(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの相互混合層は、前記相互混合層にわたって前記相互混合層の第1の表面から前記相互混合層の第2の対向する表面へ組成勾配を有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は必ずしも縮尺どおりではない。図面において使用される同様の番号は同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図面において構成要素を参照するための番号の使用は、他の図面において同じ番号で示される構成要素を限定することを意図していないことが理解される。
【0008】
詳細な説明
熱アシスト型磁気記録(HAMRという)は、たとえばレーザからの放射を利用して媒体をそのキュリー温度より高い温度まで加熱することで磁気記録を可能にする。たとえばレーザー光線などの放射を媒体の小さな領域(約20nmから50nm)に送り届けるために、NFTが利用される。磁気記録動作時において、NFTはレーザからエネルギーを吸収し、それを非常に小さい領域に集中させる。これにより、NFTの温度を高めることができる。NFTの温度は、約400℃以上に上昇し得る。
【0009】
一部の実施形態において、NFTは、小さいペグと大きいディスクとを含み得る。動作時においてNFTが非常に高い温度に到達することにより、ペグからディスクへのNFTの材料(たとえば金)の拡散が起こり得る。これにより、ペグの変形および凹みが起こり、NFTおよびヘッド全体に障害が起こり得る。
【0010】
熱膨張率、結晶構造、および格子間隔の不整合を考慮しながら、装置内においてペグを取り囲む材料または構造に対するペグ材料の接着を高める、あるいは向上させるために、開示される装置は、NFTのペグの1つ以上の表面に隣接する1つ以上の層を含む。
【0011】
図1は、磁気媒体16のトラック14の上方にスライダ12を位置決めするための駆動システムを含むディスクドライブ10を示す斜視図である。ディスクドライブ10の特定の構成は、説明を容易にするために示されるものであって、いずれも本開示の範囲を限定することを意図していない。ディスクドライブ10は、軸22を中心にスピンドル上でアクチュエータアーム20を回転させるように配置されるボイスコイルモータ18を含む。ロードビーム24は、ヘッドマウントブロック26においてアクチュエータアーム20に接続される。サスペンション28は、ロードビーム24の端部に接続され、スライダ12はサスペンション28に取り付けられる。磁気媒体16は軸30を中心に回転すると、偏流がスライダ12によって生じ、スライダ12が磁気媒体16の表面の上方僅かな距離に維持される。磁気媒体16の各トラック14は、データを記憶するためのデータ記憶セルのアレイによってフォーマットされる。スライダ12は、磁気媒体16のトラック14上においてデータを読み取りおよび/または書き込みするための磁気装置またはトランスデューサ(
図1には示されない)を担持する。磁気トランスデューサは、追加の電磁エネルギーを利用して媒体16の表面を加熱し、熱アシスト型磁気記録(HAMR)と称される処理による記録を容易にする。
【0012】
HAMRトランスデューサは、磁界を生成して磁気媒体(たとえば磁気媒体16)に書き込みを行うための磁気書き込み部と、書き込み場に近い磁気媒体の部分を加熱するための光学デバイスとを含む。
図2は、たとえばHAMR磁気装置40などの磁気装置および関連する磁気記憶媒体42の一部を示す断面図である。HAMR磁気装置40は、台座48によって結合される書き込み磁極44とリターン磁極46とを含む。導体52および54を含むコイル50は、台座を取り巻き、絶縁体56によって支持される。示されるように、磁気記憶媒体42は、硬磁性記憶層62と軟磁性下地層64とを含む垂直磁気媒体であるが、パターンドメディアなどの他の形態の媒体とすることができる。コイルにおける電流は、台座および磁極において磁界を誘発する。磁束58は、空気ベアリング面(ABS)60において記録ヘッドから出て、領域58に囲まれる記憶媒体42の硬磁性層62の部分の磁化を変化させるために使用される。近接場トランスデューサ66は、空気ベアリング面60の近くにおいて書き込み磁極44に隣接して位置決めされる。近接場トランスデューサ66は、レーザなどのエネルギー源から電磁波を受け取る導波路68に結合される。近接場トランスデューサ66の端部における電界は、硬磁性層62の部分69を加熱して保磁力を低下させるために使用され、これによって書き込み磁極からの磁界が記憶媒体の磁化に影響を及ぼすことができる。
【0013】
ここに開示される装置は、他の構造も含み得る。ここに開示される装置は、より大きな装置に組み込まれ得る。たとえば、スライダは、ここに開示されるように装置を含み得る。例示的なスライダは、リーディング端とトレーリング端と空気ベアリング面とを有するスライダ本体を含み得る。そして、書き込み磁極、読み取り磁極、光学近接場トランスデューサ、およびコンタクトパッド(および任意のヒートシンク)は、スライダ本体の上(または中)に位置し得る。このような例示的なスライダは、たとえばディスクドライブに組み込まれ得るサスペンションに取り付けられ得る。なお、開示される装置は、
図1に描かれるようなディスクドライブ以外のシステムにおいても利用することができる。
【0014】
図3Aおよび
図3Bは、ペグおよびディスクを有するタイプのNFTにおけるペグおよびディスクの例を示す図であり、
図3Bは、
図3Aに示されるペグおよびディスクを有するタイプのNFTにおいてペグのみの近接図である。
図3AのNFTは、ペグ305とディスク310とを含む。
図3Aおよび
図3Bに示されるペグ305は、ディスク310に接触しない5つの表面を含み、空気ベアリング面306と、第1の表面307と、第2の表面309と、第3の表面308と、第4の表面311とを含む。
【0015】
一部の実施形態において、第2の表面309および第1の表面307は、それぞれ磁極およびコアに面する。一部の実施形態において、第3の表面308および第4の表面311は、磁極またはコアに面していない。より具体的に、第3の表面308は、
図2が描かれる紙面の前側に配置され、第4の表面311は、
図2が描かれる紙面の後側に配置される。一部の実施形態において、第2の表面309は、NFTポール表面(NFT-pole surface)とも言われ得る。NFTポール表面は、NPS(ここでは示されない)と言われ得るNFTポール空間(NFT-pole space)に面する。一部の実施形態において、第1の表面307は、NFTコア表面とも言われ得る。NFTコア表面は、CNS(ここでは示されない)と言われるNFTコア空間に面する。一部の実施形態において、第3の表面308は、装置の左側に面する表面としても記載され得る。一部の実施形態において、左固浸ミラーがそこに位置し得る。一部の実施形態において、第4の表面311は、装置の右側に面する表面としても記載され得る。一部の実施形態において、右固浸ミラーがそこに位置し得る。
【0016】
