(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように液化ガスを燃料タンクに供給する際は、燃料タンク内の液位上昇により、気相領域のベーパが圧縮されるため、液化ガスの供給流量の増大に伴ってタンク圧力が上昇する。このようにタンク圧力が上昇した場合、供給側圧力と燃料タンクの圧力(被供給側圧力)との圧力差が小さくなるため、燃料タンク内に供給される液化ガスの供給流量が徐々に減少する。従って、従来の液化ガス供給システムでは、燃料タンクに液化ガスを供給する過程において、燃料タンク内の圧力上昇に伴い、液化ガスの供給流量が減少することにより供給終了(燃料タンク内が満タン状態)になるまでに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、供給側圧力と燃料タンクの圧力との圧力差が殆どなくなった場合には、液化ガスの供給が停止し、液化ガスの供給ができなくなるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した液化ガス供給システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0009】
(1)本発明は、液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、
一端が前記液化ガス貯槽の液相領域に接続され、他端が被供給容器に連通される液化ガス供給配管経路と、
前記液化ガス供給配管経路に設けられ、前記液化ガス貯槽から前記被供給容器に供給される液化ガスの供給流量を計測する流量計と、
前記液化ガス供給配管経路に設けられた液化ガス供給弁と、
前記被供給容器のベーパを排出するベーパ排出弁と、
前記液化ガス供給弁及び前記ベーパ排出弁を開弁又は閉弁して前記被供給容器への液化ガスの供給を制御する制御手段と、
を備えた液化ガス供給システムであって、
前記制御手段は、
供給開始の入力操作により前記液化ガス供給弁を開弁させて前記被供給容器に液化ガスを供給開始する液化ガス供給開始手段と、
前記液化ガス供給開始手段により液化ガスを供給開始した後において、前記流量計による流量計測値が
ゼロより大きく且つ所定値
未満に低下したか否かを判定する流量低下判定手段と、
前記流量低下判定手段により前記流量計測値が
ゼロより大きく且つ前記所定値
未満に低下したと判定された場合、前記液化ガス供給弁を閉弁すると共に、前記ベーパ排出弁を開弁して前記被供給容器のベーパを排出させるベーパ排出手段と、
前記ベーパ排出手段により前記被供給容器のベーパを排出した後、前記ベーパ排出弁を閉弁すると共に、前記液化ガス供給弁を開弁して前記被供給容器への液化ガスの供給を再開する液化ガス供給再開手段と、
前記被供給容器への液化ガスの充填が終了したか否かを判断する充填終了判断手段と、を備え、
前記充填終了判断手段は、前記ベーパ排出手段により前記被供給容器のベーパが排出され、前記液化ガス供給再開手段により前記被供給容器への液化ガスの供給が再開された後に、前記被供給容器への液化ガスの供給が停止した後の供給停止時間が予め設定されている所定停止時間を超えた場合に、前記被供給容器への液化ガスの充填が終了したと判断することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明は、液化ガスが貯蔵された液化ガス貯槽と、
一端が前記液化ガス貯槽の液相領域に接続され、他端が被供給容器に連通される液化ガス供給配管経路と、
前記液化ガス供給配管経路に設けられ、前記液化ガス貯槽から前記被供給容器に供給される液化ガスの供給流量を計測する流量計と、
前記液化ガス供給配管経路に設けられた液化ガス供給弁と、
前記被供給容器のベーパを排出するベーパ排出弁と、
前記液化ガス供給弁及び前記ベーパ排出弁を開弁又は閉弁して前記被供給容器への液化ガスの供給を制御する制御手段と、
前記液化ガス供給配管経路に設けられ、前記被供給容器の液位が予め設定されている上限高さ未満では開弁し、前記上限高さ以上で閉弁する過充填防止弁と、
を備えた液化ガス供給システムであって、
前記制御手段は、
供給開始の入力操作により前記液化ガス供給弁を開弁させて前記被供給容器に液化ガスを供給開始する液化ガス供給開始手段と、
前記液化ガス供給開始手段により液化ガスを供給開始した後において、前記流量計により計測された流量計測値の流量低下率が所定低下率
未満に低下したか否かを判定する流量低下率判定手段と、
前記流量低下率判定手段により前記流量低下率が所定低下率
未満に低下したと判定された場合、前記液化ガス供給弁を閉弁すると共に、前記ベーパ排出弁を開弁して前記被供給容器のベーパを排出させるベーパ排出手段と、
前記ベーパ排出手段により前記被供給容器のベーパを排出した後、前記ベーパ排出弁を閉弁すると共に、前記液化ガス供給弁を開弁して前記被供給容器への液化ガスの供給を再開する液化ガス供給再開手段と、
