(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の例である放射線撮影システムについて説明する。放射線システムとしては移動可能な回診車やモバイルCアームや、据え置き型のX線撮影システムがある。なお、以下の実施形態の説明に用いる符号の下二桁は、機能的に共通もしくは共通要素のあるユニットで同一とする場合がある。
【0009】
図1に基づいて一実施形態に係る放射線撮影システムを説明する。放射線撮影システムは、X線等の放射線を検出してデジタル放射線画像を得る放射線検出器104と、X線等の放射線を射出する放射線発生装置108とを有し、これらの間で放射線発生制御装置Bを介して信号のやり取りが可能となっている。なお、以下の実施形態の説明では、放射線発生装置を撮影の制御を行うという点で放射線撮影制御装置と呼称する場合がある。さらには、放射線発生装置Bを、照射スイッチ101を含むユニットという点でスイッチユニットBと呼称する場合がある。
【0010】
放射線検出器104は放射線を検出してデジタル放射線画像を得る。放射線発生装置側との通信は撮影装置側IF103と、放射線検出器104を制御する撮影制御部105を介して行われる。ここで、撮影装置側IF103と、撮影制御部105と、放射線検出器104とを合わせて撮影装置または放射線撮影装置と呼称することがある。なお、撮影装置側I103から直接放射線検出器104へ接続する場合や、LAN構成のアクセスポイントを経由して放射線検出器104と接続される場合などがある。
【0011】
放射線発生装置108は制御部1081などを含む高圧発生装置106、X線管などの放射線源107を有する。
【0012】
放射線発生制御装置Bは、照射スイッチ101と、発生装置側IF(インタフェース)102と、撮影装置側接続部131(第一の接続部)と、発生装置側接続部130(第二の接続部)とを有する照射スイッチユニットである。照射スイッチ101は放射線の照射を指示するためのスイッチであり、技師や医師等の撮影者により押下されることに応じて、押下されたことを示す信号(第一の信号)を発生させ、出力する。かかる信号が放射線発生装置108に伝達されることにより、放射線の照射準備及び照射指示が行われる。照射スイッチ101には押下を電磁気的、機械的または光学的に検出するための検出部と、検出に応じて電気的または工学的な信号(第一の信号)を出力する出力部を有し、導電ケーブル等により信号が伝達される。
【0013】
発生装置側IF102は取得部102aと、制御部102bと、出力部102cを有し、照射スイッチ101とケーブルで有線接続される。また、撮影装置側(放射線検出器104側)の制御部105と撮影装置側接続部131を介して着脱可能に接続する。また、放射線発生装置108の制御部1081と発生装置側接続部130を介して着脱可能に接続する。
【0014】
撮影装置側接続部131は例えば撮影装置側IF(インタフェース)103側の接続部と有線接続するためのコネクタにより実現される。
【0015】
発生装置側接続部130は例えば放射線発生装置108の接続部と着脱可能なコネクタにより実現される。
【0016】
取得部102aは照射スイッチ101と電気的に接続され、前記照射スイッチが押下されたことを示す第一の信号を受け取る。その他、撮影装置側接続部131や発生装置側接続部130を介して発生装置側IF102に到達した信号を取得する。
【0017】
放射線検出器104は放射線検出器104の駆動状態を示す信号(第二の信号)を出力する。ここで出力される信号は、有線ケーブルを介して伝送することとしてもよいが、無線で送信する無線送信部を放射線検出器104に設けることできる。これにより放射線検出器104を用いた撮影をケーブルに煩わされることなく行えるようになる。
【0018】
放射線検出器104は、放射線検出器104が放射線を受光し撮影が可能となった状態へと遷移したことを示す信号を出力する。ここで、放射線検出器104は、常にまたは定期的に放射線検出器の駆動状態を示す信号(第二の信号)を放射線発生制御装置Bへと出力する。
【0019】
出力された第二の信号は、放射線検出器の制御部105と撮影装置側IF103を通じて撮影装置側接続部131により伝達され、取得部102aにより取得される。
【0020】
制御部102bは、照射スイッチ101からの信号(第一の信号)と放射線検出器104からの信号(第二の信号)が取得部102aにより取得されることに応じて、発生装置側接続部130(第二の接続部)を介して特定の信号を出力させる。
【0021】
ここでいう特定の信号は、第一及び第二の信号のいずれであっても、あるいはいずれとも異なる第三の信号を出力することとしてもよいが、第一の信号と第二の信号の両方を送ることで信頼性を高めることができる。
【0022】
また、第二の信号の受信に応じて第一の信号を特定の信号として出力することで、放射線発生装置108側は従来通り照射スイッチ101の信号を受信及び解釈できればよいため、アナログ放射線撮影に用いられる放射線発生装置108であっても、着脱可能なスイッチを有するスイッチユニットによりデジタル放射線撮影が可能となる。
【0023】
放射線発生装置108は、放射線発生装置108側の接続部により発生装置側接続部130と接続することで制御部1081と接続される。これによりスイッチユニットBからの特定の信号を受信する。制御部1081はかかる特定の信号の受信に応じて、制御部1081は高圧発生装置106に放射線発生のための高電圧を発生させるとともに、放射線源107から放射線を発生させる制御を行う。
【0024】
発生された放射線を放射線検出器104で検出し、放射線画像データを得る。この画像データは、例えば無線送信部により撮影制御部105へと転送される。撮影制御部105は表示制御部を有し、かかる表示制御部により放射線検出器104から出力された放射線画像を表示部に表示させることができる。
【0025】
上述の通り、放射線発生制御装置Bは放射線検出器104を含む撮影装置や放射線発生装置108と着脱可能に接続し、照射スイッチの押下に応じて通信を行うことができる。また、放射線発生装置108にスイッチユニットの着脱可能な接続部を接続可能とすることで、放射線検出器104との信号のやり取りが可能となる。これにより、撮影前の撮影条件のやり取りや、撮影時の同期、撮影実施情報のやり取り、画像の転送など、デジタル放射線撮影が可能なシステムを容易に構築することができる。
【0026】
ここで別の実施形態では、制御部102bは、照射スイッチからの信号を取得部102aが受信することに応じて、放射線検出器104の駆動状態の情報を要求するための第三の信号を撮影装置側接続部131を介して出力させる。ここでいう第三の信号は、第一の信号をそのまま第三の信号として撮影装置側へと出力することとすることができる。個の第三の信号に応じて、放射線検出器104は、放射線検出器104の駆動状態を示す信号(第二の信号)を出力する。放射線検出器104は、例えば第三の信号に応じて、放射線検出器104の駆動状態を待機状態から放射線撮影可能な状態へと遷移させる。その上で放射線検出器104は、照射スイッチの押下に応じて放射線検出器104が放射線を受光し撮影が可能となった状態へと遷移したことを示す信号を出力する。
【0027】
これにより、放射線検出器104の状態遷移を照射スイッチの押下に応じて行わせることができるため、放射線検出器104を長時間待機状態とする必要がないため、放射線検出器の劣化を低減することができる。
【0028】
またここで、発生装置側IF102は照射スイッチ101の筐体内に回路として配置されることとすれば、照射スイッチ101と接続部130との間にユニットを配置する必要がなくなるため、スイッチユニットBの扱いが容易になる。この場合、スイッチが押下されたことを示す信号(第一の信号)を取得する取得部102aと、放射線検出器104との接続する接続部131と、第一の信号と放射線検出器104からの第二の信号とに応じて特定の信号を放射線発生装置へと接続部130を介して出力する制御部102bとがスイッチユニットBに配置されることとなる。
【0029】
その他、照射スイッチ101の筐体内に、撮影の進行状態を示す表示部と、第二の信号が取得されたことを示す表示を表示部にさせる表示制御部を設けることにより、通信状態が照射スイッチ101を持つ撮影者の視点で容易に確認することができる。
【0030】
スイッチユニットBと撮影装置との通信は、図に示すとおり有線ケーブルを介して行われることとしてもよいが、撮影装置側IF103と無線を介して通信することとすれば、ケーブルに煩わされることが減る。この場合、接続部131は無線により信号を送受信する通信部である。
【0031】
スイッチユニットBと撮影装置との通信は、専用線を用い、電圧値をそのまま信号として扱う専用の通信を用いることとしてもよいが、0、1のデータを予め取り決められた規則に基づき双方で解釈するコマンド通信を用いることとすれば、専用線を用いる必要がなく、例えば無線LANの一般的な通信規格に対応する通信路で通信することができるため有用である。
【0032】
ここで、発生装置側IF102と撮影装置側IF103とは機能上はことさら分離して記載する必要はなく、放射線発生装置108と放射線検出器104を含む撮影システムの同期および情報授受のインタフェースである。しかしながら、製造する業者により、製品として成り立つ場合とそうでない場合があるため、発生装置側IF102は放射線発生装置108に属し、撮影装置側IF103は放射線検出器104の撮影装置に属するユニットとする。このため、撮影装置側IF103と記載した部分と発生装置側IF102と記載した部分とは概念的には大きな違いはないため、場合によっては、たとえば、実施例中に撮影装置側IFv103へ接続すると記載していても、本発明の意図上は機能的に同様の内容で発生装置側IF102へ接続してもよい場合がある。
【0033】
さて、スイッチユニットBはコネクタ130などでの着脱可能に構成するか、もしくは、単に電気的スイッチで撮影装置側IF103に接続するか否かを切換えてもよい。使用目的に応じて操作者によってコネクタ130もしくはコネクタ131部分で着脱して、撮影部を使用するか否か、あるいは、複数種(単にインタフェースが異なるシステムや他メーカインターフェース)の撮影装置側IF103を使い分けすることが可能である。
【0034】
図2に基づいて撮影装置側との通信を行わないスイッチユニットAを放射線発生装置108に接続した場合を説明する。放射線発生装置108側の接続部には、放射線発生制御装置Bに替えて放射線検出器104との接続用の接続部131を備えない照射スイッチユニットAを接続部230を介して接続可能である。
【0035】
スイッチユニットAは照射スイッチ201を有し、押下に応じて照射スイッチが押下されたことを示す第一の信号を出力する。スイッチユニットAは放射線発生装置108と接続部230を介して接続する。出力された第一の信号は制御部1081により検出され、高圧発生等の放射線発生の準備処理及び放射線源107による放射線の発生処理が行われる。
【0036】
かかる放射線発生装置108とともに用いられる放射線検出器204としては、例えばフィルムやCRの検出器を用いることができる。また、放射線発生装置108との同期を行わないデジタル放射線検出器を用いることもできる。
【0037】
もちろん
図1の放射線撮影システムにおいても、フィルムもしくはCR、または同期を行わない放射線検出器104を用いることができる。この場合には、非同期モードとして動作する設定に応じて、撮影装置側IF103は放射線撮影が可能であることを示す信号を常に出力し続ける状態とする。これにより、発生装置側IF102は撮影装置側接続部131を介してかかる信号を取得するため、同期撮影を行う場合と同じように撮影が可能となる。
