(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038836
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 39/24 20060101AFI20161128BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
B29C39/24
B29C39/10
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-87954(P2014-87954)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-205466(P2015-205466A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年8月13日
【審判番号】不服2016-6539(P2016-6539/J1)
【審判請求日】2016年5月2日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】北本 宗
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 拓也
(72)【発明者】
【氏名】恋田 貴史
【合議体】
【審判長】
小野寺 務
【審判官】
橋本 栄和
【審判官】
大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−313080(JP,A)
【文献】
特開平10−296939(JP,A)
【文献】
特開2000−313081(JP,A)
【文献】
特開2002−294603(JP,A)
【文献】
特開2001−347532(JP,A)
【文献】
特開2003−205187(JP,A)
【文献】
特開平7−80858(JP,A)
【文献】
特開平8−52746(JP,A)
【文献】
特開2015−54419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C39/00-39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材が互いに絡み合いながら湾曲しつつ複数の接着点で互いに接着されることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透可能な浸透膜を前記立体網状構造体の外表面に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体の一部に含浸させる、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項2】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材が互いに絡み合いながら湾曲しつつ複数の接着点で互いに接着されることにより形成された立体網状構造体の外表面に発泡体原料が浸透可能な浸透膜が配置された前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体の一部に含浸させる、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項3】
前記浸透膜は、モノフィラメントの繊維により形成された不織布である、請求項1又は2に記載の立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項4】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透可能な浸透膜を前記立体網状構造体の外表面に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させ、
前記浸透膜は、繊維により形成された布であり、
前記布を形成する前記繊維は、表面が露出しないように樹脂により被覆されている、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項5】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透可能な浸透膜を前記立体網状構造体の外表面に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させ、
前記浸透膜は、孔部及びスリット部のいずれかを有する樹脂のフィルムである、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項6】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透可能な浸透膜を前記立体網状構造体の外表面に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させ、
