(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
ところで、反力制御部により、アクセルペダルの踏込方向と反対方向の反力を増加させる場合には、その反力の増加の仕方により、運転者に付与される感じ方(フィーリング)が異なるという知見を得た。
【0005】
この発明は、上記の技術及び上記の知見を考慮してなされたものであり、アクセルペダルを操作する運転者の意図・操作等に応じて反力の増加の仕方を工夫し、運転者の意図・操作等に応じた適切な反力の感じ方(フィーリング)を運転者に付与することを可能とするアクセルペダル反力制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
この発明に係るアクセルペダル反力制御装置は、車両に設けられたアクセルペダルの踏込方向と反対方向の反力を制御するアクセルペダル反力制御装置であって、前記アクセルペダルの踏込量を検出する踏込量検出部と、前記アクセルペダルに前記反力を付与する反力付与部と、前記反力付与部による反力の増加の仕方を制御する反力制御部と、を備え、前記反力制御部は、前記踏込量検出部により検出された前記踏込量が閾値以上になった場合に、前記反力付与部により付与する目標反力を設定し、前記閾値でのベース反力から前記目標反力に増加するまでの反力上昇速度を可変にするか、又は前記閾値での前記ベース反力から前記目標反力に増加させる反力増加量を可変にするかを設定する。
【0007】
アクセルペダルに反力を付与する際の反力の増加の仕方(反力の立ち上がり方)によって、運転者による反力の感じ方が異なる。また、その感じ方は、運転者の好み等によって異なる。
【0008】
この知見に着目し、閾値でのベース反力から目標反力に増加するまでの反力上昇速度を可変にするか、又は前記閾値での前記ベース反力から前記目標反力に増加させる反力増加量を可変にするかを設定可能に構成することで、運転者の意図・操作等に応じた適切な反力の感じ方(フィーリング)を提供することができる。このため、例えば、走行シーンや運転者の気分等に適合したアクセルペダルの操作性(走り方)を選択することができる。
【0009】
この場合、前記反力制御部は、前記反力上昇速度を可変に設定する場合の前記目標反力を第1目標反力とし、前記反力増加量を可変に設定する場合の前記目標反力を第2目標反力としたとき、前記第1目標反力よりも、前記第2目標反力の方を大きく設定する構成とすると、反力上昇速度を可変に設定した場合には、反力増加量を可変に設定した場合に比較して、閾値での反力を、小さな値の第1目標反力まで緩慢に立ち上げることができるので、反力増加に伴う違和感を運転者に与えることが抑制される。一方、反力増加量を可変に設定した場合には、閾値での反力を、大きな値の第2目標反力まで立ち上げることができるので、反力が増加したことが強調され、運転者に反力の増加を分かりやすく知らせることができる。
【0010】
なお、前記反力制御部は、前記踏込量検出部により検出された前記踏込量が前記閾値になったとき、前記第2目標反力まで階段状に増加させ、増加させた後、既定時間経過後には、前記第2目標反力よりも小さい第3目標反力まで減少するように設定すると、閾値まで踏込まれた時点では、階段状に付与される第2目標反力により、運転者に反力の発生を知らせることができ、その後、第3目標反力を漸減させることで、いつまでもアクセルペダルが踏込みにくい状態が維持されてしまうことを抑制することができ、このように制御することにより反力発生の分かり易さとアクセルペダルの操作性とを両立させることができる。
【0011】
ここで、前記反力制御部は、前記既定時間経過後に、前記第2目標反力よりも小さい前記第3目標反力まで減少するように設定する際、前記第3目標反力よりも大きい既定反力までは急減し、以降は前記第3目標反力まで漸減するように設定するよう構成してもよい。この構成により、既定反力までは急減させることで大きい反力が長い時間保持されることがなくなり、運転者にとってアクセルペダルの踏込みにくい状態を解消すると共に、既定反力まで減少させた以降は、反力を漸減させることにより、いわゆる急に反力が抜けてしまうという違和感を低減することができる。
【0012】
なお、第3目標反力は、第1目標反力と同値でもよい。
【0013】
