(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039187
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】組立装置、把持ハンドおよび物品の組立方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20161128BHJP
B23P 19/04 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B23P19/04 G
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-22075(P2012-22075)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-158876(P2013-158876A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】大里 俊明
(72)【発明者】
【氏名】新井 貴志
(72)【発明者】
【氏名】平澤 修一
【審査官】
中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−156647(JP,A)
【文献】
特開平01−321185(JP,A)
【文献】
特開2010−099755(JP,A)
【文献】
特開2011−101918(JP,A)
【文献】
特開2002−370187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
前記架台に設けられた第一のロボットアームと、
前記第一のロボットアームに取り付けられた第一の把持ハンドと、
前記架台に設けられた第二のロボットアームと、
前記第二のロボットアームに取り付けられた第二の把持ハンドと、
前記第一及び第二のロボットアームと、前記第一及び第二の把持ハンドを制御する制御装置と、を有し、
前記第一の把持ハンドは、
回転軸を有する、前記第一のロボットアームに連結するためのアタッチメントと、
前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構と、
前記回転機構に配された調芯把持機構と、を有し、
前記第一及び第二の把持ハンドのそれぞれの動作領域が重複する重複領域に、前記第一及び第二の把持ハンドの協調作業領域が与えられていることを特徴とする組立装置。
【請求項2】
前記制御装置は、第一のロボットアームと、第二のロボットアームそれぞれに配されていることを特徴とする請求項1記載の組立装置。
【請求項3】
前記第一のロボットアームは6軸多関節のロボットアームであることを特徴とする請求項1または2記載の組立装置。
【請求項4】
前記架台には、組立作業を行う作業手段を備えた作業ユニットが、前記協調作業領域に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の組立装置。
【請求項5】
架台と、
前記架台に設けられたロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられた把持ハンドと、
前記ロボットアームと、前記把持ハンドを制御する制御装置と、を有し、
前記把持ハンドは、
回転軸を有する、前記ロボットアームに連結するためのアタッチメントと、
前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構と、
前記回転機構に配された調芯把持機構と、を有することを特徴とする組立装置。
【請求項6】
前記ロボットアームは6軸多関節のロボットアームであることを特徴とする請求項5記載の組立装置。
【請求項7】
前記調芯把持機構の調芯位置と前記回転機構の回転軸が一致していることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項記載の組立装置。
【請求項8】
前記アタッチメントの回転軸と前記回転機構の回転軸とが協働して回転することで、前記調芯把持機構の姿勢を維持しつつ、前記調芯把持機構を移動させる制御を行う請求項1乃至7いずれか一項に記載の組立装置。
【請求項9】
前記調芯把持機構の把持部には複数の爪が取りつけられ、複数の前記爪同士が同位相で開閉動作することを特徴とする請求項1乃至8いずれか一項記載の組立装置。
【請求項10】
前記アタッチメントの回転軸と前記回転機構の回転軸とは直交することを特徴とする請求項1乃至9いずれか一項記載の組立装置。
【請求項11】
ロボットアームに取り付けるための把持ハンドであって、
前記把持ハンドは、
回転軸を有する、前記ロボットアームに連結させるためのアタッチメントと、
前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構に配された調芯把持機構と、を有することを特徴とする把持ハンド。
【請求項12】
