(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボトムプレートの下面に補強用リブを一体的に形成すれば該ボトムプレートを補強できるため、ボトムプレートをより一層補強したいという要望があれば、補強用リブの数を増やすことで対応することができた。
しかしながら、補強用リブの数を増やしてしまうと、ボトムプレートの重量が増加してしまうという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、重量増加を抑制しつつ補強を行うことが可能な車両用シートのボトムプレート構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上面にクッション材が支持されるとともに表皮材で被覆される車両用シートのボトムプレート構造において、
前記ボトムプレートは、車体に設けられており、
前記ボトムプレートは、該ボトムプレートの幅方向中央部と交差
するとともに前記車両用シートの前後方向に対して斜めに配置される
複数の斜辺と
、これら複数の斜辺同士が交差してなる交差部と、を備えることによって略X字状に構成された補強部を有
しており、
前記補強部は、前記ボトムプレートの表面において凹むようにして形成されているとともに、前記ボトムプレートの表面における他の凹部から独立していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記ボトムプレートは、該ボトムプレートの裏面に、互いに
前後方向に間隔をあけて設けられるとともに、前記車体側に固定される複数のマウント部を、さらに有しており、
前記
略X字状の補強部
における四つの端部の位置と、互いに
前後方向に離間する前記複数のマウント部
の位置と、が対応していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記
略X字状の補強部
は、前記ボトムプレート
の表面における前後方向に複数並んで設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項
1〜3
のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記交差部は、前記ボトムプレートの幅方向中央部に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項
1〜4
のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記交差部は、前記車両用シートの前後方向に沿った該車両用シートの幅方向中心部のうち最も低い位置を避けて配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項
1〜4
のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記交差部は、前記車両用シートの前後方向に沿った該車両用シートの幅方向中心部のうち最も低い位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項3を
直接的または間接的に引用する請求項4〜6のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前後方向に並ぶ前記略X字状の補強部の間に、略三角形状に形成された二つの対向する凹部が、略菱形を成すようにして形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記ボトムプレートは、該ボトムプレートの周縁に沿って設けられる周縁補強部を、さらに有しており、
前記補強部と前記周縁補強部とが連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、
請求項2を直接的または間接的に引用する請求項8に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記複数のマウント部のうち前記ボトムプレートの前端部に設けられるマウント部は、前記車体の燃料タンクに当接しており、
前記周縁補強部が設けられる前記ボトムプレートの周縁は、前記燃料タンクに当接するマウント部よりも前方に位置する該ボトムプレートの前端縁部を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記周縁補強部は、前記ボトムプレートのうち、乗員が座る位置に該当する部位の周縁に沿って設けられるメイン補強部と、