前記反力制御部は、前記既定時間経過後に、前記第2目標反力よりも小さい前記第3目標反力まで減少するように設定する際、時間経過と共に指数関数的に減少するように設定するように構成すると、減少し始める際は急激に減少し、以降はなだらかに減少するため、踏込みにくい状態を早期に解消することと、急に反力が抜けてしまう違和感の低減とを両立することができる。
【0014】
さらに、前記反力上昇速度を可変にするか、又は前記反力増加量を可変にするかを選択する選択部を有し、前記反力制御部は、前記選択部の選択結果に応じて、前記いずれかの設定を行う構成としてもよい。この構成により、選択部の運転者等による操作により前記反力上昇速度を可変にするか、又は前記反力増加量を可変にするかを選択することができるため、アクセルペダルの反力の感じ方(フィーリング)を運転者の意図で選択することができる。
【0015】
例えば、燃費や電費等のエネルギ消費の少ない運転意図、いわゆるエコ運転(省エネ運転)意図を持ったときには、選択部により、相対的に反力が大きい第2目標反力が設定される反力増加量を可変にする制御を選択すればよい。これに対し、一般道路から高速道路に進入する際等に、運転者の加速意図・操作を優先させるために、相対的に反力が小さい第1目標反力が設定される反力上昇速度を可変にする制御を選択することが可能である。
【0016】
この発明に係るアクセルペダル反力制御装置は、アクセルペダルの踏込量が閾値以上となったとき、その閾値でのベース反力から目標反力に増加するまでの反力上昇速度を可変にするか、又は前記閾値での前記ベース反力から前記目標反力に増加させる反力増加量を可変にするかを設定可能に構成したので、運転者の意図・操作等に応じた適切な反力の感じ方(フィーリング)を運転者に付与することができるという効果が達成される。
【0017】
このため、例えば、走行シーンや気分等の運転者の意図に適合したアクセルペダルの操作性(走り方)を選択することができるという派生的な効果が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、この実施形態に係るアクセルペダル反力制御装置10のブロック図である。
【0021】
アクセルペダル反力制御装置10は、四輪乗用車等の車両11に搭載され、基本的には、スロットルバルブ(不図示)の開度等を調整するアクセルペダル12と、アクセルペダル12の運転者による操作量である踏込量θ[゜]を検出する踏込量検出部としての踏込量センサ14と、表示装置20と、ECU(electronic control unit:電子制御装置)22と、アクセルペダル12に反力Fを付与する反力付与部としての反力付与機構24と、付与する反力Fの増加の仕方である反力特性(目標反力特性)を選択する反力特性選択部としての反力特性選択スイッチ(反力特性選択SW)26と、を備える。なお、アクセルペダル12の踏込量θは、アクセル開度とも称されるので、理解の便宜のために、踏込量θを開度θという場合もある。
【0022】
ここで、車両11は、エンジンを駆動源とするエンジン自動車の他、EV(電気自動車)、エンジンを備えるハイブリッド自動車、レンジエクステンダ自動車、及び燃料電池を備える燃料電池自動車等の電動車両が対象とされる。
【0023】
反力付与機構24は、アクセルペダル12に連結された図示しないモータ等のアクチュエータからなり、反力制御部22Aから受領した制御信号に応じた反力Fをアクセルペダル12に付与する。アクセルペダル12にリターンスプリングが設けられている場合、反力Fは、リターンスプリングによる反力とモータ等のアクチュエータによる反力の合成の反力とされる。なお、アクセルペダル12に付与する反力Fは、リターンスプリングを用いずに、アクチュエータのみを用いて発生させるようにしてもよい。
【0024】
踏込量センサ14は、アクセルペダル12の原位置(θ=0[゜])からの踏込量(アクセルペダル踏込量)θ[゜]をポテンショメータ等により検出し、ECU22に出力する。
【0025】
表示装置20は、この実施形態では、運転者に視認可能にダッシュボードに配置される、走行距離の他、エネルギ消費(燃費・電費等)や外気温等を併せて表示することが可能なマルチインフォメーションディスプレイであり、タッチスクリーン操作可能な操作部30を備える。なお、表示装置20は、ナビゲーション装置に代替してもよい。
【0026】
ECU22は、コンピュータ及びDSP等により構成され、CPUが各種入力に基づきROM等のメモリ(記憶装置)23に記憶されているプログラムを実行することで各種の機能を実現する機能実現部(機能実現手段)としても動作する。この実施形態において、ECU22は、反力制御部22A、及びタイマ等の機能を有する計時部22B等として機能する。
