特許第6039251号(P6039251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039251
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】真空二重容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/02 20060101AFI20161128BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20161128BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A47J41/02 102D
   B65D77/04 A
   B65D81/38 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-133289(P2012-133289)
(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公開番号】特開2013-255661(P2013-255661A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】元岡 新也
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正己
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−316729(JP,A)
【文献】 実公平02−026433(JP,Y2)
【文献】 特開平09−162586(JP,A)
【文献】 実公昭62−21255(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/02
B65D 77/04
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器との間に真空断熱層が設けられる真空二重容器であって、
前記外容器の略筒状の胴部の底側の端部が内側に折り曲げられて折曲部が形成され、前記折曲部の先端縁で形成される開口を閉塞するように前記外容器の別体の底部が配置され、前記折曲部と前記底部が前記外容器の底側で溶接して固定されていると共に、
前記外容器の略筒状の胴部と別体である前記外容器の口部の底側に裾部が形成され、
前記胴部の口側の軸方向に向く先端と前記口部の前記裾部の先端とが当接されて溶接されていることを特徴とする真空二重容器。
【請求項2】
前記胴部の口側の先端と前記裾部の先端とが溶接された溶接部がアール形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の真空二重容器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の真空二重容器の製造方法であって、
外容器を構成する略筒状の胴部の口側の軸方向に向く先端と、前記胴部と別体である前記外容器の口部の底側に形成されている裾部の先端とを、位置合わせして当接するように配置し、前記当接した部分をレーザー溶接で溶接する工程を備えることを特徴とする真空二重容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用魔法瓶等の真空二重容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用魔法瓶として、略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器とが空間を開けて配置され、その空間に真空吸引が施されて排気され、内容器と外容器との間に真空断熱層が設けられる真空二重容器が知られている。この内容器や外容器は、別部材の溶接など所要の加工を施されて所定形状に形成されるものであり、例えば外容器では、円筒状の胴部の底側の端部に、底カバーや底部材の周縁から立ち上げる起立部が内側或いは外側に嵌め込まれ、起立部の先端或いは胴部の底側端部の先端において周状に溶接が施されて所定形状に形成される(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−103633号公報
【特許文献2】特開2011−206408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記携帯用魔法瓶の真空二重容器は、外容器の胴部と底部とを嵌め込んで溶接した部分が、外容器の周側面に段差の周状ラインとなって現れるものであるが、外容器の周側面は需要者の目を引きやすいため、このような溶接部分は需要者の目を引きにくい箇所に形成し、デザイン性の向上を図ることが望ましい。また、真空二重容器の製造では、溶接工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることも求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、外容器の胴部と底部との溶接部分を需要者の目を引きにくい箇所に形成し、デザイン性を高めることができると共に、溶接工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることができる真空二重容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の真空二重容器は、略有底筒状で金属製の内容器と略有底筒状で金属製の外容器との間に真空断熱層が設けられる真空二重容器であって、前記外容器の略筒状の胴部の底側の端部が内側に折り曲げられて折曲部が形成され、前記折曲部の先端縁で形成される開口を閉塞するように前記外容器の別体の底部が配置され、前記折曲部と前記底部が前記外容器の底側で溶接して固定されていると共に、前記外容器の略筒状の胴部と別体である前記外容器の口部の底側に裾部が形成され、前記胴部の口側の軸方向に向く先端と前記口部の前記裾部の先端とが当接されて溶接されていることを特徴とする。