前記メイン補強部を含む前記ボトムプレートの全周縁にわたって設けられるとともに、前記表皮材の端末が固定される段差部と、を備えており、
前記段差部は、該段差部の段差を形成し、かつ前記表皮材の端末の固定箇所を位置決めするための折曲部を有することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項2
、または、請求項2を直接的または間接的に引用する請求項3〜10のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記複数のマウント部は、前記ボトムプレートの周縁に沿って設けられる複数の外周側マウント部と、
前記複数の外周側マウント部よりも内側であって、前記ボトムプレートの幅方向中央部に設けられる中央マウント部と、からなり、
前記複数の外周側マウント部と前記中央マウント部との間に前記補強部が配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の車両用シートのボトムプレート構造において、前記ボトムプレートは、前記車体と係合する係合部を、さらに有しており、
前記補強部と前記係合部とが連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、前
記補強部によって前記ボトムプレートを補強できる。これによって、従来に比して前記ボトムプレートの重量増加を抑制しつつ、該ボトムプレートの補強を行うことが可能となる。
また、前記複数の斜辺を交差部から他方向に配置させることができるので、前記複数の斜辺同士を交差させない場合に比して、前記ボトムプレートの剛性を向上できる。
さらに、前記ボトムプレートに対して凹凸形状を形成でき、該ボトムプレートの剛性を向上できる。しかも、前記ボトムプレートの表面が部分的に凹んだ状態で補強できるため、例えば表面が部分的に突出する状態で補強する場合に比して、前記ボトムプレートの上面に支持される前記クッション材の撓みを抑制しないので、乗員に対して快適な座り心地を提供できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば
、前記補強部が、前記ボトムプレートのうち前記車体側に固定されない複数の箇所にわたって配置される場合に比して、前記ボトムプレートの剛性を向上できる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記交差部は、前記ボトムプレートの幅方向中央部に配置されているので、前記ボトムプレートのうち特に荷重のかかりやすい幅方向中央部の剛性を向上できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記ボトムプレートの前後方向に沿った該ボトムプレートの幅方向中心部のうち最も低い位置は、乗員荷重が大きくかかる部位であり、前記交差部は、前記最も低い位置を避けて配置されているので、乗員に対して快適な座り心地を提供できる。すなわち、前記乗員荷重が大きくかかる部位と、前記交差部によって剛性向上された部位とが重ならないように配置されているので、乗員が当たり感を強く感じることを抑制できる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、前記ボトムプレートの前後方向に沿った該ボトムプレートの幅方向中心部のうち最も低い位置は、乗員荷重が大きくかかる部位であり、前記交差部は、前記最も低い位置に配置されているので、前記乗員荷重が大きくかかる部位と、前記交差部によって剛性向上された部位とが重なるように配置でき、乗員荷重を確りと支持することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、前記ボトムプレートは、該ボトムプレートの周縁に沿って設けられる周縁補強部をさらに有するので、この周縁補強部によって前記ボトムプレートの周縁の剛性を向上できる。さらに、前記補強部と前記周縁補強部とが連結されることにより、前記ボトムプレートの幅方向中央部と前記ボトムプレートの周縁の剛性を向上できるので、前記ボトムプレートを全体的に補強できる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、前記ボトムプレートの前端部のマウント部によって前記ボトムプレートと前記燃料タンクとの干渉を防ぐことができる。さらに、前記周縁補強部が設けられる前記ボトムプレートの周縁は、前記燃料タンクに当接するマウント部よりも前方に位置する該ボトムプレートの前端縁部を含むので、前記周縁補強部によって前記ボトムプレートの前端縁部の剛性を向上できる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、前記周縁補強部は、前記メイン補強部と前記段差部とを備えるので、前記メイン補強部によって前記ボトムプレートのうち、乗員が座る位置に該当する部位の周縁に沿って剛性を特に向上できる。また、前記段差部によって前記メイン補強部を含む前記ボトムプレートの全周縁の剛性を向上できるので、前記ボトムプレートの引き上げ剛性も向上させることができる。
