特許第6039307号(P6039307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039307
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】画像表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20161128BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20161128BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20161128BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 612U
   G09G3/34 J
   G09G3/20 642B
   G09G3/20 641P
   G02F1/133 535
   G02F1/133 580
【請求項の数】22
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-186503(P2012-186503)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-44302(P2014-44302A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(72)【発明者】
【氏名】池田 武
(72)【発明者】
【氏名】稲村 浩平
(72)【発明者】
【氏名】多田 満
(72)【発明者】
【氏名】内池 寛
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−139569(JP,A)
【文献】 特開2009−014746(JP,A)
【文献】 特開2011−248215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域の記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段が、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定した場合に、前記制御手段は、前記必要電流量が前記所定の電流量以下になり、かつ、各領域に照射される光の輝度が各領域の前記目標輝度よりも高くなるように、各領域の前記推定輝度と前記目標輝度との差に応じて、各光源の前記第2発光輝度を調整する調整処理を実行し、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光を制御する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1領域は、前記複数の領域のうちの、前記推定輝度が前記目標輝度よりも低い領域である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1領域は、前記複数の領域のうちの、前記推定輝度が前記目標輝度よりも低く、かつ、前記推定輝度と前記目標輝度との差が最も大きい領域である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1領域の前記推定輝度と前記第1領域の前記目標輝度との比に基づく第1増加率で、前記第1光源の前記第1発光輝度を高めて、前記第1光源の前記第2発光輝度とする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1領域に隣接する第2領域に対する第2光源の前記第1発光輝度を、前記第1増加率に応じた増加率で高めて、前記第2光源の前記第2発光輝度とする
ことを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2光源の前記第1発光輝度を、前記第1増加率と略等しい増加率で高めて、前記第2光源の前記第2発光輝度とする
ことを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の光源の前記第1発光輝度を、前記第1増加率で高めて、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定する
ことを特徴とする請求項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記複数の光源の発光を制御した場合に前記表示手段に照射される光の照射輝度分布を推定する輝度分布推定手段と、
前記照射輝度分布に基づいて前記画像データを補正する補正手段と、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記補正手段によって補正された後の画像データに基づいて、前記画像を表示する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記調整処理は、前記複数の領域のうちの、前記推定輝度が前記目標輝度よりも低い第3領域の前記調整後の第2発光輝度を前記第3領域の前記第1発光輝度を高めた発光輝度とし、前記複数の領域のうちの、前記推定輝度が前記目標輝度以上である第4領域の前記調整後の第2発光輝度を前記第4領域の前記第1発光輝度と略等しい発光輝度とする処理である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段が、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定した場合に、前記制御手段は、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの前記第2発光輝度を低減する調整処理を実行し、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光を制御し、
前記調整処理を所定回数繰り返しても前記必要電流量が前記所定の電流量以下とならない場合に、前記制御手段は、各領域の前記第2発光輝度を、前記必要電流量が前記所定の電流量以下となるように予め定められた所定の発光輝度に制御する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
前記複数の領域のうちの、周囲の領域との目標輝度の差が閾値以上である孤立高輝度領域を検出する検出手段をさらに備え、
前記調整処理は、前記孤立高輝度領域の前記第2発光輝度を低減し、前記孤立高輝度領域の周囲の領域の前記第2発光輝度を高める処理である
ことを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記調整処理は、前記複数の光源の前記第2発光輝度を略等しい低下率で低下させる処理である
ことを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記調整処理は、前記必要電流量と前記所定の電流量との差に基づいて前記第2発光輝度を調整する処理である
ことを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項14】
フレーム単位で入力される画像データのシーンの切り替わりを検出するシーンチェンジ検出手段をさらに備え
1つのフレームに対する前記調整処理は、当該フレームの期間内に完了しないことがあり、
前記判定手段で前記必要電流量が前記所定の電流量より大きいと判定されてから、前記シーンチェンジ検出手段でシーンの切り替わりが検出されるまで、
前記制御手段は、
前記判定手段で前記必要電流量が前記所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に前記調整処理が完了しているフレームが存在しない場合に、現在のフレームに対する発光輝度を、前記現在のフレームに対して決定された各領域の前記第2発光輝度を略等しい低下率で低下させた発光輝度に制御し、
前記判定手段で前記必要電流量が前記所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に前記調整処理が完了しているフレームが存在する場合に、前記現在のフレームに対する発光輝度を、直前に得られた前記調整処理の結果に制御する
ことを特徴とする請求項10、請求項11、及び、請求項13のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項15】
記調整処理と、各領域の前記第2発光輝度を略等しい低下率で低下させる前記処理の少なくとも一方は、前記必要電流量と前記所定の電流量との差に基づいて前記第2発光輝度を調整する処理である
ことを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度をそれぞれ増加させた前記複数の光源の第2発光輝度を決定する決定手段と、
前記第2発光輝度に基づいて、前記複数の光源の発光を制御した場合に必要とされる必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、
前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きくないと判定された場合に、各光源の発光を前記第2発光輝度に基づいて制御し、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、各領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、各光源の前記第1発光輝度を補正した第3発光輝度に基づいて、各光源の発光を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項17】
