(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態による熱伝導性感圧接着テープは、様々な被着体、例えば、電気及び電子製品に有利に貼着できる、優れた接着強度、高熱伝導率、及びハロゲンフリーの難燃性を有する。いくつかの実施形態において、本発明の熱伝導性感圧接着テープは、電気及び電子製品に貼着されるときに、機械的結合手段を用いることなく充分に結合できる。いくつかの実施形態において、本発明の熱伝導性感圧接着テープは、優れた接着強度(トルク力に関して6kgf・cm以上(0.6Nm以上))、高熱伝導率(0.6W/m・k以上)、及びハロゲンフリーの難燃性(NHFR)(UL94−V0規格)を同時に提供できる。
【0011】
一実施形態において、組成物の総重量に基づいて、
(a)5〜70重量%のエポキシ成分と、
(b)5〜60重量%の熱伝導性材料と、
(c)0.001〜10重量%の光開始剤と、
(d)0〜40重量%の熱可塑性ポリマーと、
(e)0〜50重量%のヒドロキシル官能性成分と、
(f)0〜50重量%のハロゲンフリー難燃剤と、を含む、熱伝導性接着剤組成物が提供される。
【0012】
別の実施形態において、組成物の総重量に基づいて、
(a)5〜60重量%のエポキシ成分と、
(b)10〜50重量%の熱伝導性材料と、
(c)0.1〜8重量%の光開始剤と、
(d)1〜40重量の%熱可塑性ポリマーと、
(e)0〜20重量%のヒドロキシル官能性成分と、
(f)0〜40重量%のハロゲンフリー難燃剤と、を含む、熱伝導性接着剤組成物が提供される。
【0013】
更に別の実施形態において、組成物の総重量に基づいて、
(a)10〜50重量%のエポキシ成分と、
(b)15〜40重量%の熱伝導性材料と、
(c)0.1〜6重量%の光開始剤と、
(d)2〜30重量%の熱可塑性ポリマーと、
(e)0〜10重量%のヒドロキシル官能性成分と、
(f)0〜30重量%のハロゲンフリー難燃剤と、を含む、熱伝導性接着剤組成物が提供される。
【0014】
更に別の実施形態において、組成物の総重量に基づいて、
(a)15〜45重量%のエポキシ成分と、
(b)20〜40重量%の熱伝導性材料と、
(c)0.5〜4重量%の光開始剤と、
(d)5〜25重量%の熱可塑性ポリマーと、
(e)1〜5重量%のヒドロキシル官能性成分と、
(f)1〜25重量%のハロゲンフリー難燃剤と、を含む、熱伝導性接着剤組成物が提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、
(i)裏材層と、
(ii)本発明の上記のいずれか1つの実施形態において提供される熱伝導性接着剤組成物を含み、裏材層の少なくとも片面に設けられた、熱伝導性感圧接着剤層と、を備える、熱伝導性感圧接着テープを提供する。
【0016】
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着テープでは、様々な材料が使用され得る。以下では、本発明での使用に好適な材料について説明する。
【0017】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての部、百分率、濃度などは、すべて、重量基準である。
【0018】
別段の指定がない限り、成分のすべての量は、組成物又はテープ内の接着剤層の総重量に基づいている。
【0019】
A.エポキシ成分
本明細書に記載のエポキシ成分は、1種類以上のエポキシ樹脂及び/又はモノマーを含み、接着構造構成の形成に使用される。
【0020】
本発明で有用なエポキシ樹脂は、開環反応によって重合可能であるオキシラン環を少なくとも1つ有する任意の有機化合物であってよい。エポキシドとしても知られるこのような材料は、モノマー及びポリマーエポキシドの両方を含み、例えば、脂肪族、脂環式、複素環式、又は芳香族であってよく、更にこれらの組み合わせであってよい。低Tgを有する液体エポキシ樹脂は、好ましくは、室温で良好な粘着性及び接着性を有する接着剤組成物を提供するために使用される。すなわち、本発明には、好ましくは室温よりも低いTgを有するエポキシ樹脂が選択される。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられるが、これらに限定されない。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、約100〜約5000、好ましくは約300〜約4000の範囲、及び最も好ましくは約500〜約3000の範囲で様々であってよい。
【0021】
本発明で使用するエポキシ成分は、望ましくは約80g/eq〜約1000g/eq、より望ましくは約100g/eq〜約800g/eq、更により望ましくは約100g/eq〜約400g/eqのエポキシ当量を有する1種類以上のエポキシ樹脂を含む。一実施形態において、本発明のエポキシ成分は、異なるエポキシ当量を有する、2種類以上のエポキシ樹脂を含む。
【0022】
本発明で使用するのに好適なエポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、及び脂肪族エポキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
芳香族エポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、及びテトラブロモビスフェノールAが挙げられる。
【0024】
脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1つの脂環式環と、シクロヘキセン環含有化合物又はシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することにより得られるシクロヘキセンオキシド含有化合物又はシクロペンテンオキシド含有化合物と、を有する、多価アルコールのポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0025】
具体例は、(3,4−エポキシシクロへキシル)メチル3,4−エポキシ−シクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、(6−メチル−3,4−エポキシシクロへキシル)メチル6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)メチル3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロへキシルメチル)アジパート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロへキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタル酸、及びジ−2−エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタル酸など、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