さらに、前記段差部は、該段差部の段差を形成し、かつ前記表皮材の端末の固定箇所を位置決めするための折曲部を有するので、この折曲部に沿って前記表皮材の端末を固定することで前記車両用シートの製造に係る作業性を向上できる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、前記ボトムプレートのうち特に荷重のかかりやすい幅方向中央部に、前記車体側に固定される前記中央マウント部を配置できる。さらに、前記複数の外周側マウント部と前記中央マウント部との間に前記補強部が配置されているので、特に前記ボトムプレートの幅方向中央部の周辺の剛性を向上できる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、前記補強部と、前記車体と係合する前記係合部とが連結されているので、前記補強部によって、応力の集中しやすい前記係合部の剛性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、車両用シートを示す。本実施の形態の車両用シート1は、自動二輪車に用いられるものとする。
なお、車両用シートとは、本実施の形態のように自動二輪車だけに適用されるものではなく、二輪車、すなわち陸上のオートバイ、スクーターや、雪上のスノーモービル、水上バイク用のシートを含み、また三輪バギー車等や跨座式乗物、或いは建機シート、或いは四輪車に関する乗物用シートをも含むものとする。
【0032】
また、前記車両用シート1は、前記自動二輪車の車体2に設けられるボトムプレート10と、このボトムプレート10の上面に支持されるクッション材20と、前記ボトムプレート10および前記クッション材20を被覆する表皮材3と、を備える。すなわち、前記車両用シート1は、前記ボトムプレート10上に前記クッション材20が支持されるとともに前記表皮材3で被覆されてなる。
【0033】
なお、前記ボトムプレート10が固定される前記車体2の部位は、具体的には、前記車体2の上部に取り回されるシートレール2aと、前記車両用シート1の前方に位置する燃料タンク2bとを指している。
【0034】
前記ボトムプレート10は、ポリプロピレンやポリ塩化ビニル等の樹脂材料を成形してなるものであり、前記自動二輪車の車体2の形状に対応した形状となるように成形され、該車体2に装着されている。
なお、本実施の形態のボトムプレート10は、例えばポリプロピレンを材料としたものであり、前記自動二輪車の車体2に固定するため、特に硬質とされている。また、前記ボトムプレート10に対しては、前記自動二輪車の車体2に固定するのに必要な金具等が取り付けられていてもよい。
【0035】
前記クッション材20は、柔軟フォーム材、例えばウレタンフォーム,ポリプロピレンフォーム,ポリエチレンフォームから形成されている。なお、本実施の形態のクッション材20としては、例えばウレタンフォームが採用されている。
また、前記クッション材20は、前記ボトムプレート10の上面に支持されるため、このクッション材20の下面の形状は、前記ボトムプレート10の上面の形状が反映されたものとなっている。これによって、前記クッション材20を、前記ボトムプレート10の上面によって安定的に支持することができる。また、前記ボトムプレート10と前記クッション材20とが互いに接する面、すなわち、前記ボトムプレート10の上面と前記クッション材20の下面はそれぞれ基準面10a,20aとされている。
また、前記クッション材20は、前記自動二輪車を運転する乗員が座る部分の上面が、側面視において他の部分よりも低くなるように形成されている。この部分は、前記車両用シート1の前後方向に沿った該車両用シート1の幅方向中心部C2のうち最も低い位置1aとされている。また、前記最も低い位置1a付近は、前記自動二輪車を運転する乗員の坐骨位置にも対応する部分であり、前記車両用シート1のうちで最も乗員による荷重がかかる最大荷重部とされる。
【0036】
なお、前記クッション材20の裏面には、前記クッション材20の軽量化と撓みやすさの向上を図るために、前記ボトムプレート10側に開口する空間部として複数の凹部21…が形成されている。
