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特許6038902熱圧着ボンディングの間TSVティップを保護するための保護層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038902
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】熱圧着ボンディングの間TSVティップを保護するための保護層
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 21/603 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L21/60 311Q
   H01L21/603 B
   H01L21/88 J
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-513727(P2014-513727)
(86)(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公表番号】特表2014-517531(P2014-517531A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012040388
(87)【国際公開番号】WO2012167027
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】13/150,899
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー アラン ウエスト
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−317822(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0230759(US,A1)
【文献】 特開2006−135175(JP,A)
【文献】 特表2009−515354(JP,A)
【文献】 特開2010−045371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/3205
H01L 21/603
H01L 21/768
H01L 23/522
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供すること
前記突出するTSVティップの間前記突出するTSVティップの上を含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけること
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすること
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接接触しないように
前記TSVティップが、前記内部金属コアにない金属を含む少なくとも一つの金属層をその上に含む金属キャップを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ボンディング前に前記基板を複数の前記TSVダイにシンギュレートすることを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記保護層を形成することが、スピンオンプロセスと、前記スピンオンプロセスに続く少なくとも1つの硬化プロセスとを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記ワークピースが有機基板を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記保護層が前記TSVダイの前記底部側を実質的に平坦化するブランケット層である、方法。
【請求項6】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供することと、
前記突出するTSVティップの間と前記突出するTSVティップの上とを含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけることと、
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることと、
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接に接触しないようにし、
前記ワークピースが有機基板を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記ボンディング前に前記基板を複数の前記TSVダイにシンギュレートすることを更に含む、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記保護層が前記TSVダイの前記底部側を実質的に平坦化するブランケット層である、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記保護層を形成することが、スピンオンプロセスと、前記スピンオンプロセスに続く少なくとも1つの硬化プロセスとを含む、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、