【0027】
反力特性選択スイッチ26は、後に各選択位置における反力特性を詳しく説明するように、アクセルペダル12の踏込量θが閾値踏込量(閾値開度)θth以上になった場合にベース反力Fb(後述)に重畳されるメモリ23に記憶された目標反力特性Ftc、あるいはメモリ23に記憶された前記目標反力特性Ftcが調整(変更)された調整後の目標反力特性Ftcを選択するスイッチである。
【0028】
メモリ23には、2つの基本的な目標反力特性Ftcが記憶されている。反力特性選択スイッチ26は、例えば、ステアリング内あるいはダッシュボード等、運転中であっても、運転者が、手指で容易に操作できる位置に配置されている。
【0029】
この場合、反力特性選択スイッチ26の配置位置近傍において、目標反力Ftarの相対的に小さい方の特性を選択する一方の選択位置には、例えば「反力:弱」あるいは「Low Force」との表示がなされ、目標反力Ftarが相対的に大きい方の特性を選択する他方の選択位置には、例えば「反力:強」あるいは「High Force」との表示がなされている。
【0030】
この実施形態に係るアクセルペダル反力制御装置10は、基本的には以上のように構成され、かつ動作するものであり、次に、ECU22(の反力制御部22A)によるアクセルペダル12に対する反力付与機構24を介しての反力の付与・設定・制御処理について
図2、
図3A、
図3Bのフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0031】
ステップS1にて、反力制御部22Aは、運転者の意図・操作を検出するために、反力特性選択スイッチ26の選択位置を確認する。
【0032】
なお、反力特性選択スイッチ26は、アクセルペダル12の踏込量θが閾値踏込量(閾値開度)θth以上になった場合にベース反力Fb(後述)に目標反力Ftarを重畳する機能を有するので、運転者のアクセルペダル12の操作を抑制する(いわゆる壁感を与える)ものであり、エネルギ消費が少なくなる、いわゆるエコモード走行に適用されるスイッチである。よりエコ走行をしようとする際には、運転者により「反力:強」(反力増加量可変特性Fj)の目標反力Ftarの選択位置が選択され、ほどほどのエコ走行をしようとする際には、運転者により「反力:弱」(反力上昇速度可変特性Fi)の目標反力Ftarの選択位置が選択される。
【0033】
次いで、ステップS2にて、検出された(選択された)選択位置に応じたベース反力Fbから目標反力Ftarまでの増加の仕方(傾き等)を決定する。
【0034】
図4は、目標反力特性Ftc中、上記した「反力:弱」の表示位置に対応して選択される、2点鎖線の円で囲った反力上昇速度可変特性Fiを含む反力特性101を示している。
【0035】
図5は、目標反力特性Ftc中、上記した「反力:強」の表示位置に対応して選択される、2点鎖線の円で囲った反力増加量可変特性Fjを含む反力特性102を示している。
【0036】
反力特性101、102において、ベース反力Fbは、踏込量θがθ=0[゜]から比較的に小さい踏込量θ1までは初期反力から反力Fb1まで比較的に急峻に増加し、通常使用範囲の踏込量θ1からアクセルペダル12のいわゆるべた踏み(踏込量θが最大踏込量θmax)位置の反力Fb2までは徐々に増加する特性(ベース反力特性100という。)になっている。なお、
図4から分かるように、ベース反力特性100は、アクセルペダル12の戻り側が、踏込側に対して弱くなるヒステリシスを持つ特性に設定されている。
【0037】
図4に示す、「反力:弱」の反力特性101では、踏込量θが閾値踏込量(閾値開度)θthに到達したとき、アクセルペダル12がさらに踏み込まれると、反力上昇速度可変特性Fiに規定された目標反力Ftarの軌跡を通るように反力Fが設定される。
【0038】
具体的には、目標反力Ftarとして、第1目標反力Fn+Fb(定常反力+ベース反力)が設定され、踏込量θ=θthでのベース反力Fbから設定された反力上昇速度ΔF/Δt(単位時間当たりの反力増加量)で、第1目標反力Fn+Fbまで、反力Fが緩やかに増加するように設定される。
【0039】
一方、
図5に示す、「反力:強」の反力特性102では、踏込量θが閾値踏込量θthに到達したとき、アクセルペダル12がさらに踏み込まれると、反力増加量可変特性Fjに規定された目標反力Ftarの軌跡を通るように反力Fが設定される。
