特許第6039077号(P6039077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャガー・ランド・ローバー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039077
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】車速制御における改良
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/14 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   B60W30/14
【請求項の数】15
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-527005(P2015-527005)
(86)(22)【出願日】2013年8月16日
(65)【公表番号】特表2015-524774(P2015-524774A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2013067202
(87)【国際公開番号】WO2014027113
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年4月13日
(31)【優先権主張番号】1214651.0
(32)【優先日】2012年8月16日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムス・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】サリーム・ズベリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フェアグリーブ
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−521272(JP,A)
【文献】 特開平06−122309(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/022386(WO,A1)
【文献】 特開2001−255242(JP,A)
【文献】 特開2004−175125(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/070160(WO,A2)
【文献】 独国特許出願公開第102005041853(DE,A1)
【文献】 国際公開第2014/027113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の速度制御システムであって、
目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるための手段と、
車体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取るための手段であって、前記情報が、車体ピッチ角加速度の測定値、車体ロール角加速度の測定値、及び車体ヒーブ加速度の測定値を含む、手段と
車体ピッチ角加速度の測定値、車体ロール角加速度の測定値、及び車体ヒーブ加速度の測定値の各々に対してゲインを適用し、これらから快適レベルを示す信号を決定するための手段と、
前記快適レベルを示す信号に基づいて目標速度値の値を自動調整するための手段を備える、システム。
【請求項2】
目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるための手段が、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるように構成された電気コントローラーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
車体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取るための手段は、前記車両の少なくとも一部の動きを示す電気信号を受け取るように構成された電気コントローラーを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記情報に基づいて目標速度値の値を自動調整するための手段が、目標速度値の値を自動調整するために信号を出力するように構成された電気コントローラーを備える、請求項2又は請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
コントローラーが、更に、快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて現在値から目標速度が調整される量を決定するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
コントローラーは、ステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値、運転面勾配、及び車両サスペンション発音又はサスペンション反りの量から選択される、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つのパラメーターに更に基づいて目標速度値を決定するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
コントローラーは、快適レベルを示す信号及び少なくとも一つの追加の最大速度値に基づいて、快適誘導最大速度値を決定するように構成され、システムが、快適誘導最大速度値及び少なくとも一つの追加の最大速度値の低い方に目標速度値を設定させるように動作可能である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも一つの追加の最大速度値は、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つの追加パラメーターの現在値に適合する最大速度である速度値を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
コントローラーは、快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を減じるように目標速度値を反復して調整するように構成される、請求項乃至のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
コントローラーは、快適レベルを示す信号値に基づいて所望の車両の加速又は速度変更値を計算するように構成され、これにより、目標速度の値を調整し、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を低下する、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
コントローラーがユーザー入力電気信号を受け取るように構成され、このユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーが、更に目標速度値を調整する量を操作するように構成され
ユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーは、
快適レベルを示す信号値を操作し、目標速度値を調整する量を制御するように構成され;又は
参照信号値を操作するように構成され、コントローラーが、参照信号と、快適レベルを示す信号を比較するように更に構成され、これにより、操作された参照信号の値と快適レベルを示す信号の差に基づいて目標速度値を調整する量を制御する、請求項2又はこれに従属する請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
コントローラーは、シート占有に関するデータに基づいて目標速度値を調整するように構成される、及び/又は
システムが、使用時に乗員の体の少なくとも一部の動きをモニターするイメージング装置を更に備える、請求項2又はこれに従属する請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステムを備える車両。
【請求項14】
車両の速度制御システムの動作方法であって、
目標速度値に応じて車両を自動的に動作させること;
車体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取ることであって、前記情報が、車体ピッチ角加速度の測定値、車体ロール角加速度の測定値、及び車体ヒーブ加速度の測定値を含む
車体ピッチ角加速度の測定値、車体ロール角加速度の測定値、及び車体ヒーブ加速度の測定値の各々に対してゲインを適用し、これらから快適レベルを示す信号を決定すること;及び
前記快適レベルを示す信号に基づいて目標速度値の値を自動調整することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法を実行するように車両を制御するためのコンピューター読み取り可能コードを担持するキャリア媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
同時係属中の英国特許出願GB1214651.0及びGB1202879.1の内容が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第7349776及び同時係属中の国際特許出願PCT/EP2013/053385の内容が参照により本明細書に組み込まれる。英国特許出願GB1111288.5、GB1211910.3、及びGB1202427.9の内容が、また参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、車両の速度を制御するためのシステムに関する。他を排除するものではないが、本発明は、特に広範囲な異種及び極端な地形及び状況において運転する能力がある陸上車両の速度を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
典型的にはクルーズコントロールシステムと呼ばれる既知の車速制御システムにおいては、ユーザーの追加の介入なくユーザーにより車速が設定されるやそれが路上で維持され、作業量の低減によりユーザーの運転体験が改善される。クルーズコントロールは、典型的には、車両が所望速度にある時にボタンを押すことにより、車両の運転手により設定可能である。プラス及びマイナスボタンは、クルーズコントロールが設定される間、速度変更差分を提供する。クルーズコントロールは、概して、所定速度、例えば、30kph未満でイネーブルにできず、都市環境といった非高速道路での運転での使用が避けられる。
【0004】
ユーザーが維持されるべき車速を選択する時、ユーザーによりブレーキが適用され、若しくはマニュアルトランスミッションを有する車両の場合にはクラッチペダルが押し下げられない間に限り、車両が、その速度に維持される。クルーズコントロールシステムは、ドライブシャフト速度センサー又はホイール速度センサーからその速度信号を取得する。ブレーキ又はクラッチが押し下げられる時、クルーズコントロールシステムが無効にされ、ユーザーがクルーズコントロールシステムをオーバーライド(override)してシステムからの抵抗なく車速を変更することができる。ユーザーがアクセルペダルを押し下げるならば、車速が増加するが、ユーザーがアクセルペダルから自身の足を離すと、車両が、惰走により事前設定クルーズ速度に復帰する。
【0005】
通常、そのようなシステムは、ある速度、典型的には約15〜20kphを超える速度でのみ動作可能であり、車両が一定の交通状況において、特にはハイウェイ又は自動車道路上を走行している状況において理想的である。しかしながら、混雑した交通状況においては、車速が広範囲に変動する傾向があり、クルーズコントロールシステムが有効ではなく、特には、最小速度要求のため、システムが動作不能である。最小速度要求は、たびたびクルーズコントロールシステムに課され、例えば、駐車する時、低速衝突の可能性が減じられる。従って、そのようなシステムは、ある運転状況(例えば、低速)において有効ではなく、そのようにするのにそれが望まれるとユーザーが考えない状況においては、自動的に無効に設定される。
【0006】
より洗練されたクルーズコントロールシステムがエンジン管理システムに統合され、レーダー基準システムを用いて前方車両との距離を考慮する適応機能性を含み得る。例えば、車両には前方レーダー検出システムが設けられ、前方車両の速度及び距離が検出され、ユーザー入力を必要とすることなく安全追随速度及び距離が自動的に維持される。先行車両が減速し、若しくはレーダー検出システムにより他の物体が検出されるならば、システムが、エンジン又はブレーキシステムに信号を送信してそれに応じて車両を減速させて安全追随距離を維持する。
【0007】
また、既知のクルーズコントロールシステムは、ホイールスリップイベントが検出される場合にキャンセルされ、静止摩擦制御システム(TCS)又は安定制御システム(SCS)による介入を要求する。従って、そのようなイベントが比較して一般的であるオフロード状況を運転する時、車両の進行を維持するのに上手く適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
幾つかの車両は、非ハイウェイの使用に適合され、そのような車両のために低速クルーズコントロールを提供することが望ましく、荒い地形上での進行の維持が許容される。非ハイウェイの状況においては、クルーズコントロールが、運転手、特には初心者運転手が、ステアリングといった活動に集中することを許容する。
【0009】
非ハイウェイ状況が実際には相当に変動し、適正な最大速度の進行を最適に許容することができる適応態様でクルーズコントロールが適用されることを許容することが望ましい。
【0010】
この背景に反して本願発明が想到された。本発明の実施形態が、上述の問題を解決する機器、方法、又は車両を提供し得る。本発明の他の目的及び利益が、後述の記述、請求項、及び図面から明らかになる。
【0011】
1以上の車両サブシステムを制御するためにモーター車両に制御システムを提供することも知られている。米国特許7349776が、エンジン管理システム、トランスミッションコントローラー、ステアリングコントローラー、ブレーキコントローラー、及びサスペンションコントローラーを備える複数のサブシステムコントローラーを備える車両制御システムを開示する。サブシステムコントローラーは、各々、複数のサブシステム機能モードにおいて動作可能である。サブシステムコントローラーが車両モードコントローラーに接続され、これが、サブシステムコントローラーを制御し、要求される機能モードを想定し、車両に多数の運転モードを提供する。各運転モードが、特定の運転状態又は運転状態のセットに対応し、各モードにおいて各サブシステムがこれらの状況に最適な機能モードに設定される。そのような状況は、「特別プログラム・オフ(SPO)」として知られる草原/砂利/雪、沼及びわだち、岩上り、砂及びハイウェイモードといった車両が運転される地形の種類にリンクされる。車両モードコントローラーが、地形応答(TR)(RTM)システム又はコントローラーと呼ばれる。運転モードが、地形モード、地形応答モード、又は制御モードとも呼ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