前記ボンディングの間に前記ワークピースがキャリアウエハに搭載される、方法。
【請求項11】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供することと、
前記突出するTSVティップの間と前記突出するTSVティップの上とを含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけることと、
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることと、
前記ボンディングの後に前記複数のTSVティップを露出させるように前記保護層の少なくとも一部を取り除くことと、
前記露出の後にボンディング特徴を有する頂部ダイを前記TSVダイ上の前記複数のTSVティップにボンディングすることと、
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接に接触しないようにし、
前記取り除くことがドライエッチを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記保護層を形成することが、スピンオンプロセスと、前記スピンオンプロセスに続く少なくとも1つの硬化プロセスとを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記ボンディングの前に前記基板を複数の前記TSVダイにシンギュレートすることを更に含む、方法。
【請求項14】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供することと、
前記突出するTSVティップの間と前記突出するTSVティップの上とを含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけることと、
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることと、
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接に接触しないようにし、
前記前記保護層を形成することが、スピンオンプロセス、前記スピンオンプロセスに続く少なくとも1つの硬化プロセスを含む、方法。
【請求項15】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供することと、
前記突出するTSVティップの間と前記突出するTSVティップの上とを含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけることと、
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることと、
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接に接触しないようにし、
前記ボンディングの間前記ワークピースがキャリアウエハに搭載される、方法。
【請求項16】
基板貫通ビア(TSV)ダイをボンディング損傷から保護する方法であって、
アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する複数のTSVダイを含む基板を提供することであって、前記複数のTSVの各々が、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記基板を提供することと、
前記突出するTSVティップの間と前記突出するTSVティップの上とを含んで、前記底部側に保護層を形成すること又はつけることと、
前記頂部側を下にした前記TSVダイを、ワークピース表面を有するワークピース上に、前記底部側を上にし、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることと、
を含み、
前記保護層が、前記ボンドヘッドが前記突出するTSVティップと直接に接触しないようにし、
前記内部金属コアが銅を含み、前記TSVティップが、チタンニッケルパラジウムのうち少なくともつを含む金属キャップをその上に含む、方法。
【請求項17】
保護されたスタックされたダイ前駆物質であって、
その上に複数のコンタクトパッドを有するワークピース表面を含むワークピースと、
アクティブ回路要素を含む頂部側及び前記頂部側のボンディング特徴と、底部側と、複数の基板貫通ビア(TSV)とを有する基板を含むTSVダイであって、前記複数のTSVが、前記頂部側から、前記底部側から外に延びる突出するTSVティップまで達する内部金属コアを含む、前記TSVダイと、
前記突出するTSVティップの上に延びる前記TSVダイの前記底部側上の保護層と、
を含み、
前記TSVダイの前記ボンディング特徴が前記ワークピース表面上の前記複数のコンタクトパッドにボンディングされ、
前記TSVティップが、前記内部金属コアにない金属を含む少なくとも1つの金属層をその上に含む金属キャップを含む、ダイ前駆物質。
【請求項18】
請求項17に記載の保護されたスタックされたダイ前駆物質であって、
前記ワークピースが有機基板を含む、ダイ前駆物質。
【請求項19】
請求項17に記載の保護されたスタックされたダイ前駆物質であって、
前記保護層が、前記TSVダイの前記底部側を実質的に平坦化するブランケット層である、ダイ前駆物質。
