(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039129
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】三次元空気吸着構造
(51)【国際特許分類】
H04R 1/28 20060101AFI20161128BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20161128BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20161128BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20161128BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
H04R1/28 310C
H04R1/02 101E
G10K11/16 A
B01J20/28 Z
B01J20/18 B
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-502355(P2016-502355)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-519464(P2016-519464A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】US2014027171
(87)【国際公開番号】WO2014152292
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/799,292
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/854,065
(32)【優先日】2013年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リフン・リン
【審査官】
千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−199660(JP,A)
【文献】
特表2004−537938(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2424270(EP,A1)
【文献】
特許第4879971(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/28
H04R 1/02
G10K 11/162
B01J 20/18
B01J 20/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時変音場のあるボリューム内で使用するための三次元空気吸着構造であって、
(i)そのボリューム内に分布した足場開口を有する三次元の、一体的で、骨格的な、多孔質足場であって、前記足場開口は前記足場の体積の少なくとも約50%を構成している多孔質足場と、
(ii)空気吸着材料粒子と、
(iii)空気吸着材料粒子を互いに結合させて凝集体を形成し、粒子及び凝集体を前記足場に結合させる一つ以上の疎水性結合材と、
を含み、
前記構造は、前記凝集体内に、及び凝集体間の構造開口内に構造開口を有しており、そのような構造開口は外部環境に開いており、水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の体積の少なくとも40%であり、水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の体積の少なくとも15%である、三次元空気吸着構造。
【請求項2】
水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の0.2ml/gより大きい、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項3】
水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の0.6ml/gより大きい、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項4】
前記構造はさらに、前記外部環境に開いていない閉じたボリュームを更に含み、前記構造開口の体積は、前記閉じたボリュームの体積より大きい、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項5】
前記構造開口の体積は、前記閉じたボリュームの体積の少なくとも9倍である、請求項4に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項6】
前記足場は、オープンセル発泡体または静電紡糸繊維質材料を含む、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項7】
前記オープンセル発泡は、単位インチあたり少なくとも約10のセルを有している、請求項6に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項8】