この構成によれば、真空二重容器の外容器の胴部と底部との溶接部分を外容器の底側にし、この溶接部分を需要者の目を引きにくい箇所に形成することが可能となり、デザイン性を高めることができる。また、例えばレーザー溶接機のレーザーヘッドを周方向に移動すること等の必要が無く、溶接する向きを外容器の底側に向かう一方向にすることができ、又、外容器の周側面に溶接する場合よりも溶接長を短くすることができるので、溶接工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることができる。また、外容器の胴部と口部を別体とすることで、胴部と口部に別の材料を用いて機能性を高めることが可能となり、例えば直接水に触れることが少ない外容器の胴部に、耐食性が劣るものの軽量な材料を用い、外容器や真空二重容器の軽量化を図ることができる。また、例えば当該当接箇所をレーザー溶接で所要形状となるように溶接し、必要に応じて研磨を施すことにより、丸みの少ない鋭角なアール形状や、比較的丸みが大きいアール形状にする等、当該箇所の溶接部の形状調整を高自由度で容易に行うことができ、デザイン性の向上や多様化を図ることができる。また、当該箇所の溶接部を外容器の周側面において目立ちにくくすることも容易であり、この点からも、デザイン性を高めることができる。
【0007】
本発明の真空二重容器は、前記胴部の口側の先端と前記裾部の先端とが溶接された溶接部がアール形状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、丸みの少ない鋭角なアール形状や、比較的丸みが大きいアール形状にする等で、デザイン性を向上することができる。
【0008】
また、本発明の真空二重容器の製造方法は、本発明の真空二重容器を製造する方法であって、外容器を構成する略筒状の胴部の口側の軸方向に向く先端と、前記胴部と別体である前記外容器の口部の底側に形成されている裾部の先端とを、位置合わせして当接するように配置し、前記当接した部分をレーザー溶接で溶接する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、真空二重容器の外容器の胴部と底部との溶接部分を需要者の目を引きにくい箇所に形成し、デザイン性を高めることができると共に、溶接工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による実施形態の真空二重容器の正面図。
図2】本発明による実施形態の真空二重容器の縦断面図。
図3】外容器の胴部と口部の溶接部の周辺領域を示す部分拡大断面図。
図4】(a)は外容器の胴部と底部の溶接部の周辺領域を示す部分拡大断面図、(b)はそのA部の部分拡大図。
図5】(a)は外容器の口部となる筒体を示す断面図、(b)は外容器の口部を示す断面説明図。
図6】外容器の口部に内容器を嵌め込んで溶接した状態を示す部分断面図。
図7】(a)は外容器の胴部となる筒体を示す断面図、(b)〜(c)は筒体の底側の端部における加工を説明する説明図。
図8】(a)は外容器の胴部を示す断面図、(b)は外容器の胴部に別体の底部を配置した状態を示す断面図。
図9】外容器の胴部と底部を溶接した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態の真空二重容器及びその製造方法〕
本実施形態の真空二重容器1は、携帯用魔法瓶であり、図1及び図2に示すように、略有底筒状で金属製の内容器2と略有底筒状で金属製の外容器3とを有し、内容器2と外容器3との間に空間が設けられ、この空間が真空吸引して排気された真空断熱層4になっている。
【0012】
内容器2は、図2図4に示すように、略有底筒状の本体21を有し、本体21の開口側の端部にはくびれ部22を介して口部23が設けられている。口部23には、図示省略する蓋部材等が螺合される螺旋溝231が形成されていると共に、その開口側の先端の近傍には拡径部232が形成されている。
【0013】
外容器3は、図1図4に示すように、略筒状の胴部31と、真空二重容器1の口側となる胴部31の一方の端部に設けられる口部32と、真空二重容器1の底側となる胴部31の他方の端部に設けられる底部33を有する。胴部31、口部32、底部33はそれぞれ別体であり、後述する溶接部52、53によって互いに接合されている。
【0014】
胴部31の他方の端部には、内側に折り曲げられて折曲部311が形成されており、折曲部311の先端縁を周縁として開口313が形成される。また、折曲部311の先端近傍には、内容器2側と開口313側に屈曲するようにして形成された屈曲段差部312が設けられており、換言すれば、開口313は、屈曲折曲部312の先端縁を周縁として形成されている。
【0015】
口部32は、略筒状であり、口側となる口部31の一方の端部には、内側に曲げられた折返部321が形成されていると共に、底側となる口部31の他方の端部には、末広がりになって先端近傍が略鍔状となる裾部322が形成されている。