また、前記クッション材20は、上述のようにウレタンフォーム等のように多孔質素材が用いられているため、撓む際や撓みが戻る際には、クッション材20の細孔に対して空気が出たり入ったり流通することになる。一方、前記クッション材20は、前記ボトムプレート10の上面に支持され、さらに前記表皮材3によって被覆されてしまうため、空気の流通が滞りやすくなる場合がある。これを抑制するため、前記ボトムプレート10には、空気の流通路として、
図6〜
図8に示すように、複数の貫通孔17,17を形成しておくことが望ましい。
【0037】
前記表皮材3は、前記車両用シート1の座面を構成し、乗員に接触する部分であり、ポリプロピレンやポリ塩化ビニル等の樹脂材料を成形してなる。なお、本実施の形態の表皮材3は、例えばポリプロピレンを材料とした軟質のものが採用されている。
前記表皮材3の端末3aは、
図5に示すように、前記ボトムプレート10の裏面側へと折り込まれ、このボトムプレート10の裏面に、ステープル4によって固定されている。
なお、前記表皮材3の端末3aとは、該表皮材3の全周縁を指している。したがって、この表皮材3の端末3aは、前記ボトムプレート10の全周縁にわたって固定される。
【0038】
次に、前記ボトムプレート10について、より詳細に説明する。
前記ボトムプレート10は、該ボトムプレート10の幅方向中央部C1と交差し、少なくとも一部が前記車両用シートの前後方向に対して斜めに配置される斜辺として構成された補強部11を有する。
例えば、前記補強部11は、
図9に示すような状態も含まれる。つまり、前記補強部11は、単に前記ボトムプレート10の縦横(前後左右)に配置されるのではなく、斜めに配置される部分を有することで、前後方向および左右方向に対する剛性を得ようとするものである。
また、前記補強部11は、
図9に示すボトムプレート10においては単数であるが、これに限られるものではなく、他の各図に示すように、前記ボトムプレート10に対して複数設けられてもよい。
【0039】
本実施の形態の補強部11は、前記ボトムプレート10の裏面において突出するとともに、該ボトムプレート10の表面において凹むようにして形成されている。つまり、この補強部11は、
図2に示すように断面凹型に形成されており、前記ボトムプレート10の上面から下方に折り返されて形成される一対の側壁部11b,11bと、これら一対の側壁部11b,11bの下端部間に架け渡されて一体形成される底部とを備える。さらに、前記ボトムプレート10の上面から下方に折り返される角の部分は、折返し段部11aとされており、前記補強部11のうちでも剛性の高い部位とされている。
なお、前記ボトムプレート10の表面とは、該ボトムプレート10の上面と、該ボトムプレート10の全周縁にわたって設けられるとともに前記ボトムプレート10の上面よりも前記車体2側に折り曲げられるようにして形成された段差部14b(後述する)の表面側の部分を含むものである。一方、前記ボトムプレート10の裏面とは、前記ボトムプレート10の表面に対する裏面であり、前記ボトムプレート10の下面および前記段差部14bの裏面側を含むものである。
このような補強部11によれば、前記ボトムプレート10に対して凹凸形状を形成でき、該ボトムプレート10の剛性を向上できる。さらに、前記ボトムプレート10の表面が部分的に凹んだ状態で補強できるため、例えば表面が部分的に突出する状態で補強する場合に比して、前記ボトムプレート10の上面に支持される前記クッション材20の撓みを抑制しないので、乗員に対して快適な座り心地を提供できる。
なお、本実施の形態においては、前記補強部11は断面凹型に形成されるものとしたが、これに限られるものではなく、リブのような突出形状として、前記ボトムプレート10の裏面に備えられるものとしてもよい。
【0040】
また、前記ボトムプレート10は、
図6〜
図8に示すように、該ボトムプレート10の裏面に、互いに間隔をあけて設けられるとともに、前記車体2側に固定される複数のマウント部12…を有する。
前記マウント部12とは、前記車体2に固定される部位そのものを指すと同時に、当該部位に取り付けられるゴム等の弾性部材および当該弾性部材が取り付けられる部位を指すものとする。この弾性部材は、前記ボトムプレート10の底面に対して、例えば溶着等により固定されている。また、前記ボトムプレート10に差込孔を形成し、前記マウント部12の弾性部材に、前記差込孔に差し込める差込部を形成し、該差込部を前記差込孔に差し込んで嵌合させることによって前記マウント部12の弾性部材を前記ボトムプレート10に固定しても良い。