保護が求められる本発明の一側面においては、車両のための速度制御システムが提供され、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるための手段、車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取るための手段、及び情報に基づいて目標速度値の値を自動調整するための手段を備える。
【0013】
乗員の体の一部が頭部又は他の適切な部分であり得る。
【0014】
オプションとして、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるための手段が、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるように構成された電気コントローラーを備える。
【0015】
オプションとして、車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取るための手段が、車両の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きを示す電気信号を受け取るように構成された電気コントローラーを備える。
【0016】
情報に基づいて目標速度値の値を自動調整するための手段が、目標速度値の値を自動調整するために信号を出力するように構成された電気コントローラーを備える。
【0017】
コントローラーが、複数の計算装置、電気制御ユニット又は同種のものを備えるものと理解される。すなわち、添付請求項の範囲内の本発明の実施形態が、本発明に即して要求の機能性が複数のコントローラー間で分散される制御システムを含む。
【0018】
有利には、コントローラーが、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定するように構成され、測定された快適レベルを示す信号が、車体の少なくとも一部又は乗員の体の少なくとも一部の動きに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0019】
幾つかの実施形態においては、快適レベルを示す信号が、快適パラメーター又はエキサイテーションパラメーターと呼ばれる。快適又はエキサイテーションパラメーターが、車体の動きの参照で乗員の体の動きの直接の測定又は間接の測定を提供する。
【0020】
コントローラーが、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて現在値から目標速度が調整される量を決定するように更に構成される。
【0021】
有利には、コントローラーが、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定するように構成される。
【0022】
コントローラーが、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて快適レベルを示す信号値を決定するように構成される。
【0023】
コントローラーは、ステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値(value of driving surface side slope);運転面勾配;及び車両サスペンション発音(suspension articulation)又はサスペンション反り(suspension warp)から選択される地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つのパラメーターに更に基づいて目標速度値を決定するように構成される。
【0024】
コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号及び少なくとも一つの追加の最大速度値に基づいて、快適誘導最大速度値(comfort derived maximum speed value)を決定するように構成され、システムは、快適誘導最大速度値及び少なくとも一つの追加の最大速度値の低い方に目標速度値を設定するように動作可能である。
【0025】
有利には、少なくとも一つの追加の最大速度値が、ユーザーが走行を望む最大速度に対応するユーザー定義速度値を含む。
【0026】
オプションとしては、少なくとも一つの追加の最大速度値は、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つの追加パラメーターの現在値に適合する最大速度である速度値を含む。
【0027】
少なくとも一つのパラメーターが、例えば、ステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値;運転面勾配;及び車両サスペンション発音又はサスペンション反りを含む。
【0028】
1以上の最大速度値が、1以上のパラメーターの所与値のために経験的に決定された値であり得る。
【0029】
オプションとして、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を減じるように目標速度値を反復して調整するように構成される。
【0030】
有利には、コントローラーが、測定された快適レベルを示す信号値に基づいて所望の車両の加速又は速度変更値を計算するように構成され、これにより、目標速度値が調整され、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差が減じられる。
【0031】
システムは、快適パラメーターが既定値を有する若しくは規定値範囲内にある速度で車両を走行させるため、車両に課される車両加速の目標値を計算する。
【0032】
車両加速値が、測定された快適レベルを示す信号が第1範囲内の値にある時に正(ポジティブ)に、測定された快適レベルを示す信号が第1範囲とは異なる値の第2範囲内にある時に負(ネガティブ)に設定される。
【0033】
本発明の実施形態は、車両コントローラーが車両を動作させるに即する速度が、車両又は乗員の体の動きに基づいて調整され、従って、測定された快適レベルを示す信号値が規定値又は規定値範囲内に維持することが試みられる利点を有する。
【0034】
上述のように、本出願人は、車体の動きが非常に有用な乗員の快適さのインジケーターであることを識別した。なぜなら、乗員の体の動きが、車体の動きに直接的に相関するためである。
【0035】
電気コントローラーが、ユーザー入力電気信号を受け取り、ユーザー入力電気信号に基づいて、電気コントローラーが、目標速度値を調整する量を操作するように更に構成される。
【0036】
目標速度値を調整する量を操作するユーザー入力電気信号が、コントロールノブ、タッチスクリーン、ボタン又は他の適当な手段により入力される。
【0037】
オプションとして、ユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号値を操作するように構成され、これにより、目標速度値を調整する量が制御される。
【0038】
従って、システムは、車両乗員が体験する快適レベルを高め、若しくは、快適レベルを減じることをシステムに許す。この特徴は、従って、幾つかの実施形態においては、快適セッティングとして記述される。
【0039】
直接的に快適レベルを示す信号値を変更することに代えて、システムは、参照快適値を変更し得る。システムは、目標速度値をどの程度調整するのかを決定するため、測定された快適さを示す信号と参照快適値を比較するように構成される。
【0040】
従って、ユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーが、参照信号値を操作するように構成され、コントローラーが、更に、参照信号と、測定された快適さを示す信号を比較するように構成され、これにより、目標速度値を調整する量を制御する。
【0041】
コントローラーが、操作された参照信号値と測定された快適さを示す信号の差に基づいて目標速度値を調整する量を制御するように構成される。
【0042】
コントローラーが、シート占有に関するデータに基づいて目標速度値を調整するように構成される。
【0043】
システムは、例えば、シートにおける乗客検出値を参照して、シートベルトバックル状態を参照して、若しくは任意の他の適当な手段により、運転手に加えて乗員が存在するならば目標速度値を低い値に調整するように動作可能である。
【0044】
一実施形態においては、システムには更にメモリーが設けられる。速度制御システムは、どの程度ユーザーが目標速度値を自動調整するための手段を調整するのかに関するデータをログ付けし、ある条件が満たされる時にデータを読み出すように動作可能である。例えば、システムが、データを特定ユーザーに関連させ、ユーザーが車両の乗員、例えば、運転手であると認識する時にデータを読み出す。システムは、顔認識システム又は他の適当な手段により、キーホブ(key fob)に関する固有の識別子に基づいてユーザー同士を区別するように動作可能である。
【0045】
動作においては、システムは、どのようにユーザーが速度制御快適セッティングを調整するのかをメモリーにログ付けするように構成される。例えば、車両が運転する地形により生じる車体の動き又は振動の所与の大きさ及び周波数のためにユーザーが快適セッティングをどのように調整するのか。
【0046】
ユーザーがシステムにオーバーライドし、目標速度値を自動調整するための手段を調整することにより車速を増加又は減少させるならば、システムがオーバーライドされた事実がメモリーに記憶される。ルックアップテーブルが更新され、若しくはその運転手に関連の特定のルックアップテーブルが生成される。ルックアップテーブルは、例えば、車両振動特性データの関数としてユーザーにより要求される車速に関してデータを含む。幾つかの実施形態においては、速度制御システムが、ユーザーが繰り返しシステムにオーバーライドする場合に限り、記憶されたデータを更新する。
【0047】
典型的には単独で運転する時にユーザーがオフロード速度制御システムを用いるシナリオにおいては、ユーザーは、所与の面上でより早い速度で車両を運転するため低下した車両平静さを許容する傾向にある(従って、車両又は乗員の体の動きのレベルがより高くなる)ものと理解される。ユーザーが車両を制御するため、車両の動きが、ユーザーにより受け入れられる見込みがあり、予測に一致するためであり、従って、受け入れられる。更には、運転手が、ホイールの操舵に対して運転手自身を安定化し、従って、乗客が快適であるものよりも大きい車体の動きを許容する。車両を制御しない乗客は、同一の車両の動き又は振動を許容できないほど不快であるものと感じる。これを補償するため、幾つかの実施形態においては、システムは、車両が一人以上の乗客を運搬していることを検出する時、ユーザーにより手動でセッティングがオーバーライドされなければ及びそのようにされるまで、システムは、快適及び平静志向の速度調整モードのデフォルトになる。
【0048】
ユーザーが速度制御システムにオーバーライドするイベントにおいては、速度が非常に速いと感じていることが意味され、システムは、車両が走行している地形の特徴のため、若しくは、車体の動きに影響する別の要因のため、ユーザーがシステムにオーバーライドすることを選択するか否かを決定する。そのような要因の一例は、さもなければ過度のユーザー不快を生じさせない地形上でのステアリングホイールの突然の回転といった運転手によるアクションである。幾つかの実施形態においては、システムが、車両ロール角を考慮する。例えば、もし車両が勾配に亘り運転するならば、ユーザーは、車両がその長軸周りに傾斜されている事実に対してより敏感になり、地形が相対的に平坦であるとしても設定速度を減じるようにシステムに要求する。
【0049】
従って、速度制御システムは、ステアリング角、操舵可能なロードホイール角又は一つ又は両方の変化率、オプションとして、車両ロール角、横方向加速、及び同種のものを示すデータをログ付けし、設定速度を減じるためにユーザーが速度制御システムにオーバーライドすることを選択する事実が、地形荒さ単独のため、若しくは地形荒さと体の動きに影響する1以上の他のパラメーターの組み合わせのためであるのか否かを決定することができるように構成されるものと理解される。システムは、ユーザーが設定速度を減じるように介入する時、乗客が運搬されているのか否かを考慮するように構成される。乗客を運搬していない場合、車両は、将来に乗客を運搬する時に同様のシナリオに遭遇するならば、設定速度が、ユーザーが単独の乗員である時に減じられたものよりも低下したレベルに減じられることを決定し得る。更には、システムは、乗客が運転手よりもある車体の動きに対して耐性が低いことを見込み、車体ロールに影響する1以上のパラメーターの減じられた値が将来に検出される時、設定速度を減じるように動作可能である。更には、そのようなアクションが、また賢明である。なぜなら車両の重心が1以上の乗客の存在において上昇し、ある地形上を走行する時に車体が動く傾向が高まることに帰結する。このようにして、車両が速度制御システム(例えば、低速走行(LSP)制御システム及び/又はクルーズコントロールシステム)の制御下にある間、良好なオフロード走行を維持する要求と、車両の各乗員の快適さに影響する又はさもなければ影響するある要因を管理する必要性を少なくとも部分的に釣り合わせるように車体の動きが管理される。
【0050】
一実施形態においては、LSP制御システムが、車両のシート占有を示すデータを受け取るように動作可能である。すなわち、それは、運転手のシート以外の車両の所与のシートが占有されているのかを示すデータである。例えば、LSP制御システムは、各シートに関連のシートベルトバックルに埋め込まれたスイッチの状態に対応するデータを受け取る。もしスイッチ状態によりバックルが締結されていることが示されるならば、LSP制御システムは、バックルに関連のシートが占有されているものと考える。スイッチの状態によりバックルが非締結であることが示されるならば、LSP制御システムは、バックルに関連のシートが非占有であると考える。シート占有が各シートのセンサー又は車両キャビンといった乗員コンパートメントの内部を観察するように配置された赤外又は可視光カメラにより決定される。シート占有の決定のための他の手段も有用である。LSP制御システム又はこれに関連のメモリーが、複数の既知の運転手及びそれらの関連の好みに関するデータを記憶するように分割され得る。システムは、シート調整位置、ユーザー固有キーホブ同一性、又は他の既知の手段から選択される一つの識別により運転手を識別するように構成される。一つの構成においては、カメラが設けられ、車両に対する乗員の動きを決定し、そのような情報が、車両関連情報の定義に含められる。快適レベルは、車両に対する乗員の動きの大きさ又は周波数の1つ以上により決定される。