前記浸透膜は、頂部で曲がった複数のスリット部を有する樹脂のフィルムであり、
複数の前記スリット部の中の一対の前記スリット部は、互いに反対の方向に曲がり、前記頂部同士が互いに対向するように配置されている、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項7】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透可能な浸透膜を前記立体網状構造体の外表面に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記浸透膜を介して前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させ、
前記浸透膜は、頂部で曲がった複数のスリット部を有する樹脂のフィルムであり、
複数の前記スリット部の中の一対の前記スリット部は、互いに同じ方向に曲がり、前記頂部同士が互いに同じ方向に向くように配置されている、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項8】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーのいずれかにより形成され、外周径が0.1〜7mmであり、弾性を有する複数の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程と、
前記発泡体原料を固化させる工程と、
前記立体網状構造体及び前記発泡体原料を配置する工程の前に、前記発泡体原料が浸透不可能な含浸防止膜を前記立体網状構造体の内部に配置する工程と、
を含み、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記含浸防止膜により浸透不可能とされなかった前記立体網状構造体の部位に前記発泡体原料を含浸させる、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【請求項9】
前記立体網状構造体の一部に、前記立体網状構造体の前記一部以外の部分よりも硬度が低い低硬度部を有し、
前記発泡体原料を前記立体網状構造体に含浸させる工程では、前記低硬度部に前記発泡体原料を含浸させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、弾性を有する複数の樹脂の線材が互いに絡み合いながら湾曲しつつ複数の接着点で互いに接着されることにより形成された立体網状構造体が開示されている。このような立体網状構造体は緩衝材として優れた特性を有する。また、このような立体網状構造体は通気性に優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−60861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、緩衝材としては、液状の発泡体原料が発泡しつつ固化することにより形成される発泡体がある。産業上で立体網状構造体及び発泡体のそれぞれの特性を活用するために、上記の立体網状構造体と発泡体とを接合させた接合体を製造することが要求されている。しかし、接着剤や両面テープを用いた接着では、立体網状構造体と発泡体との接合強度は不十分である。そこで、立体網状構造体と発泡体との接合強度の改善が要求されている。
【0005】
本発明は上記課題を考慮してなされたものであり、接合強度を向上させた立体網状構造体と発泡体との接合体を製造することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、樹脂の線材を立体的に組み合わせることにより形成された立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程と、発泡体原料を立体網状構造体に含浸させる工程と、発泡体原料を固化させる工程とを含む立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法である。
【0007】
この構成によれば、発泡体原料が立体網状構造体に含浸させられる。また、発泡体原料が固化させられる。立体網状構造体に含浸させられた発泡体原料は、立体網状構造体の複数の線材と広い面積で接しつつ固化させられる。このため、接合強度を向上させた立体網状構造体と発泡体との接合体を製造することができる。
【0008】