開示される装置は、NFTの1つ以上の表面に位置する1つ以上の相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、NFTのペグの1つ以上の表面上に位置する1つ以上の相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、NFTのペグの2つ以上の表面上に位置する相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、NFTのペグの3つ以上の表面上に位置する相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、NFTのペグの4つ以上の表面上に位置する相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、NFTのペグの全ての5つの表面上に位置する相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、開示される装置は、第1の表面307、第2の表面309、第3の表面308、および第4の表面311の各々の上に位置する相互混合層を含み得る。
【0017】
開示される相互混合層は、様々な特徴を提供するように機能し得る。一部の実施形態において、相互混合層は、(一部の実施形態において)大きく異なる物理的特性、機械的特性、および熱的特性を有する異なる層の接着を向上させるために使用され得る。相互混合層は、その両方に隣接する表面上の層または構造からの材料を含み得る。この隣接する層または構造からの材料の組み合わせにより、物理的特性、機械的特性、および熱的特性の相違が減少し得る。相互混合層を追加することにより、CTEの相違による熱応力を減少させ、結晶構造および格子間隔の相違による界面応力を減少させ、界面エネルギーを減少させることができる。また、相互混合層を追加することにより、界面における欠陥が減少し得る。通常、界面における欠陥は、ペグが凹む際にNFTの原子が拡散するのための重要な通り道である。結果として、相互混合層を追加することにより、ペグの熱的安定性がさらに向上し得る。
【0018】
開示される相互混合層は、単一の層のみ、または2つ以上の層からなり得る。開示される相互混合層は、他の層と組み合わせて使用され得る。概して、開示される相互混合層は、接着を促すとともに、相互混合層のいずれかの側の構造または層の物理的特性および/または機械的特性の1つ以上の調整を促すように機能する。開示される相互混合層は、下方構造と上方構造との間に位置し得る。一部の実施形態において、相互混合層は、NFTまたはNFTのペグである下方構造と、たとえばCNS、NPS、ヘッドオーバーコート、またはクラッドなどの取り囲む構造である上方構造との間に位置し得る。一部の実施形態において、相互混合層は、NFTまたはNFTのペグである下方構造と、シード層である上方構造との間に位置し得る。一部の実施形態において、相互混合層は、シード層(たとえば、NFTまたはNFTのペグの上に位置決めされるシード層)である下方構造と、たとえばCNS、NPS、ヘッドオーバーコート、またはクラッドなどの上方構造との間に位置し得る。
【0019】
図4Aは、開示される相互混合層を含む装置の一部を示す断面図である。
図4Aは、相互混合層402を示す。また、装置は、下方構造403と上方構造405とを含む。一部の実施形態において、下方構造は、たとえば、NFTまたはより具体的にはNFTのペグを含み得る。一部の実施形態において、下方構造は、たとえば下方のNFTまたはより具体的にはNFTのペグの上に位置決めされるとは限らないシード層を含み得る。一部の実施形態において、上方構造は、取り囲む構造または上方構造を含み得る。例示的な取り囲む構造または上方構造は、たとえば通常は低い屈折率および低い吸収度を有する酸化物、窒化物、またはフッ化物などの誘電材料を含み得る。取り囲む構造または上方構造が作られ得る材料の特定の例示的な材料は、たとえば、SiO、AlO、MgO、B
2O
3、YO、SrO、CaO、NdO、HoO、ErO、TmO、BeO、ITO、TaO、CrO、NbO、BN、SiN、AlN、LiF、KF、NaF、RbF、MgF
2、CaF
2、SrF
2、BaF
2、FeF
2、MnF
2、NiF
2、ZnF
2、CdF
2、LaF
3、PbF
2、EuF
2、CeF
3、PrF
3、NdF
3、およびTbF
3を含み得る。一部の実施形態において、上方構造は、たとえばCNS、NPS、クラッド、ヘッドオーバーコート(HOC)層、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0020】
一部の実施形態において、相互混合層は、少なくとも2つの材料を含み得る。少なくとも2つの材料は、第1の材料と第2の材料とを含み得る。第1の材料は、下方構造403において見出される材料、または下方構造403と相性の良い材料であり得る。下方構造403は、相互混合層の直下において相互混合層に物理的に接触して位置する(または、直下において相互混合層の第1の表面に物理的に接触している)ものとして表され得る。第2の材料は、上方構造405において見出される材料、または上方構造405と相性の良い材料であり得る。他の材料と相性の良い材料は、概して、たとえば比較的高い接着強度を有するなど、2つの材料が比較的良好に互いに接着することや、たとえば同様の熱膨張率(CTE)、同様の格子定数、同様の結晶構造、もしくはこれらの一部を組み合わせた物理的特性および機械的特性における不整合が比較的小さいことなどを意味する。上方構造405は、相互混合層の直上において物理的に接触して位置する(または直下において相互混合層の第2の表面に接触しており、ここで第1の表面は第2の表面の反対側にある)ものとして表され得る。また、開示される相互混合層は、第1の材料と第2の材料とを含むものとして表され得て、第1および第2の材料は、相互混合層に隣接する層または構造と共通している、または相性が良い。
【0021】
一部の実施形態において、相互混合層(NFTまたはNFTのペグである下方構造に隣接して位置する)は、第1の材料と第2の材料とを含み得て、ここで第1の材料は下方のNFTにもある材料である。例示的なNFT材料は、たとえば金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、またはこれらの合金などのプラズモン材料、熱伝導性酸化物、および酸化インジウム錫(ITO)を含み得る。一部の実施形態において、例示的なNFT材料は、米国特許出願公開第2013/0286799号、米国特許第8,427,925号、ならびに 「膜構造を含む磁気装置(MAGNETIC DEVICES INCLUDING FILM STRUCTURES)」と題されて2013年6月21日に出願された米国特許出願第13/923,925号、および「NFTおよびヒートシンクを含む記録ヘッド(RECORDING HEADS INCLUDING NFT AND HEATSINK)」と題されて2013年10月24日に出願された米国特許出願第14/062,651号に開示されるものも含み得て、これらの開示は引用によりここに援用される。一部の実施形態において、相互混合層は、第1の材料として金を含み得る。
