0075】
(2−3)ハニカム焼成体作製工程
次に、ハニカム乾燥体を焼成して、ハニカム焼成体を作製する。そして、ハニカム乾燥体の焼成の際には、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で焼成を行う。ここで、「珪素を主成分とする複数の粒子を、ハニカム乾燥体の側面に接触させた状態」というときは、珪素を主成分とする粒子が当該側面に直接接触している場合と、他の「珪素を主成分とする粒子」等を間に介した状態で側面に付着している場合を含む。他の「珪素を主成分とする粒子」等を間に介した状態で側面に付着している場合は、他の「珪素を主成分とする粒子」等を間に介した状態で接触しているということができる。また、主成分とは、90質量%以上含有される成分のことである。また、ハニカム乾燥体の焼成の際には、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、分散媒中に分散させて、分散液(スラリー又はペースト)を調製し、その分散液をハニカム乾燥体の側面(外周面)に塗布したものを焼成することが好ましい。分散液は、ハニカム乾燥体の側面全体に塗布することが好ましい。「珪素を主成分とする複数の粒子」は、「金属珪素」が、50質量%以上含有されることが好ましく、60質量%以上含有されることが更に好ましい。また、分散媒としては、水、無機接着材、有機バインダー、界面活性材、発泡樹脂等が好ましい。
【0076】
「珪素を主成分とする複数の粒子」の、ハニカム乾燥体の側面への接触量(付着量)は、0.1〜10g/cmが好ましく、1〜5g/cmが更に好ましい。0.1g/cmより少ないと、ハニカム構造体の外周領域の電気抵抗率を下げ難くなることがある。10g/cmより多いと、ハニカム構造体の外周領域の電気抵抗率が低くなりすぎることがある。上記「g/cm」の単位は、ハニカム乾燥体の側面の単位面積(cm)あたりのグラム数(g)を示す。
【0077】
分散液中の「珪素を主成分とする複数の粒子」の含有率は、30〜90質量%が好ましく、40〜85質量%が更に好ましくい。30質量%より低いと、外周領域の電気抵抗率を下げ難くなることがある。90質量%より高いと、粘度が高くなり、ハニカム乾燥体に塗布し難くなることがある。「珪素を主成分とする複数の粒子」の平均粒子径は、2〜35μmが好ましい。平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0078】
焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0079】
(2−4)未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調合することが好ましい。電極部の主成分を、「珪素−炭化珪素複合材料」とする場合、電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。
【0080】
具体的には、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して、混練して電極部形成原料を作製することが好ましい。炭化珪素粉末及び金属珪素の合計質量を100質量部としたときに、金属珪素の質量が20〜40質量部となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、10〜60μmが好ましい。金属珪素粉末(金属珪素)の平均粒子径は、2〜20μmであることが好ましい。金属珪素粉末(金属珪素)の平均粒子径が、2μmより小さいと、電気抵抗率が小さくなりすぎることがある。金属珪素粉末(金属珪素)の平均粒子径が、20μmより大きいと、電気抵抗率が大きくなりすぎることがある。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。
【0081】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。
【0082】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、15〜60質量部であることが好ましい。
【0083】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
【0084】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10〜30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、大気孔ができやすくなり、強度低下を起こすことがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0085】
次に、炭化珪素粉末(炭化珪素)、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して得られた混合物を混練して、ペースト状又はスラリー状の電極部形成原料とすることが好ましい。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
【0086】
次に、得られた「セラミック原料を含有する電極部形成原料」を、ハニカム焼成体の側面に塗布することが好ましい。電極部形成原料をハニカム焼成体の側面に塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、印刷方法を用いることができる。また、電極部形成原料は、上記本発明のハニカム構造体における電極部の形状になるように、ハニカム焼成体の側面に塗布することが好ましい。電極部の厚さは、電極部形成原料を塗布するときの厚さを調整することにより、所望の厚さとすることができる。このように、電極部形成原料をハニカム焼成体の側面に塗布し、乾燥、焼成するだけで電極部を形成することができるため、非常に容易に電極部を形成することができる。
【0087】
次に、ハニカム焼成体の側面に塗布した電極部形成原料を乾燥させて、未焼成電極を形成し、未焼成電極付きハニカム焼成体を作製することが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。
【0088】
(2−5)ハニカム構造体作製工程
次に、未焼成電極付きハニカム焼成体を焼成して、ハニカム構造体を作製する。このとき、主として、未焼成電極が焼成される。焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400〜500℃で、0.5〜20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400〜1500℃で、1〜20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200〜1350℃で、1〜10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0089】
