特許第6038941号(P6038941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038941
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】電気ケーブル用の縁部絶縁構造
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/18 20060101AFI20161128BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20161128BHJP
   H01B 13/016 20060101ALI20161128BHJP
   H01B 13/22 20060101ALI20161128BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01B11/18 Z
   H01B7/18 D
   H01B13/00 553B
   H01B13/22 Z
   H01B7/08
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-538780(P2014-538780)
(86)(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公表番号】特表2015-501517(P2015-501517A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】US2012039235
(87)【国際公開番号】WO2013066407
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】61/553,480
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】グンデル, ダグラス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ, ロッキー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コルデッキ, デイビッド エル.
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−145012(JP,A)
【文献】 特公昭48−025594(JP,B1)
【文献】 国際公開第2010/148164(WO,A1)
【文献】 特開平07−045131(JP,A)
【文献】 実開昭62−094506(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/18
H01B 7/08
H01B 7/17
H01B 13/016
H01B 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ケーブルを備える縁部絶縁電気ケーブルであって、前記電気ケーブルは、
複数の絶縁導体と、
前記ケーブルの対向する上面及び下面に設けられていると共に前記複数の絶縁導体を覆う第1及び第2の電気導電性の遮蔽フィルムであって、前記電気ケーブルに沿って互いに結合されており、前記電気ケーブルの長手方向縁部を形成し、前記電気ケーブルの前記長手方向縁部で電気的接触を形成しやすい、第1及び第2の電気導電性の遮蔽フィルムと、
前記電気ケーブルの前記長手方向縁部を覆い前記ケーブルに沿って長さ方向に延在する導電材料と
前記導電材料を覆い、前記電気ケーブルの前記長手方向縁部で前記電気ケーブルに結合される絶縁材料であって、前記電気ケーブルに沿って長さ方向に延在すると共に、前記長手方向縁部並びに前記電気ケーブルの最上面及び最下面の一部分を覆う、絶縁材料と、を含む、縁部絶縁電気ケーブル。
【請求項2】
前記絶縁材料が、前記電気ケーブルの構成体内で使用される材料を含む、請求項1に記載の縁部絶縁電気ケーブル。
【請求項3】
電気ケーブルであって、
前記ケーブルに沿って長さ方向に延在する導体と、
前記ケーブル内の第1の側方位置で、前記ケーブルに沿って長さ方向に延在するリザーバであって、前記リザーバに隣接する区域よりも大きい容積を有するリザーバと、を含み、前記リザーバが、前記ケーブル内の異なる第2の側方位置へと移行されるように適合された誘電材料を収容する、電気ケーブル。
【請求項4】
長手方向縁部付近に配置され、前記縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有する、電気ケーブルであって、前記ケーブルが、前記ケーブルの長さに沿って折り曲げられて折り目を形成し、前記折り目が、第2部分に対向する第1部分を画定し、前記第2部分が、前記ケーブルの前記長手方向縁部を含む、電気ケーブルと、
前記ケーブルの前記長さに沿って、前記第1部分に前記第2部分を結合する結合材料であって、前記長手方向縁部で導電材料の露出表面を覆うと共に当該露出表面に接触する、結合材料と、を含む、縁部絶縁電気ケーブル。
【請求項5】
第1層及び第2層を有する電気ケーブルであって、前記第2層が、前記第2層の長手方向縁部付近に配置され、前記縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有し、前記第1層ではなく前記第2層が、前記第1層に向かって前記ケーブルの長さに沿って折り曲げられて折り目を形成し、前記折り目が、前記第2層の第2部分に対向する前記第2層の第1部分を画定し、前記第2層の前記第2部分が、前記第2層の前記長手方向縁部を含む、電気ケーブルと、
前記ケーブルの前記長さに沿って、前記第2層の前記第1部分に前記第2層の前記第2部分を結合する、結合材料と、を含む、縁部絶縁電気ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電気信号の伝送用の電気ケーブルが既知である。電気ケーブルの1つの一般的なタイプは、同軸ケーブルである。同軸ケーブルは、一般的には、絶縁体によって包囲された導電性ワイヤーを含む。これらのワイヤー及び絶縁体は、典型的には、遮蔽体によって包囲され、それらのワイヤー、絶縁体、及び遮蔽体は、ジャケットによって包囲される。電気ケーブルの別の一般的なタイプは、例えば金属箔によって形成された遮蔽層によって包囲される、1つ以上の絶縁信号導体を含む、遮蔽電気ケーブルである。この遮蔽層の電気的接続を促進するために、更なる非絶縁導体が、遮蔽層と信号導体の絶縁体との間に提供される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施形態では、縁部絶縁電気ケーブルは、電気ケーブルの長手方向縁部の場所付近に配置され、その場所で電気的接触を形成しやすい導電材料を有する、電気ケーブルと、その場所で電気ケーブルに結合される絶縁材料とを含む。
【0003】
別の実施形態では、電気ケーブルは、ケーブルに沿って長さ方向に延在する導体と、ケーブル内の第1の側方位置で、ケーブルに沿って長さ方向に延在するリザーバとを含み、このリザーバは、ケーブル内の異なる第2の側方位置へと移行されるように適合された、誘電材料を収容する。
【0004】
更に別の実施形態では、縁部絶縁電気ケーブルは、長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有する、電気ケーブルを含み、このケーブルは、ケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2部分に対向する第1部分を画定し、この第2部分は、ケーブルの長手方向縁部を含み、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第1部分に第2部分を結合する。
【0005】
一実施形態では、縁部絶縁電気ケーブルは、第1層及び第2層を有する電気ケーブルを含み、この第2層は、第2層の長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有し、この第2層は、第1層に向けてケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2層の第2部分に対向する第2層の第1部分を画定し、この第2層の第2部分は、第2層の長手方向縁部を含み、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第2層の第1部分に第2層の第2部分を結合する。
【0006】
一実施形態では、電気ケーブルの長手方向縁部に絶縁材料を適用する方法は、その長手方向縁部に近接して長手方向縁部に沿って、電気ケーブルの上面及び下面の少なくとも一方に絶縁材料を分配する工程と、その絶縁材料が長手方向縁部にわたって流動することを可能にする工程と、その絶縁材料を硬化させる工程とを含む。
【0007】
別の実施形態では、フィルム縁部コーティング用の装置は、ダイチップを通じて材料を分配するように構成されたダイアセンブリと、ダイチップに近接して位置決めされるフィルムの縁部とを含み、このダイアセンブリは、そのフィルムの縁部に近接してフィルムの縁部に沿って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方に材料を分配し、分配された材料は、フィルム上にコーティング領域を形成し、そのコーティング領域は、フィルムの縁部付近に限定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて、その一部を構成するものであり、説明文と併せて、本明細書の有利点及び原理を説明するものである。これらの図面では、
