特許第6038897号(P6038897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038897
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】心電図監視システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0404 20060101AFI20161128BHJP
   A61B 5/04 20060101ALI20161128BHJP
   A61B 5/044 20060101ALI20161128BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20161128BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A61B5/04 310H
   A61B5/04ZDM
   A61B5/04 R
   A61B5/04 314G
   A61B5/04 300M
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-512001(P2014-512001)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公表番号】特表2014-517759(P2014-517759A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】IL2012000200
(87)【国際公開番号】WO2012160550
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】61/488,913
(32)【優先日】2011年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500408326
【氏名又は名称】エスエイチエル・テレメデイシン・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト・イー・ラインホルト・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】シェイ・レイボヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロニ・カザズ
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/070101(WO,A2)
【文献】 特開平01−265942(JP,A)
【文献】 特開2002−233512(JP,A)
【文献】 特開2002−034943(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/102695(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0069735(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0185062(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0198089(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0174204(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0028821(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0142715(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0165319(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0105928(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0234592(US,A1)
【文献】 米国特許第07266405(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準的な12誘導心電図(ECG)およびリズムストリップを獲得するための方法であって、ECGおよびリズムストリップは、標準的なアイントホーフェン肢誘導、ゴールドバーガー増高誘導、およびウィルソン前胸部誘導に従って獲得され、
a.前記方法は、少なくとも9つの皮膚監視電極の組を提供するステップを具備し、電極の各々は、直接または電極ベルトを介して、個人用ECGデバイスに電気的に接続され、ここで、ECGデバイスは、ユーザの左脚の電気信号を取得するために、そのハウジングの背面側に胸部に面する2つの前胸部電極を有し、かつ、1つの浮動電極(LL電極)を有し、ここで、前記電極ベルトは、胸部ストラップを含み、胸部ストラップ上に、少なくとも6つの皮膚監視電極が、解剖学的に配置され、ここで、少なくとも4つの前胸部電極が、前記電極ベルトの内側に置かれ、かつ、ユーザの胸部上に配置され、2つの皮膚監視電極は、左腕(LA電極)および右腕(RA電極)の電極信号を取得するために、前記電極ベルトの外側に置かれたベルト取付肢電極であり、