【0026】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はそのアリレンオキシド付加物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合によって合成されたホモポリマー、並びにグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合及び他のビニルモノマーによって合成されたコポリマーが挙げられる。典型的な例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど多価アルコールのグリシジルエーテル、1種類以上のアルキレンオキシドをプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、及びグリセロールなど脂肪族多価アルコールに添加することにより得られるポリエーテルポリオールポリグリシジルエーテル、並びに脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。また、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、アルキレンオキシドの添加により得られる、そのフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、又はポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸、エポキシ化大豆油、オクチルエポキシステアレート、ブチルエポキシステアレート、及びエポキシ化ポリブタジエンのグリシジルエステルが挙げられる。
【0027】
本発明のエポキシ成分は、上記のポリエポキシ化合物から選択された1種類以上のエポキシ樹脂を含む。
【0028】
本発明では、多数の市販のエポキシ樹脂を使用してよい。容易に入手できるエポキシドとしては、Blue Star Materials Company(China)から入手可能なジフェノールプロパンエポキシ樹脂618/0164E、163、Baling Petrochemical Corp.(China)から入手可能なジフェノールプロパンエポキシ樹脂CYD128、DIC company(China)から市販されているジフェノールプロパンエポキシ樹脂850、Blue Star Materials company(China)から市販されているフェノール系エポキシ樹脂F44、F48、F51が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明で使用するエポキシ成分は、接着剤組成物又はテープの所望の特性に応じて異なる量で、1種類以上のエポキシ樹脂を含んでよい。望ましくは、エポキシ成分は、接着剤組成物又は接着テープの接着剤層の総重量に基づいて、最大約70重量%、より好ましくは最大約60重量%、更により好ましくは最大約50重量%、最も好ましくは最大約45重量%の量で存在する。より望ましくは、エポキシ成分は、接着剤組成物又は接着テープの接着剤層の総重量に基づいて、約5重量%超、より好ましくは約10重量%超、更により好ましくは約15重量%超の量で存在する。更により望ましくは、エポキシ成分は、接着剤組成物又は接着テープの接着剤層の総重量に基づいて、約5重量%〜約70重量%、好ましくは約5重量%〜約60重量%、更により好ましくは約10重量%〜約50重量%、及び最も好ましくは約15重量%〜約45重量%の量で存在する。
【0030】
一実施形態において、Kukdo Chemical(Kunshan)Co.Ltd.(China)から市販されているYD128が使用される。YD128は、約187のエポキシ当量を有し、室温及び大気圧において液体である。
【0031】
B.熱伝導性材料
本発明の組成物は、熱伝導性充填剤など熱伝導性材料を含む。熱伝導性に加えて高い電気絶縁性を得るために、好ましくは電気絶縁性かつ熱伝導性の充填剤が使用される。好適な材料としては、セラミック、金属酸化物、金属窒化物、及び金属水酸化物、例えば、Al(OH)
3、BN、SiC、AlN、Al
2O
3、Si
3N
4などが挙げられるが、これらに限定されない。熱伝導性材料は、好ましくは100W/m・k以上の熱伝導率を有する。これらの材料は、単独で、又はこれらの2種類以上を組み合わせて使用され得る。熱伝導性材料の量は、所望の熱伝導性と接着組成物の好適な凝集とのバランスを考慮して、組成物又は接着剤層の総重量(100重量%)に基づいて、約5〜60重量%、好ましくは約10〜50重量%、更により好ましくは約15〜40重量%、最も好ましくは約20〜40重量%の範囲である。粒径の異なる充填剤を組み合わせて同時に使用することができる。好ましい平均粒径は、層の厚さに応じて、約0.01〜50μmの範囲である。本発明の接着剤又はテープは、感圧接着剤結合用途向けの10〜500μm、好ましくは30〜300μmの厚さを有する製品として作製され得る。熱伝導性充填剤の寸法は、片面にコーティングされた乾燥接着剤層の厚さ、又は裏材層に任意の技術手段で取り付けられたか、位置付けられた乾燥接着剤層の厚さ以下になる。
【0032】
層の凝集性を高めるためには、シラン、チタネートなどにより表面処理された熱伝導性充填剤を使用することができる。好適な熱伝導性充填剤の例としては、窒化ホウ素(BN)及びアルミニウム三水和物(ATH)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、好ましくは粒径の異なるBN充填剤が使用される。本発明に好適な市販の熱伝導性充填剤の例としては、Yingkou Pengda Chemical Material Company(China)又はMomentive Company(China)から市販されている窒化ホウ素充填剤CF200、CF100、及びCF300が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
例えば、Yingkou Pengda Chemical Material Company(China)からの、平均粒径8〜15μm、粒径分布:4.45μm、<25重量%、7.3μm<50重量%、10.5μm<75重量%、13.4μm<90重量%、表面積3〜5m
2/g、タップ密度0.35g/ccを有するBN粉末CF200を含む熱伝導性材料が使用される。
【0034】
別の実施形態において、金属水和物、例えば、Suzhou Ruifeng Material Company(China)からの平均粒径5〜10μm、D10/D90:1/15μmを有する水酸化アルミニウム(ATH)を含む熱伝導性材料が使用される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態で使用される好ましい材料は、アルミニウム水和物である。
