【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者らは、研究の結果、還元剤としてジメチルアミンボランとNaBH4の両方を用いることにより、軟磁性を有するCo−Fe−B(−P)アモルファス合金からなる微粒子及び球状粒子結合体を得ることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものであり、具体的には以下に掲げる手段を提供する。
【0006】
即ち、本発明は、第1の製造方法として、
Fe元素を含有する第1金属塩と、Co元素を含有する第2金属塩と、錯化剤とを含む原料液に対して、pH調整剤を加えて、所定のpHを有するように調整された中間液を生成するpH調整工程と、
前記中間液を撹拌しながら当該中間液に対してジメチルアミンボランとNaBH
4を含むB系還元剤を滴下することにより、アモルファス合金からなり軟磁性を有する粉末を得る還元工程と
を備える粉末の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、第2の製造方法として、
Fe元素を含有する第1金属塩と、Co元素を含有する第2金属塩と、錯化剤とを含む原料液に対して、pH調整剤を加えて、所定のpHを有するように調整された中間液を生成するpH調整工程と、
前記中間液を撹拌しながら、永久磁石又は電磁石を用いて7.9
kA/m以上395kA/m以下の磁場を印加しつつ、当該中間液に対してジメチルアミンボランとNaBH
4を含むB系還元剤を滴下することにより、アモルファス合金からなり軟磁性を有する球状粒子が棒状に結合されてなる球状粒子結合体を得る還元工程と
を備える球状粒子結合体の製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、第3の製造方法として、第1又は第2の製造方法であって、
前記原料液は、P系還元剤を更に含むものである
製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、第4の製造方法として、第3の製造方法であって、
前記P系還元剤は、次亜リン酸ナトリウムからなる
製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、第5の製造方法として、第1乃至第4のいずれかに記載の製造方法であって、
前記pH調整工程における前記所定のpHは、8.5〜11.0である
製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、第6の製造方法として、第5の製造方法であって、
前記所定のpHは、9.2〜9.8である
製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、第7の製造方法として、第1乃至第6のいずれかに記載の製造方法であって、
前記原料液は、析出核形成剤を含まない
製造方法を提供する。
【0013】
更に、本発明は、第1の粉末として、
組成式(Fe
1−xCo
x)
100−a−bB
aP
b(ここで、0<x<1、15≦a≦36at%、0≦b≦3at%)で示される組成を有するアモルファス合金からなり、且つ、0.05μm以上3.0μm以下の平均粒径を有すると共に軟磁性を有する粉末を提供する。
【0014】
また、本発明は第2の粉末として、第1の粉末であって、
0.5≦x≦0.95を満たす粉末を提供する。
を備える球状粒子結合体の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は第3の粉末として、第1又は第2の粉末であって、
0.05μm以上1.0μm以下の平均粒径を有する粉末を提供する。
【0016】
また、本発明は第4の粉末として、第1乃至第3のいずれかの粉末であって、
16≦a+b≦22at%を満たす粉末を提供する。
【0017】
また、本発明は球状粒子結合体として、
第1乃至第5のいずれかの粉末を一次粒子とし、前記一次粒子が棒状に結合されてなる球状粒子結合体であって短軸径が0.05μm以上2.0μm以下であり且つ長軸径が0.3μm以上20.0μm以下の球状粒子結合体を提供する。
【0018】
また、本発明は、第1の混合粉末として、上述した球状粒子結合体と、0.1μm以下の平均粒径を有する強磁性微粒子とからなる混合粉末を提供する。
【0019】
また、本発明は、第2の混合粉末として、第1の混合粉末であって、
前記強磁性微粒子は、前記球状粒子結合体を構成する前記一次粒子の平均粒径の1/10以下の平均粒径を有している
混合粉末を提供する。
【0020】
また、本発明は、第3の混合粉末として、第1又は第2の混合粉末であって、
前記強磁性微粒子は、3nm以上の平均粒径を有している
混合粉末を提供する。
【0021】
更に、本発明は、第4の混合粉末として、第1乃至第3の混合粉末であって、
前記強磁性微粒子は、NiZnフェライト、MnZnフェライト、又は、Fe,Ni,Coからなる群から選ばれる一種以上の合金のいずれかからなる
混合粉末を提供する。
【0022】
また、本発明は、第1乃至第4のいずれかの混合粉末を溶剤に分散させてなる磁性ペーストであって、
前記混合粉末の充填率が20〜65%であり、粘度が1〜300Pa・sである
磁性ペーストを提供する。
【0023】
また、本発明は、上述した磁性ペーストに対して対称物を浸漬させた状態又は前記磁性ペーストを前記対象物に塗布した状態で磁場を印加しつつ前記磁性ペーストを固化させることにより、前記磁性ペーストに含まれる前記強磁性微粒子を前記球状粒子結合体間に配置させる方法を提供する。
【0024】
また、本発明は、上述した磁性ペーストに対して巻き線コイルを浸漬させた状態で磁場を印加しつつ前記磁性ペーストを固化してなるインダクタを提供する。
【0025】
また、本発明は、シート状の基板上に形成された平面コイルに対して、上述した磁性ペーストを塗布した状態で前記磁性ペーストを固化してなるインダクタを提供する。
【0026】
また、本発明は、シート状の基板上に対して、上述した磁性ペーストを5μm〜500μmの厚さを有するように塗布した状態で前記磁性ペーストを固化してなる磁性材料を提供する。