【0040】
具体的には、第1目標反力Fn+Fbより大きい第2目標反力Fp+Fbが設定されると共に、この第2目標反力Fp+Fbより小さい第3目標反力(この実施形態では、第1目標反力Fn+Fbと同値とされるが、異なる値に設定することも可能であるため、第3目標反力という。)Fn+Fbが設定される。
【0041】
第2目標反力Fp+Fb中、強調反力Fp(反力増加量ともいうが、ベース反力Fbに重畳するバイアス量としての反力(反力増加バイアス量)と考えることができる。)は、定常反力Fnより大きい反力Fに設定される(Fp≧Fn)。
【0042】
そして、踏込量θ=θthでのベース反力Fbから、設定された反力増加量Fp分、第2目標反力Fp+Fbまで反力が階段状(ステップ状)に増加するように設定され、その後、既定時間経過後に第3目標反力Fn+Fbまで既定の減少特性で減少される反力Fが設定される。
【0043】
ここで、反力増加量可変特性Fjは、より詳細に説明すれば、例えば、
図6Aに示す反力増加量可変特性Fja、又は
図6Bに示す反力増加量可変特性Fjbが設定可能である。
【0044】
図6A及び
図6Bに示す反力増加量可変特性Fja及び反力増加量可変特性Fjbでは、基本的には、踏込量θが閾値踏込量θthに到達した時点t0にて、ベース反力Fbから反力増加量(強調反力)Fp分、第2目標反力Fp+Fbまで階段状に増加した後、既定時間Tα経過後の時点t2では、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力Fn+Fbまで減少するように設定される。
【0045】
この場合、
図6Aに示す反力増加量可変特性Fjaでは、既定時間Tα経過後に、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力Fn+Fbまで減少する際、第3目標反力Fn+Fbよりも大きい既定反力Fq+Fbまで急減し(時点t1参照)、時点t1以降は時点t2の第3目標反力Fn+Fbまで漸減するように設定されている。
【0046】
一方、
図6Bの反力増加量可変特性Fjbでは、既定時間Tα経過後に、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力Fn+Fbまで減少するように設定する際、時間と共に指数関数的に第3目標反力Fn+Fbまで減少するように設定している。
【0047】
なお、上述した目標反力Ftar(第1目標反力Fn+Fb、第2目標反力Fp+Fb、第3目標反力Fn+Fb)の各値、ベース反力特性(ベース反力Fb)、定常反力Fnの値、反力上昇速度可変特性Fiを規定する反力上昇速度ΔF/Δtの値、反力増加量可変特性Fjを規定する反力増加量(強調反力)Fp等は、車両11の駐車時等に、表示装置20及び操作部30を利用して、運転者の好み等に応じて変更することが可能になっており、メモリ23には、各デフォルトの特性が工場出荷時等に記憶されると共に、変更後の特性も記憶される。なお、これらの値、特性及び閾値踏込量θthは、運転者の意図・操作によることは勿論のこと、車速等の走行状態、あるいは舗装道路、未舗装道路、カーブ路、高速道路進入時、一般道路進入時等の走行シーンに応じて設定を変更することが可能である。
【0048】
この実施形態では、操作部30に、ダイヤルやボリュームスイッチを模擬した操作部を表示すると共に、各特性、各値を表示し、前記ダイヤルや前記ボリュームスイッチで調整することが可能となっており、そのようにして、各特性、各値設定を変更することができる。
【0049】
次いで、
図2のフローチャートに戻り、ステップS3にて、反力制御部22Aは、実際の走行中に、アクセルペダル12の踏込量θが閾値踏込量θthを上回るか否かを連続的に判定する。
【0050】
ステップS3の判定にて、踏込量θが閾値踏込量θthを上回った(ステップS3:YES)場合には、ステップS4にて、踏込量θに応じて、ステップS2にて決定(設定)した反力増加の仕方で、目標反力Ftarを出力することで、反力付与機構24を通じてアクセルペダル12に反力特性101(
図4参照)、又は反力特性102(
図5参照)に沿った反力Fが付与される。
【0051】
この場合、ステップS1にて、反力特性選択スイッチ26の操作により反力特性101(「反力:弱」)が選択(検出)されていた場合には、
