特許第6038876号(P6038876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6038876飲料を調製するためのカプセル、システム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038876
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】飲料を調製するためのカプセル、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/34 20060101AFI20161128BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A47J31/34
   A47J31/06 340
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-500470(P2014-500470)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公表番号】特表2014-508621(P2014-508621A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】GB2012050623
(87)【国際公開番号】WO2012127233
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2014年10月9日
(31)【優先権主張番号】1104910.3
(32)【優先日】2011年3月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510218179
【氏名又は名称】クラフト・フーズ・アール・アンド・ディ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRAFT FOODS R&D, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ノートン
(72)【発明者】
【氏名】ニック・アンドリュー・ハンセン
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/137945(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02119640(EP,A1)
【文献】 特開平01−274719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/34
A47J 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料成分からの飲料の調製のためのカプセルであって、前記カプセルは、前記カプセルを保持するための容器を備えかつ前記容器に水媒体を供給するための流体分配装置を有している飲料調製機における使用に適しており、
前記カプセルは、前記カプセルの飲料成分区画を一緒に形成する第1セクションおよび第2セクションを備えており、前記飲料成分区画に飲料成分が受け入れられており、
前記第1セクションは前記カプセル内への水媒体の進入のための予め形成された入口を備えており、
前記第2セクションは使用時に前記飲料成分および前記水媒体から形成される飲料のための予め形成された出口を備えており、
前記第1および前記第2セクションは、可変セクションによって相互に連結されていると共に、
前記第1および前記第2セクションは、前記可変セクションより厚く、前記第1または前記第2セクションの穴空けなしに前記カプセルの前記第2セクションの方へ前記カプセルの前記第1セクションを移動させるために、前記カプセルの前記第1セクションが前記飲料調製機の入口穴空け器に係合することによって前記カプセルが前記飲料調製機の前記容器内に挿入されるとき、前記カプセルが圧縮可能である、ことを特徴とするカプセル。
【請求項2】
前記可変セクションは弾性的に変形可能である、請求項に記載のカプセル。
【請求項3】
前記第1および前記第2セクションは互いに関節でつながれている、請求項1又は2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記第1および前記第2セクションはヒンジにより相互に連結されている、請求項1又は2に記載のカプセル。
