(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039206
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】位置検出器およびその調整方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20161128BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
G01D5/244 F
G01D5/245 R
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-65023(P2012-65023)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-195327(P2013-195327A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 憲之
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226912(JP,A)
【文献】
特開2010−66065(JP,A)
【文献】
特開平8−21744(JP,A)
【文献】
特開昭63−12915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/38
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体よりなる円盤状の被検出体と、前記被検出体と独立して設けられたセンサ部と、を備えた位置検出器であって、
前記被検出体は、その外周に規則的な繰り返しパターンを有しており、
前記センサ部は、
前記被検出体の相対移動方向に配設される複数の検出要素或いは検出パターンと、
前記複数の検出要素或いは検出パターンからの信号を増幅する可変利得増幅回路と、
前記被検出体の曲率に関するパラメータの値と利得との相関を記憶するとともに、前記位置検出器が接続される制御装置から指示されたパラメータの値に対応する利得の値を前記可変利得増幅回路に設定する記憶器と、
を備えることを特徴とする位置検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出器であって、
前記被検出体は、前記繰り返しパターンの個数nに応じてサイズが定まり、
前記被検出体の曲率に関するパラメータは、前記繰り返しパターンの個数nである、
ことを特徴とする位置検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の位置検出器であって、
前記被検出体の曲率に関するパラメータは、前記被検出体の半径または曲率であることを特徴とする位置検出器。
【請求項4】
請求項1に記載の位置検出器を調整する位置検出器の調整方法であって、
前記可変利得増幅回路によって増幅された信号に基づいて、前記被検出体に対する前記センサ部の取り付け調整を行う、ことを特徴とする位置検出器の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械や工作機械等の分野で使用される位置検出器に関し、特に、被検出体の複数のサイズに対応可能なセンサ部を有する位置検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸等の回転軸の位置検出器には、歯車のように外周部に繰り返しパターンが付加された被検出体と、この被検出体を磁気的に検出するセンサ部と、からなる構成のものが、しばしば利用されてきた。こうした構成の利点として、被検出体の複数のサイズにセンサ部の流用が容易という点があった。これは、歯車のモジュールを変えずに、歯数を変えて被検出体のサイズを変更しても、被検出体とセンサ部との相対移動方向の基本となるピッチ長は変わらなくすることができることによるものである。
【0003】
図2は、従来の位置検出器を示す斜視図である。磁性材料よりなる検出用の歯車201は、磁性材料よりなるマーカー円板202と同心上に固着され、図示しない回転軸に固定され回転自在となっている。なお、検出用の歯車201の歯数は256である。マーカー円板202は、外周部に一箇所だけ切り欠きが設けてある。他方、検出用の歯車201と空隙を隔てて対向する磁気センサ203は、図示しない固定側に固定されている。