前記決定手段は、前記第1領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に基づいて決定された第1増加量で、前記第1光源の前記第1発光輝度を増加させて、前記第1光源の前記第2発光輝度とする
ことを特徴とする請求項16に記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記第1領域は、前記複数の領域のうちの、前記推定輝度が前記目標輝度よりも低く、かつ、前記推定輝度と前記目標輝度との差が最も大きい領域である
ことを特徴とする請求項16または請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、前記目標輝度が前記推定輝度よりも高い領域に対応する光源の前記第1発光輝度を、当該領域の前記推定輝度と前記目標輝度との差に応じて高めて、当該光源の前記第3発光輝度を決定する
ことを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項20】
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御ステップと、
前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、前記制御ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量以下になり、かつ、各領域に照射される光の輝度が各領域の前記目標輝度よりも高くなるように、各領域の前記推定輝度と前記目標輝度との差に応じて、各光源の前記第2発光輝度を調整する調整処理が実行され、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光が制御される
ことを特徴とする制御方法。
【請求項21】
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御ステップと、
前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、前記制御ステップで、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの前記第2発光輝度を低減する調整処理が実行され、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光が制御され、
前記調整処理を所定の回数繰り返しても前記必要電流量が前記所定の電流量以下とならない場合に、前記制御ステップで、各領域の前記第2発光輝度が、前記必要電流量が前記所定の電流量以下となるように予め定められた所定の発光輝度に制御される
ことを特徴とする制御方法。
【請求項22】
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度をそれぞれ増加させた前記複数の光源の第2発光輝度を決定する決定ステップと、
前記第2発光輝度に基づいて、前記複数の光源の発光を制御した場合に必要とされる必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きくないと判定された場合に、各光源の発光を前記第2発光輝度に基づいて制御し、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、各領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、各光源の前記第1発光輝度を補正した第3発光輝度に基づいて、各光源の発光を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、画面を複数の分割領域(バックライト領域)に分割し、分割領域毎に、バックライトの発光輝度と液晶パネルの透過率を制御する技術がある(例えば、特許文献1)。そのような技術では、例えば、暗い画像が表示される分割領域のバックライトの発光輝度として低い値が設定され、明るい画像が表示される分割領域のバックライトの発光輝度として高い値が設定される。そして、バックライトを所定の発光輝度で発光させた場合と、画像の明るさに基づく発光輝度で発光させた場合とで、画面上に表示される画像の輝度が等しくなるように、バックライトの発光輝度にあわせて画像信号(液晶パネルの透過率)が補正される。このような制御を行うことにより、黒浮が抑制され、コントラストを向上することができる。
【0003】
図2に表示する画像の一例を示す。図2の画像は、輝度が高い高輝度領域(明部)と輝度が低い低輝度領域(暗部)を含む。
上述した従来の技術では、図2に示す画像を表示する場合に、図3(A),3(B)に示すように、輝度むらが発生する。具体的には、明部周辺の暗部に、明部に近づくにつれて輝度が増加する輝度傾斜が発生する。図3(A)は、画面に表示された画像を示す。図3(B)は、図3(A)の破線A上の輝度分布を示す。図3(B)の輝度分布からわかるように、暗部では、バックライトの発光輝度を低い値に設定しても、輝度傾斜が生じる。このような輝度むらは、分割領域のバックライト光(バックライトから発せられた光)が拡散し、周囲の分割領域に漏れることにより生じる。バックライト光は、例えば、拡散板等によって拡散される。
【0004】
また、分割領域毎に発光輝度を制御する場合、バックライトの輝度(例えば、表示パネルに入射される光の輝度;バックライト輝度)が必要な輝度に達しないことがある。例えば、周囲の分割領域の発光輝度が低い分割領域では、周囲の分割領域から漏れてくるバックライト光(漏れ光)が少ないため、バックライト輝度が必要な輝度に達しないことがある。バックライトの輝度が必要な輝度に達しない場合、画像の輝度の再現性が低下してしまう。そこで、画像の輝度の再現性を高めるために、バックライトの輝度が不足している分割領域またはその周囲の分割領域の発光輝度を高めることが考えられる。しかしながら、そのように発光輝度を制御すると、上述した輝度傾斜が急峻になってしまい、妨害感が増してしまう(即ち、画質が劣化してしまう)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−99250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画質の劣化を招くことなく画像の輝度の再現性を高めることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段が、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定した場合に、前記制御手段は、前記必要電流量が前記所定の電流量以下になり、かつ、各領域に照射される光の輝度が各領域の前記目標輝度よりも高くなるように、各領域の前記推定輝度と前記目標輝度との差に応じて、各光源の前記第2発光輝度を調整する調整処理を実行し、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光を制御する
ことを特徴とする画像表示装置である。
本発明の第2の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段が、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定した場合に、前記制御手段は、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの前記第2発光輝度を低減する調整処理を実行し、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光を制御し、
前記調整処理を所定の回数繰り返しても前記必要電流量が前記所定の電流量以下とならない場合に、前記制御手段は、各領域の前記第2発光輝度を、前記必要電流量が前記所定の電流量以下となるように予め定められた所定の発光輝度に制御する
ことを特徴とする画像表示装置である。
本発明の第3の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定手段と、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定手段と、
前記複数の領域のうちの第1領域に対応する第1光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度をそれぞれ増加させた前記複数の光源の第2発光輝度を決定する決定手段と、
前記第2発光輝度に基づいて、前記複数の光源の発光を制御した場合に必要とされる必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定手段と、
前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きくないと判定された場合に、各光源の発光を前記第2発光輝度に基づいて制御し、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、各領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、各光源の前記第1発光輝度を補正した第3発光輝度に基づいて、各光源の発光を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置である。
【0008】
本発明の第4の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御ステップと、