【0036】
C.光開始剤
本接着剤組成物又はテープはまた、感圧接着剤を架橋するための硬化剤として有効量の光開始剤成分を含む。本発明で用いるための光開始剤は、望ましくは、光化学的手段、例えば、化学線(すなわち、紫外線、又は電磁スペクトルの可視部分の波長を有する放射線)又はEビームによって活性化される。熱による開始と比較すると、光開始は、エネルギー消費量を考慮すると、著しく効率的である。
【0037】
組成物又は接着剤層の総重量に基づいて、光開始剤は、約0.001〜10重量、好ましくは(preferable)約0.1〜8重量%、更により好ましくは約0.1〜6重量%、最も好ましくは約0.5〜4重量%の量で存在する。本明細書で使用する光開始剤の量は、光源及び露出度に応じて異なってよい。望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、最大約10重量%の量で存在してよい。より望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、最大約8重量%の量で存在してよい。更により望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、最大約6重量%の量で存在してよい。更により望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、最大約4重量%の量で存在してよい。望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%超の量で存在してよい。より望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%超の量で存在してよい。更により望ましくは、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%超の量で存在してよい。一実施形態において、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%〜約10重量%の量で存在してよい。別の実施形態において、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約8重量%の量で存在してよい。更に別の実施形態において、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約6重量%の量で存在してよい。更に別の実施形態において、1種類以上の光開始剤が、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約4重量%の量で存在してよい。
【0038】
本発明で使用する光開始剤は、ラジカル光開始剤又はカチオン性光開始剤など任意の好適な光開始剤であってよい。具体的には、異なる光開始剤を組み合わせて使用することができ、例えば、ラジカル光開始剤及びカチオン性光開始剤を併用できる。光開始剤の例としては、α−アミノケトン基を含む光開始剤、ベンジルケタール基を含む光開始剤、ベンゾフェノン基を含む光開始剤、若しくはアリールヨードニウム塩型光開始剤、アリールスルホニウム塩型光開始剤、アルキルスルホニウム塩型光開始剤、鉄芳香族塩型化合物、アシル化スルホニルウレア酸素ラジカルケトンなど、又はこれらの混合物が挙げられてよい。好ましくは、ヨードニウム及びスルホニウム錯塩などオニウム塩型光開始剤が使用される。光開始剤は、70℃超の融点を有してよい。本発明製品により高い耐熱性を得ることを考慮すると、好ましくは高融点を有する光開始剤が使用される。異なる光開始剤を別々に、又は混合物として同時に組成物に添加してよい。
【0039】
好適な市販の光開始剤としては、Shanghai H&C Fine Chemical Co.Ltd.(China)から入手可能なTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、Guangzhou Topwork Chemical Company(China)から入手可能な1107(2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン)、Shanghai H&C Fine Chemical Co.,Ltd(China)から入手可能な184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、Shanghai H&C Fine Chemical Co.Ltd.(China)から入手可能な1105(2−イソプロピルチオキサントン(4−異性体との混合物))及びDETX(2,4−ジエチルチオキサントン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
カチオン性光開始剤1190は、本発明の少なくとも1つの実施形態で使用される。1190は、IGM Resins(China)から市販されているトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の新しい混合物であり、エポキシ、オキセタン、及びビニルエーテル処方のカチオン性硬化のためにビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィド、ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、及びジフェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム(phenylsufonium)ヘキサフルオロホスフェートからなる。
【0041】
D.熱可塑性ポリマー
本発明の接着剤組成物及びテープは、熱可塑性ポリマーを含んで、コーティングプロセス及び接着フィルムの形成を促進してよい。熱可塑性ポリマーは、本発明組成物で使用するエポキシ樹脂と良好な適合性を有する必要がある。本明細書で使用する熱可塑性ポリマーは好ましくは、コーティングプロセス及び接着フィルムの形成において必要である良好な特性及び適切な分子量を確保するために、100℃において10〜100、好ましくは10〜70の範囲のムーニー粘度を有する。熱可塑性ポリマーの分子量が低すぎると、ポリマーは、コーティングフィルムを形成するために好適な凝集性を有さない。一方、熱可塑性ポリマーの分子量が高すぎると、コーティングプロセスのために溶媒にポリマーを容易に溶解させることができない。
【0042】
本発明で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーは特に限定されるものではなく、従来技術で標準的に接着剤として用いられる熱可塑性ポリマー樹脂を特に制限なしに使用することができる。本発明に好適な熱可塑性ポリマーの例としては、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリルポリマー樹脂、エポキシ変性アクリルポリマー樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
