(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記作成手段は、暑がり体質の居住者と寒がり体質の居住者とを異なるエリアの座席に割り当てるよう座席割当情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の座席割当情報提供装置。
前記作成手段は、室温が相対的に低いエリア内の座席に暑がり体質の居住者を、室温が相対的に高いエリア内の座席に寒がり体質の居住者を、それぞれ割り当てるよう座席割当情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の座席割当情報提供装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人間には暑がりや寒がりなど様々な体質の人がいる。空調機の設定温度の変更は、各居住者が各自のユーザ端末から設定できるようになると、居室内の室温が高いと感じる居住者は室温が低くなるよう設定温度を変更し、一方、居室内の室温が低いと感じる居住者は室温が高くなるよう設定温度を変更するかもしれない。居室内における同じ空調機に対する設定温度の変更指示は、ユーザ端末から後に操作した居住者による指示が反映される。そのため、先に操作した居住者にとってしてみれば、希望する設定温度で設定されないことになり、快適でない居室環境がそのまま継続することになる。また、このような場合、むやみな設定温度の変更が頻発すると、空調機に負荷がかかってしまう可能性もある。
【0005】
本発明は、テナントの居住者に快適な居室環境を提供するための情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る座席割当情報提供装置は、居住者が室温の設定温度を変更したときの日時、当該居住者の識別情報及び変更後の設定温度を含む室温変更情報を取得する室温変更情報取得手段と、居室内を複数のエリアに分けたときの各エリアにおける測定された室温を含む室温情報を取得する室温情報取得手段と、前記エリアと当該エリアに座席が設けられた居住者の識別情報とが対応付けられた座席情報を取得する座席情報取得手段と、取得された室温情報及び室温変更情報を参照して、室温の設定温度を変更した居住者毎に、変更後の設定温度と当該居住者が設定温度を変更したときの室温との対応関係から、当該居住者の体質を解析する居住者解析手段と、前記居住者解析手段による解析結果に基づいて、類似した体質の居住者を同じエリア内の座席に配置するための座席割当情報を作成する作成手段と、を有するものである。
【0007】
また、前記作成手段は、暑がり体質の居住者と寒がり体質の居住者とを異なるエリアの座席に割り当てるよう座席割当情報を作成するものである。
【0008】
また、前記作成手段は、室温が相対的に低いエリア内の座席に暑がり体質の居住者を、室温が相対的に高いエリア内の座席に寒がり体質の居住者を、それぞれ割り当てるよう座席割当情報を作成するものである。
【0009】
本発明に係るテナントビルシステムは、テナントビルに設置された設備の監視を行うビル監視システムと、テナントビルにおける入退室管理を行う入退室管理システムと、テナント向けにサービスを提供するテナントサーバと、テナントの居住者がそれぞれ使用する端末装置と、を有し、前記テナントサーバは、前記端末装置から、居住者が室温の設定温度を変更したときの日時、当該居住者の識別情報及び変更後の設定温度を含む室温変更情報を取得する室温変更情報取得手段と、前記ビル監視システムから、居室内を複数のエリアに分けたときの各エリアにおける測定された室温を含む室温情報を取得する室温情報取得手段と、前記入退室管理システムから、前記エリアと当該エリアに座席が設けられた居住者の識別情報とが対応付けられた座席情報を取得する座席情報取得手段と、取得された室温情報及び室温変更情報を参照して、室温の設定温度を変更した居住者毎に、変更後の設定温度と当該居住者が設定温度を変更したときの室温との対応関係から、当該居住者の体質を解析する居住者解析手段と、前記居住者解析手段による解析結果に基づいて、類似した体質の居住者を同じエリア内の座席に配置するための座席割当情報を作成する作成手段と、を有するものである。
【0010】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、居住者が室温の設定温度を変更したときの日時、当該居住者の識別情報及び変更後の設定温度を含む室温変更情報を取得する室温変更情報取得手段、居室内を複数のエリアに分けたときの各エリアにおける測定された室温を含む室温情報を取得する室温情報取得手段、前記エリアと当該エリアに座席が設けられた居住者の識別情報とが対応付けられた座席情報を取得する座席情報取得手段、取得された室温情報及び室温変更情報を参照して、室温の設定温度を変更した居住者毎に、変更後の設定温度と当該居住者が設定温度を変更したときの室温との対応関係から、当該居住者の体質を解析する居住者解析手段、前記居住者解析手段による解析結果に基づいて、類似した体質の居住者を同じエリア内の座席に配置するための座席割当情報を作成する作成手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テナントの居住者に快適な居室環境を提供するための情報を提供することができる。