【0051】
幾つかの実施形態においては、システムにより自動的に課される目標速度又は最大速度(設定速度限界)が、車体加速が事前設定閾値を超えるとの決定に応じて、持続期間及び車両挙動に基づいてシステムにより自動調整される。これは、車両平静さを高めるために用いられ、1以上のホイール速度センサーの出力とは無関係に車両の動きを決定するための手段として働く。これは、2つのホイール速度読み出し値がお互いに適合しない状況において有用である。
【0052】
この特徴が、異なるサスペンションスプリング/ダンパーセッティングの多数の車両の種類に亘り採用され、また時間とともに特性が変わる車両に用いられる。車体加速測定値の採用は、速度制御システムが特定の車両又はサスペンション種に結びつけられることから解放する。
【0053】
システムは、乗員の体の少なくとも一部の動きをモニターするイメージング装置を更に備える。イメージング装置がカメラ装置であり得る。
【0054】
保護が求められる本発明の更なる側面においては、先行の側面に係るシステムを備える車両が提供される。
【0055】
保護が求められる本発明のまた更なる側面においては、車両の速度制御システムを動作させる方法が提供され、その方法が、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させること;車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取ること;及び情報に基づいて目標速度値の値を自動調整することを含む。
【0056】
方法は、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定することを更に含み、測定された快適レベルを示す信号が、車体の少なくとも一部又は乗員の体の少なくとも一部の動きに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0057】
方法は、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて目標速度が現在値から調整される量を決定することを含む。
【0058】
有利には、方法が、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定することを含む。
【0059】
更に有利には、方法は、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて快適レベルを示す信号値を決定することを含む。
【0060】
方法はステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値;運転面勾配;及び車両サスペンション発音又はサスペンション反りから選択される地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つのパラメーターに更に基づいて目標速度値を決定することを含む。
【0061】
方法は、測定された快適レベルを示す信号及び少なくとも一つの追加の最大速度値に基づいて快適誘導最大速度値を決定し、快適誘導最大速度値と少なくとも一つの追加の最大速度値の低い方に目標速度値を設定することを含む。
【0062】
少なくとも一つの追加の最大速度値は、ユーザーが走行を望む最大速度に対応するユーザー定義速度値を含む。
【0063】
少なくとも一つの追加の最大速度値は、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つの追加パラメーターの現在値に適合する最大速度である速度値を含む。
【0064】
方法は、更に、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を減じるために目標速度値を反復して調整することを含む。
【0065】
方法は、更に、測定された快適レベルを示す信号値に基づいて所望の車両の加速又は速度変更値を計算し、目標速度値を調整し、測定された快適レベルを示す信号と快適レベルの既定値又は規定値範囲の間の差を低下することを更に含む。
【0066】
方法が、更に、ユーザー入力に基づいて目標速度値を調整する量を操作することを含む。
【0067】
オプションとして、目標速度値を調整する量を操作することが、測定された快適レベルを示す信号値を操作し、目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0068】
方法は、参照信号値を操作し、参照信号と測定された快適さを示す信号を比較し、目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0069】
方法は、操作された参照信号値と、測定された快適さを示す信号の間の差に基づいて目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0070】
方法は、更に、シート占有に関するデータに基づいて目標速度値を調整することを含む。
【0071】
方法が、車両乗員の体の少なくとも一部の動きをイメージング装置でモニタリングすることを含む。
【0072】
保護が求められる本発明の更なる側面においては、先行の側面に係る方法を実行するために車両を制御するためのコンピューター読み取り可能コードを担持するキャリア媒体が提供される。
【0073】
保護が求められる本発明の一側面においては、コントローラーにより実施される車速制御方法が提供され、当該方法は:目標速度値tgt_speedに応じて車両を自動的に動作させること;乗員エキサイテーションパラメーターPsng_Excit値を取得すること;Psng_Excit値に基づいて車両目標加速値tgt_accelを計算すること、tgt_accel値は、Psng_Excitが第1範囲内の値の時にポジティブであり、Psng_Excitが値の第1範囲とは異なる第2範囲内の時にネガティブであり、Psng_Excit値が車体の動きに応答するものである;及びtgt_accel値に更に基づいて車両を自動的に動作させることを含む。
【0074】
本発明の実施形態は、車両コントローラーが車両を動作させる速度が車体の動きに基づいて調整され、これにより、Psng_Excit値を規定値又は規定値範囲内に維持するように試みる利点を有する。
【0075】
目標加速は、速度インクリメント(差分が負であればデクリメント)の形態で生成され、これが速度デルタとしても呼ばれる。速度インクリメント又はデルタは、システムのリフレッシュサイクル又は速度制御更新サイクルといった所与の期間に車速を変更することが望まれる量であり、従って、加速に対応する。サイクルは、要求の目標速度値を達成するためにシステムにより採用された要求された目標の車速又は要求されたホイールトルクの各更新値の発行の間の期間で有り得る。
【0076】
本出願人は、車体の動きが、非常に有用な乗員の快適さのインジケーターであることを特定した。なぜなら、乗員の体の動きが車体の動きに相関されるからである。乗員エキサイテーションパラメーター値(the value of occupant excitation parameter)が、従って、ユーザーが体験する快適レベルの測定値を表わすものと考えられる。
【0077】
Psng_Excit及びtgt_accelといった略語への言及は、限定としてではなく、記述の簡潔さ及び理解の容易の目的のためであるものと理解される。
【0078】
コントローラーは、複数の計算装置、電気制御ユニット又は同種のものを含み得るものと理解される。すなわち、添付請求項の範囲内の本発明の実施形態は、本発明に即した要求の機能性が複数のコントローラー間で分散される制御システムを含む。
【0079】
本発明の実施形態は、車両コントローラーが車両を動作させる速度が車体の動きに基づいて調整され、従って、Psng_Excit値を規定値又は規定値範囲内に維持するように試みられる利点を有する。
【0080】
本出願人は、車体の動きが、乗客の快適さの有用なインジケーターであることを識別した。なぜなら、乗客の体の動きが直接的に車体の動きに相関されるためである。
【0081】
コントローラーは、複数の計算装置、電気制御ユニット又は同種のものを含み得るものと理解される。すなわち、添付請求項の範囲内の本発明の実施形態は、本発明に即した要求の機能性が複数のコントローラー間で分散される制御システムを含む。
【0082】
方法は、車速がtgt_speedを超えないという制約の下でtgt_accel値に対応する速度で車両を加速させることを含む。
【0083】
従って、コントローラーは、車速に課されるPsng_Excit値に基づいてtgt_accel値を決定させ、tgt_speed値に車速を制限しない。この特徴は、コントローラーが都合良く車速を制限し、第1及び第2範囲の間にPsng_excit値を維持するように試みる利点を有する。第1及び第2範囲の間のPsng_excit値は、乗員の快適さの許容可能な程度に対応するように事前設定値になるように設定される。乗員快適レベルと車両進行の間の許容可能なトレードオフを提供するように値が決定される。すなわち、Psng_excit値が高くなる(若しくは低くなる)と、車両乗員が経験する不快量が大きくなるように、乗員の快適さの低下に対応する態様にて車速と共にPsng_excit値が変化することが想定される。
【0084】
第1及び第2範囲が、tgt_accel値が実質的にゼロになるようにPsng_Excit値の範囲を制限し得る。
【0085】
もしtgt_accel値を実質的にゼロにさせる車両の速度又は速度範囲が、ある時点においてtgt_speed値未満であるならば、コントローラーが、車速値を下げるように試み、このためにtgt_accelが実質的にゼロになると理解される。
【0086】
もしこの場合にPsng_Excit値が、続いて、tgt_accelを実質的にゼロにする速度値又は速度値範囲をtgt_speedよりも大きい値にさせる値に変化するならば、車速が、tgt_speed値に増加し、tgt_accel値が車両の正の加速に対応するとしても、この速度で制限される。
【0087】
方法は、Psng_Excitの現在値と、第1及び第2範囲の間にあるPsng_Excit値の間の差の大きさが増加するため、実質的にゼロのtgt_accel値に対応する値に向けて車両の速度の変化率を高めるような態様において、Psng_Excit値の第1及び第2範囲のそれぞれにおいてtgt_accel値を変化することを含む。
【0088】
従って、現在速度とtgt_accel値が実質的にゼロになる速度の間の差が増加すると、tgt_accelが実質的にゼロになる速度値に向かって車速をますます高速に変化させる態様において、tgt_accelの大きさが増加する。
【0089】
方法は、ハイウェイ上のクルーズコントロールの目標速度値に応じて車両を動作させることを含む。
【0090】
代替的又は追加的に、方法は、非ハイウェイクルーズコントロールの目標速度値に応じて車両を動作させることを含む。
【0091】
方法は、非ハイウェイクルーズコントロールの目標速度値に応じて車両を動作させることを含み、車両スリップ制御システムが介入してホイール速度を低下してホイールスリップ値を減じることを生じさせるのに十分なホイールスリップの存在において目標速度値に応じて車両を動作させることを継続することを含む。
【0092】
つまり、非ハイウェイクルーズコントロールシステムは、単にスリップ制御システムが介入してホイールスリップを低減するとしても、目標速度に応じて車両を動作させることを停止しない。慣例クルーズコントロールシステムが、スリップ制御システムが介入する時に速度制御を停止させるものと理解される。ホイールスリップイベントは、非ハイウェイ運転状況において典型的にはより一般的であるため、スリップ制御システムが介入してホイールスリップを低減するイベントにおいて速度制御をキャンセルしない非ハイウェイクルーズコントロールシステムが運転手の負担を低下することにて有益である。つまり、スリップ制御システムがスリップを低減することを求め、非ハイウェイ速度制御システムが、使用中のtgt_speed及びtgt_accel値に応じて車両を動作させることを継続する間、運転手は、車両の操舵に集中することを継続する。
【0093】
システムは、値の第1及び第2範囲の調整を許容するように動作可能であり、所与の時点でのユーザーにより体験される快適レベルの調整を許容する。
【0094】
保護が求められる本発明の一側面においては、コントローラーにより実施される車両用の速度制御システムが提供され、当該システムは:目標速度値tgt_speedに応じて車両を自動的に動作させ;乗員エキサイテーションパラメーターPsng_Excit値を取得し;Psng_Excit値に基づいて車両目標加速tgt_accel値を計算し、tgt_accel値は、Psng_Excitが値の第1範囲にある時にポジティブであり、Psng_Excitが第1範囲とは異なる値の第2範囲にある時にネガティブであり、Psng_Excit値が車体の動きに応じたものである;及びtgt_accel値に更に基づいて車両を自動的に動作させるように動作可能である。
【0095】
システムは、tgt_accel値に対応する割合、オプションとしてtgt_accel値に実質的に等しい割合で車体を加速するように動作可能であり得る。
【0096】
保護が求められる本発明の更なる側面においては、先行の側面に係るシステムを備える車両が提供される。
【0097】
車両は、複数の非ハイウェイ状況の一つを自動的に検出するための地形センサーを有し得る。
【0098】
この出願の範囲内においては、様々な側面、実施形態、実施例、代替、及び特にはこれらの特徴が独立若しくはこれらの任意の組み合わせにて理解されることが予期される。例えば、一つの実施形態との関係において開示された特徴は、そのような特徴が矛盾する場合を除いて、全ての実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
本発明が、添付図面を参照して、例示のみにより記述される。
図1図1は、平面図における本発明の実施形態に係る車両の概略図である。
図2図2は、側面図において図1の車両を示す。
図3図3は、本発明の車速制御システムの実施形態のハイレベル概略図であり、クルーズコントロールシステム及び低速進行制御システムを含む。
図4図4は、図3の車速制御システムの更なる特徴の概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車両のステアリングホイール及びブレーキ及びアクセルペダルを図示する。
