【実施例1】
【0016】
本実施例では、前記離型フィルムを用いる樹脂封止電子部品の製造方法及び樹脂封止電子部品の製造装置について説明する。
【0017】
図1(a)〜(i)の工程断面図に、本実施例における前記樹脂載置工程、前記搬送工程、及びその前後の工程を模式的に示す。
【0018】
まず、
図1(a)に示すとおり、XYテーブル11上に離型フィルム(リリースフィルム)12を張り付ける。XYテーブル11は、例えば、離型フィルム12を吸着可能な吸着テーブルであっても良い。例えば、XYテーブル11の内部に空洞を設けるとともに、離型フィルム吸着面に、前記空洞と連結した溝又は細孔を設け、XYテーブル11内部を減圧にすることで前記溝又は細孔に離型フィルム12を吸着させても良い。また、離型フィルム12は、例えば、長尺の離型フィルムの一部をXYテーブル11に張り付けた後に、前記離型フィルムをカットして、この後の工程に必要な部分のみを残しても良い。
【0019】
つぎに、
図1(b)に示すとおり、離型フィルム12の中央部に放熱板(ヒートシンク)13を載置する。放熱板13は、本発明の製造方法における前記「板状部材」に該当する。さらに、
図1(c)に示すとおり、張り付けられた離型フィルム12の上にトレーカバー14を載置し、離型フィルム12をXYテーブル11及びトレーカバー14で挟むようにする。図示のとおり、トレーカバー14は、放熱板13の周縁部と、さらにその外側の離型フィルム12とを覆い、放熱板13の中央部を覆わない。
【0020】
つぎに、
図1(d)に示すとおり、放熱板13の、トレーカバー14で覆われていない部分の上に、樹脂15を載置する。これにより、図示のとおり、樹脂15がトレーカバー14で囲まれた状態となる。この
図1(d)の工程が、本発明の製造方法における前記「樹脂載置工程」に該当する。
【0021】
つぎに、
図1(e)に示すとおり、レジンハンドラー16により、離型フィルム12を、その上に載置された放熱板13、樹脂15及びトレーカバー14とともに保持する。レジンハンドラー16は、トレーカバー14及び放熱板13を横方向から挟んで保持する部分と、離型フィルム12の周縁部を上下から挟んで保持する部分とを有する。なお、レジンハンドラー16は、本発明の製造装置における前記「搬送手段」に該当する。そして、
図1(f)に示すとおり、放熱板13及び樹脂15を、離型フィルム12及びトレーカバー14上に載置された状態で、レジンハンドラー16により、下型17の下型キャビティ17a上に移動させる。さらに、
図1(g)に示すとおり、離型フィルム12、放熱板13、樹脂15及びトレーカバー14を、レジンハンドラー16による保持から解放し、下型17に受け渡す。これにより、
図1(h)に示すとおり、樹脂15を、放熱板13上に載置された状態で、下型キャビティ17aのキャビティ面上(型キャビティの位置)に載置する。すなわち、
図1(e)〜(h)の工程が、本発明の製造方法における前記「搬送工程」に該当する。
図1(h)の後、下型17を用いて前記「樹脂封止工程」を行う。これについては、別途、
図2〜6を用いて説明する。一方、
図1(h)の後、レジンハンドラー16により、トレーカバー14のみをクリーニングステージに搬送する。そして、
図1(i)に示すとおり、クリーニングステージにおいて、クリーナ14cにより、トレーカバー14の上面及び下面をクリーニングした後、新たな離型フィルム、放熱板及び樹脂を用いて
図1(a)〜(h)の工程を繰り返す。
【0022】
なお、本発明の製造方法において、圧縮成形用の前記成形型(例えば圧縮成形用金型)は、特に限定されないが、例えば、上型及び下型から形成されていても良い。
図1では、成形型として下型17のみを図示しているが、本実施例における成形型は、後述の
図2〜6に示すように、下型17及び上型20から形成されている。また、本発明において、前記「型キャビティ」は、例えば、下型にのみ形成されていても良く、上型にのみ形成されていても良く、また、下型及び上型にそれぞれキャビティが形成され、下型キャビティと上型キャビティとを合わせたものが前記「型キャビティ」であっても良い。本発明の製造方法において、前記「搬送工程」は、前述のとおり、前記樹脂を、前記板状部材上に載置された状態で、前記成形型の型キャビティの位置まで搬送する工程である。前記「成形型の型キャビティの位置まで搬送する」は、例えば、