【0004】
図3は、
図2の磁気センサ203に内包された検出素子の配列を示す正面図である。検出用の歯車201を検出する検出素子(磁気抵抗素子)301a〜301pは、検出用の歯車201の凹凸の基本ピッチ長に対して、相対移動方向へ各々3/4ピッチずつずらして配置されている。すなわち、検出素子301aと検出素子301bとの相対移動方向の距離は3/4ピッチであり、検出素子301aと検出素子301cとの相対移動方向の距離は6/4ピッチである。よって、検出素子301a,e,i,mは、検出用の歯車201の繰り返しのパターンの基本ピッチにおける同一位相に配置されていることになる。なお、検出素子301qはマーカー円板202の検出用である。図示はしないが、これら検出素子301a〜301qの背面側(検出用の歯車201とは反対側)には、バイアス磁石が配置されている。
【0005】
図4は、
図2の磁気センサ203の信号処理の概略構成図であり、
図2乃至
図3と同一構成要素には、同一符号を付す。検出用の歯車201の歯車部の凹凸によって変化する磁束密度を検出する検出素子301a,301c,301e,301g,301i,301k,301m,301oが発する信号レベル(電圧レベル)は、極性の違いで強めあうよう正弦の正相は差動増幅器101dの+側端子へ、同負相は差動増幅器101dの−側端子へ送られる。同様に、検出素子301b,301d,301f,301h,301j,301l,301n,301pも、極性の違いで強めあうよう余弦の正相は差動増幅器101eの+側端子へ、同負相は差動増幅器101eの−側端子へ送られる。差動増幅器101d,101eにて信号増幅された二相信号Sa,Caは、検出用の歯車201の回転に応じて、
図5に示すような信号変化を示す。この二相信号Sa,Caの信号振幅をV、夫々の直流成分をVsofs,Vcofsとすると、二相信号Sa,Caは、次の式1,2で表される。
Sa=V・sin(θp)+Vsofs 式1
Ca=V・cos(θp)+Vcofs 式2
【0006】
ここで、θpは二相信号Sa,Caの電気角内の位相であり、検出用の歯車201の回転角度をθとすると、θpとθとの間には、次の式3の関係が成り立っている。
θp=256×θ 式3
【0007】
この二相信号Sa,Caは、アナログ/ディジタル変換器102a,102bにてディジタル化される。ディジタル化された二相信号Sdo,Cdoは、予め記憶器103に格納されたオフセット補正値Sofs,Cofsを減算器104a,104bにて除去される。オフセット成分を除去された二相信号Sd,Cdは、除算器105にて、式4に示す演算により、正接信号化される。
Sd/Cd=V・sin(θp)/V・cos(θp)=tan(θp) 式4
【0008】
更に、演算器106にて逆正接演算され、検出用の歯車201の基本ピッチ内の絶対位置θpを得る。
【0009】
一方、マーカー円板202の切り欠き部の有無によって変化する磁束密度を検出する検出素子301qが発する信号レベル(電圧レベル)は、信号増幅後、カウンター回路107へ送られる。また、検出素子301a〜pの増幅後の信号Sa,Caは、コンパレータ108a,108bによってパルス信号化され、パルス信号Sap,Capとしてカウンター回路107へ送られる。更に、カウンター回路107には、この位置検出器の初期化時に制御装置109から、検出用の歯車201の歯数256という数値が送られ、セットされている。カウンター回路107では、検出素子301iの信号Zaに、マーカー円板202の切り欠き部での磁界の変動に応じた信号変化があった位置を一回転内の基準位置として、パルス信号Sap,Capをカウントすることによって、検出用の歯車201の256個の凹凸のどの位置かという情報θuを得る。θpとθuとは、加算器110によって加算され、一回転内の絶対位置θを制御装置109へ送出する。類似の構成の位置検出器は、特許文献1(特開2001−4401)にて周知となっている。また、上述の位置検出器は、検出素子に磁気抵抗素子を利用したタイプであるが、検出用の歯車の異なる歯数に対応可能な位置検出器として、特許文献2(特開2006−17533)の
図1の例のように電磁誘導型の検出原理を用いたものもある。
【0010】