【請求項5】
前記第1および前記第2セクションは衝撃吸収帯により相互に連結されている、請求項1又は2に記載のカプセル。
【請求項6】
前記第1および前記第2セクションは折り畳み可能部により相互に連結されている、請求項1又は2に記載のカプセル。
【請求項7】
カップおよびカップ蓋を備えており、
前記カップは、底部と、前記底部から前記底部と反対側に置かれるカップ開口を画定する縁へと延びる周縁側壁とを備えており、
前記カップ蓋は、前記飲料成分区画を形成するように前記カップ開口を閉じる前記カップと接続可能であり、
前記カップの前記周縁側壁は前記可変セクションを備えている、請求項1から6のいずれか1つに記載のカプセル。
【請求項8】
前記カップは単一に形成されている、請求項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記第1および前記第2セクションは別個であり、一緒に滑れるように互いに接続されている、請求項1に記載のカプセル。
【請求項10】
前記カプセル内の1以上の入口フィルタと、前記カプセル内の出口フィルタとをさらに備えている、請求項1〜のいずれか1つに記載のカプセル。
【請求項11】
前記飲料成分を含む分離フィルタバッグをさらに備えており、前記フィルタバッグは前記飲料成分区画内に保持されている、請求項1〜のいずれか1つに記載のカプセル。
【請求項12】
飲料成分からの飲料の調製のためのシステムであって、
i)飲料調製機と、
ii)カプセルと
を備えており、
前記飲料調製機は、代替の穴空け可能なカプセルを保持するための容器と、前記容器に水媒体を供給するための流体分配装置と、前記代替の穴空け可能なカプセルに入口を空けるための入口穴空け器とを備えており、
前記カプセルは、前記カプセルの飲料成分区画を一緒に形成する第1セクションおよび第2セクションを備えており、前記飲料成分区画に飲料成分が受け入れられており、前記第1セクションは前記カプセル内への水媒体の進入のための予め形成された入口を備えており、前記第2セクションは使用時に前記飲料成分および前記水媒体から形成される飲料のための予め形成された出口を備えており、
前記第1および前記第2セクションは、可変セクションによって相互に連結されていると共に、
前記第1および前記第2セクションは、前記可変セクションより厚く、前記第1または前記第2セクションの穴空けなしに前記カプセルの前記第2セクションの方へ前記カプセルの前記第1セクションを移動させるために、前記カプセルの前記第1セクションが前記飲料調製機の入口穴空け器に係合することによって前記カプセルが前記飲料調製機の前記容器内に挿入されるとき、前記カプセルが圧縮可能である、ことを特徴とする飲料成分からの飲料の調製のためのシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料を調製するためのカプセル、システム、および方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一杯用飲料抽出システムは、飲料調製機および一杯用の飲料を形成するための(カートリッジと呼ばれる)使い捨てカプセルを用いてもよい。このようなシステムと共に用いるためのカプセルは、飲料成分が予め詰め込まれており、使用に先立って密閉されている。使用時に、カプセルに入れるための水のような水媒体およびカプセルから出すための飲料のための入口を形成するために、飲料調製機内への挿入中または後にカプセルが穴を空けられる。使用時にカプセルが穴を空けられるので、それらは再使用には適していない。さらに、カプセルは様々な異なる材料から様々な異なる方法で構成されてもよいが、すべてがコスト的に効率のよい製造に結びつくとは限らない。さらに、カプセルは、予め詰め込まれた飲料成分を用いる用途にのみ適している。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、
飲料成分からの飲料の調製のためのカプセルであって、前記カプセルは、前記カプセルを保持するための容器を備えかつ前記容器に水媒体を供給するための流体分配装置を有している飲料調製機における使用に適しており、