【請求項20】
請求項17に記載の保護されたスタックされたダイ前駆物質であって、
前記内部金属コアが銅を含み、TSVティップが、チタン、ニッケル、パラジウム、及び金のうち少なくとも一つを含む金属キャップをその上に含む、ダイ前駆物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施例は、電子デバイスに関し、更に特定して言えば、突出する基板貫通ビアティップを有する複数のダイを含む集積回路(IC)ダイ又はウエハの、少なくとも1つのワークピースへの、及びそこからの電子デバイスへのアッセンブリに関連する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において知られているように、シリコン基板の場合に一般にシリコン貫通ビアと呼ばれる、基板貫通ビア(本明細書においてTSVと称する)は、ICダイの頂部側半導体表面上に形成される電気的導電性レベルの一つ(例えば、コンタクトレベル、又はバックエンドオブライン(BEOL)金属相互接続レベルの一つ)からその底部側表面までの、ICダイの全厚みを延びる垂直の電気的接続である。このようなICダイは、本明細書において「TSVダイ」と称する。垂直の電気的経路は従来のワイヤボンディング技術に対して著しく短縮され、このことは概して著しく速いデバイスオペレーションにつながる。1つの配置において、TSVは、底部側基板(例えば、シリコン)表面から5〜15μmの距離突出するなどの、突出するTSVティップとしてTSVダイの底部側で終端する。突出するティップを形成するため、TSVダイは通常、概してバックグラインドを含むプロセスを用いて、25〜100μmのダイ厚みまでなど、TSVを露出させるように及びティップを形成するようにウエハ形状が薄化される。TSVダイは、上向き又は下向きにボンディングされ得、また、スタックされたダイデバイスの形成を可能にするためその両方の側からボンディングされ得る。
【0003】
TSVを有するダイエリアにおいて、TSVがTSVダイの全厚み延びるため、アクティブデバイスがない可能性がある。TSVダイ上のTSVは概して、TSVダイエリアの比較的小さなパーセンテージを覆う複数の個別のTSVアレイに配され、そのため、TSVはTSVダイのエリアを覆って集合的に均一に接近しない。TSVアレイ内のTSVは典型的に、固定ピッチを有して規則的に間隔が空けられる。TSVアレイを超える領域、又はTSVのない領域は、高くされる突出するTSVティップにより生じる不規則な底部側トポグラフィーとなり、TSVのない領域は均一な最低高さを有する。
【0004】
TSVティップは、ニッケル含有層を含むキャップなどの金属キャップをその上に含み得、金属キャップは、TSVの内部金属コア(例えば、銅)の消費が、TSVの外側誘電体スリーブのクラックにつながり得る金属間化合物(IMC)を形成すること、及びその結果TSVダイ上の欠陥(例えば、リーク又は短絡)が生じることを、避けるため又はそれらを少なくとも遅延させるため、ワークピース(例えば、パッケージ基板又は別のダイ又はダイスタック)に対するはんだ仲介接合の場合に上にあるSnベースのはんだへのIMC障壁として機能し得る。金属キャップは、TSVのない領域に対してTSVティップの高さを著しく増大させ得る。
【0005】
熱圧着(TC)ボンディングは、材料の境界にわたる相互拡散により2つの材料を接合するため、ボンドヘッドにより印加される圧力(例えば、40〜80N/cm)、及びかなりの温度(例えば、230〜300℃など、はんだを溶融させるために充分高い温度)を用いることを含む、一般的なICアッセンブリ方法である。TCボンディングプロセスは、TSVダイ又はTSVウエハの頂部側表面上のピラー又は他のボンディング特徴を、基板上の対向するパッド、ウエハ、又はボンディングされるべき別のダイに対して押すため、及びはんだを加熱し溶融させるための圧力に依存する。TSVダイの頂部側が基板上のパッドにボンディングされる、底部側TSVティップを有する薄い(例えば、<100μmの厚み)TSVダイの基板(例えば、パッケージ基板、ダイ、又はダイスタック)へのTCボンディングの間、TCボンドヘッドは、周りのTSVのない領域よりずっと上に突出するTSVティップに直接接して、効率的に、ダイの頂部側に形成されたボンドに印加される不均一に分配される圧力となる。
【発明の概要】
【0006】
開示される実施例は、薄いTSVダイ又は薄いTSVウエハ(例えば、<100μmの厚み)の頂部側(アクティブ側)のワークピースへのTCボンディングの間の事象の幾つかの認識に基づき、ここで、TSVダイ又はTSVウエハは、それらの底部側にそれらのエリアにわたってTSVのない領域を有する。TSVのない領域は、突出するTSVティップに対して一貫した最低高さを有し、そのため、ピックアップ問題を生じ得る不規則な底部側トポグラフィーとなり、また、ダイ歪みや、TSVとボンディングされた頂部側表面との間のもろい低k誘電体への損傷や、TSVがダイ底部側に存在するTSVの誘電体スリーブのクラックを含む問題を生じさせ得る後続のボンディングオペレーションの間印加される実質的に不均一に分配される圧力となる。
【0007】