【0022】
一部の実施形態において、相互混合層(シード層である下方構造に隣接して位置する)は、第1の材料と第2の材料を含み得て、ここで第1の材料は下方のシード層にもある材料である。例示的なシード層材料は、たとえばレニウム(Re)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、またはこれらの組み合わせを含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0023】
一部の実施形態において、相互混合層は第1の材料と第2の材料とを含み得て、ここで第2の材料は上方構造にもある材料、または上方構造と相性の良い材料である。一部の実施形態において、相互混合層は上方構造としてシード層を有し得る。シード層に含まれ得て、これによって第2の材料として含まれ得る例示的な材料は、たとえばレニウム(Re)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ネオジム(Nd)、またはこれらの組み合わせを含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0024】
一部の実施形態において、相互混合層は、第1の材料と第2の材料とを含み得て、ここで第2の材料は上方構造と相性の良い材料である。一部の実施形態において、上方構造と相性の良い材料は、接着層としてよく使用される材料を含み得る。例示的な接着層の材料は、たとえば米国特許出願公開第2014−0004384号、PCT国際出願第US2013/038280号、ならびに、「少なくとも1つの接着層を含む装置(DEVICES INCLUDING AT LEAST ONE ADHESION LAYER)」と題され、米国特許仮出願第61/838,394号の優先権を主張し、Cheng、Zhao、Kautzky、Rejda、Wierman、Franzen、およびBoyneを発明者とし、共通で譲渡されて同時に出願された管理番号430.17840010を有する米国特許出願に開示される材料を含み得て、これらの開示は引用によりここに援用される。
【0025】
一部の実施形態において、相互混合層は、第1の材料と第2の材料とを含み得て、ここで第2の材料は、上方構造と相性の良い材料である。例示的な上方構造のタイプは、CNS、NPS、クラッド、またはヘッドオーバーコートを含み得る。一部の実施形態において、上方構造と相性の良い材料は、たとえば金属、酸化物、窒化物、炭化物、または硫化物を含み得る。CNS、NPS、またはクラッドと相性が良いと考えられ得る例示的な材料は、たとえば容易に酸化される金属、酸化物、および窒化物を含み得る。特定の例示的な金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、ハフニウム(Hf)、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、ホウ素(B)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、オスミウム(Os)、およびこれらの組み合わせを含み得る。特定の例示的な酸化物は、たとえば酸化アルミニウム(AlO)、酸化シリコン(SiO)、酸化クロム(CrO)、酸化ニオブ(NbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(TaO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(YO)、酸化マンガン(MnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、およびこれらの組み合わせを含み得る。ここでは2つ以上の非酸素原子を含む酸化物も利用され得る。特定の例示的な窒化物は、たとえば窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化クロム(CrN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、窒化タンタル(TaN)、およびこれらの組み合わせを含み得る。ここでは2つ以上の非窒素原子を含む窒化物も利用され得る。
【0026】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は、金属を含み得て、特定の例示となる金属は、たとえばレニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、テクネチウム(Tc)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ベリリウム(Be)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、ホウ素(B)、またはこれらの組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばPt、Ir、Al、Rh、Ru、Pd、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばPt、Ir、Al、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばPtなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばIrなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部のこのような実施形態において、金属は、たとえばIr、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、Ta、Nb、Os、Al、B、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0027】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は金属を含み得て、特定の例示的な金属は、たとえばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、錫(Sn)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、またはこれらの組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばCr、Ni、Sn、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばCr、Sn、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部のこのような実施形態において、金属は、たとえばW、Ti、Cr、Si、Ni、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0028】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は金属を含み得て、特定の例示的な金属は、たとえばRe、Os、Ir、Pt、Hf、Ta、Ru、Tc、Nb、Rh、Pd、Be、Al、Mn、In、W、Mo、Cr、Si、Ni、Ti、Zr、Y、V、Mg、Co、Sn、またはこれらの組み合わせを含み得る。