前記カプセルは、前記カプセルの飲料成分区画を一緒に形成する第1セクションおよび第2セクションを備えており、前記飲料成分区画に飲料成分が受け入れられており、前記第1セクションは前記カプセル内への水媒体の進入のための予め形成された入口を備えており、前記第2セクションは使用時に前記飲料成分および前記水媒体から形成される飲料のための予め形成された出口を備えており、
前記第1または前記第2セクションの穴空けなしに前記カプセルの前記第2セクションの方へ前記カプセルの前記第1セクションを移動させるために、前記カプセルの前記第1セクションが前記飲料調製機の入口穴空け器に係合することによって前記カプセルが前記飲料調製機の前記容器内に挿入されるとき、前記カプセルが圧縮可能である、カプセルを提供している。
【0004】
有利には、前記カプセルの圧縮は、前記飲料成分区画内に保たれている前記飲料成分を圧縮するのに用いられてもよく、前記飲料成分区画は、前記飲料成分の抽出を改善するのに有益な効果を持っている。
【0005】
前記カプセルのための予め形成された入口および出口の使用は、分配中に穴を空けられる入口および出口と比べて、より一貫した、より予測可能な、前記カプセルを通る水媒体の流れを達成するかもしれない。
【0006】
前記第1および第2セクションは、可変セクションによって相互に連結されてもよい。
【0007】
可変セクションは、弾性的に変形可能であってもよい。
【0008】
有利には、一旦飲料調製機からカプセルが取り除かれると、可変セクションが部分的にまたは全くその最初の形状を回復してもよい。このことは、カプセルを再使用により適するようにするかもしれない。
【0009】
第1および第2セクションは、互いに関節で繋がれてもよい。代わりにあるいはさらに、第1および第2セクションはヒンジによって相互に連結されてもよい。代わりにあるいはさらに、第1および第2セクションは衝撃吸収帯によって相互に連結されてもよい。代わりにあるいはさらに、第1および第2セクションは折り畳み可能セクションによって相互に連結されてもよい。
【0010】
カプセルは、カップとカップ蓋とを備えてもよい。前記カップは、底部と、前記底部から前記底部と反対側に置かれるカップ開口を画定する縁へと延びる周縁側壁とを備えている。前記カップ蓋は、前記飲料成分区画を形成するように前記カップ開口を閉じる前記カップと接続可能である。前記カップの前記周縁側壁は前記可変セクションを備えている。
【0011】
この場合、前記カップは単一に形成されている。カップは、成形品として単一の部品で形成されてもよい。可変セクションは、成形工程の間に形成されてもよく、あるいは成形工程の後の、圧縮成形、切断、スコーリング、熱処理、曲げのような処理によって形成されてもよい。
【0012】
前記第1および前記第2セクションは別個であり、一緒に滑れるように互いに接続されている。
【0013】
滑り接続は、第1および第2セクション間の単一の締り嵌めであってもよい。代わりに、シール装置、例えば、ガスケットまたはOリングが、第1および第2セクション間に設けられてもよい。代わりに、第1および第2セクションは、第1および第2セクションの他方と係合する弾性の縁または面を備えていてもよい。
【0014】
前記カプセルは、前記カプセル内の1以上の入口フィルタと、前記カプセル内の出口フィルタとをさらに備えている。フィルタは、使用に先立って、カプセルの予め形成された入口および出口を通って飲料成分が逃れることを妨げるように作用する。使用中、出口フィルタは、カプセルを出る飲料の流れから飲料成分の微粒子を濾過するために用いられてもよい。入口フィルタは、カップの底部の内面に接着されてもよい。出口フィルタはカップ蓋に隣接してもよい。出口フィルタはカップ蓋の内面に接着されてもよい。
【0015】
代わりにあるいはさらに、前記カプセルは、前記飲料成分を含む分離フィルタバッグをさらに備えてもよく、前記フィルタバッグは前記飲料成分区画内に保持されている。
【0016】
有利には、分離フィルタバックの使用は、カプセルの入口および出口に入口フィルタおよび出口フィルタを設ける必要性を回避するかもしれない。フィルタバックは、濾紙のような濾過材から形成されてもよい。フィルタバックはカプセルの残りとは別に設けられてもよく、使用の直前にユーザによって飲料成分区画内に挿入されてもよい。そのような使用は、カプセルをより再使用に適するようにするかもしれない。
【0017】