図2の例では、検出用の歯車201の歯数が256として示したが、位置検出器が取り付けられる回転軸の設計要件によって、異なるサイズを求められることがしばしばあった。しかし、検出用の歯車201と同一のモジュールで異なる歯数の歯車を加工すれば、初期化時に制御装置109からその異なった歯数情報を得ておく必要があるものの、磁気センサ203は異なる歯数の歯車にも検出可能となる。それは、モジュールが同一であれば、検出素子301a〜301pの3/4ピッチずつずらした配置が、そのまま有効だからである。
【0011】
ここで、検出用の歯車201と磁気センサ203との空隙量の調整について説明する。従来は、マーカー円板202と一体となった検出用の歯車201は、回転軸等に芯振れを調整されて取り付けた後、磁気センサ203の取付調整を行う。ラフな取付調整が許される用途では、磁気センサ203の検出面と検出用の歯車201との間に、スキミゲージのような所定の厚みの板材を挟んで磁気センサ203を固定し、その後にスキミゲージを引き抜く。しかし、磁気センサ203のセンサ表面部や検出用の歯車201の歯先部に傷等をつけたくない場合や、より精密に空隙量を管理して取り付けを行う場合は、オシロスコープ等の測定器にて、
図5に示すの二相信号Sa,Caの波形を観測しながら、所定の信号レベルを得られるよう磁気センサ203の空隙量を調節して取り付けていた。
【0012】
以上のような磁気センサ203の取付方法は、検出用の歯車201のサイズが異なる歯数のものになっても、変えることなく行われてきた。
図3の例で、比較的中心寄りに配置された検出素子301g〜301jは、検出用の歯車201のサイズが変化しても信号レベルへの影響を受けづらいが、比較的外側に配置された検出素子301a〜301f,301k〜301pは、検出用の歯車201のサイズが変化すると、その曲率の違いにより空隙量が変化するため、信号レベルに大きな影響を受けていた。つまり、電圧レベルSa,Caをオシロスコープ等で観測しながら、所望の信号レベルを得られるように空隙量を取り付けする方法において、検出用の歯車201の歯数が大きいほど、即ち歯車外周円の曲率が小さいほど、検出用の歯車201と磁気センサ203との空隙量は大きく取り付けられ、逆に歯数が小さいほど、同空隙量は狭く取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−4401号公報
【特許文献2】特開2006−17533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来例で示した位置検出器では、検出用の歯車の異なるサイズに対し、増幅後の検出信号の電圧レベルを観測しながら、所定の電圧レベルになるよう磁気センサ203と被検出体との空隙量を調整していた。しかし、この方式によれば、所定の電圧レベルになるよう調整されるため、検出用の歯車201のサイズが比較的大きい場合は、磁気センサ203と被検出体との空隙量が大きくなってしまっていた。磁気センサ203と被検出体との空隙量が大きくなると、
図2の例では、バイアス磁石から発せられる磁束について、検出用の歯車201以外へ向かってしまう磁束量(リーク磁束量)が相対的に多くなってしまう。特許文献2の
図1の例では、コイル4からの交流励磁磁束のリーク磁束が多くなる。また、検出用の歯車201のサイズが比較的小さい場合は、磁気センサ203と被検出体との空隙量が小さくなってしまい、回転軸の不測の芯振れ等の場合に、磁気センサ203と検出用の歯車201とが接触する危険があった。
【0015】
以上のような事情を鑑み、本発明は、被検出体の異なるサイズに対し、被検出体とセンサ部との空隙量、或いは電圧レベルが最適、乃至はより好ましい状態とすることができる位置検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の位置検出器は、磁性体よりなる円盤状の被検出体と、前記被検出体と独立して設けられたセンサ部と、を備えた位置検出器であって、前記被検出体は、その外周に規則的な繰り返しパターンを有しており、前記センサ部は、前記被検出体の相対移動方向に配設される複数の検出要素或いは検出パターンと、前記複数の検出要素或いは検出パターンからの信号を増幅する可変利得増幅回路と、前記被検出体の
曲率に関するパラメータの値と利得との相関を記憶するとともに、前記位置検出器が接続される制御装置から指示されたパラメータの値に対応する利得の値を前記可変利得増幅回路に設定する記憶器と、を備えることを特徴とする。
【0017】