前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、前記制御ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量以下になり、かつ、各領域に照射される光の輝度が各領域の前記目標輝度よりも高くなるように、各領域の前記推定輝度と前記目標輝度との差に応じて、各光源の前記第2発光輝度を調整する調整処理が実行され、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光が制御される
ことを特徴とする制御方法である。
本発明の第5の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、前記特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度を補正して、前記複数の光源それぞれの第2発光輝度を決定し、前記第2発光輝度を用いて前記複数の光源の発光を制御する制御ステップと、
前記第2発光輝度で前記複数の光源の発光を制御する場合に必要とされる電流量である必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップで、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、前記制御ステップで、前記複数の光源のうちの少なくとも1つの前記第2発光輝度を低減する調整処理が実行され、調整後の第2発光輝度に基づいて前記複数の光源の発光が制御され、
前記調整処理を所定の回数繰り返しても前記必要電流量が前記所定の電流量以下とならない場合に、前記制御ステップで、各領域の前記第2発光輝度が、前記必要電流量が前記所定の電流量以下となるように予め定められた所定の発光輝度に制御される
ことを特徴とする制御方法である。
本発明の第6の態様は、
発光輝度を個別に制御可能な複数の光源を備える発光手段と、
前記発光手段から発せられた光を画像データに基づいて透過して、画像を画面に表示する表示手段と、
を備える表示装置の制御方法であって、
前記画像データに基づいて、前記複数の光源に対応する前記画面の複数の領域それぞれの目標輝度を決定する目標決定ステップと、
前記複数の領域それぞれに対応する前記画像データに基づく前記複数の光源の第1発光輝度で前記複数の光源を発光させた場合に前記複数の領域に照射される光の推定輝度を推定する推定ステップと、
前記複数の領域のうちの特定領域に対応する特定光源を含む2つ以上の光源の前記第1発光輝度をそれぞれ増加させた前記複数の光源の第2発光輝度を決定する決定ステップと、
前記第2発光輝度に基づいて、前記複数の光源の発光を制御した場合に必要とされる必要電流量が、所定の電流量よりも大きいか否かを判定する判定ステップと、
前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きくないと判定された場合に、各光源の発光を前記第2発光輝度に基づいて制御し、前記必要電流量が前記所定の電流量よりも大きいと判定された場合に、各領域の前記目標輝度と前記推定輝度との差に応じて、各光源の前記第1発光輝度を補正した第3発光輝度に基づいて、各光源の発光を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画質の劣化を招くことなく画像の輝度の再現性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図
図2】入力画像信号の一例を示す図
図3】分割領域毎に発光輝度を制御した場合に生じる輝度むらの一例を示す図
図4】分割領域毎の特徴量の一例を示す図
図5】相対目標値を決定する関数の一例を示す図
図6】目標輝度の分布の一例を示す図
図7】目標輝度の分布の一例を示す図
図8】仮決定されたバックライト制御値の分布の一例を示す図
図9】推定輝度の分布の一例を示す図
図10】決定されたバックライト制御値の分布の一例を示す図
図11】バックライト輝度の分布の一例を示す図
図12】実施例2に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図
図13】仮決定されたバックライト制御値の調整結果の一例を示す図
図14】調整後のバックライト制御値から得られる推定輝度の一例を示す図
図15】決定されたバックライト制御値の分布の一例を示す図
図16】実施例3に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図
図17】第2の調整処理の結果の一例を示す図
図18】仮決定されたバックライト制御値の調整結果の一例を示す図
図19】調整後のバックライト制御値から得られる推定輝度の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る画像表示装置及びその制御方法について、図面を参照しながら説明する。
本実施例では、画面を分割して得られる分割領域毎に、入力画像信号(画像表示装置に入力された画像信号)の特徴量から目標輝度を決定する。周囲の分割領域のバックライト光(バックライトからの光)の漏れを考慮して、分割領域毎に目標輝度に対応する発光輝度である対応輝度でバックライトを点灯させた場合の各分割領域の輝度(バックライトの輝度;バックライト輝度)を推定する。そして、推定したバックライト輝度が目標輝度より低い分割領域が存在する場合に、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めた値を分割領域毎の発光輝度として決定する。それにより、分割領域のバックライト光が周囲の分割領域に漏れることにより生じる輝度むら(例えば、明部周辺の暗部に、明部に近づくにつれて輝度が増加する輝度傾斜)を悪化させることなく、画像の輝度の再現性を高めることができる。
バックライト輝度は、例えば、拡散板等の光学系を通過し、表示パネルに入射する光の輝度である。具体的には、バックライト輝度は、表示パネルの背面上の輝度である。なお、バックライト輝度は、表示パネルから離れた位置の輝度であってもよい。目標輝度は、バックライト輝度の目標値であり、例えば、画像の輝度を忠実に再現するために必要なバックライト輝度である。
なお、本実施例では、画像表示装置が液晶表示装置である場合の例を説明するが、画像表示装置は液晶表示装置に限らない。画像表示装置は、バックライトと、バックライトからの光を透過して画像を表示する表示パネルとを有する画像表示装置であればよい。
【0012】
図1は、本実施例に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図1の例では、画像表示装置は、液晶モジュール部1、バックライトモジュール部2、特徴量取得部3、目標輝度決定部4、バックライト制御値仮決定部5、輝度推定部6、バックライト制御値決定部7、輝度分布推定部8、補正係数計算部9、補正係数乗算部10、Limit部11、バックライト電源部12などを有する。
【0013】
液晶モジュール部1は、液晶パネル、液晶ドライバ、及び、コントロール基板などを有する。液晶パネルは、バックライトモジュール部2から発せられた光であるバックライト光を入力画像信号に基づく透過率(具体的には、Limit部11から出力された画像信
号に応じた透過率)で透過することにより、画面に画像を表示する表示パネルである。液晶パネルは、複数の液晶素子を有する。液晶ドライバは、液晶パネルが有する各液晶素子を駆動する。コントロール基板は、画像信号に応じて液晶ドライバをコントロールする。
【0014】
バックライトモジュール部2は、バックライト、制御回路、光学ユニットなどを有する。バックライトは、分割領域毎に発光輝度を制御可能な構成を有する。具体的には、バックライトは、分割領域毎に光源を有する。制御回路は、各光源を制御する。光学ユニットは、各光源からの光を拡散させる。本実施例では、画面が水平方向10個×垂直方向8個の計80個の分割領域に分割されているものとする。なお、分割領域の数は80個より多くても少なくてもよい。
制御回路は、バックライト制御値決定部7で決定された分割領域毎の発光輝度でバックライトを点灯させる。具体的には、制御回路は、バックライト制御値決定部7で決定された分割領域毎のバックライト制御値を受信し、各分割領域の光源を、受信したバックライト制御値で点灯させる。
【0015】
特徴量取得部3は、分割領域毎に入力画像信号の特徴量を取得する。例えば、特徴量取得部3は、入力画像信号を複数の分割領域に対応する複数の画像信号に分割する。そして、特徴量取得部3は、分割領域毎に、その分割領域に対応する画像信号(その分割領域に表示される画像信号)から、特徴量を検出する。
本実施例では、分割領域毎に、特徴量としてRGB信号の最大値(具体的には、各画素のR値、各画素のG値、各画素のB値のうちの最大値)が検出されるものとする。入力画像信号が図2の場合の分割領域毎の特徴量を図4に示す。図4の太線で囲まれた領域は画面の領域であり、太線で囲まれた領域を細線で分割して得られる領域が分割領域である。分割領域内に記載の数字は当該分割領域の特徴量を示す。太線の外側に記載された数字は、分割領域の位置を示す。水平方向に並んだ数字1〜10は、分割領域の水平方向の位置を示す。垂直方向に並んだ数字1〜8は、分割領域の垂直方向の位置を示す。本実施例では、R値、G値、B値は、それぞれ、0〜255の値を取りうるものとする。そして、R値、G値、B値は、値が大きいほど輝度が高いものとする。図2に示すように、入力画像信号には、右側に大面積且つ高輝度の領域が存在する。そのため、図4の例では、右側に、特徴量が255の分割領域が数多く存在する。また、入力画像信号には、左側に小面積且つ高輝度の領域が存在する。そのため、図4の例では、左側に、特徴量が255の分割領域は1つしか存在しない。
