特許第6039260号(P6039260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000002
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000003
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000004
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000005
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000006
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000007
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000008
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000009
  • 特許6039260-基板搬送システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039260
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】基板搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20161128BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20161128BHJP
   B65G 19/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/06 Z
   B65G19/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-139883(P2012-139883)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-7193(P2014-7193A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 賢二
(72)【発明者】
【氏名】福田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】玉田 聡一
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−136411(JP,A)
【文献】 特開2010−260658(JP,A)
【文献】 特開2007−250871(JP,A)
【文献】 特表2008−505041(JP,A)
【文献】 特開平01−297835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 19/02
B65G 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の側壁と、該側壁に設けられ、複数の基板が水平姿勢で且つ上下方向に間隔をあけて並ぶように該複数の基板の両側の端部を支持する複数対の支持部とを有する収納ケースと、前記収納ケースを下降させる下降装置と、を含む基板供給装置と、
鉛直方向から見て少なくとも前記収納ケースの一対の側壁の間から延出するように前記基板の搬送方向に点在又は延在し、気体を上方に吹き出す1以上の吹出口を含み、該1以上の吹出口は前記下降装置により前記収納ケースを下降させると前記吹出口から吹き出る気体の圧力によって前記支持部に支持されている基板が浮上するように構成されている浮上装置と、
鉛直方向から見て、前記基板供給装置の収納ケースの一対の側壁の間を通過し且つ前記浮上装置の前記基板の搬送方向に点在又は延在する1以上の吹出口に沿うように延在する無端ベルトと、前記無端ベルトに前記基板の前記搬送方向の寸法よりも大きい所定のピッチで立設された複数の爪部と、前記無端ベルトを回転駆動する駆動部と、前記複数の爪部の間に形成された前記基板が保持される複数の基板保持領域とを含み、前記駆動部が前記無端ベルトを回転駆動して前記基板保持領域に保持され且つ前記吹出口から吹き出る気体の圧力によって浮上している基板の搬送方向上流側の端部を前記基板保持領域の前記搬送方向上流側に位置する前記爪部が前記搬送方向に押すよう構成されている搬送装置と、を備える基板搬送システム。
【請求項2】