図1(h)のように、下型の型キャビティ面上に載置しても良いし、例えば、上型にのみ型キャビティが形成されている場合に、下型の、上型キャビティに対応する位置の上に載置しても良い。
【0023】
つぎに、
図2〜6の模式的な工程断面図を用いて、本実施例の製造方法について、前記「樹脂封止工程」も含めてさらに詳しく説明するとともに、それに用いる製造装置についても説明する。
図2〜6において、
図1と同一の構成要素は、同一の符号で示している。ただし、図示の便宜上、
図1とは形状等が異なる場合がある。
【0024】
まず、
図2の断面図に、本実施例における製造装置(樹脂封止電子部品の製造装置)の一部を模式的に示す。この製造装置は、樹脂載置手段と、型キャビティを有する成形型と、搬送手段と、樹脂封止手段とを主要構成要素とする。前記樹脂載置手段は、図示していないが、
図1(d)において、放熱板13上に樹脂15を載置する手段である。成形型は、
図2に示すとおり、下型17及び上型20から形成され、下型キャビティ(型キャビティ)17aを有する。前記搬送手段は、
図2中には示していないが、
図1に示したレジンハンドラー16である。
【0025】
前記樹脂封止手段は、この製造装置の構成要素であって
図2に示す構成要素全てを含み、前記成形型(下型17及び上型20)をも含む。すなわち、前記樹脂封止手段は、図示のとおり、下型17、上型20、クランパ20a、フィルム押え22、及びFM(ファインモールド)カバー23を主要構成要素とする。下型17は、図示のとおり、外側(下側)の部材である下型チェイスホルダと、前記下型チェイスホルダの内側(上側)に取り付けられた下型チェイスと、下型外周先押え21とを含む。下型外周先押え21は、スプリング21sにより前記下型チェイスに取り付けられ、下型17の周縁部を兼ねる。下型外周先押え21と前記下型チェイスとの間には、空隙17bがある。また、下型外周先押え21上面には、離型フィルム吸着溝21aが設けられている。上型20は、外側(上側)の部材である上型チェイスホルダと、前記上型チェイスホルダの内側(下側)に取り付けられた上型チェイスとを含む。クランパ20aは、前記上型チェイスに取り付けられ、図示のとおり、樹脂封止電子部品用の基板18を、前記上型チェイスの型面(下面)に固定可能である。フィルム押え22は、スプリング22sにより前記上型チェイスの周縁部に取り付けられ、下型外周先押え21とともに、離型フィルム12を上下から挟んで固定することができる。FMカバー(外気遮断用の部材)23は、前記上型チェイスホルダ及び前記下型チェイスホルダの周縁部(前記上型チェイス及び前記下型チェイスの外側)にそれぞれ取り付けられている。また、前記上型チェイスホルダと上側のFMカバー23との間、上側のFMカバー23と下側のFMカバー23との間、及び、下側のFMカバー23と前記下型チェイスホルダとの間には、それぞれ、弾力性を有するOリング23aが設けられている。
【0026】
前記樹脂封止手段は、後述するように、下型キャビティ(型キャビティ)17a内において、放熱板(板状部材)13上に載置された樹脂15に電子部品19を浸漬させた状態で、樹脂15を、板状部材13及び電子部品19とともに圧縮成形することにより、電子部品19を樹脂封止する手段である。なお、
図2において、離型フィルム12、放熱板13、樹脂15、基板18及び電子部品19は、製造装置の構成要素ではない。
【0027】
つぎに、この製造装置を用いた樹脂封止電子部品の製造方法について説明する。なお、
図3〜6において、
図2と同一部分は、同一の符号で示している。
【0028】
まず、
図1(a)〜(h)に示したとおり、放熱板13上に樹脂15を載置する樹脂載置工程と、樹脂15を、放熱板13上に載置された状態で、下型キャビティ17aの位置まで搬送する搬送工程とを行う。前記「搬送工程」中、
図1(f)〜(h)の工程について、
図2〜4を用いてさらに詳しく説明する。すなわち、
図2は、
図1(f)の工程について、
図3は、