前記オープンセル発泡は、単位インチあたり約50より多いセル、且つ単位インチあたり約500未満のセル有している、請求項7に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項9】
前記足場開口は、前記足場の体積の少なくとも約90%を構成している、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項10】
前記足場は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体を含む、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項11】
空気吸着材料、前記材料の凝集体及び結合材の水性エマルジョンを作り、それから前記足場にこのエマルジョンを含浸させることによって、前記空気吸着材料及び前記凝集体が前記足場に結合される、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項12】
前記結合材は、アクリル材料またはポリウレタン材またはポリアクリレート材料から成る、請求項11に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項13】
前記エマルジョンは、前記エマルジョンの凝固点より低い温度で少なくとも一部が乾燥される、請求項11に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項14】
前記構造における前記開口はさらに、前記構造において、前記外部環境に開いており、凝集体間の前記構造開口の前記見かけの直径より大きい直径を有している、複数のチャネルを含む、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項15】
試験溶液としての脱イオン水で測定される、前記結合材で注型された膜の表面張力が約55ダイン/cm未満であるように、前記結合材は十分に疎水性である、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項16】
試験溶液としての脱イオン水で測定される、前記結合材で注型された膜の表面張力が45ダイン/cm未満であるように、前記結合材は十分に疎水性である、請求項15に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項17】
前記空気吸着材料が、シリコン系ゼオライト材料を含む、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項18】
前記空気吸着材料は、粉末状の活性炭を含む、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項19】
前記構造はさらに、前記外部環境に開いていない閉じたボリュームを含み、少なくとも5マイクロメートルの解像度を有するCTスキャンで測定される、前記構造開口の表面積プラス閉じたボリュームの表面積が、空気吸着構造の少なくとも約3mm2/mm3である、請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項20】
前記空気吸着構造の酸性度は、前記構造1を水5の割合で混合させ、結果として生じるpHを測定することにより決定される、前記pHが4より大きくなるものである請求項1に記載の三次元空気吸着構造。
【請求項21】
時変音場のあるボリューム内で使用するための三次元空気吸着構造であって、
(i)そのボリューム内に分布した足場開口を有する三次元の、一体的で、骨格的な、多孔質足場であって、前記足場開口は前記足場の体積の少なくとも約90%を構成している多孔質足場と、
(ii)空気吸着材料粒子と、
(iii)空気吸着材料粒子を互いに結合させて凝集体を形成し、粒子及び凝集体を前記足場に結合させる疎水性結合材と、
を含み、
前記構造は、前記凝集体内に、及び凝集体間の構造開口内に構造開口を有しており、そのような構造開口は外部環境に開いており、水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の体積の少なくとも40%であり、水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、前記空気吸着構造の体積の少なくとも15%であり、
前記構造はさらに、前記外部環境に開いていない閉じたボリュームを含み、前記構造開口の体積が前記閉じたボリュームの体積の少なくとも9倍である、三次元空気吸着構造。
【請求項22】
前記足場は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体を含み
前記結合材は、アクリル材料、ポリウレタン材料及びポリアクリレート材料からなる結合材の群から選択され、試験溶液としての脱イオン水で測定される、前記結合材が注がれた膜の表面張力が約55ダイン/cm未満であるように、前記結合材は十分に疎水性であり、