図1】縁部絶縁電気ケーブルの例示的実施形態を示す。
図2】縁部絶縁構造の例示的実施形態の断面図である。
図3A】縁部ビードの幾つかの例示的実施形態を示す。
図3B】縁部ビードの幾つかの例示的実施形態を示す。
図3C】縁部ビードの幾つかの例示的実施形態を示す。
図3D】縁部ビードの幾つかの例示的実施形態を示す。
図4】ケーブルに沿って長さ方向に延在するリザーバを有する、電気ケーブルの例示的実施形態の断面図である。
図5】リザーバ内に配置された誘電材料によって形成される、縁部ビードの例示的実施形態を示す。
図6A】縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図6B】縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図6C】縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図6D】縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図6E】縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7A】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7B】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7C】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7D】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7E】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7F】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7G】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7H】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7I】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7J】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7K】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7L】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7M】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7N】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7O】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図7P】折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、多くの例示的実施形態を示す。
図8】ダイアセンブリの例示的実施形態を示す。
図9A】ダイチップの実施形態の斜視図を示す。
図9B図9Aに示すダイアセンブリの実施形態の側面図を示す。
図9C】フィルムの縁部を覆う縁部絶縁構造の拡大図を示す。
図10A】ダイチップの別の実施形態の斜視図を示す。
図10B図10Aに示すダイチップの実施形態の側面図を示す。
図11A】ダイチップの2つの実施形態の拡大斜視図を示す。
図11B】ダイチップの2つの実施形態の拡大斜視図を示す。
図12A】ダイチップの実施形態のダイリップ開放図を示す。
図12B図12Aに示すダイチップの実施形態の側面図を示す。
図13A】ダイチップの別の実施形態のダイリップ開放図を示す。
図13B図13Aに示すダイチップの実施形態の側面図を示す。
図14A】ダイチップの更に別の実施形態のダイリップ開放図を示す。
図14B図14Aに示すダイチップの実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一部のタイプの電気ケーブルは、そのケーブルの長手方向縁部に沿って絶縁されていない。一部の場合には、電気ケーブルは、ケーブルの長手方向縁部付近に配置された、導電材料を含み得る。一部の場合には、この導電材料を含むことにより、遮蔽を提供することができる。相互接続デバイスの数及び速度が増大するにつれて、そのようなデバイス間で信号を搬送する電気ケーブルは、より小さくする必要があり、かつ許容不可能な干渉又はクロストークを伴わずに、より高速な信号を搬送することが可能となる必要がある。一部の電気ケーブル内では、遮蔽を使用して、隣り合う導体によって搬送される信号間の相互作用を低減する。本明細書で説明されるケーブルの多くは、概して平坦な構成を有し、ケーブルの長さに沿って延在する導体セット、並びにケーブルの両面上に配置される電気遮蔽フィルムを含む。隣接する導体セット間の、遮蔽フィルムの挟み付け部分は、導体セットを互いに電気的に絶縁するために役立つ。しかしながら、縁部付近に配置された、そのような導電材料、例えば、遮蔽フィルムは、その縁部で電気的接触を形成して、電気的短絡を引き起こしやすい。具体的には、ケーブル縁部は、接地とは異なる電圧を有する導電性表面と電気的に接触する際、短絡を引き起こす恐れがある。それゆえ、ケーブル上に非導電性の縁部を作り出すことが、関心の対象となる。本開示は、電気的短絡の可能性を低減するためにケーブル縁部に適用される、様々な縁部絶縁構造を目的とする。この縁部絶縁構造は、ケーブルを構築する際に、又は後の工程で、作り出すことができる。電気的短絡を防止する他に、この縁部絶縁構造はまた、水分がケーブルに浸透することも防止することができる。本開示はまた、フィルムの縁部に材料を適用するための、装置及び方法も目的とする。この同じ装置及び方法を使用して、縁部絶縁構造を作り出すことができる。
【0010】
一部の実装では、電気ケーブルは、作製された後に、好適な幅にトリミングされる。このトリミングにより、ケーブルの縁部に沿った一部の場所で、導電材料の露出が引き起こされる場合がある。この状況では、それらの場所に絶縁構造を適用することが有益である。一部の場合には、電気ケーブルの縁部全体に沿って絶縁構造を適用する必要はない。例えば、そのような場合には、ケーブルの縁部上の幾つかの場所に、絶縁構造を適用することにより、電気的短絡の可能性を低減することができる。
【0011】
図1は、縁部絶縁電気ケーブル100の例示的実施形態を示す。縁部絶縁電気ケーブル100は、電気ケーブル110と、ケーブル110の長さ方向縁部に沿った縁部絶縁構造120とを含む。一部の実装では、縁部絶縁構造120は、絶縁材料を含み得る。この絶縁材料は、例えば、任意のタイプの誘電材料とすることができる。この誘電材料は、例えば、UV硬化性材料、熱可塑性材料などとすることができる。
【0012】
一部の実施形態では、縁部絶縁構造は、本質的に円筒形状に、すなわち、本明細書で縁部ビードと称される形状に構築することができる。一部の実施形態では、縁部ビードは、特定の条件下で可撓性の、任意の種類の誘電材料のうちの1つによって構築することができるため、その誘電材料は、ケーブル縁部に適用することができる。例えば、縁部ビードは、感圧性接着剤、ホットメルト材料、熱硬化性材料、及び硬化性材料によって構築することができる。感圧性接着剤としては、シリコーンポリマー系、アクリレートポリマー系、天然ゴムポリマー系、及び合成ゴムポリマー系のものが挙げられる。それらは、所望の特性を提供するために、様々な材料を使用して、粘着付与、架橋、及び/又は充填することができる。ホットメルト材料は、規定の温度及び/又は圧力を超えて加熱されると、粘着性となり、基材に対して良好に接着し、この接着剤が冷却されると、基材に対する良好な結合を保持しつつ、その凝集強さが増大する。ホットメルト材料のタイプの例としては、ポリアミド、ポリウレタン、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、及びより極性の高い化学種(無水マレイン酸などの)で修飾されたオレフィンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。熱硬化性材料は、室温で、あるいは熱及び/又は圧力の適用により、基材と密着した接触を作り出すことができる材料である。加熱することにより、その熱硬化性樹脂内で化学反応が発生し、周囲温度、準周囲温度、及び昇温状態での長期的な凝集強さを提供する。熱硬化性材料の例としては、エポキシ、シリコーン、ポリエステル、及びポリウレタンが挙げられる。硬化性材料は、熱硬化性樹脂を含み得るが、本明細書では、硬化性材料は、外部からの化学種又はエネルギーの追加の有無に関わらず、室温で硬化することができる点で区別される。例としては、2成分エポキシ及びポリエステル、1成分湿気硬化シリコーン及びポリウレタン、並びに紫外線、可視光、又は電子ビームエネルギーなどの化学線を利用して硬化させる接着剤が挙げられる。