前記搬送方向に延びる規制部を備え、前記搬送装置によって搬送される基板の両側方向の位置を前記規制部が規制するよう構成されている、請求項1に記載の基板搬送システム。
【請求項3】
前記規制部は、前記搬送装置の前記搬送方向に点在又は延在する1以上の吹出口の両側に対向して一対設けられている、請求項2に記載の基板搬送システム。
【請求項4】
前記搬送装置は前記無端ベルトを一対備え、該一対の無端ベルトは、それぞれの爪部が前記駆動部により鉛直方向から見て前記搬送方向と直交する方向に並んだ状態で同期して回転するよう構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の基板搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送システムに関し、特に収納ケースから基板を搬出して搬送するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板等の基板をカセットから搬出して搬送することができる基板搬送装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この基板搬送装置は、2列に配置された搬送ローラとハンド部とを備える。各列の搬送ローラは、基板搬送方向に間隔をおいて並設されている。ハンド部は、基板搬送方向と直交する方向に延び、搬送ローラよりも若干低い位置に位置決めされている。また、ハンド部は、その上面に送気ブロワ等から供給される圧縮空気を噴射する複数の吹出孔を有する。そして、基板カセットに支持されている基板を搬出するときは、基板の下面両側端部を搬送ローラに直接支持させると共に、搬送ローラと基板との接触部分よりも基板中央寄りの部分を吹出孔から噴射される圧縮空気によって非接触に支持し、搬送ローラを回転させる。これによって、基板は、搬送ローラとの接触によって生じる摩擦力により、基板カセットの外に搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−98198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板の被処理面(上面及び下面)へのパーティクルの付着を防止するため、基板の搬出時における、基板搬送装置と基板の被処理面との接触を最小限に抑える必要がある場合がある。
【0006】
しかし、従来の基板搬送装置では、基板の下面両側端部と搬送ローラとが接触するように構成されていたので、基板の被処理面にパーティクルが付着し易かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る基板搬送システムは、互いに対向する一対の側壁と、該側壁に設けられ、複数の基板が水平姿勢で且つ上下方向に間隔をあけて並ぶように該複数の基板の両側の端部を支持する複数対の支持部とを有する収納ケースと、前記収納ケースを下降させる下降装置と、を含む基板供給装置と、鉛直方向から見て少なくとも前記収納ケースの一対の側壁の間から延出するように前記基板の搬送方向に点在又は延在し、気体を上方に吹き出す1以上の吹出口を含み、該1以上の吹出口は前記下降装置により前記収納ケースを下降させると前記吹出口から吹き出る気体の圧力によって前記支持部に支持されている基板が浮上するように構成されている浮上装置と、鉛直方向から見て、前記基板供給装置の収納ケースの一対の側壁の間を通過し且つ前記浮上装置の前記基板の搬送方向に点在又は延在する1以上の吹出口に沿うように延在する無端ベルトと、前記無端ベルトに前記基板の前記搬送方向の寸法よりも大きい所定のピッチで立設された複数の爪部と、前記無端ベルトを回転駆動する駆動部と、前記複数の爪部の間に形成された前記基板が保持される複数の基板保持領域とを含み、前記駆動部が前記無端ベルトを回転駆動して前記基板保持領域に保持され且つ前記吹出口から吹き出る気体の圧力によって浮上している基板の搬送方向上流側の端部を前記基板保持領域の前記搬送方向上流側に位置する前記爪部が前記搬送方向に押すよう構成されている搬送装置と、を備える。
【0008】
この構成によれば、基板のエッジ以外の表面及び裏面に触れることなく、基板を収納ケースから取り出し、搬送することができる。これによって、基板のエッジ以外の表面及び裏面に対するパーティクルの付着を防止することができる。
【0009】
上記発明に係る基板搬送システムにおいて、前記搬送方向に延びる規制部を備え、前記搬送装置によって搬送される基板の両側方向の位置を前記規制部が規制するよう構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、搬送装置の搬送路上から基板が外れることを規制することができる。