回転軸を有するアタッチメント、及び前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構に配された調芯把持機構、からなる第一の把持ハンドが連結された第一のロボットアームと、
第二の把持ハンドが連結された第二のロボットアームとが、
前記第一の把持ハンド及び前記第二の把持ハンドのそれぞれの動作領域が重複するように架台に配置され、
前記動作領域の重複領域にて前記第一把持ハンドと前記第二の把持ハンドとを協調作業させて物品の組立を行うことを特徴とする物品の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調芯把持ハンドを備えた2台のロボットアームで組立作業を行う組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、産業界ではロボットアームを用いて組立作業を行う組立装置が多く使用されている。近年、人手による組立作業に関してもロボットに置き換えて、ロボットアームにより組立作業を実現する組立装置が求められてきている。一方、生産工場における人手による組立作業においては、コンベアを取り除きワークを直接人が搬送し、ワークに複数種類の部品や補材を組付ける人セル生産方式が導入されている。
【0003】
また、人手と組立装置を組合せて作業員の生産性を高めた「マシンセル」と呼ばれる新たなセル生産方式もある。
【0004】
このような背景から、人手による組立作業を、ロボットアームを用いた組立作業に置き換えるために、一つの装置内でワークに複数種類の部品や補材を組み付けることができる組立装置が求められている。
【0005】
特許文献1には、ワークに複数種類の部品や補材を組み付けることが可能な作業効率を高めた生産装置が提案されている。
【0006】
特許文献1の生産装置は、組立部品の一部を保持するハンドを有する一対のマニピュレータ、二つの部品の組立位置をなす組立ステージ、マニピュレータを動作させる制御装置、を有している。マニピュレータはそれぞれのハンドの作業領域が一部重複するよう配置され、この重複した作業領域Rに組立ステージが配置された構成としている。
【0007】
しかしながら、特許文献1で開示されている従来技術では、以下のような問題があった。
【0008】
第一に組立の際に着脱動作や搬送動作が多く発生してしまうことがある。
【0009】
ロボットアームでワークを供給位置から組立ステージの所定位置まで搬送して組立ステージに取付けるワークの搬送・取付動作と、組立ステージからワークを取り出し、排出位置まで搬送するワークの取出し・搬送動作が必要である。このようにワークを組立ステージ上に保持して作業するため、作業効率が低下する要因となっていた。
【0010】
また、塗布装置やビス締め用のドライバ等のツーリングをハンドで掴む必要があり、掴み動作及び解放動作に伴ってツーリングを着脱する必要があるため、作業効率が低下する要因となっていた。
【0011】
第二に塗布動作等の組立作業に必要な組立自由度が十分確保できないことがある。組立ステージ上にワークを固定して作業するため、ワークの姿勢に制限があり自由度の高い組立作業ができなかった。なお組立ステージを用いる場合、組立ステージと併せて固定冶具を用いる必要となることが多く、生産コストがかさむ原因にもなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−105106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高い作業効率を有し、かつ自由度の高い組立作業が可能な組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の組立装置は、架台と、前記架台に設けられた第一のロボットアームと、前記第一のロボットアームに取り付けられた第一の把持ハンドと、前記架台に設けられた第二のロボットアームと、前記第二のロボットアームに取り付けられた第二の把持ハンドと、前記第一及び第二のロボットアームと、前記第一及び第二の把持ハンドを制御する制御装置と、を有し、前記第一の把持ハンドは、回転軸を有する、前記第一のロボットアームに連結するためのアタッチメントと、前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構と、前記回転機構に配された調芯把持機構と、を有し、前記第一及び第二の把持ハンドのそれぞれの動作領域が重複する重複領域に、前記第一及び第二の把持ハンドの協調作業領域が与えられていることを特徴とする。
あるいは、本発明の組立装置は、架台と、前記架台に設けられたロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられた把持ハンドと、前記ロボットアームと、前記把持ハンドを制御する制御装置と、を有し、前記把持ハンドは、回転軸を有する、前記ロボットアームに連結するためのアタッチメントと、前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構と、前記回転機構に配された調芯把持機構と、を有することを特徴とする。