ピックアップ問題に関し、TSVダイ又はTSVウエハの底部側で露出されたTSVは、バキュームピックアップの間損傷される恐れがあり、これは、TSVティップの別のワークピースへの後続のボンディングの間の低品位のボンドインテグリティにつながり得る。また、薄いTSVダイ及び薄いTSVウエハは、ボンディングの間不均一に分配された圧力を受けるとき容易に湾曲され得る。これは、頂部側ボンドに対する不均一な引っ張り応力を誘発するボンディング後のダイ間歪みにつながり得、これは、有機基板などのワークピースへの低いボンドイールドを生じさせることが発明者により認識されており、更に、突出するTSVの「平坦性(co−planarity)」の劣化ともなり得、これは、集合的なTSVティップの、名目上同一平面のボンディング表面を備えたワークピースへの後続のボンディングについての問題をもたらし得る。
【0008】
開示される実施例は、ワークピース(例えば、有機基板)へのTCボンディングの間の損傷を低減するか又はなくすためにTSVダイの底部側の突出するTSVティップの上に保護層を付加することにより上述のティップ損傷の問題を解決し、これにより、TCボンディングの間TCボンドヘッドにより印加される圧力が一層均一となる。このような保護層は、TSVダイのボンディングされた頂部側、及びTSVダイの底部側TSVティップへのその後ボンディングされるデバイス上の、TCボンディング誘発開路(TC-bonding induced opens)をなくすか又は少なくとも著しく低減することが分かってきている。開示される保護層はTSVダイの底部側にあるため、アクティブダイエリアは失われない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、例示の実施例に従って、突出するTSVティップの間及びその上に保護層を付加することにより、TSVダイの底部側に突出するTSVティップを含むTSVダイをボンディング損傷から保護する例示の方法における工程を示すフローチャートである。
【0010】
図2図2は、例示の実施例に従った、TSVダイの底部側の突出するTSVティップの間及びその上に保護層を有する突出するTSVティップを含む複数のTSVを含むTSVダイの簡略化した断面図である。
【0011】
図3図3は、例示の実施例に従った、ワークピースにボンディングされて図2に示されるTSVダイを含む例示の保護されたスタックされたダイ前駆物質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、例示の実施例に従って、突出するTSVティップの間及びその上に保護層を付加することにより、TSVダイの底部側に突出するTSVティップを含むTSVダイをボンディング損傷から保護する例示の方法100における工程を示す。ステップ101が、アクティブ回路要素を含む頂部側と、底部側と、複数のTSVとを有する複数のTSVダイを含む基板(例えば、ウエハ)を提供することを含む。
【0013】
TSVは各々が、内部金属コアと外側誘電体スリーブとを含む。外側誘電体スリーブは、頂部側表面(概して、コンタクトレベル、又はバックエンドオブライン(BEOL)金属層(例えば、M1、M2など)の一つに結合される)から、TSVダイの底部側から出現する突出するTSVティップまで、TSVダイの全厚みを延びる。一実施例において、TSVダイの底部側から測定される突出するTSVティップの長さは、2〜15μmである。一実施例において、TSV直径は、一つの特定の実施例における4〜10μmなど、≦12μmである。
【0014】
内部金属コアは、一実施例においてCuを含み得る。内部金属コアに他の電気的導電性材料を用いることもできる。外側誘電体スリーブは、シリコン酸化物、シリコンナイトライド、リンドープされた珪酸ガラス(PSG)、シリコンオキシナイトライド、又何らかの化学気相成長された(CVD)ポリマー(例えば、パリレン)を含み得る。外側誘電体スリーブは典型的に0.2μm〜5μmの厚みである。
【0015】
銅、及び内部金属コアのための何らかの他の金属の場合、本明細書において「TSV障壁」と称する金属拡散障壁層(耐火性金属又は耐火性金属ナイトライドなど)が、概して付加され、誘電体スリーブ上に堆積される。例えば、TSV障壁材料は、Ta、W、Mo、Ti、TiW、TiN、TaN、WN、TiSiN、又はTaSiNを含む材料を含み得、この材料は物理気相成長(PVD)又はCVDにより堆積され得る。TSV障壁は典型的に100〜500Åの厚みである。
【0016】
TSVティップは概してその上に金属キャップを含み、金属キャップは、内部金属コアにない金属を含む少なくとも第1の金属層を含む。キャップのための金属層は、はんだを含まず、突出するTSVティップの末端部上に無電解で又は電解で(即ち、電気めっき)堆積され得る。第1の金属層は、TSVティップの内部金属コアの少なくとも最頂部表面との電気的コンタクトを形成する。
【0017】
第1の金属層は概して1〜8μmの厚みであり得る。第1の金属層は、IMCブロックを提供することができる。第1の金属層は、例えば、Ni、Pd、Ti、Au、Co、Cr、Rh、NiP、B、CoWP、又はCoPを含む材料を含み得る。1つの特定の実施例において、第1の金属層は、3〜8μmの厚みの電気めっきされたCuめっき層を含み得る。一実施例において、内部金属コアが銅を含み、TSVティップは、Ti、Ni、Pd、及びAuのうち少なくとも一つを含む金属キャップを含む。任意選択の金属障壁層が第1の金属層とTSVティップの末端部との間に含まれてもよい。例えば、約1kÅ〜3kÅの層を含むTi又はTaが障壁層として用いられ得る。