【0038】
さらに別の例では、
図2において照射スイッチ101を撮影装置側IF102と着脱可能に構成することも可能である。この場合、放射線発生制御装置Bに対して着脱可能に接続するその他の接続部を撮影装置側IF102に設けることで対応できる。このようにすることで、
図2に示すようなスイッチユニットAを直接放射線発生装置108の接続部に接続することも、撮影装置側IF102のその他の接続部に接続して用いる事も可能となる。この場合、撮影装置側IF102はスイッチユニットAと放射線発生装置108とを接続する中継機して機能する。これにより照射スイッチを複数設ける必要がなくなる。
【0039】
さらに上述の例において、放射線発生制御装置Bのその他の接続部に放射線発生制御装置BとスイッチユニットAのいずれが接続されているかを判定する判定部を設けることができる。かかる判定部は独立のユニットとして設けてもよいし、制御部102bの一機能として実装されていても良い。かかる判定の結果は、接続部130や接続部131を介して撮影制御部105や放射線発生装置108に出力され、これらの表示制御部により表示部に表示させることとすれば、放射線撮影システムが今同期モードで動作するのか、非同期モードで動作するのかをユーザに通知することができる。
【0040】
図3に基づき、実施形態に係る放射線検出器の一例である無線通信可能な放射線検出器304の構成を説明する。
【0041】
放射線検出器304は図中に構成された各内部ユニットからなり、FPD3042を有する。FPD3042は例えばヨウ化セシウム(CsI)からなるシンチレータと非結晶シリコン(a−Si)または単結晶シリコン(Si)上に実装される二次元光検出器の組み合わせで構成される。ここでポリシリコンを用いることにより、センサ特性と大平面化の容易性とを両立することができる。二次元光検出器は複数の画素が行列状に二次元に配列される。各画素は光電変換素子と電荷を読み出すためのスイッチング素子を有し、スイッチング素子を選択的にオン状態とするための行選択線と、電荷を転送するための列信号線に接続される。
【0042】
X線がシンチレータに入射すると、二次元光検出器に対して可視光を発し、結果としてX線可視光像を生じる。二次元光検出器各行の画素はラインドライバ3041と行選択線により同時にアドレシングされ、出力は列信号線を介して出力されサンプルホールド回路3043において保持される。マルチプレクサ3045を介して保持されている画素出力の電荷はアンプ3044において増幅されA/D変換器3046により順次デジタル値に変換される。これら読み出し動作、あるいは撮像動作等の制御は図示しない検出器制御部3049により行われる。各行上の画素の読み出しが終了するごとに、ラインドライバ3041が順次FPD3042上の各行をドライブしていき、その結果としてFPD3042の画素は上記A/D変換動作により全ての画素がデジタル化される。A/D変換器3046の出力はメモリ3047に一時的に蓄えられ、要求に応じて無線通信部3048を介して出力される。
【0043】
X線の照射を受ける前に、FPD3042の二次元光検出器は光電変換素子等に蓄積される暗電流の吐き出し処理(初期化処理)を行う。二次元光検出器の暗電流の蓄積量は時間に比例するが、蓄積速度が大きい場合には撮影直前に初期化処理を要するが、特性が良好な場合には定期的にまたは撮影前の適切なタイミングで暗電流の吐き出しをすることで、十分な画質の画像を得ることができる。また、二次元光検出器に電荷の吐き出し用のリセット回路を実装すれば、通常信号線による電荷の吐き出しに比べて十分に短い時間での電荷の吐出しが可能である。リセットの指示は制御部3049の指示に応じて行われる。
【0044】
放射線検出器1を構成する全ての電気部品に対する給電はバッテリーパック305より行われる。ここでバッテリーパック305の残量が減り電源供給が不可能となる場合には、バッテリーパック305の交換が必要となる。バッテリーパック305の残量を確認するために、バッテリーパック305本体または撮影部1にLED等で構成された表示部により、バッテリーパック305の全残量表示あるいは残量警告表示などや、ブザー及びスピーカ等による音響を用いた残量警告を行う。これによりバッテリーパック305の交換を使用者に促すことができる。バッテリーパック305の残量管理のため、バッテリーパック305の交換は専用の充電システムにより行う。
【0045】
図4に基づいて1つの実施形態に係る放射線撮影システムでやり取りされる信号について説明する。
【0046】
実施形態に係る放射線撮影システムでは照射スイッチ401に2段スイッチを適用することができる。1stスイッチ401a(準備開始スイッチ、Preparation スイッチ、Prep. スイッチ)の信号410および2ndスイッチ401b(曝射[照射]スイッチ、Exposure スイッチ、Exp. スイッチ)の信号411はケーブルを通じて発生装置側IF402に入力される。先にスイッチ遷移が発生すべき1stスイッチ信号410が発生装置側IF402により放射線発生装置108に伝達されることで、放射線発生装置108は曝射の為の準備を開始する。2ndスイッチ信号411が発生装置側IF402により放射線発生装置108に伝達されることに応じて、放射線発生装置108は曝射の為の準備が整った後に曝射を行う。尚、操作スイッチ401は場合によっては、操作卓上のメンブレンスイッチなどのシート状の事なる2つのスイッチやキーボードのような押しボタン状のスイッチで構成される場合もある。
【0047】
まず、操作者は放射線検出器404と図示しない被検者と放射線源107とを調整してX線照射の為の準備を行う。発生装置IF402、撮影装置IF403では待ち受け状態であり、発生装置側IF402では取得部402aが照射スイッチ401の1stスイッチ信号410を待ち受ける。撮影装置IF403では発生装置側IF402からの1stスイッチ相当信号41を待ち受ける。その後照射スイッチ401の1stスイッチが撮影者により押下される。発生装置IF402にて1stスイッチ信号410を受信したので、出力部402cは撮影装置IF403への1stスイッチ相当信号416送信とともに放射線発生装置108へPrep信号414を送出する。ここで1stスイッチ相当信号416を送信することとしたのは、必ずしも1stスイッチ信号410を送信せずともよいことを示すためであり、1stスイッチ信号410をそのまま送信することとしてもよい。
【0048】
発生装置側IF402の取得部402aは、1stスイッチ相当信号417が送出された後、直ぐに2ndスイッチの待ち受けを行う。もちろん、取得部402aは1stスイッチ信号410と2ndスイッチ信号411を並行して待ち受けることとしても良い。撮影装置側IF403は1stスイッチ相当信号416を受信して放射線検出器404側で状態遷移処理の開始指示を行う。かかる処理内容はFPD3032へのバイアス印加開始、処理回路への通電開始、アイドル駆動開始、初期化開始、蓄積開始など様々な処理を含んでおり、これらは検出器制御部3049の制御のもとに行われる。状態遷移処理の開始指示を行った後、撮影装置側IF403は直ぐに待ち受け状態へ移る。
【0049】
発生装置IF402の取得部402aは、操作者により2ndスイッチ401bが押下されると、2ndスイッチ信号411を検出して次処理へ移る。発生装置側IF402は2ndスイッチ相当信号416を撮影装置側IF403に対して送出する。放射線検出器404側は撮影部処理の開始指示を行う。処理内容は放射線検出器404の駆動制御により、内部検出器へのバイアス印加開始、処理回路への通電開始、アイドル駆動開始、初期化開始、蓄積開始など様々な処理を行う可能性がある。係る処理にて蓄積許可状態へ遷移することに応じて、撮影装置側IF403は蓄積許可信号413(第二の信号)を送出する。再び、発生装置側IF402の取得部402aが蓄積可能信号413を受信したら、出力部402cはExp信号415を送出する。放射線発生装置108は放射線照射を開始し、放射線撮影が実施されることとなる。
【0050】
次に、X線曝射の終了は、操作者による2ndスイッチの解放、放射線検出器404内の蓄積タイマのタイムアウト、場合によっては、放射線発生装置108から放射線検出器404への曝射終了信号を受けて、画像を読み出す。駆動内容よっては定期的に読出しを行っていて最終的なX線画像の読出し状態に遷移する。その後、放射線検出器404から撮影制御部405に画像転送されX線画像を撮影制御部にて表示する。
【0051】
図5のタイミングチャートに基づいて、撮影開始時の信号の状態を説明する。
図5(a)は、定期的な電荷の吐き出し処理を行うアイドル状態からごく短い時間で画像蓄積状態へと遷移可能な放射線検出器を用いた場合のタイミングチャートである。係る実施形態では、照射スイッチ501は2段スイッチを有するものを用いる。その他の点については
図1に基づき説明した実施形態と同様の構成である。なおタイミングチャートにおいて、573は撮影部の駆動状態を、577はX線発生装置(放射線発生装置)の状態をそれぞれ示している。
【0052】
1stスイッチ501aの押下に応じて、照射スイッチ501で1stスイッチ信号571が生成され、取得部102aにより取得される。これに応じてPrep信号575が制御部102bで生成される。かかる信号に応じて、放射線発生装置108はローターアップするよう制御部1081により制御される。
【0053】
その後2ndスイッチ501bの押下に応じて、照射スイッチ501で2ndスイッチ信号572が生成され、取得部102aにより取得される。これに応じて放射線検出器104はアイドル駆動から蓄積状態へと遷移する。蓄積状態への遷移が完了することに応じて、蓄積可能信号574(第二の信号)が撮影装置側IF103から発生装置側IF102へと入力される。かかる蓄積可能信号574は、撮影装置側IF103側で検出器の状態を取得して生成することとしても良いし、放射線検出器104で生成することとしてもよい。
【0054】
この蓄積可能信号574の入力に応じてExp信号576が制御部102bにより生成され、放射線発生装置108へと出力される。これにより、制御部1081は放射線源107から放射線を発生させ、曝射が開始される。放射線の発生は既定の時間だけ行われ、制御部1081の制御により終了する。
【0055】
2ndスイッチ501bの押下が終了した場合、2ndスイッチ信号572はオフ状態となる。この場合取得部102aはオフ状態となった2ndスイッチ信号572を取得するようにしてもよいし、オン状態を示す信号のみ取得し、オフ状態の信号を取得しないこととしてもよい。
【0056】
2ndスイッチ信号572がオフ状態となった後、または既定の蓄積時間が終了した後に、放射線検出器104は蓄積状態を終了し、電荷の読み出し駆動を開始する。読出しが完了した後は再びアイドル状態へと遷移する。読み出された電荷に基づく放射線画像は、放射線検出器104から制御部105に転送され、所定の画像処理が施された後表示部に表示される。
【0057】
図5(b)はアイドル状態から蓄積状態へと遷移する際に、初期化処理を行う放射線検出器を用いた場合のタイミングチャートである。やり取りされる信号について
図5(a)と共通する部分については説明を省略する。
【0058】
かかる実施形態では、2ndスイッチ信号572を撮影制御部105または放射線検出器104が受信することに応じて、FPD3042をアイドル状態から初期化処理へと遷移させる。ここでいう初期化処理は、アイドル状態にて行われる定期的な電荷の吐き出し処理と同じ処理を2ndスイッチ信号572の受信をトリガとして開始することとする。