好ましくは、1種類以上のエチレンビニルアセテートコポリマーを含むエチレンビニルアセテートコポリマー成分を使用することができる。コポリマー中のビニルアセテートの含有率は、約1〜約99重量%、好ましくは約20〜約90重量%の範囲で様々であってよい。
【0044】
本発明における使用に適したアクリルポリマーは特に限定されるものではなく、従来技術において接着剤として使用されるあらゆるアクリルポリマー樹脂を特に制限なく使用することができる。接着剤組成物中に使用されるベースポリマーは、本発明における使用に先立って重合させるか、又は他の材料と混合するプロセスにおいて紫外線重合反応を行うことによって得ることができる。
【0045】
アクリルポリマー樹脂の好ましい例としては、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を有する(メタ)アクリルエステルモノマーと、その(メタ)アクリルエステルモノマーとの共重合に適した極性モノマーとの共重合によって形成されるポリマーが挙げられる。
【0046】
1〜12個の炭素原子を有するアルキル基を有する(メタ)アクリルエステルモノマーの例としては、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又はイソノニル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
(メタ)アクリルエステルモノマーと共重合可能な極性モノマーの例としては、(メタ)アクリレート、マレイン酸、及びフマル酸などカルボキシル基含有モノマー、又はN−ビニルピロリドン及びアクリルアミドなど窒素含有モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらの極性モノマーは、接着剤に凝集性をもたらし、接着強度を向上させるように作用し得る。
【0048】
(メタ)アクリルエステルモノマーに対する極性モノマーの含有率は、特に限定されるものではなく、極性モノマーの量は、全モノマーの総重量に基づいて好ましくは約1〜20重量%である。
【0049】
アクリルポリマーの分子量も特に限定されない。IV(固有粘度)が>0.8、好ましくは>1.0であり、ガラス転移温度が約−30°以下であるアクリルポリマーが本発明において好ましく使用される。
【0050】
本発明で使用するのに好適なアクリルポリマーの具体例としては、Eternal Chemical Company(China)から市販される、M017、SM30、M029、及びM027という商品名で入手可能なものが挙げられる。全組成物中のアクリル系ポリマーの含有率は、組成物の総重量(100重量%)に基づいて約15〜60重量%、より好ましくは約20〜50重量%である。
【0051】
エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)の一例は、80重量%のビニルアセテート含有率及び100℃において28のムーニー粘度を有する、Lanxess Company(Germany)から入手可能なLEVAPREN 800 HVである。
【0052】
熱可塑性ポリマーは、組成物又は接着剤層の総重量に基づいて、約0〜40重量%、より好ましくは(more preferable)約0〜30重量%、及び最も好ましくは約0〜20重量%の量で存在してよい。本明細書で使用する熱可塑性ポリマーの量は、組成物のフィルム形成に影響し得る。望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、最大約40重量%の量で存在してよい。より望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、最大約30重量%の量で存在してよい。更により望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、最大約25重量%の量で存在してよい。最も望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、最大約20重量%の量で存在してよい。望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約1重量%超の量で存在してよい。より望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約2重量%超の量で存在してよい。より望ましくは、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約5重量%超の量で存在してよい。一実施形態において、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約0重量%〜約40重量%の量で存在してよい。別の実施形態において、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約1重量%〜約40重量%の量で存在してよい。更に別の一実施形態において、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約2重量%〜約30重量%の量で存在してよい。更に別の一実施形態において、熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約5重量%〜約25重量%の量で存在してよい。
【0053】
E.ヒドロキシル官能性成分
組成物は、0〜50重量%のヒドロキシル官能性成分(ポリオールなど)を更に含んでよい。ヒドロキシル官能性成分は、光開始剤の効果を促進し得る。更なる光への曝露がないとしても、より効率的に反応を続行し得る。
【0054】
本発明で使用するのに好適なポリオールは特に限定されるものではなく、少なくとも約1つのヒドロキシル官能基を有する1種類以上のヒドロキシル含有化合物を含んでよい。市販のポリオールの例としては、Shandong Blue Star company(China)から入手可能なDL−400、DL−1000D、DL−2000D、EP−330N、POP−36、及びPOP−28が挙げられ、これらのポリオールは、すべてShanghai Xiangkang Chemical Company(China)から入手可能である。
【0055】
ポリオールを使用することにより、優れた硬化性を提供する3官能プレポリマーを調製できる。結果として生じる系は、1液型(湿気硬化型)系又は2液型(触媒型)系のいずれかであり得る。
【0056】
一実施形態において、DOW Chemical(USA)から入手可能であり、分子量700を有する、中反応性ポリエーテルトリオールである、VORANOL 2070ポリオールが使用される。