b.前記方法は、電極ベルトをユーザの胸部の周囲に固定しかつLL電極を腰部上に配置しながら、前記電極ベルトおよび前記ECGデバイスを使用することによって、前記ユーザの身体上に前記少なくとも9つの皮膚監視電極を配置するステップを具備し、それによって、前記個人用ECGデバイスに直接接続された電極と組み合わせて電極ベルト上に配置された皮膚監視電極が、リズムストリップおよび12誘導ECGのためのECGデータの取得を可能にし、ここで、前記電極からの信号は、標準的な12誘導ECG具備する標準的なアイントホーフェン肢誘導、ゴールドバーガー増高誘導、およびウィルソン前胸部誘導のためのデータを獲得するために、そのような方法で取得され、
c.前記方法は、アイントホーフェン肢誘導、ゴールドバーガー増高誘導、およびウィルソン前胸部誘導と前記リズムストリップとに従って、前記標準的な12誘導ECGを獲得するためのECGデータを、前記個人用ECGデバイスによって、生成するステップを具備し、ここで、前記生成されたECGデータは、標準的な解剖学の位置に配置された前記皮膚監視電極によって取得されるときに、前記ユーザの心臓の電気的な活動を示し、
d.前記方法は、前記ECGデータを、ショートレンジデータ通信ワイヤレスプロトコルを介して、対をなす移動デバイスへ転送するステップを具備し、移動デバイスは、前記転送されたECGデータを遠隔データセンタへ伝送するために、遠隔データセンタと通信するように適応され、
e.前記方法は、前記遠隔データセンタにおいて、前記転送されたECGデータを処理し、かつ、従来の臨床の12誘導ECGおよびリズムストリップ記録を作成するステップを具備し、ここで、前記移動デバイスは、前記遠隔データセンタから、前記作成された12誘導ECGおよびリズムストリップ記録を受信するように更に適応されている
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記移動デバイスは、前記遠隔データセンタとのデータ通信を確立し、前記遠隔データセンタの代表者との音声コンタクトの間に、ECGデータを送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作成された12誘導ECGおよびリズムストリップ記録を、前記遠隔データセンタから、1つまたは複数の通信プロトコルを介して、移動デバイス、遠隔端末ユニット、ポータブルコンピュータベースの通信デバイス、およびその他のコンピュータシステムに転送し、それによって、前記12誘導ECGおよびリズムストリップが、医療専門家によって検討され、保存され、かつ/または印刷されるのを可能にするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザが、前記移動デバイスのディスプレイ上で12誘導ECGおよびリズムストリップ記録の表示を観察するのを可能にするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記移動デバイスを使用して各ECG電極接触の状態を前記ユーザに対して表示し、それによって、前記電極接触の前記状態を評価し、前記ユーザが前記接触、したがって、結果的に得られるECGの質を改善するのを可能にするようにフィードバックを前記ユーザに提供することによって、電極接触状態を改善するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザに対して、前記個人用ECGデバイスを操作する間、指示、質問、またはその他の関連データを、前記対をなす前記移動デバイスを介して与えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
心電図監視システムであって、
a.前記システムは、ユーザの心臓の電気的な活動を示す標準的な12誘導心電図(ECG)データを具備する標準的なアイントホーフェン肢誘導、ゴールドバーガー増高誘導、およびウィルソン前胸部誘導のためのデータを獲得するための個人用ECGデバイスを具備し、ここで、ECGデバイスは、ユーザの左脚の電気信号を取得するために、そのハウジングの背面側に胸部に面する2つの前胸部電極を有し、かつ、1つの浮動電極(LL電極)を有し、
b.前記システムは、電極ベルトを具備し、前記電極ベルトは、前記ユーザの胸部の周りに延びる弾性部分と、前記ユーザの身体を囲みながら前記電極ベルトを閉めるために前記個人用ECGデバイス上に置かれたベルト閉め部材とかみ合わされるように適応されたバックルとを有し、ここで、バックルおよびベルト閉め部材は、また、これらが機械的にかみ
合わされるとき、電気的に接続され、それによって、前記電極ベルト上に解剖学的に配置された少なくとも6つの皮膚監視電極によって取得されるときに、心臓の電気的な活動を前記個人用ECGデバイスへ転送することを可能にし、ここで、前記電極のうちの少なくとも4つは、前記電極ベルトの内側に置かれかつ前記ユーザの胸部上に配置された前胸部の電極であり、2つの電極は、左腕(LA電極)および右腕(RA電極)の電極信号を取得するために、前記電極ベルトの外側に置かれたベルト取付肢電極であり、それによって、前記個人用ECGデバイスに直接接続された電極と組み合わせてベルト上に配置された電極が、前記標準的な12誘導ECGを取得するための標準的な解剖学の電極位置に自動的に配置され、
c.前記システムは、前記個人用ECGデバイス内に埋め込まれた、対をなす移動デバイスとのデータ通信のためのショートレンジワイヤレス通信モジュールを具備し、それによって、前記個人用ECGデバイスから、前記移動デバイスへ、ECGデータを転送することを可能にし、
