特許第6039053号(P6039053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立マクセル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6039053-光源装置 図000002
  • 特許6039053-光源装置 図000003
  • 特許6039053-光源装置 図000004
  • 特許6039053-光源装置 図000005
  • 特許6039053-光源装置 図000006
  • 特許6039053-光源装置 図000007
  • 特許6039053-光源装置 図000008
  • 特許6039053-光源装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039053
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 7/22 20060101AFI20161128BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20161128BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20161128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161128BHJP
【FI】
   F21V7/22 300
   F21V7/22 250
   F21V7/22 240
   F21V7/22 200
   F21V7/00 320
   F21S2/00 311
   F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-502633(P2015-502633)
(86)(22)【出願日】2013年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2013055253
(87)【国際公開番号】WO2014132368
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三好 浩平
(72)【発明者】
【氏名】福井 雅千
(72)【発明者】
【氏名】安達 啓
(72)【発明者】
【氏名】小野 長平
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−165555(JP,A)
【文献】 特開2012−137705(JP,A)
【文献】 特開2012−212146(JP,A)
【文献】 実開平03−007203(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/22
F21S 2/00
F21V 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を発生する励起光源と、
前記励起光源からの励起光に励起されて蛍光光を発生する蛍光体を有する蛍光体ホイールと、
前記励起光源からの励起光を前記蛍光体ホイールに導き、前記蛍光体ホイールからの蛍光光を照明光として出射するミラーとを備え、
前記蛍光体ホイールは、更に、入射した励起光を拡散して反射する拡散反射部を有し、
前記ミラーは、前記励起光を反射し前記蛍光光を透過する第1の領域と、前記蛍光光及び前記拡散反射部が拡散して反射した拡散励起光を透過する第2の領域を有するとともに、前記第1の領域は前記第2の領域よりも狭い面積であって、前記第1の領域は、前記ミラーの中央部において市松模様に分割して設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の光源装置であって、
前記第1の領域を透過した蛍光光、前記第2の領域を透過した蛍光光、及び、前記第2の領域を透過した拡散励起光を照明光として出射することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
励起光を発生する励起光源と、
前記励起光源からの励起光に励起されて蛍光光を発生する蛍光体を有する蛍光体ホイールと、
前記励起光源からの励起光を前記蛍光体ホイールに導き、前記蛍光体ホイールからの蛍光光を照明光として出射するミラーとを備え、
前記蛍光体ホイールは、更に、入射した励起光を拡散して反射する拡散反射部を有し、
前記ミラーは、前記励起光を透過し前記蛍光光を反射する第1の領域と、前記蛍光光及び前記拡散反射部が拡散して反射した拡散励起光を反射する第2の領域を有するとともに、前記第1の領域は前記第2の領域よりも狭い面積であって、前記第1の領域は、前記ミラーの中央部において市松模様に分割して設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項3記載の光源装置であって、
前記第1の領域を反射した蛍光光、前記第2の領域を反射した蛍光光、及び、前記第2の領域を反射した拡散励起光を照明光として出射することを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至4何れか一に記載の光源装置であって、