【0018】
金属キャップは、第1の金属層とは異なるはんだを含まない第2の金属層を含み得る。第1及び第2の金属層の組み合わされた厚みは、1μm〜10μmとし得る。1つの金属キャップ配置がNi/Auを含む。
【0019】
ステップ101で提供される基板(例えば、ウエハ)は更に、金属キャップが形成される前にTSVティップを露出させるように概して形成及びエッチバックされる、TSVティップ間の基板の底部側の第1の誘電体層を含み得る。例えば、一つの特定の実施例において、TSVティップはTSVダイの底部側表面から約5μm外に延び、金属キャップ240はTSVティップに高さ約5μmを付加し、第1の誘電体層は約3μmの厚みである。この特定の実施例において、金属キャップされたTSVティップは、第1の誘電体層より上に約7μm突出する。
【0020】
ステップ102が、突出するTSVティップの間及びその上を含んでTSVダイの底部側に保護層を形成する又はつけることを含む。保護層は、実質的に平坦な表面を提供するため突出するTSVティップの上を平坦化することができる。本明細書で定義するように、「実質的に平坦な表面」は1μmの範囲の最大高さを有する。
【0021】
一実施例において、保護層は、金属キャップされたTSVティップ及び上述のTSVティップ間の第1の誘電体層の上を含んで、既存のトポグラフィーの頂部を覆うようにスピンオンされたブランケット層である。以下に説明するステップ105の後に保護層の一部がTSVダイ上に残る実施例において、保護層は概して誘電性材料である。保護層のための幾つかの例示の誘電体材料は、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、及び感光性前駆物質材料から形成される何らかのポリイミド(PI)などのポリマーを含む。この実施例において、ステップ105で以下に説明するように、所望とされる場合、部分的エッチバックによりTSVティップを露出させた後に保護層が基板(例えば、ウエハ)上に残され得るように、保護層は、第1の誘電体層に用いられるものと同じ誘電性材料を含み得る。この方法は、ボンディング(以下に説明するステップ104)前に保護層の剛性を増大させるための硬化可能な保護層材料の場合、任意選択で保護層を硬化させることを含み得る。
【0022】
別の実施例において、保護層は、アルミニウムテープなどの金属テープを含む。適切な材料及び厚みの金属テープ(例えば、15〜20μmの厚みのアルミニウムテープ)が、金属キャップされたTSVティップの上で平坦化を提供するため容易に可鍛性であり、適切な接着剤により基板(例えば、ウエハ)上の全TSVダイを含む基板(例えば、ウエハ)の底部側につけられ得、固定され得る。
【0023】
ステップ103が、基板(例えば、ウエハ)を複数のシンギュレートされたTSVダイにシンギュレートすることを含む。従来のソーイング手法が用いられ得る。ステップ104が、シンギュレートされたTSVダイを頂部側を下に、底部側を上にしたワークピース表面上に、且つ、ボンドヘッドに接して、ボンディングすることを含む。ワークピースは、一実施例において、基板ストリップなどの有機基板を含み得る。ボンディングは、ボンドヘッドにより印加される圧力(例えば、40〜80N/cm)の利用に関与し得るTCボンディングを含み得る。上述のように、TSVティップに作用する圧力の大きさが、TSVティップのエリアのみではなく、TSVダイの全ダイ底部側まで「広がる」ボンドヘッドコンタクトエリアにより低減されるように、TSVティップの頂部上にある保護層は、突出するTSVティップとボンドヘッドが直接接触しないようにする。
【0024】
ステップ105が、後続のボンディングのためTSVティップを露出させるように保護層を部分的に取り除くこと又は完全に取り除くことを含む。このステップのためにドライエッチング又はアッシングを用いることができる。ウェットエッチング処理も適切であり得る。ステップ105においてエッチングが用いられる場合、エッチングは、典型的にTSVダイとワークピース(例えば、有機基板)との間にあるアンダーフィルが、ステップ105の間その露出された周辺で損傷されないように、高度に選択性であるように処理される。保護層が金属テープを含む実施例において、金属テープは、TSVダイとワークピースとの間のアンダーフィルを劣化させない適切な接着剤除去プロセスにより完全に取り除かれ得る。
【0025】
重要なことに、開示される保護層がTSVダイに適用され、ボンドヘッドには適用されないため、方法100は任意のTCボンダー装置に適用可能である。また、開示される保護層によって提供される、ボンドヘッド圧力の広がりは、TSVダイのTCボンディング誘発歪みを低減し、TSVの誘電体スリーブのクラックをなくし得るか又は少なくとも著しく低減し得る。
【0026】
図2は、例示の実施例に従ったTSVダイ200の簡略化した断面図であり、TSVダイ200は、TSVダイの底部側210の突出するTSVティップ217の間及びその上の第1の誘電体層231の上(a)に保護層231(b)を有する突出するTSVティップ217を含む複数のTSV216を含む。突出するTSVティップ217は、末端ティップ端217(a)上の金属キャップ240を有して示されている。
【0027】