一部のこのような実施形態において、金属は、たとえばIr、Pt、Pd、Nb、Ru、Re、Ta、Os、Al、B、W、Ti、Cr、Si、Ni、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばPt、Ir、Al、Cr、Ni、Sn、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、たとえばPt、Ir、Cr、Sn、またはこれらの一部の組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。一部の実施形態において、金属は、NFTの使用時において接着層が酸化しないように、酸化に対して比較的高い耐性を有する金属を含み得る。一部のこのような実施形態において、金属は、たとえばIr、Pt、Pd、Nb、Ru、Re、Ta、Nb、Os、Al、B、W、Ti、Cr、Si、Ni、またはこれらの組み合わせなどの特定の例示的な金属を含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0029】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は金属を含み得て、特定の例示的な金属は、たとえばジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、バナジウム(V)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、タンタル(Ta)、および錫(Sn)を含み得る。一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は金属を含み得て、特定の例示的な金属は、たとえばコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン・タングステン(TiW)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、亜鉛(Zn)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。2つ以上の金属の合金も利用され得る。
【0030】
特定の例示的な相互混合層は、第1の材料として金を含有し、第2の材料として金属を含有し得る。このため、このような相互混合層は、金相(gold phase)を有する金合金、または金属間相(intermetallic phase)を有する金合金として特徴付けられ得る。このような相互混合層は、事実上の金のガスバリア層によって金における他の元素(不純物)の耐酸化性が高まり得る。このような相互混合層は、上方層と下方層との間における物理的特性、機械的特性、熱的特性、またはこれらの一部の組み合わせの不整合を減少させ、界面エネルギーも減少させ得る。
【0031】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は、窒化物を含み得て、特定の例示的な窒化物は、たとえば窒化クロム(CrN)、窒化ホウ素(BN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化シリコン(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は、窒化物を含み得て、特定の例示的な窒化物は、たとえば窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ハフニウム(HfN)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。ここでは2つ以上の窒素原子を含む窒化物が使用され得る。
【0032】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は酸化物を含み得て、特定の例示的な酸化物は、たとえば酸化アルミニウム(AlO)、酸化イットリウム(YO)、酸化インジウム(In
2O
3)、酸化錫(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)(たとえば、ドープしたZnO、たとえばアルミニウム(Al)でドープしたZnO、またはガリウム(Ga)でドープしたZnO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化シリコン(SiO)、酸化鉄(FeO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(TaO)、酸化マンガン(MnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化クロム(CrO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ニオブ(NbO)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、酸化物は、たとえば酸化錫(SnO)、酸化インジウム(InO)、またはこれらの一部の組み合わせなどの特定の例示的な酸化物を含み得る。一部の実施形態において、酸化物は、たとえば酸化ベリリウム(BeO)、酸化シリコン(SiO)、酸化鉄(FeO)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(TaO)、酸化マンガン(MnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(InO)、酸化インジウム錫(ITO)、またはこれらの一部の組み合わせなどの特定の例示的な酸化物を含み得る。なお、酸化物は、特定的に記載された元素および酸素を含む任意の化学量を含み得る。たとえば酸化シリコンは、二酸化シリコン(SiO
2)および一酸化シリコン(SiO)の両方を含む。2つ以上の非酸素原子を含む酸化物もここで使用され得て、たとえばIn
2O
3−SnO
2(ITO)(たとえば、固溶体)、TaSiO、AlSiO、およびYAlOが含まれ得る。