【0012】
また、居室内の温度差を有効活用して暑がり体質及び寒がり体質の居住者に対して居室内の温度差を活かした快適な居室環境を提供するための情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る座席割当情報提供装置を含むテナントビルシステムの一実施の形態を示した全体構成図である。
【
図2】本実施の形態におけるテナントサーバを形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。
【
図3】本実施の形態における提案書作成処理を示したフローチャートである。
【
図4】本実施の形態におけるユーザ情報のデータ構成例を示した図である。
【
図5】本実施の形態における座席情報のデータ構成例を示した図である。
【
図6】本実施の形態における室温情報のデータ構成例を示した図である。
【
図7】本実施の形態における室温変更情報のデータ構成例を示した図である。
【
図8】本実施の形態における提案書作成部が作成する日報の一例を示した図である。
【
図9】本実施の形態における提案書作成部が作成する月報の一例を示した図である。
【
図10】本実施の形態における提案書作成部が、収集した情報から推定した各居住者の体質を模式的に示した図である。
【
図11】本実施の形態における提案書作成部が推定した各居住者の体質に基づいて各居住者に座席を割り当てた場合の座席位置を示す座席割当情報を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る座席割当情報提供装置を含むテナントビルシステムの一実施の形態を示した全体構成図である。ただし、本実施の形態の説明に用いない構成要素は適宜省略している。テナントビルには、複数のテナントが入居しているが、各テナント1とも同様に空調設備は構成されているので、
図1には、1つのテナント1のみを示した。また、テナント1が複数の居室を借りている場合もあるが、各居室ともに1台の空調機(図示せず)が設置され、また座席をレイアウトしているものとして、
図1では便宜的に1つの居室2のみを示した。
【0016】
複数のユーザ(居住者)は、各自が業務を行うために座席3及びユーザ端末4が割り当てられている。ユーザ端末4は、ネットワーク5を介してテナントサーバ30に接続可能であり、ユーザは、各自のユーザ端末4から室温の設定変更指示をテナントサーバ30へ送信することが可能である。本実施の形態においては、座席3を複数のグループに分けた状態に設置することによって、居室2を複数のエリアに分割する。
図1には4つのエリアA〜Dに分けられた例が示されているが、エリアの数、また各エリアに設置される座席の数は
図1に示した例に限定する必要はない。
【0017】
テナントビルには、テナントビルに設置された空調等の設備の監視を行うビル監視システム10及びテナントビルや各居室2の入退室管理を行う入退室管理システム20が設けられている。ビル監視システム10に含まれる中央監視サーバ11、入退室管理システム20に含まれる入退室管理サーバ21及びテナントサーバ30はネットワーク5に接続される。
【0018】
ビル監視システム10は、中央監視サーバ11、ローカルコントローラ12及び温度センサ13を有する。温度センサ13は、エリア毎に設置され、当該エリアの室温を測定する。ローカルコントローラ12は、空調機の動作制御等を行うコントローラである。ローカルコントローラ12は、接続された温度センサ13による測定データ(室温)を収集し、中央監視サーバ11へ送る。テナントビルの居室数や温度センサ13の設置数に応じて複数のローカルコントローラ12を設置してもよい。中央監視サーバ11は、ビル監視全体を行うために設けられたサーバンピュータである。中央監視サーバ11は、ローカルコントローラ12から送られてきた測定データをネットワーク5を介してテナントサーバ30へ送信する。室温は温度センサ13により1分周期で測定されるが、本実施の形態では、後述するように1時間毎の室温を用いるので、中央監視サーバ11が1時間毎の室温の平均値を算出してからテナントサーバ30へ送信するようにしてもよい。本実施の形態におけるビル監視システム10は、既存のシステム構成をそのまま利用してもよい。
【0019】
入退室管理システム20は、入退室管理サーバ21、IDコントローラ22及びカードリーダ(CR)23を有する。カードリーダ23は、各居室2の出入口に設置され、各ユーザが入室及び退室する際に、個人識別コードが記録されたIDカードを読み取る。なお、