d.前記システムは、前記転送されたECGデータを遠隔データセンタへ伝送するために、遠隔データセンタとのデータ通信のために、前記移動デバイスによって実行されるための専用アプリケーションを具備し、専用アプリケーションは、前記ECGデータを処理しかつ12誘導ECGおよびリズムストリップ記録を作成し、かつ、前記遠隔データセンタから受信されたときに、前記作成された12誘導ECG記録に関連する情報を視覚的に表示する
ことを特徴とする心電図監視システム。
【請求項8】
前記電極ベルトは、前記皮膚監視電極が解剖学的に位置する胸部ストラップ電極ベルトであり、前記電極ベルトは、前記皮膚監視電極のうちの少なくともいくつかにおいて前記個人用ECGデバイスに電気的に接続する電気的接続部を含む閉め部材を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記個人用ECGデバイスおよび前記電極ベルトは、前記電極ベルトを交換するのを可能にする対応する機構を備え、したがって、前記電極ベルトは、取り外して様々なベルトと交換され、ベルトサイズを胸部サイズおよび性別に合わせて個人用に設定することができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記浮動電極の導線は、子供のヨーヨーと同様な電極コンパートメント内に前記導線を巻き付けるのを可能にする、外側導電電極面を有するスプールである、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔医療システムの分野に関する。特に、本発明は、iPhone(登録商標)などの通信移動デバイスを使用して患者からの12誘導心電図およびリズムストリップデータを遠隔的に取り込むための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓に異常があることが判明している慢性疾患を有する人または患者、および外科的介入または心臓発作または心臓病の発症から回復中の患者が、日常的にまたは体調が優れないときに個人用心電図デバイスを使用することが知られている。従来技術では、臨床的心電図装置、個人用音響デバイス(たとえば、SHL Telemedicine社から市販されているCardioSenC、Cardiobeeper 12L、またはCardioBeeper 12/12)のような、標準的な12誘導心電図を得ることのできるいくつかの心電図デバイスがある。後者の個人用デバイスは、非医療関係者によって、ユーザが症状を有するときに、日常的に、薬物研究の一環として、術前/術後に、等で、12誘導心電図および/またはリズムストリップを取り込むために使用されるように適合される。これらのデバイスは、ユーザがある情報を収集して遠隔医療データセンタに転送するのを可能にするが、ユーザ自身が心電図情報を利用することはできない。
【0003】
さらに、Cardiosen'Cのような従来技術の個人用デバイスのうちのいくつかは、その全体寸法によってユーザが携帯する際の快適さの点で劣っている。たとえば、Cardiosen'Cは、その内部セルラモデムを介して遠隔データセンタと直接通信することができる。しかし、これにはかなりの電力が必要であり、したがって、大型の電池および充電器が必要になり、その結果、デバイスは寸法が比較的大きくなる。したがって、Cardiosen'Cおよびその他の従来技術のユニットよりも小型のデバイスも必要である。電池がより小さくなれば、デバイスを携帯するのがより容易になり、したがって、より望ましい。
【0004】
これらの従来技術の心電図デバイスは遠隔医療データセンタにデータを送信することができるが、臨床12誘導心電図およびリズムストリップを得る場合に迅速にかつ正確に取り付けることのできるデバイスが依然として必要である。使用時の信頼性が高くユーザが使いやすいそのようなシステムも依然として必要である。遠隔医療データセンタと個人用心電図デバイスおよびユーザ自身との相互作用を向上させるために既存のポータブルコンピュータベースの通信デバイス(たとえば、携帯電話またはスマートフォン)と組み合わせて使用することのできる個人用心電図デバイスがさらに必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術のデバイスの欠点を解消し、前述の要件を実現することである。本発明は、心臓に異常があることが判明している疾患を有する人または患者、および外科的介入または心臓発作または心臓病の発症から回復中の患者を特に対象としている。
【0006】
本発明の別の目的は、データセンタと遠隔通信することのできるシステムを提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、電極接触の状態およびその他の関連情報(たとえば、使用中および/または使用後のユーザに対する案内および指示)を含む、心電図関連活動情報をユーザにローカルで表示することのできるシステムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、12誘導心電図および/またはリズムストリップを得るための方法であって、a)各電極が、個人用心電図デバイスに直接かつ/または電極ベルトを介して電気的に接続された、ユーザの心臓の電気的活動に関する情報を取り込むための少なくとも9つの監視電極を、前記ユーザの身体上に解剖学的に適切に位置付けるステップと、b)12誘導心電図およびリズムストリップ(たとえば、12秒ストリップ)に関する心電図データを前記個人用心電図デバイスから生成するステップであって、前記生成される心電図データが皮膚電極によって得られる経時的な(かつリアルタイムの)前記ユーザの心臓の電気的活動を表す、ステップと、c)前記心電図データをローカルで処理し、かつ/または前記心電図データを遠隔データセンタ(たとえば、遠隔医療センタ)に転送するための移動通信デバイス(たとえば、スマートフォン)に前記心電図データを無線によって転送するステップとを含む方法に関する。