この場合、立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程の前に、発泡体原料が浸透可能な浸透膜を立体網状構造体の外表面に配置する工程をさらに含み、発泡体原料を立体網状構造体に含浸させる工程では、浸透膜を介して発泡体原料を立体網状構造体に含浸させることができる。
【0009】
この構成によれば、浸透膜を介して発泡体原料を立体網状構造体に含浸させる。よって、浸透膜の発泡体原料が浸透可能な量を調整することにより、発泡体原料が立体網状構造体に含浸した後に固化したことにより形成される含浸部の幅を調整することができる。
【0010】
また、浸透膜は、繊維により形成された布であり、布を形成する繊維は、表面が露出しないように樹脂により被覆されていることができる。
【0011】
この構成によれば、浸透膜は繊維により形成された布であり、布を形成する繊維は表面が露出しないように樹脂により被覆されている。このため、発泡体原料が浸透膜を介して立体網状構造体に含浸する際に、発泡体原料の気泡が布を形成する繊維の凹凸により消滅し難い。よって、発泡体原料の気泡が消滅することにより、立体網状構造体の発泡体原料が含浸した部分が硬化することを防止することができる。
【0012】
また、浸透膜は、モノフィラメントの繊維により形成された不織布であることができる。
【0013】
この構成によれば、浸透膜は、モノフィラメントの繊維により形成された不織布である。モノフィラメントの繊維は、マルチフィラメントの繊維のような表面の凹凸が無い。また、不織布は、織物の布に比べて発泡体原料が浸透する部分の凹凸が少ない。このため、発泡体原料が浸透膜を介して立体網状構造体に含浸する際に、発泡体原料の気泡が布を形成する繊維の凹凸により消滅し難い。よって、発泡体原料の気泡が消滅することにより、立体網状構造体の発泡体原料が含浸した部分が硬化することを防止することができる。
【0014】
また、浸透膜は、孔部及びスリット部のいずれかを有する樹脂のフィルムであることができる。
【0015】
この構成によれば、浸透膜は、孔部及びスリット部のいずれかを有する樹脂のフィルムである。樹脂のフィルムは、織物の布のような繊維による凹凸が無い。このため、発泡体原料が浸透膜を介して立体網状構造体に含浸する際に、発泡体原料の気泡が布を形成する繊維の凹凸により消滅しない。よって、発泡体原料の気泡が消滅することにより、立体網状構造体の発泡体原料が含浸した部分が硬化することを防止することができる。
【0016】
また、浸透膜は、頂部で曲がった複数のスリット部を有する樹脂のフィルムであり、複数のスリット部の中の一対のスリット部は、互いに反対の方向に曲がり、頂部同士が互いに対向するように配置されていることができる。
【0017】
この構成によれば、頂部同士が互いに対向する一対の頂部で曲がったスリット部は、互いに他のスリット部の方向に発泡体原料を浸透させる。そのため、一対の互いに頂部で対向するスリット部から浸透した発泡体原料は、少量であっても互いに他のスリット部から浸透した発泡体原料と結合し易くなる。そのため、より少ない含浸量により、より強い接合強度を得ることができる。
【0018】
また、浸透膜は、頂部で曲がった複数のスリット部を有する樹脂のフィルムであり、複数のスリット部の中の一対のスリット部は、互いに同じ方向に曲がり、頂部同士が互いに同じ方向に向くように配置されていることができる。
【0019】
この構成によれば、頂部同士が互いに同じ方向を向く一対の頂部で曲がったスリット部は、互いに同じ方向に発泡体原料を浸透させる。そのため、一対の互いに同じ方向を向く頂部を有するスリット部から浸透した発泡体原料は、浸透膜からより近い距離で固化し易くなる。そのため、より少ない含浸量により、より強い接合強度を得ることができる。
【0020】
また、立体網状構造体及び発泡体原料を配置する工程の前に、発泡体原料が浸透不可能な含浸防止膜を立体網状構造体の内部に配置する工程をさらに含み、発泡体原料を立体網状構造体に含浸させる工程では、含浸防止膜により浸透不可能とされなかった立体網状構造体の部位に発泡体原料を含浸させることができる。
【0021】
この構成によれば、含浸防止膜は発泡体原料が浸透不可能であり、含浸防止膜により浸透不可能とされなかった立体網状構造体の部位に発泡体原料が含浸した後に固化したことにより、立体網状構造体と発泡体とが接合される。よって、含浸防止膜の配置を調整することにより、発泡体原料が立体網状構造体に含浸した後に固化したことにより形成される含浸部の幅を調整することができる。
【0022】
また、立体網状構造体の一部に、立体網状構造体の一部以外の部分よりも硬度が低い低硬度部を有し、発泡体原料を立体網状構造体に含浸させる工程では、低硬度部に発泡体原料を含浸させることができる。
【0023】