【0057】
組成物又は接着剤層の総重量に基づいて、ヒドロキシル官能性成分は、約0〜50重量%、好ましくは(preferable)約0〜40重量%、より好ましくは(more preferable)約0〜20重量%、更により好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは約0.5〜8重量%、最も好ましくは約1〜5重量%の量で存在してよい。望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、最大約50重量%の量で存在してよい。より望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、最大約20重量%の量で存在してよい。更により望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、最大約10重量%の量で存在してよい。更に望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、最大約8重量%の量で存在してよい。最も望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、最大約5重量%の量で存在してよい。望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%超の量で存在してよい。より望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%超の量で存在してよい。更により望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%超の量で存在してよい。更に望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約2重量%超の量で存在してよい。最も望ましくは、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約3重量%超の量で存在してよい。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル官能性成分は、組成物の総重量に基づいて、約0重量%〜約50重量%、好ましくは約0.1〜20重量%、最も好ましくは約0.5〜8重量%の量で存在してよい。
【0058】
F.ハロゲンフリー難燃剤
ハロゲンフリー難燃剤は、窒素含有化合物系難燃剤、グラファイト材料系難燃剤、シアヌル酸メラミン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、金属酸化物系難燃剤、金属リン酸塩系難燃剤、金属ホウ酸塩系難燃剤、及び有機リン酸塩系難燃剤からなる群から選択されてよい。好適な例としては、MPP(ポリリン酸メラミン)、Mg(OH)
2、Al(OH)
3、ホウ酸亜鉛、APP(ポリリン酸アンモニウム)、DMMP(ジメチルメチルホスホン酸)、TPP(リン酸トリフェニル)、リン酸亜鉛、MCA(シアヌル酸メラミン)、MP(リン酸メラミン)、DOPO(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキシド)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
リン系難燃剤は高い難燃効率を有し、望ましくは本発明で使用される。水和金属化合物は、リン化合物との良好な相乗効果及び良好な熱伝導率のために、好ましくはリン含有塩と共に使用するように選択される。水和金属化合物の例としては、Al(OH)
3、Mg(OH)
2などが挙げられる。
【0060】
有機リン系難燃剤の例としては、これらに限定されるものではないが、有機リン酸エステル及び有機リン酸塩が挙げられる。例えば、Clariant Chemicals Company(China)から市販されている、23〜24重量%の高リン含有率を有する固形充填剤型の有機リン酸塩であるOP935が使用された。
【0061】
充填剤型の難燃剤によって引き起こされ得る接着剤の接着強度の低下を防止するため、本発明者らは、複数の異なる種類の難燃剤を同時に添加し得ることを見出した。異なる種類の難燃剤の間の高い相乗効果が予期せずして得られ、これを充分に利用することで使用体積が減少し、高い接着強度が得られている。
【0062】
いくつかの実施形態において、リン化合物との良好な相乗効果をもたらし、良好な熱伝導率を更にもたらすため、金属水酸化物難燃性材料が好ましくは選択され、リン塩と共に使用される。Mg(OH)
2、Al(OH)
3、好ましくはAl(OH)
3、例えば、Xusen Company(China)から市販されているATHが用いられ得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、OP935及びATHとの良好な相乗効果のために、ホウ酸亜鉛又はリン酸亜鉛などの金属ホウ酸塩及び/又は金属リン酸塩難燃剤材料が添加される。好ましくは、ホウ酸亜鉛が使用される。ホウ酸亜鉛は、例えば、Xusen Company(China)から入手可能である。
【0064】
いくつかの実施形態において、Chengzaicheng Company(China)から入手可能なP30(液体難燃ポリマー、リン酸トリフェニル(CAS:115−86−6)と芳香族リン酸エステルとの混合物、リン含有率8〜9重量%)など有機リン酸塩難燃性材料が添加されて、難燃性を損なうことなく、接着剤組成物の粘着性を増加する。
【0065】
いくつかの他の実施形態において、有機リン塩の難燃性(OP935)粉末材料(リン含有率23〜24重量%、粒径D95<10μm、密度1.2g/cm
3、分解温度>300℃、Clariant Chemicals Company(India)から入手可能)が使用される。
【0066】
すべての難燃剤は、組成物の総重量(100重量%)に基づいて、約0〜50重量%、好ましくは約0〜40重量%、より好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは約1〜25重量%の範囲の量で添加される。
【0067】
G.任意成分
本発明の組成物及びテープはまた、粘着付与剤、酸化防止剤、カップリング剤、増粘剤、補助難燃剤、消泡剤、色素、界面活性剤、表面改質剤などを、組成物の総重量に基づいて、約0〜5重量%、より好ましくは0〜3重量%、更により好ましくは0.1〜2重量%、及び最も好ましくは0.2〜1重量%の量で含んで、組成物及びテープにその用途に応じて好ましい物理的特性をもたらしてよい。
【0068】