前記第1の領域は、前記励起光源からの励起光が入射する位置を含むように設けられ、前記第2の領域よりも面積が小さいことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光源装置であって、
前記励起光源は複数の光源からなり、
前記第1の領域は、前記複数の光源からの各励起光が入射する各位置に対応し、複数の領域に分割して設けられることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至4何れか一に記載の光源装置であって、
前記拡散反射部は、反射面に拡散板を貼り付ける、あるいは反射面に拡散材を塗布する、あるいは反射面自体の表面に微細な凹凸を施すことで形成したことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光源装置であって、
前記蛍光体ホイールと前記ミラーとの間には集光レンズを有し、
前記拡散反射部で拡散反射された励起光は、前記集光レンズの略有効領域の大きさに拡散して該集光レンズに入射することを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至4何れか一に記載の光源装置であって、
前記励起光源は励起光として青色レーザー光を発生し、
前記蛍光体ホイールは赤色、黄色及び緑色の蛍光光を発生する蛍光体を有することを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至4何れか一に記載の光源装置であって、
前記励起光源と前記ミラーとの間にはコリメートレンズを有し、
前記励起光源と前記コリメートレンズとが一体型構造の場合には、前記励起光源からの励起光の出射位置及び出射方向のずれを調整するために、前記励起光源と前記コリメートレンズを一体で光軸と垂直方向に移動させる調整機構を備え、
前記励起光源と前記コリメートレンズとが別体型構造の場合には、前記励起光源からの励起光の出射位置及び出射方向のずれを調整するために、前記コリメートレンズを光軸と垂直方向に移動させる調整機構を備えることを特徴とする光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、固体光源から出射する励起光を蛍光体により可視光に変換して効率良く発光する光源装置が提案されている。特許文献1には、光源から出射した励起光(青色レーザー光)を、蛍光体が形成された円板(蛍光体ホイール)に照射し、複数の蛍光光(赤色光、緑色光)を発光させて照明光として用いる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−13313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、蛍光体ホイールの透過部を透過した励起光と蛍光体ホイールで発生した蛍光光とを照明光として利用するが、両者は蛍光体ホイールを挟んで互いに反対側に出射している。従って、これらを合成するための光学部品点数が増加し、光源装置が大型化する課題がある。また、光学系に配置した複数の光学部品による光学損失が発生し、光利用効率(照明光強度)が低下する課題がある。
【0005】
本発明の目的は、蛍光体ホイールからの拡散励起光と蛍光光を蛍光体ホイールの同一側に出射させ、簡単な構成で両光を集光して照明光とする光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の望ましい態様の一つは次の通りである。
【0007】
当該光源装置は、励起光を発生する励起光源と、励起光源からの励起光に励起されて蛍光光を発生する蛍光体を有する蛍光体ホイールと、励起光源からの励起光を蛍光体ホイールに導き、蛍光体ホイールからの蛍光光を照明光として出射するミラーとを備え、蛍光体ホイールは、更に、入射した励起光を拡散して反射する拡散反射部を有し、上記ミラーは、励起光を反射し蛍光光を透過する第1の領域と、蛍光光及び拡散反射部が拡散して反射した拡散励起光を透過する第2の領域を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛍光体ホイールから同一側に拡散励起光と蛍光光を出射させるので、照明光強度を低下させずに小型の光源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における光源装置の構成図。
図2】ミラー4の具体例を示す図。
図3】ミラー4の分光特性の一例を示す図。
図4】蛍光体ホイール1の具体例を示す図。
図5】蛍光体ホイール1からの出射光の拡散度を示す図。
図6】実施例2における光源装置の構成図。
図7】実施例3における投写型映像表示装置の光学系の構成図。