【0016】
折返部321は、先端が内容器2の拡径部232の根元に略当接する位置まで拡径部232の内側に嵌合され、折返部321の先端が内容器2の口部23の内面にレーザー溶接による溶接によって固定されている。この溶接により、折返部321の先端が拡径部232の根元と略当接する箇所には、周方向に沿って溶接部51が形成されている。
【0017】
裾部322は、その先端が胴部31の口側の先端と当接するように配置されており、裾部322の先端と胴部31の口側の先端とがレーザー溶接による溶接によって固定され、周方向に沿って溶接部52が形成されている。この裾部322の先端と胴部31の口側の先端の当接及び溶接部52によって構成される外容器3の肩部、或いは溶接部52は、例えば研磨を施す等により、丸みの少ない鋭角なアール形状、或いは比較的丸みが大きいアール形状に形成される。
【0018】
底部33は、略円板状等の略板状であり、その中央において、内側にへこむように形成されている凹部の中央に真空吸引用の吸引穴331が形成されている。また、底部33の内面側には、吸引孔331の封止後に内容器2と外容器3との間の空間のガスを吸収するゲッター332が設けられている。
【0019】
底部33は、開口313を閉塞するように配置されている。本実施形態では、底部33が、屈曲段差部312に重なるように配置されており、底部33の側端面が屈曲段差部312の側面に近接して配置され或いは屈曲段差部312の側面に略当接するように嵌め込まれ、底部33の周縁近傍が真空二重容器1の底面方向に延びる屈曲段差部312の先端面に重なるように配置されている。屈曲段差部312で形成される凹部の深さ、即ち屈曲段差部312の側面の高さは、底部33の厚さよりも深く或いは高く形成されており、底部33は、屈曲段差部312で形成される凹部に入り込み、折曲部311の底側の先端よりも底側に突出しないようになっている。
【0020】
そして、底部33と折曲部311は外容器3の底側で溶接して固定されており、底部33の周縁が折曲部311にレーザー溶接で溶接され、外容器3の底側で周状に溶接部53が形成されている。本実施形態では底部33の周縁が屈曲段差部312の隅部近傍においてレーザー溶接で溶接されている。
【0021】
真空断熱層4は、内容器2と外容器3との間に形成されている真空或いは減圧された空間である。真空断熱層4には、例えば内容器2の外面或いは外容器3の内面に銅、アルミ等の金属箔を施す等により、真空断熱材を設けるようにしてもよい。
【0022】
真空二重容器1を製造する際には、図5(a)、(b)に示すように、外容器3の口部32を構成する筒体32aに所要の加工を施し、一方の端部の先端を内側に曲げて折返部321を形成すると共に、他方の端部にフレア加工を施して裾部322を形成して、口部32を形成する。
【0023】
次いで、図6に示すように、口部32の内側に内容器2若しくはその構成部材を挿入し、口部32の折返部321と内容器2の口部23若しくはその構成部材の口部とを口部の内側で溶接して固定する。図示例では、内容器2の口部23若しくはその構成部材の口部の先端近傍に形成されている拡径部232等の根元に、口部32の折返部321の先端が略当接するまで、拡径部232等の内側に折返部321を嵌合し、口部32の折返部321の先端を内容器2の口部23若しくはその構成部材の口部の内面に、レーザー溶接による溶接を周方向に施し、溶接部51で固定する。尚、口部32に内容器2の構成部材を固定した場合には、後述する外容器3の胴部31及び底部33を口部32に対して配置、固定する工程の前の適宜の工程で内容器2を完成する。
【0024】
また、真空二重容器1の製造では、図7に示すように、外容器3の胴部31を構成する筒体31aの底側の端部を内側に折り曲げて折曲部311を形成する。本例で折曲部311を形成する際には、筒体31aの底側の端部をロール成形等で内側に折り曲げて折曲部311の基となる折曲部311aを形成する。そして、折曲部311aの先端近傍をプレス加工して、内容器2側と折曲部311aの先端縁で形成される開口側に屈曲するように基礎屈曲段差部312aを形成し、基礎屈曲段差部312aの先端近傍を切断除去することにより、屈曲段差部312を形成すると共に、屈曲段差部312を有する折曲部311を形成する。屈曲段差部312は、内容器2側と折曲部311の先端縁で形成される開口313側に屈曲するように形成される。
【0025】
次いで、図8に示すように、折曲部311の先端縁で形成される開口313を閉塞するように外容器を構成する別体の底部33を配置し、本例では底部33を屈曲段差部312に重ねるように配置し、底部33の側端面が屈曲段差部312の側面に近接するように配置する。尚、底部33の側端面が屈曲段差部312の側面に略当接するように嵌め込んで配置すると、底部33を正確な位置に簡単に位置合わせして固定することができるので好ましい。
【0026】
次いで、図9に示すように、折曲部311と底部33とを外容器3の底側で溶接して固定する。本例では、底部33を屈曲段差部312に重ねるようにして胴部31に配置し、その配置状態を治具61、62等で保持し、底部33の周縁を折曲部311にレーザー溶接で溶接する。そして、底部33の周縁を屈曲段差部312の隅部近傍において周方向にレーザー溶接で溶接することにより、溶接部53で胴部31と底部33を固定する。また、本例では、底部33の中心に設けられている吸引穴331を溶接時の中心出しに利用しており、治具61の芯出し棒611が吸引穴331に挿入されて溶接が行われる。