【0059】
別の例では、2ndスイッチ信号572に対する応答性を考慮して、アイドル状態における初期化処理よりも読み出し時間を短縮したり、あるいは電荷の吐き出し処理を複数回繰り返す場合には1単位の吐き出し処理の間の時間間隔を小さくしたりする。読み出し時間の短縮は、FPD3042の各光電変換素子と接続するスイッチング素子をON状態とする時間を短くすることで行うことができる。
【0060】
また別の例では、曝射により得られる画像の画質を考慮して、アイドル状態における初期化処理よりもスイッチング素子をON状態とする時間を長くしたり、電荷吐き出し処理の繰り返し回数をアイドル状態の初期化処理よりも多くしたりすることで、より確実に電荷を吐き出すこととする。この場合でも、1単位の吐き出し処理の間の時間間隔を小さくすることで、応答性を向上させることができる。上述の制御は検出器制御部3049によりFPD3042へ信号を送ることで実現される。
【0061】
初期化処理の終了に応じて放射線検出器104は蓄積状態へと移行する。移行に応じて、放射線検出器104は蓄積可能信号574(第二の信号)を放射線発生装置108側へと送信する。これに応じて発生装置側IF102の制御部102bでExp信号576が生成され、出力部102cにより放射線発生装置108へと入力される。
【0062】
以上のような信号のやりとりにより、放射線検出器104を含む撮影装置と放射線発生装置108とが同期し、放射線撮影が行われることとなる。
【0063】
なお、
図5(a)に示すタイミングチャートに示す信号のやり取りを実現するための制御と、
図5(b)のタイミングチャートに示す信号のやり取りを実現するための制御を、放射線発生制御装置B、撮影装置側IF103、放射線検出器104、および放射線撮影装置105でそれぞれ実行可能となっており、いずれの放射線検出器104がシステムに接続されたかに応じて、いずれかの制御が実行される。
【0064】
以下、別のシステム構成とした実施形態を説明する。
【0065】
図6では操作スイッチ601を撮影装置側IF603に配置した例である。先述の実施形態と共通の機能、構成については説明を省略する。取得部603a、制御部603b、出力部603cは、それぞれ、取得部102a、制御部102b、出力部102cと同様の処理を行う。
【0066】
発生装置側IF602を削除して放射線発生装置108直接接続することも可能ではあるが、異なる製造業社により製造されたユニットを接続して使う場合を考慮し、発生装置側IF602ではコネクタ形状の変換や安全性を確保するための絶縁処理などを行う。この場合は、発生装置側IF602は中継機して機能し、
発生装置側IF602の接続部631の形状は、意図的に放射線発生装置の接続部と異なるコネクタとする事により、放射線発生装置メーカが供給する発生装置側IF602への一般的な操作スイッチの直接接続を抑制することが可能である。また、絶縁処理は、接続を許可された操作スイッチ601の信号に関してはフォトカプラなどの光学素子やコイルによる電磁結合などを利用する。場合により電源を発生装置側IF602に放射線発生装置108から供給できない場合には、撮影装置側IF603から絶縁型電源を介して発生装置IF602側へ、先の絶縁素子を含めて電源供給するように構成してもよい。
【0067】
図1中のスイッチユニットBと、
図2のスイッチユニットAと、
図6中のスイッチユニットCとは発生装置側接続部で交換可能な構成となっている。
【0068】
やり取りされる信号の種類等は、
図4、
図5に示すものと同様であるため説明は省略する。
【0069】
図7に基づいて、その他の実施形態に係る放射線撮影システムについて説明する。係る実施形態では、照射スイッチが欧化されたことを示す信号をモニタのみして撮影装置側から蓄積可能信号を返さない。このため発生装置側IF733と撮影装置側IF703との間での通信が一方向となっている。信号伝送路は有線であってもよいが、無線を用いることで撮影の際にケーブルに煩わされることがなくなり撮影効率が向上する。発生装置側IF733から撮影装置側IF703へと信号が送信されることとなる。かかる構成によれば、発生装置側IF733には撮影装置側IF703から受信する受信部や受信した信号を処理するための制御を省略することができるため、制御部702b及び発生装置側IF733の構成を簡略化することができる。
【0070】
また、照射スイッチ701を、無線を介して信号を送信するリモコンとする。照射スイッチ701には、1stスイッチ701a及び2ndスイッチ701bの押下に応じて生成される信号(第一の信号)を無線を介して送信する無線送信部を有する。無線送信部は例えば赤外線の送信部を用いることができる。この場合、取得部733は無線信号として出力された信号(第一の信号)を受信する受信部として機能する。リモコン型の照射スイッチ701を用いた上で、簡単な構成でデジタル放射線検出器と放射線撮影装置とを同期して撮影することができるため、ケーブルに煩わされることなく撮影を行うことができる。
【0071】
本実施形態は、大きな改造なしで操作スイッチ信号をモニタする概念図である。例えば取得部702aは、照射スイッチ701から放射線発生装置108へのケーブルに対して、1stスイッチ信号711、2ndスイッチ信号712に関するそれぞれの単線の電磁界をモニタする。撮影装置側IF733にスイッチ信号を伝える。その際に取得部702aは、結線の単線が予め取り出せる状態にない場合には対象信号のケーブル二重被覆の外装被覆を取って、対象信号線の単線をむき出しにするなどの加工を施した後に、ホール素子やコイルなどに信号検知する場合もある。その他の実施形態では、発生装置側IF733を高圧発生部106にて発生される高圧電流による磁界をモニタしたり、照射スイッチ701の押下状況を、例えば照射スイッチ701に貼り付けた圧力センサで検知したり、照射スイッチ701の各操作スイッチ(1stスイッチや2ndスイッチ)相対位置などをモニタする。
【0072】
また発生装置側IF733は、放射線発生装置108の制御部1081と無線通信する。この場合、出力部702cは無線信号を出力する無線通信部として機能する。制御部702bは、出力部702cを介して、放射線発生装置108へ放射線の照射を指示するための信号を出力させる。発生装置側接続部730は、放射線発生装置108の信号を送受信する無線通信部として機能する。これは、先述の実施例におけるコネクタ130に赤外線の送受信機を接続することでも実現可能である。
【0073】
これにより、ケーブルに煩わされることなく、照射スイッチ701、発生装置側IF733、放射線発生装置108の配置を状況に応じて換えることが可能であるため、種々の医療現場に状況に応じて対応することができる。
【0074】
かかる発生装置側IF733は、撮影装置側IF703の拡張ユニットとして撮影装置側のメーカから提供することとしてもよい。このようにすれば、放射線発生装置108側には大きな改変が必要なく、デジタル放射線検出器704による同期撮影が簡易な構成で可能となるメリットがある。
【0075】
図8は、その他の実施形態の例であり、
図7に示す実施形態に対して、発生装置側IF833に赤外線信号を分割する赤外線スプリッタ833dを設けた例である。赤外線スプリッタ833dは、前記取得された照射スイッチ801からの信号(第一の信号)を一部反射することにより分割して反射信号(第三の信号)を得る分割部として機能する。さらには、分割された信号(第三の信号)を、放射線検出器804を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号として出力する出力部としても機能する。
【0076】
照射スイッチ801がリモコン、ここでは赤外線リモコンの場合の事例である。この場合、発生装置側IF833は、照射スイッチ801の赤外線信号を放射線発生装置108と略同時に受信する。ここでの同時性は厳密ではない。単純に赤外線受信部を有する撮影装置側IF803を明確な意図を持たず空間配置すると、放射線発生装置108側と放射線検出器804側とでいずれか片側のみが受信して他方が受信せず、双方の同期がとれない場合が発生するので、発生装置側IF833を放射線発生装置108の赤外線受信部840と同じ位置もしくは近接した位置に配置する。さらには、撮影装置側IF803を発生装置側IF833と近接しかつ直接リモコンの信号が放射線発生装置108の赤外線受信部840に到達しないように覆う位置に配置する。この例では、赤外線受信部840を発生装置側IF833が覆いながら赤外線信号を赤外線スプリッタ833dで分割し、透過して赤外線受信部840への伝達、および、一部の赤外線信号を撮影装置側IF803の配置される方向へと送信することで、1stスイッチ信号と2ndスイッチ信号とを撮影装置側に出力する。
【0077】
これにより、無線リモコン型の照射スイッチ801を用い、かつ赤外線スプリッタを用いた簡易な構成で発生装置側の改変を少なくし、同期撮影を可能にしている。
【0078】
図9のタイミングチャートに基づき、
図7や
図8に示されるような一方向の通信を行う場合の放射線撮影システムにおける信号のやり取りを説明する。
【0079】
なお、先述の
図5のタイミングチャートと説明が重複する点は説明を省略することがある。
図9(a)は、
図5(a)と同様に定期的な電荷の吐き出し処理を行うアイドル状態からごく短い時間で、初期化処理を行うことなく画像蓄積状態へと遷移可能な放射線検出器を用いた場合のタイミングチャートである。以下、
図7に示す実施形態に係る放射線撮影システムを例に説明する。
【0080】
発生装置側IF733の制御部702bは、第一のスイッチ701aの押下に応じて生成される信号971を放射線発生装置108に対して無線通信部を介して出力させ、第二のスイッチ701bの押下に応じて生成される信号972を放射線検出器704と放射線発生装置108との両方に対して出力させる。
【0081】
まず、取得部102aは、照射スイッチ701が押下されたことを示す第一の信号を取得する。ここでいう第一の信号には、照射スイッチに含まれる1stスイッチ701a(第一のスイッチ)の押下に応じて生成される1stスイッチ信号971と、2ndスイッチ701b(第二のスイッチ)の押下に応じて生成される2ndスイッチ信号972が含まれる。取得部702aは、照射スイッチ701の1stスイッチ信号971と、2ndスイッチ信号972とを取得し、識別する。1stスイッチ信号971の押下に応じてPrep信号975が制御部702bで生成され、これが発生装置制御部1081へと無線で送信され、放射線発生装置108はローターアップし、放射線の発生準備処理を行う。ここで
図8に示す赤外線スプリッタ833dを用いた場合には、Prep信号975は1stスイッチ信号971と同様の信号であり、信号伝送に係る遅延以外の遅延は生じないこととなる。
【0082】
かかる実施形態では、放射線発生装置108のローターアップが終了して放射線の発生準備が完了した状態となった際に、発生装置側IF733、放射線発生装置108の少なくともいずれかにかかる状態を表示させる表示制御部を設けることとするのが望ましい。表示部は発生装置側IF733、放射線発生装置108の少なくともいずれにあってもよいが、例えば放射線発生装置108の放射線源107の付近等の見やすい位置に設けたり、あるいは複数の位置に設けることで発生装置の状態を確認することができる。これにより発生装置の状態を見て、撮影者は2ndスイッチ901bを押下することが望ましい。このようにすることで、放射線検出器704において蓄積時間が長時間に及ぶことに起因する画質への悪影響を低減することができる。