【0011】
上記発明に係る基板搬送システムにおいて、前記規制部は、前記搬送装置の前記搬送方向に点在又は延在する1以上の吹出口の両側に対向して一対設けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、浮上装置上から基板が外れることを規制することができる。
【0013】
上記発明に係る基板搬送システムにおいて、前記搬送装置は前記無端ベルトを一対備え、該一対の無端ベルトは、それぞれの爪部が前記駆動部により鉛直方向から見て前記搬送方向と直交する方向に並んだ状態で同期して回転するよう構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、爪部に押された基板の蛇行を防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上に説明したように構成され、基板のエッジ以外の表面及び裏面に対するパーティクルの付着を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る基板搬送システムの構成例を示す斜視図である。
図2図1の基板搬送システムの移載部の構成例を示す斜視図である。
図3図1の基板搬送システムの基板浮上構造の一例を示す図であり、基板搬送システムを後方から見た図である。
図4図1の基板搬送システムの制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。
図5図1の基板搬送システムの動作例を示すフローチャートである。
図6図1の基板搬送システムの動作例を示すフローチャートである。
図7図1の基板搬送システムの動作例を示す図である。
図8図1の基板搬送システムの動作例を示す図である。
図9図1の基板搬送システムの動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0018】
[全体構成]
<基板搬送システムの全体構成>
図1は、基板搬送システム100の構成例を示す斜視図である。
【0019】
基板搬送システム100は、基板Wを搬送するシステムである。基板搬送システム100は、基板を搬送するものであれば特に限定されない。また、基板として、太陽電池パネル用のセル基板、シリコンウェハ、シリコンカーバイドウェハ、サファイアウェハ等の半導体ウエハ、半導体プロセスによって処理される薄型ディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)用のガラス基板が例示される。本実施の形態において、基板搬送システム100は、太陽電池パネル製造ラインにおいて太陽電池セル基板を搬送するシステムである。
【0020】
なお、以下では、説明の便宜上、搬送方向下流側を前といい、搬送方向上流側を後ということがある。
【0021】
図1に示すように、基板搬送システム100は、基板供給装置2と、浮上装置3と、搬送装置4と、基板搬送システム100の動作を制御する制御装置5(制御器)(図4参照)と、基板搬送システム100の各構成要素を所定の位置関係に配置する枠体とを有している。ここで、所定の位置とは、基板搬送システム100の基板Wの搬送動作を遂行するのに適した位置をいう。
【0022】
[基板供給装置]
基板供給装置2は、基板Wが載置される可動棚(収納ケース)21と、可動棚21を上昇及び下降させる昇降装置(下降装置)22とを備える。
【0023】
可動棚21は、互いに対向する一対の側壁23と、側壁23に設けられた複数対の基板支持部24とを有する。
【0024】
本実施の形態において、可動棚21は、後述するカートリッジ110の後壁及び下壁を取り払ったものである。
【0025】
可動棚21の互いに対向する一対の側壁23は、図1に示すように、鉛直方向から見て搬送方向と直交する方向に並んで配置され、一対の側壁23の上端を上壁27が接続している。これによって、一対の側壁23の間隔は、後述する基板支持部24に基板Wを載置するために必要な所定の間隔に規定されている。
【0026】
そして、可動棚21の前面及び後面は、その全面が開口されており、それぞれ前面開口25及び後面開口26を構成している。これによって、前面開口25及び後面開口26を通って基板Wを可動棚21に搬入(収容)及び搬出(取り出し)することができる。本実施の形態において基板Wは、後述するように、後面開口26を通って可動棚21に搬入され、前面開口25を通って可動棚21から搬出される。また、可動棚21の下面も、その全面が開口されており、下面開口28を構成している。後述するように、浮上装置3及び搬送装置4は、下面開口28を通って基板Wの下面に近づけられる。なお、本実施の形態においては、下面開口28を設けたがこれに限られない。