前記空気吸着材料及び前記凝集体は、空気吸着材料、前記材料の凝集体及び結合材のエマルジョンを作り、それから前記足場にこのエマルジョンを含浸させることによって、前記足場に結合され、前記エマルジョンは、前記エマルジョンの凝固点より低い温度で少なくとも一部が乾燥される、請求項21に記載の三次元空気吸着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年3月15日に出願された米国特許仮出願第61/799,292号の利益を主張するものであり、該仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、時変音場のあるボリュームで使用するための三次元空気吸着構造、例えばスピーカに関連している。
【背景技術】
【0003】
スピーカシステムの一つの目的は、相対的に小さな内部体積を有しているスピーカ格納容器において低い共振周波数を達成することである。スピーカ収納容器の共振周波数は、空気吸着材を収納容器に加えることによって低下され得る;空気吸着材は、収納容器の空気コンプライアンスを増加するように作用する。
【0004】
良好な吸着材料は、少なくとも以下の特徴を有していなければならない。吸着または、脱着する気体の量は、圧力変化に強く依存していなければならない。同様に、異なる環境条件にさらされるとき、材料の吸着特性は顕著に低下または変化してはならない。さらに、空気吸着材料に当てることのできるスピーカキャビネットの内側の空間量は限られているので、材料は、小さな体積を占めるように収納される必要がある。一方、空気吸着の量は、スピーカ収納容器における空気吸着材料の量に直接関連がある。同様に、材料は、一般的に40Hzを超える必要がある音響アプリケーションにおいて空気が材料に達することを可能にする方法で収納されなければならない。
【0005】
大気中の湿気は、吸着材料の適切な機能に有害であり得る。吸着材料が湿性の環境にしばしばさらされるとき、空気分子の吸着/脱着のためのわずかなサイトを残して、多くの吸着サイトは水分子によって優先して占有される。この現象は、吸着材料が、収納容器内部の空気の吸着/脱着を通した音響収納容器の圧力を調節することを無力にさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第13/600,941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この開示は、三次元構造の形態で空気吸着材の使用に関連している。その構造は、時変音場を有するスピーカ収納容器、導波管または別のボリュームの内部に位置することができる。その構造は、湿気の存在による最小限に低下した吸収力を有する効果的な空気吸着材料を保持し、その結果、空気吸着構造の空気吸着容量は湿気によって最小限に低下する。その材料は、材料間の開口が、40から100Hz、またはそれより大きい周波数で、空気が開口にさらされている材料に到達することを可能にするのに十分大きくなるような方法で、構造上に分散される。吸着材構造を含むスピーカシステムはこのように、スピーカ収納容器において扱いにくい湿度制御システムを使う必要なく、長期の増大した空気コンプライアンスを示している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様において、時変音場のあるボリュームにおいて使用される三次元空気吸着構造は、そのボリュームの内部に配置された足場開口を有する、三次元の、一体的で、骨格的な、多孔質足場であって、足場開口は、足場の体積の少なくとも約50%で構成されている多孔質足場と、空気吸着材料粒子と、空気吸着材料粒子を互いに結合させて凝集体を形成し、且つ粒子及び凝集体を足場に結合させる疎水性結合剤と、を含む。その構造は、凝集体内に、及び凝集体間の構造開口内に構造開口を有しており、そのような構造開口は外部環境に開いている。水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも40%であり、水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも15%である。
【0009】
実施形態は、以下の特徴の一つ、またはそれらの如何なる組み合わせを含み得る。水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の0.2ml/gより大きくてもよい。水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の0.6ml/gより大きくてもよい。その構造はさらに、外部環境に開いていない閉じたボリュームを含み得、ここで、構造開口の体積は閉じたボリュームの体積より大きい。構造開口の体積は、閉じたボリュームの体積の少なくとも9倍であり得る。
【0010】
実施形態は、以下の特徴の一つ、またはそれらの如何なる組み合わせを含み得る。足場は、オープンセル発泡体または静電紡糸繊維質材料から作ることができる。オープンセル発泡体は、単位インチあたり少なくとも約10セルを有していてもよく、または、単位インチ当たり約50セル以上及び単位インチあたり約500セル未満を有していてもよい。足場開口は、足場の体積の少なくとも約90%を構成し得る。足場は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体を含むことができる。空気吸着材料、材料の凝集体及び結合材の水性エマルジョンを作り、それから足場にこのエマルジョンを含浸させることによって、空気吸着材料及び凝集体は足場に結合させ得る。エマルジョンは、エマルジョンの凝固点より下の温度で少なくとも一部が乾燥され得る。