【0010】
本発明の実施形態によれば、この方法は、遠隔データセンタの代表者と対話しつつ前記遠隔データセンタに心電図データを送信することをさらに含む。
【0011】
本発明の実施形態によれば、この方法は、移動通信デバイスの画面上に心臓の電気的活動をローカルで表示することによって前記移動通信デバイス上に12誘導心電図およびリズムストリップを表示することをさらに含む。
【0012】
本発明の実施形態によれば、この方法は、心電図データを1つまたは複数のエラーチェック通信プロトコルを介して遠隔端末ユニットに転送し、それによって、たとえば前記心電図データが遠隔地において医療関係者またはその他の専門的なユーザによって検討されるのを可能にすることをさらに含む。移動通信デバイスは、心電図データを任意の宛先にリアルタイムに(または準リアルタイムに)送信することができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、個人用心電図デバイスは、一般に第I誘導、第II誘導、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導と定義される心臓の8つの(たとえば、2.5秒の)サンプル画像を送信し、さらに、リズムストリップ(第II誘導)を送信する。これらの誘導用の例示的な1組の電極について図5および図6に関して以下に図示し説明する。
【0014】
本発明の実施形態によれば、この方法は、スマートフォンを使用して各心電図電極の接触状態をユーザに対して表示し、それによって、電極接触の状態を評価し、ユーザが、接触、したがって結果的に得られる心電図の質を改善するのを可能にするようにフィードバックをユーザに提供することによって、電極接触状態を改善することをさらに含む。さらに、スマートフォンの画面は、ユーザに対して、個人用心電図デバイスを操作する間、ユーザデバイスに関する指示を表示し、かつ/あるいは音声によるユーザデバイスに関する指示を与える(たとえば、音声化された指示、質問、および/または他の関連データを与える)のを可能にする。
【0015】
本発明は、a)1組の少なくとも9つの皮膚電極の各々が直接または胸部電極ベルトを介して電気的に接続され、これらの電極から得られると共にユーザの心臓の電気的活動を表す12誘導心電図データを供給する個人用心電図デバイスと、b)前記個人用心電図デバイス内に埋め込まれ、スマートフォンとデータ通信する近距離ワイヤレス通信モジュールと、c)前記スマートフォンによって実行され、前記供給される12誘導心電図に関する情報を視覚的に表示し、遠隔データセンタとデータ通信する専用スマートフォンアプリケーションとを備える心電図監視システムにさらに関する。
【0016】
本発明の実施形態によれば、電極ベルトは、解剖学的に位置付けられた6つの前胸部心電図電極を有する胸部ストラップと、左右腕電極と、胸部の周りに延びる弾性部分と、電気的接続部を含む独特の便利な閉め部材とを含む。場合によっては、電極ベルトを個人用心電図デバイスから取り外して様々なベルトと交換し、ベルトサイズを胸部サイズおよび性別に合わせて個人用に設定することができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、個人用心電図デバイスは、少なくとも1つの引き込み可能な心電図電極(すなわち、臍部から左臀部に至る部分の中間に位置する腰部またはベルトラインに配置される腰部電極)およびその導線をデバイスのハウジング内に格納して空間を節約することができるように構成される。いくつかの実施形態によれば、電極は、外側導電電極面を有するスプールであり、子供のヨーヨーと同様に、個人用心電図デバイスのハウジング内に導線を巻き付けるのを可能にする。代替として、引き込み可能な心電図電極は、導線をコンパクトに格納できるように内部に引き込むための個人用心電図デバイスのハウジング内のばねまたは代替デバイスのような、導線を格納するための引き込み手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による個人用心電図監視システムの構成の概略図である。
図2】本発明の実施形態による個人用心電図デバイスの概略的な正面図である。
図3図2の個人用心電図デバイスの概略的な背面図である。
図4】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスの概略的な電子ブロック図である。
図5】本発明の実施形態による、電極ベルトを備える個人用心電図デバイスの概略的な正面図である。
図6図5の個人用心電図デバイスの概略的な背面図である。
図7】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスと一緒に使用される専用アプリケーションの例示的なスマートフォン画面構成の概略図である。
図8】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスと一緒に使用される専用アプリケーションの例示的なスマートフォン画面構成の概略図である。
図9】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスと一緒に使用される専用アプリケーションの例示的なスマートフォン画面構成の概略図である。