【0083】
まず発生装置側IF733は、2ndスイッチ信号972の取得に応じて、出力部702cに放射線検出器704へとかかる信号を出力させる。ここで出力される信号は2ndスイッチ信号972そのものであっても、制御部702bで撮影装置が解釈できる形に改変した信号を生成することとしても良い。2ndスイッチ信号972は放射線検出器704を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号として扱われる。放射線検出器704は、2ndスイッチ信号972の取得に応じて、アイドル状態から蓄積状態へと遷移する。
【0084】
また発生装置側IF733は、2ndスイッチ信号972の取得に応じて、出力部702cに放射線発生装置708へとExp信号を出力させる。Exp信号を制御部1081が受信することに応じて、放射線発生装置108は放射線を発生する。
【0085】
蓄積状態にある放射線検出器704は、発生された放射線を検出し電荷を蓄積させる。その後、放射線検出器704は蓄積処理を終了させ、FPD3042から電荷を読み出す読み出し処理を行い放射線画像データを得る。
【0086】
このようにすることで、放射線発生制御装置と撮影装置とが一方向の通信を行うような場合であっても、同期撮影が可能となる。
【0087】
図9(b)は
図5(b)と同様にアイドル状態から蓄積状態へと遷移する際に、2ndスイッチ701bが押下されたことを示す信号972が放射線検出器704に到達した後に放射線検出器704に初期化処理が必要な場合のタイミングチャートである。
【0088】
蓄積可能信号974が無い場合は、発生装置側IF733または構成によっては撮影装置側IF703にて、2ndスイッチ信号972が発せられてから、初期化時間以上の遅延時間を設けてExp信号976を出力する。これにより、一方向通信の場合にも同期撮影が可能となる。
【0089】
このように蓄積可能信号974なしでもX線撮影を行うことは可能であるが、放射線検出器704が何らかの都合により1stスイッチ信号971を受けてそもそも蓄積可能状態に遷移できない場合、例えば、患者情報が入力されていなかったり、放射線検出器等になんらかの異常があったり、撮影制御部705が放射線画像を受け取れない状態である場合、X線撮影を停止できない場合が発生しうる。そこで、放射線検出器704あるいは撮影装置が蓄積状態に遷移しうる状態で有るかを表示部に表示させる表示制御部を撮影装置側IF704または撮影制御部705の少なくとも一方に設けることとする。表示部についても、撮影装置側IF704、撮影制御部705のいずれか一方または両方に設けることで撮影者に放射線検出器の状態を通知し、無効曝射の可能性を低減することができる。ここで撮影制御部705において放射線画像を表示部に表示させる表示制御部に、放射線検出器が蓄積状態であることを示す情報を表示させることができる。
【0090】
図10に基づき、無線で信号を出力する照射スイッチを用いた実施形態の1つを説明する。かかる実施形態では放射線発生制御装置と撮影装置との通信が双方向となっている。また、放射線発生装置108にコネクタなどにより構成される有線接続部1040aと、例えば赤外線送受信部などにより構成される無線接続部1040bを有している。
【0091】
照射スイッチ1001は赤外線リモコンなどにより構成される。
【0092】
ここで発生装置側IF1033は、照射スイッチ1001からの赤外線の信号を受信する受信部1002aと、信号を送受信する通信部1002cと、送信部1002dとを有する。これは先述の実施形態では取得部102a、出力部102cに対応する。制御部1002bは、先述の実施形態にかかる制御部102bと同様の機能を有する。更に、発生装置側IF1033は、遮蔽部材1002eを有する。
【0093】
通信部1002cは赤外線、無線LAN等の無線、あるいは有線接続により撮影装置側IF1003との間で信号をやり取りする。
【0094】
受信部1002a及び送信部1002dは例えば赤外線により、放射線発生装置108の無線接続部1040bとの間で信号をやり取りする。
【0095】
遮蔽部材1002eは放射線発生装置108の無線通信部の無線による信号の受信を遮蔽する。遮蔽部材1002eによる遮蔽の外側に取得部(受信部1002a)が配置される。遮蔽部材1002eによる遮蔽の内側に、制御部1002bによる制御に応じて放射線発生装置108の無線通信部へと特定の信号を出力する第二の送信部1002dが配置される。
【0096】
制御部1002bは受信部1002a、通信部1002c、送信部1002dと電気的な信号をやり取りが可能なように回路として接続されている。制御部1002bは、放射線検出器1004が放射線検出可能な状態となったことを示す信号(第二の信号)を通信部1002cが受信することに応じて、無線通信部として機能する送信部1002dを介して放射線発生装置108へ放射線の照射を指示するための信号を出力させる。
【0097】
発生装置側IF1033は、無線送信部1040bを覆うように配置されており、第二の送信部1002dと近接するように配置される。更に第二の送信部1002dは遮蔽部材1002eにより遮蔽される。この遮蔽部材1002eにより、照射スイッチ1001からの信号が直接無線接続部1040bに到達することがなくなり、放射線発生装置108と撮影装置の一方にのみ照射スイッチの信号(第一の信号)が到達してしまい、同期が行われなくなる可能性を低減することができる。照射スイッチ1001の信号(第一の信号)は発生装置側IF1033の受信部1002aのみが直接に受信できるようになっている。発生装置側IF1033の放射線発生装置108に対する配置は、付属の固定部材により固定されることとしてもよい。
【0098】
発生装置側IF1033は受信部1002aで信号(第一の信号)を受信した後、送信部1002cで赤外線信号を発生する。ここで、送信部1002cは、撮影装置側IF1003と有線接続することとすれば、無線で通信する場合に比べて通信の信頼性を向上させることができる。
【0099】
また発生装置側IF1033は第二の送信部1002dにより無線接続部1040bへ照射スイッチ1001の信号を伝達する。また、別の構成として、照射スイッチ1001の代わりに、尚、場合によっては、赤外線の送受信を撮影装置側IFユニット1033と無線接続部1040bと行い、照射スイッチの信号だけでなく、撮影に関する設定情報や撮影後の実施情報の授受に用いることができる。
【0100】
図11のタイミングチャートに基づいて、実施形態に係る放射線撮影システムにおける信号のやり取りを説明する。
図11(a)の実施形態では、1stスイッチ1011aの押下に応じて放射線検出器を蓄積状態へと遷移させる。
図10に示す実施形態に係る放射線撮影システムを例に説明する。ただし、照射スイッチは2段スイッチ型の照射スイッチ1011を用いることとする。その他、
図5や
図9のタイミングチャートと説明が重複する部分については説明を省略することがある。
【0101】
受信部1002aは、1stスイッチ1101aの押下に応じて出力される1stスイッチ信号1171を受信する。制御部1002bは1stスイッチ1101a(第一のスイッチ)の信号1171の受信に応じて、放射線検出器1004を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号を通信部1002cに出力させる。通信部1002cが出力する信号は、本実施形態では1stスイッチ信号1171をそのまま出力することとしている。
【0102】
放射線検出器1004の検出器制御部3049は、放射線発生制御装置からの信号の受信に応じて電荷の吐き出しと蓄積状態とを順に繰り返させる。そして、放射線検出器の無線通信部3048は、蓄積状態へと遷移することに応じて放射線検出器1004が放射線検出可能な状態となったことを示す信号(第二の信号)を出力する出力部として機能する。ここで放射線検出器1004は、蓄積状態を続けると光電変換素子に暗電流成分が蓄積するため定期的に初期化処理を行う必要がある。そこで、検出器制御部3049は蓄積時間が終了する直前に蓄積可能信号1174をオフ状態とし、無線送信部3048に蓄積可能信号1174(第二の信号)の出力を停止させる。または、オフ状態であることを示す信号を送信することとしてもよい。この蓄積時間は、どのタイミングでX線が照射されても、十分な画質の画像が得られることを基準に設定される。
【0103】
制御部1002bは、第二のスイッチ1101bの押下に応じて生成される信号と、放射線検出器1004が放射線検出可能な状態となったことを示す蓄積可能信号1174(第二の信号)を受信部1002aが受信することに応じて、放射線発生装置108へ放射線の照射を指示するための信号であるExp信号1176を送信部1002dにより出力させる。
【0104】
いったん1stスイッチ信号1171が発生装置側から入力された後は、2ndスイッチ信号1172が押下されるまでは蓄積と初期化を繰り返し、蓄積状態の間には蓄積可能信号1174を返す。この蓄積可能信号1174と、2ndスイッチ1101bが押下され、2ndスイッチ信号1172が受信部1002aにより同時に受信された場合、制御部1002bでExp信号1176を生成する。仮に、初期化処理中に2ndスイッチ1101bが押下された場合には、放射線検出器1004の初期化処理が終了し、蓄積状態に移行し、蓄積可能信号1174が出力され。受信部1002aにより受信されたことに応じてExp信号1176が生成されることとなる。このようにすることで、2ndスイッチが押下された後の発生装置側と撮影装置側での信号の送受信を減らし、撮影装置側からの一方的な送信とすることで、曝射直前での信号のやり取りを減らすことができる。
【0105】
この場合、放射線検出器1004の蓄積状態を撮影制御部1005や発生装置側IF1033、撮影装置側IF1003で表示する表示部と表示させる表示制御部とを設けることで、ユーザが初期化処理を避けて撮影タイミングを計りやすくなる。また、撮影制御部1005等の表示制御部で、放射線検出器の蓄積状態が終了するまでの時間をカウントダウン方式で表示させることにより、撮影者はどのタイミングで蓄積が終了するのかが分かりやすくなるため、更に撮影のタイミングを計りやすくなる。
【0106】
なお、放射線検出器1204がアイドル状態において初期化と蓄積時間を繰り返す駆動を行う場合には、後述する
図11(b)で示すような駆動となる。ここで、アイドル状態でも初期化と蓄積時間を繰り返す場合、センサの画質の安定性を考慮して1stスイッチ信号1171がトリガされる前は、トリガされた後に比べて蓄積時間を短くさせるよう、検出器制御部3049で制御することができる。また、1stスイッチ信号1171がトリガされる前の方がトリガされる後よりも蓄積時間を長くするように検出器制御部3049で制御することにより、スイッチング素子のオンオフの周期を長くすることができるため、FPD3042の劣化を遅くすることができ、耐用年数を延ばすことができる。
【0107】
図11(b)は、
図5(b)等と同様にアイドル状態から蓄積状態へと遷移する際に、2ndスイッチ1101bが押下されたことを示す信号972が放射線検出器1004に到達した後に放射線検出器1004に初期化処理が必要な場合のタイミングチャートである。
図11(b)では、1stスイッチ信号1171がトリガされることに応じて、放射線検出器1004はアイドル状態のままで蓄積可能信号1174を発生装置側への出力を開始する。撮影制御部の表示制御部は、蓄積可能信号が出力されている状態であることを示す表示を表示部に表示させる。これにより、撮影者は撮影タイミングをはかることができる。