結合材は、アクリル材料またはポリウレタン材またはポリアクリレート材料であり得る。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の一つ、またはそれらの如何なる組み合わせを含み得る。構造内の開口はまた、周囲に開いており、250マイクロメートルを超える直径を有する一つ以上のチャネルを構造内に含み得る。結合材は、試験溶液として脱イオン水で測定される、結合材で注型された膜の表面張力が、約55ダイン/cm未満または約45ダイン/cm未満でさえとなるように、十分に疎水性であり得る。空気吸着材料は、シリコン系ゼオライト材料または粉末状の活性炭を含み得る。その構造は、外部環境に開いていない閉じたボリュームをさらに含み得、少なくとも5マイクロメートルの解像度を有するCTスキャンで測定される、構造開口の表面積プラス閉じたボリュームの表面積は、空気吸着構造の少なくとも約3mm
2/mm
3である。構造1を水5の割合で混合し、結果として生じるpHを測定することにより決定される、空気吸着構造の酸性度は、好ましくは、pHが4より大きくなるようなものである。
【0012】
別の態様において、時変音場のあるボリュームにおいて使用される三次元空気吸着構造は、そのボリュームの内部に分布された足場開口を有する、三次元の、一体的で、骨格的な、多孔質足場であって、足場開口が、前記足場の体積の少なくとも約90%で構成される多孔質足場と、空気吸着材料粒子と、空気吸着材料粒子を互いに結合させて凝集体を形成し、粒子及び凝集体を足場に結合させる疎水性結合材と、を含む。その構造は、凝集体内の構造開口及び凝集体間の構造開口を有しており、そのような構造開口は外部環境に開いており、水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも40%であり、水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも約15%である。その構造はさらに、外部環境に開いていない閉じたボリュームを含み、構造開口の体積は、閉じたボリュームの体積の少なくとも9倍である。
【0013】
実施形態は、以下の特徴の一つ、またはそれらの如何なるの組合せを含み得る。足場は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体を含み得る。結合材は、アクリル材料、ポリウレタン材料及びポリアクリレート材料からなる結合材の群から選択され得、結合材は、試験溶液として脱イオン水で測定される、結合材で注型された膜の表面張力が約55ダイン/cm未満となるように十分に疎水性である。空気吸着材料、材料の凝集体及び結合材のエマルジョンを作り、それから足場にこのエマルジョンを含浸することにより、空気吸着材料及び凝集体は足場に結合されてもよく、エマルジョンは、エマルジョンの凝固点より低い温度で少なくとも一部が乾燥される。
【0014】
他の特徴は当業者に見出され、且つ本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の非限定的な実施例におけるスピーカシステムの概略図である。
【
図2】空気吸着構造に対する足場の走査電子顕微鏡画像である。
【
図3A】空気吸着材料粒子の凝集体及び凝集体間の構造開口を示している、三次元空気吸着構造の断面のCTスキャンである。
【
図3B】空気吸着材料粒子の凝集体及び凝集体間の構造開口を示している、三次元空気吸着構造の一部の高解像度CTスキャンである。
【
図4】三次元空気吸着構造の一つの実施例に対して取られた水銀圧入法のデータの図である。
【
図5】周囲に開いており、250マイクロメートルより大きい直径を有するチャネルを有する三次元空気吸着構造を図示している。また、スピーカ収納容器に結合された構造を示している。
【
図6】三次元空気吸着構造の単位体積あたり、凝集体間の構造開口と閉じたボリュームの合計の表面積の関数として、三次元空気吸着構造の見かけの体積比の変化を図示したグラフである。
【
図7】空気吸着構造において使用することのできる様々なゼオライトの空気吸着材料に対して取られた定常状態の水蒸気の関数として、見かけの体積比の減少の図である。
【
図8】三つの構造に対する水銀圧入法のデータ(見かけの直径の関数としての構造開口の累積体積)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1におけるスピーカシステム10は、収納容器12を含む。電気音響変換器14は、変換器14によって占有されない収納容器12の内側に空間16を残して、収納容器から音を発するように、収納容器12に取り付けられている。三次元空気吸着構造18は、変換器14によって占有されない収納容器12の内側にある空間またはボリューム16に位置している。収納容器12は閉じることができ、または、例えば一つ以上のポート(図示せず)で達成されるように、部分的に開くことができる。その構造はまた、時変音場にさらされる他のボリュームで使用されることができる。
【0017】
三次元空気吸着構造18は、三次元の、軽量で、一体的で、骨格的な、低実体積である多孔質足場であって、周囲に開いている足場開口を有した多孔質足場である。1つの非限定的な実施例で、足場開口は、足場の体積の少なくとも約50%を構成している。その構造はまた、空気吸着材料粒子、及び空気吸着材料粒子を互いに結合させて凝集体を形成し、且つ粒子及び凝集体を足場に結合させる疎水性結合剤を含む。