【0013】
一部の実施形態では、縁部絶縁構造は、本明細書では縁部フィルムと称される、ケーブルの縁部を覆う1つ以上のフィルムの層によって、構築することができる。一部の実装では、縁部フィルムは、高分子材料の層を含み得るものであり、その高分子材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の他の実装では、縁部フィルムはまた、対象用途に関して好適な特性を提供するために、1種以上の添加剤及び/又は充填剤も含み得る。これらの添加剤及び充填剤は、例えば、難燃剤、UV安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、潤滑剤、着色顔料などとすることができる。
【0014】
一部の実施形態では、縁部絶縁構造120は、導電材料及び絶縁材料の双方を含み得る。導電材料は、電気ケーブル110に結合させることができ、その一方で、絶縁材料は、その導電材料の上に適用することができる。絶縁構造120は、そのケーブルの構成体の一部である材料、例えば、ケーブル内で使用される接着剤材料を、使用することができる。例示的実施形態では、電気ケーブル110は、1つ以上の導体セット104を含み、各導体セット104は、その電気ケーブルの長さに沿った1つ以上の絶縁導体を含む。一部の実施形態では、縁部絶縁構造120は、電気的短絡の可能性を低減するように、電気ケーブル110の縁部の一部分に結合することができるが、縁部全体には結合されない。
【0015】
電気ケーブル110は、ケーブルの長手方向縁部上の場所付近に配置され、ケーブル上のその場所で電気的接触しやすい、導電材料を含み得る。例えば、この導電材料は、ケーブル全体にわたって配置され、その縁部で、又は縁部付近で電気的接触を形成する潜在性がある、遮蔽フィルム108とすることができる。一部の実施形態では、電気ケーブル110は、ケーブル110の幅wの全体又は一部分に沿って互いに離間し、かつケーブル110の長さLに沿って延在する、複数個の導体セット104を含む。ケーブル110は、図1に示すように、概して平面構成に配置構成することができ、又はその長さに沿った1つ以上の場所で、折り曲げ構成へと折り曲げることもできる。一部の実装では、ケーブル110の一部の部分を、平面構成に配置構成することができ、ケーブルの他の部分を、折り曲げることができる。一部の構成では、ケーブル110の導体セット104のうちの少なくとも1つは、ケーブル110の長さLに沿って延在する、2つの絶縁導体106を含む。この導体セット104の2つの絶縁導体106は、ケーブル110の長さLの全体又は一部分に沿って、実質的に平行に配置構成することができる。絶縁導体106は、絶縁信号線、絶縁電源線、又は絶縁接地線を含み得る。2つの遮蔽フィルム108が、ケーブル110の両面上に配置される。
【0016】
第1及び第2の遮蔽フィルム108は、横断面で、ケーブル110がカバー領域114及び挟み付け領域118を含むように、配置構成される。ケーブル110のカバー領域114内では、第1及び第2の遮蔽フィルム108のカバー部分107が、横断面で、各導体セット104を実質的に包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、いずれかの所定の導体セットの外周の、少なくとも75%を、又は少なくとも80%、85%、若しくは90%を、全体として包囲し得る。第1及び第2の遮蔽フィルムの挟み付け部分109は、各導体セット104の両側上に、ケーブル110の挟み付け領域118を形成する。ケーブル110の挟み付け領域118内では、一方又は双方の遮蔽フィルム108が撓められて、遮蔽フィルム108の挟み付け部分109を、より近位へと接近させる。一部の構成では、図1に示すように、双方の遮蔽フィルム108が、挟み付け領域118内で撓められて、挟み付け部分109を、より近位へと接近させる。一部の構成では、一方の遮蔽フィルムは、ケーブルが平面構成又は折り曲げられない構成にある場合、挟み付け領域118内で比較的平坦なまま維持することができ、ケーブルの反対面上の他方の遮蔽フィルムを撓めることにより、その遮蔽フィルムの挟み付け部分を、より近位へと接近させることができる。
【0017】
ケーブル110はまた、遮蔽フィルム108の間の、少なくとも挟み付け部分109の間に配置される、接着剤層140も含み得る。接着剤層140は、ケーブル110の挟み付け領域118内で、遮蔽フィルム108の挟み付け部分109を互いに結合する。接着剤層140は、ケーブル110のカバー領域114内には、存在する場合もあり、又は存在しない場合もある。
【0018】
一部の場合には、導体セット104は、横断面で、実質的に曲線形状の包絡線又は外周を有し、遮蔽フィルム108は、ケーブル110の長さLの少なくとも一部に沿って、好ましくは実質的に全てに沿って、その断面形状に実質的に適合して、その断面形状を維持するように、導体セット104の周囲に配置される。断面形状を維持することにより、導体セット104の設計で意図されるように、導体セット104の電気的特性が維持される。このことは、導体セットの周囲に導電性遮蔽体を配置することにより、その導体セットの断面形状が変化する、一部の従来の遮蔽電気ケーブルに勝る有利点である。
【0019】
図1に示す実施形態では、各導体セット104は、正確に2つの絶縁導体106を有するが、他の実施形態では、一部又は全ての導体セットが、1つの絶縁導体のみを含む場合があり、又は2つ以上の絶縁導体106を含む場合もある。例えば、図1と同様の設計の代替的な遮蔽電気ケーブルは、8つの絶縁導体106を有する1つの導体セット、又は、それぞれが1つの絶縁導体106のみを有する8つの導体セットを含み得る。導体セット及び絶縁導体の、この配置構成の柔軟性により、開示される遮蔽電気ケーブルを、多種多様な対象用途に関して好適な方式で構成することが可能になる。例えば、導体セット及び絶縁導体は、複数の2芯同軸ケーブル(すなわち、それぞれが2つの絶縁導体を有する、複数の導体セット)、複数の同軸ケーブル(すなわち、それぞれが1つの絶縁導体のみを有する、複数の導体セット)、又はこれらの組み合わせを形成するように構成することができる。一部の実施形態では、導体セットは、1つ以上の絶縁導体の周囲に配置される導電性遮蔽体(図示せず)、及びその導電性遮蔽体の周囲に配置される絶縁ジャケット(図示せず)を更に含み得る。
【0020】
図1に示す実施形態では、遮蔽電気ケーブル110は、任意選択的な接地導体112を更に含む。接地導体112は、接地線又はドレイン線を含み得る。接地導体112は、絶縁導体106から離間して、絶縁導体106と実質的に同じ方向で延在することができる。遮蔽フィルム108を、接地導体112の周囲に配置することができる。接着剤層140は、接地導体112の両側上の挟み付け部分109内で、遮蔽フィルム108を互いに結合することができる。接地導体112は、少なくとも一方の遮蔽フィルム108と、電気的に接触することができる。幾つかの例示的な電気ケーブル構成体が、「Shielded Electrical Cable」と題される米国特許出願第61/348800号、及び「High Density Shielded Electrical Cable and Other Shielded Cables,Systems and Methods」と題される同第61/378856号で詳細に論じられており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
図2は、縁部絶縁構造200の例示的実施形態の断面図である。例示的実施形態では、縁部絶縁構造200は、絶縁材料250を含む。絶縁材料250は、絶縁を提供し、かつ縁部に近接するケーブルの部分に結合させることが可能な、任意のタイプの材料とすることができる。例えば、絶縁材料は、ビード様形状を有する縁部絶縁構造を形成することができる。絶縁材料250は、ケーブルの縁部に結合され、このケーブルは、例えば、誘電体フィルム210、接着剤層220、遮蔽フィルム230(すなわち、金属)、及び誘電体層240(すなわち、ホットメルト接着剤)の層を含む。
【0022】
遮蔽フィルム230は、様々な構成を有し、様々な方法で作製することができる。一部の場合には、1つ以上の遮蔽フィルムは、導電性層及び非導電性高分子層を含み得る。導電性層は、任意の好適な導電材料を含み得るものであり、それらの導電材料としては、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金が挙げられるが、それらに限定されない。非導電性高分子層は、任意の好適な高分子材料を含み得るものであり、それらの高分子材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。非導電性高分子層は、対象用途に関して好適な特性を提供するために、1種以上の添加剤及び/又は充填剤を含み得る。一部の場合には、少なくとも一方の遮蔽フィルムは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される、積層接着剤層を含み得る。非導電性層上に配置された導電性層を有する遮蔽フィルム、又は導電性の一方の主要外表面と、実質的に非導電性の反対側主要外表面とを、別の方式で有する遮蔽フィルムに関しては、その遮蔽フィルムは、必要に応じて幾つかの異なる配向で、遮蔽ケーブル内に組み込むことができる。一部の場合には、例えば、導電性表面が、絶縁線の導体セット及び接地線に面することができ、一部の場合には、非導電性表面が、それらの構成要素に面することができる。2つの遮蔽フィルムが、ケーブルの両面上に使用される場合には、それらのフィルムは、それらの導電性表面が互いに向かい合い、それぞれが導体セット及び接地線に面するように配向することができ、あるいはそれらのフィルムは、それらの非導電性表面が互いに向かい合い、それぞれが導体セット及び接地線に面するように配向することができ、あるいはそれらのフィルムは、一方の遮蔽フィルムの導電性表面が、導体セット及び接地線に面するが、ケーブルの他方の面からは、他方の遮蔽フィルムの非導電性表面が、導体セット及び接地線に面するように配向することができる。