【0108】
図12に基づいて、実施形態に係る撮影装置側IFの別の実施形態である制御装置1203の構成を説明する。先述の実施例と共通の構成に付いては説明を省略することがある。発生装置側IF1202の受信部1202a、制御部1202b、送信部1202cは、例えば
図1に示す実施形態の取得部102a、制御部102b、出力部102cと同様の機能を有する。
【0109】
制御装置1203は、先述の実施例の通り、放射線発生装置との同期を取る撮影装置側IFとして機能する。その上、放射線検出器1204を放射線撮影システムで使用できるように通信を確立するための通信パラメータを送信するチェックインのための装置としても機能する。制御装置1203の各部の制御は、制御部1250により統合的に行われる。
【0110】
制御装置1203は、放射線検出器1204からの無線通信パラメータの要求を無線で受信する第一の無線通信部1245を有する。第一の無線通信部1245はまた、放射線検出器1204へと無線通信パラメータを無線で送信する送信部としても機能する。
【0111】
撮影制御部1205及び放射線検出器1204は制御装置1203から受信した無線パラメータにより接続を確立する。
【0112】
制御装置1203と撮影制御部1205は例えば第二の無線通信部1247により予め通信が確立しておく。ここでの通信の確立は、例えば通信に無線LANを用いる場合には共通のIDを持って互いに情報がやり取りできるように制御する処理を含む。制御装置1203と発生装置側IF1205は例えば第一の無線通信部1245により予め通信を確立する。ここでの通信の確立は、例えば通信に赤外線を用いる場合には、発生装置側IF1202の接続部1231と第一の無線通信部1245により出力される赤外線の発光パターンをそれぞれの受信部に記憶させておく処理を含む。あるいは、互いの装置からの信号であることを示すIDを赤外線信号に付加する処理を含めることもできる。
【0113】
これにより、撮影制御部1205を介して放射線検出器1204と第二の無線通信部1247との接続が確立されることとなる。
【0114】
これにより、放射線検出器1204を放射線撮影システムに登録し、システムで放射線検出器1204を利用可能となる。
【0115】
第一の無線通信部1245は、例えば赤外線による信号を受信し、無線LANの通信パラメータを赤外線で送信する。この機能は、放射線検出器1204が撮影制御部1205とのその他の方式での無線通信(通常は無線LAN通信)が確立する前の、無線通信設定、さらには、他の放射線検出器を放射線検出器1204に加えてまたは替えて追加登録するための作業用として使用される。
【0116】
また制御装置1203は、無線パラメータにより放射線検出器1204と通信する第二の無線受信部および第二の無線送信部として機能する第二の無線通信部1247を有する。無線通信部1247は、例えば無線LANによる通信が可能な通信モジュールとアンテナを含んでいる。
【0117】
制御装置1203は、このチェックイン及び放射線検出器104との通信に用いられる第一及び第二の通信部により、放射線発生装置側との同期撮影を実現する。つまり、第一の無線通信部1245は、照射スイッチ1201(撮影指示スイッチ)が押下されたことを示す信号を発生装置側IF1202から受信する。第二の無線送信部として機能する第二の無線通信部1247は、放射線検出器1204を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号を送信する。第二の無線受信部として機能する第二の無線通信部1247は、放射線検出器1204が放射線検出可能な状態となったことを示す信号を受信する。第一の無線送信部として機能する第一の無線通信部1245は、放射線検出器1204が検出可能な状態になったことを示す信号を発生装置側IF1202へと送信する。ここで放射線発生制御装置とは、発生装置側IF1202と、場合によっては照射スイッチ1202を含むものである。
【0118】
このように、チェックインに用いられる第一の無線通信部1245を同期撮影にも用いることで、簡易な構成で無線通信する放射線検出器1204による同期撮影が可能となる。また、放射線検出器1204及び発生装置側IF1202との接続を無線接続として構成することで、各ユニットの配置においてケーブルに煩わされることがなくなり有用である。もちろん、第一の無線通信部1245に加えて、赤外線送受信部1246を更に設け、この赤外線送受信部1246を同期撮影の通信部として用いることとしてもよい。
【0119】
ここで、照射スイッチ1201が1stスイッチ1201aと2ndスイッチ1201bとを有する2段スイッチを適用することができる。この場合、第一の無線通信部1245は、照射スイッチ1201(撮影指示スイッチ)の1stスイッチ1201a(第一のスイッチ)の押下に応じて生成された信号1210と、照射スイッチ1201(撮影指示スイッチ)の2ndスイッチ1201b(第二のスイッチ)の押下に応じて生成された信号1211と、を受信する。この場合の制御の流れとしては、例えば
図11のタイミングチャートで示した制御を適用することができる。即ち、信号1210に応じて放射線検出器1204をアイドル状態から初期化処理と蓄積を定期的に繰り返させ、蓄積状態となっている期間の間だけ、放射線検出器1204が蓄積可能信号1174を無線通信部3048から送信し続けることとする。
【0120】
更に制御装置1203は、コネクタ1223で撮影装置スイッチ1233(その他の撮影指示スイッチ)を接続することができる。かかる撮影装置スイッチ1233は、発生装置側との通信が適切に行えないなど、同期撮影が行えない状況に対応して設けられるものであり、撮影装置スイッチ1233が押下されることに応じて生成される信号を制御部1250で取得することにより、撮影装置スイッチ1233の押下を検出する。その後制御部1250は放射線検出器1204をアイドル状態から蓄積状態へと遷移させる指示を出力する。
【0121】
ここで、チェックインに用いられた第一の無線通信部1245を同期撮影に用いるとともに、放射線発生装置108により発生された放射線に関するパラメータを曝射後に放射線制御装置から受信するためにも用いることができる。放射線発生制御装置1081が曝射後に管電圧や管電流、mAs値などの放射線発生の実施情報を赤外線送受信部1230を介して発生装置側IF1202に送り、発生装置側IF1202から第一の無線通信部1245へと例えば赤外線により実施情報を送る。制御装置1203の制御部1250は実施情報を更に第二の無線通信部1247を介して撮影制御部1205に送信することとすれば、撮影制御部1205が放射線検出器1205から得た放射線画像データと、実施情報とを関連付けて、種々の画像処理に用いることができる。
【0122】
制御装置1203は撮影制御部1205に直接接続する必要もなく、放射線検出器1204に直接的に、またはアクセスポイントを経由して間接的に接続する。1つの実施形態では、制御装置1203は発生装置側IF1202と接続線1225を介して有線接続する。また、撮影制御部1205と接続線1226を介して接続する。なお、制御装置1203と発生装置側IF1202とを近接して配置することとしている場合には有線接続を用いることで、利便性を下げずに、通信の安定性及び確実性を確保することができる。また、有線接続とすることで通信に加えて電力供給も接続線1225、1226を介して行うことで、信頼性の高いシステムとすることができる。
【0123】
通信に無線を用いる場合、制御装置1203と発生装置側IF1202の電源としてバッテリを備えることとする。接続方式としては、有線では、RS232CやUSBなどのコマンド通信可能な汎用インタフェースとすることで専用線を用いるよりも簡易にシステムを構築することができる。無線では、無線LAN規格、Bluetooth(登録商標),或いは、赤外線によるIrDA通信などの汎用、および当然、これらに独自の通信規則を加えたカスタムインターフェースでも良い。撮影制御装置1205との接続線1226を汎用通信インタフェースと電力供給路を兼ねるUSB(Universal Serial Bus)とすると、汎用性が高くコマンド通信が簡易に行える上、電源の供給を撮影制御部1205から行えるため利便性の向上が図れる。
【0124】
また、制御装置1203には、放射線検出器1204の蓄積可能状態やバッテリの状態などの複数の状態を表示するLED1227を設けることができる。この場合LED1227は、制御部1250の制御に応じて、放射線検出器1204が蓄積状態となったことに応じて点灯する。あるいは、LEDではなくディスプレイを設けることも可能である。あるいは音源1206を搭載し、撮影部の状態を報知する。これら報知に関する制御は制御部1250で行われることとなる。
【0125】
あるいは放射線検出器1204の状態を報知する報知部を、曝射時に撮影者が手にする照射スイッチ1201の筐体に配置すること、撮影する者により分かりやすく検出器の状態を報知することができる。配置する場所は、手に持った状態で使用するので、手で保持部や指で押す部分は不適であり、さらに、右手左手での使用を考慮すると、照射スイッチ1201のスイッチ周辺の上面が点灯するように構成することが望ましい。
【0126】
上述の実施形態の複数に対応可能なインタフェースを搭載するユニットとして制御装置1203を構成することも可能である。この場合は設定により、放射線検出器1204を含むシステム動作が切換わる。これらのすべての切り替えを制御する制御部1250は、全てを制御するように構成するようにしても良いし、単にインターフェンス変換を主として構成し、主制御を撮影制御部1205内、もしくは、放射線検出器1204内の制御部3049に全てもしくは一部の制御をゆだねることができる。
【0127】
ここで、照射スイッチ1203を赤外線のリモコンとした場合の動作について説明する。照射スイッチ1201の赤外線リモコンは有線接続にて制御装置1203に接続してもよい。更に、制御装置1203は発生装置側IF1202と一体的に構成される。
【0128】
まず、放射線発生装置108用の赤外線リモコンの発光パターン(1stスイッチ信号1211、2ndスイッチ信号1212、コリメータライト点灯信号など)を先の無線受信部1245を介して制御装置1203もしくは撮影制御部1205に記憶させる。次に、赤外線送信部1246を赤外線受信部1230に対向させて配置する。この際に、赤外線受信部1230を他の赤外線リモコンによって操作できないように完全に制御装置1203を含んだユニットで覆ってもよい。また、逆に放射線発生装置108の赤外線ユニットの照射スイッチ1203の操作を生かすために、使用する照射スイッチ1201を切り替え動作なしに自由に両方を操作ができるように、積極的に赤外線受信部1230の開口部をできる限り妨げないように配置してもよい。次に、放射線発生装置108の有線の照射スイッチ1201から取り外すか、同様の別の新規照射スイッチ1233を用意して、制御装置1203に接続部1223を介して取り付ける。次に、操作者はシステム全体を起動して、制御装置1203に取り付けた照射スイッチ1201の1stスイッチを押下すると、先の無線送信部1246から赤外線受光部1230へ赤外線によりPrep信号1214を通知する。同時に放射線検出器1204も必要ならば準備を行う。更に、操作者は2ndスイッチを押下し、放射線検出器1204が準備を行った後に、赤外線1246から赤外線受光部1230へ赤外線によりExp信号1215を通知する。また、この構成の場合は、操作者が照射スイッチ1201を操作した際に放射線検出器1204および撮影制御部1205の画像取得システムが何らかの理由(患者情報が入力されていない/電源が起動していない)で画像を取得できる状態にない場合には、赤外線送信部1246から赤外線信号を発光しないので無駄にX線照射を行うような事象を低減できる。