図8】実施例4における投写型映像表示装置の光学系の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1における光源装置の構成図である。光源装置100は、主な構成要素として励起光源5、ミラー4、蛍光体ホイール1を有する。励起光源5はレーザー発光素子などの固体発光素子を1個以上配置し、励起光として例えば青色レーザー光を出射する。励起光源5から出射された励起光10(実線で示す)は、コリメートレンズ6により略平行光となり、ミラー4に入射する。
【0012】
ミラー4は2つの領域から構成される。第1の領域は、励起光(青色)の波長域を反射し、蛍光光の波長域(赤色、黄色、緑色)を透過する特性を有するダイクロイックコート領域21である。第2の領域は、励起光と蛍光光の両方の波長域を透過する広波長透過領域22である。第1の領域は第2の領域よりも狭い面積とする。ミラー4の具体例は、図2で説明する。励起光源5から入射した励起光10は、ミラー4のダイクロイックコート領域21にて反射し、集光レンズ3で集光されて、蛍光体ホイール1に入射する。
【0013】
回転可能な蛍光体ホイール1には、励起光10に励起されて所定色の蛍光光を発光する蛍光体2が形成されている。例えば赤色、黄色、緑色の3色の蛍光光を発光させるため、円板面を円周方向に複数の領域に分割し各領域に赤色、黄色、緑色の各蛍光体を形成する。更に円板面には、励起光10を拡散して反射する拡散反射部を設ける。蛍光体ホイール1の具体例は、図4で説明する。励起光10を受けると、蛍光体ホイール1の各蛍光体2からは赤色、黄色、緑色の3色の蛍光光が発生し、拡散反射部からは拡散された拡散励起光が発生し、いずれも集光レンズ3で略平行光となりミラー4に入射する。
【0014】
ミラー4に入射した蛍光光は、ミラー4内のダイクロイックコート領域21及び広波長透過領域22のいずれの領域でも透過する。一方、ミラー4に入射した拡散励起光は、ダイクロイックコート領域21では反射するが広波長透過領域22では透過する。その結果、蛍光光の全てと拡散励起光の大部分は、照明光11となって図面下方に出射する。
【0015】
この構成により、蛍光体ホイール1で生じた蛍光光と拡散励起光はいずれも蛍光体ホイール1から同一側(図面下方)に出射し、その大部分がミラー4を透過して照明光となる。よって、両者を合成するための余分な光学系を設ける必要がなく、装置の小型化が実現できる。
【0016】
図2は、ミラー4の2つの具体例を示す図である。
【0017】
図2(a)では、ミラー4aの入射面の中央部に、第1の領域であるダイクロイックコート領域21(斜線部)を市松模様に分割して設け、他の部分は第2の領域である広波長透過領域22(白色部)とする。ダイクロイックコート領域21では、励起光(青色)の波長域を反射し蛍光光の波長域(赤色、黄色、緑色)を透過する性質を有する。広波長透過領域22では、励起光と蛍光光の両方の波長域を透過する。ダイクロイックコート領域21の分割数と各サイズと配置は、励起光源5からの励起光10の入射スポット25(黒色)の数と形状と位置に合わせて決定する。よって、励起光源5からの励起光10は全て蛍光体ホイール1へ向かう。
【0018】
一方、蛍光体ホイール1で発生した蛍光光と拡散励起光は、ミラー4aの入射面にスポット26(破線)に拡大されて入射する。このうち蛍光光はスポット26内の全てが透過して照明光となる。一方拡散励起光は、ダイクロイックコート領域21に入射した一部の光は透過できずに照明光の損失分となるが、大面積の広波長透過領域22に入射した大部分の拡散励起光は透過して照明光となる。
【0019】
図2(b)では、ミラー4bの入射面の中心部に、長方形(又は正方形)状にダイクロイックコート領域21(斜線部)を設け、他の部分は広波長透過領域22(白色部)とする。この場合は、励起光源5からの励起光10の入射スポット25(黒色)が小さく、全てのスポット25を1つのダイクロイックコート領域21に収納できる。図2(a)と比較し、ダイクロイックコート領域21の面積をより小さくできるので、ダイクロイックコート領域21による照明光の損失分はより少なくなる。
【0020】
ダイクロイックコート領域21における照明光の損失はダイクロイックコート領域21の面積に依存する。シミュレーションによれば、ダイクロイックコート領域21の面積を入射スポット26の例えば3%以下に絞ることで、特許文献1の場合と同等の損失に抑えることができる。
【0021】
このように本実施例のミラー4a,4bは、広波長透過領域22の中に選択的にダイクロイックコート領域21を設けることで、励起光源5からの励起光10を反射して蛍光体ホイール1へ導くと共に、蛍光体ホイール1からの拡散励起光を透過して照明光とすることができる。
【0022】
図3は、ミラー4の分光特性の一例を示す図で、横軸に波長、縦軸に透過率を示す。ダイクロイックコート領域21では、青色の波長域(約420〜470nm)を透過せず、それより大きい波長域(赤色、黄色、緑色)を透過する。このような分光特性は、誘電体多層膜(TiO、SiOなど)を用いて実現できる。
【0023】