なお、特徴量は、画像を解析することによって取得されてもよいし、外部から取得されてもよい。
なお、特徴量は、RGB信号の最大値に限らない。特徴量は、RGB信号の最小値、最頻値、中間値、平均値、ヒストグラムなどであってもよい。特徴量は、輝度値(Y値)の代表値(最大値、最小値、最頻値、中間値、平均値など)やヒストグラムであってもよい。特徴量は、R値、G値、B値のうちのいずれかの代表値やヒストグラムであってもよい。
特徴量取得部3は、分割領域毎の特徴量を目標輝度決定部4へ出力する。
【0016】
目標輝度決定部4は、分割領域毎に、特徴量取得部3で取得(検出)された特徴量から目標輝度を決定する。
本実施例では、以下のように目標輝度が決定される。
まず、分割領域毎に、特徴量の上限値(255)に対応する目標値に対する相対値(特徴量の上限値(255)に対応する目標値が1となるように規格化された目標値)である相対目標値が特徴量から決定される。
相対目標値は、例えば、所定の関数を用いて決定される。関数の一例を図5に示す。図5の横軸は特徴量、縦軸は相対目標値を示す。図5の例では、相対目標値の範囲は0以上1以下である。また、図5の例では、特徴量の増加に対して相対目標値が線形に増加する
。なお、相対目標値の範囲は0〜1に限らない。例えば、相対目標値の下限値は0より大きくてもよい。また、相対目標値は特徴量の変化に対して非線形に変化してもよい。相対目標値が設定された後、設定したピーク輝度値に応じて、実際の目標輝度の高さを決定する。
そして、特徴量の上限値(255)に対応する目標輝度が所定値となるように分割領域毎の相対目標値を同じ増加率で増加することにより、分割領域毎の目標輝度が決定される。
本実施例では、上記所定値を300cd/mとする。そして、分割領域毎の相対目標値に300cd/mを乗算する。上記所定値は、例えば、バックライトの発光輝度を分割領域毎に制御しない場合(全ての分割領域の発光輝度を同じ値にする場合)のバックライト輝度である。
図4の4行目の分割領域(垂直方向の位置を表す番号が4である10個の分割領域)に対して決定された目標輝度の分布の一例を図6に示す。図6の横軸は水平方向の位置、縦軸は目標輝度を示す。上記の方法で目標輝度を決定すると、図6に示すように、特徴量が255である分割領域(水平方向の位置を表す番号が2,6,7,8,9,10である6つの分割領域)の目標輝度は300cd/mとなる。また、特徴量が16である分割領域(水平方向の位置を表す番号が1,3,4,5である4つの分割領域)の目標輝度は300×16/255≒19cd/mとなる。
図4に示す分割領域毎の特徴量から決定された分割領域毎の目標輝度を図7に示す。
目標輝度決定部4は、決定した分割領域毎の目標輝度をバックライト制御値仮決定部5とバックライト制御値決定部7へ出力する。
【0017】
バックライト制御値仮決定部5、輝度推定部6、及び、バックライト制御値決定部7により、分割領域毎の目標輝度に基づいて分割領域毎の発光輝度が決定される(発光輝度決定)。
【0018】
バックライト制御値仮決定部5は、分割領域毎に、目標輝度決定部4で決定された目標輝度に対応する発光輝度である対応輝度を決定する。具体的には、バックライト制御値仮決定部5は、分割領域毎に、目標輝度に対応するバックライト制御値(対応輝度で光源を点灯させるためのバックライト制御値)を決定する。
本実施例では、バックライト制御値仮決定部5は、目標輝度と、所定の目標輝度(上記所定値;300cd/m)に対応するバックライト制御値とを用いてバックライト制御値を仮決定する。所定値(300cd/m)に対応するバックライト制御値は、例えば、バックライトの発光輝度を分割領域毎に制御しない場合のバックライト制御値である。従って、目標輝度が所定値(300cd/m)である分割領域のバックライト制御値は、バックライトの発光輝度を分割領域毎に制御しない場合のバックライト制御値と同じ値となる。ここで、分割領域のバックライト光は周囲の分割領域に漏れる。そのため、バックライト輝度が目標輝度と一致するようにバックライトを点灯する場合には、一般的に、分割領域の発光輝度は目標輝度よりも低い値となる。本実施例では、目標輝度の増加に対してバックライト制御値が線形に増加するものとして、各分割領域のバックライト制御値が決定される。
なお、目標輝度の変化に対してバックライト制御値が非線形に変化してもよい。
なお、バックライト制御値(対応輝度)の仮決定の方法は上記方法に限らない。例えば、目標輝度毎にバックライト制御値を表す関数やテーブルを用いて、バックライト制御値が仮決定されてもよい。また、目標輝度に対応するバックライト制御値(対応輝度)の値は上記方法で得られる値に限らない。目標輝度に対応するバックライト制御値(対応輝度)の値は、目標輝度または特徴量に応じて決まる値であれば、どのような値であってもよい。
図6の4行目の分割領域に対して決定(仮決定)されたバックライト制御値の分布の一例を図8に示す。図8の横軸は水平方向の位置、縦軸はバックライト制御値を示す。バッ
クライト制御値の範囲は0%以上100%以下である。本実施例では、所定値(300cd/m)に対応するバックライト制御値を40%としている。そのため、目標輝度が300cd/mである分割領域(水平方向の位置を表す番号が2,6,7,8,9,10である6つの分割領域)のバックライト制御値は40%となる。また、目標輝度が19cd/mである分割領域(水平方向の位置を表す番号が1,3,4,5である4つの分割領域)のバックライト制御値は40×19/300=2.53%となる。
バックライト制御値仮決定部5は、仮決定した分割領域毎のバックライト制御値を輝度推定部6とバックライト制御値決定部7へ出力する。
【0019】
輝度推定部6は、周囲の分割領域のバックライト光の漏れを考慮して、分割領域毎にバックライト制御値仮決定部5で決定された対応輝度でバックライトを点灯させた場合の各分割領域のバックライト輝度を推定する。
本実施例では、輝度推定部6は、分割領域毎に、その分割領域の中心位置でのバックライト輝度を推定する。具体的には、中心位置毎に各分割領域のバックライト光の減衰係数を表すテーブルが減衰情報として不図示のメモリに予め記憶されている。中心位置毎に、各分割領域のバックライト光の対応輝度に減衰係数が乗算される。具体的には、中心位置毎に、バックライト制御値仮決定部5で仮決定された各分割領域のバックライト制御値に減衰係数(バックライト制御値からバックライト輝度へ変換する変換係数)が乗算される。そして、中心位置毎に、分割領域毎の乗算結果の総和が推定輝度として算出される。
なお、減衰情報は上記テーブルに限らない。減衰情報は、分割領域からの距離と減衰係数の関係を表す関数であってもよい。分割領域からの距離と減衰係数の関係が分割領域間で互いに等しい場合には、1つの関数を用意すればよい。
なお、推定輝度は分割領域の中心位置でのバックライト輝度に限らない。例えば、1つの分割領域内の複数の位置のバックライト輝度の代表値が推定輝度とされてもよい。
仮決定されたバックライト制御値が図8に示す値であった場合に輝度推定部6において得られる推定結果の一例を図9に示す。図9の横軸は水平方向の位置、縦軸は推定輝度を示す。図中の太線は推定結果を示す。また、比較のため、図9には、目標輝度決定部4で決定された目標輝度を破線で示している。図9には、推定結果として、推定輝度(中心位置でのバックライト輝度)を滑らかにつないだ曲線が図示されている。分割領域毎に対応輝度でバックライトを点灯させた場合の輝度分布(バックライト輝度の分布)は、このような曲線で示す分布と略一致する。分割領域毎に発光輝度を制御する場合には、分割領域毎に発光輝度を制御しない場合よりも漏れ光(周囲の分割領域から漏れてくるバックライト光)が少なくなることがある。漏れ光の減少によりバックライト輝度は低下するため、図9に示すように、推定輝度が目標輝度より低い分割領域が存在することがある。
輝度推定部6は、推定結果(分割領域毎の推定輝度)をバックライト制御値決定部7へ出力する。
【0020】
バックライト制御値決定部7は、分割領域毎に、輝度推定部6で推定された推定輝度が、目標輝度決定部4で決定した目標輝度より低いか否かを判定する。そして、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域が存在する場合に、バックライト制御値決定部7は、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めた値を分割領域毎の発光輝度として決定する。具体的には、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域が存在する場合に、バックライト制御値決定部7は、分割領域毎の仮決定されたバックライト制御値を同じ増加率で高めた値を分割領域毎のバックライト制御値として決定する。分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高める理由は、一部の分割領域の対応輝度のみを高めると、輝度むらが悪化してしまうためである。例えば、対応輝度を高めた分割領域とその周囲の分割領域の間に生じる輝度傾斜の勾配が急峻となり、輝度むらが悪化してしまう。本実施例では、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めることにより、分割領域毎の対応輝度でバックライトを点灯させたときの輝度分布が維持されるため、輝度むらの悪化(輝度傾斜の勾配が急峻になること)を防ぐことができる。