【0129】
また、データの授受用にUSB拡張HUB機能やバーコードリーダ、などの検診時に利便性の高い機能を搭載してもよい。
図7および
図8の実施形態のように一方向の通信とする場合には、無線送信部1246のみで放射線検出器1204との通信が可能に構成してもよい。
【0130】
有線接続によるスイッチ1233を制御装置1203に接続し、かかるスイッチの押下に応じて放射線検出器1204を蓄積状態へと移行するトリガスイッチとして用いることができる。この場合には、放射線検出器1204の蓄積準備が何らかの理由により、操作者の注意・不注意を問わず、整わない場合に誤ってX線を照射することがない利点がある。
【0131】
また、病院等において実際に運用される際には、放射線1204および撮影制御部1205及び制御装置1203を含めて、移動型の放射線発生装置108に予め据え付けていない場合もある。この場合は、使用する毎に、放射線検出器1204および撮影制御部1205、場合によっては制御装置1203を移動型の放射線発生装置108に置く、もしくは、取付けることになる。特に、ケーブル部分の取り扱いが煩雑になりやすいことを考慮して、制御装置1203は吸盤やホールド機能を設け、ケーブルの抜き差しの際に、安定して作業ができるように構成する。
【0132】
図13にもとづき、照射スイッチとは別のスイッチを設けた放射線撮影システムの実施形態を説明する。
図13では撮影装置側IFユニット1303の拡張ユニット1333が独立したスイッチを有し、照射スイッチ1301に拡張ユニット1333を覆いかぶせるように取り付けたものである。さて、この拡張ユニット1333にスイッチを設ける場合は、操作者により照射スイッチ1301の2ndスイッチを操作するタイミングを略同時に検出できるように配置する。例えば、1stスイッチと2ndスイッチとの反発力の中間の操作ボタンを照射スイッチ1301にかぶせて、2ndスイッチと略同時に押下されるように構成しても良い。また、放射線検出器704の撮影準備ができない場合には、照射スイッチ1301を押しこむ事ができないようなインターロック機構を備えてもよい。さて、このように照射スイッチ1301部に撮影装置側IF1303を配置すると、配線が二重に引きまわされて取り扱いが不便となる。この為、通常照射スイッチ1301はカールケーブルであるので、そのカールケーブル内を引きまわしたり、更に、自動的にケーブル露出部が伸縮する巻き取り式のケーブル構成にしてもよい。
【0133】
図14に
図13の拡張ユニット1333の実施形態の別の例を示す。
【0134】
照射スイッチ1401と、蓄積スイッチを備える拡張ユニット1433をと有する放射線発生制御装置において、照射スイッチ1401の1stスイッチ(第一のスイッチ)1401aは放射線発生装置108の放射線発生準備を指示するための信号(1stスイッチ信号、Prep信号)1310を出力する。照射スイッチ1401の2ndスイッチ1401b(第二のスイッチ)は、放射線の照射を指示するため信号(2ndスイッチ信号、Exp信号)1311を出力する。拡張ユニット1433には、2ndスイッチ1401bの押下を規制する規制部として機能するインターロック部1455を有する。また、放射線検出器1404と通信する通信部として機能する取得部1402a及び出力部1402cを有する。また、通信部を介して放射線検出器1404が放射線検出可能な状態となったことを示す信号を受信することに応じて規制部による規制を解除させる制御部1402bを有する。放射発生制御装置では、蓄積スイッチ1409(第三のスイッチ)を更に有しており、出力部1402cは、蓄積スイッチ1409の押下に応じて放射線検出器1404を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号を送信する。
【0135】
ここで、
図14の構成を変形して蓄積スイッチ1409は1stスイッチ1401aまたは2ndスイッチ1401bの少なくとも一方を覆うように配置することができる。この場合、例えば1stスイッチ1401aの押下に応じて蓄積スイッチ1409が押下され、または2ndスイッチ1401bの押下に応じて蓄積スイッチ1409が押下される。これにより、操作者は照射スイッチ1401を操作する場合と変わらない操作性で放射線検出器1401aへの指示を確実に行うことができる。
【0136】
ここで更に、蓄積スイッチ1409は2ndスイッチ1401bを覆うように配置され、蓄積スイッチ1409の押下に要する力の大きさが1stスイッチ1401aの押下に要する力の大きさと、2ndスイッチ1401bの押下に要する力の大きさとの間の大きさとなるような反発力を生じるように取り付け、またかかる反発力を生じるようにスイッチの部材を選択する。これにより、1stスイッチ押下後、2ndスイッチを押下する操作の途中で蓄積スイッチ1409が押下されるように構成することができる。
【0137】
また、
図14に示すよう蓄積スイッチ1409は1stスイッチ1401a及び2ndスイッチ1401bと押下される方向が異なるように配置することができる。これにより、照射スイッチ1401と蓄積スイッチ1409との押し間違いの可能性を低減することができる。
【0138】
照射スイッチ1401または拡張ユニット1433に表示部を設けることで、放射線検出器1404の状態を操作者にわかりやすいかたちで表示させることができる。この場合拡張ユニット1433の制御部1402bが、放射線検出器1404が放射線検出可能な状態となったことを示す信号が取得部1402bにより受信されたことを示す表示を表示部に表示させる表示制御を行う。
【0139】
その他、拡張ユニット1433は、規制部として機能するインターロック部1455を保持する保持部として機能する。更に、拡張ユニット1433を照射スイッチ1401に対して固定する固定部として機能する取付ジグ1435を有する。
【0140】
ここで、撮影装置側IF1403の拡張ユニット1433にスイッチをつけた部分を蓄積スイッチ1409として説明する。蓄積スイッチ1409は、手に持てる程度の筺体(重量、サイズ)と放射線検出器1404へ指示を出すための少なくとも1つのスイッチ(押しボタン、メンブレンスイッチなど)、および、撮影装置側IF1403、もしくは、それ以降の放射線検出器1404システムとの接続のためのケーブルまたは無線通信部とからなる。スイッチ1409は少なくとも別記する放射線検出器1404の蓄積開始などの放射線検出器内の駆動に直接関係する指示を出す。特に、蓄積スイッチ1409を照射スイッチ1401の操作を利用して放射線発生装置108と放射線検出器1404との同期をとる場合は、照射スイッチ1401と同様に1stスイッチと2ndスイッチとの2段構成にしてもよい。
【0141】
図14では撮影装置側IFユニットの拡張ユニット1433が独立したスイッチであり、単に照射スイッチ1401に拡張ユニット1433を取付ジグ1435で取り付けている。取付ジグ1435は照射スイッチの筒状部分をホールドする形で拡張ユニット1433を固定する。取付ジグ1435は様々な照射スイッチ1401に取付け得る簡易な構成が望ましい。よって、市場にある様々な照射スイッチボタン部に取付けるのではなく、ほとんどの照射スイッチ部に存在する筒状部の外形差のみを吸収するように、取付ジグ1435を構成する。つまり、主に巻きつけ部の長さのみを変更できる構成とすることで筒状部に取付け可能としている。さて、この拡張ユニット1433部にスイッチを設ける場合は、操作者により照射スイッチ1401の2ndスイッチ1401bを操作するタイミングを略同時に検出できるように配置する。もしくは、操作者が照射スイッチ1401の2ndスイッチ1401bを操作する際に、略同時に操作者によって、拡張ユニット1433上のスイッチを押下するようにしても良い。この場合は、照射スイッチ1401の押下方向と拡張ユニット1433上のスイッチ1409の押下方向とを変えることにより、通常スイッチは親指、拡張ユニット1433上のスイッチ1409は例えば人差指で操作するように配置し、片手の別々の指で操作しやすいように構成することにより、明示的に操作者は、二つのスイッチの操作をコントロール可能である。また、放射線検出器1404の撮影準備ができない場合には、照射スイッチ1401を押しこむ事ができないようにすることで照射スイッチ1401の押下を規制するインターロック部1455を備えるように構成してもよい。図では、撮影準備がでていない場合は、インターロック部1455は照射スイッチ1401の2ndスイッチ1401bが押下出来ない位置にあり、撮影準備が完了している場合は、インターロック部1455が拡張ユニット1433に引き込まれる構造となっており、インターロック部1455は放射線検出器1404からの信号を受信することに応じて規制を解除する。別の例としては、拡張ユニット1433上のスイッチ1409そのものが、レディ状態で無い場合は押し込めず、レディ状態の場合のみ押し込めるようなインターロック機構を備えてもよい。また、そもそも操作者が困らない範囲で、撮影装置側IFの拡張ユニット1433は全く別々に配置した独立したスイッチで、操作者がそれぞれのスイッチを片手で操作しても問題なく、このうちの片方がフットスイッチや、撮影制御部1405上のディスプレイにあるタッチパネルボタン、更には、前記ボタンを撮影制御部1405に付属する操作部の例であるマウスでクリックするように構成しても良い。
【0142】
次に
図15のタイミングチャートを用いて、照射スイッチの他に撮影装置の放射線検出器を制御するための撮影装置スイッチあるいは蓄積スイッチを設けた放射線撮影システムの実施形態に係る信号のやり取りを説明する。便宜上、
図14の実施形態に係る放射線撮影システムを例に説明する。
【0143】
撮影装置側IF1403の拡張ユニット1433にスイッチ1409を構成した場合の動作シーケンスに関して説明する。
図15では、撮影装置側IF1403の拡張ユニット1403にスイッチをつけた部分を蓄積スイッチ1409とする。
図15(a)では、操作者は照射スイッチ1401の1stスイッチ1401a信号1571が1stスイッチ1401aのみを押下した状態でX線発生装置状態1577が準備完了状態に遷移してから、蓄積スイッチ1409を押下する。この信号により、撮影部駆動状態1573は、初期化が必要な駆動であれば初期化後、そうでない場合は、直ちに蓄積状態に遷移する。操作者は、撮影部駆動状態1573が蓄積期間中に照射スイッチ1401の2ndスイッチ1401bを押下して、X線発生装置状態1577にてX線曝射を行う。この際、X線曝射終了まで撮影部状態1573は蓄積状態を維持している必要がある。逆の観点では、蓄積状態が終了するまでにX線曝射を終了する必要がある。
図15(b)では、初めに蓄積開始スイッチ1509を押下する場合のシーケンスである。その後、カウントダウン期間1521待機してから撮影部駆動状態1573は蓄積状態へ遷移する。カウントダウン期間1521の表示に関しては、撮影制御部1405のユーザインターフェース上に何らかの数値、時計や指標を表示しても良いし、撮影装置側IF1403に指標などを表示しても良い。操作者は蓄積状態への遷移を確認して、