【0018】
その構造は、凝集体内に構造開口、且つ凝集体間に構造開口を有している。構造開口は、その構造が時変音場にさらされているときに、構造開口にさらされている空気吸着材料が空気を吸着及び脱着することができるように、周囲に開いている。その構造はまた、周囲に開いていないポケットまたはチャンバである閉じたボリュームを有していてもよく、これはその構造の空気吸着容量に貢献しない。非限定的な実施例では、水銀圧入法で測定した約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の0.6ml/gより大きく、そして、水銀圧入法で測定した約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の0.2ml/gより大きい。同様に、非限定的な実施例では、水銀圧入法で測定した約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも約15%である。別の非限定的な実施例では、水銀圧入法で測定した約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、空気吸着構造の体積の少なくとも40%である。空気吸着材料は一般的に、ゼオライト材料(一般的に、シリコン系ゼオライト)及び粉末状または粒状の活性炭の一方または両方である。
【0019】
非限定的な実施例で、足場は、オープンセル発泡体または繊維質材料、例えば静電紡糸繊維質材料であり得る。発泡体は一般的に、1インチあたり約10セルから1インチあたり約500セル、より好ましくは1インチあたり約50セルから1インチあたり最大で約500セルを有している。足場開口は、足場の体積の少なくとも約90%を構成し得る。足場は好ましくは、約0.1g/cc未満の密度を有している。足場は、非常に開いており、骨格的で、一体的な構造である。足場の1つの実施例が
図2で示されている。この足場は、BASF(ドイツ)からの「Basotect」材料として入手できるホルムアルデヒド−メラミン−硫化水素ナトリウム共重合体からなるオープンセルメラミン発泡体である。足場は、静電紡糸繊維質材料、セラミック発泡体及び金属発泡体を含むがこれに限定されない他の材料で作られることができる。
【0020】
空気吸着材料及びその材料の凝集体は、結合材によって足場に結合される。結合材は、開口を防ぎ、それによって構造の空気吸着容量を減少させる湿気保持を抑制するように疎水性でなければならず、それはさらに以下で説明される。例えば、結合材は、アクリル材料、ポリアクリレート、またはポリウレタン材料の一つ以上であり得る。その構造は、空気吸着材料、空気吸着材料の凝集体、及び結合材のエマルジョンを作ること、それから、足場にこのエマルジョンを含浸させることによりに作成される。結合材は一般的に、空気吸収構造の重量の約3から6重量%で存在する。エマルジョンを含浸させた足場は、少なくとも一部が、エマルジョンの凝固点より下の温度で乾燥される。これは液相が除去されるとき、開口の構造を保持することを助け、それによって固体材料が密集化しすぎることを避ける。あるいは、または、さらに、足場は室温で、または、乾燥器で乾燥することができる。
【0021】
結合材は、吸着材料の粉末のいくつかを凝集体へ結合させ、吸着材料の粉末及び凝集体を足場へ結合させるように作用する。空気吸着構造は、湿潤環境で操作できる必要がある。結合材は、構造内の開口を閉塞して、それによって空気が開口を通して材料に到達することを潜在的に妨げる水蒸気を吸収すべきではない。それ故、結合材は特定の最小限の疎水性を有しているべきである。
【0022】
潜在的な結合材の疎水性を決定する1つの方法は、結合材で作られた膜の接触角/表面張力を測定することである。結合材は、液体を形成するために、溶媒または水で溶解されるか希釈される。膜は、希釈した結合材液をガラス表面上へ注型することによって作られ、液体は、蒸発と、続いて1時間、少なくとも100℃の温度まで加熱することによって除去される。乾燥した膜の接触角/表面張力は、pocketgoniometer.comから入手可能なPG−X測定ヘッドを用いて測定される。測定は、実験室雰囲気における室温でなされる。このビデオ系計器は、膜表面上に4.5μリットル体積の脱イオン水滴を分注する。滴が表面に与えられた後で、個々の測定が2つのセカンドドエルを使用してなされる。内蔵カメラは、水滴の静的接触角を測定するために、単一の滴画像をとらえる。幾何学的構造は、滴の実画像、及び接触角を測定するための常駐ソフトウェアを用いて作られる。接触角は、ASTM D5946−01に従って表面張力に変換される。10個の読み込みがなされる(10個の個々の液滴)。報告された数値は、10個の読み込みの平均である。
【0023】