図1では、便宜的に1つのカードリーダ23で図示したが、実際には居室2の外側に入室管理用のカードリーダが、居室2の内側に退室管理用のカードリーダがそれぞれ設置される。IDコントローラ22は、カードリーダ23による読取データを収集し、入退室管理サーバ21へ送る。IDコントローラ22は、居室毎、テナント毎あるいはフロア毎等に設置される。入退室管理サーバ21は、テナントビル全体の入退室の管理を行うために設けられたサーバンピュータである。入退室管理サーバ21は、各IDコントローラ22から送られてきた読取データを参照することで各ユーザの所在位置を認識する。また、入退室管理サーバ21は、各テナントにおいて、各ユーザがどの座席3に割り当てられているかを把握するための座席情報を保持している。本実施の形態における入退室管理システム20は、既存のシステム構成をそのまま利用してもよい。
【0020】
テナントサーバ30は、中央監視サーバ11及び入退室管理サーバ21と同様にテナントビルの管理室に設置され、テナント向けにサービスを提供するために利用されるサーバコンピュータである。
図2は、本実施の形態におけるテナントサーバ30を形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態においてテナントサーバ30を形成するサーバコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU41、ROM42、RAM43、ハードディスクドライブ(HDD)44を接続したHDDコントローラ45、入力手段として設けられたマウス46とキーボード47、及び表示装置として設けられたディスプレイ48をそれぞれ接続する入出力コントローラ49、通信手段として設けられたネットワークコントローラ50を内部バス51に接続して構成される。なお、中央監視サーバ11及び入退室管理サーバ21も同じサーバコンピュータであり、テナントサーバ30と同様に構成してよい。
【0021】
図1に戻り、テナントサーバ30は、情報収集部31、提案書作成部32、ユーザ情報保持部33、座席情報保持部34、室温情報蓄積部35及び室温変更情報蓄積部36を有している。情報収集部31は、室温変更情報取得手段、室温情報取得手段及び座席情報取得手段として設けられている。すなわち、情報収集部31は、ユーザ端末4から送信されてくる室温変更情報をネットワーク5を介して受信することで取得し、室温変更情報蓄積部36に登録する。また、情報収集部31は、ビル監視システム10から送信されてくる室温情報をネットワーク5を介して受信することで取得し、室温情報蓄積部35に登録する。また、情報収集部31は、入退室管理システム20から送信されてくる座席情報をネットワーク5を介して受信することで取得し、座席情報保持部34に登録する。
【0022】
提案書作成部32は、居住者解析手段として設けられ、情報収集部31により取得された室温情報及び室温変更情報を参照して、室温の設定温度を変更した居住者毎に、変更後の設定温度と当該居住者が設定温度を変更したときの室温との対応関係から、当該居住者の体質を解析する。更に、提案書作成部32は、作成手段として設けられ、解析結果に基づいて、類似した体質の居住者を同じエリア内の座席に配置するための座席割当情報を作成する。
【0023】
テナントサーバ30における情報収集部31及び提案書作成部32は、テナントサーバ30を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU41で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶手段33〜36は、テナントサーバ30に搭載されたHDD44にて実現される。あるいは、RAM43又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0024】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0025】
次に、本実施の形態における提案書作成処理について
図3に示したフローチャートを用いて説明する。本実施の形態においては、月、四半期あるいは半年などの期間内に取得された情報に基づいて提案書を作成することになるので、提案書作成処理は、月末、期末等期間終了時以降に実施すればよい。
【0026】
まず、情報収集部31は、ビル監視システム10、入退室管理システム20及びユーザ端末4からそれぞれ送られてくる各種情報を取得すると、該当する記憶手段33〜36に登録する(ステップ110)。ここで、各記憶手段33〜36に記憶された各種情報について説明する。
【0027】