図15(b)では照射スイッチ1401の1stスイッチ1401aの信号1571による押下情報および2ndスイッチ1401bの信号1572の押下情報を出力する。この場合、押下時点からX線発生装置準備期間1520経過後にX線発生装置状態1577がX線曝射可能状態に遷移して、X線を照射する。放射線検出器1404は蓄積時間タイムアウトやX線検出によってX線画像を読み出す。尚、放射線検出器1404が蓄積状態に遷移する前に1stスイッチ1401aを押下しておいた方がX線発生装置状態1577が直ぐにX線曝射状態に遷移することが可能であるのでサイクルタイムの短縮になる。
【0144】
図16に基づいて、実施形態に係る処理の流れを説明する。
図16(a)は、発生装置側IFの制御部で主たる制御を行う場合のフローチャートである。
図1の放射線撮影システムにて行われる処理として説明するが、その他の実施形態に係る放射線撮影システムにおける処理も同様である。なお、
図16の実施形態では照射スイッチ101が1stスイッチ101aと2ndスイッチ101bの2段階スイッチを採用した場合として説明する。
【0145】
ステップ1610で制御部102bは、照射スイッチ101からの信号を取得可能なユニットである発生装置側IF102と、放射線検出器104との接続(第一の接続)を確立する。また、制御部102bは、照射スイッチ101からの信号を取得可能なユニットである発生装置側IF102と、放射線発生装置108との接続部130による第二の接続を確立する。ここでいう接続の確立は、有線の場合であればコネクタの物理的な接続と、電気的な信号伝達経路が形成されることの少なくとも一方を含むものである。無線の場合であれば、無線通信部として機能する取得部102a及び出力部102cにより発生装置側の接続部との間で所定のコマンドや情報がやり取りできるような状態とする処理を含む。
【0146】
ステップ1611で取得部102aは、照射スイッチ101の1stスイッチ(第一のスイッチ)101aが押下されたことを示す第一の信号を取得する。これにより1stスイッチが押下されたことを取得部102aで検出する。取得されない場合は、取得部102aは照射スイッチ101の1stスイッチ101aが押下されたことを示す信号を待機する。取得部102aはまた、照射スイッチ101の1stスイッチ101aが押下され、1stスイッチ信号を受信した時刻を記憶部に記憶する。
【0147】
ステップ1612で出力部102cは、照射スイッチ101の第一の信号に応じて放射線検出器104を放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号(1stスイッチ相当信号)を出力する。
【0148】
さらに出力部102cは、放射線発生装置108を放射線発生可能な状態にするための準備処理を指示するためのPrep信号を放射線発生装置へと出力する。Prep信号は制御部102bにより前記第一のスイッチの押下に応じて生成される。
【0149】
ステップ1613で取得部102aは、照射スイッチ101の2ndスイッチ(第二のスイッチ)102bが押下されたこと示す信号(第一の信号)を取得する。これにより2ndスイッチが押下されたことを取得部102aで検出する。取得部102aはまた、照射スイッチ101の2ndスイッチ101bが押下され、2ndスイッチ信号を受信した時刻を記憶部に記憶する。
【0150】
ステップ1614で制御部102bは、検出された押下の時間差に応じて信号の出力タイミングを制御する。制御部102bは、2ndスイッチ101bが押下された時刻と、1stスイッチ101aが押下された時刻とを記憶部から読み出し、時刻間の差分の時間を算出し、これが閾値Tdiffより小さいか否かを判定する。例えば後述するように1stスイッチ101aと2ndスイッチ101bが略同時に押し込まれた場合には、Tdiffよりも差分の時間は短くなると思われる。この場合にはステップ1619に進む。ステップS1619では、制御部102bは差分の時間に基づく所定時間だけ待機する。このように、制御部102bは、1stスイッチ101aの押下から2ndスイッチ102bの押下までの時間差が特定の閾値より小さい場合に特定の時間だけ信号の出力タイミングを遅らせる。
【0151】
これは、1stスイッチ101aの押下に応じて放射線発生装置108がローターアップ処理を実行するが、これに対応した待機時間を設けるものである。待機時間を設けることで、放射線検出器104の蓄積状態を短くすることができるため、放射線画像の画質を向上させることができる。
【0152】
待機時間は例えば、ローターアップに要する時間から放射線検出器104の初期化処理に要する時間を差し引いた時間として制御部102bにより決定される。この時間から更に、信号の伝送に要する時間を差し引いた時間としてもよい。あるいは、Tdiffをローターアップに要する時間として定義し、かかる時間に基づいて待機時間を決定する。
【0153】
ステップ1615で出力部102cは、照射スイッチ101の押下と制御部102bによる制御とに応じて放射線検出器104aを放射線検出可能な状態へと遷移させるための信号を出力する。出力部102cは、必要に応じて待機した後、制御部102bからの出力指示に応じて2ndスイッチ相当信号を放射線検出器104へと送信する。
【0154】
かかる閾値Tdiffや待機時間は、放射線検出器104とペアとなる放射線発生装置108に依存するので、放射線検出器104が複数の放射線発生装置108と接続して撮影可能とするために予め記憶部に記憶させておくことが望ましい。例えば、放射線発生装置108毎に閾値や待機時間を記憶させる。係る記憶部は、放射線発生装置108に接続される発生装置側IF102(放射線撮影制御装置)や、あるいは撮影装置側IF103に設ける。あるいは、複数の放射線検出器及び放射線発生装置を統合的に管理する管理サーバーに記憶させておき、接続される放射線発生装置に応じて発生装置側IF102や撮影装置側IF103で取得することとする。
【0155】
更に、放射線検出器104の初期化処理時間によっても待機時間が変わるため、先ほどの記憶部には、放射線発生装置及び放射線検出器のペア毎に待機時間を記憶させておくことができる。放射線発生制御装置と放射線発生装置を有線接続する場合には、係る遅延を考慮する必要が少なくなるため有用である。
【0156】
ここで、発生装置側IF102(放射線発生制御装置)と放射線発生装置108とが無線LAN等の信号の遅延及び欠損が許容される接続形式で接続する接続手段で接続することができる。このような場合には、更に遅延も考慮して待機時間を設定することができる。
【0157】
1stスイッチ101aと2ndスイッチ102bの押下の時間差が特定の閾値を超えると判定された場合には、出力部102cは2ndスイッチ102bの押下に応じて2dndスイッチ相当信号を出力する。
【0158】
ステップ1616で取得部102aは、放射線検出器104の駆動状態を示す第二の信号を放射線検出器104から第一の接続を介して取得する。
【0159】
ステップ1617で無線通信部として機能する出力部102cは、2ndスイッチの押下に応じて生成される信号(第一の信号)と第二の信号の取得に応じて、第二の接続を介して特定の信号(Exp信号)を放射線発生装置108に対して出力する。ここでいう特定の信号は、記放射線発生装置へ前記放射線の照射を指示するための信号であり、制御部102bにより2ndスイッチ101bの押下に応じて生成される。なお、2ndスイッチの押下に応じて生成される信号をそのまま出力することとすることができる。
【0160】
ステップ1618で放射線発生装置108の制御部1081の制御により、特定の信号の取得に応じて放射線発生装置108の放射線源107に放射線を発生させる。
【0161】
以下、放射線発生装置側の処理に対応する撮影装置側の処理を説明する。
【0162】
ステップ1620で放射線検出器104、撮影制御部105、撮影装置側IF103、発生装置側IF102との接続を確立する。ここで放射線検出器104と撮影制御部105との接続の確立は、
図12の実施形態にて説明したとおり、撮影装置側IF103頭に設けられた赤外線等を用いた無線通信部が、放射線検出器104からの要求に応じて無線通信パラメータを放射線検出器へと送信し、これにより無線接続を確立することにより行われる。
【0163】
ステップ1621で放射線検出器104の無線通信部は1stスイッチに対応する信号を受信する。無線通信部は受信するまで待ち受け処理を行う。
【0164】
ステップ1622で1stスイッチ信号の受信に応じて放射線検出器104の検出器制御部は必要に応じて初期化処理(撮影部処理イ)を行う。これは例えば、
図11(a)のタイミングチャートに示す初期化処理に該当する。アイドル状態から蓄積状態への遷移の際に初期化処理を必要としない場合には、かかる処理は省略される。
【0165】
ステップ1623で放射線検出器104の無線通信部は2ndスイッチに対応する信号を受信する。無線通信部は受信するまで待ち受け処理を行う。
【0166】
ステップ1624で放射線検出器104の検出器制御部は必要に応じて初期化処理(撮影部処理イ)を行う。これは例えば、
図5(b)のタイミングチャートに示す初期化処理に該当する。ここでアイドル状態から蓄積状態への遷移の際に初期化処理を必要としない場合には、かかる処理は省略される。
【0167】
ステップ1625で放射線検出器104の無線通信部は蓄積可能信号(第二の信号)を発生装置側IF102へと送信する。
【0168】
ステップ1626で、蓄積状態へと遷移した放射線検出器104は放射線を検出し、画像データを取得する。
【0169】
図16(b)は撮影装置側IF103の制御部で主たる制御を行う場合のフローチャートである。
図16(a)の各ステップと同様の処理を行うステップについては説明を省略する。
【0170】
ステップ1665で出力部102cは、2ndスイッチ信号に対応する信号を撮影装置側へと送信する。
【0171】
ステップ1654で撮影装置側IF103の制御部は1stスイッチ信号に対応する信号と、2ndスイッチ信号に対応する信号との受信タイミングの時間間隔を算出し、算出された時間間隔が閾値Tdiffより小さいか否かを判定する。ここでの閾値Tdiffは、信号の伝送を考慮して
図16(a)のTdiffとは異なる時間を採用することとしてもよい。Tdiffよりも時間間隔が短いと判定された場合には、ステップ1659で制御部による蓄積可能信号(第二の信号)の送信を遅延させるための待機時間を設ける。
【0172】
このようにすることで、蓄積時間を短縮し、同期撮影により得られる放射線画像の画質を向上させることができる。
【0173】
図17のタイミングチャートに基づいて操作者100が1stスイッチと2ndスイッチとを略同時に押下した場合に対応する処理を説明する。便宜上、スイッチユニットのみ2段階の照射スイッチ1701を採用した、
図1の実施形態に係る放射線撮影システムを例に説明する。
図17(a)は、発生装置側IF102が1stスイッチ信号1771および2ndスイッチ信号1772、単に撮影装置側IFユニット103および放射線発生装置108に伝達した場合のタイミングチャートである。1stスイッチ信号1771と2ndスイッチ信号1772が略同時に遷移する。撮影部駆動状態1773は短期間に蓄積状態に遷移するが、放射線発生装置状態ではローターアップなどの準備期間が約1秒程度発生する。放射線検出器104の駆動方法によっては、この準備期間に撮影部駆動状態2173では蓄積可能時間が略終了して、放射線発生装置108の放射線曝射期間中に、放射線検出器1773が画像読出しに遷移して正しい画像形成ができない。この課題にして、