図1(g)の工程について、
図4は、
図1(h)の工程について、それぞれ、さらに詳細に示す図である。ただし、
図2〜4では、図示の便宜上、トレーカバー14及びレジンハンドラー16を省略している。
【0029】
まず、
図2に示すとおり、放熱板13及び樹脂15を、離型フィルム12上に載置された状態で、下型キャビティ17a上に移動させる。このとき、上型20の上型チェイス下面(型面)には、図示のとおり、樹脂封止電子部品用の基板18が、クランパ20aにより固定されている。基板18の下面には、電子部品19が、樹脂15と対向するように取り付けられている。なお、基板18は、別途、前記上型チェイス下面(型面)まで搬送して固定する。
【0030】
つぎに、
図3に示すとおり、離型フィルム12、放熱板13及び樹脂15を、下型17に受け渡すとともに、矢印24に示すとおり、下型外周先押え21の内部を、真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、離型フィルム12を、離型フィルム吸着溝21aに吸着させる。これにより、下型キャビティ17a上に配置された離型フィルム12にテンションをかける。
【0031】
さらに、
図4の矢印25に示す通り、下型外周先押え21と前記下型チェイスとの間の空隙17b内を真空ポンプ(図示せず)で減圧にし、離型フィルム12を、下型キャビティ17aのキャビティ面上に吸着させる。これにより、図示のとおり、樹脂15を、放熱板13上に載置された状態で、下型キャビティ17aのキャビティ面上(型キャビティの位置)に載置する。
【0032】
つぎに、
図5〜6に示すとおり、前記樹脂封止工程を行う。なお、
図5では、便宜上、クランパ20aの図示を省略している。
【0033】
すなわち、まず、
図5に示すとおり、下型17をFMカバー23とともに上昇させ、離型フィルム12を、下型外周先押え21とフィルム押え22とで挟んで保持する。このとき、矢印26で示すとおり、フィルム押え22のスプリング22を上側に押す力が働き、その反作用が、離型フィルム12を固定する力として働く。下型外周先押え21のスプリング21sに対しては、逆に、下側に押す力が働き、その反作用が、離型フィルム12を固定する力として働く。そして、下型17を、さらに、圧縮成形開始位置まで上昇させ、下型キャビティ17a内において、樹脂15に電子部品19を浸漬させる。このとき、樹脂15は、流動性を有する状態としておく。また、このとき、基板18と離型フィルム12との間に若干のクリアランス(空隙)があっても良い。これにより、矢印27で示すとおり、Oリング23aに対し、上下に押さえつける力が働き、上型チェイスホルダと下型チェイスホルダとの間(以下「チェイスホルダ内」という。)の気密性が確保される。そして、矢印28で示すとおり、チェイスホルダ内(少なくとも下型キャビティ17a内)を、真空ポンプ及びFM吸引バルブ(図示せず)で減圧にする。その状態で、樹脂15を、放熱板13、電子部品19及び基板18とともに圧縮成形し、電子部品19を樹脂封止する。このようにして、前記「樹脂封止工程」を行い、基板18、電子部品19及び樹脂15により形成された樹脂封止電子部品を製造することができる。
【0034】
なお、前述のとおり、下型キャビティ17a内の樹脂15に電子部品19を浸漬させるとき、樹脂15は、流動性を有する状態とする。この流動性を有する樹脂15は、例えば、液体の樹脂(硬化前の熱硬化性樹脂等)であっても良いし、又は、顆粒状、粉末状、ペースト状等の固体状の樹脂を加熱して溶融化した溶融状態でも良い。樹脂15の加熱は、例えば、下型17の加熱等により行うこともできる。また、例えば、樹脂15が熱硬化性樹脂である場合、下型キャビティ17a内の樹脂15を加圧して熱硬化させても良い。これにより、下型キャビティ17aの形状に対応した樹脂成形体(パッケージ)内に電子部品19を樹脂封止成形(圧縮成形)することができる。このようにすれば、例えば、樹脂成形体(パッケージ)の上面(基板とは反対側の面)に板状部材13を露出した状態で形成することも可能である。
【0035】
圧縮成形(樹脂封止)後、