図4は、本実施の形態におけるユーザ情報保持部33にて保持されるユーザ情報のデータ構成例を示した図である。ユーザ情報は、各テナントに在籍している居住者(ユーザ)に関する情報であり、各ユーザがどのテナントに所属しているかを示す情報を含んでいる。本実施の形態においては、ユーザ情報を、各テナントを識別する情報(テナントID)に当該テナントに所属する従業員(居住者)を識別する個人情報(ユーザID)を対応付けして設定する。ユーザ情報は、テナントの管理者等が所定の設定画面から設定、また適宜更新されるとユーザ情報保持部33に登録される。なお、入退室管理サーバ21もユーザ情報を有しているので、入退室管理サーバ21から取得するようにしてもよい。この場合、入退室管理サーバ21におけるユーザ情報が更新されると、テナントサーバ30は、入退室管理サーバ21と同期してユーザ情報保持部33を自動的に更新するようにしてもよい。
【0028】
図5は、入退室管理システム20から取得する座席情報のデータ構成例を示した図である。本実施の形態では、
図1に例示したように居室2を複数のエリアに分け、エリア毎に座席をまとめて配置する。座席情報は、各テナントにおいて各エリアに座席が設けられた居住者を特定するための情報であり、テナントID及び当該テナントにおいて居室2のエリアを識別する情報(エリアID)に、当該エリアに座席が設けられたユーザ(居住者)を識別する情報(ユーザID)が対応付けして設定される。なお、本実施の形態では、座席情報に含まれるユーザIDの並び順で当該エリアにおける座席の位置がわかるようにしているが、データ構成はこの例に限る必要はない。座席情報は、頻繁に更新される性質の情報ではないので、提案書作成処理を実行する度に取得せずに入退室管理システム20において座席情報が更新されたタイミングで取得し、更新するようにしてもよい。
【0029】
図6は、ビル監視システム10から取得する室温情報のデータ構成例を示した図である。前述したように、室温は、エリア毎に設置された温度センサ13により1分毎に測定される。本実施の形態では、同じ居室2とは言え、空調機の吹き出し口や居室2の窓の位置や方角等からエリアによって室温が若干異なることを想定しているのでエリア毎に室温を測定するようにしている。本実施の形態では、1分毎に測定された室温から算出した1時間毎の平均値を当該時間帯における当該エリアの室温とする。すなわち、室温情報は、室温を求めた時間の範囲を示す「日時」に、各エリアにおける室温(平均値)が対応付けして登録される。室温(平均値)は、ビル監視システム10で求めるようにしてもよいし、テナントサーバ30にて求めるようにしてもよい。また、1時間毎の平均値を用いなくても中央値、最頻値、あるいは1時間以外の所望の時間幅の平均値等を算出するようにしてもよい。情報収集部31は、室温情報を、提案書作成処理の実行時にビル監視システム10からまとめて取得してもよいし、1時間経過する度に取得するようにしてもよい。
【0030】
ところで、本実施の形態では、前述したようにテナント向けサービスの一つとしてテナントにおいて室温の設定温度の変更ができるようにしている。具体的には、各テナントの居住者(ユーザ)が使用するユーザ端末4に表示された所定の設定変更画面から所定の操作をすることで設定温度を変更できるようにしている。ユーザが室温の設定温度の変更指示操作をすると、ユーザ端末4は、その操作指示に応じて室温の設定温度を変更するようローカルコントローラ12に要求する。ローカルコントローラ12は、この要求に応じて設定温度を変更する。また、この要求と同時に、ユーザ端末4は、ユーザが室温の設定温度を変更したときの日時、当該ユーザの識別情報(ユーザID)及び変更後の設定温度を含む室温変更情報をテナントサーバ30へ送信する。なお、本実施の形態では、各座席3にユーザ端末4が設置されていることから、設定温度の変更に用いられたユーザ端末4が特定されるとユーザは特定される。そして、前述したように、情報収集部31は、送信されてきた室温変更情報を室温変更情報蓄積部36に登録する。
【0031】
図7は、ユーザ端末4から取得する室温変更情報のデータ構成例を示した図である。室温変更情報は、その室温の設定温度の変更に関する情報であり、居住者(ユーザ)が室温の設定温度を変更したときの日時、変更後の設定温度(「変更温度」)及び当該ユーザの識別情報(ユーザID)を含む。つまり、室温変更情報を参照することで、いつ誰が室温を何度に設定変更したかを認識できる。情報収集部31は、室温変更情報を、室温の設定温度が変更される度に取得する。なお、室温の設定温度に変更に関する情報はローカルコントローラ12にも送られることから、情報収集部31は、中央監視サーバ11経由で室温変更情報を取得するようにしてもよい。この場合、室温変更情報を、提案書作成処理の実行時にビル監視システム10からまとめて取得してもよい。
【0032】
図3に戻り、続いて、提案書作成部32は、情報収集部31により取得された情報をもとに以下のように日報を作成する(ステップ120)。この日報の作成例の一部を
図8に示す。
【0033】
図8には、ある日の、測定されたエリア毎の室温の表示欄53と、居住者が室温の設定温度を変更した内容を示す表示欄52とが各時間帯で対応付けして作成された日報が示されている。この日報の例によると、例えば、エリアBに座席のあるuser002のユーザは、室温が26℃の12時台に20℃に、また室温が24℃の17時台に19℃に、それぞれ設定温度を変更したことがわかる。このような日報を日毎に作成する。