空気吸着構造を有する、または有さない(または以下のいくつかのケースにおいて、空気吸着材料自体(すなわち足場に結合されていない材料)を有する、または有さない)密封されたスピーカ収納容器の見かけの体積の増加を測ることによって、空気吸着構造に関連した空気コンプライアンスの増加を測定することができる。信号がトランスデューサに適用されるとき、ここで報告される空気コンプライアンスのデータは、トランスデューサコーンの変位と密封された音響ボックスの内側の圧力を同時に測定することによって得られた。空気コンプライアンスは、コーンの変位×コーンの面積/圧力として計算される。「見かけの体積比」は、吸着材を有さない空気コンプライアンスによって割られた吸着材を有する空気コンプライアンスに等しい。表1は、高湿度(40℃、90%の相対湿度(RH)条件)への少なくとも一日の露出の前後での、異なる結合材で作られた三次元多孔質構造の200Hzでの(見かけの体積比の比によって決定されるような)性能低下を図示している。報告された比は、湿潤環境における水吸収に起因した、見かけの体積比の低下を述べている。
【0025】
その構造において湿気に起因する空気吸着の低下の許容できる水準を達成する疎水性を達成するために、結合材から注型された膜の、試験溶液としての脱イオン水での表面張力は、約57ダイン/cm未満でなければならない。この量は、表1で報告されたようなテストランから推定された。結合材から注型された膜の好ましい表面張力は、約55ダイン/cm未満であり、最も好ましくは45ダイン/cm以下である。結合材は空気吸着の活性材料でないので、結合材は、三次元構造の一部である吸着材料の重量の、20重量%未満、より好ましくは10重量%未満で存在することが好ましい。
【0026】
図3Aおよび3Bは、三次元空気吸着構造の一部のCTスキャンである。この構造は、ゼオライト空気吸着材料、アクリル結合材、及びメラミン発泡体から構成されたものである。それは、スラリーを形成するために12gのゼオライト、0.5gの結合材、及び15gの水を混合することによって作られた。スラリーはそれから発泡体に含浸され、60%を超える液体除去されるまで低水蒸気圧の下、0℃未満の温度で乾燥され、その後150℃の熱処理が続く。明色の領域は、足場に結合したゼオライト材料の凝集体である。暗色の領域は、凝集体間の開口である。凝集体及び凝集体間の開口の細長い性質は、凍結乾燥に起因すると仮定される。少なくとも5マイクロメートルの解像度を有するCTスキャンで測定されるように、構造開口の表面積プラス空気吸着構造における閉じたボリュームの表面積は、好ましくは空気吸着構造の少なくとも3mm
2/mm
3である。
【0027】
以下の測定は、試験の前に150℃で4時間乾燥された試料で、ASTM D4404−10に従って、水銀圧入法試験を用いて実施された。水銀圧入法試験は、構造開口の見かけの直径の関数として、構造開口の累積体積を測定している。本発明に従う空気吸着構造の1つの実施例に対する水銀圧入法のデータに対して
図4を参照する。この場合、約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する空気吸着構造における構造開口の体積は、三次元空気吸着構造の0.4ml/gより大きい。より一般的に、水銀圧入法で測定される約0.01マイクロメートルより大きな、ASTM D4404−10において決定されるような「見かけの直径」を有する空気吸着構造における構造開口の体積は好ましくは、三次元空気吸着構造の0.6ml/gより大きい。水銀圧入法で測定される約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する空気吸着構造の構造開口の体積は好ましくは、三次元空気吸着構造の0.2ml/gより大きい。水銀圧入法で測定される空気吸着構造の全ての構造開口の累積全体積は好ましくは、構造の体積の少なくとも約40%である。水銀圧入法で測定される5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は好ましくは、構造の体積の15%より大きい。
【0028】
図5は、交差する壁32及び34を有するスピーカ収納容器12a内に位置する三次元空気吸着構造18aを示している。接着材33、35は、収納容器内で決まった場所に構造を保持するのに使用することができる。または、構造及び収納容器に結合される機械的ファスナは(図示せず)、足場がファスナを保持するために十分な構造完全性を有することができるので、使用することができる。構造18aは、大気に開いており、凝集体間の開口より大きな直径を有しており、一般的に250マイクロメートルより大きい直径であるいくつかのチャネル40、41を有している。これらのチャネルは、必要に応じて関心のある空気の周波数が空気吸着構造のボリュームに浸透することができるように交差することができ、または交差せず、その結果、空気吸着材料に到達することができ、吸着及び脱着される。チャネルはこのように、構造の深さが増大するにつれ、増大した流動抵抗を構成するように、構造のバルク内へ空気の進入/脱出を容易にする手段である。チャネルは、含浸される前の足場で一般的に作られるか、二次操作のポスト含浸で作られることができる。これらは、例えばレーザー穴開けまたは機械掘削によって作られることができる。これは、100Hzまたはそれ以上の周波数で、必要となる三次元構造の厚さを通る、空気の侵入及び脱出の手段を提供する一つの非限定的な方法である。
【0029】
図6は、三次元空気吸着構造の、閉じたボリュームの表面積を加えた凝集体間の構造開口(すなわち、少なくとも5マイクロメートルの見かけの直径を有する構造開口)の全表面積に応じた、200Hzでの三次元空気吸着構造の見かけの体積比の変化を図示しているグラフである。表面積は、Visualization Sciences GroupのAvizoまたはVolume Graphics社のVolume Graphicsなどのような商用画像処理ソフトウェアを使用しているCTスキャンから計算される。空気吸着構造の単位立方ミリメートルあたり少なくとも約3mm