図10】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスと一緒に使用される専用アプリケーションの例示的なスマートフォン画面構成の概略図である。
図11】本発明の実施形態による、個人用心電図デバイスと一緒に使用される専用アプリケーションの例示的なスマートフォン画面構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、本発明の心電図(ECG)監視システムおよび方法の実施形態に関し、例示のみを目的とする。以下の説明から、本明細書で開示する構造および方法の代替実施形態が、請求する発明の原則から逸脱せずに使用できる実行可能な代替実施形態として容易に理解されることに留意されたい。
【0020】
次に、実施例が添付の図に示されている1つまたは複数の本発明のいくつかの実施形態を参照する。可能なかぎり、各図において同様の参照符号または類似の参照符号が使用されることがあり、それらの参照符号は同様の機能または類似の機能を示すことができる。上記のように、各図は本発明の実施形態を例示のためにのみ示している。当業者には、本明細書に示す構造および方法の代替実施形態を本明細書で説明する本発明の原則から逸脱せずに使用できることが以下の説明から容易に理解されよう。
【0021】
別段の指示がないかぎり、本明細書で説明する機能は、コンピュータ可読媒体に記憶されプロセッサベースの1つまたは複数のシステム上で実行される実行可能なコードおよび命令によって実行されてよい。しかし、ハードワイヤードの電子回路が利用されてもよい。さらに、本明細書で説明する例示的なプロセスに関しては、必ずしもすべてのプロセス状態に到達する必要はなく、各状態を例示された順序で実施する必要もない。さらに、連続的に実行されるものとして例示されているあるプロセス状態が互いに並行して実施されてよい。
【0022】
同様に、ある例はスマートフォンに言及することができるが、制限なしに、オペレーティングシステムを有し、ユーザがアプリケーションなどをインストールすることができるネットワークで使用可能な携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、通信ハブ、またはデータデバイスなどのような他のコンピュータまたは電子システムを使用してよい。
【0023】
さらに、あるユーザ入力またはユーザ動作はフォーンキーを押すこと、キーボードを介したデータ入力、タッチスクリーンを使用すること、またはボタンをクリックすることによって実行されるように記載されているが、場合によっては、音声などのような他の技術を使用してユーザ入力が実行されてよい。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による心電図監視システム10の構成を概略的に示す。システム10は、個人が12誘導心電図およびリズムストリップデータをただちに収集して遠隔ユニットまたは任意の必要な宛先に送信するのを可能にする。システム10は、心臓の電気的活動を表すデータを提供する。12誘導心電図は、身体の様々な解剖学的位置からの心臓の電気的活動の画像表現を形成する。経時的に記録される心臓の電気的活動はリズムストリップと呼ばれる。システム10およびその構成要素について本明細書において以下にさらに詳しく説明する。
【0025】
システム10は、3つの主構成要素、すなわち、個人用心電図デバイス1と、適切な移動通信デバイス2上にインストールされたアプリケーション(たとえば、iPhone(登録商標)アプリケーション)と、専用ソフトウェアを有する遠隔データセンタ3(たとえば、SHL Telemedicine社のSHL医療監視センタ、遠隔医療センタ、または任意の他のデータセンタ)とを備える。
【0026】
個人用心電図デバイス1は、皮膚電極と、皮膚電極によって取得される心臓の電気的活動のリアルタイム送信に使用される電子構成要素とを備える。デバイス1は、心臓の電気的活動を表すデータをワイヤレス通信リンクを介して(たとえば、Bluetooth(登録商標)を介して)移動通信デバイス2に送信する。
【0027】
本発明の実施形態によれば、心電図は遠隔データセンタ3において構築される。心電図の構築および遠隔データセンタ3の動作は以下のタスクを伴う。
-(移動通信デバイスから)心電図データパケットを受信し、(通信チャネルを介したデジタルデータの確実な供給を可能にする任意の適切なエラー制御技法を使用することによって)エラーチェックを実行すること。
-心電図データを処理し、12誘導心電図および/またはリズムストリップ記録を作成すること。
-心電図記録を記憶すること。
-要求時に、心電図記録および/またはその他の関連データを様々な形式で他のデータデバイス(たとえば、ファックス、eメール、プリンタ、携帯電話、スマートフォンなど)に送信すること。
【0028】
いくつかの用途では、ユーザがユーザ自身の心電図を取り込んで視覚化し、次いで医師または別の医療施設に転送することができると有利である。本発明のシステム10は、スマートフォンを利用することによって、ユーザが心電図を取得し、(遠隔データセンタ3から供給される)心電図をスマートフォン上で視覚化し、さらに、スマートフォンを利用すると、ユーザは心電図を医療専門家、ユーザの掛かり付けの医師、または遠隔施設に転送して分析および/または助言を求めることができる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、心電図関連活動がスマートフォンの表示ユニットを介してユーザに伝送されてよい。これらには、以下により詳しく説明する、電極接触の状態に関する表示、およびその他の関連情報(たとえば、使用時および/または使用後のユーザに対する案内および指示)をさらに含めてよい。