【0041】
また、前記マウント部12の弾性部材の中央付近にはボルト孔が形成されており、このボルト孔から挿入されたボルトによって前記ボトムプレート10を前記車体2のシートレール2aに固定できるようになっている。
なお、前記シートレール2aまでの間隔が長い部分については前記ボトムプレート10の裏面に脚部12aを一体形成し、この脚部12aの先端に前記マウント部12の弾性部材を固定する。つまり、前記マウント部12は、この脚部12aも含んで構成される。
なお、前記脚部12aは、前記ボトムプレート10の表面において凹むようにして形成されている。すなわち、前記脚部12aは、前記ボトムプレート10の表面において凹む凹部12bを備えるものとする。
さらに、本実施の形態の複数のマウント部12…は、前記ボトムプレート10の裏面の8箇所に、左右対称的に配置されている。横一列に並ぶ一対のマウント部12,12が、前記ボトムプレート10の前後方向にわたって4列配置された状態となっている。
【0042】
そして、前記補強部11は、互いに離間する前記複数のマウント部12,12間に配置されている。つまり、
図9に示す補強部11の両端部のそれぞれにマウント部12が配置されたものも含まれる。
前記補強部11が、前記ボトムプレート10のうち前記車体2側に固定されない複数の箇所にわたって配置される場合に比して、前記ボトムプレート10の剛性を向上できる。すなわち、前記車体2に固定されたマウント部12,12を避けて前記補強部11を配置するよりも、前記マウント部12,12を繋ぐようにして前記補強部11を配置した方が、応力のかかりやすいマウント部12付近に対する補強効果が高い。
【0043】
なお、本実施の形態においては、前記複数のマウント部12…は、前記ボトムプレート10の周囲8箇所に設けられるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば
図11に示すように、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に設けられていてもよい。
例えば、前記複数のマウント部12…を、前記ボトムプレート10の周縁に沿って設けられる複数の外周側マウント部12…と、前記複数の外周側マウント部12…よりも内側であって、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に設けられる中央マウント部12と、からなるものとする。すなわち、前記ボトムプレート10のうち特に荷重のかかりやすい幅方向中央部C1に、前記車体2側に固定される前記中央マウント部12を配置できることになる。
そして、このような場合にも、前記複数の外周側マウント部12…と前記中央マウント部12との間に前記補強部11が配置されている。なお、本実施の形態においては、前記中央マウント部12は、前記ボトムプレート10の幅方向中心部C2に沿って二つ設けられており、前記補強部11は、前記二つの中央マウント部12,12と前記ボトムプレート10の周囲6箇所の外周側マウント部12との間に配置され、前記ボトムプレート10に対して複数設けられている。これによって、特に前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1の周辺の剛性を向上できる。
【0044】
また、本実施の形態において前記補強部11は、
図6〜
図8に示すように、前記ボトムプレート10に対して複数設けられている。そして、前記ボトムプレート10は、前記複数の補強部11…同士が交差してなる交差部13をさらに有する。つまり、前記複数の補強部11…を交差させて、これら複数の補強部11…を他方向に配置することができる。そして、前記複数の補強部同士を交差させない場合に比して、前記ボトムプレートの剛性を向上できる。
なお、本実施の形態の複数の補強部11…は、他方向に配置されるにあたって左右対称になるように配置されている。
また、本実施の形態において、前記交差部13は、前記ボトムプレート10に対して複数設けられている。
【0045】
また、前記複数の交差部13,13は、前記複数の補強部11…を交差させてなるため、これら複数の補強部11…と同様に、前記ボトムプレート10の裏面において突出するとともに、前記ボトムプレート10の表面において凹むようにして形成されている。