図6に示すとおり、下型17を下降させ、チェイスホルダ内を開放して減圧を解除する。これにより、同時に、矢印29に示すとおり、下型外周先押え21と下型チェイスとの間の空隙17bの減圧も解除される。一方、離型フィルム12は、下型外周先押え21上面の離型フィルム吸着溝21aに吸着され続けており、かつ、基板18は、クランパ20aにより、上型チェイスの下面(型面)に固定され続けている。そして、樹脂15及び放熱板13は、基板18及び電子部品19とともに圧縮成形されているので、下型17の下降により、基板18、電子部品19及び樹脂15により形成された樹脂封止電子部品から、離型フィルム12が剥離される。前記樹脂封止電子部品は、別の搬送手段(図示せず)により、
図2の装置の外に搬送することができる。
【0036】
なお、本実施例では、前記チェイスホルダ内(少なくとも型キャビティ内)を減圧にして圧縮成形する「FM(ファインモールド)成形」を用いた。しかし、本発明はこれに限定されず、他の圧縮成形(コンプレッションモールド)を用いても良い。
【0037】
また、13は、放熱板以外の他の板状部材であっても良く、例えば、遮蔽板(シールド板)であっても良い。
【0038】
また、本発明の製造方法は、前述のとおり、前記樹脂載置工程と、前記搬送工程と、前記樹脂封止工程とを含む工程であるが、例えば、本実施例で示したように、その他の任意の工程を含んでいても良い。
【0039】
本実施例では、前述のとおり、離型フィルム上に、樹脂を載置した前記板状部材を載置し、その状態で、前記樹脂を成形型の型キャビティ内に搬送する。これにより、例えば、
図2〜6において、樹脂15と下型17との接触、及び、下型17の空隙17b内に樹脂15が入り込むことを防止できる。また、板状部材及びその搬送手段の構造も単純化しやすい。
【実施例2】
【0040】
つぎに、本発明の別の実施例について説明する。
【0041】
図7(a)〜(h)の工程断面図に、本実施例における前記樹脂載置工程、前記搬送工程、及びその前後の工程を模式的に示す。本実施例では、放熱板13が、樹脂収容部を有する。より具体的には、図示のとおり、本実施例の放熱板13は、周縁部が垂直に隆起した盆形状であり、放熱板13の中央部が樹脂収容部となっている。本実施例では、前記樹脂載置工程において、前記樹脂収容部内に樹脂15を載置し、前記搬送工程及び前記圧縮成形工程を、前記樹脂収容部内に樹脂15が載置された状態で行う。また、本実施例では、離型フィルム12を用いない。レジンハンドラー16は、トレーカバー14及び放熱板13を横方向から挟んで保持する部分を有し、離型フィルム12を保持する部分を有しない。
【0042】
本実施例では、離型フィルム12を用いないため、
図1(a)の工程は省略される。
図7(a)〜(h)は、離型フィルム12を用いないことと、放熱板13の形状が異なることと、前述のレジンハンドラー16の構造以外は、
図1(b)〜(i)と同じである。
【0043】
また、
図8〜11の模式的な工程断面図に示す製造方法及び製造装置は、離型フィルム12を用いず、離型フィルム吸着溝21a、フィルム押え22及びスプリング22sがないことと、放熱板13の形状が異なること以外は、実施例1の
図2及び4〜6と同じである。離型フィルム12を用いないため、離型フィルムを離型フィルム吸着溝21aに吸着させる
図3の工程は省略される。なお、
図10の下向き矢印30は、スプリング21sに力が加えられる方向を示す。
【0044】
本実施例では、放熱板13の周縁部が隆起して中央部が樹脂収容部となっているため、離型フィルム12を用いなくても、樹脂15と下型17との接触、及び、樹脂15が下型外周先押え21と下型チェイスとの間の空隙17b内に入り込むことを抑制又は防止できる。このため、離型フィルム省略によるコスト節減とともに、離型フィルムを張り付けたり吸着させたりする工程を省略できるため、樹脂封止電子部品の製造効率の向上につながる。
【0045】
なお、放熱板等の板状部材の形状及び構造は、
図7〜11に限定されず、種々の形状及び構造が可能である。
図12〜16に、それらの例を示す。これらは、いずれも、離型フィルムを用いない製造方法及び製造装置の例である。
【0046】