高い接着強度を得るため、本発明の接着剤組成物の一部の実施形態では粘着付与樹脂が好ましく使用されている。好ましい粘着付与剤としては、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂などからなる群から選択される1以上の種類のものが挙げられる。好ましい粘着付与剤は異なる軟化点を有するものであり、これにより接着剤組成物に良好な粘着性及び接着性を付与することができる。好適な粘着付与剤の例としては、Arizona Chemicalv(USA)、Arizona Chemical(USA)、及びWu Zhou Sun Shine Company(China)からそれぞれ販売されるTP2040、GAAT、GA90Aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
カップリング剤の例は、シランカップリング剤及び有機チタネートカップリング剤である。例えば、本発明では、Dow Corning(USA)からのA171を適用できる。
【0070】
組成物は、更に溶媒を含んでよい。溶媒の量は、広い範囲にわたって様々であってよい。いくつかの実施形態において、溶媒は、組成物の総重量に基づいて、最大約70重量%、又は最大約60重量%、又は最大約50重量%、又は最大約40重量%の量で存在してよい。いくつかの実施形態において、溶媒は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%超、又は約20重量%超、又は約30重量%超、又は約40重量%超の量で存在してよい。本明細書における好適な溶媒の例としては、エチルアセテート、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコールなどのアルコール、アセトンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
H.テープ構造
本発明はまた、熱伝導性感圧接着テープを提供する。テープは、少なくとも1つの感圧接着剤層と、裏材層と、を備え、感圧接着剤層は、本発明のいずれか1つの実施形態によって提供される感圧接着剤組成物を含む。
【0072】
一実施形態において、熱伝導性感圧接着テープは、(i)裏材層と、(ii)裏材層の少なくとも片面に設けられ、感圧接着剤組成物を含む熱伝導性感圧接着剤層であって、接着剤組成物は、接着剤組成物の総重量に基づいて、(a)5〜70重量%のエポキシ成分と、(b)5〜60重量%の熱伝導性材料と、(c)0.001〜10重量%の光開始剤と、(d)0〜40重量%の熱可塑性ポリマーと、(e)0〜50重量%のヒドロキシル官能性成分と、(f)0〜50重量%のハロゲンフリー難燃剤と、を含む、熱伝導性感圧接着剤層と、を備える。
【0073】
テープは、例えば、両面接着テープ及び片面接着テープなど様々な構造を有してよい。
図1〜3は、3種類の構造を参考として示している。
【0074】
図1は、接着フィルムテープの断面図である。
図1に示されるテープ10は、裏材層11と、熱伝導性感圧接着剤層12と、を備える。裏材層は、当該技術分野において一般に使用される任意のベース材料であってよい、剥離ライナーであり得る。剥離ライナーは、接着剤層の支持材及び/又は保護材として作用し、テープを適用する前に取り外されてよい。
【0075】
図2は、別の実施形態による別の接着テープ20の断面図である。このような構造は、当該技術分野において両面テープとも称される。接着テープ20は、剥離ライナー21と、第1接着剤層22と、裏材層23と、第2接着剤層24と、を連続的に備える。この実施形態において、第1熱伝導性感圧接着剤層22及び第2熱伝導性感圧接着剤層24は、裏材層23の片面に配置される。この裏材層23は、主に接着剤層22及び24を支持するための中膜として作用し、当該技術分野において一般に担体と称される。剥離ライナー21は、主に第1接着剤層22を保護する。あるいは、第2接着剤層24に貼り付けられた別の剥離ライナーが設けられて、第2接着剤層24が損傷しないようにしてよい。
【0076】
図3は、本発明の一実施形態による更に別の接着テープ30の断面図である。このような構造は、当該技術分野において片面テープとも称される。片面接着テープ30は、剥離ライナー31と、接着剤層32と、裏材層33と、を備える。接着剤層32は裏材層33の片面に配置され、一方、剥離ライナー31は、裏材層33と反対側の、接着剤層32の片面に配置される。
【0077】
上記のように、接着剤層12、22、24、及び32は、本発明のいずれか1つの実施形態によって提供される感圧接着剤組成物を含む。
【0078】
両面テープ構造など、多接着剤層テープ構造において、接着剤層の組成物は、同じであっても、異なっていてもよい。
【0079】
各層の厚さは、特に限定されない。乾燥接着剤層の場合、制限はなく、単一層の厚さは、プロセス能力に応じて、0.005〜0.3mmの範囲であってよい。一実施形態において、0.1mmの片面層厚が使用される。
【0080】
必要な絶縁特性など、実際の用途に応じて選択され得る裏材層の厚さは、特に限定されない。一般に、裏材層の厚さは、0.001〜0.5mmの範囲であってよいが、特に限定されない。
【0081】
テープの裏材層は、当該技術分野において一般に使用される任意のテープであってよい。例えば、裏材層は、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ガラス繊維メッシュなどからそれぞれ選択されてよい。本明細書で用いるとき、「担体」は、「裏材」とほぼ同じ特性を有するが、担体は、一般に両面テープに使用される裏材層と称され、裏材は、一般に片面テープに使用される裏材層として称される。担体及び裏材に好適な材料は、ほぼ同じである。
【0082】
本発明に好適な裏材及び担体は特に限定されない。当該技術分野において使用される任意の従来の裏材材料及び担体材料を本発明で使用することができる。例えば、担体は、当該技術分野において周知の剥離ライナー及び/又は裏材材料であってよく、裏材は、ポリイミド(PI)フィルム及び熱伝導性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど超薄型プラスチックフィルム(例えば、50μm未満、好ましくは30μm未満の厚さを有するフィルム)、又はガラス繊維クロスなど絶縁性織布材料若しくは絶縁性不織布材料であってよい。本発明のいくつかの実施形態で好ましいクロスは、Shanghai Boshe Industry Company(China)から市販されているものなどのガラスクロスである。
【0083】
接着テープの製造プロセスを以下のように説明する。
【0084】