図17(a)では、蓄積時間を既定の時間より長くすることで、曝射蓄積時間が終了することにより無効曝射を起こさないようにすることができる。
【0174】
また、2ndスイッチ信号1771と発生装置側IFが2ndスイッチ相当信号を撮影装置側IF103に送信する際に遅延時間を設けることでも対応可能である。
【0175】
この課題の別の解決方法を
図17(b)のタイミングチャートに基づき説明する。
図17(b)に示すように、撮影装置側IF103に伝達して、放射線検出器104内で、1stスイッチ信号に対応する処理と2ndスイッチ信号に対応する処理とのタイミング差を必ず所定時間設けるように動作させる。この所定時間の待機処理は、放射線発生装置108のローターアップ時間に対応するものであり、放射線発生装置108毎に定められる。待機処理は、放射線検出器104を蓄積状態としてもよいし、あるいはアイドル状態のように蓄積状態と初期化処理とを繰り返すこととしてもよい。
図17(b)に示すように、放射線検出器104がアイドル状態から蓄積状態へと遷移する際に初期化処理を要する場合には、ローターアップに要する所定時間から初期化処理に要する時間を差し引いた時間だけ、待機をすることとなる。この場合、アイドル状態から先に待機状態へと遷移し、その後に初期化処理を行ったうえで蓄積状態へと遷移することで、蓄積状態をより短くすることができるため画質的に有利である。この場合、あらかじめ、放射線発生装置108のローターアップなどの放射線発生装置準備期間を放射線検出器104などへ登録しておき、1stスイッチ相当信号から到達時間からあらかじめ設定されている準備期間、もしくは、その準備期間から撮影部駆動の初期化時間を引いた時間までは2ndスイッチ相当信号を受け付けないようにしてもよい。この場合、2ndスイッチ信号1771を受け取った後、準備期間1720を待ってから蓄積可能信号1774を発生装置側IF102へ返すことにより同期できる。
【0176】
尚、上述の実施例では、1stスイッチ相当信号および、2ndスイッチ相当信号の両信号を放射線検出器104側へ送信する事例で説明したが、これは必須要件ではなく、いずれか一方でも成り立つ。1stスイッチ相当信号がない場合は、単に2ndスイッチ相当信号を受け取ってから従来1stスイッチ相当信号を受け取った場合の作業を開始すれば良い。1stスイッチ相当信号のみを受け取る場合には、放射線検出器104の駆動方法が限定されるが、1stスイッチ相当信号を受け取ってから放射線を常に蓄積できる駆動方法で待機して、放射線検出を行って対応することで実施可能である。
【0177】
上述の実施例では、放射線発生装置側のローターアップ処理が放射線検出器104の初期化処理よりも時間を要するという前提での処理であった。仮に放射線発生装置のローターアップ処理の方が短い場合には、まず制御部102bは1stスイッチの押下に応じて放射線検出器104に対して蓄積状態への遷移を指示する信号を出力部102cに出力させる。ここで1stスイッチの押下と2ndスイッチの押下との時間差が閾値よりも小さいか否かを制御部102bで判定し、小さい場合には、所定時間待機した後にPrep信号を放射線発生装置108へと出力させることとすれば、放射線発生装置の待機時間を短くすることができる。ローターアップがごく短い放射線発生装置としては、例えば透過型の放射線源を有する放射線発生装置が考えられる。
【0178】
図18に基づき撮影装置側IFが撮影制御部や放射線検出器内に構成された事例を説明する。
図18(a)は、撮影装置側IF1803の機能が撮影制御部1805に組み込んだ場合の実施形態である。発生装置側IF1803と放射線発生装置1808は接続部1831を介して有線接続されている。
図18(b)の実施形態では、撮影装置側IF1803が放射線検出器1804に組み込まれた事例であり、無線接続にて放射線検出器1804と放射線発生装置1808とが接続されている。接続方式は、有線では、イーサネット(登録商標)、RS232CやUSBなどの汎用インターフェース、無線では、無線LAN規格、Bluetooth(登録商標),或いは、赤外線によるIrDA通信などでも良い。この方式では、照射スイッチ1801に相当する信号、もしくは、内容付加したタイミング情報を、コマンド通信を用いて実施することとなる。ここでいうコマンド通信とは同一伝送媒体での伝送に際し、時間的に決まったパターン変動する電気信号を分離し、特定のルールに従ってコマンドとして切り出す。RS232Cなどでは、スタートビットやストップビットなどの電圧信号レベル遷移のルールに従い、信号レベルより特定のコマンドを抽出する。このいわゆるシリアル通信により、先のX線撮影に関する同期タイミング信号、および、撮影時のX線発生に関する設定条件、X線発生後のX線発生に関する実施記録情報を同一通信媒体上で放射線発生装置1808と放射線検出器側の撮影制御部1805もしくは放射線検出器1804と情報交換する。例えば、撮影時の条件設定を撮影制御部1805のユーザインターフェースにて登録してある場合、この接続形態では、その設定情報を撮影制御部1805から直接、もしくは、放射線検出器1804を経由して放射線発生装置1808へコマンド通知可能となる。これにより、X線条件設定に関する情報を放射線発生装置1808と放射線検出器1804システム間で一元管理可能となる。更に、X線照射後の実施情報、例えば実際のX線曝射に関する実測情報であり管電圧、管電流、曝射時間に関する情報、を放射線発生装置1808から撮影制御部1805もしくは放射線検出器1804にコマンド通知することが可能となる。特に放射線検出器1804にて実施情報をX線曝射終了直後に受け取る事により、X線画像と実施情報、場合によっては撮影制御部1805からの患者に関する情報とをリンクさせる事が可能となり、X線画像に関する重要な情報を早期にリンクさせることになり、何らかの取り違えリスクの低減、および、場合により、一旦放射線検出器に画像保存して、別の撮影制御部などに送信しても患者情報と画像との一致性などに関して混乱をしない画像管理が可能となる。
【0179】
図19に基づいて移動型の放射線発生装置を有する本発明の実施形態を説明する。先述の実施例と共通する点については説明を省略する。放射線発生装置1908は車輪等からなる移動部1961a、1961bにより移動可能であり、例えば病院内の回診や病室や手術室をまたいで利用される。また放射線発生装置1908には無線通信部1931を設けることができ、無線通信部1931を介して撮影条件や実施情報を放射線検出器1901の無線通信部5101や、アクセスポイント5107を介してやりとりすることが可能である。
【0180】
また移動型の放射線発生装置1908には撮影制御部の一形態である情報処理装置5112が搭載される。情報処理装置5112には表示部5113と操作部5114が接続され、表示部5113により表示された画面を操作部5114を介して操作することができる。これにより、撮影条件の設定や、撮影される患者情報の選択、撮影により得られた画像の受信や、サーバーへの画像の転送処理を行うことができる。表示部5113に表示される表示画面は、表示制御部5116により制御する。外部装置との情報の送受信は、例えば無線通信部5115により行う。
【0181】
なお、情報処理装置5112が放射線発生装置1908と一体化し、着脱することを想定していない場合には、有線通信により通信することで放射線撮影システムの信頼性を向上させることができる。情報処理装置5112が例えばノート型のPCやタブレット型の端末で構成される場合には、無線通信を行うこととすれば有用である。
【0182】
放射線発生装置1908には放射線検出器190と同期するためのユニットを有しないスイッチユニットAが接続されているが、これを
図1に示すような発生装置側IF102を有するスイッチユニットBを接続することができる。スイッチユニットAが接続されている場合には、放射線検出器190は放射線発生装置1908により発生される放射線を検知することで蓄積状態へと移行し、画像を得る。スイッチユニットBが接続されている場合には、放射線検出器104は情報処理装置5112からの制御に応じて放射線発生装置1908と同期して撮影が行われる。係る撮影制御の切り替えは情報処理装置5112の制御により行われる。情報処理装置5112からアクセスポイント5107を介して送信される画像は、サーバーに保存され、PACS端末5103、ビューワー端末5104から閲覧可能であり、必要に応じてプリンタ5105により紙媒体やフィルムへと出力される。また、情報処理装置5112はRISから撮影オーダーを受信し、オーダに応じて撮影を行う。
【0183】
図20に基づいて撮影制御部105として機能する情報処理装置5112に接続される表示部5113に表示される表示画面について説明する。表示画面の表示制御は表示制御部5116により行われる。
【0184】
図20は、表示制御部5116の制御により表示部5113に表示される撮影用画面5301の一例を示している。画面5301には被検者情報を表示する被検者情報表示領域5302と、撮影画像を表示するプレビュー画像表示領域5303と、プレビュー中の撮影画像の画像処理パラメータの調整を指示する画像調整ボタン5304と、検査の終了を指示する検査終了ボタン5305と、実行中の検査オーダの情報を示す検査オーダ表示領域5306とが設けられている。検査オーダ表示領域5306には、複数の撮影プロトコルボタン5307が設けられている。
【0185】
撮影プロトコルボタン5307には、撮影画像のサムネイルを表示するサムネイル表示領域5308と、撮影部位の名称を表示する名称表示領域5309と、立位や臥位などのセンサタイプの情報を表示するセンサタイプ表示領域5310と、センサ種類と撮影姿勢を表示する撮影環境情報表示領域5313が設けられている。また、撮影プロトコルボタン5307は、撮影済み状態(プレビュー中)、撮影準備中状態、撮影可能状態等の状態も示す。その他画面5301には、実行中の撮影プロトコルに関するセンサの状態を示すセンサ状態表示領域5311も設けられる。なお画面5301では、文字により状態が示されているが、表示制御部5112がボタンの色を変えたり、アニメーション表示を行なったりするなど、GUIでの状態表示をさせることで、直感的にユーザに情報を通知することができる。
【0186】
表示領域5317には先述の実施例にかかる放射線撮影システムの種々の状態を説明するための表示領域である。表示領域5317には、放射線検出器が蓄積状態であるか否か、
図1等に示す実施形態のように、接続されているスイッチユニットが同期撮影に対応するものであるか否か、スイッチユニットが有線接続されているか無線接続されているか、接続されているスイッチの数、
図13等に示す実施形態のように照射スイッチにその他のスイッチがマウントされているか否かなど、放射線撮影システムに関する種々の情報を表示する。これにより、ユーザは放射線撮影システムに関する情報を一元的に把握することができる。
【0187】
その他、上述の実施形態を適宜組み合わせたものについても、本発明の実施形態に含まれる。
【0188】
あるいは、本発明の一部をプログラムとハードウェアとの協働により実現する場合も本発明の実施形態に含まれる。プログラムによる実施形態では、
図16に示す処理に対応するプログラム、ならびに
図20に示す表示画面に対応するプログラムを放射線撮影システムの不図示の記憶部に格納しておき、CPUがRAMに展開し、CPUでプログラムに含まれる指令を実行していくことにより達成される。
【0189】
上述の実施形態は、本発明の実施形態の例示であり、発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。