また、本発明の把持ハンドは、ロボット
アームに取り付けるための把持ハンドであって、
前記把持ハンドは、
回転軸を有する、前記ロボットアームに連結させるためのアタッチメントと、
前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構に配された調芯把持機構と、を有することを特徴とする。
また、本発明の物品の
組立方法は、回転軸を有するアタッチメント、及び前記アタッチメントの回転軸に対して、交差する方向またはねじれの位置に相当する方向に回転する回転軸が設けられた回転機構に配された調芯把持機構、からなる第一の把持ハンドが連結された第一のロボットアームと、第二の把持ハンドが連結された第二のロボットアームとが、前記第一の把持ハンド及び前記第二の把持ハンドのそれぞれの動作領域が重複するように架台に配置され、前記動作領域の重複領域にて前記第一把持ハンドと前記第二の把持ハンドとを協調作業させて物品
の組立を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本出願の組立装置によれば、組立ステージを使用することなく、把持したワークとの組立位置に部品を搬送し、ロボットアームに配された第一及び第二の把持ハンドで組立作業を行うことができる。そのため、上述したような組立ステージを用いることによって生じるワークの搬送・取付動作と、ワークの取出し・搬送動作を省くことができる。さらにワークの組立位置や姿勢を任意に変えることができるため、生産性を確保し、かつ自由度の高い組立作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る組立装置を説明する図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る第一の把持ハンドを説明する図である。
【
図3】本発明の第2の実施例に係る組立装置を説明する図である。
【
図4】本発明の第3の実施例に係る組立装置を説明する図である。
【
図5】本発明の第3の実施例に係る動作例を説明する図である。
【
図6】本発明の第3の実施例における動作領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
図1は本発明の組立装置を示す斜視図である。
図1において、架台1には6軸多関節の第一のロボットアーム2、及び第二のロボットアーム3が対面に配置されている。第一のロボットアーム2、及び3の先端には、力覚センサをロボットアームの手首部に搭載したアタッチメントと、回転機構に配された調芯把持機構と、からなる把持ハンド4,5が取付けられている。この力覚センサで組立動作時にハンドに加わった力を検知することができる。力覚センサはユーザーの必要性に応じて取りつければ良く、必ずしも必須ではない。
【0018】
本実施例における第一の把持ハンド4を示す図を
図2に示す。
図2に示すように、アタッチメント26は回転軸aを中心として回転する機構を備えている。アタッチメント26に、さらに回転軸bを有する回転機構27が備えられている。回転軸bとアタッチメント26の回転軸aとは、交差するように取付けられている。回転軸bと回転軸aとはねじれの位置にあっても良い。
【0019】
なお「ねじれの位置」とは、空間内の2本の直線が平行でなく、かつ、交わっていないときの2直線の位置関係をいう。
【0020】
またロボットアームにはそれぞれ第一の制御装置6aおよび第二の制御装置6bが連結され、制御装置から発せられる信号に従いロボットアーム、及び把持ハンドが動作する。それぞれのロボットアーム対して、制御装置を個別に配する構成を取ってもよい。
【0021】
また、第一または第二の把持ハンドに力覚センサが取付けられた場合、力覚センサにて検出した力の大きさを参照して組立作業を行う。
【0022】
ロボットアーム2,3は制御装置により制御されている。制御装置から発信された信号により、アタッチメント26に設けた手先座標系の3次元空間における位置及び姿勢を変更することができる。
【0023】
本実施例においては回転軸aおよび回転軸bが互いに直交する場合を以下説明する。
【0024】
回転機構27には調芯把持機構28が、調芯把持機構の調芯位置と回転機構の回転軸bが一致するよう取付けられている。
【0025】
回転機構27の回転軸bとアタッチメントの回転軸aが交差するように配されて、アタッチメントを介してロボットアームに取付けられている。
【0026】
そのため、第一の把持ハンド4で把持した物品を、任意の位置に例えば水平等に姿勢を維持しつつ搬送することができる。
【0027】
一般的に組立装置に供給される部品の姿勢はワーク供給パレットに部品の重心が低く、安定な姿勢になっている。そのため、第二の把持ハンド5で部品を把持した場合、部品の姿勢を変えることなく組立位置である第一の把持ハンドの位置に搬送することができ、効率の高い組立が可能となる。回転軸aおよび回転軸bを直交させた構成をとると組立装置の構成機器の配置や制御プログラムが簡単になり都合が良い。