代わりにあるいはさらに、入口および出口の開口または開口群の大きさは、飲料成分のために効果的なフィルタを提供するのに十分小さくなるように選択されてもよい。
【0018】
飲料成分は、焼き肉および挽きコーヒーまたは葉茶のような抽出可能な成分であってもよい。飲料成分は、チョコレートのような可溶または部分的に可溶の成分、ミルク、クリーム、クリーマーのような乳製品由来の成分、あるいは粉乳であってもよい。飲料成分は、粉末、粒状、または液体の形態で提供されてもよい。飲料成分は、2つ以上の成分の混合物あるいは組み合わせであってもよい。
【0019】
カプセルの第1および第2セクションは、飲料調製機の容器の部分に締まり嵌めを形成するように形作られてもよい。例えば、周縁側壁は、飲料調製機の容器の部分に、密封された、概して流体密封された、シールを形成するように、大きさが決められ、形作られてもよい。カプセルは、カプセルの容器内への挿入において飲料調製機によって把持される外部の周縁フランジを備えてもよい。フランジは、カプセルと飲料調製機との間に概して流体密封のシールを形成してもよい。有利には、これらの付属具は、単独または組み合わせで、使用時におけるカプセルを回避する水媒体の流れを妨げてもよく、飲料成分区画を通って入口から出口へと流れる水媒体の量を増大させるのに役立ってもよい。
【0020】
予め形成された入口は単一の開口を備えていてもよい。代わりに、入口開口は、多くの開口を備えていてもよい。
【0021】
予め形成された出口は多くの出口開口を備えていてもよい。
【0022】
第2セクションは、概して堅くてもよい。
【0023】
第2セクションは、スナップフィット接続により第1セクションと接続可能であってもよい。スナップフィット接続は、繰り返し、係合可能かつ取り外し可能であってもよい。有利には、このことは、カプセルを再使用により適するようにするかもしれない。有利には、第2セクションは、接着により第1セクションにしっかりと接続されてもよい。例えば、第2セクションは、第1セクションに超音波で溶着または接着されてもよい。
【0024】
第1および第2セクションは、プラスチック材料から形成されてもよい。例えばポリプロピレンである。第1および第2セクションの材料は、金属プローブ、ナイフまたは褐版のような金属の入口および/または出口穴空け器を持っている飲料調製機の中で使用されるときでさえ、穴空けや引き裂きに耐えてもよい。
【0025】
ガス浸透に強い材料から第1および第2セクションを形成してもよい。使用に先立って予め形成された入口および予め形成された出口のためのガス障壁を形成するために、第1および第2セクションの外面に取り外し可能なカバーを加えてもよい。容器の中へのカプセルの挿入に先立って取り外し可能なカバーを取り除いてもよい。代わりに、強化された障壁特性を欠く材料からカプセルを形成してもよい。代わりに、柔軟性のある包装紙のような外装内に、1以上のカプセルが設けられてもよい。この外装は、ガス浸透への障壁を提供できる。
【0026】
第1および第2セクションは可変セクションより厚くてもよい。中間壁セクションは、0.3mmの厚さを有してもよい。中間壁セクション以外のカップの周縁側壁は0.5mmの厚さを有してもよい。カップ蓋は、0.5mmの厚さを有してもよい。カップの底部は、1.0〜1.5mmの厚さを有してもよい。
【0027】
入口フィルタ、出口フィルタ、入口フィルタバック、出口フィルタバックは、それらが存在する場合、高湿潤強度材料、例えばポリエステルの不織ファイバー材料から、形成されてもよい。使用されてもよい他の材料は、織られた紙ファイバーを含むセルロース系材料のような遮水セルロース系材料を含んでもよい。織られた紙ファイバーは、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニルおよび/またはポリエチレンのファイバーと、混合されてもよい。
【0028】
本開示は、飲料成分からの飲料の調製のためのシステムであって、
i)飲料調製機と、
ii)カプセルとを備えており、
前記飲料調製機は、代替の穴空け可能なカプセルを保持するための容器と、前記容器に水媒体を供給するための流体分配装置と、前記代替の穴空け可能なカプセルに入口を空けるための入口穴空け器とを備えており、