【0030】
図2および図3は、本発明と一緒に使用することのできる個人用心電図デバイス1を示す。この図に示すデバイス1は、比較的小さい寸法を有し、そのハウジング11がその正面パネル上に、個人用心電図デバイス1の状況を表示する(たとえば、光る心臓の形をした)視覚的インジケータ12を含むように構成されるので特に便利である。デバイス1は、個人用心電図デバイス1の電源を「オン」(または「オフ」)にするのに使用される「開始」ボタン13をさらに備える(たとえば、「開始」ボタンは視覚的インジケータ12に隣接して配置されてよい)。視覚的インジケータ12は、個人用心電図デバイス1のハウジングの正面側またはユーザに容易に見える他の位置に配置されることが好ましい。この視覚的インジケータ12は、個人用心電図デバイス1の状況、すなわち、電源がオンになっているか、測定を行っているか、それともエラーを有するかを表示する。
【0031】
デバイス1は、1組の皮膚電極をさらに備え、いくつかの皮膚電極(参照符号21、22、および23によって示される例示的な電極など)は電極ベルト16に沿って配置され、一方、他の電極V1およびV2はハウジング11の背面側に取り付けられる(図3参照)。
【0032】
本発明の実施形態によれば、デバイス1は、本明細書において以下にさらに説明するように、新規な独特の引き込み可能な機構(すなわち、ヨーヨー型機構)を通してデバイス1に電気的に接続された腰部電極14も備える。デバイス1のハウジング11は、腰部電極14が使用されていない間腰部電極14を格納するようになっているコンパートメント20を含む。この実施形態において、コンパートメント20は、図3を見ると容易に分かるように、ハウジング11の背面側に配置される。この配置では、腰部電極14の格納に関するコンパクトで快適な解決手段が実現される。従来技術のデバイスに勝る本発明の別の利点は、引き込み可能な機構によって腰部電極14を使用後に容易にかつ自動的に腰部電極14の格納コンパートメント20内に戻しうることである。
【0033】
この実施形態では、ハウジング11の背面側は2つの電極(前胸部電極V1およびV2)を有する。ハウジング11はユーザの胸部の中央に接触させて配置すべきである。ハウジングの人間工学的な設計によって、電極V1およびV2を胸部に接触させて正しく配置することができ、一方、デバイスを操作する際ユーザの最小限の手間で最大限の快適さが得られる。
【0034】
デバイス1は、ベルト16がユーザの身体を囲むようにベルト16を閉めるためのベルト閉め部材18をさらに備える。本発明の実施形態によれば、ベルト16のバックルとベルト閉め部材は、機械的に取り付けられるだけでなく、電気的にも接続される。たとえば、電気配線(不図示)を使用して(ベルト16に沿って配置された)皮膚電極21〜23の各々をベルト16のバックル19に接続することができ、一方、ベルトのバックル19とベルト閉め部材18との間の電気的接続は、皮膚電極21〜23によって取得される心臓の電気的活動をデバイス1の電子構成要素に転送するのを可能にする。
【0035】
個人用心電図デバイス1は、1つまたは複数の電池などの電源によって電力を供給される。たとえば、電池は2本の単4リチウム電池であってよい。代替として、アルカリ電池を使用してもよい。
【0036】
次に図4を参照すると、本発明の実施形態による個人用心電図デバイス1のハウジング11内の電子構成要素の概略構成が示されている。デバイス1のハウジング11内部に配置された電子構成要素は、2つの主電子モジュール、すなわちアナログモジュール32とデジタルモジュール33とに分けられる。
【0037】
アナログモジュール32は、電極31から低レベル電気信号を取得するための信号調整回路を含む。電極31からの信号は、標準的な12誘導心電図を含む標準的なアイントホーフェン肢誘導、ゴールドバーガー増高誘導、およびウィルソン前胸部誘導に関するデータが得られるように取得される。たとえば、信号調整回路は、入力増幅器、アナログデジタル変換器、フィルタ、および/またはアナログ信号を処理するのに使用することのできる他の構成要素のような、電極31からの低レベル電気信号を増幅してデジタル形式に変換するための代表的な電子構成要素を含んでもよい。
【0038】
デジタルモジュール33は心電図信号をデジタル化する。さらに、このモジュールは、移動通信デバイス2との間ですべてのデジタルデータを伝送するための2方向ワイヤレス通信プロトコルを実現する(たとえば、Bluetooth(登録商標)(BT)モジュール36またはその他のワイヤレスプロトコルを介したデバイス1とiPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、iTouch(登録商標)、その他のスマートフォン、またはワイヤレス通信デバイスとの間のワイヤレス通信)。デバイス1は、1つまたは複数の視覚的インジケータ(たとえば、光る心臓12)および/あるいはその他の表示ユニット(たとえば、LCDパネル)、1つまたは複数の機能ボタン(たとえば、開始ボタン13など)などを含んでよいユーザインターフェース(UI)34またはその他のマンマシーンインターフェースをさらに備える。
【0039】