他の本発明である位置検出器の調整方法では、上述した位置検出器において、前記可変利得増幅回路によって増幅された信号に基づいて、前記被検出体に対する前記センサ部の取り付け調整
を行
う。
【0018】
他の好適な態様では、前記被検出体は、前記繰り返しパターンの個数nに応じてサイズが定まり、前記被検出体の
曲率に関するパラメータは、前記繰り返しパターンの個数nである。別の好適な態様では、前記被検出体の
曲率に関するパラメータは、前記被検出体の半径または曲率である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の位置検出器によれば、センサ部に対する異なるサイズの被検出体との組合せであっても、互いの空隙量を予め格納してあった利得によって決定することができるため、最適、乃至はより好ましい空隙量とすることができる。具体的には、大きなサイズの被検出体に対しては、対応する可変利得増幅器の利得を小さくすることになるが、その場合に、信号対雑音比(SN比)が従来より有利に働く効果を奏する。大きなサイズの被検出体であっても、従来の増幅器の増幅後の信号レベルで取付調整された不必要に広い空隙量より、本発明の可変利得増幅器の増幅後の信号レベルで取り付け調整された適正な空隙量とすることができるため、バイアス磁石からの励磁磁界、或いはコイルからの交流励磁磁界によって構成された励磁磁束のリーク磁束を減ずることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態である位置検出器の処理回路部の一例を示す概略構成図である。
【
図2】位置検出器の全体の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2の磁気センサに内包された検出素子の配列を示す正面図である。
【
図4】従来の位置検出器の処理回路部の概略構成図である。
【
図5】位置検出器の二相信号の波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
図1は、本発明の位置検出器の処理回路部の一例を示す概略構成図である。
図1の処理回路部は、
図2及び
図3で示す構成の位置検出器を処理するものとする。また、
図2乃至
図4との同一構成要素には同一符号を付して説明する。検出用の歯車201の歯車部の凹凸によって変化する磁束密度を検出する検出素子301a,301c,301e,301g,301i,301k,301m,301oが発する信号レベル(電圧レベル)は、極性の違いで強めあうよう正弦の正相は可変利得増幅回路101aの+側端子へ、同負相は可変利得増幅回路101aの−側端子へ送られる。同様に、検出素子301b,301d,301f,301h,301j,301l,301n,301pも、極性の違いで強めあうように余弦の正相は可変利得増幅回路101bの+側端子へ、同負相は可変利得増幅回路101bの−側端子へ送られる。他方、
図4の例と同様に、カウンター回路107には、この位置検出器の初期化時に制御装置109から、検出用の歯車201の歯数256という数値が送られ、セットされている。カウンター回路107は、歯数に関する情報を記憶器103へ伝達する。記憶器103では、検出用の歯車201の歯数に関する情報を入力したら、これに対応する利得の値を選択し、利得情報Gain(256)として可変利得増幅回路101a,101bへ送出する。可変利得増幅回路101a,101bは、利得情報Gain(256)に基づいて利得を設定する。信号増幅後の二相信号Sa,Caの処理方法については、従来と同様のため、説明を省略する。
【0022】
さて、記憶器103に予め格納された検出用の歯車201の歯数(繰り返しパターンのサイズ、前記被検出部の形状に関するパラメータ)に対応する利得の値については、使用される検出用の歯車201のラインアップについて、事前に磁気センサ203との組合せにおいて、最適な空隙量に厳密に取付調整した後、二相信号Sa,Caの信号振幅を計測しながら決定する。これらの利得の値は、検出用の歯車201の歯数と利得の値とが対応するように、記憶器103にはテーブル状に格納されている。或いは、ある任意の基準となる検出用の歯車201の歯数(繰り返しパターンのサイズ)に対する利得の値を決定しておき、異なる歯数の検出用の歯車201に対しては、FEM磁場解析ツール等のシミュレーターにて所定の空隙量での信号振幅を算出させ、必要となる利得の値を決定しても良い。