図4は、蛍光体ホイール1の具体例を示す図である。蛍光体ホイール1は、円周方向に例えば4セグメントに分割し、各セグメントには蛍光体2として、赤色蛍光体31、黄色蛍光体32、緑色蛍光体33を塗布し、残りのセグメントは反射ミラーに拡散機能を施した拡散反射部34とする。各蛍光体31,32,33では、励起光10を受けて、それぞれ、赤色、黄色、緑色の蛍光光を発光する。拡散反射部34の拡散機能は、蛍光体ホイール1の基材を銀蒸着等で鏡面反射とし、この上に耐熱性の高い透過拡散板を貼り付けることや、反射面に拡散材(ペースト等)を塗布することで可能である。この場合、拡散板(拡散材)は励起光が往復2回通る光路となるので、それを考慮して拡散度を決めると良い。もしくは、反射面自体の表面に微細な凹凸を施し、反射と同時に拡散させる機能を持たせても良い。このように拡散反射部34にて反射する励起光を拡散させることで、レーザー光中のスペックルノイズを除去する効果がある。尚、蛍光体ホイール1が回転することで、スペックルノイズを除去する効果は更に大きくなる。
【0024】
図5は、蛍光体ホイール1からの出射光の拡散度を示す図である。まず、蛍光体ホイール1の蛍光体2(31,32,33)からの蛍光光は全方位に略均一に発光し、蛍光体の裏面に形成されているミラー面で反射される結果、集光レンズ3側に半球状に出射する。そのうち、集光レンズ3の有効範囲に入射した分がミラー4に達し、照明光11として利用される。
【0025】
一方、蛍光体ホイール1の拡散反射部34からの拡散励起光は、集光レンズ3側に半球状に出射するが、その拡散度(拡散角θ)は拡散板の材料や加工等により調整することができる。その際、出射する拡散励起光の拡散角θを大きくし過ぎると、集光レンズ3の有効範囲の外側にまで漏れ出して光利用効率が低下する。逆に、拡散角θを小さくし過ぎると、集光レンズ3の有効範囲の中心部のみを通過することになる。その結果、ミラー4のダイクロイックコート領域21に入射する拡散励起光の割合が相対的に大きくなり、照明光としての損失分が増加する。よって、拡散反射部34からの拡散励起光は、略集光レンズ3の有効領域の大きさに拡散して入射するよう拡散角θを調整するのが良い。
【0026】
尚、励起光の色と蛍光体の色の組み合わせ、セグメント数、セグメントの形状(角度)は、上記例に限定されるものではなく、要求される照明光の仕様に応じて適宜変更して用いれば良い。例えば励起光源から青色レーザー光を発生しつつ、蛍光体ホイールから黄色蛍光体を削除して赤色及び緑色の蛍光光を発生させること、あるいは蛍光体としてシアン、マゼンタ等のその他の色を追加することも可能である。
【実施例2】
【0027】
実施例2では、蛍光体ホイール1と励起光源5の位置関係を変更した場合について述べる。
【0028】
図6は、実施例2における光源装置の構成図である。光源装置100’の基本構成は実施例1(図1)と同様であるが、励起光源5を図面下方に配置し、ミラー4の透過/反射特性を逆転したミラー4’を用い、照明光を図面左方に出射する点で異なる。即ちミラー4’は図2に示した構成であるが、ダイクロイックコート領域21は、励起光(青色)の波長域を透過し、蛍光光の波長域(赤色、黄色、緑色)を反射する特性を有し、広波長反射領域22は、励起光と蛍光光の両方の波長域を反射する特性を有する。また、ダイクロイックコート領域21では、図3に示した分光特性の縦軸を逆転したもの、即ち、縦軸を透過率から反射率に置き換えたものとなる。
【0029】
励起光源5から入射した励起光10は、ミラー4’のダイクロイックコート領域21を透過し、集光レンズ3で集光されて、蛍光体ホイール1に入射する。励起光10を受けると、蛍光体ホイール1の蛍光体2からは、赤色、黄色、緑色の3色の蛍光光が発生し、拡散反射部からは拡散された拡散励起光が発生する。これらの蛍光光と拡散励起光は、集光レンズ3で略平行光となりミラー4’に入射する。
【0030】
ミラー4’に入射した蛍光光は、ミラー4’内のダイクロイックコート領域21及び広波長透過領域22のいずれの領域でも反射する。一方、ミラー4’に入射した拡散励起光は、ダイクロイックコート領域21では透過するが広波長反射領域42では反射する。その結果、蛍光光の全てと拡散励起光の大部分は、照明光11となって図面左方に出射する。
【0031】
この構成により、蛍光体ホイール1で生じた蛍光光と拡散励起光はいずれも蛍光体ホイール1から同一側(図面下方)に出射し、その大部分がミラー4’を反射して照明光となる。よって、両者を合成するための余分な光学系を設ける必要がなく、装置の小型化が実現できる。
【0032】
ここで、上記実施例1、2における光軸調整について説明する。上記実施例の光源装置では、励起光源5から出射された励起光をミラー4の特定の領域(ダイクロイックコート領域21)で反射させ、更に蛍光体ホイール1の特定の位置(蛍光体2)に集光させる必要がある。よって、励起光源5に起因する出射位置と出射方向のずれに対して、その誤差を調整する機構を設ける。
【0033】
励起光源5とコリメートレンズ6とが一体型構造の場合には、励起光の出射位置及び出射方向のずれに対して、励起光源5とコリメートレンズ6を一体で光軸と垂直方向に移動させて調整する。また、励起光源5とコリメートレンズ6とが別体型構造の場合には、励起光の出射位置及び出射方向のずれに対して、コリメートレンズ6のみを光軸と垂直方向に移動させて調整する。この調整機構により、励起光源5から出射された励起光をミラー4を介して蛍光体ホイール1の特定の位置に確実に集光させることができ、照明光強度の低下をなくすことができる。