2の表面積は、200Hzで1より上の見かけの体積比を維持するのに効果的である。1の値は、吸着材料の無い空のボックス(例えば、スピーカ収納容器)と一致している。試験された空気吸着構造は、
図6に図示されるように、単位立方ミリメートルあたり最大で約20mm
2の構造開口の表面積及び1.5以上の見かけの体積比を有している。
【0030】
一つの非限定的な実施例において、空気吸着材料粒子は、シリコン系ゼオライトである。ゼオライトは、組織内に、B、Al、Ti、Ge、Fe、Gaまたは希土類元素などの一つ以上の第2の元素(一般的に金属または半金属)を含み得る。1つの非限定的な実施例において、シリコンと第2の元素のモル比は、少なくとも約200及び400未満である。空気吸着材料は全体にゼオライトから成ることができ、または、ゼオライトは材料の一部だけで構成することができる。さらに、一種類以上のゼオライトが、構造18のゼオライトの構成要素に含まれることができる。三次元構造で使用される空気吸収材料の量は、必要に応じて変化することができる。一般的に、より多くの吸着材は、より大きなコンプライアンスをもたらす。しかしながら、吸着材の費用、重量、及び体積、もちろんのことながら、空気が関心のある周波数で構造開口に到達することができるように、足場及びそれを積載する必要性、は考慮すべき現実的な要因である。ここで説明される構造において使用され得る材料は、2012年8月31日に出願された出願番号第13/600,941号においてさらに記載されており、その開示は参考によりここに組み込まれる。
【0031】
空気吸着材料は好ましくは、一つ以上の追加の金属または半金属の相対的に少ない量を含むシリコン系ゼオライトであり、一つの実例において、第2の金属はアルミニウムである。ゼオライトは無数の種類の結晶構造に存在することができ、その一部または全部がここでは空気吸着材に適切であり得る。対象のスピーカシステムに対して適切な空気吸着材料であることが示された非限定的な種類のゼオライトは、FAU、MOR、FER、MFI及びBEAの種類を含み、ここで、FAU、MOR、FER、MFI及びBEAは、国際ゼオライト協会によって割り当てられるフレームワークコードの種類である。
【0032】
水蒸気が容易に結合するアルミノケイ酸塩ゼオライトのサイトを最小にする一つの方法は、SiO
2/Al
2O
3比を増大させることである。アルミニウムは、ゼオライトの合成において使用されるシリカ原料における共通の不純物であるので、高SiO
2/Al
2O
3モル比を達成することは高価であり、必要となる高純度シリカ原料を調達することは難しく、Al濃度を最小にするようにゼオライト合成の厳格な制御が必要となる。ここで示されたデータは、少なくとも約200から最大で400未満のSiとAlのモル比を有するゼオライトに対して、材料は、高純度シリカ原料を使用する必要なく、または400以上のSi:Alモル比を達成する必要があるのと同じく厳密に合成条件を制御する必要なく、音響性能の利益を提供することを証明する助けとなる。結果は、商用スピーカシステムで容易に使用され得る材料である。対象のゼオライトが、少なくとも約200から最大で400未満の範囲のシリコン対第2の元素のモル比を有しているとき、高湿度への長時間の露出の後でさえ、ゼオライト材料の窒素結合サイトが水分子によって実質的に影響を受けていないことを示しながら、その空気吸収性の最大で約90%を保持することができる。
【0033】
空気吸収材料それ自体(三次元構造の一部としてではない)の見かけの体積比データは、以下の表2で明らかにされる。各吸着材に対して、吸着した水蒸気の損失に起因する重量損失が安定するまで、材料は200℃で乾燥された。それから、材料は、22℃及び約30%の相対湿度で室温まで冷却された。それから、空気コンプライアンスが(100Hzで)測定され、及び見かけの体積比が計算された。吸着材はそれから、取り込んだ水蒸気に起因する重量増加が安定し、平衡状態を示すまで、40℃×90%の相対湿度(RH)の条件にさらされた。再び、空気コンプライアンスが測定され、見かけの体積比が計算された。表2は、見かけの体積比の二つの測定値、及び(乾燥状態の比率−水蒸気平衡の後の比率)/乾燥状態の比率として計算された、取り込んだ水蒸気に起因する比率の減少を示している。
【0035】
これらのデータは、100未満のSi/Al比を有するMFIゼオライトに対して、規定された条件の下でそれらが平衡状態に到達した後で、見かけの体積比の20%の範囲の低下と比較して、約200から最大で約400までのSi/Alモル比を有するゼオライト材料の見かけの体積比が、規定された条件の下での水蒸気吸収に起因して、約3%から約10%だけ下がることを証明している。異なる構造を有するが同じSi/Al比を有するゼオライトは、コンプライアンス効果の異なる程度を有することができる。例えば、類似の湿度試験の後で、ベータ構造を有するゼオライトは、同レベルのSi/AlでのMFI構造よりも非常に多くの空気コンプライアンスを失った(約40%)。このようにして、湿気にさらされるときのゼオライト吸着材のコンプライアンス増加において得られる利益は、ゼオライト構造並びにSiとAlのモル比に依存している。