前記カプセルは、前記カプセルの飲料成分区画を一緒に形成する第1セクションおよび第2セクションを備えており、前記飲料成分区画に飲料成分が受け入れられており、前記第1セクションは前記カプセル内への水媒体の進入のための予め形成された入口を備えており、前記第2セクションは使用時に前記飲料成分および前記水媒体から形成される飲料のための予め形成された出口を備えており、
前記第1または前記第2セクションの穴空けなしに前記カプセルの前記第2セクションの方へ前記カプセルの前記第1セクションを移動させるために、前記カプセルの前記第1セクションが前記飲料調製機の入口穴空け器に係合することによって前記カプセルが前記飲料調製機の前記容器内に挿入されるとき、前記カプセルが圧縮可能である、カプセルも提供する。
【0029】
有利には、飲料調製機は、本来、使用において必ず穴空けされるかまたは引き裂かれる代替のカプセルを受け入れるように設計されてもよい一方、現在開示されているようなカプセルは、この種の飲料調製機で使用できる異なるカプセルを提供する。現在のカプセルは、上述したような利点を備えてもよい。特に、カプセルは再使用可能でもよく、カプセル内に予め包装されるかまたは分離フィルタバック内に設けられる飲料成分を利用してもよい。
【0030】
さらに、入口穴空け器によるカプセルの圧縮は、有利には、入口穴空け器の端と前記容器に対する第2セクションの接合点との間で前記カプセルに加えられる圧縮力により、上述で注意したような飲料成分の圧縮を生み出してもよく、容器内におけるカプセルの改善された把持および容器への第2セクションのよりよい密封を提供してもよい。
【0031】
システムのカプセルは、以前に記述されるようなカプセルであってもよい。
【0032】
本開示は、飲料成分から飲料を調製する方法であって、
i)飲料調製機の容器にカプセルを挿入する工程と、
ii)前記飲料調製機の入口穴空け器によって前記カプセルに穴を空けることなく、前記カプセルの前記第1セクションを前記飲料調製機の前記入口穴空け器に係合することによって、少なくとも一部分において前記容器内で前記カプセルを把持する工程と、
iii)前記カプセルを圧縮する工程と、
iv)飲料を形成するために水媒体が前記カプセルを通過するように、前記飲料調製機の流体分配装置から前記容器に前記水媒体を供給する工程と、を備えている方法も提供する。
【0033】
出口穴空け器によってカプセルに穴開けしたりまたはカプセルを引き裂いたりすることなしに、入口穴空け器と、飲料調製機の容器の出口のプローブまたは起伏面のような出口穴空け器との間で、カプセルが圧縮されてもよい。例えば、代替カプセルの表面に穴開けしたりまたは表面を引き裂いたりするように、飲料調製機の起伏面が設計されてもよい。しかしながら、本開示のカプセルは、出口を形成するために穴空けまたは引き裂きを必要としない。
【0034】
カプセルの周縁側壁の変形によって、カプセルの圧縮が提供されてもよい。
【0035】
上述の観点では、カプセルの飲料成分区画の容積を減少させるために、カプセルの圧縮が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】明瞭さのために飲料成分が省略された、本開示の第1の観点のカプセルの分解斜視図である。
図2】組み立てられた形式の図1のカプセルの斜視図である。
図3図2のカプセルの下面図である。
図4】明瞭さのために飲料成分が省略された、図2のカプセルの横断面図である。
図5】明瞭さのために飲料成分が省略された、図2のカプセルの斜視断面図である。
図6】カプセルの飲料成分区画内にばらの飲料成分が収納された、図2のカプセルの横断面図である。
図7】カプセルの飲料成分区画内にフィルタバッグ内で飲料成分が収納された、図2のカプセルの横断面図である。
図8】飲料調製機内における、(明瞭さのために飲料成分が省略された)図2のカプセルの概略横断面図である。
図9】本開示の第2の観点に係る、カプセルの横断面図である。
図10】本開示の第3の観点に係る、カプセルの横断面図である。
図11】本開示の第4の観点に係る、カプセルの横断面図である。
図12】明瞭さのために飲料成分が省略された、本開示の第5の観点に係るカプセルの横断面図である。
図13図12のカプセルの斜視断面図である。
図14】本開示の第6の観点に係るカプセルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示の観点が、添付の図面を参照して、ほんの一例として、これより説明される。