この構成によれば、立体網状構造体の一部に立体網状構造体の一部以外の部分よりも硬度が低い低硬度部を有し、低硬度部に発泡体原料を含浸させる。このため、発泡体原料が立体網状構造体に含浸した後に固化したことにより形成される含浸部の硬度と、立体網状構造体及び発泡体との硬度の差を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法によれば、接合強度を向上させた立体網状構造体と発泡体との接合体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の立体網状構造体を示す斜視図である。
【
図3】立体網状構造体の外表面に浸透膜を配置した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4の浸透膜に対して空隙部をより小さくした浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図6】モノフィラメント繊維により形成された不織布の浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図7】発泡体原料が浸透可能な孔部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図8】発泡体原料が浸透可能なスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図9】発泡体原料が互いに対向する方向に浸透可能な複数の屈曲したスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図10】発泡体原料が互いに対向する方向に浸透可能な複数の湾曲したスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図11】発泡体原料が同じ方向に浸透可能な複数の屈曲したスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図12】発泡体原料が同じ方向に浸透可能な複数の湾曲したスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜の例を示す拡大視である。
【
図13】
図3の浸透膜を配置された立体網状構造体が型の中に入れられた状態を示す斜視図である。
【
図14】
図13の浸透膜に隣接するように液状の発泡体原料が型の中に入れられた状態を示す斜視図である。
【
図15】
図14の浸透膜を介して発泡体原料が立体網状構造体に含浸させられた状態を示す斜視図である。
【
図16】
図9に示すスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜を発泡体材料が浸透する状態を示す図である。
【
図17】
図11に示すスリット部を有する樹脂フィルムの浸透膜を発泡体材料が浸透する状態を示す図である。
【
図18】
図15の発泡体原料が固化させられた後の立体網状構造体と発泡体との接合体を示す斜視図である。
【
図19】第2実施形態において、ノズルからゲル状防止膜原料を立体網状構造体の内部に滴下させることにより、立体網状構造体の内部に含浸防止膜を形成する態様を示す斜視図である。
【
図20】第3実施形態において、立体網状構造体を光硬化溶液に浸漬し、溶液表面に光を照射することにより、立体網状構造体の内部に含浸防止膜を形成する態様を示す斜視図である。
【
図21】第4実施形態において、低硬度部を形成した立体網状構造体を示す斜視図である。
【
図22】第5実施形態において、立体網状構造体と発泡体原料を配置する位置との距離を変更することにより、含浸量を制御する態様を示す図である。
【
図23】第6実施形態において、立体網状構造体と発泡体原料との間に設けられた突起物の高さを変更することにより、含浸量を制御する態様を示す図である。
【
図24】様々な種類の浸透膜に対する含浸部の硬度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法について詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の立体網状構造体11は、樹脂線材12を立体的に組み合わせることにより形成されている。より詳細には、立体網状構造体11は、弾性を有する複数の樹脂線材12が互いに絡み合いながら湾曲しつつ複数の接着点13で互いに接着されることにより形成されている。樹脂線材12は、熱可塑性樹脂により形成されている。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリエステル系ポリマー、ポリエステルエラストマー及びポリウレタン系ポリマーを適用することができる。
【0027】