【0028】
調芯把持機構の電気配線等はスリップリングを介して回転機構27の中空軸を通せば、回転機構27の回転数に制限を設けることなく調芯把持機構28を回転させることができる。
【0029】
図2に描かれたロボットの姿勢に基づき説明すると、アタッチメント26はロボットアームの終端の回転軸により、XZ面に沿ってロボットアームを旋回可能である。またアタッチメント26に備えられた回転軸aによりYZ面に沿って調芯把持機構28は旋回可能である。
【0030】
つまり、第一のロボットアーム2に対するタッチメント26に備えられた回転軸a及び回転機構27の回転軸bの回転角の変更は、第一のロボットアーム2の位置及び姿勢変更に用いられていない。そのため、ロボットアームの位置及び姿勢とは独立に調芯把持機構の姿勢を制御することができる。制御装置からの信号に従い、アタッチメントの回転軸aと回転機構の回転軸bとが協働して回転することで、自由な姿勢で調芯把持機構を移動させることができる。または、調芯把持機構の姿勢を維持したまま、ロボットアームの位置姿勢を変更することで、調芯把持機構を移動させることもできる。もちろん調芯把持機構の姿勢維持に必要な回転軸が1つで良い場合は、他方の回転軸の回転角の変化はゼロとする協働回転を行う。
【0031】
各ロボットアームに備えられた把持ハンドの動作領域は以下のように配されている。第一の把持ハンドの動作領域αと第二の把持ハンドの動作領域βとが重複する領域があり、この重複する領域に2台のロボットアームに備えられた第一及び第二の把持ハンドが協調して組立作業を行う協調作業領域が与えられている。なお、ロボットに配された把持ハンドの動作領域のもっとも隅にあたる境界部分ではハンドが十分な組立動作を行うことができない場合が多いので、一般には重複部分の内側に協調作業領域が与えられることが多い。
【0032】
なお、動作領域についての詳しい説明は、更に実施例3において図を用いて詳しく説明される。
【0033】
本発明の組立装置は以上のような構成をとることで、ロボットアームの関節数を少なくすることができる。このことで、制御系の構成をより単純にすることができるため、安価でかつ第一の把持ハンド4を高い位置精度で動作させることが可能となる。このようにロボットアームの軸数を少なく抑えることができる。もちろん7軸以上の多関節ロボットや6軸より少ない関節数のロボットに本発明の技術を適用することも可能である。
【0034】
また、調芯把持機構28の把持部には複数種類の円環物品を、用途に応じて外側または内側から把持可能な形状の爪が取付けられている。爪同士が同位相で開平動作することで複数種類の円環物品を調芯して把持することが可能な構成になっている。また、爪の下部には把持物品を受ける座面が設けられており、把持物品の傾きを抑えたり所定の位相に把持したりできるような形状となっている。
【0035】
[実施例2]
図3は本発明の第2の実施例を示す図である。
図3において、第1の実施例で説明した組立装置に作業ユニット30が設置されている。作業ユニットはビス締めや各種塗布材などユーザーが所望する専用の組立作業を行うものであり、作業ユニットにはビス締めドライバや塗布装置など組立作業を行うための、作業手段31を備えている。
【0036】
ここでは作業ユニット30が塗布材を吐出する塗布装置を備える場合を詳しく述べる。作業手段31を以下塗布装置と呼ぶ。塗布装置内には接着剤やグリスや粘着剤など組立に必要な各種塗布材が入っており、組立部品の所定の位置に所定の量の塗布を行い組立作業を行わなければならない。
【0037】
まず、実施例1にて説明された第一の把持ハンド4で調芯され把持された円環部品を、作業ユニット30における塗布装置の近傍の所定の位置に、定められた姿勢となるように搬送する。
【0038】
円環部品の円周方向に塗布を行う場合は、塗布材を塗布装置から吐出開始すると同時に、回転機構27を塗布させる方向に所定量、所定速度で回転させる。
【0039】
このように本実施例では従来技術のように、第二の把持ハンドで塗布装置を把持し、組立ステージ上に塗布装置を移動させて塗布する技術に比べ、塗布装置の移動を伴わない。したがって塗布装置と円環部品とのギャップ量や、塗布角度を目標の位置精度に保つことが容易なため塗布精度を向上させることができる。
【0040】
また従来技術では、組立ステージ上に円環部品が保持されると円環部品内側への塗布などでは塗布装置に対して死角が多く物理的に塗布を行えない場合がある。本発明では、組立作業を行う作業手段を備えた作業ユニットが、協調作業領域に設置されているため、円環部品を6軸多関節のロボットと同等の自由度で独立に姿勢変換することができる。
【0041】
つまり部品に対して塗布装置の姿勢を変えるのではなく、塗布装置に対して部品の姿勢を変えることができる。
【0042】
そのため、従来の方法に比べ自由度が高くかつ精度の高い塗布を伴う組立作業を行うことができる。