図3Aのフローチャートに示すように、ステップS4Aにて、踏込量θに応じて設定した反力上昇速度ΔF/Δtでの反力上昇速度可変特性Fi(
図4参照)に沿って目標反力Ftar(Ftar=第1目標反力Fn+Fb)まで出力した後、ステップS4Bにて、第3目標反力Fn+Fbを出力し続ける。
【0052】
その一方、ステップS2にて、反力特性102(「反力:強」)が選択(検出)されていた場合には、
図3Bのフローチャートに示すように、ステップS41にて、階段状に増加した目標反力Ftar(Ftar=第2目標反力Fp+Fb)を出力した後、出力時点t0から計時部22Bにより経時される経過時間が閾値時間である既定時間Tαになるまでは(ステップS42:NO)、ステップS43にて、反力増加量可変特性Fja(
図6A参照)又は反力増加量可変特性Fjb(
図6B参照)に沿って反力Fを漸減し、経過時間が閾値時間である既定時間Tαになると(ステップS42:YES)、第3目標反力Fn+Fbを出力し続ける。
【0053】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、この実施形態に係るアクセルペダル反力制御装置10は、車両11に設けられたアクセルペダル12の踏込方向と反対方向の反力Fを制御する。このアクセルペダル反力制御装置10は、アクセルペダル12の踏込量θを検出する踏込量センサ14(踏込量検出部)と、アクセルペダル12に反力Fを付与する反力付与機構24(反力付与部)と、反力付与機構24による反力Fの増加の仕方を制御する反力制御部22A(反力制御手段)と、を備える。
【0054】
反力制御部22Aは、踏込量センサ14により検出された踏込量θが閾値踏込量θth以上になった場合に、反力付与機構24により付与する目標反力Ftarを設定し、閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftar(Ftar=第1目標反力Fn+Fb)に増加するまでの反力上昇速度ΔF/Δtを可変にするか、又は閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftar(Ftar=第2目標反力Fp+Fb)に増加させる反力増加量(強調反力)Fpを可変にするかを設定する。
【0055】
この場合、アクセルペダル12に反力Fを付与する際の反力Fの増加の仕方(反力の立ち上がり方)によって、運転者による反力Fの感じ方が異なる。また、その感じ方は、運転者の好み等によって異なる。
【0056】
この知見に着目し、閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftar(Ftar=Fn+Fb)に増加するまでの反力上昇速度ΔF/Δtを可変にするか、又は閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftar(Ftar=Fp+Fb)に増加させる反力増加量(強調反力)Fpを可変にするかを設定可能に構成することで、運転者の意図・操作等に応じた適切な反力の感じ方(フィーリング)を提供することができるため、例えば、運転者は、走行シーンや気分等の運転者の意図に沿ったアクセルペダル12の操作性(走り方)を選択することができる。
【0057】
反力制御部22Aは、反力上昇速度ΔF/Δtを可変に設定する場合の目標反力Ftarを第1目標反力Fn+Fbとし、反力増加量(強調反力)Fpを可変に設定する場合の目標反力Ftarを第2目標反力Fp+Fbとしたとき、第1目標反力Fn+Fbよりも、第2目標反力Fp+Fbの方を大きく設定する構成にしているので、反力上昇速度ΔF/Δtを可変に設定した場合には、反力増加量(強調反力)Fpを可変に設定した場合に比較して、閾値踏込量θthでの反力Fを、小さな値の第1目標反力Fn+Fbまで緩慢に立ち上げることができ、反力増加に伴う違和感を運転者に与えることが抑制される。
【0058】
一方、反力増加量(強調反力)Fpを可変に設定した場合には、閾値踏込量θthでの反力Fを、大きな値の第2目標反力Fp+Fbまで立ち上げることができるので、反力Fが増加したことが強調され、運転者に反力の増加をより大きな壁感として分かりやすく知らせることができる。反力増加量(強調反力)Fpを可変に設定する場合には、例えば、アクセルペダル12の踏込速度Δθ/Δt(単位時間あたりの踏込量θの変化)が速い程、所定の閾値の範囲内で、反力増加量(強調反力)Fpが大きくなるように設定することで、反力の強調を運転者に気づき易くし、アクセルペダル12の踏込速度Δθ/Δtが遅い程、所定の閾値の範囲内で、反力増加量(強調反力)Fpが小さくなるように設定することで、反力の強調に伴う運転者の煩わしさを低減することができる。