(3)第2のハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明の第2のハニカム構造体の製造方法の一実施形態について説明する。
【0090】
本発明の第2のハニカム構造体の製造方法の一実施形態は、ハニカム成形体作製工程と、ハニカム乾燥体作製工程と、未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程と、ハニカム構造体作製工程とを有するものである。ハニカム成形体作製工程は、セラミック原料を含有する成形原料を押出成形して、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有するハニカム成形体を作製する工程である。ハニカム乾燥体作製工程は、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する工程である。未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程は、ハニカム乾燥体の側面に、セラミック原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて未焼成電極を形成して、未焼成電極付きハニカム乾燥体を作製する工程である。ハニカム構造体作製工程は未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成してハニカム構造体を作製する工程である。そして、ハニカム構造体作製工程において、珪素を主成分とする複数の粒子を、未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成する。
【0091】
このように、本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム構造体作製工程において、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させた状態で、未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成するものである。そのため、未焼成電極付きハニカム乾燥体を焼成する際に、「珪素を主成分とする複数の粒子」に含有される珪素が、未焼成電極付きハニカム乾燥体(ハニカム構造体)の側面から浸入する。そして、それにより、「中央領域を構成する材料よりも電気抵抗率の低い材料により形成された領域である外周領域」が容易に形成される。本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、ハニカム構造部の主成分が「珪素−炭化珪素複合材料」である場合の製造方法である。
【0092】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について、工程毎に説明する。
【0093】
(3−1)ハニカム成形体作製工程
ハニカム成形体作製工程は、上記本発明の第1のハニカム構造体の製造方法における「ハニカム成形体作製工程」と、同様であることが好ましい。
【0094】
(3−2)ハニカム乾燥体作製工程
ハニカム乾燥体作製工程は、上記本発明の第1のハニカム構造体の製造方法における「ハニカム乾燥体作製工程」と、同様であることが好ましい。
【0095】
(3−3)未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程
未焼成電極付きハニカム乾燥体作製工程は、上記本発明の第1のハニカム構造体の製造方法における「未焼成電極付きハニカム焼成体作製工程」において、「ハニカム焼成体」を「ハニカム乾燥体」に置き換えたものであることが好ましい。
【0096】
(3−4)ハニカム構造体作製工程
ハニカム構造体作製工程は、上記本発明の第1のハニカム構造体の製造方法における「ハニカム焼成体作製工程」において、「ハニカム乾燥体」を「未焼成電極付きハニカム乾燥体」に置き換えたものであることが好ましい。
【0097】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法は、焼成の回数が、ハニカム構造体作製工程における1回だけであるため、生産効率が高いという利点がある。これに対し、上記本発明の第1のハニカム構造体の製造方法においては、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、ハニカム乾燥体の側面に、より均一に付着させることができるという利点がある。
【0098】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法においては、「珪素を主成分とする複数の粒子」を、未焼成電極付きハニカム乾燥体の側面に接触させる際には、「珪素を主成分とする複数の粒子」を特定の位置に接触(付着)させることが好まし。その特定の位置は、ハニカム乾燥体の側面であって未焼成電極が配設されていない部分(位置)であることが好ましい。
【実施例】
【0099】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミック原料を調製した。そして、セラミック原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であった。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0101】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
【0102】
次に、ハニカム乾燥体の側面に、金属珪素粉末を水に分散させたスラリー(分散液)を、塗布した。分散液中の金属珪素粉末の濃度は、70質量%であった。また、金属珪素粉末の平均粒子径は、15μmであった。平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。金属珪素粉末の「ハニカム乾燥体の側面」に付着した量は、ハニカム乾燥体の側面の単位面積当たり1g/cmであった。
【0103】
その後、分散液が付着したハニカム乾燥体を、脱脂(仮焼)し、焼成し、更に酸化処理してハニカム焼成体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
【0104】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であり、グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であり、界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であり、水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0105】