【0034】
続いて、提案書作成部32は、日報をもとに以下のようにして月報を作成し、各ユーザの体質を判定する(ステップ130)。この月報の作成例の一部を
図9に示す。
【0035】
提案書作成部32は、各日の日報を参照して、ユーザにより室温の設定温度が変更されたときに、その変更前後の室温を抽出して、"→"でその前後の室温を関連付けして、該当するユーザの該当する日の枠に書き込む。例えば、エリアBに座席のあるuser002のユーザは、7月1日において室温が26℃の12時台に20℃に、また室温が24℃の17時台に19℃に、それぞれ設定温度を変更しているので、この室温の設定温度の変更を抽出することになる。
【0036】
月報を参照すると、室温(測定値)に対する設定温度の上げ下げの傾向から設定温度を変更したユーザの体質が推定できる。
図9に例示した月報によると、室温を極端に下げる傾向にあるuser002及びuser024は、室温(測定値)が特に高温というほどでもないのに設定温度を下げていることから暑がり体質であることがわかる。一方、室温を上げる傾向にあるuser003は、室温(測定値)が低温というほどでもないのに設定温度を上げていることから寒がり体質であることがわかる。提案書作成部32は、このように、暑がり体質又は寒がり体質であることが顕著である設定温度の変更操作を体質を推定しうる操作、つまり有効操作と判定する。
【0037】
これに対し、user001は、室温を上げる方にも下げる方にも変更していることから体質が暑がり体質又は寒がり体質と推定しにくい。7月21日には、室温が30度のところを20度と大幅に室温を下げているが、30度という室温は高温であることは明らかなので、仮に暑がり体質でなくても設定温度を変更するかもしれない、つまり、暑がり体質によるものではないと推定できる。提案書作成部32は、このような設定温度の変更操作を、体質を判定しにくい操作、つまり有効でない操作と判定する。
【0038】
このように、提案書作成部32は、作成した月報を参照して室温(測定値)の値、変更後の値、変更幅等を考慮して室温の設定温度の操作が有効操作か、そうでない操作かを判定する。そして、提案書作成部32は、有効操作の回数をユーザ毎にカウントし、室温を下げる又は上げる設定温度の変更操作を所定の閾値以上に行ったユーザを、暑がり体質又は寒がり体質と判定する。
【0039】
図10は、現時点の各ユーザの座席の位置及び体質を模式的に示した図である。
図10において、丸の中に"H"と記されたユーザは、ステップ130において暑がり体質と、丸の中に"C"と記されたユーザは、ステップ130において寒がり体質と、それぞれ推定されている。なお、丸の中が空なのは暑がり体質とも寒がり体質とも推定されなかったユーザである。
図10を参照すると、エリアA,B,Dのようにエリアによっては、暑がり体質と寒がり体質とが混在していることがわかる。
【0040】
図11は、提案書作成部32がステップ130における体質の推定結果を参照して各ユーザに座席を割り当てた場合の位置を示す座席割当情報を模式的に示した図である。
図11に示したように、提案書作成部32は、各ユーザの体質を参照して、類似した体質のユーザを同じエリア内の座席に配置するための座席割当情報を作成する。
図11に示した例だと、寒がり体質のユーザはエリアAに、暑がり体質のユーザはエリアAから遠いエリアDに、それぞれ座席が割り当てられている。ただ、寒がり体質のユーザ数がエリアAの座席数を超えている場合には、寒がり体質のユーザ(
図11の例だと、user003とuser051)をエリアAに近い座席に割り当てる。
【0041】
提案書作成部32は、このようにして作成した座席割当情報を含む提案書を作成して、テナントの管理者等に提供する(ステップ140)。なお、提案書には、座席割当情報の作成過程において作成した日報や月報、更に
図10に示した現状を示す情報を含めてもよい。作成した提案書は、テナントの管理者等に電子データ若しくは印刷して配布すればよい。
【0042】
この提案書を参照して座席の位置を変更することで、居住者それぞれが感じる居室環境の不快感を解消することが可能になる。また、不快感が解消されると、ユーザ端末4からの室温の設定温度の変更回数も削減され、これにより空調機にかかる負荷が軽減されることにもなる。
【0043】
なお、類似した体質をエリアに配置する際、例えば、各エリアの室温(測定値の平均値)を参照して、室温が相対的に高いエリアに寒がり体質のユーザを、室温が相対的に低いエリアに暑がり体質のユーザを、それぞれ配置するのが好適である。また、南側に窓がある居室2の場合、日差しの影響が受けやすいため晴天の日には室温が上がる傾向にある。従って、南向きの窓側のエリア又は南側の座席に並ぶように寒がり体質のユーザを配置するようにしてもよい。また、1年を通して、夏場は寒がり体質のユーザを、冬場は暑がり体質のユーザを配置するようにしてもよい。