【0027】
複数対の基板支持部24は、複数の基板Wが水平姿勢で且つ上下方向に間隔をあけて並ぶように複数の基板Wの両側の端部を支持する。本実施の形態において、複数対の基板支持部24は、図1及び図2に示すように、一対の側壁23の内面にそれぞれ設けられている。一方の側壁23に設けられた基板支持部24と、これに対応する他方の側壁23に設けられた基板支持部24とで対をなし、これらが鉛直方向に所定のピッチで設けられている。基板支持部24は、他方の側壁23に向かうに従って斜め下方に延びる傾斜面24aを有する。複数対の基板支持部24の傾斜面24aの上にそれぞれ基板Wを架け渡して載置することによって、基板支持部24は、複数の基板Wが水平姿勢で且つ上下方向に間隔をあけて並ぶように複数の基板Wの両側の端部を支持する。このとき、傾斜面24aと基板Wの下側の隅角部とが接触するので、基板Wのエッジ以外の表面及び裏面と基板支持部24とが接触することを防ぐことができる。
【0028】
昇降装置22は、枠体に取り付けられている。昇降装置22は、可動棚21を上昇及び下降させるものであればよく、例えば、ボールねじ機構、流体シリンダ、ワイヤ(ロープ)を用いた巻き上げ機構等が例示される。昇降装置22は、本実施の形態において、可動棚21を支持するケース支持部31と、ケース支持部31と連結され、これを上昇及び下降させることができるように設けられたボールねじ機構32を有する。このボールねじ機構32は、ボールねじ33と、ケース支持部31に連結され、ボールねじ33の回動によって上昇及び下降するスライダ34とを有する。そして、図示しない駆動部がボールねじ33を回動することによって、ケース支持部31が上昇又は下降し、可動棚21をカートリッジの交換位置(図7参照)と、交換位置の下方の終了位置(図9参照)との間で昇降させる。また、交換位置と終了位置との間に初期位置(図8参照)が設定される。これら交換位置,終了位置及び初期位置の詳細については後述する。
【0029】
[移載部]
なお、本実施の形態においては可動棚21の搬送方向上流側に、移載部105が備えられている。
【0030】
図2は、基板搬送システム100の移載部105の構成例を示す斜視図である。
【0031】
図1及び図2に示すように、移載部105は、基板が収納されているカートリッジ110を載置する載置台111と、カートリッジ110に収納されている基板を可動棚21に移載する移載装置112を有する。
【0032】
上述の通り、可動棚21はカートリッジ110の後壁121及び下壁を取り払ったものである。即ち、カートリッジ110は、可動棚21と同様に前面開口124及び基板支持部123を有している。カートリッジ110には前面開口124を介して基板Wがカートリッジ110に搬入及び搬出される。カートリッジ110の後壁121は、基板支持部126に載置された全ての基板Wの搬送方向上流側の端部が露出するように開口された後面開口125を有している。
【0033】
載置台111は、枠体に取り付けられている。そして、載置台111は、基板供給装置2の搬送方向上流側に位置し、その上面が水平方向に延びている。載置台111の高さ位置は、その上にカートリッジ110を載置した状態において、交換位置に位置させた可動棚21の各基板支持部24の後端とカートリッジ110の各基板支持部126の前端とが対向するように位置している。
【0034】
移載装置112は、載置台111の搬送方向上流側に配置されている。移載装置112は、枠体に取り付けられ、搬送方向に延びるレール131を有する基台130と、レール131に案内されて搬送方向上流側及び下流側に移動可能に構成された可動基部132と、可動基部132から搬送方向下流側に水平に伸びる押込アーム133と、押込アーム133の先端に設けられている押込板134と、可動基部132を搬送方向上流側及び下流側に移動させる駆動部(図示せず)と、を有する。
【0035】
この移載装置112は、可動基部132が搬送方向下流側に移動することによって、押込板134がカートリッジ110の後面開口125を通ってカートリッジ110に挿入され、カートリッジ110に収納されている全ての基板Wの端部を搬送方向下流側に押圧する。カートリッジ110の各基板支持部126の前端と可動棚21の複数対の基板支持部24の後端とが対向しているので、押圧された基板はカートリッジ110の基板支持部126上をスライドし、可動棚21の傾斜面24a上に載置される。