図6図6は、車両ピッチ加速、車両ロール加速及び車両ヒーブ加速に基づいて乗員エキサイテーションパラメーターPsng_Excit値を生成するべく構成された制御ロジックの概略図である。
図7図7は、Psng_Excitの関数として車両目標加速tgt_accelに関するルックアップテーブルに記憶されたデータの図示である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る低速制御システムのための速度LSP_set-speed値を生成するための信号のアレンジメントを示す概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るクルーズコントロールシステムのための速度cruise_set-speed値を生成するための信号のアレンジメントを示す概略図である。
図10図10は、(a)本発明の実施形態に係る車両に備え付けられたコンソール、及び(b)本発明の実施形態に係る車両のキャビンの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本明細書での機能ブロックといったブロックへの参照は、1以上の入力に応答して提供される出力であり得る特定された機能又はアクションを実行するためのソフトウェアコードへの参照を含むものと理解される。コードが、メインコンピュータープログラムにより読み出されるソフトウェアルーチン又は機能の形態であり得、又は別のルーチン又は機能ではないコードの流れの一部を形成するコードであり得る。機能ブロックへの参照が、本発明の実施形態の動作の態様の説明の簡単さのために為される。
【0101】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100を示す。車両100は、自動トランスミッション124を有するドライブライン130に接続されたエンジン121を含むパワートレイン129を有する。本発明の実施形態がマニュアルトランスミッション、連続可変トランスミッション、又は任意の他の適切なトランスミッションを有する車両での使用にも適するものと理解される。
【0102】
図1の実施形態においては、トランスミッション124は、トランスミッションモードセレクターダイアル124Sにより、パークモード、リバースモード、ニュートラルモード、ドライブモード又はスポーツモードの複数のトランスミッション動作モードの一つに設定される。選択されたトランスミッションモードに即してパワートレインコントローラー11がトランスミッション124を動作させるに応じて、セレクターダイアル124Sは、パワートレインコントローラー11に出力信号を提供する。
【0103】
ドライブライン130は、フロントディフェレンシャル137と一組のフロントドライブシャフト118により、一組のフロント車両ホイール111、112を駆動するように構成される。ドライブライン130は、予備ドライブシャフト又はプロペラシャフト132、リアディフェレンシャル135、及び一組のリアドライブシャフト139により、一組のリアホイール114、115を駆動するために構成された予備ドライブライン部131も有する。
【0104】
本発明の実施形態は、トランスミッションが一組のフロントホイールのみ、又は一組のリアホイールのみを駆動するために構成された車両(すなわち、前輪駆動車両又は後輪駆動車両)又は選択可能な二輪駆動/四輪駆動車両との使用に適する。図1の実施形態においては、トランスミッション124は、パワートランスファーユニット(PTU)131Pを介して予備ドライブライン部131に対して開放可能に接続可能であり、二輪駆動モード又は四輪駆動モードでの動作が許容される。本発明の実施形態は、四輪以上を有する車両や、二輪のみ、例えば、三輪車両又は四輪車両又は四輪以上の車両の二輪が駆動される場合にも適するものと理解される。
【0105】
車両エンジン121のための制御システムが、車両制御ユニット(VCU)10と呼ばれる中央コントローラー10、パワートレインコントローラー11、ブレーキコントローラー13、及びステアリングコントローラー170Cを含む。ブレーキコントローラー13が、ブレーキングシステム22(図3)の一部を形成する。VCU10が、車両上に設けられた様々なセンサー及びサブシステム(不図示)から及びそこへ複数の信号を受け取り及び出力する。VCU10が、図3に図示された低速進行(LSP)制御システム12及び安定制御システム(SCS)14を含む。SCS14は、静止摩擦の喪失を検出及び管理することにより、車両100の安全性を改善する。静止摩擦又はステアリング制御の低下が検出される時、SCS14は、自動的にブレーキコントローラー13に車両の1以上のブレーキを適用するように指示し、ユーザーが走行することを希望する方向に車両100を運転することを補助するように動作可能である。図示の実施形態においては、SCS14がVCU10により実施される。幾つかの代替の実施形態においては、SCS14が、ブレーキコントローラー13により実施される。更なる代替においては、SCS14が、別のコントローラーにより実施される。
【0106】
図3に詳細に図示されていないが、VCU10は、更に、ダイナミック安定制御(DSC)機能ブロック、静止摩擦制御(TC)機能ブロック、アンチロックブレーキングシステム(ABS)機能ブロック、及び勾配下降制御(HDC)機能ブロックを含む。これらの機能ブロックは、VCU10の計算装置により実行されるソフトウェアコードにおいて実施され、例えば、ホイールスリップイベントが発生する場合、DSCアクティビティー、TCアクティビティー、ABSアクティビティー、及び個別のホイールへのブレーキ介入とVCU10からエンジン121へのエンジントルク要求を示す出力を提供する。上述のイベントのそれぞれが、ホイールスリップイベントが生じたことを示す。ロール安定制御システム又は同種のものといった他の車両サブシステムも有用である。
【0107】
上述のように、車両100は、車両が25kphを超える速度で走行している時に選択された速度で車速を自動的に維持するように動作可能であるクルーズコントロールシステム16も含む。クルーズコントロールシステム16は、クルーズコントロールHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェース)18が設けられ、これにより、ユーザーが、既知の態様においてクルーズコントロールシステム16に目標車速を入力することができる。本発明の一実施形態においては、クルーズコントロールシステム入力制御が、ステアリングホイール171(図5)に実装される。クルーズコントロールシステム16は、クルーズコントロールシステム選択ボタン176を押すことによりスイッチ・オンされる。クルーズコントロールシステム16がスイッチ・オンされる時、「設定速度」制御173の押下により、クルーズコントロール設定速度パラメーターcruise_set-speedの現在値が現在の車速に設定される。「+」ボタン174の押下により、cruise_set-speed値が増加され、「−」ボタン175の押下により、cruise_set-speed値が減少される。運転手オーバーライドに続いてcruise_set-speedの現在値での速度制御を再開するようにクルーズコントロールシステム16を制御するように動作可能である再開ボタン173Rが設けられる。本システム16を含む既知のハイウェイ上クルーズコントロールシステムは、ユーザーがブレーキを押し下げる場合、若しくは、マニュアルトランスミッション、クラッチペダルを有する車両の場合、クルーズコントロール機能がキャンセルされ、車速を維持するためにユーザーによりアクセルペダル入力を要求するマニュアル動作モードに車両100が復帰するように構成されるものと理解される。加えて、静止摩擦の喪失により開始され得る、ホイールスリップイベントの検出が、クルーズコントロール機能をキャンセルする効果も有する。運転手が続いて再開ボタン173Rを押し下げるならば、システム16による速度制御が再開される。
【0108】
クルーズコントロールシステム16が車速をモニターし、また目標車速からの任意の逸脱が自動調整され、車速が実質的に一定値、典型的に25kphを超える値に維持される。換言すれば、クルーズコントロールシステムは、25kph未満の速度では無効である。クルーズコントロールHMI18は、HMI18のビジュアル・ディスプレイを介してクルーズコントロールシステム16のステータスに関してユーザーにアラートを提供するようにも構成される。本実施形態においては、クルーズコントロールシステム16は、25−150kphの任意値にcruise_set-speed値が設定されることを許容するように構成される。
【0109】
LSP制御システム12は、ユーザーのために速度基準制御システムも提供し、これにより、ユーザーが、ユーザーにより要求される任意のペダル入力なく車両が進行できる非常に低い目標速度を選択することが可能になる。低速速度制御(又は進行制御)機能は、25kphを超える速度でのみ動作するハイウェイ上クルーズコントロールシステム16により提供されない。
【0110】
LSP制御システム12は、ステアリングホイール171上に設けられたLSP制御システム選択ボタン172によりアクティブにされる。システム12は、所望の速度に車両100を維持するために、一括して又は個別に、車両100の1以上のホイールへ選択的なパワートレイン、静止摩擦制御及びブレーキングアクションを適用するように動作可能である。
【0111】
クルーズコントロールシステム16及びHDC制御システム12とある入力ボタン173−175を共有する低速進行制御HMI(LSP HMI)20(図1図3)を介して設定速度パラメーターuser_set-speedの所望値をLSP制御システム12にユーザーが入力することを許容するようにLSP制御システム12が構成される。車速がLSP制御システムの許容可能な動作範囲(本実施形態においては、2〜30kphの範囲であるが、他の範囲も有用である)内にあり、LSP制御システム12の制御下において車速の他の制約が存在しないとすれば、LSP制御システム12は、user_set-speedに実質的に等しいLSP制御システム設定速度値LSP_set-speedに即して車速を制御する。クルーズコントロールシステム16とは異なり、LSP制御システム12は、静止摩擦イベントの発生とは独立して動作するように構成される。つまり、LSP制御システム12は、ホイールスリップの検出により速度制御をキャンセルしない。むしろ、LSP制御システム12は、スリップが検出される時、能動的に車両の挙動を統率する。
【0112】
LSP制御HMI20が車両キャビンに設けられ、ユーザーにより簡単にアクセス可能である。車両100のユーザーは、クルーズコントロールシステム16と同様の態様において「設定速度」ボタン173及び「+」/「−」ボタン174、175により、ユーザーが望む車両の進行の速度(「目標速度」と呼ばれる)の指標をLSPHMI20を介してLSP制御システム12に入力することができる。LSPHMI20は、ビジュアル・ディスプレイも含み、そこでLSP制御システム12のステータスに関する情報及びガイダンスがユーザーに提供できる。
【0113】
LSP制御システム12は、ユーザーがブレーキペダル163によりブレーキングを適用していることの程度を示す車両のブレーキングシステム22からの入力を受け取る。LSP制御システム12は、ユーザーがアクセルペダル161を押し下げた程度を示すアクセルペダル161からの入力も受け取る。入力は、トランスミッション又はギアボックス124からLSP制御システム12にも提供される。入力は、例えば、ギアボックス124の出力シャフトの速度、トルクコンバータースリップ及びギア比要求を示す信号を含む。LSP制御システム12への他の入力が、クルーズコントロールシステム16のステータス(オン/オフ)を示すクルーズコントロールHMI18からの入力及びLSP制御HMI20からの入力を含む。
【0114】
VCU10のHDC機能ブロックがHDCシステム12HDの一部を形成する。HDCシステム12HDがアクティブの時、システム12HDは、ユーザーにより設定されるHDC設定速度パラメーターHDC_set-speedのものに対応する車速値を制限するため、(ABS機能ブロックが一部を形成する)ブレーキングシステム22を制御する。HDC_set-speedは、HDC目標速度としても呼ばれ得る。ユーザーがHDCシステムがアクティブの時にアクセルペダルを押し下げることによりHDCシステムにオーバーライドしないならば、HDCシステム12HDが、ブレーキングシステム22(図3)を制御し、車速がHDC_set-speedを超えることを阻止する。本出願においては、HDCシステム12HDは、正の駆動トルクを適用するように動作可能ではない。むしろ、HDCシステム12HDは、ただ負のブレーキトルクを適用するように動作可能である。
【0115】
HDCシステムHMI20HDは、HDC_set-speed値を設定することを含む、ユーザーがHDCシステム12HDを制御することにより提供される。HDCシステム選択ボタン177がステアリングホイール171に提供され、これにより、ユーザーがHDCシステム12HDをアクティブにして車速を制御する。
【0116】
上述のように、HDCシステム12HDは、HDC設定速度パラメーターHDC_set-speed値をユーザーが設定し、クルーズコントロールシステム16及びLSP制御システム12と同一の制御部を用いてHDC_set-speed値を調整することを許容するように動作可能である。従って、本実施形態においては、HDCシステム12HDが車速を制御する時、同一の制御ボタン173、173R、174、175を用いて、クルーズコントロールシステム16及びLSP制御システムの設定速度と同様の態様において、HDCシステム設定速度が増加され、減少され、又は車両の現在速度になる。HDCシステム12HDは、HDC_set-speed値が2〜30kphの範囲の任意値に設定されることを許容するように動作可能である。
【0117】
車両100が50kph以下の速度で進行する時にHDCシステム12HDが選択され、他の速度制御システムが稼働していないならば、HDCシステム12HDが、ルックアップテーブルから選択される値にHDC_set-speed値を設定する。ルックアップテーブルからの出力値は、現在選択されたトランスミッションギアの特定、現在選択されたPTUギア比(Hi/LO)及び現在選択された運転モードの特定に基づいて決定される。運転手がアクセルペダル161を押し下げることによりHDCシステム12HDにオーバーライドしないとすれば、HDCシステム12HDは、次に、パワートレイン129及び/又はブレーキングシステム22を適用し、車両100をHDCシステム設定速度まで減速させる。HDCシステム12HDは、最大許容可能速度を超えない減速速度で車両100を設定速度値に減速させるように構成される。本実施形態においては、速度が1.25ms−2であるが、他値も有用である。ユーザーが続いて「設定速度」ボタン173を押すと、現在速度が30kph以下であるならば、HDCシステム12HDは、HDC_set-speed値を現在の車速に設定する。車両100が50kphを超える速度で進行する時にHDCシステム12HDが選択されるならば、HDCシステム12HDは、要求を無視し、要求が無視されたことの知らせをユーザーに提供する。