【実施例3】
【0034】
実施例3では、上記実施例の光源装置を投写型映像表示装置に適用した例を説明する。
【0035】
図7は、実施例3における投写型映像表示装置の光学系の構成図である。このうち光源装置100の部分は実施例1(図1)と同様の構成であり、説明を省略する。
【0036】
光源装置100のミラー4を透過した照明光(蛍光光と拡散励起光)11は、集光レンズ57で集光され、ダイクロイックミラー58に入射する。ダイクロイックミラー58は緑色光(以下、G光)と青色光(以下、B光)を透過し、赤色光(以下、R光)を反射する特性とする。従って、G光とB光はダイクロイックミラー58を透過し、多重反射素子59に入射する。本実施例では、R光の光束量を補うため、赤色光源51を有している。赤色光源51を出射したR光はコリメートレンズ53で略平行となり、集光レンズ56で集光され、ダイクロイックミラー58を反射して多重反射素子59に入射する。
【0037】
多重反射素子59に入射したR光、G光、B光は、多重反射素子59内で複数回反射し、均一照度分布を有する光となる。多重反射素子59の出射開口面から出射したR光、G光、B光は、集光レンズ60を透過し、反射ミラー61で反射後、映像表示素子62上に均一な照度分布で照射される。
【0038】
映像表示素子62は、例えばデジタルミラーデバイス(DMD、テキサスインスツルメントの名称)を用いて、これにR光、G光、B光を時分割で照射する方式である。励起光源5と赤色光源51は応答速度の速い固体発光素子であり、時分割制御可能である。従って、各色光は映像表示素子62により、各色光毎に時分割で変調される。映像表示素子62で反射された各色光は映像光となり、投写レンズ63に入射し、図示しないスクリーン上に投写される。
【0039】
ここでは、光源装置100の他に赤色光源51を用いて特定色の明るさを確保するようにしたが、赤色光源51を用いずに、光源装置100のみで構成することも可能である。その場合は、ダイクロイックミラー58を削除し、蛍光体ホイール1から出射される各色光を利用し、これに同期して映像表示素子62を動作させれば良い。また、光源装置100に代えて実施例2(図5)の光源装置100’を用いても良いことは言うまでもない。
【0040】
本実施例の投写型映像表示装置は、小型で照明光損失が少なく小型の光源装置を用いているので、投写型映像表示装置の小型化と高性能化に寄与する。
【実施例4】
【0041】
実施例4は、投写型映像表示装置の他の例であって、映像表示素子として3色(R,G,B)に対応する液晶パネルを用いた構成である。
【0042】
図8は、実施例4における投写型映像表示装置の光学系の構成図である。このうち光源装置100の部分は実施例1(図1)と同様の構成であり、説明を省略する。光源装置100のミラー4を透過した照明光(蛍光光と拡散励起光)11は、フライアイレンズ70により均一照明となり、レンズ71を透過し色分離光学系に進む。
【0043】
色分離光学系は、光源装置100から出射した照明光をR光、G光、B光に分離し、それぞれに対応する液晶パネルに導光する。B光はダイクロイックミラー72を反射し、反射ミラー73、フィールドレンズ79を介して、B光用液晶パネル82に入射する。G光とR光は、ダイクロイックミラー72を透過後、ダイクロイックミラー74により分離される。G光はダイクロイックミラー74を反射して、フィールドレンズ80を透過して、G光用液晶パネル83に入射する。R光はダイクロイックミラー74を透過し、リレーレンズ77,78、反射ミラー75,76、フィールドレンズ81を介して、R光用液晶パネル84に入射する。
【0044】
各液晶パネル82,83,84は、入射する各色光を各映像信号に応じて変調し、各色光の光学像を形成する。各色光の光学像は、色合成プリズム85に入射する。色合成プリズム85は、B光を反射するダイクロイック膜と、R光を反射するダイクロイック膜とが略X字状に形成されている。液晶パネル82,84から入射したB光とR光は、B光用のダイクロイック膜及びR光用のダイクロイック膜でそれぞれ反射される。液晶パネル83から入射したG光は各ダイクロイック膜を透過する。その結果、各色光の光学像が合成され、カラー映像光として出射する。色合成プリズム85から出射した合成光は、投写レンズ86に入射し、図示しないスクリーン上に投写される。
【0045】
本実施例の投写型映像表示装置においても、小型で照明光損失が少なく小型の光源装置を用いているので、投写型映像表示装置の小型化と高性能化に寄与する。
【符号の説明】
【0046】
1:蛍光体ホイール、
2:蛍光体、
3:集光レンズ、
4:ミラー、
5:励起光源、
6:コリメートレンズ、
10:励起光、
11:照明光(蛍光光及び拡散励起光)、
21:ダイクロイックコート領域(第1の領域)、
22:広波長透過領域(第2の領域)、
100:光源装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8