【0033】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は炭化物を含み得て、特定の例示的な炭化物は、たとえば炭化タンタル(TaC)、炭化ウラン(UC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化スカンジウム(ScC)、炭化マンガン(MnC)、炭化鉄(FeC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化テクネチウム(TcC)、炭化レニウム(ReC)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、炭化物は、たとえば炭化バナジウム(VC)、炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭化クロム(CrC)、炭化コバルト(CoC)、炭化ニッケル(NiC)、炭化イットリウム(YC)、炭化モリブデン(MoC)、またはこれらの一部の組み合わせなどの特定の例示的な炭化物を含み得る。一部の実施形態において、炭化物は、たとえば炭化バナジウム(VC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、炭化ウラン(UC)、炭化タングステン(WC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化クロム(CrC)、炭化スカンジウム(ScC)、炭化マンガン(MnC)、炭化鉄(FeC)、炭化コバルト(CoC)、炭化ニッケル(NiC)、炭化イットリウム(YC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化テクネチウム(TcC)、炭化レニウム(ReC)、またはこれらの一部の組み合わせなどの特定の例示的な炭化物を含み得る。一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は炭化物を含み得て、特定の例示的な炭化物は、たとえば炭化シリコン(SiC)、水素化炭化シリコン(SiC:H)、またはこれらの組み合わせを含み得る。ここでは2つ以上の炭素原子を含む炭化物も利用され得る。
【0034】
一部の実施形態において、相互混合層における第2の材料は硫化物を含み得て、特定の例示的な硫化物は、たとえば硫化ジルコニウム、硫化亜鉛、硫化チタン、硫化コバルト、硫化銀、硫化銅、硫化インジウム、硫化カドミウム、硫化錫、硫化ビスマス、硫化鉛、硫化セレニウム、硫化鉄、 硫化モリブデン、 およびこれらの組み合わせを含み得る。なお、硫化物は、特定的に記載された元素および硫黄を含む化学量を含み得る。ここでは2つ以上の硫黄原子を含む硫化物も利用され得る。
【0035】
特定の例示的な相互混合層は、第1の材料として金を含み得て、第2の材料として窒化物、酸化物、炭化物、または硫化物を含み得る。このため、このような相互混合層は、相互混合層に金原子を含み、金原子クラスタまたは金ナノ粒子を形成し得るものとして特徴づけられる。このような金ナノ粒子は、増大された表面接触領域および機械的連結によって、金と酸化物、窒化物、炭化物、または硫化物の接着層との間の接着を大きく向上させる。
【0036】
開示される相互混合層は、一部の実施形態において少なくとも0.1nm(1Å)の厚さを有し得る、一部の実施形態において少なくとも0.2nm(2Å)の厚さを有し得る、または一部の実施形態において少なくとも1nm(10Å)の厚さを有し得る。開示される相互混合層は、一部の実施形態において100nm(1000Å)以下の厚さを有し得る、一部の実施形態において40nm(400Å)以下の厚さを有し得る、一部の実施形態において5nm(50Å)以下の厚さを有し得る、または一部の実施形態において3.5nm(35Å)以下の厚さを有し得る。相互混合層の厚さ(たとえば、平均厚さ)は、たとえば透過型電子顕微鏡 (TEM)、X線反射率(XRR)、またはX線光電子分光法 (XPS)を用いて測定され得る。たとえば、厚さは既知の厚さを有する標準サンプルからの較正を用いて判定され得る。
【0037】
第1の材料と第2の材料とを含む開示される相互混合層は、相互混合層にわたって単一の実質的に均質な組成を有する単層であり得る。一部の実施形態において、開示される相互混合層は、相互混合層の全体にわたって実質的に均質でない組成を有し得る。たとえば、一部の実施形態において、開示される相互混合層は、一方の表面から他方の表面へ変化する組成を有し得る、または組成勾配を有し得る。たとえば、開示される相互混合層は、一方の表面から他方の表面へ変化する第1の材料(または第2の材料)の量を有し得る。より具体的には、開示される相互混合層は、第1の表面から第2の表面(第2の表面は第1の表面の反対側)へ変化する第1の材料の量を有し得る。例示的な例は、(たとえば)NFTと物理的に接触する第1の表面から(たとえば)接着層と物理的に接触する第2の表面へ変化する第1の材料の量を有する相互混合層を含み得る。他の特定の例示的な例は、NFTと物理的に接触する第1の表面から接着層と物理的に接触する第2の表面へ変化する金の量を有する相互混合層を含む。他の特定の例示的な例は、NFTと物理的に接触する第1の表面におけるほぼ100%の金から接着層と接触する第2の表面におけるほぼ100%の第2の材料へ変化する組成を有する相互混合層を含む。
【0038】
開示される相互混合層、たとえば第1の材料と第2の材料とを含有する相互混合層は、様々なプロセスを用いて形成され得る。一部の実施形態において、第1の材料と第2の材料とを含有する開示される相互混合層は、第1の材料と第2の材料との共堆積によって形成され得る。たとえば、開示される相互混合層は、NFT材料もしくはシード層材料と接着層材料との共堆積によって形成され得る。たとえば、開示される相互混合層は、金と金属、酸化物、窒化物、炭化物、もしくは硫化物との共堆積によって形成され得る。一部の実施形態において、相互混合層は、必ずしも異なる組成を有さず、必ずしも同じでない組成勾配を必ずしも有さない複数の相互混合層を含み得る。一部の実施形態において、相互混合層は、(第1の材料を含み得る)下方構造との界面から(第2の材料を含み得る)上方構造との界面に向かうにつれて層にわたって第2の材料の濃度が高まるような組成を有し得る。
【0039】
一部の実施形態において、相互混合層は、第1および第2の材料の層を交互に堆積させることによっても形成され得る。第1および第2の材料の層厚さは、所望の濃度を有する相互混合層を作るために異なり得る。一部の実施形態において、第1の材料と第2の材料とが交互に設けられた層からなる相互混合層は、(第1の材料を含み得る)下方構造との界面から(第2の材料を含み得る)上方構造との界面に向かうにつれて層にわたって第2の材料の濃度が高まるような組成を有し得て、このような実施形態において、これは2つの層の厚さを変えることによって達成され得る。
【0040】
第1の材料と第2の材料とを含有する開示される相互混合層は、電気化学法、物理蒸着法、化学蒸着法、またはこれらの様々な組み合わせによっても形成され得る。第1の材料と第2の材料とを含有する開示される相互混合層は、イオン注入、高温堆積、高バイアス堆積、熱アニール、レーザ照射、電子ビーム照射、またはこれらの様々な組み合わせを用いても形成され得る。
【0041】
開示される相互混合層は、隣接する層または構造と共通の第1の材料と第2の材料とを含む相互混合層を堆積させ、NFTと物理的に接触していない相互混合層の表面を酸化させることによっても形成され得る。このような相互混合層は、