【0118】
選択された運転モードに基づいて、パワートレインコントローラー11といった1以上の車両システム又はサブシステムのセッティングをVCU10が制御する上述の種類の既知の地形応答(TR)(RTM)システムを実施するようにVCU10が構成されるものと理解される。運転モードは、運転モードセレクター141Sによりユーザーにより選択可能である(図1)。運転モードは、地形モード、地形応答モード、又は制御モードとも呼ばれる。図1の実施形態においては、4つの運転モードが提供される:「ハイウェイ上」運転モードが、相対的な硬く、平坦な運転面上での運転に適し、そこでは、相対的に高い摩擦表面係数が運転面と車両のホイールの間に存在する;「砂」運転モードは、砂地上の運転に適する;「草原、砂利、又は雪」(GGS)運転モードが、草原、砂地、又は雪上での運転に適する、「ロッククロール」(RC)運転モードは、岩表面上をゆっくりと運転することに適する;及び「沼及びわだち」(MR)運転モードは沼、わだち地形での運転に適する。他の運転モードが加えて又は代替として提供され得る。
【0119】
幾つかの実施形態においては、LSP制御システム12は、アクティブ状態、スタンバイ状態及び「オフ」状態のいずれか一つであり得る。アクティブ状態においては、LSP制御システム12は、パワートレイントルク及びブレーキングシステムトルクを制御することにより車速を能動的に管理する。スタンバイ状態においては、LSP制御システム12は、ユーザーが再開ボタン173R又は「設定速度」ボタン173を押しまで車速を制御しない。オフ状態においては、LSP制御システム12は、LSP制御システム選択ボタン172が押されるまで入力コントロールに応答しない。
【0120】
本実施形態においては、LSP制御システム12は、アクティブモードのものと同様であるが、LSP制御システム12がパワートレイン129により車両100の1以上のホイールに正の駆動トルクの適用を指令することから阻止される中間状態を取るように動作可能でもある。従って、ブレーキングシステム22及び/又はパワートレイン129により、ただブレーキングトルクだけが適用される。他の構成も有用である。
【0121】
アクティブ状態のLSP制御システム12において、ユーザーが、「+」及び「−」ボタン174、175により車両設定速度を増加又は減少し得る。加えて、ユーザーが、各々、アクセル又はブレーキペダル161、163を軽く押すことにより車両設定速度を増加又は減少し得る。幾つかの実施形態においては、アクティブ状態のLSP制御システム12において、「+」及び「−」ボタン174、175が無効にされ、LSP_set-speed値の調整が、アクセル及びブレーキペダル161、163によりのみ行うことができる。この後者の特徴により、例えば、「+」又は「−」ボタン174、175の一つのアクシデントの押し下げに起因する設定速度の意図しない変化の発生が阻止される。アクシデントの押し下げは、例えば、相対的に大きい又は頻度の高いステアリング角の変化が要求される困難な地形を通り抜ける時に発生し得る。他の構成も有用である。
【0122】
本実施形態においては、他値も有用であるが、LSP制御システム12は、2〜30kphの設定速度値に即して車両を走行させるように動作可能であり、他方、クルーズコントロールシステムは、25〜150kphの範囲の設定速度値に即して車両を走行させるように動作可能であるものと理解される。車速が30kphを超えるが50kph未満又は50kphに実質的に等しい時にLSP制御システム12が選択されるならば、LSP制御システム12が中間モードを想定する。中間モードにおいては、もし30kphを超える速度で走行する中で運転手がアクセルペダル161を離すならば、LSP制御システム12は、ブレーキングシステム22を配備してパラメーターLSP_set-speed値に対応する設定速度値に車両100を減速させる。車速が30kph以下にまで下がると、LSP制御システム12がアクティブ状態を想定し、LSP_set-speed値に応じて車両を制御するため、パワートレイン129を介して正の駆動トルク、同様にパワートレイン129(エンジンブレーキングを介して)及びブレーキングシステム22を介してブレーキトルクを適用するように動作可能である。LSP_set-speed値が設定されないならば、LSP制御システム12は、スタンバイモードを想定する。
【0123】
LSP制御システム12がアクティブモードにあるならば、クルーズコントロールシステム16の動作が禁止されるものと理解される。2つのシステム12、16は、従って、お互いに独立して動作し、車両が進行する速度に依存して、一時にただ一つが動作可能である。
【0124】
幾つかの実施形態においては、クルーズコントロールHMI18及びLSP制御HMI20が、同一のハードウェア内に構成され、例えば、速度選択が同一のハードウェアを介した入力であり、LSP入力及びクルーズコントロール入力の間を切り替えるために1以上の別のスイッチが設けられる。
【0125】
図4は、LSP制御システム12において車速が制御される手段を図示する。上述のように、ユーザーにより選択される速度(user_set-speed)が、LSP制御HMI20を介してLSP制御システム12に入力される。LSP制御システム12は、(以降に更に詳述のように)この速度が支配的地形にとって適切であるのかを決定し、車両が動作する要求の車速値LSP_set-speedを決定する。この速度が図4の機能ブロック38に入力される。(図1に図示の)パワートレイン129に関連の車速センサー34が、車速を示す信号36をLSP制御システム12に提供する。LSP制御システム12は、LSP_set-speed38(「目標速度」38とも呼ばれる)を測定された速度36と比較するコンパレーター28を含み、比較を示す出力信号30を提供する。出力信号30がVCU10の評価ユニット40に提供され、これは、車速が速度LSP_set-speedを維持するために増加又は低下される必要があるか否かに基づいて、出力信号30を、車両ホイール111−115へ追加のトルクが適用される要求、若しくは車両ホイール111−115へ適用されるトルクの低下の要求のいずれかとして解釈する。トルクの増加は、一般的に、パワートレインの所与の位置、例えば、エンジン出力シャフト、ホイール又は任意の他の適切な場所に伝達されるパワートレイントルクの量を高めることにより達成される。正未満又は負以上値への所与ホイールでのトルクの減少が、ホイールへ伝達されるパワートレイントルクを低下することにより、及び/又はホイール上のブレーキ力を高めることにより達成される。パワートレイン129が発電機として動作可能である1以上の電気機械を有する幾つかの実施形態においては、電気機械により1以上のホイールへパワートレイン129により負のトルクが適用されるものと理解される。負のトルクは、少なくとも部分的に車両100が移動する速度に基づいて、幾つかの状況においてエンジンブレーキによっても適用され得る。推進モーターとして動作可能である1以上の電気機械が提供されるならば、正の駆動トルクが、1以上の電気機械により適用され得る。
【0126】
評価ユニット40からの出力42がパワートレインコントローラー11及びブレーキコントローラー13に提供され、これが続いて、車両ホイール111−115に適用される最終的なトルク(net torque)を制御する。評価ユニット40が正又は負のトルクを要求するか否かに基づいて最終的なトルクが増加又は減少される。ホイールへの必要な正又は負のトルクの適用を生じさせるため、評価ユニット40は、パワートレイン129により車両ホイールに正又は負のトルクが適用されること、及び/又はブレーキングシステム22によりブレーキ力が車両ホイールに適用されることを指令し、このいずれか又は両方が、要求される車速を取得及び維持することに必要なトルクの変更を実施するために用いられる。図示の実施形態においては、トルクが、個別に車両ホイールに適用され、車速が要求される速度に維持されるが、別の実施形態においては、トルクが一括してホイールに適用され、要求される速度が維持される。幾つかの実施形態においては、パワートレインコントローラー11が、リア駆動ユニット、フロント駆動ユニット、ディファレンシャル、又は任意の他の適切な構成部品といったドライブライン構成要素を制御することにより、1以上のホイールに適用されるトルクの量を制御するように動作可能である。例えば、ドライブライン130の1以上の構成部品が、1以上のホイールに適用されるトルクの量が変更されることを許容するように動作可能である1以上のクラッチを含み得る。他の構成も有用である。
【0127】
パワートレイン129が、1以上の電気機械、例えば、1以上の推進モーター及び/又は発電機を有する場合、パワートレインコントローラー11は、1以上の電気機械により1以上のホイールに適用されるトルクを調整するように動作可能であり得る。
【0128】
LSP制御システム12は、発生しているホイールスリップイベントを示す信号48も受け取る。これは、車両のハイウェイ上クルーズコントロールシステム16に提供されるものと同一の信号48であり、また後者の場合、ハイウェイ上クルーズコントロールシステム16における動作のオーバーライド又は禁止モード(inhibit mode)をトリガーし、ハイウェイ上クルーズコントロールシステム16による車速の自動制御が中止又はキャンセルされる。しかしながら、LSP制御システム12は、ホイールスリップを示すホイールスリップ信号48を受け取ることに基づいて動作をキャンセル又は中止するように構成されない。むしろ、システム12は、運転手の作業負担を低減するようにホイールスリップをモニターし、続いて統制するように構成される。スリップイベントの過程では、LSP制御システム12は、LSP_set-speed値と測定された車速を比較することを継続し、車両ホイールに適用されるトルクを自動的に制御するように継続し、選択された値に車速を維持する。従って、LSP制御システム12がクルーズコントロールシステム16とは異なるように構成されるものと理解され、このため、ホイールスリップイベントが、クルーズコントロール機能にオーバーライドする効果を有し、車両のマニュアル動作が再開されなければならず、若しくは再開ボタン173R又は設定速度ボタン173の押し下げによりクルーズコントロールシステム12による速度制御が再開されなければならない。
【0129】
本発明の更なる実施形態においては(不図示)、ホイールスリップ信号48が、ただホイール速度の比較から求められるのではなく、地面上の車両の速度を示すセンサーデータを用いて更に精錬される。そのような地面上の速度の決定が、グローバル・ポジショニング(GPS)データ、又は走行している地面と車両100の相対的な動きを決定するように構成された車両実装レーダー又はレーダー基準システムを介して、行われ得る。幾つかの実施形態においては、カメラシステムが、地面上の速度を決定するために採用され得る。
【0130】
LSP制御プロセスの任意のステージで、ユーザーは、アクセルペダル161及び/又はブレーキペダル163を押し下げて車速を正又は負の意図で調整することにより機能にオーバーライドすることができる。しかしながら、信号48を介してホイールスリップイベントが検出される場合、LSP制御システム12がアクティブのままであり、LSP制御システム12による車速の制御が中止されない。図4に図示のように、これは、ホイールスリップイベント信号48をLSP制御システム12へ提供することにより実施され、次にLSP制御システム12により管理される。図1に図示の実施形態においては、SCS14が、ホイールスリップイベント信号48を生成し、それをLSP制御システム12及びクルーズコントロールシステム16へ供給する。
【0131】
任意の一つの車両ホイールで静止摩擦の喪失が発生する時、ホイールスリップイベントがトリガーされる。雪、氷、沼、又は砂及び/又は急勾配又は横断傾斜上を走行する時、ホイール及びタイヤが静止摩擦を喪失しやすい。車両100は、また、通常のオンロード状態のハイウェイを運転することと比較して地形がより非平坦又は滑りやすい環境において静止摩擦を喪失しやすい。本発明の実施形態は、従って、車両100がオフロード環境、又はホイールスリップがよく発生する状況において運転している時に特に利益を見出す。そのような状況におけるマニュアル動作が困難であり、度々、運転手にとってストレスのある体験であり、不快的な乗車に帰結する。
【0132】
車両100には追加のセンサー(不図示)も提供され、車両の動き及び状態に関連の様々な異なるパラメーターを表す。これらは、LSP又はHDC制御システム12、12HD又は乗員高速システムの一部又は車体の動きを示し得るジャイロ及び/又は加速度計といったセンサーからのデータを提供し、LSP及び/又はHDC制御システム12、12HDに有用な入力を提供する任意の他のサブシステムに固有の慣性系(inertial system)であり得る。センサーからの信号が、車両が走行する自然の地形状態の特性を示す複数の運転状態インジケーター(地形インジケーターとも呼ばれる)を提供若しくはこれを計算するために用いられる。
【0133】
車両100上のセンサー(不図示)は、限定するわけではないが、VCU10に連続のセンサー出力を提供するセンサーを含み、上述及び図5に図示のホイール速度センサー、環境温度センサー、大気圧センサー、タイヤ圧センサー、ホイール音センサー、車両のヨー、ロール、及びピッチ角及び速度を検出するジャイロスコープセンサー、車速センサー、軸方向加速センサー、エンジントルクセンサー(又はエンジントルク推定器)、ステアリング角センサー、ステアリングホイール速度センサー、勾配センサー(又は勾配推定器)、SCS14の一部であり得る横方向加速センサー、ブレーキペダル位置センサー、ブレーキ圧センサー、アクセルペダル位置センサー、軸方向、横方向、及び垂直方向モーションセンサー、及び車両渡り補助システム(不図示)の一部を形成する水検出センサーが含まれる。他の実施形態においては、上述のセンサーから選択されたもののみが用いられる。
【0134】
VCU10は、またステアリングコントローラー170Cから信号を受け取る。ステアリングコントローラー170Cは、電力補助ステアリングユニット(ePASユニット)の形態にある。ステアリングコントローラー170Cが、車両100の操舵可能なロードホイール111、112に適用されるステアリング力を示すVCU10へ信号を提供する。この力は、ePASユニット170Cにより生成されたステアリング力と一緒にステアリングホイール171にユーザーにより適用されるものに対応する。