従来技術のデバイスに対する本発明の個人用心電図デバイスの利点の1つは、個人用心電図デバイスが、(近距離データ通信プロトコル、たとえばBluetooth(登録商標)を使用して)スマートフォンのような、個人用心電図デバイスと対をなす比較的近接する携帯通信デバイスにデータを送信する必要があることである。近距離伝送は電力消費量を削減する。したがって、個人用心電図デバイスが必要とする電池はより小形であり、このためデバイスの寸法は比較的小さく(たとえば、幅約8.5cm、長さ約11cm、および高さ約1.5cm)なる。電池がより小形になると、ユニットもより軽量化される(たとえば、約100g)。電力消費量が低下すると、使い捨て電池を実用化することも可能になり、ケーブルを有する充電器が不要になる。これらのすべての要因によって、さらにユーザの携帯/格納パッケージが小形化され軽量化される。
【0040】
電極
デバイスハウジングおよびベルトは、胸部および四肢における12誘導心電図用の従来の解剖学的電極位置から電気信号を取得するための電極(すなわち、1組の皮膚電極)を含む。たとえば、各電極は、PC ABSと銀/塩化銀(Ag/AgCl)で被覆された20%ガラス繊維とから製造されてよい。
【0041】
通常いくつかの電極が使用され、いくつかの対(たとえば、左腕電極と右腕電極)として組み合わせることができる。各組合せからの出力は誘導と呼ばれる。各誘導は、心臓を異なる角度で眺めたものと考えられる。12誘導心電図は、従来の臨床12誘導記録を生成するように組み合わされた身体上の9つの解剖学的位置の電極からの心臓の電気的活動の記録である。
【0042】
次に図5および図6を参照すると、本発明の実施形態による、電極ベルトを有する個人用心電図デバイスが示されている。この実施形態において、各電極位置は以下のように配置される。すなわち、2つの電極がハウジング上に配置され(V1およびV2によって示されている)、4つの前胸部電極が左電極ベルト上に配置され(V3〜V6によって示されている)、2つの四肢電極が、ベルトに取り付けられた左腕(LA)電極および右腕(RA)電極から成り、浮動誘導左脚(LL)(腰部)用引き込み可能四肢電極(すなわち、ヨーヨー型機構を有する腰部電極14(図4の背面図には示されていない))が導線を介して取り付けられる。
【0043】
本発明の実施形態によれば、ベルトは個人用心電図デバイスのハウジングから取り外されてよい。たとえば、様々な胸部サイズに対応するように、各々が特定の性別および身体サイズ向けに設計された複数のベルトサイズが存在してよい。ベルトを交換することによって、すべてのユーザに個人用心電図デバイスを適合させることができる。様々な胸部サイズに対応するように、適切に位置付けられた電極を有する様々なベルトを各性別に使用することができる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、電極ベルトは二重目的ベルト閉め部材を備える。ベルトには噛み合い留め具が取り付けられる。これによって、ユーザは胸部ベルトの端部をハウジングに機械的に取り付けることができる。さらに、この留め具は、本明細書において以下の電極ベルトの節でさらに詳細に説明するように、いくつかのベルト監視電極をデバイスの電子機器に電気的に接続する電気接点を含む。
【0045】
本発明の実施形態によれば、個人用心電図デバイスは、(図5および図6に示すように)二重目的ベルト閉め部材を備える。電極ベルトは、各電極をベルト閉め部材を介して個人用心電図デバイスの電子機器に電気的に接触させるための電気配線を含む。
【0046】
この実施形態では、電極ベルトは、6つの前胸部心電図電極を備える弾性胸部ストラップと、左右腕電極(図5においてRAおよびLAによって示されている)と、(ベルトをユーザの胸部の周囲に固定している間機械的な係合を実現するだけでなく)バックル19と電気的に接続する電気的接続部を含む独特の便利なベルト閉め部材18とを備える。
【0047】
一般に、12誘導心電図を得るには、少なくとも9つの電極をユーザの身体上に位置付ける必要がある。電極のうちの6つは、(図6において電極V1〜V6によって示されているような)胸部上のある解剖学的電極位置に位置付けられる前胸部電極である。残りの3つの電極は、左腕(LA電極)、右腕(RA電極)、および左脚(すなわち、引き込み可能な腰部電極)上の電気信号を監視する四肢電極である。使いやすくするために、本明細書において前述のように、個人用心電図デバイスは、胸部に面する2つの前胸部電極を電子エンクロージャケース上(すなわち、ハウジングの背面側)に有し、残りの4つの前胸部電極はベルト自体の上に位置する。さらに、2つの四肢電極として、外側を向いた右腕(RA)電極および左腕(LA)電極がある。この弾性ベルトが容易に取り付けられるように、電極ベルトが電子エンクロージャに永久的に取り付けられ、他方の端部に新規の閉め部材/スナップが取り付けられる。このように、機械的ベルト留め具がケースに係合すると、RA検知電極との電気的接続も実現される。
【0048】
本発明の実施形態によれば、電極ベルトは、図6において参照符号27によって示すような身体基準電極をさらに含む。身体基準電極27は、電源ノイズ(main noise)の軽減および性能の向上に寄与する、信号調整回路の入力増幅器用の基準を提供する。
【0049】
たとえば、電極ベルトは、ウエットスーツに利用されるのと同じ材料であるナイロン繊維で覆われたネオプレンから製造されてよい。これは、繰返し屈曲用途に理想的な快適で柔らかい材料である。2つの電極ベルトがストレッチベルトによって連結される。
【0050】