さらに、前記複数の交差部13,13のうち一方の交差部13の表面側には、該交差部13における剛性の向上を図るための補強リブ13aが一体形成されている。この補強リブ13aは、交差する二本の補強部11,11のそれぞれの側壁部11bと同一直線上に位置するようにして設けられている。なお、本実施の形態において、前記補強リブ13aは四つ設けられておりこれら四つの補強リブ13aは前記交差部13上で菱形に組み立てられた状態となっている。また、前記補強リブ13aの上面と、前記ボトムプレート10の上面とは面一となっている。
【0046】
前記複数の交差部13,13は、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に配置されている。
例えば、
図10に示すような状態も含まれる。つまり、
図10の複数の補強部11…は左右対称に配置されてはいないものの、前記複数の交差部13,13は、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に配置された状態となっている。一方、
図7に示すように、本実施の形態の複数の交差部13,13は、上述のように前記複数の補強部11…が左右対称に配置されているため、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に配置されている。
このように前記複数の交差部13,13が、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1に配置されることで、前記ボトムプレート10のうち特に荷重のかかりやすい幅方向中央部C1の剛性を向上できるようになっている。
【0047】
また、前記複数の交差部13,13は、前記ボトムプレート10の最も低い位置1aを避けて配置されている。すなわち、前記ボトムプレート10の最も低い位置1aは、上述のように乗員荷重が大きくかかる最大荷重部でもある。一方、前記交差部13は、前記ボトムプレート10において剛性が向上された部位である。したがって、前記乗員荷重が大きくかかる部位と、前記交差部13によって剛性向上された部位とが重ならないように配置されることになる。これによって、乗員が当たり感を強く感じることを抑制できるので、乗員に対して快適な座り心地を提供できる。
なお、本実施の形態においては、
図7に示すように、前記複数の交差部13,13のうち前方に位置する交差部13は、前から2列目のマウント部12,12と3列目のマウント部12,12との間に位置している。一方、前記最大荷重部である最も低い位置1aは、前から1列目のマウント部12,12と2列目のマウント部12,12との間に位置しており、前記交差部13は、この最大荷重部である最も低い位置1aを避けて配置された状態となっている。
【0048】
なお、本実施の形態においては、前記複数の交差部13,13を、前記ボトムプレート10の最も低い位置1aを避けて配置したが、これに限られるものではない。すなわち、前記複数の交差部13,13が、前記ボトムプレート10の最も低い位置1aに配置されていてもよいものとする。これによって、前記乗員荷重が大きくかかる部位と、前記交差部13によって剛性向上された部位とが重なるように配置できるので、乗員荷重を確りと支持することができる。
【0049】
また、前記ボトムプレート10は、前記車体2と係合する係合部18を有している。なお、前記係合部18としては、
図11に示すように、例えば前記ボトムプレート10の前端側または後端側に設けられる爪部18aまたはストライカー18b等が挙げられる。図示はしないが、前記車体2側には、これら爪部18aおよびストライカー18bが係合する被係合部が設けられているものとする。
本実施の形態の係合部18としては、
図4,
図6〜
図8に示すように、前記爪部18aが前記ボトムプレート10の後端部側の前記貫通孔17の位置に設けられている。
さらに、前記補強部11と前記係合部18である爪部18aとが連結されている。つまり、前から4列目のマウント部12,12から前記爪部18aに向かって二本の前記補強部11が配置されており、これら二本の補強部11,11の端部が前記爪部18aの基端部側に位置した状態となっている。
そして、このように前記補強部11,11と、前記車体2と係合する前記係合部18である爪部18aとが連結されているので、前記補強部11,11によって、応力の集中しやすい前記係合部である爪部18aの剛性を向上できる。
【0050】
前記ボトムプレート10は、前記補強部11以外にも、このボトムプレート10の剛性を向上させるための手段を有する。
その一つとして、前記ボトムプレート10は、
図3,
図6〜