【0038】
第1の観点のカプセルは、図1から図8に示されている。カプセル1は、カップ10、入口フィルタ30、出口フィルタ31およびカップ蓋50から形成されている。カプセル1は、図6および7に示されるように飲料成分32を含んでいる。
【0039】
カップ10は、概して円錐台形状であり、環状底部12および周縁側壁13を備えており、周縁側壁13は底部10からカップ開口20を画定する環状縁21まで延びている。
【0040】
底部12は、概して平らな外面26を備えており、入口開口23の形態で中心に位置する入口を有している。入口開口23は、水がカプセル1に入るための経路を提供するように、底部12を通って延びている。底部12は、1.0から1.5mmの厚さを有してもよい。入口開口23は、カプセル1を製造するときに、底部12に予め形成される。入口開口は、4mmの直径を有している。その代わりに、入口は、底部12の外面26上に配置される複数の開口から形成されてもよい。
【0041】
周縁側壁13は、底部12に最も近い近位セクション14と、底部12から最も遠い遠位セクション15とを備えている。近位セクション14は、底部12から延びている。近位セクション14および遠位セクション15は、中間壁セクション19によって相互接続されている。
【0042】
近位セクション14および遠位セクション15の厚さは、0.5mmであってもよい。
【0043】
遠位セクション15は、環状縁21にまたは近くに環状で内向きのリブ22を備えている。リブ22は、以下で説明されるように、カップ蓋40にカップ10を接続するために用いられている。
【0044】
可変セクション16は、側壁13内に折り畳み部として形成されている。折り畳み部は、図4に最も示されているように、側壁13の形状内に2つの屈曲を含んでいる。第1の、外屈曲17は、遠位セクション15の近位端に向かって形成されている。第2の、内屈曲18は、近位セクション14の遠位端に向かって形成されている。中間壁セクション19は、外屈曲17と内屈曲18との間を延びている。このため、周壁13の近位セクション14および遠位セクション15が底部12から遠くに延びるのにつれて分岐するのに対し、中間壁セクション19は底部12から遠くに延びるのにつれて近づく。
【0045】
中間壁セクション19の厚さは、0.3mmであってもよい。
【0046】
(どんな分離フィルタもない)カップ10は、単一成分を形成する、底部12、近位セクション14、遠位セクション15および可変セクション16を有する単一の本体として形成される。カップ10は、成形品として製造されてもよい。
【0047】
入口フィルタ30は、入口開口23の内側端を横切って延びるように、底部12の内面に接合されている。
【0048】
ポリエステルの不織ファイバー材料から入口フィルタ30を形成してもよい。
【0049】
カップ蓋40は、内側に向いたリム45を有する、概して円盤状の本体41を備えている。リム45は、内面46から概して垂直に延びている。リム45は、最も外側の側面に円周溝47を備えている。円周溝47は、カップ10のリブ22と一緒に組立を協働し、カップ10にカップ蓋40を保つためのスナップフィット接続を形成している。
【0050】
フランジ42は、本体41の周縁に配置されている。
【0051】
カップ蓋40の外面49は、補強リブ44により互いに分けられた複数の凹部48を備えている。カップ蓋40は、凹部48内に配置された複数の出口開口43の形態で、飲料がカプセル1を出るための出口を備えている。
【0052】
出口開口43は、カプセル1の製造時にカップ蓋40に予め形成されている。各出口開口は、0.4mmの直径を備えてもよい。
【0053】
出口フィルタ31は、出口開口43を横切って伸びるようにカップ蓋40の内面46に接合されている。
【0054】
出口フィルタ31は、ポリエステルの不織ファイバー材料から形成してもよい。
【0055】
代替配置では、概して水平な外面49を有するカップ蓋40の内面46上に、凹部48および補強リブ44が設けられてもよい。
【0056】
(どんな個別のフィルタもない)カップ蓋40は、単一の本体として形成されている。成形品としてカップ蓋40を製造してもよい。
【0057】
ポリプロピレンのようなプラスチック材料からカップ10およびカップ蓋40を形成してもよい。