図4Bに描かれる。相互混合層412の上部表面を酸化させるステップは、そこに酸化層414を形成するよう機能し得て、これによって、相互混合層の光学的性質が向上する、相互混合層の熱的安定性が向上する、隣接する構造との接着が向上する、またはこれらの組み合わせが得られる。一部の例示的な実施形態において、このような相互混合層は、イオン注入、高温堆積、高バイアス堆積、または熱アニール後の堆積によって堆積され得て、これによってNFTペグに対する相互混合層の接着が向上する。そして、相互混合層412の上部表面がプラズマ酸化、空気酸化、オゾン酸化、または熱酸化を用いて酸化され得て、たとえば上方構造405への相互混合層の接着を向上させ得る酸化層414が形成される。
【0042】
一部の特定的な実施形態において、NFTに隣接する相互混合層は、NFTと少なくとも二次的な元素を含有する合金を含み得る。このような相互混合層は、合金相互混合層と呼ばれるが、必ずしもこう呼ぶ必要はない。このような合金相互混合層は、NFT材料(たとえば金)の優れた光学的性質およびNFT材料を含む合金の比較的高い熱的安定性の利点を生かし得る。このようなことから、これらのタイプの合金相互混合層は、NFTまたはペグ全体がもっぱら合金からなるよりも有利となり得る。また、このような合金相互混合層は、ペグが合金からなる場合に利用され得る。このような場合において、合金相互混合層は、ペグの合金よりも二次的な元素の含有量が高くなり得る。なぜなら、合金相互混合層の厚さが比較的小さいことにより高い光学ペナルティがなくなるからである。また、二次的な元素がペグおよび合金相互混合層において同じである場合において、システムは両構造が同じ結晶構造を有することから利益を得ることができる。これは、界面が非常に低い界面エネルギーを有し、これによって界面拡散が減少することを意味する。
【0043】
このような合金相互混合層は、NFTの全ての表面上に、またはNFTの全ての表面よりも少ない表面上に含まれ得る。一部の実施形態において、このような合金相互混合層は、ペグおよびディスクを有するタイプのNFTの全ての表面上に含まれ得る。一部の実施形態において、このような合金相互混合層は、ABS以外のペグの全ての表面上に含まれ得る。
図3Aおよび
図3Bを再び参照すると、このような合金相互混合層は、たとえば、
図3Aおよび
図3Bに示される第1の表面307、第2の表面309、第3の表面308、および第4の表面311の上に含まれ得る。
図5Aは、ABSから見たペグ505を示し、合金相互混合層502が全ての4つの表面に設けられる。そこに見られるように、合金相互混合層502は、ペグの全ての4つの表面上に位置する単一の連続した層として描かれる。なお、4つの表面上の合金相互混合層は、分離して設けられ得る、隣接する相互混合層に対して不連続であり得る、またはこれらの一部の組み合わせであり得る。
【0044】
このような例示的な合金相互混合層を構成する合金は、NFT材料/X合金と言われ得る。一部の実施形態において、NFTは金または金合金からなり得る。このような実施形態において、合金相互混合層の合金は、AuXとして付与され得る。Xは、たとえばコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、プラチナ(Pt)、ホウ素(B)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、イリジウム(Ir)、ジルコニウム(Zr)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、合金相互混合層は、三元合金を含み得る。一部の実施形態において、たとえばNFTは金からなり得て、合金相互混合層は金コバルト合金からなり得る。
【0045】
合金相互混合層の合金は、様々な量の二次的な元素を有し得る。合金相互混合層の合金は、一部の実施形態において0.1原子%(原子パーセント)以上の二次的な元素(X)を有し得る、または一部の実施形態において5原子%以上を有し得る。合金相互混合層の合金は、一部の実施形態において90原子%以下の二次的な元素(X)を有し得る、または一部の実施形態において50原子%以下を有し得る。
【0046】
開示される合金相互混合層は、一部の実施形態において少なくとも0.1nm(1Å)の厚さを有し得る、または一部の実施形態において少なくとも1nm(10Å)の厚さを有し得る。開示される合金相互混合層は、一部の実施形態において40nm(400Å)以下の厚さを有し得る、または一部の実施形態において15nm(150Å)以下の厚さを有し得る。合金相互混合層の厚さ(たとえば、平均厚さ)は、たとえば、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線反射率(XRR)、またはX線光電子分光法(XPS)を用いて測定され得る。たとえば、厚さは既知の厚さを有する標準サンプルからの較正を用いて判定され得る。
【0047】
一部の特定的な実施形態において、シード層に隣接する相互混合層は、シード層材料と少なくとも二次的な元素とを含有する合金を含み得る。このような実施形態は、ここで下方構造403がペグであって上方構造405がシード層である
図4Aに描かれる実施形態と同様となり得る。
図5Bは、ペグ505を示し、ペグ505は、その上に合金相互混合層502を有し、合金相互混合層502の上にシード層506を有する。シード層506は、たとえばオーバーコート層などのシード層506の上に形成される層の堆積を補助したり、たとえばオーバーコート層などのシード層506の上に形成される層の特性を調整するために利用され得る。シード層の材料は、シード層の後に堆積される材料に少なくとも一部が依存する(たとえば、オーバーコート層の材料、またはCNS、NPS、クラッド、またはこれらの組み合わせ)。一部の実施形態において、シード層は金属を含み得る。一部の実施形態において、例示的な金属は、たとえばクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、タングステン(W)、チタン(Ti)、プラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、ニオブ(Nb)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、例示的な金属は、たとえばCrを含み得る。シード層は、様々な厚さを有し得る。シード層は、一部の実施形態において少なくとも0.05nm(0.5Å)の厚さを有し得る、または一部の実施形態において少なくとも0.5nm(5Å)の厚さを有し得る。シード層は、一部の実施形態において40nm(400Å)以下の厚さを有し得て、一部の実施形態において5nm(50Å)以下の厚さを有し得る。
【0048】
開示される合金相互混合層および任意のシード層の利用は、取り囲む材料とのペグ(たとえば、金からなる)の界面エネルギーを減少させるよう機能し、ペグの熱的安定性が高まる。
【0049】
一部の実施形態において、合金相互混合層は、NFTのペグのみでなくそれ以外にも配置され得る。たとえば、相互混合層(合金相互混合層またはその他)は、ロッド全体における1つ以上の表面上に配置され得る。ロッドは、概してペグの後部として表される(ペグのABSから離れる方向)。代替的に、ロッドは、ペグがロッドの一部である点において、ロッドが形成されるプロセスによって表され得て、ペグはロッドのみの前部(ABSに向けて)として表される。一部の実施形態において、ロッドはペグであり得る。