なお、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域が存在しない場合には、バックライト制御値決定部7は、分割領域毎の仮決定されたバックライト制御値を、分割領域毎のバックライト制御値として決定してもよいし、そうでなくてもよい。例えば、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域が存在しない場合には、予め定められたバックライト制御値が分割領域毎のバックライト制御値として決定されてもよい。
目標輝度と推定輝度が図9に示す値であった場合、水平方向の位置を表す番号(水平番号)が2,6,7,8,9,10である6つの分割領域の推定輝度が目標輝度に達していない。そして、推定輝度と目標輝度の差が最も大きい分割領域は、水平番号2の分割領域である。具体的には、水平番号2の分割領域の推定輝度は140であり、目標輝度は300である。即ち、水平番号2の分割領域の目標輝度は推定輝度の2.14倍(≒300/140)である。そこで、本実施例では、水平番号2の分割領域のバックライト輝度が目標輝度以上となるように、各分割領域の仮決定されたバックライト制御値を2.14倍以上の増加率で高める。ここで、2.14倍“以上”としたのは、推定輝度が分割領域の中心位置でのバックライト輝度であり、図9からわかるように分割領域の端では中心よりもバックライト輝度が低い場合があるためである。本実施例では、画面内の全ての位置でバックライト輝度が目標輝度以上となるように、分割領域毎の発光輝度が決定される。具体的には、分割領域の端では中心よりもバックライト輝度が低いことを前提にして、推定輝度に対する目標輝度の割合よりも高い増加率で対応輝度が高められる。それにより、目標輝度を必要とする画素が分割領域内のどこに存在していても、画像の輝度を忠実に再現することが可能となる。増加率を推定輝度に対する目標輝度の割合よりもどの程度高くするかは、例えば、バックライト光の拡散特性に基づいて決定することができる。具体的には、バックライト光の拡散が大きい場合には、バックライト光の拡散が小さい場合よりも、増加率を大きくすればよい。
本実施例では、推定輝度に対する目標輝度の割合よりも10%高い増加率で対応輝度が高められる。即ち、各分割領域の対応輝度が2.35倍(≒2.14×1.1)される。
図8のバックライト制御値を高めることにより決定されたバックライト制御値を図10に示す。図10のバックライト制御値でバックライトを点灯させた場合の輝度分布(バックライト輝度の分布)を図11に示す。図10に示すように、水平番号2,6,7,8,9,10の6つの分割領域のバックライト制御値は、40%×2.35≒94%となる。そして、図10のバックライト制御値でバックライトを点灯させた場合のバックライト輝度は、画面内の全ての位置で目標輝度以上となる。また、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めたため、図11の輝度分布の形状は、図9の輝度分布の形状と一致する。バックライト輝度が目標輝度を超えた位置については、その超過量に応じて表示パネルの透過率を低下することにより画像の輝度を忠実に再現することができる。
バックライト制御値決定部7は、分割領域毎の決定したバックライト制御値を、輝度分布推定部8とバックライトモジュール部2へ出力する。
【0021】
輝度分布推定部8は、周囲の分割領域のバックライト光の漏れを考慮して、バックライト制御値決定部7で決定された分割領域毎の発光輝度でバックライトを点灯させた場合の輝度分布を推定する。推定方法は輝度推定部6による推定方法と同じである。
なお、推定する位置は分割領域の中心位置に限らない。画面内の全ての位置について輝度推定部6による推定方法と同様の方法でバックライト輝度が推定されてもよい。分割領域毎に、1つ以上の位置について、輝度推定部6による推定方法と同様の方法でバックライト輝度が推定されてもよい。そして、輝度推定部6による推定方法と同様の方法でバックライト輝度が推定されていない位置については、推定されたバックライト輝度を用いて補間によりバックライト輝度が推定されてもよい。
輝度分布推定部8は、推定結果(位置毎の推定輝度)を補正係数計算部9に出力する。
【0022】
補正係数計算部9と補正係数乗算部10は、輝度分布推定部8で推定された輝度分布に基づいて入力画像信号を補正する。
【0023】
補正係数計算部9は、画面内の位置(画素位置)毎に、輝度分布推定部8で推定された輝度分布から、画像信号の補正係数を求める。そして、補正係数計算部9は、位置毎の補正係数を補正係数乗算部10に出力する。補正係数は、バックライト輝度と目標輝度との差による画面上の輝度(表示された画像の輝度)の変化を補うために用いられる。具体的には、バックライト輝度が目標輝度より低い位置に対しては、入力画像信号の輝度を高める補正係数が算出され、バックライト輝度が目標輝度より高い位置に対しては、入力画像信号の輝度を低下させる補正係数が算出される。或る位置の推定輝度をLpn、補正係数を用いて入力画像信号を調整する際のバックライト輝度の目標値(上述した目標輝度とは異なる)をLtとすると、補正係数Gpnは以下の式1により算出することができる。目標値Ltは、例えば、バックライトの発光輝度を分割領域毎に制御しない場合のバックライト輝度(300cd/m)である。目標値Ltは分割領域毎に定められていてよい。
Gpn=Lt/Lpn ・・・(式1)
【0024】
補正係数乗算部10は、位置毎に、補正係数計算部9で決定された補正係数を入力画像信号に乗算することにより、入力画像信号を補正する。そして、補正係数乗算部10は、補正後の画像信号をLimit部11へ出力する。
なお、バックライト輝度が推定されていない位置が存在する場合には、補正係数乗算部10は、補間によりバックライト輝度を推定する。
【0025】
Limit部11は、補正係数乗算部10による補正後の画像信号において値が液晶モジュール部1の入力レンジを超えている画素が存在する場合に、入力レンジに収まるように値を制限する制限処理を行う。そして、Limit部11は、制限処理後の画像信号を液晶モジュール部1に出力する。
バックライト電源部12は、バックライトモジュール部2に対して、必要な電圧と電流を供給する。
【0026】
以上述べたように、本実施例によれば、バックライト輝度が目標輝度より低い分割領域が存在する場合に、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めた値が分割領域毎の発光輝度として決定される。それにより、画質の劣化を招くことなく画像の輝度の再現性を高めることができる。
なお、本実施例では、画面内の全ての位置で輝度が目標輝度以上となるように、分割領域毎の発光輝度を決定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、目標輝度と推定輝度が図9に示す値であった場合、増加率は2.14倍より高くてもよいし低くてもよい。分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めれば、バックライト輝度を目標輝度に近づけることができるため、画像の輝度の再現性を高めることができる。
【0027】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る画像表示装置及びその制御方法について、図面を参照しながら説明する。
実施例1では、分割領域毎の仮決定されたバックライト制御値を同じ増加率で高めた。しかしながら、一般に、電源がバックライトに供給できる電流量には上限がある。そのため、バックライト制御値決定部7で決定されたバックライト制御値でバックライトを点灯させるために必要な電流量が、バックライトに供給可能な最大電流量を超えてしまうことがある。例えば、バックライト制御値が高い分割領域が多く存在する場合に、単位時間あたりに必要な電流量が、バックライトに供給可能な最大電流量を超えてしまうことがある。
そこで本実施例では、バックライト制御値決定部7で決定された分割領域毎のバックラ
イト制御値でバックライトを点灯させるために必要な電流量である必要電流量を算出する。そして、必要電流量が所定の電流量(例えば、上記最大電流量)より大きいか否かを判定する。必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された場合には、必要電流量が上記最大電流量を超える可能性がある。そのため、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された場合に、必要電流量が上記所定の電流量以下となるように、上記決定された分割領域毎の発光輝度を調整する調整処理を行う。
本実施例では、必要電流量が上記所定の電流量を超える可能性がある場合に、周囲の分割領域との間の目標輝度の差が閾値以上である分割領域を孤立高輝度領域として検出する。そして、必要電流量が上記所定の電流量以下となり、且つ、各分割領域のバックライト輝度が目標輝度以上となるように、検出された孤立高輝度領域の周囲の分割領域の発光輝度を高め、それ以外の分割領域の発光輝度を低減する。
本実施例では、孤立高輝度領域の周囲の分割領域の対応輝度が高められる。それにより、分割領域毎の対応輝度でバックライトを点灯させた場合の孤立高輝度領域のバックライト輝度が高くなる。その結果、バックライト制御値決定部7で発光輝度を決定するために用いる増加率は低減する。増加率が低減することにより、孤立高輝度領域の周囲の分割領域以外の分割領域の発光輝度を低減することができ、必要電流量を低減することができる。