【0036】
[浮上装置]
図3は、基板搬送システム100の基板浮上構造の一例を示す図であり、基板搬送システム100を後方から見た図である。
【0037】
図1及び図3に示すように、浮上装置3は、1以上の吹出口35を有する。
【0038】
本実施の形態において、浮上装置3は、装置本体36と、図示しない駆動部(例えば加圧ポンプ)とを備え、吹出口35は、装置本体36に形成されている。
【0039】
装置本体36は、基板Wの搬送方向に水平に延びる中空の箱体である。そして、装置本体36の上流側の端部は、鉛直方向から見て、可動棚21の下面開口28内に位置している。したがって、装置本体36は、鉛直方向から見て可動棚21の一対の側壁23の間から延出するように基板Wの搬送方向に延在している。装置本体36は、枠体に取り付けられている。
【0040】
また、図1及び図3に示すように、装置本体36は、幅、即ち鉛直方向から見て搬送方向と直交する方向の寸法が可動棚21の下面開口28の搬送方向と直交する方向の寸法よりも小さく形成されている。これによって、浮上装置3を可動棚21の一対の側壁23の間に位置させることができるようになっている(図7〜9参照)。
【0041】
1以上の吹出口35は、鉛直方向から見て少なくとも可動棚21の一対の側壁23の間から延出するように基板Wの搬送方向に点在又は延在し、気体を上方に吹き出す。本実施の形態において、吹出口35は、装置本体36の上面全体に多数点在している。
【0042】
浮上装置3の駆動部は、その駆動によって、装置本体36に空気(気体)を供給する。これにより、吹出口35から空気が上方(真上及び斜め上方向を含む)に吹き出る。そして、吹出口35から吹き出る気体の圧力により、可動棚21の基板支持部24に支持されている図3に示す基板W1を浮上させることができるように構成されている。なお、浮上とは、浮上装置3と対向する基板Wの表面及び裏面に触れないことを意味する。
【0043】
なお、上記可動棚21の初期位置は、例えば、可動棚21の基板支持部24のうち、最下段の基板支持部24に支持された基板Wが吹出口35から吹き出る気体の圧力によって浮上する位置に定められる(図3,8参照)。また、可動棚21の終了位置は、例えば、可動棚21の基板支持部24のうち、最上段の基板支持部24に支持された基板Wが吹出口35から吹き出る気体の圧力によって浮上する位置に定められる(図9参照)。
【0044】
[搬送装置]
搬送装置4は、搬送コンベア(搬送部材)40と、搬送コンベア40に立設された爪部41と、搬送コンベア40を搬送方向に移動させる駆動部42とを有する。
【0045】
搬送コンベア40は、鉛直方向から見て基板供給装置2の可動棚21の一対の側壁23の間を通過し且つ浮上装置3の吹出口35に沿うように延在している。この搬送コンベア40の上面が基板の搬送路を構成する。本実施の形態において、搬送コンベア40は、鉛直方向から見て搬送方向上流側の端部が可動棚21の一対の側壁23の間に位置している。また、搬送コンベア40は、搬送方向下流側の端部に受渡位置Pが設定されている。この受渡位置Pは、移送装置150(図4参照)が基板Wを搬出する位置であり、この移送装置150は、受渡位置Pから搬出した基板Wを他の位置に移送する。移送装置として、周知のベルヌーイ方式の吸着ハンドを装着したデルタロボットが例示される。
【0046】
搬送コンベア40は、無端ベルト46を一対備える。一対の無端ベルト46は、一対のスプロケット(sprocket)45に張架されている。そして、鉛直方向から見て、一対の無端ベルト46及び一対のスプロケット45によって囲まれる領域に浮上装置3が配置されている。駆動部42は、その駆動力によって一方のスプロケット45を回転駆動させ、これによって一対の無端ベルト46が同期して回転駆動する。このようにして、駆動部42は、搬送コンベア40を搬送方向に移動させる。
【0047】
爪部41は、搬送コンベア40に基板Wの搬送方向の寸法よりも大きい間隔で立設されている。そして、爪部41は、搬送路において、その先端が浮上している基板よりも高い高さ位置に位置するよう、その長さが規定されている。これによって、爪部41は、吹出口35から吹き出る気体の圧力によって浮上している基板の搬送方向上流側の端部を搬送方向に押すよう構成されている。本実施の形態において、爪部41は、一対の無端ベルト46の表面に複数対立設されている。一方の無端ベルト46に設けられた爪部41と、他方の無端ベルト46に設けられた爪部41とで対をなし、この一対の爪部41は、鉛直方向から見て搬送方向と直交する方向に並ぶように配設されている。したがって、駆動部42の駆動力によって一対の無端ベルト46が回転駆動されると、一対の爪部が搬送方向と直交する方向に並んだ状態で同期して回転駆動する。爪部41は、基板Wの搬送方向の寸法よりも若干大きいピッチで立設されている。爪部41は、直方体状に形成され、無端ベルト46から外側に突出して形成されている。そして、一対の爪部41と隣接する爪部41との間に基板Wが保持される基板保持領域47が形成されている。