【0050】
図6Aは、ペグ602、ディスク604、およびロッド606を示すNFTの側面図である。
図6Aにおける実施形態は、ペグの少なくとも2つの表面(
図3Aおよび
図3Bにおける第1の表面307および第2の表面309に類似の表面)に位置する相互混合層612とシード層614とを含む。底面(
図3Aおよび
図3Bにおける第1の表面307に類似)に位置する相互混合層612およびシード層614は、ペグ602の全体およびロッド606の全体に接触し、さらにディスク604にも接触するように構成され得る。
【0051】
一部の実施形態において、合金相互混合層は、ペグの4つの表面(
図3Aおよび
図3Bに示される第1の表面307、第2の表面309、第3の表面308、および第4の表面311)に配置され得て、シード層(合金相互混合層と関連して説明された)は第1の表面307のみに置かれる。このような配置は、合金相互混合層によって提供される有利な特性の全てをもたらし得るが、シード層材料がペグへ拡散することによって引き起こされるシード層材料の劣った光学的性質の影響およびペグの光学的性質の低下を減少させ得る。
【0052】
一部の実施形態において、ペグ305のABS306は、その上に合金相互混合層を含み得る。一部のこのような実施形態において、合金相互混合層は、たとえば、 ABS表面からのX(二次的な元素)もしくはAuXの層の拡散、またはABSからのXのイオン注入もしくは高バイアス堆積によって形成され得る。
【0053】
図6Bは、ペグ602、ディスク604、およびロッド606を示すNFTの側面図である。
図6Bにおける実施形態は、ペグの少なくとも2つの表面(
図3Aおよび
図3Bにおける第1の表面307および第2の表面309に類似の表面)に位置する相互混合層612とシード層614とを含む。相互混合層612もロッド606の上に位置する。
図6Bに見られるように、相互混合層612は、ロッド606の表面上に位置し、その場所で相互混合層612はディスク604と接触する。シード層614は、ペグ602およびロッド606の底面(
図3Aおよび
図3Bにおける第1の表面307に類似)上に位置するが、ロッドの背面607上には位置しない。
【0054】
このような実施形態において、相互混合層(たとえば、合金相互混合層)は、ロッド606とディスク604との間においてバリア層としても機能し得る。このことは、ロッドの有効面積、ペグのロッドに対する体積比、およびロッド内における全欠陥を減少させるのに役立ち得る。これらの要因全ては、ペグの熱的安定性を高めるのに役立ち得る。NFT材料/X合金の使用は、ペグの温度を高めることなくペグからロッドを分離するのに役立つであろう。なぜなら、NFT材料/X合金の材料は、NFT材料自体とよく似た光学的性質を有するからである。
【0055】
NFTの底面(
図3Aおよび
図3Bにおける第1の表面307)に位置する相互混合層は、NFTとNFTが形成される基板との間に位置するものとして表され得る。このような実施形態において、相互混合層(たとえば、合金相互混合層)は、両者の間のCTEの不整合、格子の不整合、熱応力、および界面エネルギーを調整しながら、基板に対するNFTの接着(または基板の上に形成される接着層に対するNFTの接着)に影響を及ぼすよう機能し得る。
【0056】
このような実施形態において、ペグの第1の表面307(たとえば、底面またはNFTとNFTが形成される基板との間の表面)上の相互混合層は、たとえばクロム(Cr)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、またはこれらの一部の組み合わせを含み得る。ペグの第1の表面307上の相互混合層は、様々な厚さを有し得る。ペグの第1の表面307上の相互混合層は、一部の実施形態において0.1nm(1Å)以上の厚さを有し得る、または一部の実施形態において少なくとも0.5nm(5Å)の厚さを有し得る。ペグの第1の表面307上の相互混合層は、一部の実施形態において40nm(400Å)以下の厚さを有し得る、一部の実施形態において5nm(50Å)以下の厚さを有し得る。このような相互混合層の厚さ(たとえば、平均厚さ)は、たとえば透過型電子顕微鏡(TEM)、X線反射率(XRR)、またはX線光電子分光法(XPS)を用いて測定され得る。厚さは、たとえば既知の厚さを有する標準サンプルからの較正を用いて判定され得る。
【0057】
このような実施形態において、ペグの第1の表面307上の相互混合層は、たとえばNFT材料(たとえば、金)と二次的な元素(X)を含み得る。一部の実施形態において、Xは、たとえばアルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、硫黄(S)、錫(Sn)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、炭素(C)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ナトリウム(Na)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、窒素(N)、酸素(O)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Hо)、ルテチウム(Lu)、プラセオジム(Pr)、スカンジウム(Sc)、ウラン(U)、亜鉛(Zn)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ストロンチウム(Sr)、プラチナ(Pt)、バリウム(Ba)、塩素(Cl)、セリウム(Cs)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、フッ素(F)、ガドリニウム(Gd)、ゲルマニウム(Ge)、水素(H)、ヨウ素(I)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、リン(P)、ルビジウム(Rb)、セレン(Se)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Th)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、セシウム(Ce)、ガリウム(Ga)、カリウム(K)、リチウム(Li)、およびこれらの組み合わせから選択され得る。