【0043】
また、作業ユニットを第一及び第二の把持ハンドの協調作業領域内に設置することで、第二の把持ハンド5で把持した部品を作業ユニット30の所定の位置、姿勢に搬送し、位置決めまたは作業手段と協調して組立作業をしても良い。
【0044】
上記実施例においては塗布作業を例に説明をしたが、他の作業、例えばビス締め作業では作業手段31をビス締めドライバ装置に置き換えることが可能である。
【0045】
[実施例3]
図4は本発明を第3の実施例を示す図である。
図4において、第一の把持ハンドの動作領域内にはワーク供給台41にワーク供給パレット42が設置されており、そのパレット上には円環形状である円環状ワーク43が複数置かれている。また、第二の把持ハンドの動作領域内には部品供給台51に部品供給部品供給パレット52が設置されており、その部品供給パレット52上には複数の子パレットが配置されている。各子パレット上には1種類の円環形状の部品53が複数個重ねて置かれている。
【0046】
また、
図6は本発明の第3の実施例における各ロボットアームに備えられた把持ハンドの動作領域を示す図である。第一の把持ハンド動作領域αと第二の把持ハンド動作領域βとの重複領域に、2台のロボットアームが協調して組立作業を行う協調作業領域60が与えられている。
【0047】
以下、本発明の第3の実施例における動作を詳しく説明する。
【0048】
図5(a)に示すように、第一の把持ハンド4がワーク供給パレット42上の円環状ワーク43を上から調芯把持する。その後、ワークの姿勢を変換しながら協調作業領域60まで搬送する。一方、第二の把持ハンド5は部品供給台51の部品供給部品供給パレット52の部品53を、部品53に対して上方から近接して調芯しつつ把持し、協調作業領域60まで搬送する。
図4は組立直前のロボットアームの様子を示している。その後、2台のロボットアームで組立作業を行う。
【0049】
そして、第二の把持ハンド5が部品供給台51まで移動し、部品53を把持し協調作業領域60まで搬送した後に部品を円環状ワーク43に組み付ける組立作業を行う。部品供給パレットには様々な部品が納められており、第二の把持ハンド5によって複数種類の部品が順次搬送され組立作業が行われる。
【0050】
ワーク供給台41は第二の把持ハンド5の動作領域外にあり、部品供給台51は第一の把持ハンドの動作領域外にある。そのため、領域αと領域βの重複領域以外で把持ハンド及びロボットアームなどの可動体同士の干渉の発生する危険性がない。したがって、干渉を避けるためのレイアウトの工夫、プログラム変更、ロボットの教示、等の生産活動開始に向けての準備を簡易化することができ、組立装置による生産活動の立上げ時間を短くすることができる。
【0051】
円環状ワークを組立部位を所定の位置と姿勢(例えば組立に適するように組み付け部位をZ方向上方に向ける等)で移動させるとともに、第二の把持ハンド5によって部品供給台51から協調作業領域60まで部品53移動させる際、部品53の姿勢をほとんど変換する必要がない。そのため、効率の良い部品搬送が可能となる。
【0052】
また、組立装置にさらにカメラを備え、部品供給台51から協調作業領域60までの搬送動作中に、カメラで撮像し画像処理による部品の位置、位相を検出し、協調作業領域60への搬送中に部品所定の位置、位相に補正し、組立作業を行ってもよい。そのように撮像情報に基づいて組立作業を実行することで、更なる複雑な嵌合組立などの作業を行うことができる。
【0053】
さらに、
図5(b)に示すように第二の把持ハンド5が次の部品を把持、搬送する動作中に、第一の把持ハンドが作業ユニット30の所定位置に搬送し作業手段31と協調して組立作業を行うことができる。
【0054】
もちろん組立作業の段取りによっては、第二の把持ハンドで第二の把持ハンド動作領域β に配置された部品を把持し、上記動作を実行することも可能である。
【0055】
このように円環状ワーク43が連続的に組立作業を行われるようにすることで、効率の良い組立作業が可能となる。
【0056】
また、これらの構成は
図6で示した協調作業領域60以外で把持ハンド及びロボットアームと干渉の発生する危険性がないため、双腕ロボットのように1台の制御装置で2台のロボットアームを制御する必要は必ずしもない。そのため協調作業領域60内でのインターロックをかければ、1台の制御装置と1台のロボットアームの組合せにすることもできる。その場合、一般的な双腕ロボットにくらべプログラム等を簡素化することもできる。
【0057】
また、ワーク供給パレット42及び部品供給部品供給パレット52をAGV等の無人搬送車で自動供給、自動排出を行うことで無人の自動組立装置とすることも適宜行ってよい。
【符号の説明】
【0058】
1 架台
2 第一のロボットアーム
3 第二のロボットアーム
4 第一の把持ハンド
5 第二の把持ハンド
2 6アタッチメント
2 7回転機構
2 8調芯把持機構
a アタッチメントの回転軸
b 回転機構の回転軸