図8に示すように、該ボトムプレート10の周縁に沿って設けられる周縁補強部14を有する。なお、前記ボトムプレートの周縁とは、該ボトムプレート10の全周縁を指している。つまり、このような周縁補強部14によって、前記ボトムプレート10の全周縁の剛性を向上できるようになっている。
【0051】
また、
図6〜
図8に示すように、前記周縁補強部14と前記脚部12a,12aとが一体形成されている。そして、前記複数の補強部11…と前記周縁補強部14とが、前記脚部12a,12aを介して連結されている。すなわち、前記複数の補強部11…同士は交差した状態となっているので、これら複数の補強部11…全部が、前記周縁補強部14と連結された状態となっている。
このように前記複数の補強部11…と前記周縁補強部14とが連結されることにより、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1と前記ボトムプレート10の周縁の剛性を向上できるので、前記ボトムプレート10を全体的に補強できる。
【0052】
なお、前記ボトムプレート10は、前記車体2側に突出し、該車体2に対して固定される一対の突出部15,15を有する。これら一対の突出部15,15は、前記2列目のマウント部12,12近傍に配置されている。
そして、前記一対の突出部15,15も、前記脚部12a,12aと同様に前記周縁補強部14と一体形成されている。したがって、これら一対の突出部15,15と前記2列目のマウント部12,12とを一体形成できる程度に近接配置すれば、前記複数の補強部11…と前記周縁補強部14とを、前記一対の突出部15,15を介して連結することができ、前記ボトムプレート10の剛性を向上させる上で好ましい。
なお、前記一対の突出部15,15は、前記ボトムプレート10の表面において凹むようにして形成されている。すなわち、前記一対の突出部15,15のそれぞれは、前記ボトムプレート10の表面において凹む凹部15aを備えるものとする。
【0053】
前記複数のマウント部12…のうち前記ボトムプレート10の前端部(前から1列目)に設けられるマウント部12,12は、
図4に示すように、前記車体2の燃料タンク2bに当接している。これら1列目のマウント部12,12は、前記燃料タンク2bに対してボルト固定されないし、前記シートレール2aに対しては固定されない。
前記1列目のマウント部12,12によって、前記燃料タンク2bと前記ボトムプレート10との干渉を防ぐことができる。これに伴って、前記燃料タンク2bと前記ボトムプレート10の裏面との間には空間が形成される。一方、前記周縁補強部14が設けられる前記ボトムプレート10の周縁は、前記燃料タンク2bに当接するマウント部12,12よりも前方に位置する該ボトムプレート10の前端縁部を含むものとする。これによって、前記周縁補強部14によって前記ボトムプレートの前端縁部の剛性を向上できる。したがって、上述のように前記燃料タンク2bと前記ボトムプレート10の裏面との間に空間ができた場合であっても、前記ボトムプレート10の前縁部付近の破損等を抑制することができる。
【0054】
また、
図2〜
図8に示すように、前記周縁補強部14は、より詳細には、前記ボトムプレート10のうち、乗員が座る位置に該当する部位の周縁に沿って設けられるメイン補強部14aと、前記メイン補強部14aを含む前記ボトムプレート10の全周縁にわたって設けられるとともに、前記表皮材3の端末が固定される段差部14bと、を備える。
なお、前記ボトムプレート10のうち、乗員が座る位置に該当する部位とは、前記自動二輪車を運転する乗員が座る部分(最も低い位置1a)よりも後方側である。すなわち、最も低い位置1aよりも前方は、前記燃料タンク2b上であるため、乗員が座る位置としては好ましくない。
したがって、前記メイン補強部14aは、前記ボトムプレート10のうち、前記最も低い位置1aよりも後方側に、該ボトムプレート10の縁部を取り囲むようにして設けられている。すなわち、前記メイン補強部14aによって前記ボトムプレート10のうち、乗員が座る位置に該当する部位の周縁に沿って剛性を特に向上できる。
一方、前記段差部14bは、前記メイン補強部14aよりも、さらに外側の縁部に配置されている。これによって、前記段差部14bによって前記メイン補強部14aを含む前記ボトムプレート10の全周縁の剛性を向上できるので、前記ボトムプレート10の引き上げ剛性も向上させることができる。すなわち、前記自動二輪車を引き起こす際に、前記ボトムプレート10の周縁部に指を引っかけて引き起こしても、前記自動二輪車の重みによって前記ボトムプレート10が変形することを抑制できる。
【0055】
また、前記段差部14bは、