本発明の感圧接着テープは、感圧接着テープなどの製造に従来より使用されている任意の方法に従って製造することができる。例えば、接着テープは、溶媒ベースの混合及びコーティングプロセス、又は紫外線若しくは電子線重合プロセスなどの無溶媒配合及びコーティングプロセスによって得ることができる。あるいは、感圧接着剤組成物は、裏材層の片面若しくは両面、又は剥離ライナー(接着剤層を支持するために使用される場合)に直接コーティングされてよい。あるいは、感圧接着剤層を独立層として別に形成した後、この感圧接着剤層を剥離ライナー又は裏材層上にラミネートしてよい。接着剤層のコーティングを行うためには、溶媒ベースコーティング及び無溶媒コーティングなどの一般的に用いられている方法を使用することができる。感圧接着剤層の裏材層に対する接着性を高めるため、コーティング又はラミネート工程の前に、裏材の表面にプライマー処理を行うことが好ましい。プライマー処理に代えるか又はこれに加えて、他の前処理を行ってもよい。このような前処理は、アクリル酸ヒドロキシエチル又はメタクリル酸ヒドロキシエチルなどの反応性化学接着プロモーター、又は低分子量の他の反応性化学種を使用するか又は使用することなく行うことができる。裏材層はポリマーフィルムで構成されているため、コロナ放電処理が一般的には好ましい。本発明の感圧接着テープは、上記に述べた様々な特性の優れたバランスを有するものと予想され、したがって、軟質〜硬質の物品を含む様々な被着体に有利に貼着することができる。更に、優れた特性を有する接着構造などを提供することができる。例えば、本発明の熱伝導性感圧接着テープは、電源、LED(発光ダイオード)、自動車、エレクトロニクス、モーター、電気通信、半導体、HHM(手持ち式機械)製品など多くの技術分野で有利に使用することができる。
【0085】
参考として、接着テープを作製する方法について以下に簡潔に説明する。
【0086】
溶媒ベースプロセスにおける成分の添加順及び混合順は、特に限定されるものではない。一実施形態において、高剪断攪拌器を使用して、溶媒中で全成分を混合して、均質の接着剤混合物を得る。好ましくは、光開始剤成分は、すべての他の成分が完全に溶解したか、分散し、均質の混合物を得た後で、最後に添加する。組成物は、背光性環境下で混合し、暗い環境で保持する。特に、日向に置かないようにする。溶媒は、接着剤系の粘度に応じて、プロセスに対して任意である。溶媒は、コーティングしやすくするために使用されるが、本発明製品における必須成分ではない。混合物は、減圧下で真空ポンプによって脱気し、次いで、これを剥離ライナー又は裏材層上にコーティングして接着テープ製品を形成する。複数の接着剤層をコーティングしてよい。例えば、上記の
図2に示されるように、裏材層上に第2接着剤層を連続的にコーティングして、2つの接着剤層を有する接着テープを形成してよい。コーティングは、好ましくは背光性環境下で行い、最終製品は暗い環境で保持する。特に、日向に置かないようにする。
【0087】
本発明の理解を助けるために、以下に実施例及び比較例を示すが、これらは本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。特に断らない限り、すべての部及び百分率は重量基準である。以下のような試験方法及びプロトコルが、後述する例示的及び比較例の評価で使用された。
【0088】
実施例で用いる材料を以下にまとめる。
【0089】
ポリマーA:LEVAPREN 800 HV、EVA、酢酸ビニル含有率:80%。ムーニー粘度(100℃):28、Lanxess Company(Germany)から市販。
ポリマーB:M029、Eternal Chemical Companyから市販、アクリルポリマー、IV>1.0、固形分30%
ポリマーC:YD128、Kukdo Chemical(Kunshan)Co.Ltd(China)から、エポキシ当量約187、室温及び大気圧において液体
ポリマーD:VORANOL 2070、Dow Company(USA)から、ポリエーテルトリオール、分子量700
樹脂:GA90A、Wu zhou Sun shine Company(China)から、ロジンエステル、軟化点:85〜95℃
光開始剤:カチオン性光開始剤1190、IGM Resins(China)から、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩の混合物
架橋剤:芳香族ビスアミド化合物、RD−1054、3M Company(USA)から、5重量%キシレン溶液として使用。
難燃剤A:P30、Chengzaicheng Company(China)から、液体型難燃剤、リン酸トリフェニル(CAS:115−86−6)と芳香族リン酸エステルとの混合物、リン含有率:8〜9重量%
溶媒:エチルアセテート
カップリング剤:A171、Dow Corning(USA)から
熱伝導性材料A:CF200、Yingkou Pengda Chemical Material Company(China)から、BN粉末、平均粒径:8〜15μm、表面積:3〜5m
2/g、タップ密度:0.35g/cc、<25% 4.45μm、<50% 7.3μm、<75% 10.5μm、<90% 13.4μm。
熱伝導性材料B:ATH、Suzhou Ruifeng Material company(China)から、平均粒径5〜10μm;D10/D90:1/15μm
難燃剤B:OP935、Clariant Chemicals Company(India)、有機リン酸塩、リン含有率:23〜24重量%、粒径:D95<10μm、密度:1.2g/cm
3、分解温度>300℃
【実施例】
【0090】
表1に示すように実施例1〜9及び比較例1を調製し、評価した。
【0091】
(実施例1)
プロセス:
表1に記載の成分を使用する。
【0092】
最初に、エポキシ成分、EVA、VORANOL 2070ポリオール、難燃性材料A、カチオン性光開始剤1190、及び溶媒の第1部をプラスチックボトル内で混合した。均質の混合物を得るまで結果として生じた混合物を室温で攪拌し、ポリマー接着剤混合物を得た。
【0093】
次いで、溶媒の第2部とカップリング剤との混合物に熱伝導性充填剤A及び難燃性材料Bを添加し、均質のスラリーを得るまで室温で約30分間攪拌した。溶媒の第1部及び第2部の合計を表1に明記した。上記のポリマー接着剤混合物にスラリーを回分式に添加し、実質的に均質の接着剤混合物を得るまで室温で約30分間攪拌した。最終的な接着剤混合物は40%の固形分を有していた。次いで、混合した接着剤組成物を剥離ライナー上にコーティングし、次いで、40℃、80℃、110℃、及び120℃に設定された4つの加熱帯を有する炉を(各加熱帯で4〜6分間かけて)通過させて乾燥させ、ATT(接着剤転写テープ)製品を製造した。上記の接着剤組成物をPIフィルム上に両面コーティングして、試験用テープ製品を形成した。
【0094】
(実施例2〜9):
実施例2〜9の組成物調製物及び試料調製物は、表1に示した各成分及び比を使用した以外は実施例1と同様とした。比較例1は、表1に示した成分を使用して調製する。
【0095】
試験方法及びデータ
開裂接着強度:
引張試験装置(Instron 5565、Instron Corp.から入手可能)を使用した。イソプロパノールを使用して、アルミニウム試験ブロック(1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm))を拭いた。
【0096】