電極ベルトの左側部分は、ハウジングの左側に永久的に取り付けられ、7つの電極、すなわち、ベルトの内側の5つの電極(4つの前胸部監視電極および1つの増幅器基準電極)と、外側のさらに2つの四肢電極(すなわち、LA(左腕)を監視するための二重の電極)とを含む。電極ベルトの右側部分は、どちらもRA右腕接続に使用される2つの電極を外側に含む。右側電極ベルトは、電極とハウジングとの間の良好な電気接続を確保する二重接触バックルを有する。電極ベルトの2つの部分は、それらの間のストレッチベルトによって連結される。様々な胸部サイズに対応するために、様々なサイズのベルトがある。各ベルトでは、各胸部サイズについて最適な位置に電極が位置している。
【0051】
ヨーヨー型「浮動」電極
本発明の実施形態によれば、個人用心電図デバイスは、導線によってハウジングの底部に取り付けられた電極をさらに備える(「浮動」電極と呼ばれる)。この「浮動」電極は、「浮動」電極をどこに配置すべきであるかを示す「腰部」という名称を有する。浮動(「腰部」)は、ユーザの臍部から左臀部に至る部分の中間のベルトラインにおいて素肌に接触して位置付けられる。浮動電極は、電極ベルトの正面の電極と一緒に3つの四肢電極を構成する。四肢電極およびベルト上のその他の電極がハウジングデバイス上の電極と組み合わされることによって、リズムストリップおよび12誘導心電図に関する心電図データを取得することができ、そのデータを遠隔地にいる資格のある医療の専門家によって解釈することができる。
【0052】
浮動電極は、電極コンパートメントに腰部電極導線全体を回収する導線スプールまたはリトラクタを有する。このリトラクタを使用すると腰部電極をコンパクトにまとめることが可能になる。デバイスを使用しないときに、従来技術のデバイスのように電極導線がハウジングの外側に垂れ下がることはなくなる。
【0053】
浮動電極の外側プラスチックは、電気的雑音を低減させるように導電性被覆材を有してもよい。電極導線は、良好な導電性を有するプラスチックにばねによって接続される。
【0054】
スマートフォンアプリケーション
本明細書において図7図11に関して図示し説明するスマートフォンアプリケーションの例示的な画面構成、外観、および用語は、実例および典型例を示すためのものであり、決して請求する発明の範囲を限定するものではない。
【0055】
アプリケーションは、以下のオプションまたはアプリケーションメニューを含んでよい。
【0056】
症状メニュー-アプリケーションは、所定の選択可能な症状のメニューを表示することができ、それによって、ユーザは任意の現在の症状を選択することができる。
【0057】
心電図の実行-このオプションは、症状を選択し心電図を記録するのを可能にし、電極の状況を表示しユーザに電極をどのように位置付けるかを案内するための画面を含む。図7は、スマートフォンアプリケーションの症状メニューの例示的なグラフィック画面を示す。
【0058】
電極接触状況表示-図8は、スマートフォンアプリケーションの電極接触状況画面の画像例を示す。この画面は、各電極の接触状況を表示し、かつ、たとえば、(個人用心電図デバイスが正しく位置付けられていないときに)「腰部電極を皮膚にしっかりと接触するよう位置付けてください」、「デバイスを胸に取り付けてください」、「ストラップを締め付けてください」などの視覚的メッセージを、人間の胸部の表示画像上に表示することによって、ユーザが各電極を正しく位置付けて電極とユーザの身体との接触を改善するように案内する。
【0059】
心電図記録の進行-図9は、スマートフォンアプリケーションの心電図実行開始画面の画像例を示す。この画面は、すべての電極が接触していること(すなわち、記録の進行を開始する前の必須の情報である)を示す。
【0060】
心電図の視認-図10は、スマートフォンアプリケーションの記録された心電図画面の画像例を示す。この画面は、記録された心電図の視認を可能にする。
【0061】
心電図の送信-図11は、スマートフォンアプリケーションの心電図の送信画面の画像例を示す。この画面は、たとえばeメールまたはファックスを介して心電図を転送するのを可能にする。
【0062】
ヘルプ機能-このオプションは、個人用心電図デバイスの使用およびスマートフォンアプリケーションの使用のためのトレーニング情報ならびに症状に関する情報を含む。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態について実例を介して説明したが、多数の修正、変形、および適応を施し、かつ当業者の範囲内の多数の均等解決手段または代替解決手段を使用することによって、本発明の趣旨から逸脱することもあるいは特許請求の範囲を超えることもなく本発明を実施できることが明らかになろう。
【0064】
さらに、本明細書で使用される語「たとえば」、「場合によっては」は、非制限的な例を導入するのに使用されるものである。ある例示的なシステム構成要素またはサービスに対してある参照がなされているが、他の構成要素およびサービスも使用してよく、かつ/あるいは例示的な構成要素のより少数の構成要素への組合せおよび/またはより多くの構成要素への分割を行ってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 個人用心電図デバイス
2 移動通信デバイス
3 遠隔データセンタ
10 心電図監視システム
11 ハウジング
12 視覚的インジケータ
13 開始ボタン
14 腰部電極
16 電極ベルト
18 ベルト閉め部材
19 バックル
20 コンパートメント
27 身体基準電極
31 電極
32 アナログモジュール
33 デジタルモジュール
34 ユーザインターフェース
36 Bluetooth(登録商標)モジュール
V1、V2、V3、V4、V5、V6 電極
図1
図2
図3
図4
図7
図8
図9
図10
図11
図5
図6