【0059】
なお、反力制御部22Aは、踏込量センサ14により検出された踏込量θが閾値踏込量θthになったとき、第2目標反力Fp+Fbまで階段状に増加させ、増加させた後、既定時間Tα経過後には、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力(この実施形態では、第1目標反力Fn+Fbと同値にしているが、変更することができる。)まで減少するように設定すると、閾値踏込量θthまで踏込まれた時点t0では、階段状に付与される第2目標反力Fp+Fbにより、運転者に反力Fの発生を強く壁感として知らせることができ、その後、第3目標反力Fn+Fbまで反力Fを漸減させることで、いつまでもアクセルペダル12が踏込みにくい状態が維持されてしまうのを抑制することができ、反力発生の分かり易さとアクセルペダル12の踏込操作性とを両立させることができる。
【0060】
ここで、反力制御部22Aは、既定時間Tα経過後に、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力Fn+Fbまで減少するように設定する際、第3目標反力Fn+Fbよりも大きい既定反力Fq+Fbまでは急減し、以降は第3目標反力Fn+Fbまで漸減するように設定するよう構成してもよい(
図6A参照)。この構成により、既定反力Fq+Fbまでは急減させることで大きい反力Fが長い時間保持されることがなくなり、運転者にとってアクセルペダル12の踏込み難い状態を解消すると共に、既定反力Fq+Fbまで減少させた以降は、反力Fを漸減させる(時点t1〜t2)ことにより、いわゆる急に反力が抜けてしまうという違和感を低減することができる。
【0061】
また、反力制御部22Aは、既定時間Tα経過後に、第2目標反力Fp+Fbよりも小さい第3目標反力Fn+Fbまで減少するように設定する際、時間経過と共に指数関数的に減少する(
図6Bの時点t0〜t2)ように設定するように構成する(
図6B参照)と、減少し始める際は急激に減少し、以降はなだらかに減少するため、踏込みにくい状態を早期に解消することと、急に反力が抜けてしまう違和感の低減とを両立することができる。
【0062】
さらに、反力上昇速度ΔF/Δtを可変にするか、又は反力増加量(強調反力)Fpを可変にするかを選択する選択部としての反力特性選択スイッチ26を有し、反力制御部22Aは、反力特性選択スイッチ26の操作による選択結果に応じて、前記いずれかの設定を行う構成としてもよい。この構成により、反力特性選択スイッチ26の運転者等による操作により反力上昇速度ΔF/Δtを可変にするか、又は反力増加量Fpを可変にするかを選択することができるため、アクセルペダル12の反力Fの感じ方(フィーリング)を運転者の意図により選択することができる。
【0063】
上述したように、この実施形態では、アクセルペダル12の踏込量θが閾値踏込量θth以上となったとき、その閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftarに増加するまでの反力上昇速度ΔF/Δtを可変にするか、又は閾値踏込量θthでのベース反力Fbから目標反力Ftarに増加させる反力増加量(強調反力)Fpを可変にするかを設定可能に構成したので、運転者の意図・操作等に応じた適切な反力Fの感じ方(フィーリング)を提供することができるという効果が達成される。
【0064】
このため、例えば、走行シーンや気分等に適合したアクセルペダル12の操作性(走り方)を選択することができるという派生的な効果が達成される。
【0065】
上述した実施形態では、設定した閾値踏込量θthでアクセルペダル12に反力F(荷重)を付与している。この反力F(荷重)を利用して足の踏込操作を止め易くしつつ、この反力Fを乗り越えた後の踏込時におけるアクセルペダル12の操作性を悪化させることなく、反力特性選択スイッチ26の「反力:弱」及び「反力:強」の各切換位置に合致した荷重感を付与することができる。
【0066】
また、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。