樹脂線材12の外周径は0.1〜7mmとすることができる。樹脂線材12は、内部が中空の線材とすることができる。樹脂線材12の内部の中空率は5〜80%とすることができる。樹脂線材12によって立体網状構造体11を形成する際には、熱可塑性樹脂が押出機により溶融される。溶融された熱可塑性樹脂は、ノズルより複数の樹脂線材12として射出され、自然落下させられる。未だ溶融状態の間に複数の樹脂線材12を互いに接着点13で接着させる。接着された樹脂線材12が固化されることにより、立体網状構造体11を製造することができる。
【0028】
図3に示すように、発泡体原料が浸透可能な浸透膜21aが立体網状構造体11の外表面に配置される。
図4に示すように、浸透膜21aは、繊維22が織り込まれて形成された布である。浸透膜21aの繊維22は、表面が露出しないように塩化ビニル等の樹脂による樹脂被覆23により被覆されている。繊維22と繊維22との間には、発泡体原料が浸透可能な空隙部24を有する。浸透膜22aには、例えば、発泡塩化ビニル等により製造された滑り止めシート等を適用することができる。
【0029】
発泡体原料の立体網状構造体11への含浸量を調整するために、単位時間当たりに浸透膜21aを浸透する発泡体原料の量は適宜調整される。例えば、発泡体原料の立体網状構造体11への含浸量を調整するために、浸透膜21aが複数枚に重ねて立体網状構造体11の外表面に配置されていても良い。また、浸透膜22aの空隙部24の大きさを変更することにより、単位時間当たりに浸透膜21aを浸透する発泡体原料の量を調整することができる。例えば、
図5に示す浸透膜21bのように、繊維22を被覆する樹脂被覆23の量を増加させることにより、空隙部24の大きさをより小さくした浸透膜21bを製造することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、浸透膜21aの代わりに、
図6に示すように、モノフィラメント繊維26により形成された不織布25である浸透膜21cを適用することができる。また、本実施形態では、浸透膜21aの代わりに、
図7に示すように、発泡体原料が浸透可能な孔部28を有する樹脂フィルム27である浸透膜21dを適用することができる。また、本実施形態では、
図8に示すように、浸透膜21aの代わりに、発泡体原料が浸透可能なスリット部29aを有する樹脂フィルム27である浸透膜21eを適用することができる。
【0031】
また、
図9に示すように、浸透膜21aの代わりに、樹脂フィルム27の表面において、頂部29pで屈曲したスリット部29bを有する樹脂フィルム27である浸透膜21fを適用することができる。樹脂フィルム27の表面において、互いに反対の方向に屈曲する一対のスリット部29b同士は、それぞれの頂部29p同士が互いに対向するように配置されている。後述するように、頂部29pで互いに対向するスリット部29bは、互いに発泡体原料を方向Dに向けて浸透させる。これにより、一対の頂部29pが互いに対向するスリット部29bから浸透した発泡体原料は、少量であっても互いに他のスリット部29bから浸透した発泡体原料と結合し易くなる。
【0032】
あるいは、
図10に示すように、浸透膜21aの代わりに、樹脂フィルム27の表面において、頂部29pで湾曲したスリット部29cを有する樹脂フィルム27である浸透膜21gを適用することができる。樹脂フィルム27の表面において、互いに反対の方向に湾曲する一対のスリット部29c同士は、それぞれの頂部29p同士が互いに対向するように配置されている。湾曲したスリット部29cを有する浸透膜21gは、上記浸透膜21fと同様の作用を有する。
【0033】
また、
図11に示すように、浸透膜21aの代わりに、樹脂フィルム27の表面において、頂部29pで屈曲したスリット部29dを有する樹脂フィルム27である浸透膜21hを適用することができる。樹脂フィルム27の表面において、互いに同じ方向に屈曲する一対のスリット部29d同士は、それぞれの頂部29pが互いに同じ方向に向くように配置されている。後述するように、頂部29pで互いに同じ方向を向くスリット部29dは、互いに発泡体原料を同じ方向Dに向けて浸透させる。これにより、一対の頂部29pが互いに同じ方向を向くスリット部29dから浸透した発泡体原料は、浸透膜21hからより近い距離で固化し易くなる。
【0034】
あるいは、
図12に示すように、浸透膜21aの代わりに、樹脂フィルム27の表面において、頂部29pで湾曲したスリット部29eを有する樹脂フィルム27である浸透膜21iを適用することができる。樹脂フィルム27の表面において、互いに同じ方向に湾曲する一対のスリット部29e同士は、それぞれの頂部29pが互いに同じ方向を向くように配置されている。湾曲したスリット部29eを有する浸透膜21iは、上記浸透膜21hと同様の作用を有する。
【0035】
図13に示すように、外表面に浸透膜21aを配置された立体網状構造体11が型30の中に入れられる。