【0023】
一部の場合には、少なくとも一方の遮蔽フィルムは、柔軟又は可撓性の金属箔などの、単独型の導電性フィルムとすることができ、又はその単独型の導電性フィルムを含み得るこの遮蔽フィルムの構成体は、例えば、遮蔽電気ケーブルの可撓性、電気的性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び場所などの)などの、対象用途に関して好適な幾つかの設計パラメータに基づいて、選択することができる。一部の場合には、遮蔽フィルムは、一体的に形成された構成体を有し得る。一部の場合には、遮蔽フィルムは、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得る。遮蔽フィルムは、望ましくは、導体セット間に、分離、遮蔽、及び正確な間隔を提供して、より自動化された、より低コストのケーブル製造プロセスを可能にする。更には、遮蔽フィルムは、高い信号減衰が特定の周波数範囲で発生する、「信号のサックアウト」、すなわち共振として知られる現象を防止する。この現象は、典型的には、導電性遮蔽体が導体セットの周囲に巻き付けられる、従来の遮蔽電気ケーブル内で発生する。
【0024】
本明細書の他の部分で論じられるように、ケーブル構成体内で接着剤材料を使用して、ケーブルのカバー領域で、1つ又は2つの遮蔽フィルムを、1つ、一部、若しくは全ての導体セットに結合することができ、かつ/又は接着剤材料を使用して、ケーブルの挟み付け領域で、2つの遮蔽フィルムを一体に結合することができる。接着剤材料の層は、少なくとも一方の遮蔽フィルム上に配置することができ、2つの遮蔽フィルムがケーブルの両面上に使用される場合には、接着剤材料の層は、双方の遮蔽フィルム上に配置することができる。後者の場合では、一方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤は、好ましくは、他方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤と同じであるが、必要に応じて、異なるものとすることができる。所定の接着剤層は、電気的絶縁性の接着剤を含み得るものであり、2つの遮蔽フィルムの間に絶縁性結合を提供することができる。更には、所定の接着剤層は、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、又は全ての導体セットの、絶縁導体との間に、また少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、又は全ての接地導体(存在する場合)との間に、絶縁性結合を提供することができる。あるいは、所定の接着剤層は、導電性の接着剤を含み得るものであり、2つの遮蔽フィルムの間に導電性結合を提供することができる。更には、所定の接着剤層は、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、又は全ての接地導体(存在する場合)との間に、導電性結合を提供することができる。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するための導電性粒子を含む。導電性粒子は、球体、フレーク、ロッド、立方体、無定形、又は他の粒子形状などの、現在使用されている粒子のタイプのうちのいずれかとすることができる。それらの導電性粒子は、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルコーティングされた銅球体、金属コーティングされた酸化物、金属コーティングされた高分子繊維、又は他の同様の導電性粒子などの、固体若しくは実質的に固体の粒子とすることができる。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でメッキ若しくはコーティングされる、電気絶縁材料から作製することができる。金属コーティングされた絶縁材料は、中空のガラス球体などの、実質的に中空の粒子とすることができ、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物などの、中実材料を含み得る。導電性粒子は、カーボンナノチューブなどの、約数十マイクロメートル〜ナノメートルサイズの材料とすることができる。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスも含み得る。
【0025】
所定のケーブル構成体内で使用される場合、接着剤層は、好ましくは、ケーブルの他の要素に対して、形状が実質的に適合可能であり、ケーブルの屈曲運動に関して適合可能である。一部の場合には、所定の接着剤層は、実質的に連続的なものとすることができ、例えば、所定の遮蔽フィルムの所定の主要表面の、実質的に全長及び全幅に沿って延在する。一部の場合には、接着剤層は、実質的に不連続のものを含み得る。例えば、接着剤層は、所定の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿って、一部の部分内にのみ存在することができる。不連続接着剤層は、例えば、複数個の長手方向の接着ストライプを含み得、この接着ストライプは、例えば、各導体セットの両側上の、遮蔽フィルムの挟み付け部分の間、及び接地導体(存在する場合)の側方の遮蔽フィルムの間に配置される。所定の接着剤材料は、感圧性接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着剤のうちの、少なくとも1つとすることができ、又は少なくとも1つを含み得る。接着剤層は、1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合よりも実質的に強固な結合を、遮蔽フィルム間に提供するように、構成することができる。このことは、例えば、接着剤配合の適切な選択によって、達成することができる。この接着剤構成の有利点は、遮蔽フィルムを、絶縁導体の絶縁体から容易に剥離可能にすることができる点である。他の場合には、接着剤層は、実質的に等しい強度の、遮蔽フィルム間の結合、及び1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合を提供するように、構成することができる。この接着剤構成の有利点は、絶縁導体が、遮蔽フィルムの間に係留される点であるこの構成を有する遮蔽電気ケーブルが屈曲される場合、このことにより、相対運動を小さくすることが可能になり、それゆえ、遮蔽フィルムの座屈の可能性が低減される。好適な結合強度は、対象用途に応じて選択することができる。一部の場合には、約0.13mm未満の厚さを有する、適合性接着剤層を使用することができる。例示的実施形態では、接着剤層は、約0.05mm未満の厚さを有する。
【0026】
所定の接着剤層は、遮蔽電気ケーブルの、所望の機械的性能特性及び電気的性能特性を達成するように、適合することができる。例えば、接着剤層は、導体セット間の区域内の、遮蔽フィルム間で、より薄くなるように適合することができ、このことにより、少なくとも、遮蔽ケーブルの横方向の可撓性が増大する。このことにより、遮蔽ケーブルを、より容易に曲線状の外側ジャケット内に定置することが可能になり得る。一部の場合には、接着剤層は、導体セットに直接隣接する区域内で、より厚くなるように適合して、その導体セットに実質的に適合することができる。このことにより、これらの区域内で、機械的強度が増大し、遮蔽フィルムの曲線形状の形成を可能にすることができ、このことにより、例えばケーブルを屈曲させる間の、遮蔽ケーブルの耐久性が向上し得る。更には、このことは、遮蔽ケーブルの長さに沿って、遮蔽フィルムに対する絶縁導体の位置及び間隔を維持するために役立つことができ、このことは、その遮蔽ケーブルの、より均一なインピーダンス及びより優れた信号保全性をもたらし得る。
【0027】
所定の接着剤層は、有効に、導体セット間の区域内、例えばケーブルの挟み付け領域内の、遮蔽フィルム間で、部分的又は完全に除去されるように、適合することができる。結果として、その遮蔽フィルムは、これらの区域内で互いに電気的に接触することができ、このことにより、ケーブルの電気的性能が向上し得る。一部の場合には、接着剤層は、有効に、少なくとも一方の遮蔽フィルムと接地導体との間で、部分的又は完全に除去されるように、適合することができる。結果として、その接地導体は、これらの区域内で、少なくとも一方の遮蔽フィルムと電気的に接触することができ、このことにより、ケーブルの電気的性能が向上し得る。接着剤の薄い層が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと所定の接地導体との間に残存する場合であっても、接地導体上の隆起が、この薄い接着剤層を突き抜けて、意図されるような電気的接触を確立することができる。