【0023】
また、前述のFEM磁場解析において、検出用の歯車201の歯数(繰り返しパターンのサイズ)と利得の値との間に、相関性が発見でき、その関係性を数式(近似式含む)にて求めることができることもある。その場合には、その関係式を記憶器103に格納しておき、カウンター回路107から歯数に関する情報を入力したら、格納してあった関係式にて最適な利得の値を導出しても良い。つまり、検出用の歯車201の歯数(繰り返しパターンのサイズ)に応じて、検出素子301a〜301pからの信号を増幅する際に、最適、或いはより好ましい利得にて増幅させる手がかりとなる情報を、記憶器103に予め格納してあり、その情報に基づいて増幅率が設定されれば、本発明の位置検出器としての特徴を備える。或いは、以上の意味合いにおいては、検出用の歯車201の歯数(繰り返しパターンのサイズ)ではなく、検出用の歯車201の歯先円の半径や、曲率に応じた利得の値を記憶器103に格納するようにしてもよい。カウンター回路107から検出用の歯車201の歯先円半径、或いは曲率に関する情報を入力したら、記憶器103からそれに応じた利得の値をセットすればよい。カウンター回路107から歯数に関する情報を入力した場合でも、歯数と歯先円内径は簡単な数式により展開することが可能である。
【0024】
可変利得増幅回路101a,101bについては、可変利得増幅器(VGA)を中心とする回路構成であるが、その他、プリアンプや抵抗器等々の電子部品の回路構成については、設計者が自由に選定、設計されるべき要件であり、本発明ではその自由度に制限を与えるものではない。
【0025】
以上のような処理回路構成を有した本発明の位置検出器について、検出用の歯車201と磁気センサ203との空隙量の調整方法を説明する。先に、マーカー円板202と一体となった検出用の歯車201を、回転軸へ芯振れを調整して取り付ける。次に、磁気センサ203と制御装置109との送受信における初期化時の通信に相当する機能を有した通信手段によって、カウンター回路107へ検出用の歯車201の歯数をセットする。この歯数に関する情報は、記憶器103へも送出され、記憶器103から可変利得増幅回路101a,101bの利得を設定する。更に、オシロスコープ等の測定器にて、二相信号Sa,Caの波形を観測しながら、所定の信号レベルを得られるよう磁気センサ203の空隙量を調節して取り付ける。
【0026】
或いは、磁気センサ203の取付調整時に、カウンター回路107に検出用の歯車201の歯数を設定する手法については、セットされた歯数に関する情報を次に初期化処理して設定しなおさない限り、新たな歯数に関する情報を更新しないような構成にしておいたうえで、一旦、制御装置109に接続して歯数に関する情報をセットしておき、制御装置109との接続を切断して、空隙量の取付調整を行ってもよい。
【0027】
なお、上述した構成は、一例であり、適宜、変更してもよい。例えば、磁気センサ部の検出原理として、検出素子に磁気抵抗素子を利用したものについて述べたが、検出部にコイルパターンを利用した電磁誘導型の検出原理であっても本発明の位置検出器とすることができる。また、上述の例では、被検出体に歯車を使用したものについて述べたが、これ以外の形態でも本発明の位置検出器とすることができる。一例としては、凹凸形状を有しないリング状の磁性材の外周面に、規則的なパターンでN極とS極が繰り返すように着磁したものを被検出体とする場合が挙げられる。この形態の被検出体も、繰り返しの着磁パターンの基本ピッチ長をそのままに、サイズを変更したい場合に、本発明の位置検出器の技術を有効に活用できる。
【0028】
また、本発明の属する技術分野として、産業機械や工作機械等の分野における回転軸の制御用の位置検出器に特化して説明したが、その他の分野への利用可能性として、本発明の位置検出器を歯車検査装置や歯車試験機等に搭載し、歯車のピッチ誤差や歯先真円度等の工作精度を測定する測定器とする場合も考えられる。
【符号の説明】
【0029】
101a,101b 可変利得増幅回路、101c〜101e 差動増幅器、102a,102b アナログ/ディジタル変換器、104a,104b 減算器、105 除算器、106 (逆正接)演算器、107 カウンター回路、108a,108b コンパレータ、109 制御装置、110 加算器、201 検出用の歯車、202 マーカー円板、203 磁気センサ、301a〜301q 検出素子(磁気抵抗素子)