図14に示すように、発泡しつつ固化することにより発泡体を形成する液状の発泡体原料40が型30の中に入れられる。これにより、浸透膜21aに隣接するように液状の発泡体原料40が配置される。
図15に示すように、浸透膜21aを介して発泡体原料40の一部が立体網状構造体11に含浸させられる。浸透膜21aの重ね合せた枚数又は空隙部24の大きさに応じた含浸量52の含浸部51が形成される。なお、本実施形態では、発泡体原料40の全てが立体網状構造体11に含浸させられても良い。
【0036】
ここで、
図9に示したような頂部29pで屈曲したスリット部29bを有する樹脂フィルム27の浸透膜21fを浸透膜21aに替えて使用した場合は、
図16に示すように、頂部29pで互いに対向するスリット部29b同士は、互いに発泡体原料を方向Dに向けて浸透させる。これにより、一対の互いに頂部29pで対向するスリット部29bから浸透した発泡体原料は、少量であっても互いに他のスリット部29bから浸透した発泡体原料と結合し易くなる。そのため、より少ない含浸量52により、より強い接合強度を得ることができる。
【0037】
あるいは、
図11に示したような頂部29pで屈曲したスリット部29dを有する樹脂フィルム27の浸透膜21hを浸透膜21aに替えて使用した場合は、
図17に示すように、頂部29pで互いに同じ方向を向くスリット部29d同士は、互いに発泡体原料を同じ方向Dに向けて浸透させる。これにより、一対の頂部29pが互いに同じ方向を向くスリット部29dから浸透した発泡体原料は、浸透膜21hからより近い距離で固化し易くなる。そのため、より少ない含浸量52により、より強い接合強度を得ることができる。
【0038】
図18に示すように、発泡体原料40が固化することにより、発泡体41が形成される。立体網状構造体11の含浸部51に含浸させられた発泡体原料40が固化することにより、立体網状構造体11と発泡体41とが接合される。立体網状構造体11と発泡体41とが接合された接合体100が型30から取り出される。
【0039】
本実施形態によれば、浸透膜21aを介して発泡体原料40が立体網状構造体11に含浸させられる。また、発泡体原料40が固化させられる。立体網状構造体11に含浸させられた発泡体原料40は、立体網状構造体11の複数の樹脂線材12と広い面積で接しつつ固化させられる。このため、接合強度を向上させた立体網状構造体11と発泡体41との接合体100を製造することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、浸透膜21aに隣接するように発泡体原料40を配置し、浸透膜21aを介して発泡体原料40を立体網状構造体11に含浸させる。よって、浸透膜21aの発泡体原料40が浸透可能な量を調整することにより、発泡体原料40が立体網状構造体11に含浸した後に固化したことにより形成される含浸部51の幅を調整することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、浸透膜21aは繊維22により形成された布であり、布を形成する繊維22は表面が露出しないように樹脂被覆23により被覆されている。このため、発泡体原料40が浸透膜21aを介して立体網状構造体11に含浸する際に、発泡体原料40の気泡が布を形成する繊維22の凹凸により消滅し難い。よって、発泡体原料40の気泡が消滅することにより、立体網状構造体11の発泡体原料40が含浸した含浸部51が硬化することを防止することができる。この場合、浸透膜21bのように、空隙部24の大きさをより小さくすることにより、含浸量52を減少させることができる。
【0042】
あるいは、本実施形態では、浸透膜21cは、モノフィラメント繊維26により形成された不織布25である。モノフィラメント繊維26は、マルチフィラメントの繊維のような表面の凹凸が無い。また、不織布25は、織物の布に比べて発泡体原料40が浸透する部分の凹凸が少ない。このため、発泡体原料40が浸透膜21cを介して立体網状構造体11に含浸する際に、発泡体原料40の気泡が布を形成する繊維の凹凸により消滅し難い。よって、発泡体原料40の気泡が消滅することにより、立体網状構造体11の発泡体原料40が含浸した含浸部51が硬化することを防止することができる。
【0043】
あるいは、本実施形態では、浸透膜21dは孔部28を有する樹脂フィルム27である。また、浸透膜21eはスリット部29を有する樹脂フィルム27である。樹脂フィルム27は、織物の布のような繊維による凹凸が無い。このため、発泡体原料40が浸透膜21c,21dを介して立体網状構造体11に含浸する際に、発泡体原料40の気泡が布を形成する繊維の凹凸により消滅しない。よって、発泡体原料40の気泡が消滅することにより、立体網状構造体11の発泡体原料40が含浸した含浸部51が他の部分に比べて硬化することを防止することができる。