【0028】
縁部絶縁構造は、様々な形態、例えば、端部ビード、絶縁フィルム、及び縁部の折り曲げの形態を呈することができる。図3A〜3Eは、電気ケーブル300及び縁部ビード310を含む、本開示の態様による縁部ビードの幾つかの例示的実施形態の、断面図を示す。ケーブル300は、複数個の層を含み得る。一部の場合には、複数個の層のうちの1つは、導電性とすることができる。本明細書で使用するとき、縁部ビードとは、縁部に塊部を有する、縁部絶縁構造を指す。一部の構成では、この縁部の塊部は、断面が本質的に円形のものとすることができる。一部の構成では、縁部ビードは、より良好な支持を提供するための、ケーブルの上面及び/又は下面に結合される部分を含み得る。縁部ビード310は、1種以上の縁部ビード材料を含む。縁部ビード材料は、典型的には、特定の条件下で剛性ではない誘電材料を含むため、ケーブル300の縁部に、その誘電材料を、縁部の形状に適合させて適用することができる。一部の実施形態では、縁部ビード材料は、熱可塑性化合物、又は硬化性化合物、例えば、UV硬化性、3ビーム、若しくは空気硬化性の化合物を含む。一部の場合には、縁部ビード材料は、接着剤材料を含み得ることにより、この接着剤材料を介して、電気ケーブル300に誘電材料を結合する。一部の他の場合には、縁部ビード材料は、その絶縁構造に防護を提供するための、コーティング材料を含み得る。一部の実装では、誘電材料は、電気ケーブルの縁部に、液体形態(すなわち、融解物、溶液など)で適用される。縁部ビードを構築する方法が、以下で更に論じられる。
【0029】
図3Aは、ケーブル300の縁部のみを覆う、縁部ビード310の例示的実施形態を示す。縁部ビード310は、例えば、縁部を覆う半円又は円の一部の、断面形状を有し得る。一部の場合には、この材料が、ケーブルの上面及び下面の少なくとも一方、並びに縁部に適用される場合、ケーブル300に対する、より強固な縁部ビード310の結合を得ることができる。図3Bは、ケーブル300の縁部、並びに上面及び下面の一部分を覆う、縁部ビード310の例示的実施形態を示す。断面図では、この縁部ビードは、概して円形のものとすることができる。図3Cは、縁部、並びに縁部付近のケーブルの上面及び下面の双方の部分を覆う、縁部ビード310の別の例示的実施形態を示す。この実施形態では、縁部ビード310は、その厚さよりも大きい、上面及び下面の諸部分を覆う幅を有し得る。図3Dは、一方の表面上で、ケーブル300の反対表面上の区域よりも大きい区域を覆う、縁部ビード310の更なる例示的実施形態を示す。
【0030】
一部の実施形態では、縁部ビード310は、少なくとも部分的に、電気ケーブル300内で使用される誘電材料によって形成することができる。図3Dに示すように、ケーブル300は、誘電体層320を含む複数個の層を有し得る。誘電体層320は、誘電材料325を含み得る。誘電材料325は、例えば、遮蔽フィルム(すなわち、図2の230)を結合するために使用される、熱可塑性材料又はホットメルト材料とすることができる。特定の実施形態では、誘電材料325は、条件変化に晒されると、ケーブル内の別の場所に移行するように、適合させることができる。例えば、誘電材料325は、圧力下にある場合、別の場所に移動することができる。別の例では、誘電材料325は、加熱される場合、流動性になることができる。一部の場合には、縁部絶縁構造は、縁部付近から縁部の外側に、誘電材料325を押し出すことによって形成することができる。一部の構成では、誘電材料325は、電気ケーブル300に結合させることができる、任意の種類の接着剤材料である。縁部ビード310は、誘電材料325によって形成することができる。一部の他の構成では、電気ケーブル300の縁部部分は、ケーブル300から誘電材料325を押し出す前に、接着剤材料でコーティングされる。更に別の構成では、ケーブル300の縁部に誘電材料325を適用した後に、誘電材料325の上に別の材料を適用することにより、例えば誘電材料325を覆うための、支持及び/又は防護を提供することができる。
【0031】
一部の実施形態では、電気ケーブルは、図4に示すように、電気ケーブルに沿って、第1の側方位置で長さ方向に延在する、リザーバ又はポケットを含み得る。このリザーバは、ケーブル内の第1の側方位置とは異なる、ケーブル内の第2の側方位置へと移行されるように適合された誘電材料を収容するように、構成することができる。縁部絶縁構造は、この誘電材料をケーブルの外縁部へと移行させることによって、形成することができる。図4は、ケーブルに沿って長さ方向に延在するリザーバ420を有する、電気ケーブル400の例示的実施形態の断面図である。リザーバ420は、ケーブル内の幅方向に沿った隣接区域430よりも、大きい容積を有し得る。リザーバ420は、ケーブルの第2の場所へと移行されるように適合された誘電材料425を格納することができる。一部の構成では、リザーバ420は、特定の条件下で流動性である誘電材料425を、収容することができる。例えば、誘電材料425は、熱が加えられた後に、流動性になることができる。
【0032】
一部の実施形態では、誘電材料は、リザーバが押し出されるか、圧迫されるか、圧搾される場合に、又は他の機械的手法によって、第2の側方位置へと移行させることができる。一部の場合には、誘電材料は、リザーバが加熱される場合に、第2の側方位置へと移行させることができる。リザーバ内の誘電材料は、電気ケーブルの縁部へと流動して、縁部ビードを形成することができる。図5は、電気ケーブル500のリザーバ520内に配置された誘電材料525によって形成される、縁部ビード510の例示的実施形態を示す。一部の構成では、電気ケーブル500の長手方向縁部の少なくとも一部分は、誘電材料525が、ケーブル500から、例えば図4に示すようなリザーバ420から押し出される前に、接着剤の層でコーティングされる。
【0033】
図6A〜6Eは、縁部フィルム内の縁部絶縁構造の、幾つかの例示的実施形態を示す。一部の実施形態では、これらの縁部フィルムは、典型的には、電気ケーブルの長手方向縁部付近の領域に適用される。この縁部フィルムは、任意の好適な高分子材料のものとすることができ、それらの高分子材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤が挙げられるが、それらに限定されない。更には、この縁部フィルムは、対象用途に関して好適な特性を提供するために、1種以上の添加剤及び/又は充填剤を含み得る。
【0034】
図6A及び図6Bは、電気ケーブル600の周囲で折り曲げられる、縁部フィルム610の実施形態を示す。一部の他の実施形態では、電気ケーブル600は、電気ケーブル600の縁部に配置された導電性層を含む、複数個の層を有し得る。そのような導電性層は、ケーブル600の縁部での電気的接触の可能性を増大させる恐れがある。縁部フィルム610は、1種以上の材料の層を含み得る。例示的実施形態では、縁部フィルム610は、接着剤材料の層620、及び裏材のための層630を含み得る。別の実施形態では、縁部フィルム610は、ケーブル600に結合される材料の単一層を含み得る。更に別の例示的実施形態では、縁部フィルム610は、導電性層及び誘電体層を含み得、導電性層は、遮蔽を提供することができ、誘電体層は、電気的短絡の可能性を低減することができる。更なる他の例示的実施形態では、縁部フィルム610は、複数個の層、例えば、導電性層、誘電材料の層、及び裏材の層を含み得る。
【0035】
図6C及び図6Dは、縁部フィルムを有する縁部絶縁電気ケーブル650の、別の実施形態を示す。縁部絶縁構造は、例えば任意の機械的手段、接着手段、若しくは化学的手段によって一体に結合される、上方縁部フィルム660及び下方縁部フィルム670によって形成される。例示的実施形態では、縁部フィルム660及び縁部フィルム670は、誘電材料のための層690の層を含み得る。任意選択的に、縁部フィルム660及び縁部フィルム670の少なくとも一方は、接着剤材料の層680を含み得る。一部の場合には、縁部フィルム660及び縁部フィルム670の双方が、接着剤材料の層680を含み得る。そのような構成では、縁部フィルム660及び縁部フィルム670は、接着剤層680によって一体に結合させることができる。一部の他の場合には、一方の縁部フィルムのみが、接着剤層680を含む。例えば、上方縁部フィルム660が接着剤層680を含み、下方縁部フィルム670は接着剤層を含まない。上方縁部フィルムと下方縁部フィルム670とは、その接着剤層680によって結合させることができる。別の実施形態では、縁部フィルム610は、ケーブル600に結合することができる、誘電材料690の単一層を含み得る。この材料の単一層は、例えば、硬化性化合物の層とすることができる。更に他の場合には、縁部フィルム660及び縁部フィルム670は、複数個の層、例えば、導電性層、誘電材料の層、及び裏材の層を含み得る。
【0036】