【0048】
上記の通り構成された搬送コンベア40によれば、吹出口35から気体が吹き出ている状態において、基板保持領域47に基板Wを位置させると、吹き出る気体の圧力によって基板が浮上する。この状態においては、基板Wの搬送方向上流側及び下流側の端部に隣接する一対の爪部41によって、基板Wの搬送方向の位置が規制されている。そして、一対の無端ベルト46が回転駆動されることによって、この基板Wは、搬送方向上流側の一対の爪部41によって搬送方向下流側に押され、受渡位置Pまで搬送される。このように、基板Wは、一対の爪部41で押されて搬送されるので、搬送時に蛇行しにくい。
【0049】
[ガイド]
また、本実施の形態において、基板搬送システム100は、更に搬送方向に延びる一対のガイド(規制部)50を備えている。ガイド50は、枠体に取り付けられている短冊状の板体である。一対のガイド50は、互いに対向した姿勢で搬送コンベア40の両側、即ち浮上装置3の両側に配設されている。また、一対のガイド50は、基板供給装置2の搬送方向下流側に隣接して設けられ、その間隔は、基板Wの搬送方向と直交する方向の幅よりも若干大きくなるように設定されている。これによって、一対のガイド50が搬送される基板Wの両側方向(鉛直方向から見て搬送方向と直交する方向)の位置を規制している。このように、搬送コンベア40上の基板の水平方向の位置は、爪部41とガイド50とによって規制されているので、基板保持領域47上から外れることなく、受渡位置Pに搬送される。
【0050】
[制御系統の構成]
図4は、基板搬送システム100の制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。以下、図4を参照しながら、基板搬送システム100の制御系統について説明する。
【0051】
基板搬送システム100が備える制御装置5は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部55と、ROM及びRAM等のメモリを有する記憶部56とを備えている。制御部55は、集中制御する単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御器で構成されてもよい。制御部55は、昇降装置22,浮上装置3,搬送装置4及び移載装置112における各駆動装置の動作を制御し、それによって各装置の動作を制御する。例えば、記憶部56には所定の制御プログラムが記憶されていて、制御部55がこれらの制御プログラムを読み出して実行することにより、基板搬送システム100の動作が制御される。移送装置150より出力された基板移送完了信号は、制御部55に入力される。なお、図中の矢印は信号の伝達方向を示す。
【0052】
[動作例]
次に、基板搬送システム100の動作例を説明する。これらの動作は、制御装置5が昇降装置22,浮上装置3,搬送装置4及び移載装置112の各駆動装置を制御することによって遂行される。
【0053】
図5は、基板搬送システム100の動作例を示すフロー図である。図6は、基板搬送システム100の移載処理の動作例を示すフロー図である。図7〜9は、基板搬送システム100の動作例を示す図である。
【0054】
まず、制御部55は、基板をカートリッジ110から可動棚21に移載する移載処理を行う(ステップS1)。移載処理は、以下のように行われる。
【0055】
まず、制御部55は、可動棚21を図7に示す交換位置に位置させる(ステップS11)。
【0056】
次に、制御部55は、移載装置112の押込板134を後面開口125からカートリッジ110に押し込む(ステップS12)。これによって、全ての基板Wは、カートリッジ110から可動棚21に移載される。
【0057】
次に、制御部55は、可動棚21を下降させ、図8に示す初期位置に位置させる(ステップS13)。これによって、移載処理を完了する。
【0058】