なお、孤立高輝度領域の周囲の分割領域の発光輝度を高めることにより、輝度むらが悪化してしまう(孤立高輝度領域の周囲の分割領域付近の輝度傾斜が急峻となってしまう)。しかし、そのような輝度むらの悪化は、必要電流量が上記所定の電流量を超えたときにしか生じないため、大きな問題ではない。必要電流量が上記所定の電流量を超えない場合には、実施例1と同様に、画質の劣化の抑制と画像の輝度の再現性の向上の効果を得ることができる。
【0028】
図12は、本実施例に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図12の例では、画像表示装置は、液晶モジュール部1、バックライトモジュール部2、特徴量取得部3、目標輝度決定部101、バックライト制御値仮決定部102、輝度推定部6、バックライト制御値決定部103、電流量計算部104、孤立高輝度領域検出部105、輝度分布推定部8、補正係数計算部9、補正係数乗算部10、Limit部11、バックライト電源部12などを有する。
液晶モジュール部1、バックライトモジュール部2、特徴量取得部3、輝度推定部6、輝度分布推定部8、補正係数計算部9、補正係数乗算部10、Limit部11、バックライト電源部12については実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0029】
目標輝度決定部101は、実施例1の目標輝度決定部4と同様に、分割領域毎の目標輝度を決定する。さらに、目標輝度決定部101は、後述する電流量計算部104で必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された場合に、必要電流量の低減が必要であることを意味する電流制限フラグを受信する。そして、目標輝度決定部101は、電流制限フラグを受信した場合にのみ、孤立高輝度領域検出部105に分割領域毎の目標輝度を表すデータを出力し、孤立高輝度領域検出部105に孤立高輝度領域を検出させる。
【0030】
バックライト制御値仮決定部102は、実施例1のバックライト制御値仮決定部5と同様に、分割領域毎のバックライト制御値(対応輝度)を仮決定する。さらに、バックライト制御値仮決定部102は、後述する電流量計算部104で必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された場合に、電流制限フラグを受信する。電流制限フラグを受信すると、バックライト制御値仮決定部102は、後述する孤立高輝度領域検出部105から孤立高輝度領域を表す領域情報を受信する。領域情報を受信すると、バックライト制御値仮決定部102は、孤立高輝度領域の周囲の分割領域(孤立高輝度領域から設定範囲内の分割領域)の対応輝度を高める。本実施例では、孤立高輝度領域に隣接する分割領域の対応輝度が、当該孤立高輝度領域の対応輝度と同じ値まで高められる。
図13は、図8の対応輝度(仮決定されたバックライト制御値)の調整結果の一例を示す。図6に示すように、(水平番号,垂直番号)=(2,4)の分割領域の目標輝度は、その分割領域に隣接する分割領域の目標輝度よりもはるかに高い。そのため、後述する孤立高輝度領域検出部105において、位置(2,4)の分割領域は孤立高輝度領域として検出される。そして、図13の斜線で示すように、バックライト制御値仮決定部102は、位置(1,4)及び位置(3,4)の2つの分割領域のバックライト制御値を、位置(2,4)の分割領域のバックライト制御値と同じ値(40%)まで高める。また、1つのフレームや画像に対する処理において2回以上電流制限フラグを受信した場合には、バックライト制御値仮決定部102は、電流制限フラグを受信する度に、バックライト制御値を高める分割領域の数を増やす。具体的には、上記設定範囲が拡大され、孤立高輝度領域の周囲の分割領域として扱われる分割領域の数が増やされる。
なお、図示していないが、水平方向だけでなく垂直方向や斜め方向に隣接する分割領域のバックライト制御値も高めることが好ましい。これにより、水平方向、垂直方向、及び、斜め方向の輝度傾斜の傾き同等にすることができる。
また、本実施例では、1回目の処理において、孤立高輝度領域から1分割領域分の範囲内に存在する分割領域、即ち孤立高輝度領域に隣接する分割領域が周囲の分割領域として扱われる構成としたが、これに限らない。例えば、画面の面積に対し分割領域の面積が小さい場合には、1回目の処理において、孤立高輝度領域から複数分割領域分の範囲内に存在する分割領域が周囲の分割領域として扱われてもよい。
バックライト制御値仮決定部102は、分割領域毎の仮決定したバックライト制御値(バックライト制御値の調整を行った場合には調整後のバックライト制御値)を、輝度推定部6とバックライト制御値決定部103へ出力する。
【0031】
バックライト制御値決定部103は、実施例1のバックライト制御値決定部7と同様に、推定輝度が目標輝度より低いか否かを判定する。そして、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域が存在する場合に、バックライト制御値決定部103は、分割領域毎の対応輝度を同じ増加率で高めた値を分割領域毎の発光輝度として決定する。
仮決定されたバックライト制御値が図13に示すように調整された場合、調整後のバックライト制御値から得られる推定輝度は図14に示す値となる。図14の例では、図9に比べ、水平番号2の分割領域の推定輝度と目標輝度が小さい。これは、水平番号1,3のバックライト制御値(対応輝度)が高められたことにより、水平番号2の分割領域への漏れ光が増したためである。図14の例では、水平番号2の分割領域の推定輝度は240であり、目標輝度は300である。即ち、水平番号2の分割領域の目標輝度は推定輝度の1.25倍(≒300/240)である。従って、バックライト制御値決定部103では、実施例1と同様に、各分割領域の対応輝度が1.37倍(≒1.25×1.1)される。
図15に、図13のバックライト制御値を高めることにより決定されたバックライト制御値を示す。図15では、図10と比べて、孤立高輝度領域の周囲の分割領域のバックライト制御値が高く、他の分割領域のバックライト制御値が低いことがわかる。また、バックライト制御値の最大値が図10の場合の半分程度に抑制できていることがわかる。バックライト制御値の最大値や合計値を低減することにより、必要電流量を低減することができる。
バックライト制御値決定部103は、分割領域毎の決定したバックライト制御値を電流量計算部104へ出力する。
【0032】
電流量計算部104は、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎のバックライト制御値から、バックライト電源部12がバックライトモジュール部2へ供給する必要電流量を算出する。そして、電流量計算部104は、算出した必要電流量が所定の電流量(閾値)より大きいか否かを判定する。
必要電流量が閾値を超える理由は、分割領域毎に発光輝度を制御する場合には、分割領域毎に発光輝度を制御しないときよりも多くの電流を瞬間的に流す必要が生じうるためで
ある。なお、瞬間的に多くの電流が流せるように電源やバックライトの部品が設計されていれば、必要電流量が閾値を超える確率を減らすことができる。しかしながら、瞬間的に多くの電流が流せるように電源やバックライトの部品を設計すると、部品のコストや基板のサイズ(例えば面積)が増大してしまう。
必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された場合に、電流量計算部104は、目標輝度決定部101、バックライト制御値仮決定部102、孤立高輝度領域検出部105に対し電流制限フラグを出力する。そして、必要電流量が所定の電流量以下であると判定されるまで、仮決定されたバックライト制御値の調整が繰り返し行われる。必要電流量が所定の電流量以下であると判定されると、電流量計算部104は、バックライト制御値決定部103で(最後に)決定された分割領域毎のバックライト制御値を、輝度分布推定部8とバックライトモジュール部2へ出力する。
【0033】
孤立高輝度領域検出部105は、目標輝度決定部101から分割領域毎の目標輝度を受信し、孤立高輝度領域を検出する。本実施例では、分割領域毎に、その分割領域の目標輝度と、当該分割領域の上下左右に隣接する4つの分割領域(隣接領域)の目標輝度とが比較される。そして、目標輝度の差が所定の閾値以上である隣接領域が3つ以上存在する分割領域が孤立高輝度領域の候補として検出される。候補として検出された分割領域のうち、目標輝度の差が所定の閾値以上である隣接領域が4つ存在する分割領域は、孤立高輝度領域として検出される。また、目標輝度の差が所定の閾値以上である隣接領域が3つ存在する2つの分割領域が互いに隣接している場合には、当該2つの分割領域は孤立高輝度領域として検出される。目標輝度の差が所定の閾値以上である隣接領域が3つ存在する2つの分割領域が互いに隣接していない場合には、当該2つの分割領域はいずれも孤立高輝度領域として検出されない。
孤立高輝度領域検出部105は、孤立高輝度領域の検出結果(孤立高輝度領域の位置を表す情報)をバックライト制御値仮決定部102へ出力する。
なお、本実施例では、目標輝度の差の閾値が予め定められた固定値であるものとしたが、これに限らない。閾値は、入力画像信号のAPLなどの特徴量に基づいて、シーン毎に設定されてもよい。
なお、1つのフレームや画像に対する処理において電流量計算部104から2回以上電流制限フラグが出力された場合、1つのフレームや画像に対して孤立高輝度領域を検出する処理(孤立高輝度領域検出処理)は2回以上行われることになる。孤立高輝度領域検出部105は、孤立高輝度領域検出処理を行う度に、目標輝度の差の閾値を低減し、分割領域が孤立高輝度領域であると判定されやすくしてもよい。