接着シートの一般的な調製法に従って調製するときに、1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)に測定したテープから保護ライナーの1つを取り外すことによりアセンブリを調製した。次いで、D型電球を装備したFusion UV Curing System(Fusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD))として入手可能なUVランプから放射される長波長紫外線の量で露出した接着面を照射した。接着面を照射するために使用したエネルギー量は、320〜390nmの範囲でUV−A放射を測定するように指定されたUVI MAP.UV and Temperature Measuring/Plotting System,Model UM365H−S(Electronic Instrumentation Technology Inc.(Sterling,VA))を使用して測定した。紫外線照射プロセスの直後に、アルミニウムブロック表面(1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)の領域)に手で(軽く親指で押さえて)テープを貼着した。
【0097】
テープの第2ライナーを取り外し、同量の長波長紫外線を照射してから、放射直後に、露出した接着表面に第2アルミニウムブロック表面(1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)の領域)を重ねた。Instronを使用して、中間部に単層試料を保持する組立ブロックを2000N±100Nの圧力で押圧した(圧縮維持時間は20秒間)。組み立てた試験試料は85℃の炉で30分間硬化させ、次いで、試験前に23℃で1時間冷却した。試料は、試験前に23℃で1日かけて(すなわち、加熱せずに)硬化することもできた。
【0098】
開裂試験は、Instron装置を使用して、上記のように調製した硬化アセンブリで23℃において行った。Instronのジグをブロックホルダーに固定し、ブロックの両端をクランプし、Instronを使用して50.8mm/分の速度で2つのホルダーを引っ張る/開裂させる。各試料に対して試験を3回繰り返し、平均値を表2に記録する。
【0099】
熱伝導率
調製した各配合接着フィルムを直径30mmのウェーハに切断し、各試料の熱伝導率を、試験規格GB5598−85に従って熱伝導率計DRL−II(Xiangtan Yiqiyibiao Company(China))を使用して測定した。試験データを表2に示す。
【0100】
難燃性試験
UL−94(U.S.Underwriters’Laboratories Inc.によって確立された規格)の垂直燃焼試験に従って、試料の下に10秒間、接炎してから離し、試料の燃焼が止まるまでに要した時間を測定した。試料の燃焼が止まった後、試料の下に再び更に10秒間接炎してから離し、試料の燃焼が止まるまでに要した時間を測定した。5つの試料のペアについて評価を行った(燃焼時間を合計10回測定した)。10個の燃焼時間のうちの最大の燃焼時間、10個の燃焼時間の合計、及び燃焼中に試料の落下があったか否かを評価した。
【0101】
難燃性の分類の評価を以下に示す。他の詳細はUL−94規格に従っている。
【0102】
V−0:最大燃焼時間10秒以下、合計燃焼時間50秒以下、落下なし。
【0103】
V−1:最大燃焼時間30秒以下、合計燃焼時間250秒以下、落下なし。
【0104】
V−2:最大燃焼時間30秒以下、合計燃焼時間250秒以下、落下は許容される。
【0105】
燃焼:上記の条件を満たさないもの。
【0106】
試料の調製:調製した各配合接着剤をライナー上にコーティングして接着フィルムを形成し、次いで、この接着フィルムをラミネートして、厚さ1.0mm、幅12.5mm、長さ127mmの試験試料を作製した。試験データを表2に示す。
【0107】
接着強度:トルク力(Kfg.cm)
Instron5565(Instron Corp.から入手可能)及びトルク力テスタ20N DPSK(Japan KANON Corp.から入手可能)を使用した。イソプロパノールを使用して、アルミニウム試験パネル(幅2インチ×長さ6インチ(幅5cm×長さ15cm))及びAlブロック(有効試験面積1cm
2、幅10mm
*長さ10mm
*高さ5mm)を拭いた。
【0108】
接着シートの一般的な調製法に従って調製するときに、2インチ×5インチ(5cm×13cm)に測定したテープから保護ライナーの1つを取り外すことによりアセンブリを調製した。次いで、D型電球を装備したFusion UV Curing System(Fusion UV Systems,Inc.(Gaithersburg,MD))として入手可能なUVランプから放射される長波長紫外線で露出した接着面を照射した。接着面を照射するために使用したエネルギー量は、320〜390nmの範囲でUV−A放射を測定するように指定されたUVI MAP.UV and Temperature Measuring/Plotting System,Model UM365H−S(Electronic Instrumentation Technology Inc.(Sterling,VA))を使用して測定した。紫外線照射プロセスの直後に、好ましくはAlパネルとテープとの間に気泡が発生しないようにロール又は掻き取り具を使用して、アルミニウムパネル表面(2インチ×5インチ(5cm×13cm)の領域)にテープを貼着した。
【0109】
テープの第2ライナーを取り外し、同量の長波長紫外線で放射してから、放射直後(30秒以内)に、露出した接着表面にアルミニウムブロック表面(有効貼着面積100mm
2、幅10mm
*長さ10mm
*高さ5mm)を重ねた。次いで、Alブロックをテープに貼着した直後(好ましくは10秒以内)に、Instronを使用して組立Alブロックを2Mpaの圧力で押圧した(圧縮維持時間は5秒間)。組み立てた試験試料は85℃の炉で30分間硬化させ、次いで、試験前に23℃で1時間冷却した。試料は、試験前に23℃で24時間かけて(すなわち、加熱せずに)硬化することもできた。
【0110】
トルク試験は、23℃において上記に記載の工程のように調製した硬化アセンブリで行った。Alブロックにトルク力テスタを固定し、Alブロックがテープからすぐに剥離するまで、トルクテスタを時計回りに回転させる。試験データはテスタのダイヤルに表示された。各試料に対して試験を3回繰り返し、平均値を表2に記録する。
【0111】
結果
表2からわかるように、本発明の接着テープは、比較例1のテープと比較すると、トルク力(>10Kgf・cm(>0.98Nm))、高熱伝導率(>0.60W/m・k)、及び高開裂接着力(>1.0MPa)において十分な性能の組み合わせを提供できた。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】