【0135】
VCU10が様々なセンサー入力を評価し、車両サブシステムの複数の異なるドライブモードのそれぞれが適切である可能性を決定し、各制御モードが、車両が走行する特定の地形種(例えば、沼及びわだち、砂、草原/砂利/雪)に対応する。
【0136】
もしユーザーが自動運転モード選択状態の車両の動作を選択すると、VCU10が、次に、最も適切な制御モードを選択し、選択されたモードに応じて自動的にサブシステムを制御するように構成される。本発明の側面が、同時係属の特許出願No.GB1111288.5、GB1211910.3及びGB1202427.9に詳細に開示され、これらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0137】
上述のように、(選択された制御モードを参照して決定される)車両が走行する地形の種類が、車速の適切な増加又は減少を決定するためにLSP制御システム12により用いられる。例えば、もしユーザーが、車両が走行している地形の種類に適切ではないuser_set-speed値を選択するならば、システム12が、車両ホイールの速度を低下することにより車速を低速に自動調整するように動作可能である。幾つかの場合、例えば、ユーザー選択速度が、ある地形種上、特には非平坦又は粗い面において達成可能又は適切ではない。システム12が、ユーザーが選択した設定速度(user_set-speed)とは異なる設定速度(LSP_set-speed値)を選択するならば、速度制約のビジュアル指標が、LSP HMI20を介してユーザーに提供され、代替の速度が採用されていることが示される。
【0138】
LSP制御システム12は、車両が走行している地形に基づいてLSP_set-speed値を決定する。従って、LSP制御システム12は、地形に基づいて車両10が動作するように制御する最大速度を制限するように動作可能である。本発明の実施形態により、低減された運転手の介入で非ハイウェイ状態で動作する時、改善された車両平静さが許容される。つまり、LSP制御システム12は、LSP_set-speedの最大許容値を決定し、これに応じて車両100の速度を制限するため、運転手は、支配的な地形がそう是認する時、user_set-speed値を低減するために介入し、支配的な地形が許容する時にuser_set-speed値を増加することが要求されない。本実施形態においては、LSP制御システム12は、ハイウェイ上クルーズコントロールシステムとは対照的に、LSP速度制御機能がアクティブならばLSP_set-speed値を計算するようにただ動作可能である。しかしながら、乗員の快適さ及び車両平静さを維持するため、車両が走行する支配的な面又は地形の変動に基づいて車速を自動調整する本明細書に記述のアプローチは、ハイウェイ上運転に最適化された車速制御システムに組み込まれ得るものと評価される。
【0139】
本実施形態においては、LSP制御システム12は、車両に関連する多数のパラメーターに基づいてLSP_set-speed値を生成するように構成される。LSP制御システム12は、車両目標速度の6つの値の最低値に応じて車両を動作させ、つまり、LSP制御システム12は、6つの目標速度の最低速度にLSP_set-speed値を設定する。目標速度値は、(a)user_set-speed;(b)乗員エキサイテーションパラメーターPsng_Excit値に基づいて計算される最大車速Psng_Excit_v、Psng_Excit値は、車両ピッチ加速度、ロール加速度、及びヒーブ加速度に基づいて設定される;(c)ステアリング角及び車速に基づいて設定される最大速度steering_angle_v;(d)傾斜面値に基づいて設定される最大速度sideslope_v;(e)表面勾配に基づいて設定される最大速度grad__v;及び(f)サスペンション反りとも呼ばれる、車両サスペンション発音に基づいて設定される最大速度warp_v又は反り速度である。オプションとし、入力は、車両が渡り中であるか否かに基づいて設定される最大速度値を含む。幾つかの実施形態においては、この最大速度値が、車両が渡る過程の(水といった)液体の深さに少なくとも部分的に基づいて設定される。他のパラメーター及び速度も有用である。
【0140】
LSP制御システム12は、多数の車両パラメーターに対応する入力を受け取るように構成される。パラメーターは:(a)現在の車両の表面摩擦係数の参考値であり、過剰なホイールスリップが誘起されるホイールに適用されるトルクの量といった1以上のパラメーター値に基づいて計算される値;(b)現在に選択された車両運転モードに対応する表面摩擦係数の予測値であり、各運転モードのために既定値である;(c)操舵可能なロードホイール角又はステアリングホイール位置に対応するステアリング角の現在値;(d)(加速度計の出力を参照して決定される)車両の現在のヨー加速度;(e)(またしても加速度計の出力を参照して決定される)現在の測定された横方向の加速度値;(f)(サスペンション発音を参照して決定される)現在の表面の粗さの測定値;(g)(グローバル・サテライト・ポジショニング・システム(GPS)出力を参照して決定される)現在の車両位置;及び(h)カメラシステムにより取得される情報を含む。先行リストが、ただの例証であることが意図され、限定するものとは意図されず、他の入力も追加又は代替において有用である。
【0141】
カメラシステムにより取得された情報は、例えば、車両10がオフロードレーン又はトラックから逸脱するところであることが決定された場合のアラートを含み得る。幾つかの実施形態においては、車両100の1以上のシステム、オプションとして、LSP制御システム12が、Psng_Excit値に影響し得る車両の前方地形を検出するように構成される。つまり、LSP制御システム12は、車両の進路の1以上の地形の画像分析に基づいて車両の前方地形により乗員のエクサイテーションが不利又は有利に影響されることを予想し得る。従って、LSP制御システム12は、車両がその現在の進行速度を継続するならば、Psng_Excit値の変化を予想してPsng_Excit値を変更し、さもなければ車速に影響するように構成され得る。これは、上述の車両パラメーターの参照による地形の反作用の評価とは対照的である。
【0142】
幾つかの実施形態においては、LSP制御システム12以外のコントローラー又はシステムがPsng_Excit値を決定するために構成されるものと理解される。
【0143】
図6は、LSP制御システム12がPsng_Excit値を決定する方法を図示する。LSP制御システム12は、Psng_Excit値を計算するために3つのパラメーターの各々値を受け取る:(1)車体ピッチ角加速度の測定値であるVehPitch_Aa_Meas;(2)車体ロール角加速度の測定値であるVehRoll_Aa_Meas;(3)車体ヒーブ加速度の測定値であるVehHeave_A_Meas。車体ヒーブ加速度により、x、y、z軸に関するz方向の車体の加速度が意味され、z方向が参照の車両フレームに関して垂直上方に対応する(この方向は、もし車両が実質的に水平面上にあるならば、地球に関して垂直上方に実質的に対応する)。値がLSP制御システム12の各信号入力201、202、203に入力される。幾つかの実施形態においては、値が、コントローラーエリアネットワーク(CAN)バス(不図示)又は車両電気制御ユニットがお互いに通信する他の手段からLSP制御システム12により読み出される。
【0144】
車体との用語が良く理解されており、典型的には車両の本体部を意味し、典型的には、乗客コンパートメント又はキャビンを備え、典型的にはサスペンションシステムにより保持され、サスペンションシステムが設けられる。
【0145】
信号は、LSP制御システム12によるコンピュータープログラムコードにて実施されるゲイン機能ブロック210に伝送され、これが、信号の各々に個別のゲイン量を適用する。各信号が増幅される量が、各信号値への乗員の感度に基づいて設定される。従って、幾つかの実施形態においては、ゲインは、ピッチ加速VehPitch_Aa_Measのより低い値がヒーブ加速度の等しい値VehHeave_A_Measよりも車両乗員に低下した快適さとして感知される観察を生じさせるように設定される。従って、幾つかの実施形態においては、信号VehPitch_Aa_Measに適用されるゲイン値が、信号Veh Heave_A_Measに適用されるものよりも高い。
【0146】
ゲインブロック210により処理された信号値が、続いて、標準化機能ブロック220に伝送され、値を標準化し、各信号値に応じて最大許容可能速度値を生成する。最大許容可能信号値が、マキシマイザー機能ブロック230に伝送され、そこに入力した信号のより大きいものを出力する。機能ブロック220は、「絶対」機能ブロックであり、つまり、これらは、ただ信号の大きさに対応する正値を出力する。これは、全て値が比較可能であり、負値ではないことを保証する。
【0147】
より大きい信号が、従って、スムージング構成240を通じて伝送され、これが、信号にフィードバックループを適用し、続いてバターワースフィルターを適用する。スムージング構成240により出力された信号がPsng_Excit値である。スムージング構成は、本質的に、マキシマイザー機能ブロック230により出力されたパラメーター値に関する過去のデータを記憶することを要求されることなく、移動平均計算関数を実行する。従って、スムージング構成240の出力は、車両が所与の時間をかけて通過した平均化された地形のプロファイルを構築し、車体が従う加速プロファイルのやや不規則な形を平坦化するように機能する。
【0148】
本実施形態においては、車体エクサイテーションが高められると、Psng_Excit値が増加するように構成される。乗員のエクサイテーションが直接的に車体エクサイテーションに関連されるため、Psng_Excit値の増加が乗員の快適さの低下に対応する。
【0149】
各機能ブロック210、220、230、240がコンピュータープログラムコードにおいてLSP制御システム12により実施されるものと理解される。幾つかの代替実施形態においては、機能ブロックが、コンピュータープログラムコードではなくハードウェアにおいて、例えば、電子増幅回路、フィルター回路などにより実施される。
【0150】
本実施形態に係るシステムを構築する時、乗員の快適さと車速の間の最適なトレードオフに対応するPsng_Excit値の範囲を特定するため、Psng_Excit値の範囲上の車両乗員により体験される不快レベルが探知される。次に、車両目標加速度tgt_accel値が、Psng_Excitの各値について決定される。tgt_accel値は、乗員の快適さと車速の間の最適なトレードオフとして識別される最適範囲内のPsng_Excit値を維持するように試みるため、車両100に課される加速度値である。
【0151】
最適な範囲が、低い値P_E_lと高い値P_E_highまでの範囲として図4に図示される。図7に図示のPsng_Excit値は、標準化された値であり、ゼロのPsng_Excit値が実質的に高い及び低い値P_E_l及びP_E_hの中間にある。他の構成も有用である。
【0152】
幾つかの代替の実施形態においては、差分又はデルタパラメーターの形態においてデータが記憶される。LSP制御システム12は、図6で決定されたPsng_Excit値とPsng_Excitの事前決定された「許容可能な」値の差分を決定し、データベースから対応のtgt_accel値を取得する。
【0153】
幾つかの実施形態においては、Psng_Excit値は、許容範囲外の高いレベルの乗員のエクサイテーションに対応して、ゼロ(最も快適)から80といった正値に変化するように構成される。従って、幾つかの実施形態においては、許容可能なPsng_Excit値が、約30値、又は典型的には経験的に決定される他の適切な値である。
【0154】
本実施形態においては、P_E_l未満のPsng_Excit値について、車両加速度値tgt_accelはPsng_Excitの関数として設定され、Psng_Excit値がP_E_l未満に低下するとtgt_accel値がますます正になる。反対に、P_E_hを超えるPsng_Excit値について、Psng_Excit値がP_E_hを超えて増加するとPsng_Excit値がますます負になる。従って、P_E_l以下のPsng_Excit値について、より速い速度への車両の加速度が好まれ、P_E_lを超えるPsng_Excit値については、より遅い速度への車両の減速が好まれる。
【0155】
LSP制御システム12は、また、ホイールと運転面の間の表面摩擦係数値を参照して、行程の過程での車両10の最大許容横方向加速度max_lat_accを決定するように構成される。LSP制御システム12は、このmax_lat_acc値を採用してsteering_angle_v値を生成し、車両10がコーナリングする時のアンダーステアを阻止する。本実施形態においては、LSP制御システム12は、ステアリング角に基づいて地形上の車両100の進路の曲率半径を計算するようにも動作可能である。LSP制御システム12は、この曲率半径と、GPSロケーションデータを参照して決定された車両の進路を参照して決定された値を比較する。LSP制御システム12がアンダーステアの存在を検出するならば、LSP制御システム12は、それに応じてsteering_angle_v値を低下するように動作可能である。もしあれば、存在するアンダーステアの量の決定の信頼性を高めるため、本実施形態においては、ヨー速度及び測定された横方向の加速度も採用される。幾つかの実施形態においては、ヨー速度及び測定された横方向加速度が、存在するアンダーステアの量を決定することに採用されない。他の構成も有用である。
【0156】
LSP制御システム12が現在の目標速度値LSP_set-speedを決定する方法が図8を参照して記述される。本実施形態においては記述の各機能ブロックがソフトウェアコードにて実施されるが、幾つかの代替の実施形態においては、1以上の機能ブロックが個別電子回路の形態において実施され得るものと理解される。
【0157】
図8に示すように、6つの速度パラメーターの各々値user_set-speed、Psng_Excit,_v、steering_angle_v、sideslope_v、gradient_v及びwarp_vが、ミニマイザー機能ブロック309に入力される。ミニマイザー機能ブロック309は、そこから、6つの速度の最も低い速度を出力する。この速度が速度制限機能ブロック311に伝送され、これが、ミニマイザー機能ブロック309から出力された速度値と車速の現在値を比較する。速度制限機能ブロック311は、これら値の差分が既定値(本実施形態においては1.5ms〜2)を超える正の加速度又は最大値が更なる既定値(本実施形態においては1.25ms〜2)を超える負の加速度に対応しないことを保証するために構成される。