【0027】
そして、胴部31と底部33が固定された状態で底部33の内面側にゲッター332を取り付けた後、外容器3を構成する胴部31の口側の先端と、外容器3を構成する別体の口部32の底側に形成されている裾部322の先端とを、位置合わせして配置し、周方向にレーザー溶接で溶接を施し、溶接部52を形成して固定する。溶接部52を形成する際には、当該箇所をレーザー溶接で所要形状となるように溶接し、必要に応じて研磨を施すことにより、丸みの少ない鋭角なアール形状、或いは比較的丸みが大きいアール形状にして形成する。更に真空吸引・排気など必要な工程を行って真空二重容器1を得ることができる。
【0028】
第1実施形態の真空二重容器1或いはその製造方法によれば、真空二重容器1の外容器3の胴部31と底部33との溶接部分を外容器3の底側にし、この溶接部分を需要者の目を引きにくい箇所に形成することが可能となり、デザイン性を高めることができる。また、例えばレーザー溶接機のレーザーヘッドを周方向に移動すること等の必要が無く、溶接する向きを外容器3の底側に向かう一方向にすることができ、又、外容器3の周側面に溶接する場合よりも溶接長を短くすることができるので、溶接工程を簡略化し、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、屈曲段差部312に底部33を配置して溶接することにより、外容器3の底側で周側面から突出する箇所を無くすことができ、美観をより高めてデザイン性を一層向上することができる。また、外容器3の底部33の周縁を折曲部311にレーザー溶接で溶接することで、精密に低歪みで外容器3の胴部31の折曲部311と底部33を溶接固定することができ、真空二重容器1の残留応力の低減や、溶接時の変形防止を図ることができる。また、外容器3の底部33の中央に形成する真空吸引用の吸引穴331を中心出しに利用することができ、底部33に関わる加工や、底部33を接合した後の容器に対する加工が容易となる。
【0030】
また、外容器3の胴部31と口部32を別体とすることで、胴部31と口部32に別の材料を用いて機能性を高めることも可能となり、例えば直接水に触れることが少ない外容器3の胴部31に、耐食性が劣るものの軽量な材料を用い、外容器3や真空二重容器1の軽量化を図ることもできる。例えば外容器3の口部32を比重7.93程度のSUS304としつつ、水に触れることの少ない胴部31を耐食性に劣り、比重が7.70程度のSUS430とし、加工性の向上、コスト低減、外容器3や真空二重容器1の軽量化を図ることができる。
【0031】
また、胴部31の口側の先端と別体である口部32の裾部322の先端をレーザー溶接で溶接し、必要に応じて研磨を施すことにより、丸みの少ない鋭角なアール形状や、比較的丸みが大きいアール形状にする等、溶接部52の形状調整を高自由度で容易に行うことができ、デザイン性の向上や多様化を図ることができる。また、溶接部52を外容器3の周側面において目立ちにくくすることも容易であり、この点からも、デザイン性を高めることができる。
【0032】
また、屈曲段差部312の基となる基礎屈曲段差部312aを形成し、基礎屈曲段差部312aの先端近傍を切断除去して屈曲段差部312を形成することにより、シワがなく、薄く安定した径の屈曲段差部312や折曲部311を形成することができる。また、プレス加工で容易に屈曲段差部312を形成することができる。
【0033】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものである。そして、下記変形例も包含する。
【0034】
例えば、上記実施形態の外容器3の折曲部311は、屈曲段差部312を有するものとしたが、屈曲段差部312を有せずに内側に折り曲げられる折曲部とすることも可能であり、この折曲部の先端縁で形成される開口を閉塞するように外容器の別体の底部を配置し、溶接するようにしてもよい。この場合にも、折曲部の基となる基礎折曲部を形成し、基礎折曲部の先端近傍を切断除去することにより、折曲部を形成すると、シワがなく、薄く安定した径の折曲部を形成することができて好ましい。
【0035】
また、真空二重容器1の製造方法は、外容器3を構成する胴部31の底側の端部を内側に折り曲げるように折曲部311を形成する工程と、折曲部311の先端縁で形成される開口313を閉塞するように外容器3を構成する別体の底部33を配置する工程と、折曲部311と底部33とを外容器3の底側で溶接して固定する工程を備えるものであれば包含され、例えば折曲部311が形成された胴部31と外容器3の口部32を先に溶接固定し、その後に折曲部311への底部33の配置、固定を行う構成等としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば携帯用魔法瓶等の真空二重容器やその製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…真空二重容器 2…内容器 21…本体 22…くびれ部 23…口部 231…螺旋溝 232…拡径部 3…外容器 31…胴部 31a…筒体 311、311a…折曲部 312…屈曲段差部 312a…基礎屈曲段差部 313…開口 32…口部 32a…筒体 321…折返部 322…裾部 33…底部 331…吸引穴 332…ゲッター 4…真空断熱層 51、52、53…溶接部 61、62…治具 611…芯出し棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9