図6Eは、図6Dに示す実施形態と同様に構築された縁部フィルムを有する、縁部絶縁ケーブル650の別の例示的実施形態を示す。例示的実施形態では、縁部フィルム660及び縁部フィルム670の少なくとも一方は、ケーブル650のケーブル表面全体を覆い、そのケーブルの両側で、長さ方向に沿って絶縁構造を形成することができる。
【0037】
図7A〜7Pは、折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、幾つかの例示的実施形態を示す。電気ケーブル700は、長手方向縁部付近の場所に配置された導電材料を有し、その縁部で電気的接触を形成しやすい。一部の実施形態では、電気ケーブル700は、ケーブルの長さに沿って折り曲げられる。このケーブルの折り目が、ケーブルの第1部分及びケーブルの第2部分を画定し、このケーブルの第2部分は、そのケーブルの長手方向縁部を含む。縁部絶縁構造は、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第1部分に第2部分を結合することによって形成される。
【0038】
図7Aは、折り曲げによって構築される縁部絶縁構造710の、例示的実施形態を示す。この実施形態では、電気ケーブル700は、長さ方向の線715に沿って折り曲げられる。電気ケーブル700は、典型的には、上面及び下面の双方の最外層として、誘電材料層を有する。ケーブル700は、線715によって区切られる2つの部分である、第1部分705及び第2部分707を有する。第2部分707は、ケーブル700の長手方向縁部を含む。第2部分707を、第1部分705の上に折り曲げ、任意の結合手段によって、例えば、接着剤材料、ホットメルト材料などによって、第1部分705に結合することができる。それゆえ、縁部絶縁構造710は、誘電材料層がケーブル700の縁部を覆うことによって形成される。
【0039】
図7Bは、折り曲げによって構築される縁部絶縁構造710の、別の例示的実施形態を示す。この実施形態では、電気ケーブル700は、長さ方向の線715に沿って折り曲げられる。ケーブル700は、線715によって区切られる2つの部分である、第1部分705及び第2部分707を有する。第2部分707は、ケーブル700の長手方向縁部を含む。第2部分707を、第1部分705の上に折り曲げ、任意の結合手段によって、例えば、接着剤材料、ホットメルト材料などによって、第1部分705に結合することができる。例示的実施形態では、ケーブル700の縁部は、縁部ビード720によって更に覆うことができる。縁部ビード720は、上述の1つ以上の縁部ビード材料によって構築することができる。それゆえ、縁部絶縁構造710が形成される。
【0040】
図7Cは、折り曲げによって構築される縁部絶縁構造710の、更に別の例示的実施形態を示す。この実施形態では、電気ケーブル700は、長さ方向の線715に沿って折り曲げられる。この折り目が、第1部分705及び第2部分707を画定する。第2部分707は、ケーブル700の長手方向縁部を含む。第2部分707を、第1部分705の上に折り曲げ、任意の結合手段によって、例えば、接着剤材料、ホットメルト材料などによって、第1部分705に結合することができる。ケーブル700の縁部は、縁部ビード720によって更に覆うことができる。縁部ビード720は、誘電材料730を含み得る。誘電材料730は、ケーブル700の構成体内で使用することができる。誘電材料730は、ケーブルから押し出されることにより、そのケーブルの縁部を覆うことができる。それゆえ、縁部絶縁構造710が形成される。
【0041】
一実施形態では、電気ケーブル700は、図7D及び図7Eに示すように、リザーバ740で折り曲げられる。この実施形態では、電気ケーブル700は、リザーバ740で分離される(すなわち、切断されるなど)。例示的実施形態では、電気ケーブル700は、リザーバ740を横断する線750に沿って分離することができる。リザーバ740は、この切断線750に沿った2つのフィルムの部分である、下部フィルム760及び上部フィルム765を含む。下部フィルム760は、典型的には、外層として絶縁層770を含む。次に、リザーバ740の下部フィルム760を、ケーブル700の長手方向縁部の周囲で巻き付けることができる。図7Eに示すように、下部フィルム760がケーブル700の長手方向縁部の周囲で巻き付けられた後、絶縁層770は、ケーブル700の長手方向縁部を覆う外層になることにより、その縁部に絶縁を提供する。一部の実施形態では、下部フィルム760は、絶縁層770の内側に、導電材料層780を含む。そのような実装では、下部フィルム760が折り曲げられる場合、導電材料層780は、遮蔽を提供することができ、絶縁層770は、最外層として残存して絶縁を提供する。下部フィルム760は、接着剤又は他の結合材料によって、ケーブル700の上面790に結合されることにより、縁部絶縁構造710を形成することができる。一部の場合には、接着剤又は結合材料は、リザーバ740の内側に配置することができる。一部の実装では、元のリザーバ740の残留材料を収容する、より小さい空洞部795を、この折り曲げによって形成することができる。一部の他の実装では、この折り曲げ構造は、空洞部を有さない、平坦なものとすることができる。一部の実装では、リザーバ740は、絶縁層770を含み得る。ケーブル700は、ケーブルの長さに沿って、このリザーバで切断することができ、その切断により、ケーブルの長手方向縁部が露出する。ケーブルと共に残存する、リザーバの絶縁層770の一部分は、ケーブル700の長手方向縁部の周囲で巻き付くことにより、縁部絶縁構造を形成することができる。
【0042】
図7F及び図7Gは、折り曲げによって形成される縁部絶縁構造710の、一部の他の実施形態を示す。図7Fを参照すると、電気ケーブル700が折り曲げられ、その折り目が、第1部分705及び第2部分707を画定する。第2部分707は、ケーブル700の長手方向縁部を含む。一部の場合には、ケーブル700は、この縁部付近の場所に配置され、その場所で電気的接触を形成しやすい、導電材料を含み得る。第2部分707を、第1部分705に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げ、任意の結合手段によって、例えば、接着剤材料、ホットメルト材料などによって、第1部分705に結合することができる。第2部分707は、第1層708及び第2層709を有し得る。一部の実装では、第2層709は、第1層708よりも短くなるように、切断又はトリミングされる。第2層709が、第1層708によって覆われることにより、縁部絶縁構造710が形成される。
【0043】
図7Gは、図7Fに示すものと同様の実装を示し、縁部絶縁構造710は、第2部分707が、第1部分705の上に折り曲げられ、次いで第1層708が、第2部分707内で第2層709を覆うことによって形成される。一部の実施形態では、第1層708の縁部に、縁部ビード720を適用することにより、縁部絶縁構造710を完成させることができる。縁部ビード720は、上述の1つ以上の縁部ビード材料によって構築することができる。一部の実装では、縁部ビード720は、ケーブル構成体内で使用される材料によって構築することができる。
【0044】
図7H〜7Pは、電気ケーブル700の特定の層を折り曲げることによって形成される、縁部絶縁構造710の幾つかの実施形態を示す。一部の実施形態では、電気ケーブル700は、第1層708及び第2層709を有し、この第2層は、第2層の長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい、導電材料を有する。ケーブルの第2層709は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2層の第1部分711と、第2層の長手方向縁部を含む、第2層の第2部分712とを画定する。縁部絶縁構造は、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第2層の第2部分712に、第2層の第2部分712を結合することによって、形成される。
【0045】
図7H及び図7Iは、折り曲げによって形成される縁部絶縁構造の、例示的実施形態を示す。図7Hを参照すると、電気ケーブル700は、第1層708及び第2層709を含む。第2層709は、第2層の長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい、導電材料を有し得る。図7Iを参照すると、第2層709は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2層709の第1部分711、及び第2層709の第2部分712を画定する。第2部分712は、第2層709の長手方向縁部を含み得る。縁部絶縁構造710は、結合材料によって、ケーブルの長さに沿って、第2層の第1部分711に、第2層の第2部分712を結合することによって、形成される。
【0046】
図7Jは、図7Iに示すものと同様の実施形態を示す。一部の実施形態では、図7Iに示す折り曲げに加えて、第1層708、及び第2層709の第1部分711に、縁部ビード720を適用することにより、縁部絶縁構造710を完成させることができる。縁部ビード720は、上述の1つ以上の縁部ビード材料によって構築することができる。一部の実装では、縁部ビード720は、ケーブル構成体内で使用される材料によって構築することができる。
【0047】