【0036】
図7は、いくつかのゼオライト吸着材に対して定常状態で水蒸気摂取の関数として、見かけの体積比の減少の図である(重量増加が基本的に安定するまで、40℃、90%の相対湿度への露出の後で、乾燥状態から平衡状態まで)。これらのデータは、規定された条件の下で、約10%未満、好ましくは約7%未満の平衡状態の水の重量増加を示す材料に対して、見かけの体積比の相違が、約10%未満と非常に小さいことを証明している。
【0037】
活性炭は共通の吸着材であるので、ゼオライトの性能を活性炭と比較する。表3は、MFIケイ酸塩ゼオライト(表1のゼオライト6)を含む音響ボックスの(見かけの)体積比を、CalgonからのBPL 6×16メッシュの活性炭のものと比較しており、両者は乾燥状態におけるものと40℃、90%のHRへ平衡したときのものである。スピーカボックス内の吸着材の積載は、約35から40体積%であった。性能は、10Hzで比較された。活性炭は湿潤環境におけるコンプライアンスを増大するのに効果的でないと示されており、一方、ゼオライトは性能において約5%だけの崩壊を有している。
【0039】
ケイ酸塩ゼオライトにおける第2の元素がシリコンと異なる価数であるとき、ゼオライトは中性に帯電されず、ゼオライトの電荷の平衡をとるために作用するアルカリ金属、アンモニウム、水素イオン、金属イオンまたはそれらの混合物などの帯電した対イオンを含む。対イオンは、ゼオライトの酸性度に影響を与える。ゼオライトの酸性度は、ゼオライトまたは三次元空気吸着構造1を水5の割合で混合して、結果として生じるpHを測定することで決定された。スピーカ収納容器の内部で金属を腐食するゼオライトまたは三次元空気吸着構造の如何なる傾向を減少するように、この方法で測定された4より大きいpHを有するゼオライト及び三次元空気吸着構造を使用することが望ましい。例えば、ゼオライト6(表1及び表2)は、アンモニウム対カチオンを含み、そのpHは7である。材料が600℃で空気中で熱処理される場合、この同じゼオライトにおける対カチオンは水素イオンになり、同様にこのゼオライトのpHは3.2に減少する。そのような酸性のゼオライトにより引き起こされる潜在的な腐食は、そのpHが、上記の手順によって測定される、4を越えるときに減少することが証明されている。
【0040】
図8は、三つの異なる吸着構造に対する水銀圧入法のデータを図示している。三つの構造(それぞれ構造1、2及び3)に対して100Hzでの見かけの体積比は、0.98、1.16および1.5である。構造1はこのように、100Hzでコンプライアンスを増加するのに効果的ではない。これらのデータは、構造が、100Hzで1より大きい見かけの体積比を達成するために、吸着構造の約15体積%より大きい、約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積を有するべきであることを支持している。
【0041】
構造1における約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積は、構造体積の約13.4%である。構造2における約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積は、構造3における約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積とほぼ同じである。両者とも、約30−35%の範囲にある。従って、三次元構造において、100Hzでの音響性能を向上させるために、約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積は、構造の体積の少なくとも約15%でなければならないと考えられている。一方、0.01μmより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積は、構造3において構造体積の約60%であり、さらに構造2において約50%である。構造3は100Hzで1.5の見かけの体積比を提供し、さらに構造2は1.16の見かけの体積比を提供する。従って、三次元構造において、100Hzでの音響性能を向上させるために、約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積が、構造の体積の少なくとも約40%でなければならないと考えられている。これらの三つの構造は、約0.7g/ccの容積密度を有しており、約5マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の累積体積は、約0.2ml/gより大きくなるように計算され、約0.01マイクロメートルより大きい見かけの直径を有する構造開口の体積は、約0.6ml/gより大きくなるように計算されることができる。
【0042】
いくつかの実装例が説明された。それでもなお、ここで説明された発明概念の要旨を逸脱しない範囲で、さらなる修正がなされてもよく、それ故、他の実施形態は以下の特許請求の範囲の範囲内であることが理解される。
【符号の説明】
【0043】
10 スピーカシステム
12 収納容器
12a スピーカ収納容器
14 変換器
16 ボリューム
18、18a 三次元空気吸着構造
32、34 交差する壁
33、35 接着材
40、41 チャネル
41 チャネル