次に、制御部55は、浮上装置3を駆動させ、空気を吹出口35から上方に吹き出させる(ステップS2)。これによって、可動棚21の基板支持部24のうち、最下段の基板支持部24に支持された基板Wが吹出口35から吹き出る気体の圧力によって浮上する。このとき、基板Wは、爪部41によって搬送方向の位置が規制され、また、一対の側壁23によって搬送方向と直交する方向の位置が規制されているので、基板保持領域47に保持される。
【0059】
そして次に、制御部55は、基板Wが保持されている基板保持領域47の搬送方向上流側に隣接する基板保持領域47が可動棚21に収納された基板Wの下方に位置するように搬送コンベア40を回転駆動させる。即ち、一対の無端ベルト46は、1ピッチ回転駆動される(ステップS3)。これによって、基板保持領域47に位置する基板Wは、搬送方向下流側に搬送される。このとき、基板Wは、爪部41によって搬送方向の位置が規制され、また、一対のガイド50によって搬送方向と直交する方向の位置が規制されているので、基板保持領域47に保持される。
【0060】
次に、制御部55は、可動棚21が図9に示す終了位置に位置しているかを判定する。
【0061】
そして、制御部55は、可動棚21が終了位置に位置していないと判定したとき(ステップS4においてNO)は、可動棚21を1ピッチ下降させる(ステップS5)。これによって、先程の基板Wの上方に隣接する基板Wが吹出口35から吹き出る気体の圧力によって浮上する。
【0062】
一方、制御部55は、可動棚21が終了位置に位置していると判定したとき(ステップS4においてYES)は、上記移載処理を行う(ステップS6)。
【0063】
次に、制御部55は、移送装置150から基板移送完了信号が通知される等して受渡位置Pに基板が位置していないと判定するまで待機する(ステップS7)。即ち、移送装置150が受渡位置に位置する基板Wの移送が完了していない間は、制御部55は、基板Wは搬出されるまで待機する。
【0064】
そして、制御部55は、受渡位置Pに基板が位置していないと判定すると、ステップS3の動作を再び行う。
【0065】
以上に説明したように、本発明の基板搬送システム100は、基板Wのエッジ以外の表面及び裏面に触れることなく、基板Wを可動棚21から取り出し、搬送し、受渡位置Pに位置させることができる。これによって、基板Wのエッジ以外の表面及び裏面に対するパーティクルの付着を防止することができる。
【0066】
<変形例>
上記実施の形態においては、移載装置112がカートリッジ110に収納されている基板Wを可動棚21に移載する構成としたがこれに限られるものではない。これに代えて、作業者が手で差し込んでもよい。また、基板Wが収納されている可動棚21と基板Wが搬出された可動棚21とを交換してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態においては、ガイド50は、搬送装置4の両側に一対設けたがこれに限られるものではない。これに代えて、例えば、ガイド50を搬送装置4の片側に設けてもよい。この場合、浮上装置3をガイド50に向かうように傾斜させてもよい。このように構成すると、浮上装置3の吹出口35から吹き出る空気の圧力によって浮上している基板Wがガイド50の位置する側に移動し、搬送方向と直交する方向の位置がガイド50によって規制される。
【0068】
更に、吹出口35から吹き出す気体は、空気に限られず、任意の気体を用いることができる。
【0069】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の基板搬送システムは、太陽電池パネル用のセル基板、基板上に微細回路を形成する半導体、ディスプレイパネル等の製造ラインへの適用に有用である。
【符号の説明】
【0071】
2 基板供給装置
3 浮上装置
4 搬送装置
5 制御装置
21 可動棚
22 昇降装置
23 側壁
24 基板支持部
24a 傾斜面
25 前面開口
26 後面開口
27 上壁
28 下面開口
31 ケース支持部
32 ボールねじ機構
33 ボールねじ
34 スライダ
35 吹出口
36 装置本体
40 搬送コンベア
41 爪部
42 駆動部
45 スプロケット
46 無端ベルト
47 基板保持領域
50 ガイド
55 制御部
56 記憶部
100 基板搬送システム
105 移載部
110 カートリッジ
111 載置台
112 移載装置
121 後壁
123 基板支持部
124 前面開口
125 後面開口
126 基板支持部
130 基台
131 レール
132 可動基部
133 押込アーム
134 押込板
150 移送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9