図12は、放熱板13の形状が平板形状である例である。同図においては、下型外周先押え21が段差を有し、下段部分に放熱板13の周縁部を載せることができる。これにより、放熱板13の形状が平板形状であり、かつ、離型フィルムを用いなくても、樹脂15と下型17との接触、及び、樹脂15が下型外周先押え21と下型チェイスとの間の空隙17b内に入り込むことを抑制又は防止できる。
【0047】
図13は、
図7〜11と同じく、放熱板13の周縁部が隆起して中央部が樹脂収容部となっている例である。
【0048】
図14は、放熱板13の形状が平板形状である例である。製造装置の構造は、
図8〜11と同じである。
図14では、矢印31に示すように、圧縮成型時に、放熱板13を、下型17、上型20及び下型外周先押え21でプレス成形することにより、
図8〜11の放熱板13と同様に、周縁部が隆起して中央部が樹脂収容部となっている盆形状にすることができる。これにより、
図8〜11と同様に、樹脂15と下型17との接触、及び、樹脂15が下型外周先押え21と下型チェイスとの間の空隙17b内に入り込むことを抑制又は防止できる。
【0049】
図15は、放熱板13の周縁部の隆起部分(外壁)が、放熱板本体(平板部分)と異なる材質で形成されている例である。例えば、放熱板本体が金属で形成され、周縁部の隆起部分(外壁)が耐熱性樹脂で形成されていても良い。これ以外は、
図8〜11と同じである。
【0050】
図16は、放熱板13の周縁部の隆起部分の上部が、放熱板13の外側に向かって水平に突出しており、その突出部を下型外周先押え21の上に乗せることが可能な例である。これにより、樹脂15と下型17との接触、及び、樹脂15が下型外周先押え21と下型チェイスとの間の空隙17b内に入り込むことを、さらに効果的に抑制又は防止できる。これ以外は、
図8〜11と同じである。
【0051】
また、本実施例において、13は、実施例1と同様、放熱板以外の他の板状部材であっても良く、例えば、遮蔽板(シールド板)であっても良い。
【0052】
なお、本発明で製造する樹脂封止電子部品は、例えば、電子部品の数が、1であっても良いし、複数であっても良い。
図17(a)の断面図に、電子部品の数が1である樹脂封止電子部品の製造用部材の例を模式的に示す。図示のとおり、この製造用部材は、基板18と、板状部材(例えば、放熱板、シールド板等)13とを含む。基板18の型面には電子部品19が固定され、板状部材13の片面には樹脂15が載置されている。図示のように電子部品19と樹脂15とを互いに対向させ、例えば実施例1又は2で示したようにして、電子部品19を樹脂15で封止し、樹脂封止電子部品を製造する。
【0053】
図17(b)の断面図に、電子部品の数が複数である樹脂封止電子部品の製造用部材の例を模式的に示す。基板18上に電子部品19が複数固定されていることと、板状部材13及び樹脂15が電子部品19と同数であることと、板状部材13が離型フィルム12上に載置されていること以外は、
図17(a)と同じである。離型フィルム12は、用いないこともできるが、板状部材13及び樹脂15が複数の場合、
図17(b)のように離型フィルム12上に載置して取り扱うことが、簡便で好ましい。この場合、例えば、離型フィルム12を用いた実施例1と同様にして樹脂封止電子部品を製造することができる。
【0054】
また、前述のとおり、本発明において、前記板状部材が、粘着剤により前記離型フィルム上に固定されていても良い。
図18の断面図に、その例を模式的に示す。
図18は、離型フィルム12上に粘着剤12aの微小領域(微粘着剤)が複数設けられていることと、板状部材13が、微粘着剤12aにより離型フィルム12上に固定されていること以外は、
図17(b)と同じである。このように前記板状部材を粘着剤により前記離型フィルム上に固定する形態は、電子部品の数が1である樹脂封止電子部品の製造に用いても良いが、例えば
図18のように、電子部品の数が複数である樹脂封止電子部品の製造に用いることが好ましい。これにより、樹脂15が板状部材13と離型フィルム12との間に入り込むことを防止できる。
【0055】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。