【0158】
速度制限機能ブロック311により出力される速度は、LSP_v_target値である。LSP制御システム12は、次に、LSP_set-speed値に応じて車速を制御する。
【0159】
次のようにPsng_Excit_v値が決定される。
【0160】
現在のPsng_Excit値に応じて決定されたtgt_accel値が、図7に表されたデータに関して上述したルックアップテーブルの参照により機能ブロック301により取得される。この値が、速度制限機能ブロック303に伝送され、tgt_accelに対応する加速度(正又は負であり得る)を達成するために、LSP_set-speedの現在値がLSP制御システム12の次回のステップ上で変化されるべき否かの対応の量を決定する。この値が、図8で変動ラベル付きspeed_deltaにより与えられる。速度制限機能ブロック303は、LSP_v_target値が最大許容速度を超える速度で上昇することを阻止するように構成される。幾つかの実施形態においては、最大許容速度が、正の加速について約1.5ms−2であり、負の加速、つまり車両10の減速について1.25ms−2である。車速インクリメントspeed_incr値が、サミング機能ブロック305へ伝送される。
【0161】
時間ステップ長が、10ms、100ms又は任意の他の適切な値といった、LSP制御システム12が動作する任意の適切な値であることが理解される。
【0162】
サミング機能ブロック305が、また、LSP_set-speedの更新値が決定される時間ステップの直前の時間ステップでLSP_set-speed値を入力として受け取る。この値が、時間ステップ機能ブロック313の手段により提供される。
【0163】
サミング機能ブロック305は、また、図4の信号36であり得る現在の車速v_actual値を入力として受け取る。サミング機能ブロック305は、現在の車速v_actualと、LSP制御システム12が車両100を進行させるように試みる速度である、LSP_set-speedの間の差(誤差値)を計算する。差分が所定量を超えるならば、サミング機能ブロック305が、Psng_Excit_v値としてLSP_set-speed値を出力する。これは、Psng_Excit値に応答してLSP_set-speedを変更することを試みる前、LSP_set-speed値に近い値に車速を変化させることをLSP制御システム12に許容するようである。速度v_actualがLSP_set-speedに近い値に達すると、Psng_Excit値がP_E_lとP_E_hの間の最適な範囲内となり、従って、Psng_Excitに応答してLSP_set-speedの更なる変化が要求されないものと理解される。
【0164】
誤差値が規定の量を超えないならば、サミング機能ブロック305が、speed_delta値をLSP_set-speed値に加え、Psng_Excit_v値をこの値に設定する。
【0165】
車両10が地形上を進行し、user_set-speed値が各々の速度、steering_angle_v、sideslope_v、gradient_v、warp_v及びPsng_Excit_vよりも低いならば、LSP制御機能は、user_set-speed値に実質的に等しく設定されたLSP_set-speed値に応じて車両10を動作させることを継続するものと理解される。過度なホイールスリップ及びオプションとして、1以上の他の状態が不存在であるならば、車両10は、user_set-speedに実質的に等しい速度で進行することを継続する。運転手は、上述の方法においてuser_set-speed値を増加又は減少することができる。しかしながら、user_set-speed値がミニマイザー機能ブロック309に入力される他のパラメーターの低い物に等しくなると、LSP制御システム12は、車速が更に増加することを許容しない。例えば、地形の変化のため、残りのパラメーターの低いもの値がuser_set-speed未満に下がるならば、LSP制御システム12は、LSP_set-speed値を残りのパラメーターの低いものに設定することにより、残りのパラメーターの低いものまで低下するように車速を制御する。
【0166】
幾つかの実施形態においては、パラメーターmax_set_speedは、ミニマイザー機能ブロック309に入力される6つのパラメーターの各々の低いものに等しいように設定される。max_set_speed値がLSP_set-speed値として出力される。max_set_speed値は、従って、車速制御がLSP制御システム12により有効にされている時間の間の任意の所与の時点に車速に上限を設定する。
【0167】
max_set_speed値が続いて上昇するならば、LSP制御システム12は、速度がmax_set_speedを超えないとすれば車速が増加若しくは(もしuser_set-speedがmax_set_speedよりも大きいならば)user_set-speedに向かうことを許容する。
【0168】
本実施形態においては、もしLSP制御システム12がuser_set-speedよりも低い速度に応じて車両100を動作させ、続いて速い速度が許容するならば、幾つかの実施形態においては、適切なビジュアル又はオーディオ指標が車両の運転手に行われる。幾つかの実施形態においては、LSP制御システム12は、速い速度が許容されるようになると、車両の速度が自動的に速い速度に高められるように動作可能である。
【0169】
一実施形態においては、LSP制御システム12は、車両100がスロープの頂上に到達し、水平な姿勢を取り始めることを検出するように動作可能である。このシナリオが、「頂上到達(cresting)」と呼ばれる。LSP制御システム12が車両100が頂上到達していると決定する時、LSP_set-speed値を一時的に低下する(オプションとして、幾つかの実施形態においては、max_set_speed値を低下する)。この特徴は、運転手が、ボンネット又はフードといった車両100のフロント部分及び/又はスロープにより視界不良になっている車両100の前方地形への慣れを取得する時間を許容する速度に(必要ならば)車速を低下する利点を有する。これは、車両100の運転手の楽しさ及び車両平静さを高める。幾つかの実施形態においては、更なる大きい(又は最大)速度値cresting_vがミニマイザー機能ブロック309に入力されるものと理解される。cresting_v値が、頂上到達が検出される時の支配的な状況に適切な値に設定される。例えば、規定距離内の水平姿勢に向かって(言えば)5度を超える角度を亘って、規定値(例えば、15度を超える値)を超えるピッチアップ姿勢から車両ピッチ姿勢が動く時、頂上到達が検出される。代替的に、システムは、水平姿勢に向かう勾配の変化率をモニターする。2−4秒の期間といった規定の期間に亘る(言えば)毎秒平均3度の低下の維持が頂上到達の検出をトリガーするのに十分であり得る。
【0170】
幾つかの実施形態においては、LSP制御システム12は、例えば、10度の勾配未満の規定値よりも下に勾配が下がる時、頂上到達の検出をトリガーし得る。2以上のテストの組み合わせが頂上到達の検出を確認するために行われ、車速の不要な低下によりユーザーに迷惑をかける頂上到達の誤検出の可能性を低下する。幾つかの実施形態においては、勾配の変化率が非常に低いならば、車両が頂上到達しているとしても、LSP制御システム12が頂上到達を検出しないものと理解される。速度の低下は、これらの環境においては不要であり得る。なぜなら、進行する時に車両の前方地形を運転手が評価するのに十分な時間を有するためである。
【0171】
頂上到達が検出され、適切な車速低下が帰結するならば、速度低下が所定時間又は走行距離だけ適用される。この期間が満了し、若しくは距離が走行されると、LSP制御システム12は、再び、頂上到達状態のモニタリングに復帰する。
【0172】
LSP制御システム12は、車両姿勢が十分に水平であり、規定の距離又は時間だけそうであると検出する時、cresting_v値(及び幾つかの実施形態においてはmax_set_speed)を自動的に増加する。
【0173】
一実施形態においては、LSP制御システム12は、頂上到達状態を表す規定値未満に車両姿勢の変化率が下がる時を検出するように動作可能である。LSP制御システム12は、規定時間が満了し、若しくは規定距離が走行されると、cresting_v値を増加することを開始し得る。代替として、LSP制御システム12は、頂上到達が検出されない時cresting_v値を無視するように構成され得る。cresting_vが増加される(又は無視される)前の遅延の特徴は、例えば、車両が起伏地形を走行し、またピークの頂上到達に続いて、車両がスロープを下る場合に特に有益であり得る。LSP制御システム12は、車両100がスロープの下り上に確立されるまでcresting_vの減じられた値を維持し、車両平静さ及び運転手の信任を高める。
【0174】
幾つかの実施形態においては、LSP制御システム12は、下りに続く車両ピッチの増加を検出することによりスロープの底に車両が到達した時を検出するように構成される。LSP制御システム12は、勾配の変化を通り抜ける時間を運転手に許容するため、スロープの底に車両が到達したことを検出する時、cresting_v値を一時的に低下するように構成される。この特徴は、車両100がスロープの底に到達する時に車両の底と地形の間の接触に起因する車両への損傷のリスクを低減する利益を有する。他の構成も有用である。
【0175】
本発明の実施形態は、車両が速度制御システム動作で動作している時にset-speedの最大許容値を自動的に低下することにより車両平静さを高めることに有用である。運転手の作業負担が、低減され、従って、運転手の疲労が低減される。車両平静さも高められる。
【0176】
幾つかの実施形態においては、車両がLSP制御システムを備えているかに関わらず、ハイウェイ上クルーズコントロールシステム16がアクティブで車両が動作する時にPsng_Excit値が計算される。図8のものに対応するシステムといった動作を示す概略的な図示が図9に図示され、ここでは、100により増加された同様の参照番号で同様の特徴が示される。
【0177】
ハイウェイ上クルーズコントロールシステム16は、既知のハイウェイ上クルーズコントロールシステムである。しかしながら、クルーズコントロールシステムが車両を動作させる最大目標速度値cruise_set-speedは、クルーズコントロールシステムがアクティブ及びPsng_Excit_vである時にミニマイザー機能ブロック409への入力がuser_set-speedであることを除いて、LSP_set-speedに関して上述したものと同様の方法にて計算される。cruise_set-speed値は、従って、user_set-speed及びPsng_Excit_vの低い方に設定される。Psng_Excit_v値は、上述のように、VehPitch_Aa_Meas、VehRoll_Aa_Meas及びVehHeave_A_Meas値に関して適切な較正により決定される。
【0178】
幾つかの実施形態においては、1以上の他のパラメーターがミニマイザー機能ブロック309、409に入力される。例えば、幾つかの実施形態においては、ミニマイザー機能ブロック309、409への追加の入力が、パラメーターtrailing_v_tgt値であり、車両100が車両100と同一方向であるが実質的に同一又は低い速度で走行する先行車両に追随する時、先行車両の後の適切な距離を維持するための許容可能な目標速度の上限値に対応する。幾つかの実施形態においては便利な方法にてアクティブクルーズコントロール機能性が実施されることが都合良く許容される。加えて又は代替として、車両には、前方の道路を見る又は読むための手段が更に具備され、これらの手段が、支配的な道路速度制限を示す信号を生成するように構成される。道路速度制限信号が利用可能である場合、この信号が、また、ミニマイザー機能ブロック309、409に入力される。幾つかの実施形態においては便利な方法にてインテリジェント速度制限速度制御機能性が実施されることが都合良く許容される。
【0179】
図9に図示のものといった本発明の実施形態に係る速度制御システムは、車両がハイウェイ上を運転される間に乗員の快適さが維持される利点を有する。既知のクルーズコントロールシステム16は、本発明の実施形態に車両に採用され、システム16には、図9に関して記述したように計算されたcruise_set-speed値が提供される。従って、既存のクルーズコントロールシステム較正が、幾つかの実施形態において採用され、本発明の幾つかの実施形態を実施するコストを低減する。幾つかの実施形態においては、これは、便利な方法にて車両にオプションのエキストラとして提供されるcruise_set-speed(及び/又はLSP_set-speed)値を設定するのに乗員エキサイテーションパラメーターが考慮される特徴を都合良く許容する。つまり、幾つかの実施形態においては、LSP_set-speed又はcruise_set-speed値の提供の下流のLSP制御機能又はクルーズコントロール機能の構成を実質的に変更する要求なしで特徴が提供される。他の構成も有用である。
【0180】
幾つかの実施形態においては、Psng_Excit_v値がuser_set-speed未満に下がる場合、オーディオ及び/又はビジュアル指標が運転手に提供される。運転手は、Psng_Excit_v値が、続いてuser_set-speedに向かって上昇する時、LSP制御システム12(又はクルーズコントロールシステム16)に確認の入力を提供することを要求され、この受け取りに続いて、LSP制御システム12(又はクルーズコントロールシステム16)が、user_set-speed値により設定された制限に服して、LSP_set-speed又はcruise_set-speedの増加された値に応じて車両100を動作させる
【0181】
図10(a)は、図1の車両100のコンソール184を示す。コンソールは、ユーザー操作可能ダイアル187を有し、ユーザーが制御信号をLSP制御システム12に関連のプロセッサー185に提供することを許容する。プロセッサーは、LSP制御システム12にまた関連のメモリー186にデータを記憶し、またデータを読み出すように動作可能である。
【0182】
図1の実施形態においては、ダイアル187が、パラメーターPsng_Excit値の調整(増加又は減少)を許容し、これが図8の機能ブロック301に入力される。本実施形態においては、ダイアル187が、機能ブロック301に入力されるPsng_Excit値に加算又は減算されるオフセットを生成するように構成される。これが、乗員の快適さと車速の間の最適なトレードオフと考えられる乗員のエキサイテーションのレベルを変化する影響を有する。従って、機能ブロック303により決定された目標加速度tgt_accel値は、Psng_Excit値が低下又は増加されるか否かに基づいて、車両をより速い速度で加速させ、又はより低い速度で減速させる傾向がある。