次に、電極部形成原料を、ハニカム焼成体の側面に、厚さが1.5mm、「セルの延びる方向に直交する断面において中心角の0.5倍が50°」になるようにして、ハニカム焼成体の両端面間に亘るように帯状に塗布した。電極部形成原料は、ハニカム焼成体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に配置されるようにした。
【0106】
次に、ハニカム焼成体に塗布した電極部形成原料を乾燥させて、未焼成電極付きハニカム焼成体を得た。乾燥温度は、70℃とした。
【0107】
その後、未焼成電極付きハニカム焼成体を、脱脂(仮焼)し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
【0108】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは90μmであり、セル密度は90セル/cmであった。また、ハニカム構造体の底面は直径93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは75mmであった。また、得られたハニカム構造体のアイソスタティック強度は2.5MPaであった。アイソスタティック強度は水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。また、ハニカム構造体の、2つの電極部の、セルの延びる方向に直交する断面における中心角の0.5倍は、50°であった。また、2つの電極部の厚さは、いずれも0.15mmであった。また、電極部の電気抵抗率は、1.3Ωcmであり、ハニカム構造部の中央領域の電気抵抗率は、35Ωcmであり、外周領域の電気抵抗率は、20Ωcmであった。中央領域の、セルの延びる方向に直交する断面の半径(中央領域半径)は、25mmであった。中央領域半径は、セルの延びる方向に直交する断面において、中心Oから中央領域の外周までの距離である。また、外周領域は、境界領域を有していた。境界領域の厚さは、10mmであった。境界領域の電気抵抗率は、「外周領域側の端」から「中央領域との境界」にかけて、漸次増加するものであった。電気抵抗率は、四端子法により測定した値である。
【0109】
尚、ハニカム構造部の中央領域及び外周領域のそれぞれの電気抵抗率、及び「境界領域の電気抵抗率が漸次変化していること」は、以下の方法で測定した。まず、ハニカム構造部を、セルの延びる方向に直交する断面を有するとともに厚さが1cmである円板(円板41、図6を参照)が形成されるように輪切りにした。円板は、ハニカム構造部の「セルの延びる方向」における「両端部及び中央部」の、3箇所から切り出した。そして、各円板41を、図6に示されるように、「円板41の端面」の中心を通る直線及び当該直線に平行な直線に沿って、幅3mmで切断し、図7に示されるような棒状サンプル42を複数本作製した。図6においては、「円板41の端面の中心を通る直線及び当該直線に平行な直線」を破線で示している。また、上記「幅3mm」は、図6に示される破線で示された直線間の距離が3mmであることを意味する。
【0110】
そして、各棒状サンプル42について、図7に示されるように、電圧を印加し、中央部分における長さLの範囲の体積抵抗率(電気抵抗率)を求めた(4線抵抗式測定)。長さLは、4cmとした。「3つの円板41のそれぞれにおける同じ位置」から切り出した棒状サンプル42を「同じ位置の棒状サンプル」とする。このとき、「同じ位置の棒状サンプル」は、3本ずつ存在することになる(各円板から1本ずつとれる)。そして、3本の「同じ位置の棒状サンプル」の電気抵抗率の平均値をとり、当該位置の電気抵抗率とした。これにより、ハニカム構造部の中央領域及び外周領域の電気抵抗率を確認するとともに、境界領域の電気抵抗率が漸次変化していることを確認した。図6は、実施例1のハニカム構造体を輪切りにして形成した円板41である。図7は、実施例1のハニカム構造体から切り出した棒状サンプル42である。
【0111】
また、電極部の電気抵抗率は、以下の方法で測定した。電極部と同じ材質で10mm×10mm×50mmの試験片を作成した。試験片の両端部全面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにした。試験片に電圧印加電流測定装置をつなぎ印加した。試験片中央部に熱伝対を設置し、電圧印加時の試験片温度の経時変化をレコーダーにて確認した。100〜200V印加し、試験片温度が400℃の状態における電流値及び電圧値を測定し、得られた電流値及び電圧値、並びに試験片寸法から電気抵抗率を算出した。
【0112】
得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で「ハニカム構造部の最高温度」を測定した。結果を表1に示す。
【0113】
(ハニカム構造部の最高温度)(最高温度)
まず、ハニカム構造体に200Vの電圧を印加し、通電試験を行う。そして、その際のハニカム構造部の最高温度を測定する。ハニカム構造部の最高温度が200℃以下であれば、ハニカム構造体における温度分布の偏りが抑制された状態であるということができる。最高温度の測定は、以下のようにして行う。つまり、ハニカム構造体に200Vの電圧を印加したときの、ハニカム構造部の「セルの延びる方向に直交する断面における、電極部の端部(周方向の端部)が接する位置と、電極部の周方向の中央点が接する位置」の温度を測定し、最も高い温度を最高温度とする。尚、ハニカム構造部における、電極部の端部(周方向の端部)が接する位置か、電極部の周方向の中央点が接する位置のいずれかが、最も電流が流れる位置であり、ハニカム構造体において最も高い温度となる部分である。
【0114】
【表1】
【0115】
(実施例2〜9、比較例1)
中央領域及び外周領域の(材料の)電気抵抗率、中央領域の半径(セルの延びる方向に直交する断面における半径)、及び、境界領域の厚さを、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。実施例1の場合と同様にして、ハニカム構造体の「ハニカム構造部の最高温度」を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
表1より、外周領域を構成する材料の電気抵抗率を、中央領域を構成する材料の電気抵抗率より低くすると、電圧を印加したときの温度分布の偏りを抑制することができる、ことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のハニカム構造体は、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化装置用の触媒担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、6:中央領域、7:外周領域、8:境界領域、8a:中央領域との境界、8b:外周領域側の端、11:流入端面、12:流出端面、21:電極部、41:円板、42:棒状サンプル、100,200:ハニカム構造体、O:中心、α:中心角、β:角度、θ:中心角の0.5倍の角度、L:長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7