図7Kは、折り曲げによって形成される縁部絶縁構造710の、一実施形態を示す。電気ケーブル700は、第1層708及び第2層709を含む。第1層708は、より短い長さを有するようにトリミングされる。第2層709は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2層709の第1部分711、及び第2層709の第2部分712を画定する。第2層の第2部分712は、第2層709の長手方向縁部を含み得る。第2層の第2部分712は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って更に折り曲げられ、その折り目が、第2層の第3部分713及び第4部分714を画定する。縁部絶縁構造710は、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第2層の第3部分713に、第2層の第4部分714を結合することによって、形成される。
【0048】
図7Lは、図7Kに示すものと同様の実施形態を示す。一部の実施形態では、図7Kに示す折り曲げに加えて、第1層708、及び第2層709の第4部分714に、縁部ビード720を適用することにより、縁部絶縁構造710を完成させることができる。縁部ビード720は、上述の1つ以上の縁部ビード材料によって構築することができる。一部の実装では、縁部ビード720は、ケーブル構成体内で使用される材料によって形成することができる。
【0049】
図7M及び図7Nは、折り曲げによって縁部絶縁構造を構築する実施形態を示す。図7Mを参照すると、電気ケーブル700は、第1層708及び第2層709を含み得る。電気ケーブル700は、典型的には、誘電性の最外層を有する。第1層708及び第2層709の双方を、それぞれ他方の層に向けて折り曲げることができる。図7Nを参照すると、第2層709は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げることができ、その折り目が、第2層709の第1部分711、及び第2層709の第2部分712を画定する。第2層709の第2部分712は、第2層709の長手方向縁部を含み得る。第2層の第2部分712は、結合材料によって、ケーブルの長さに沿って、第2層の第1部分711に結合させることができる。第1層708は、第2層709に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げることができ、その折り目が、第1層708の第1部分717、及び第1層708の第2部分716を画定する。第1層708の第2部分716は、第1層708の長手方向縁部を含み得る。第1層708の第2部分716は、結合材料によって、ケーブルの長さに沿って、第1層708の第1部分717に結合させることができる。それゆえ、典型的には誘電材料である、ケーブル700の最外層が縁部を覆う、縁部絶縁構造710が形成される。任意選択的に、一部の実装では、第2層709の第2部分712と第1層708の第2部分716とを、結合材料722によって結合することができる。一部の場合には、結合材料722は、ケーブル構成体内で使用することができ、そのケーブルから、結合材料722が押し出される。
【0050】
図7O及び図7Pは、折り曲げによって縁部絶縁構造を構築する、他の2つの実施形態を示す。図7O及び図7Pを参照すると、電気ケーブル700は、第1層708及び第2層709を含み得る。電気ケーブル700は、典型的には、誘電性の最外層を有する。第1層708及び第2層709の双方を、それぞれ他方の層に向けて折り曲げることができる。第2層709は、第1層708に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げることができ、その折り目が、第2層709の第1部分711、及び第2層709の第2部分712を画定する。第2層709の第2部分712は、第2層709の長手方向縁部を含み得る。第2層の第2部分712は、結合材料によって、ケーブルの長さに沿って、第2層の第1部分711に結合させることができる。任意選択的に、第1層708は、第2層709に向けて、ケーブルの長さに沿って折り曲げることができ、その折り目が、第1層708の第1部分717、及び第1層708の第2部分716を画定する。第1層708の第2部分716は、第1層708の長手方向縁部を含み得る。第1層708の第2部分716は、結合材料によって、ケーブルの長さに沿って、第1層708の第1部分717に結合させることができる。それゆえ、典型的には誘電材料である、ケーブル700の最外層が縁部を覆う、縁部絶縁構造710が形成される。
【0051】
図7Oは、第1層708が第2層709よりも短くトリミングされる、例示的実装を示す。この実施形態では、第1層708の第2部分716を、第2層709の第1部分711に結合することにより、縁部絶縁構造710を形成することができる。図7Pは、第2層709が、ケーブル700の長さ方向に沿って、第1層708よりも短くトリミングされる、例示的実装を示す。この実施形態では、第2層709の第2部分712を、第1層708の第1部分717に結合することにより、縁部絶縁構造710を形成することができる。
【0052】
ホットメルトダイ装置
一部の実施形態では、縁部ビードは、図8に示すような、ダイアセンブリによって構築することができる。ダイアセンブリはまた、フィルムの縁部に材料を適用するために使用することもできる。一部の実施形態では、ダイアセンブリは、ダイチップを通じて材料を分配するように構成される、ダイを含み得る。一部の実装では、フィルムの縁部が、ダイチップに近接して位置決めされ、そのフィルムの縁部に近接してフィルムの縁部に沿って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方に、ダイが材料を分配する。それゆえ、分配された材料は、フィルム上にコーティング領域を形成することができ、そのコーティング領域は、フィルムの縁部付近に限定される。
【0053】
図8は、ダイアセンブリ800の例示的実施形態を示す。一部の実施形態では、ダイアセンブリ800は、一体式機械部品としてのダイチップ810を有する。一部の実施形態では、ダイチップ810は、上部ダイリップ820及び下部ダイリップ840を含み得る。任意選択的に、ダイチップ810は、ダイインサート830、並びにダイインサート830とダイリップ820及びダイリップ840とを組み付けるための機械的手段850を含み得る。一部の実装では、任意選択的に、方向870に沿って材料が流れることを可能にするための、ダイ供給チャネル860を、ダイチップ810内に挿入することができる。ダイアセンブリは、ダイチップ810を通じて材料を分配するように構成される。一部の実装では、種々のフィルム構成及び種々の縁部構成に好適な、種々の機械的構造を有する、種々のダイインサート830を、ダイチップ810内に組み付けることができる。一部の実装では、フィルムの縁部を近接して配置することができ、ダイアセンブリ800は、そのフィルムの縁部に近接してフィルムの縁部に沿って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方に材料を分配する。分配された材料は、フィルム上にコーティング領域を形成し、そのコーティング領域は、フィルムの縁部付近に限定される。一部の他の実装では、電気ケーブルの長手方向縁部を、ダイチップ810に近接して位置決めすることができる。ダイアセンブリ800は、その電気ケーブルの縁部に近接してフィルムの縁部に沿って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方に、絶縁材料を分配することができる。次いで、この絶縁材料は、電気ケーブルの長手方向縁部にわたって流動することが可能となる。一部の場合には、凝固、硬化、又は他の手法によって、絶縁材料が更に流動することを防止することができる。
【0054】
図9Aは、ダイアセンブリ900及びフィルム920の実施形態の斜視図を示す。図9Bは、図9Aに示すダイアセンブリ900の実施形態の側面図を示す。ダイアセンブリ900は、ダイマニホールド905及びダイチップ907を含み得る。ダイチップ907は、上部ダイリップ及び下部ダイリップである、2つのダイリップ910を含み得る。任意選択的に、ダイアセンブリ900は、ケーブルを中心位置に保つための、誘導インサート930を有し得例示的実施形態では、ダイリップ910は、その表面内に溝を有し、縁部絶縁材料940の流れを誘導することができる。縁部絶縁材料940は、方向950に流動している。特定の実施形態では、溝を有する2つのダイリップ910の少なくとも一方により、縁部絶縁材料940は、その溝を通って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方の上へと流動することが可能となる。一部の実装では、縁部絶縁材料940は、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方から流動して、図9Cにも示されるように、フィルム920の縁部を覆うことができる。
【0055】