【0044】
加えて、浸透膜21fは、その表面において、頂部29pで屈曲したスリット部29bを有する樹脂フィルム27である。樹脂フィルム27の表面において、互いに異なる方向に屈曲する一対のスリット部29b同士は、それぞれの頂部29pが互いに対向するように配置されている。このため、一対の互いに頂部29pで対向するスリット部29bから浸透した発泡体原料は、少量であっても互いに他のスリット部29bから浸透した発泡体原料と結合し易くなる。そのため、より少ない含浸量52により、より強い接合強度を得ることができる。その表面において、頂部29pで湾曲したスリット部29cを有する樹脂フィルム27である浸透膜21gも、上記浸透膜21gと同様の効果を奏する。
【0045】
あるいは、浸透膜21hは、その表面において、頂部29pで屈曲したスリット部29dを有する樹脂フィルム27である。樹脂フィルム27の表面において、互いに同じ方向に屈曲する一対のスリット部29d同士は、それぞれの頂部29pが互いに同じ方向を向くように配置されている。このため、一対の互いに頂部29pで同じ方向を向くスリット部29dから浸透した発泡体原料は、浸透膜21hからより近い距離で固化し易くなる。そのため、より少ない含浸量52により、より強い接合強度を得ることができる。その表面において、頂部29pで湾曲したスリット部29eを有する樹脂フィルム27である浸透膜21iも、上記浸透膜21hと同様の効果を奏する。
【0046】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、浸透膜21a〜21iを浸透する発泡体原料40の量を設定することにより、含浸量52を設定した。
図19に示すように、本実施形態では、立体網状構造体11の内部に発泡体原料40が浸透不可能な含浸防止膜61を形成することにより、含浸量52が設定される。立体網状構造体11の内部における所望の含浸部51の終端部に、ノズル65から任意の粘度に調整されたゲル状防止膜原料62が滴下される。ゲル状防止膜原料62には、熱可逆性エラストマー、揮発性ジェル及び光硬化樹脂などを適用することができる。発泡体原料40を立体網状構造体11に含浸させる工程では、含浸防止膜61により浸透不可能とされなかった立体網状構造体11の部位に発泡体原料40が含浸させられる。立体網状構造体11に発泡体41を接合するために必要最小限の含浸量52に対応する位置に、発泡体原料40が浸透不可能な含浸防止膜61を形成することにより、上記第1実施形態の浸透膜21a〜21iを配置することと同様の効果を奏する。
【0047】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、
図20に示すように、立体網状構造体11は、溶液槽66内の光硬化溶液63に所望の含浸量52の深さに浸漬させられる。立体網状構造体11が光硬化溶液63に浸漬させられた状態で、溶液表面64に光源67から光が照射され、溶液表面64のみが硬化させられる。これにより、立体網状構造体11の内部に含浸防止膜61を形成することができる。光硬化溶液63以外にも、乳酸カルシウム水溶液中に立体網状構造体11を所望の含浸量52の深さに浸漬させつつ、アルギン酸ナトリウム水溶液等を乳酸カルシウム水溶液の表面に噴霧することによっても、立体網状構造体11の内部に含浸防止膜61を形成することができる。
【0048】
以下、本発明の第4実施形態について説明する。後述の実験例に示すように、含浸部51の硬度は、立体網状構造体11の網状の樹脂同士が発泡体41により架橋されるため、立体網状構造体11と発泡体41との硬度を加算したものよりも高くなる。含浸部51の硬度と、立体網状構造体11及び発泡体41との硬度の差を少なくするために、
図21に示すように、立体網状構造体11の一部に、立体網状構造体11の全体の硬度よりも硬度を低くした低硬度部16を形成することができる。発泡体原料40を配置する工程では、低硬度部16に隣接するように発泡体原料40を配置する。発泡体原料40を立体網状構造体11に含浸させる工程では、低硬度部16に発泡体原料40を含浸させる。
【0049】
低硬度部16は、立体網状構造体11の製造時に、低硬度部16の部分において、成型に用いるノズルを変更し、ノズルから射出される樹脂の線材の径を細くすることにより形成することができる。また、立体網状構造体11が、全体として成型に用いるノズルから内部が中空の樹脂の線材が射出されることにより製造されている場合は、低硬度部16の部分において、成型に用いるノズルを変更し、低硬度部16以外の部分よりも直径が細く、中空ではない樹脂の線材が射出されることにより、低硬度部16を形成することができる。
【0050】