【0058】
カプセルを組み立てるために、カップ10およびカップ蓋40は、まず別々に製造される。その後、飲料成分32が、(緩い形態で、あるいは図7に示されるようなフィルタバッグ33内で)カップ10内に入れられる。カップ10内に飲料成分(あるいはフィルタバッグ33)を詰めることにより、入れた後に飲料成分32を圧縮してもよい。その後、カップ10およびカップ蓋40によって画定される飲料成分区画24を閉じるために、リブ22および溝47のスナップフィット協働によりカップ10にカップ蓋40を接続する。
【0059】
カップ10とカップ蓋40の間のスナップフィット接続は、さらなる多量の飲料成分を用いたカプセル1の再使用を許容するように、複数回接続可能かつ分離可能であるように設計されてもよい。
【0060】
その代わりに、あるいはそれに加えて、カップ10とカップ蓋40の間のスナップフィット接続を使用して、カプセル1が意図している単独使用、使い捨てのアイテムであるところの2つの部品をしっかりと接合するために、超音波溶着を用いてもよい。
【0061】
カプセル1の高さはおよそ25mmである。また、カプセル1の(外面49を横切った)外径は、およそ37mmである。
【0062】
カプセル1が組み立てられると、底部12および側壁13の近位セクション14を備える第1セクションが画定される。側壁13およびカップ蓋40の遠位セクション15を備える第2セクション56が画定される。第1セクション55および第2セクション56は可変セクション16によって相互に連結されている。
【0063】
使用に先立って飲料成分32を保護し保存するための酸素障壁を提供するために、包み紙で1または複数のカプセル1を包んでもよい。
【0064】
使用時に、適当な一杯用飲料調製機の開放容器ハウジング62内にカプセル1は置かれている。飲料調製機は、飲料調製機の出口プラテン61に接するカップ蓋40の外面49を備えている。
【0065】
その後、容器ハウジング62は、典型的には、入口穴あけ器60を容器室65の内へ、さらに内へと移動させるためのレバー機構を使用する通常の方法で閉じられる。使用中に穴を空けられる代替カプセルと共にそのような機構を使用する場合、入口穴空け器の移動は、入口穴空け器に、カプセル底部で入口に穴を空けさせる。しかし、図8で概略的に示されるように、本開示のカプセル1では、入口穴空け器60の移動は、カプセルの底部12に対して入口穴空け器60を係合させ、底部12に穴を空けたり引き裂いたりすることなしにカプセル1を圧縮する。カプセル1は、入口穴空け器60と出口プラテン61の間で圧縮される。入口穴空け器60によって生み出される圧縮力は、出口プラテン61に対して外面49を押すように作用し、カプセル1と容器との間に有効なシールを形成し、カプセル1の外部の周りでの水のバイパス流を大きく妨げる。容器ハウジング62の下リム58は、出口プラテン61に対してカップ蓋40をさらに押すように、周縁フランジ42の上面に係合してもよい。
【0066】
カプセル1の圧縮は、第1セクション55が第2セクション56の方に移動することをもたらす。高さがおよそ25mmであるカプセルについては、移動の量は0.3〜1.0mmかもしれない。一例において、移動の量はおよそ0.75mmである。
【0067】
出口プラテン61は、代替カプセルのカバーを裂くか穴を空けるように意図された1以上の起伏要素66を備えている。起伏要素66間の溝は、分配点に向けて下流に流体的に接続された出口水抜き穴67に通じている。しかしながら、本カプセル1のカップ蓋40は、十分に強く、圧縮されたときに引き裂かれたり穴を空けられたりしない。はじめに容器室65に挿入されたときに外面49が起伏要素66に接触しないように、カップ蓋40を設計してもよい。
【0068】
飲料を分配するために、水媒体、典型的には湯が、入口穴空け器60によって容器室65に注入される。水は典型的には7から12バールの圧力がかけられてもよい。その後、水は、入口開口23および入口フィルタ31を通ってカプセル1に入り、そこで飲料成分32と接触する。その後、例えば飲料成分32の抽出によって、飲料が形成される。その後、飲料は出口フィルタ31を通り抜け、そこでどのような望まれない微粒子も保持され、出口開口43を通ってカプセル1を出て凹部48に入る。その後、飲料は、凹部から、起伏要素66間に形成された溝を通って出口水抜き孔67の外へと流れる。