図10Aは、ダイチップ1000の別の実施形態の斜視図を示し、図10Bは、図10Aに示すダイチップ1000の実施形態の側面図を示す。ダイチップ1000は、第1ダイリップ1010、及び第1ダイリップ1010に対向する第2ダイリップ1020を含み得る。一部の実施形態では、第1ダイリップ1010及び第2ダイリップ1020は、その分配部分で、三角形の断面を有し得る。一部の実施形態では、第1ダイリップ1010と第2ダイリップ1020との間に、フィルム1030を配置することができる。縁部絶縁材料1040は、第1ダイリップ1010及び第2ダイリップ1020の少なくとも一方から分配することができる。縁部絶縁材料1040の十分に強固な結合を提供することが重要である、特定の実施形態では、フィルム1030の上面及び/下面に、縁部絶縁材料1040を分配して、1050の方向に流動させることにより、フィルム1030の縁部を封着することができる。
【0056】
一部の実施形態では、ダイチップは、そのダイチップから材料が出て行くことを可能にする、分配部分を含み得る。この分配部分は、断面を、種々の形状に、例えば、三角形、円形などにすることができる。一部の実装では、分配部分は、材料がダイチップから出て行くことができる、分配開口部を含み得る。この分配開口部は、特定の寸法に機械加工することができる。あるいは、この分配開口部は、シムを使用することにより、その間隙開口部を変更して、縁部絶縁構造の厚さを所望の厚さに調節することができるように、材料の流量を変化させることが可能である。
【0057】
図11Aは、ダイチップ分配部分1100aの実施形態の拡大斜視図を示す。ダイチップ分配部分1100aは、三角形状の断面を有する、分配部分を有する。ダイチップ分配部分1100aは、分配開口部1110aを有する。図11Bは、ダイチップ分配部分1100bの別の実施形態の拡大斜視図を示す。ダイチップ分配部分1100bは、丸い形状の断面を有する、分配部分を有する。ダイチップ分配部分1100bは、分配開口部1110bを有する。
【0058】
分配開口部は、そのダイチップで、様々な形状及び位置を有し得る。例えば、分配開口部は、円形開口部、スロット開口部などとすることができる。図12Aは、ダイチップ1200の実施形態のダイリップ開放図を示す。図12Bは、図12Aに示すダイチップ1200の実施形態の側面図を示す。ダイチップ1200は、互いに対向する2つのダイリップ1210、2つのダイインサート1230、及び2つの分配開口部1220を有する。一部の構成では、一方のダイリップは分配開口部1220を有し得、他方のダイリップは分配開口部を有し得ない。分配開口部1220は、概して円形であり、ダイリップ1210の後縁部に向けて位置決めすることができる。
【0059】
図13Aは、ダイチップ1300の別の実施形態のダイリップ開放図を示す。図13Bは、図13Aに示すダイチップ1300の実施形態の側面図を示す。ダイチップ1300は、互いに対向する2つのダイリップ1310、2つのダイインサート1330、及び2つの分配開口部1320を有する。一部の構成では、一方のダイリップは分配開口部1320を有し得、他方のダイリップは分配開口部を有し得ない。分配開口部1320は、概して円形であり、ダイリップ1310の中央に位置決めすることができる。
【0060】
図14Aは、ダイチップ1400の更に別の実施形態のダイリップ開放図を示す。図14Bは、図14Aに示すダイチップ1400の実施形態の側面図を示す。ダイチップ1400は、互いに対向する2つのダイリップ1410、2つのダイインサート1430、及び2つの分配ポート1420を有する。一部の構成では、一方のダイリップは分配ポート1420を有し得、他方のダイリップは分配開口部を有し得ない。分配ポート1420は、スロット開口部とすることができる。特定の実施形態では、分配開口部は、分配される材料の流動方向に対して、概して垂直にすることができる。
【0061】
第1の実施形態は、電気ケーブルの長手方向縁部の場所付近に配置され、その場所で電気的接触を形成しやすい導電材料を有する、電気ケーブルと、その場所で電気ケーブルに結合される絶縁材料とを含む、縁部絶縁電気ケーブルである。
【0062】
第2の実施形態は、絶縁材料が、電気ケーブルの構成体内で使用される材料を含む、第1の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0063】
第3の実施形態は、絶縁材料が熱可塑性材料を含む、第1の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0064】
第4の実施形態は、絶縁材料が硬化性化合物を含む、第1の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0065】
第5の実施形態は、縁部をその場所で覆う導電材料と、その導電材料を覆う絶縁材料とを更に含む、第1の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0066】
第6の実施形態は、ケーブルに沿って長さ方向に延在する導体と、ケーブル内の第1の側方位置で、ケーブルに沿って長さ方向に延在するリザーバとを含み、このリザーバが、ケーブル内の異なる第2の側方位置へと移行されるように適合された誘電材料を収容する、電気ケーブルである。
【0067】
第7の実施形態は、第2の側方位置が、ケーブルの長手方向縁部にある、第6の実施形態の電気ケーブルである。
【0068】
第8の実施形態は、リザーバに形成された縁部絶縁構造を更に含み、このリザーバが絶縁層を含み、縁部絶縁構造が、そのリザーバの絶縁層の一部分によって部分的に形成される、第6の実施形態の電気ケーブルである。
【0069】
第9の実施形態は、長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有する、電気ケーブルを含み、このケーブルが、ケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2部分に対向する第1部分を画定し、この第2部分が、ケーブルの長手方向縁部を含み、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第1部分に第2部分を結合する、縁部絶縁電気ケーブルである。
【0070】
第10の実施形態は、結合材料が長手方向縁部を覆う、第9の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0071】
第11の実施形態は、電気ケーブルが、絶縁材料を含むフィルムを含む、第9の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0072】
第12の実施形態は、第1層及び第2層を有する電気ケーブルを含み、この第2層が、第2層の長手方向縁部付近に配置され、その縁部で電気的接触を形成しやすい導電材料を有し、この第2層が、第1層に向けてケーブルの長さに沿って折り曲げられ、その折り目が、第2層の第2部分に対向する第2層の第1部分を画定し、この第2層の第2部分が、第2層の長手方向縁部を含み、結合材料が、ケーブルの長さに沿って、第2層の第1部分に第2層の第2部分を結合する、縁部絶縁電気ケーブルである。
【0073】
第13の実施形態は、結合材料が、電気ケーブルの構成体内で使用される材料を含む、第12の実施形態の縁部絶縁電気ケーブルである。
【0074】
第14の実施形態は、電気ケーブルの長手方向縁部に絶縁材料を適用する方法であって、その長手方向縁部に近接して長手方向縁部に沿って、電気ケーブルの上面及び下面の少なくとも一方に絶縁材料を分配する工程と、長手方向縁部にわたって絶縁材料が流動することを可能にする工程と、その絶縁材料の更なる流動を防止する工程とを含む、方法である。
【0075】
第15の実施形態は、防止する工程が、絶縁材料を凝固させる工程を含む、第14の実施形態の方法である。
【0076】
第16の実施形態は、防止する工程が、絶縁材料を硬化させる工程を含む、第15の実施形態の方法である。
【0077】
第17の実施形態は、フィルム縁部コーティング用の装置であって、ダイチップを通じて材料を分配するように構成されたダイアセンブリと、ダイチップに近接して位置決めされるフィルムの縁部とを含み、このダイアセンブリが、そのフィルムの縁部に近接してフィルムの縁部に沿って、フィルムの上面及び下面の少なくとも一方に材料を分配し、分配された材料が、フィルム上にコーティング領域を形成し、そのコーティング領域が、フィルムの縁部付近に限定される、装置である。
【0078】
第18の実施形態は、フィルムが電気ケーブルである、第17の実施形態の装置である。
【0079】
第19の実施形態は、ダイチップが、そのダイチップから材料が出て行くことを可能にする分配開口部を含む、第17の実施形態の装置である。
【0080】
本発明は、上述の特定の実施例及び実施形態に限定されるものとみ見なされるべきではないが、これは、そのような実施形態が詳細に説明されるのは、本発明の様々な態様の説明を容易にするためであるからである。むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本発明の趣旨及び範囲内に含まれる様々な改変形態、等価のプロセス、並びに代替的装置を含めた、本発明の全ての態様を包含するものと理解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図7N
図7O
図7P
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B