立体網状構造体11の素材は低硬度部16と低硬度部16以外の箇所とで同一とされる。このため、立体網状構造体11及び発泡体41との接合力は低下することが無い。また、低硬度部16を含浸部51とすることで、含浸部51の硬度と、立体網状構造体11及び発泡体41との硬度の差を少なくすることができる。
【0051】
以下、本発明の第5実施形態について説明する。
図22に示すように、本実施形態では、上記第1実施形態の浸透膜21a〜21iや、上記第2実施形態及び第3実施形態の含浸防止膜61を用いず、立体網状構造体11と発泡体原料40を配置する位置との距離Lを変更することにより、含浸量52を制御する。例えば、発泡体原料40をノズル70から型30の中に吐出する位置を、型30の中の立体網状構造体11から最も遠い位置に設定する。これにより、
図22中で破線により示すように、立体網状構造体11に到達する前に発泡の過程にある発泡体原料40の表面粘度を上げることで、含浸量52を一定かつ最小に制御することが可能となる。なお、本実施形態の製造方法は、上記第1実施形態の浸透膜21a〜21iを用いる場合にも適用することができる。
【0052】
以下、本発明の第6実施形態について説明する。
図23に示すように、本実施形態では、上記第1実施形態の浸透膜21a〜21iや、上記第2実施形態及び第3実施形態の含浸防止膜61を用いず、型30内で立体網状構造体11と発泡体原料40との間に設けられた突起物であるリブ31の高さを変更することにより、含浸量52を制御する態様を示す図である。リブ31は、型30内で立体網状構造体11の下端部に接しつつ保持する。立体網状構造体11の下端部からのリブ31の上端部の高さは1mm〜50mmに設定される。リブ31は、発泡する前の発泡体原料40の立体網状構造体11への流入を防止する。
【0053】
図23中で破線により示すように、発泡体原料40の水平方向への発泡を抑制し、立体網状構造体11に含浸する前に垂直方向への発泡が進行し、型30内の空隙に充満したのちに余剰の発泡分が立体網状構造体11に含浸することで、発泡体原料40の投入量の調整のみで含浸量52を一定かつ最小に制御することが可能となる。なお、本実施形態の製造方法は、上記第1実施形態の浸透膜21a〜21iを用いる場合にも適用することができる。
【0054】
(実験例)
以下、上記第1実施形態の実験例を示す。
図18に示したような立体網状構造体11と発泡体41との接合体100に対して、接合部である浸透膜21aに垂直な方向に張力を加えた。張力を徐々に増大させると、母材である発泡体41の部分が破断した。接合部である浸透膜21aや含浸部51の部分に破断は生じなかった。
【0055】
また、浸透膜21a,21cを適用して接合体100を製造した場合及び浸透膜21a,21cの代わりに他の種類の浸透膜を適用して接合体100を製造した場合の含浸部51の硬度を測定した。浸透膜として、以下の表1に示す種類の浸透膜を適用した。製造された接合体100それぞれについて、浸透膜に平行であって立体網状構造体11の外表面に垂直な方向に含浸部51に対して荷重を加えた。含浸部51を10mm変形させた時の荷重を含浸部51の硬度として測定した。
【表1】
【0056】
上記表1及び
図24に測定の結果を示す。表1及び
図24で「浸透膜無し含浸部」と示されている値のように、浸透膜21aを用いずに立体網状構造体11に発泡体原料40を含浸させると、含浸部51の硬度は、立体網状構造体11の硬度と発泡体41の硬度とを加算した値よりも大きくなる。表1及び
図19で、「樹脂被覆布」と示されている浸透膜21a及び「モノフィラメント不織布」と示されている浸透膜21bによる含浸部51は、「浸透膜無し含浸部」による含浸部51と同様の硬度であることが判る。一方、「不織布A」、「不織布B」「メッシュ素材A」及び「メッシュ素材B」による含浸部51は、「浸透膜無し含浸部」による含浸部51に比べて硬い硬度であることが判る。「不織布C」による含浸部51は、「浸透膜無し含浸部」による含浸部51と同様の硬度であったが、含浸量52のバラツキが大きく、含浸部51の上部で含浸量52が小さく、含浸部51の下部で含浸量52が大きい傾向が見られた。
【0057】
尚、本発明の実施形態の立体網状構造体と発泡体との接合体の製造方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
11…立体網状構造体、12…樹脂線材、13…接着点、16…低硬度部、21a〜21i…浸透膜、22…繊維、23…樹脂被覆、24…空隙部、25…不織布、26…モノフィラメント繊維、27…樹脂フィルム、28…孔部、29a〜29e…スリット部、29p…頂部、30…型、31…リブ、40…発泡体原料、41…発泡体、51…含浸部、52…含浸量、61…含浸防止膜、62…ゲル状防止膜原料、63…光硬化溶液、64…溶液表面、65…ノズル、66…溶液槽、67…光源、70…ノズル、100…接合体、D…方向、L…距離。