なお、孤立高輝度領域の検出方法は上記方法に限らない。周囲の分割領域との間の目標輝度の差が大きい分割領域を孤立高輝度領域として検出することができれば、どのような方法で孤立高輝度領域が検出されてもよい。例えば、孤立高輝度領域か否かの判定の対象である分割領域の目標輝度は、上記4つの隣接領域より多くの分割領域の目標輝度と比較されてもよい。孤立高輝度領域か否かの判定の対象である分割領域の目標輝度と、その周囲の分割領域の目標値の平均値とが比較されてもよい。孤立高輝度領域は、目標輝度ではなく特徴量を用いて検出されてもよい。
【0034】
以上述べたように、本実施例によれば、必要電流量が所定の電流量より大きい場合に、必要電流量が所定の電流量以下となるように、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎の発光輝度が調整される。それにより、必要電流量が所定の電流量より大きくなってしまうことを防ぐことができる。
また、本実施例では、必要電流量が所定の電流量以下となり、且つ、各分割領域の輝度が目標輝度以上となるように、孤立高輝度領域の周囲の分割領域の発光輝度が高められ、それ以外の分割領域の発光輝度が低減される。それにより、必要電流量を制限した場合であっても、画像の輝度の再現性を高めることができる。
【0035】
なお、必要電流量が所定の電流量より大きい場合に、必要電流量が所定の電流量以下となるように、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎の発光輝度を同じ低下率で低下させてもよい。
なお、本実施例では、必要電流量が所定の電流量以下であると判定されるまで、仮決定されたバックライト制御値の調整が繰り返し行われるものとしたが、これに限らない。1つのフレームや画像に対して調整処理を所定回数繰り返しても必要電流量が所定の電流量以下とならない場合には、分割領域毎の発光輝度として、必要電流量が所定の電流量以下となるように予め定められた値が採用されてもよい。1つのフレームや画像に対して調整処理を所定回数繰り返しても必要電流量が所定の電流量以下とならない場合には、全ての分割領域のバックライトが同じ発光輝度で点灯されてもよい。
なお、本実施例では、孤立高輝度領域の周辺の分割領域の対応輝度を当該孤立高輝度領域の対応輝度まで高める構成としたが、これに限らない。孤立高輝度領域の周辺の分割領域の調整後の対応輝度は、当該孤立高輝度領域の対応輝度よりも高くても低くてもよい。どの程度高めるかは、必要電流量と所定の電流量との差に基づいて決定されてもよい。
また、本実施例では、孤立高輝度領域の周辺の分割領域の対応輝度を高める構成としたが、これに限らない。例えば、バックライト制御値決定部103が、孤立高輝度領域の周辺の分割領域の発光輝度を高め、他の分割領域の発光輝度を低減してもよい。
【0036】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
実施例2では、必要電流量が所定の電流量以下であると判定されるまで、第1の調整処理が繰り返し行われるものとした。第1の調整処理は、必要電流量が所定の電流量以下となり、且つ、各分割領域の輝度が目標輝度以上となるように、孤立高輝度領域の周囲の分割領域の発光輝度を高め、それ以外の分割領域の発光輝度を低減する処理である。しかし、1つのフレームに対する第1の調整処理は、当該フレームの期間内に完了しないことがある。
そこで本実施例では、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから、フレーム単位で入力される入力画像信号のシーンの切り替わりまで、第1の調整処理の他に第2の調整処理を行う。第2の調整処理は、必要電流量が所定の電流量以下となるように、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎の発光輝度を同じ低下率で低下させる処理である。第2の調整処理は短時間で行うことができるため、1つのフレームに対する第2の調整処理の結果は、当該フレームのバックライト制御値として採用することができる。そして、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在しない場合に、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、当該フレームに対する第2の調整処理の結果を採用する。必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在する場合には、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、直前に得られた第1の調整処理の結果を採用する。例えば、現フレームに対する第1の調整処理が完了しておらず、1つ前のフレームに対する第1の調整処理が完了している場合には、現フレームに対する分割領域毎の発光輝度として、1つ前のフレームに対する第1の調整処理の結果が採用される。これにより、1つのフレームに対する第1の調整処理が当該フレームの期間内に完了しない場合にも、必要電流量が所定の電流量より大きくなってしまうことを防ぐことができる。
なお、本実施例では、第1の調整処理はフレーム毎に行われる。
【0037】
図16は、本実施例に係る画像表示装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図16の例では、画像表示装置は、液晶モジュール部1、バックライトモジュール部2、特徴量取得部3、目標輝度決定部204、シーンチェンジ検出部201、バックライト制御値仮決定部205、輝度推定部6、バックライト制御値決定部103、電流量計算部202、バックライト制御値制限部203、孤立高輝度領域検出部105、輝度分布推定部8
、補正係数計算部9、補正係数乗算部10、Limit部11、バックライト電源部12などを有する。
液晶モジュール部1、バックライトモジュール部2、特徴量取得部3、輝度推定部6、バックライト制御値決定部103、孤立高輝度領域検出部105、輝度分布推定部8、補正係数計算部9、補正係数乗算部10、Limit部11、バックライト電源部12については実施例1,2と同じであるため説明を省略する。
【0038】
シーンチェンジ検出部201は、入力画像信号のシーンの切り替わりを検出する。入力画像信号のシーンの切り替わりは、どのような方法で検出されてもよい。本実施例では、シーンチェンジ検出部201は、1つ前のフレームと現フレームの間で特徴量が所定値以上変化した分割領域の数をカウントし、カウント結果が所定の閾値以上である場合にシーンが切り替わったと判定する。画面のシーンが切り替わり、及びバックライトの輝度分布が大きく変化することを判定する。シーンチェンジ検出部201は、入力画像信号のシーンの切り替わりを検出した場合に、シーンの切り替わりがあったことを示すシーンチェンジフラグを目標輝度決定部204と電流量計算部202へ出力する。
【0039】
電流量計算部202は、実施例2の電流量計算部104と同様に、必要電流量を算出し、必要電流量が所定の電流量より大きいか否かを判定する。また、電流量計算部202は、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定した場合に、必要電流量と所定の電流量との差として超過量を算出する。超過量は、所定の電流量に対する、必要電流量から所定の電流量を減算した値の割合である。そして、電流量計算部202は、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定した場合に、電流制限フラグと超過量をバックライト制御値制限部203へ出力し、電流制限フラグのみを目標輝度決定部101、バックライト制御値仮決定部205へ出力する。但し、1つのシーン内で必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された後に必要電流量が所定の電流量以下であると判定された場合には、シーンの切り替わりが生じるまで、電流量計算部202は、電流制限フラグと超過量をバックライト制御値制限部203へ出力しない。その代わりに、電流量計算部202は、最後に必要電流量が所定の電流量以下であると判定されたときの分割領域毎のバックライト制御値(バックライト制御値決定部103で決定された値;第1の調整処理の結果)をバックライト制御値制限部203に出力する。また、電流量計算部202は、必要電流量が所定の電流量以下であると判定された場合には、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎のバックライト制御値をバックライト制御値制限部203に出力する。
なお、超過量の算出方法は上記方法に限らない。必要電流量から所定の電流量を減算することにより、超過量が算出されてもよい。
【0040】
バックライト制御値制限部203は、電流制限フラグと超過量が入力されている場合に、バックライト制御値決定部103で決定された(バックライト制御値決定部103から入力された)分割領域毎のバックライト制御値を同じ低下率で低下させる(第2の処理)。なお、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎のバックライト制御値は、第1の調整処理前の値であってもよいし、第1の調整処理中に決定された値であってもよい。低下率は、超過量に応じて決定される。例えば、バックライト制御値が図10に示す値であり、超過量が20%であった場合には、各分割領域のバックライト制御値が20%以上低減される。本実施例では、必要電流量に余裕を持たせるため、バックライト制御値は超過量+5%低減されるものとする。そして、バックライト制御値制限部203は、第2の処理の結果を輝度分布推定部8とバックライトモジュール部2へ出力する。また、電流量計算部202から、電流制限フラグと超過量ではなく、バックライト制御値決定部103で決定された分割領域毎のバックライト制御値が入力されている場合には、バックライト制御値制限部203は、当該分割領域毎のバックライト制御値を輝度分布推定部8とバックライトモジュール部2へ出力する。