一部の実施形態において、Xは、たとえばホウ素(B)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、硫黄(S)、錫(Sn)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、炭素(C)、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Hо)、ルテチウム(Lu)、プラセオジム(Pr)、スカンジウム(Sc)、ウラン(U)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、塩素(Cl)、セシウム(Cs)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、フッ素(F)、ガドリニウム(Gd)、ゲルマニウム(Ge)、水素(H)、ヨウ素(I)、オスミウム(Os)、リン(P)、ルビジウム(Rb)、レニウム(Re)、セレン(Se)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Th)、およびこれらの組み合わせから選択され得る。一部の実施形態において、Xは、たとえばナトリウム(Na)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、窒素(N)、酸素(O)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、ストロンチウム(Sr)、プラチナ(Pt)、ベリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、ガリウム(Ga)、カリウム(K)、リチウム(Li)、およびこれらの組み合わせから選択され得る。一部の実施形態において、合金相互混合層は三元合金を含み得る。一部の実施形態において、Xは、たとえばNiAlまたはCoNiを含み得る(たとえば、NFT材料を用いて三元合金を形成する)。
【0058】
相互混合層の合金は、様々な量の二次的な元素を有し得る。相互混合層の合金は、一部の実施形態において 0.1原子%(原子パーセント)以上の二次的な元素(X)を有し得る、または一部の実施形態において0.5原子%以上の二次的な元素を有し得る。相互混合層の合金は、一部の実施形態において90原子%以下の二次的な元素(X)を有し得る、または一部の実施形態において5原子%以下の二次的な元素(X)を有し得る。
【0059】
ここに開示される材料の層を形成するための例示的なプロセスは、たとえば化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)、原子層堆積(ALD)、めっき(たとえば、電気めっき)、スパッタリング法、陰極アーク堆積法、イオン注入法、および蒸着法などの堆積法を含み得る。
【0060】
開示される層を形成するためのプロセスは、装置の製造工程の全体に容易に統合され得る。全体として、開示される相互混合層を使用することにより、NFTの剥離による歩留り損失が減少または除去され、現在の装置の形成工程への影響が非常に小さい状態で磁気装置の動作時のNFTの寿命が長くなる。
【0061】
相互混合層は、ここに記載のものと同様に、2つの異なる酸化層の間の接着を向上させるために利用され得る。たとえば、相互混合層は、CNS、NPS、クラッド、およびヘッドオーバーコート層のうちの2つの間に利用され得る。たとえば、このような構造または層は様々な酸化物からなり得て、開示される相互混合層は、接着を向上させ、物理的性質および機械的性質の不整合に対処するために利用され得る。
【0062】
ここで使用される全ての科学用語および技術用語は、別段の定めがない限り当該技術において一般的に使用される意味を有する。ここに規定される定義は、ここで頻繁に使用される特定の用語についての理解を容易とするものであり、本開示の範囲を限定する意図はない。
【0063】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、「上部」および「底部」(または「上方」および「下方」などの同様の他の用語)は、相対的な記載のために厳格に利用され、記載される要素が位置する物品の全体的な配向を暗に示すものではない。
【0064】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に規定されない限り複数の対象物を有する実施形態を包含するものである。
【0065】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、「または」の用語は、内容が明確に規定されない限り概して「および/または」を含む意味で採用される。「および/または」の用語は、列挙される要素の1つもしくは全て、または列挙される要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0066】
ここで使用される、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「備える」、または「備えている」などは、オープンエンドの意味で使用され、概して「含むが、限定されない」ことを意味する。「から主になる」および「からなる」などは、「備える」などに包括されることが理解される。たとえば、銀を「備える」導電性トレースは、銀「からなる」または銀「から主になる」導電性トレースであり得る。
【0067】
ここで使用される「から主になる」は、組成物、装置、システム、または方法などに関連する場合、組成物、装置、システム、または方法などの構成要素が列挙される構成要素および組成物、装置、システム、または方法などの基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない任意の他の構成要素に限定されることを意味する。
【0068】
「好ましい」および「好ましくは」の単語は、特定の状況下において特定の利益を与える実施形態をいう。しかしながら、他の実施形態もまた、同じまたは他の状況下において好ましいものとなり得る。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを暗に示すものではなく、請求項を含む開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図していない。
【0069】
また、ここで終点による数値範囲についての記載は、その範囲内に包括される全ての数字を含む(たとえば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含み、10以下は、10、9.4、7.6、5、4.3、2.9、1.62、0.3などを含む)。値の範囲が特定の値「まで」である場合、その値は範囲に含まれる。
【0070】
以上の記載および以下の請求項における「第1の」および「第2の」などの使用は、必ずしも列挙される対象物が存在することを示すことを意図していない。たとえば、「第2の」基板は、単に他の注入装置(「第1の」基板など)と区別することを意図している。また、以上の記載および以下の請求項における「第1の」および「第2の」などの使用は、必ずしもあるものが時間的に他のものよりも早いことを示すことを意図していない。
【0071】
したがって、少なくとも1つの相互混合層を含む装置の実施形態が開示される。上記の施行例および他の施行例は、以下の請求項の範囲内にある。当業者は、開示される実施形態以外の実施形態で本開示を実施することができる点を理解する。開示される実施形態は、例示を目的として示されており、限定を目的としていない。