図5に示すように、該段差部14bの段差を形成し、かつ前記表皮材3の端末3aの固定箇所を位置決めするための折曲部14cを有する。すなわち、前記ボトムプレート10の端末が、材料を折曲加工することによって段状に成形されている。この段状に形成された段差部14bのうち、前記ボトムプレート10の裏面側に入隅を形成する部分が前記折曲部14cとされている。そして、この折曲部14cに前記表皮材3の端末3aが前記ステープル4によって固定されている。つまり、前記折曲部14cは、前記ステープル4用の位置決め部であり、この折曲部14cに沿って前記表皮材3の端末3aを固定することで前記車両用シート1の製造に係る作業性を向上できる。
【0056】
また、前記ボトムプレート10の剛性を向上させるための手段の一つとして、前記ボトムプレート10は、
図6,
図7に示すように、補強凸部16を有する。
前記補強凸部16は、前記ボトムプレート10の中央部であって、かつ前記3列目のマウント部12,12に連結される前記複数の補強部11…によって囲まれた位置に設けられている。つまり、前記補強凸部16は、断面凹型に形成された前記補強部11に対する凸部として、前記複数の補強部11…に隣接して設けられている。なお、この補強凸部16は、前記ボトムプレート10の裏面において凹むようにして形成されている。
前記補強凸部16の中央部は、前記ボトムプレート10の表面において略菱形に凹むようにして形成されており、これによって、前記補強凸部16自体が略菱形に形成されている。また、この補強凸部16の中央部の菱形凹部の表面側には、該菱形凹部における剛性の向上を図るための補強リブ16aが一体形成されている。
【0057】
さらに、前記ボトムプレート10の剛性を向上させるための手段の一つとして、前記ボトムプレート10は、
図6〜
図8に示すように、様々な種類の凹凸形状部を有する。
様々な種類の凹凸形状部としては、例えば、前記ボトムプレート10の幅方向中心部C2に沿って断続的に形成された凸状部である帯状ビード19や、前記ボトムプレート10前端側の前記貫通孔17の周囲に形成された凹状部19a、前記ボトムプレート10の後端部側の前記交差部13を左右に横切る凹状部19b等が挙げられる。なお、前記帯状ビード19の上方への突出寸法は、前記補強部11の側壁部11bの高さよりも低くなるように形成されている。すなわち、前記帯状ビード19の上面は、前記ボトムプレート10の上面よりも低い位置に配置されている。その他にも、前記ボトムプレート10に対して凹凸形状部を適宜形成してもよいものとする。
そして、このように前記ボトムプレート10に対して様々な種類の凹凸形状部19,19a,19bを形成することによって、前記補強部11が配置されていない部分の剛性を向上できるので、前記ボトムプレート10を全体的に補強できる。
【0058】
さらに、前記ボトムプレート10の剛性を向上させるための手段の一つとして、前記ボトムプレート10は、
図11に示すように、サブ補強部11Aを有していてもよいものとする。
前記サブ補強部11Aは、前記補強部11と同様に断面凹型に形成されており、例えば前記底部11cの幅寸法も略等しくなるように設定されている。このサブ補強部11Aは、前記補強部11とは異なり、前記ボトムプレート10の幅方向中央部C1とは交差しないように、または前記車両用シートの前後方向に対して斜めに配置されないように形成されている。つまり、前記補強部11が配置されない場所に配置されている。
本実施の形態においては、前記サブ補強部11Aは、前記2列目のマウント部12,12間および前記4列目のマウント部12,12間に左右方向に配置されている。さらに、前記2列目のマウント部12,12と前記3列目のマウント部12,12との間、前記3列目のマウント部12,12と前記4列目のマウント部12,12との間に配置されている。さらに、前記二つの中央マウント部12,12間に配置されている。
そして、このように前記補強部11とともに前記サブ補強部11Aを、前記ボトムプレート10に形成することによって、該ボトムプレート10の剛性を格段に向上できるので、好ましい。
【0059】
本実施の形態によれば、前記ボトムプレート10は、該ボトムプレート10の幅方向中央部C1と交差し、少なくとも一部が前記車両用シート1の前後方向に対して斜めに配置される斜辺として構成された補強部11(複数の補強部11…)を有するので、この補強部11(複数の補強部11…)によって前記ボトムプレート10を補強できる。これによって、従来に比して前記ボトムプレート10の重量増加を抑制しつつ、該ボトムプレート10の補強を行うことが可能となる。延いては、前記車両用シート1自体の重量増加の抑制を図ることも可能となる。