【0183】
幾つかの代替の実施形態においては、ダイアル187が参照信号値の調整を許容し、tgt_accel値を決定するために、これに対してLSP制御システム12が現在のPsng_Excit値を比較する。システム12が、参照信号と現在のPsng_Excit値の間の差分に対応する差分値を取得し、また差分値に基づいてtgt_accel値を取得する。参照信号値を調整することで差分値が調整され、従って、所与のPsng_Excit値のためのtgt_accel値が調整される。
【0184】
システム12は、Psng_Excit値(又は上述のように幾つかの実施形態においては参照値)のユーザー調整に関するデータを記憶し、特定のユーザーにデータを関連付けるように構成される。システム12は、そのメモリーにユーザー調整に対応するデータを記憶し、ユーザーが居る時にデータを読み出す。幾つかの実施形態においては、システム12が、ユーザー間を識別し、各々のユーザーにより設定された調整データを記憶し、ユーザーの特定に応じてデータを読み出す。ユーザーは、それらのシート調整構成、キーホブ同一性、顔認識により、又は任意の他の適切な手段に基づいて識別される。
【0185】
LSP制御システム12は、車両のシート占有に関するデータを受け取るようにも動作可能である。つまり、運転手のシート以外の車両の所与のシートが占有されているかどうかを示すデータ。図10(b)は、シート101S〜105Sを示す本発明の実施形態に係る車両のキャビンの平面図である。LSPシステム12が、各シート101S〜105Sに関連するシートベルトバックル106に組み込まれたスイッチの状態に対応するデータを受け取る。スイッチの状態がバックル106の締結を示すならば、LSPシステム12は、バックルに関連のシートが占有されているものと考える。スイッチの状態がバックル106の非締結を示すならば、LSPシステム12は、バックル106に関連のシートが占有されていないものと考える。シート占有が、各シートのセンサー又は乗員コンパートメント内部を観察するように設けられた赤外又は可視光カメラにより加えて又は代替として決定される。シート占有を決定するための他の手段も有用である。
【0186】
システムは、図6の回路により出力される所与のPsng_Excit値のため車速を増加又は低下するためにユーザーがシステム12をオーバーライドする時、シート占有に関するデータを記憶するように構成される。記憶されたデータは、例えば、一人の乗員又は複数の乗員がいるか否かに関するデータといった乗員数に関する情報を含む。未来の日、車両が、システム12により記憶されたシート占有データが現在のシート占有に一致すると決定するならば、システム12は、データを読み出すように動作可能である。従って、たった一人の乗員しかいない時により速い速度を許容し、1以上の乗員がある時により遅い速度を許容するようにユーザーがシステム12を調整するならば、システム12は、現在のシート占有データに基づいて、未来において同様の態様にてPsng_Excit値(又は参照信号値)を自動調整する。
【0187】
他の構成も有用である。
【0188】
上述の実施形態が単なる例として挙げられ、本発明を限定する意図はなく、この範囲が添付請求項において規定されるものと理解される。
【0189】
本発明の実施形態が、次の番号付けされたパラグラフを参照して理解される。
【0190】
1.車両のための速度制御システムであって、電気コントローラーを備え、電気コントローラーが:
目標速度値に応じて車両を自動的に動作させ、
車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取り、及び
情報に基づいて目標速度値の値を自動調整するように構成される。
【0191】
2.パラグラフ1に記載のシステムであって、電気コントローラーは、車両の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きを示す電気信号を受け取るように構成されることにより、車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取るように構成される。
【0192】
3.パラグラフ1に記載のシステムであって、電気コントローラーは、目標速度値の値を自動調整するために信号を出力することにより、目標速度値に応じて車両を自動的に動作させるように構成される。
【0193】
4.パラグラフ2に記載のシステムであって、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定するように構成され、測定された快適レベルを示す信号が、車体の少なくとも一部又は乗員の体の少なくとも一部の動きに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0194】
5.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーが、更に、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて現在値から目標速度が調整される量を決定するように構成される。
【0195】
6.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーが、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定するように構成される。
【0196】
7.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーは、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて快適レベルを示す信号の値を決定するように構成される。
【0197】
8.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーは、ステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値;運転面勾配;及び車両サスペンション発音又はサスペンション反りから選択される、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つのパラメーターに更に基づいて目標速度値を決定するように構成される。
【0198】
9.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号及び少なくとも一つの追加の最大速度値に基づいて、快適誘導最大速度値を決定するように構成され、システムが、快適誘導最大速度値及び少なくとも一つの追加の最大速度値の低い方に目標速度値を設定させるように動作可能である。
【0199】
10.パラグラフ9に記載のシステムであって、少なくとも一つの追加の最大速度値が、ユーザーが走行を望む最大速度に対応するユーザー定義速度値を含む。
【0200】
11.パラグラフ9に記載のシステムであって、少なくとも一つの追加の最大速度値は、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つの追加パラメーターの現在値に適合する最大速度である速度値を含む。
【0201】
12.パラグラフ4に記載のシステムであって、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を減じるように目標速度値を反復して調整するように構成される。
【0202】
13.パラグラフ12に記載のシステムであって、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号値に基づいて所望の車両の加速又は速度変更値を計算するように構成され、これにより、目標速度の値を調整し、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を低下する。
【0203】
14.パラグラフ4に記載のシステムであって、電気コントローラーがユーザー入力電気信号を受け取るように構成され、このユーザー入力電気信号に基づいて、電気コントローラーが、更に目標速度値を調整する量を操作するように構成される。
【0204】
15.パラグラフ14に記載のシステムであって、ユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーは、測定された快適レベルを示す信号値を操作し、これにより目標速度値を調整する量を制御するように構成される。
【0205】
16.パラグラフ14に記載のシステムであって、ユーザー入力電気信号に基づいて、コントローラーは、参照信号値を操作するように構成され、コントローラーは、更に、参照信号と、測定された快適さを示す信号と比較し、これにより目標速度値を調整する量を制御するように構成される。
【0206】
17.パラグラフ16に記載のシステムであって、コントローラーは、参照信号の操作された値と測定された快適さを示す信号の差に基づいて目標速度値を調整する量を制御するように構成される。
【0207】
18.パラグラフ1に記載のシステムであって、コントローラーが、シート占有に関するデータに基づいて目標速度値を調整するように構成される。
【0208】
19.パラグラフ1に記載のシステムであって、乗員の体の少なくとも一部の動きをモニターするイメージング装置を更に備える。
【0209】
20.パラグラフ1に係るシステムを備える車両。
【0210】
21.車両の速度制御システムの動作方法であって、当該方法が:
目標速度値に応じて車両を自動的に動作させること;
車体の少なくとも一部又は車両に対する乗員の体の少なくとも一部の動きに関連する情報を受け取ること;及び
情報に基づいて目標速度値の値を自動調整することを含む。
【0211】
22.パラグラフ21に記載の方法が、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定するように更に構成され、測定された快適レベルを示す信号が、車体の少なくとも一部又は乗員の体の少なくとも一部の動きに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0212】
23.パラグラフ22に記載の方法であって、測定された快適レベルを示す信号に少なくとも部分的に基づいて現在値から目標速度が調整される量を決定することを含む。
【0213】
24.パラグラフ22に記載の方法であって、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて目標速度値を決定することを含む。
【0214】
25.パラグラフ21に記載の方法であって、車体ピッチ角加速度、車体ロール角加速度及び車体ヒーブ加速度に少なくとも部分的に基づいて快適レベルを示す信号の値を決定することを含む。
【0215】
26.パラグラフ21に記載の方法であって、ステアリング角、車速、車速の関数のステアリング角、運転傾斜値;運転面勾配;及び車両サスペンション発音又はサスペンション反りから選択される、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つのパラメーターに更に基づいて目標速度値を決定することを含む。
【0216】
27.パラグラフ21に記載の方法であって、測定された快適レベルを示す信号及び少なくとも一つの追加の最大速度値に基づいて、快適誘導最大速度値を決定すること、及び快適誘導最大速度値及び少なくとも一つの追加の最大速度値の低い方に目標速度値を設定することを更に含む。
【0217】
28.パラグラフ27に記載の方法であって、少なくとも一つの追加の最大速度値が、ユーザーが走行を望む最大速度に対応するユーザー定義速度値を含む。
【0218】
29.パラグラフ27に記載の方法であって、少なくとも一つの追加の最大速度値は、地形上の車両の動きに関連した少なくとも一つの追加パラメーターの現在値に適合する最大速度である速度値を含む。
【0219】
30.パラグラフ21に記載の方法であって、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を低下するように目標速度の値を反復して調整することを更に含む。
【0220】
31.パラグラフ30に記載の方法であって、目標速度の値を調整し、測定された快適レベルを示す信号と既定値又は規定値範囲の間の差を低下するように、測定された快適レベルを示す信号値に基づいて所望の車両の加速又は速度変更値を計算することを更に含む。
【0221】
32.パラグラフ21に記載の方法であって、ユーザー入力に基づいて目標速度値を調整する量を操作することを更に含む。
【0222】
33.パラグラフ32に記載の方法であって、目標速度値を調整する量を操作することが、測定された快適レベルを示す信号の値を操作し、目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0223】
34.パラグラフ32に記載の方法であって、参照信号値を操作し、参照信号と、測定された快適さを示す信号を比較し、これにより、目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0224】
35.パラグラフ34に記載の方法であって、参照信号の操作された値と、測定された快適さを示す信号の差に基づいて目標速度値を調整する量を制御することを含む。
【0225】
36.パラグラフ23に記載の方法であって、シート占有に関するデータに基づいて目標速度値を調整することを更に含む。
【0226】
37.パラグラフ21に記載の方法であって、イメージング装置で車両乗員の体の少なくとも一部の動きをモニターすることを含む。
【0227】
38.パラグラフ21に記載の方法を実行するように車両を制御するためのコンピューター読み取り可能コードを担持するキャリア媒体。
【0228】
この明細書の説明及び請求項に一貫して、用語「備える」及び「含む」及びこれらの用語の活用、例えば、「備えている」又は「備える」が、「含む、しかし、限定されない」ことを意味し、他の部分、添加物、構成部品、一体物、又はステップを排除することを意図しない(また排除しない)。
【0229】
この明細書の説明及び請求項に一貫して、内容が逆を要求しないかぎり、単一が複数も意味する。特には、不定冠詞が用いられる場合、明細書は、内容が逆を要求しない限り、単一と同様に複数も検討されるものと理解される。
【0230】
本発明の特定の側面、実施形態又は実施例と一緒に記述された特性、全体、特徴、化合物、化学部分又はグループは、不適合がなければ、本明細書に記述の任意の他の側面、実施形態又は実施例にも適用可能であるものと理解される。
図1
図2
図5
図6
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図3
図4