【0069】
分配の後、カプセル1は、容器ハウジング62から排出されても、手動で取り出されてもよい。その後、カプセル1は、必要に応じて再使用されても、処分されてもよい。
【0070】
図9に、第2の観点のカプセルが示されている。カプセル1は、第1の観点のカプセルに似ており、同一の部品は同一の符号を用いて参照されている。さらに、第1の観点のカプセルと比較された違いだけが議論されるだろう。第2の観点のカップ10は、円錐台形であるというよりむしろ円筒形である。さらに、入口開口23は、底部12の要部上に配置された複数の入口開口の形態で設けられている。第2の観点のカプセルの組立および使用は、第1の観点に関して上述された通りである。
【0071】
図10に、第3の観点のカプセルが示されている。カプセル1は、第1の観点のカプセルに似ており、同一の部品は同一の符号を用いて参照されている。さらに、第1の観点のカプセルと比較された違いだけが議論されるだろう。第3の観点のカップ10およびカップ蓋40は、第1の観点と比較して逆さまである。したがって、カップ蓋40は、複数の開口の形態で入口開口23を備えており、底部12は出口開口43を備えている。カップ蓋40が飲料調製機に入れられると、カップ蓋40から底部12へと向かう方向で水が流れるようにカップ蓋40は最も上に位置する。第1の観点のカプセルと同様に、側壁13は、(この観点ではカップ蓋40に近位の)第1セクション55を(この観点ではカップ蓋40から遠位の)第2セクション56から分離する可変セクション16を備えている。
【0072】
図11に、第4の観点のカプセルが示されている。カプセル1は、第1の観点のカプセルに似ており、同一の部品は同一の符号を用いて参照されている。カプセル1は2つの分離部品を備えている。第1部品は、底部12および周縁側壁13の近位セクション14を有するカップ10を備えている。第2部品は、側壁13およびカップ蓋40の遠位セクション15を備えている。不可欠な部分として第1および第2部品の各々を形成してもよい。したがって、第1および第2の両方の部品は、カップのような形式であってもよい。底部12に入口開口23が形成され、第1の観点におけるようにカップ蓋40に出口開口43が形成される。以前に記述されたように、入口と出口のフィルタ(あるいは分離フィルタバッグ)が、設けられてもよい。
【0073】
第1および第2部品は、遠位セクション15内で滑る側壁13の近位セクション14との締り嵌めとして、一緒に組み立てられる。追加のシール要素、例えば重合体のガスケットまたはOリングが、それらの間のシールを改善するために設けられてもよい。この観点では、可変セクション16は、カップ10とカップ蓋40の間の締り嵌めの重複区間を備えている。
【0074】
飲料調製機に挿入される使用時に、第1セクション55は、カップ蓋40内でカップ10の滑り嵌めによってカプセル1を圧縮するように、第2セクション56の方に移動できる。
【0075】
もちろん、締り嵌めとしてカップ10内ではめるように、カップ蓋40が形成されてもよい。
【0076】
図12および13に第5の観点のカプセルが示されている。カプセル1は、第1の観点のカプセルに似ており、同一の部品は同一の符号を用いて参照されている。この観点では、カプセル1は、可変セクション16’が、図1の可変セクション16の等価要素の配置に対して実質的に垂直である下、中間、上要素17’、18’および19’を備えているという点で、異なっている。この観点では、要素17’から要素19’は、概して横に向いている。
【0077】
図14に第6の観点のカプセルが示されている。カプセル1は、第4の観点のカプセルに似ており、同一の部品は同一の符号を用いて参照されている。この観点では、カプセル1は、第1および第2部品が遠位セクション15の外面の上を滑る側壁13の近位セクション14との締り嵌めとして一緒に組み立てられる点で、異なっている。第4の観点と同様に、追加のシール要素、例えば重合体のガスケットまたはOリングが、それらの間のシールを改善するために設けられてもよい。この観点では、可変セクション16は、カップ10とカップ蓋40の間の締り嵌めの重複区間を備えている。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14