バックライト制御値が図10に示す値であった場合の第2の調整処理の結果を図17
示す。図10ではバックライト制御値の最大値が94%であるのに対し、図17ではバックライト制御値の最大値が94×0.75=70.5%となっている。このようにバックライト制御値が小さくなってしまうことから、バックライト輝度は目標輝度より低くなり、全体的に暗い画像が表示されてしまう。しかしながら、実施例2と同様に、バックライト制御値仮決定部205で仮決定されたバックライト制御値の調整が行われ、数フレーム後(1〜2フレーム後)には、電流量計算部202から図15に示すようなバックライト制御値が入力されることとなる。そのため、全体的に暗い画像が表示される期間は短く、暗い画像を1回表示することによる妨害感は小さい。
上述したように、1つのシーン内で必要電流量が所定の電流量より大きいと判定された後に必要電流量が所定の電流量以下であると判定された場合には、シーンの切り替わりが生じるまで、電流量計算部202からバックライト制御値制限部203へ直前の第1の調整処理の結果が出力される。そのため、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在しない場合には、バックライト制御値制限部203は、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、当該フレームに対する第2の調整処理の結果を採用し、出力する。そして、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在する場合には、バックライト制御値制限部203は、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、直前に得られた第1の調整処理の結果を採用し、出力する。
1つのシーンの中で、採用する結果が第1の調整処理の結果と第2の調整処理の結果との間で頻繁に切り替わると、暗い画像が頻繁に表示され、フリッカが発生する虞がある。本実施例では、上記構成により、採用する結果が第1の調整処理の結果と第2の調整処理の結果との間で頻繁に切り替わることがなくなり、フリッカの発生が抑制できる。
【0041】
目標輝度決定部204は、実施例2の目標輝度決定部101と同様に、分割領域毎の目標輝度を決定し、電流制限フラグを受信した場合に、孤立高輝度領域検出部105へ目標輝度値を送信する。但し、本実施例では、目標輝度決定部204は、電流制限フラグを受信してからシーンチェンジフラグを受信するまで、第1の調整処理が行われるように、孤立高輝度領域検出部105に対し目標輝度を送信し続ける。シーンチェンジ検出部201からシーンチェンジフラグを受信した場合は、目標輝度決定部204は、孤立高輝度領域検出部105に対しする目標輝度の送信を停止する。それにより、電流制限フラグを受信してからシーンチェンジフラグを受信するまで第1の調整処理が実行され続けることとなる。
【0042】
バックライト制御値仮決定部205は、実施例2のバックライト制御値仮決定部102と同様に、分割領域毎のバックライト制御値(対応輝度)の仮決定や調整を行う。また、本実施例では、電流制限フラグを受信してからシーンチェンジフラグを受信するまで、孤立高輝度領域検出部105に目標輝度が入力され続ける。そのため、電流制限フラグを受信してからシーンチェンジフラグを受信するまで、バックライト制御値仮決定部205には孤立高輝度領域の検出結果が入力され続けることとなる。バックライト制御値仮決定部205は、孤立高輝度領域の検出結果が入力されている間は、バックライト制御値の調整処理(必要電流量が所定の電流量より大きい場合に孤立高輝度領域の周囲の分割領域のバックライト制御値を高める処理)を行う。その結果、電流制限フラグが発生してからシーンチェンジフラグが発生するまで第1の調整処理が行われることとなる。孤立高輝度領域の検出結果が入力されなくなると、バックライト制御値仮決定部205は、実施例1と同様の方法で現フレームに対するバックライト制御値(対応輝度)を仮決定し、出力する。
なお、本実施例では、1つのフレームに対する第1の調整処理が当該フレームの期間に完了しなかった場合に、第1の調整処理の対象のフレームと、第1の調整処理の結果を採用するフレームとの間にずれが生じる。しかし、1つのシーン内では画像の変化は小さいため、そのようなフレームのずれによる画質の劣化はほとんどない。
【0043】
以上述べたように、本実施例によれば、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在しない場合に、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、当該フレームに対する第2の調整処理の結果が採用される。また、必要電流量が所定の電流量より大きいと判定されてから現在までに入力されたフレームの中に第1の調整処理が完了しているフレームが存在する場合には、現在のフレームに対する分割領域毎の発光輝度として、直前に得られた第1の調整処理の結果を採用される。それにより、1つのフレームに対する第1の調整処理が当該フレームの期間内に完了しない場合にも、必要電流量が所定の電流量より大きくなってしまうことを防ぐことができる。
なお、本実施例では、第1の調整処理のみが、必要電流量と所定の電流量との差に基づいて分割領域毎の発光輝度を調整する処理であるものとしたが、これに限らない。第1の調整処理と第2の調整処理の少なくとも一方が、必要電流量と所定の電流量との差に基づいて決定した分割領域毎の発光輝度を調整する処理であってもよい。第1の調整処理と第2の調整処理の少なくとも両方が、必要電流量と所定の電流量との差に基づいて決定した分割領域毎の発光輝度を調整する処理でなくてもよい。
【0044】
<実施例4>
以下、本発明の実施例4に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
実施例2,3では、必要電流量が所定の電流量より大きい場合に、孤立高輝度領域の周辺の分割領域の発光輝度を高め、他の分割領域の発光輝度を低減した。本実施例では、必要電流量が所定の電流量より大きい場合に、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域の発光輝度を対応輝度を高めた発光輝度とし、それ以外の分割領域の発光輝度を対応輝度と同じ値とする。そのような構成であっても、実施例2と同様の効果が得られる。
本実施例に係る画像表示装置の構成は実施例2と同様である。但し、孤立高輝度領域検
出部は必要ない。
バックライト制御値仮決定部は、電流制限フラグを受信すると、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域の対応輝度(仮決定されたバックライト制御値)を高める。分割領域毎の仮決定されたバックライト制御値が図8に示す値であった場合、推定輝度の分布は図9のようになるため、水平番号2,6,7,8,9,10の6つの分割領域のバックライト制御値が高められる。具体的には、推定輝度(対応輝度でバックライトを点灯させたときのバックライト輝度)と目標輝度の差に基づいて、各分割領域のバックライト輝度が目標輝度以上となるように、上記6つの分割領域のバックライト制御値が高められる。水平番号2の目標輝度は対応輝度でバックライトを点灯させたときのバックライト輝度の2.14倍であるため、水平番号2のバックライト制御値は2.14倍以上に高められる。本実施例では、水平番号2のバックライト制御値は2.14×1.15倍される。これは、周囲からの漏れ光の影響が大きい場合には、1つの分割領域のバックライト制御値を目標輝度に対する不足分だけ高めても、バックライト輝度が目標輝度に到達しないからである。図8の水平番号2のバックライト制御値は、40%×2.14×1.15=98%に高められる。同様に、水平番号6,7,8,9,10のつの分割領域のバックライト制御値も高められる。
図18は、図8の対応輝度(仮決定されたバックライト制御値)の調整結果の一例を示す。図19は、図18のバックライト制御値でバックライトを点灯させた場合のバックライト輝度を示す。図18に示すように、水平番号2,6,7,8,9,10の6つの分割領域のバックライト制御値が図8の値から高められている。その結果、図19に示すように、各分割領域のバックライト輝度が目標輝度以上となる。従って、バックライト制御値決定部でバックライト制御値の調整(増加率の乗算)は行わずに、画像の輝度の再現性を高めることができる。そして、図18では、水平番号2の分割領域以外の分割領域のバックライト制御値が図10の値よりも低いため、必要電流量が低減されている。
【0045】
以上述べたように、本実施例によれば、必要電流量が所定の電流量より大きい場合に、推定輝度が目標輝度より低いと判定された分割領域の発光輝度が対応輝度を高めた発光輝度とされ、それ以外の分割領域の発光輝度が対応輝度と同じ値とされる。それにより、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 液晶モジュール部
2 バックライトモジュール部
3 特徴量取得部
4 目標輝度決定部
5 バックライト制御値仮決定部
6 輝度推定部
7 バックライト制御値決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19