TSVダイ200は、アクティブ回路要素209を含む頂部側表面207と底部側表面210とを含む基板205を含む。TSVダイ200上のアクティブ回路要素209は、例えばロジック機能などの、IC回路機能を提供するように構成される。図示されるコネクタ208は、頂部側表面207上のTSV216間のアクティブ回路要素209への結合を示す。TSVは、アクティブ回路要素209への(例えば、TSVダイ200の底部側210に取り付けられるデバイスへの)接続なしに基板205を介して単にダイ貫通接続を提供し得るため、アクティブ回路要素209への接続は任意選択である。
【0028】
TSV216は、外側誘電体スリーブ221、内部金属コア220、及び外側誘電体スリーブ221と内部金属コア220との間の金属拡散TSV障壁層222を含む。TSV216は、頂部側表面207から、底部側表面210から出現する突出するTSVティップ217まで延びる。保護層231(b)は、突出するTSVティップ217の上の平坦化層として示されている。例えば、一つの特定の実施例において、TSVティップ端217(a)は底部側表面210から約5μm外に延び、金属キャップ240はTSVティップ217に高さ約5μmを付加し、保護層231(b)は厚みが10〜15μmの範囲であり、第1の誘電体層231(a)は約3μmの厚みである。この特定の実施例において、保護層231(b)は、TSVティップ217上の金属キャップ240より約3〜8μm上にある。
【0029】
図3は、例示の実施例に従った、例示の保護されたスタックされたダイ前駆物質300を示し、保護されたスタックされたダイ前駆物質300は、基板330として示すワークピースにボンディングされた図2に示すTSVダイ200を含む。封止されたTSVティップを有する保護されたスタックされたダイ前駆物質300は、TSVティップの損傷のリスクが低減されたこのようなユニットの出荷を可能にする。TSVダイ200は、頂部側207を下にしてパッケージ基板(例えば、有機基板)として示す基板330上のパッド337にボンディングされる。パッケージ基板は、薄くされ得る(例えば、<350μm)セラミック又は有機基板を含み得る。パッケージ基板は概して、基板パネル(又はストリップ)として提供される。アセンブリはTCボンディングを含み得る。
【0030】
TSVダイ200は、はんだ326でキャップされるピラー325を含んで示されている。アンダーフィル328が、TSVダイ200とパッケージ基板330との間に示されている。パッケージ基板330は、複数のはんだボール331を含むボールグリッドアレイ(BGA)を含んで示されている。
【0031】
図3に示す保護されたスタックされたダイ前駆物質300は、スタックされたダイ前駆物質300のワークピースへのTCボンディングを含むスタックされたダイデバイス(例えば、システムインパッケージ(SIP))を形成するために用いることができる。TSVダイ200の底部側210の保護層231(b)は、後続のボンディングのためにTSVティップ217を露出させるように部分的に又は完全に取り除かれる。頂部ICダイが、TSVダイ200の露出されたTSVティップ217上に組み立てられてもよい。一実施例において、頂部ICダイはメモリダイを含み、TSVダイ200はロジックダイを含む。
【0032】
別の実施例において、頂部ダイは、互いにボンディングされる複数のスタックされたICダイを含むICダイスタックを含む。上述のように、上述の保護層により提供されるTCボンディング後のTSVダイ200の低減された歪みは、平坦性の喪失に起因して突出するTSVティップ上への頂部ダイアッセンブリに関する欠陥を低減することもできる。オーバーモールディングが続き得、その後、複数のスタックされたダイデバイスを形成するためのシンギュレーションが続き得る。ワークピースがパッケージ基板を含むとき、この方法は、シンギュレーション前にワークピースの底部にはんだボールのBGAを取り付けることを更に含み得る。
【0033】
半導体表面を有する基板上に形成されるアクティブ回路要素は、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、及びレジスタを概して含む回路要素だけでなく、IC回路機能を提供するためにこれらの種々の回路要素を相互接続する信号線及び他の導体を含む。本明細書において用いられるような「IC回路機能を提供する」とは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ、無線周波数チップ、メモリ、マイクロコントローラ及びシステムオンチップ、又はそれらの組み合わせを含み得るICからの回路機能を指す。開示される実施例は、種々のデバイス及び関連する製品を形成するための種々のプロセス・フローに統合することが可能である。半導体基板は、その中に種々の要素を及び/その又は上に層を含み得る。これらは、障壁層、他の誘電体層、デバイス構造、アクティブ要素、及びソース領域、ドレイン領域、ビットライン、ベース、エミッタ、コレクタ、導電性ライン、導電性ビアなどを含むパッシブ要素を含み得る。また、バイポーラ、CMOS、BiCMOS、及びMEMSを含む種々の半導体デバイス製造プロセスにおいて、開示される実施例を用いることができる。
【0034】
当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び多くの他の実施例が可能であることが分かるであろう。
図1
図2
図3