を備え、
前記所定低下率は、前記過充填防止弁が閉弁した場合の流量低下率よりも低い値に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、流量計による流量計測値が所定値以下に低下した場合、あるいは流量計測値の流量低下率が所定低下率以下に低下した場合、液化ガス供給弁を閉弁すると共に、ベーパ排出弁を開弁して被供給容器のベーパを排出させるため、液化ガスの供給途中に被供給容器のベーパを抜いて被供給容器の圧力を減圧することが可能になり、被供給容器のベーパを排出された後、ベーパ排出弁を閉弁すると共に、液化ガス供給弁を開弁して被供給容器への液化ガスの供給を再開した後は、液化ガスの供給流量が増大して供給終了(満タン状態)までの時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
図1は本発明による液化ガス供給システムの一実施例を示すシステム構成図である。
図1に示されるように、液化ガス供給システム10は、液化ガス貯槽20と、加圧装置90と、液化ガス供給配管経路(供給ライン)40と、気相部連通経路50とを有する。液化ガス貯槽20は、車両70に搭載された燃料タンク(被供給容器)30に比べて多量の液化ガスを貯蔵する容量の大きい大型タンクである。
【0015】
液化ガス供給配管経路40は、上流側端部が液化ガス貯槽20の液相部に接続される。また、液化ガス供給配管経路40の下流側端部は液化ガスが供給される燃料タンク30の接続口32に接続されるホース60を有する。ホース60の基端には、所定以上の張力が作用した場合に分離する安全カップリング62が設けられ、ホース60の先端には充填開始時に開弁操作される手動開閉弁64、接続カップリング66が設けられている。
【0016】
燃料タンク30は、液化ガスを燃料とするエンジンが搭載された車両70に設けられている。また、燃料タンク30と接続口32とを連通する配管34には、過充填防止弁36が設けられている。尚、過充填防止弁36は、フロート弁からなり、燃料タンク30の液位が満タン位置(所定の上限高さ位置)以下のときまで開弁(弁開度が全開)し、液位が満タン位置に達した時点で閉弁(弁開度が全閉)する。
【0017】
尚、自動車などの車両用燃料として使用される液化ガスとして、例えば、ブタン・プロパンなどを主成分とするLPG(Liquefied petroleum gas)、酸素含有率が高く黒煙が出ないディーゼル燃料として使用されるDME(ジメチルエーテル)がある。この種の液化ガスは、気体燃料を圧縮することにより液化できるため、上記液化ガス貯槽20及び燃料タンク30内においては、液相領域と気相領域とが併存しており、容器内の圧力は、温度に応じて変化する。
【0018】
液化ガス供給配管経路40は、ディスペンサ80を通して車両70の燃料タンク30に接続されている。また、液化ガス貯槽20とディスペンサ80との間を連通する液化ガス供給配管経路40の配管42には、液化ガスを圧送する加圧手段としてのポンプ90が設けられている。
【0019】
また、液化ガス供給配管経路40のうちディスペンサ80の筐体内部に配された配管44には、セパレータ100と、容積式流量計110と、背圧弁120と、電磁弁からなる第1開閉弁(液化ガス供給弁)130とが設けられている。セパレータ100は、液化ガス供給配管経路40により供給される液化ガスから気泡を分離する気液分離装置である。また、セパレータ100に連通された配管42には、液化ガスの温度を測定する温度センサ102が設けられている。
【0020】
容積式流量計110は、液化ガス供給配管経路40により供給される液化ガスの流量(供給流量)を計測し、計測した容積流量(流量計測値)に応じた流量パルスを出力する。また、容積式流量計110は、所謂ピストン式流量計とも呼ばれる流量計であり、例えば、特開平8−94408号公報にみられるように4つのピストンが90°の位相差で往復動し、各ピストンの往復動に伴う回転力が回転軸に伝達され、回転軸の回転角に応じた容積分(ピストンの移動により押し出された液化ガスの体積)に比例する流量パルスを生成する流量パルス生成部を有する。従って、容積式流量計110においては、回転軸の回転角に応じてピストンによって吐出された容積分の体積流量に比例する流量パルスを生成するため、流量パルスを積算することにより液化ガスの供給量を演算することが可能になる。なお、本実施の形態においては、容積式流量計110により液化ガスの流量を計測しているが、これに限られるものではなく、例えば、渦流量計やタービン式流量計など流量計測方式の異なる他の流量計を用いてもよい。
【0021】
また、液化ガス供給配管経路40のうち第1開閉弁130とホース60との間を連通する配管46には、気相部連通経路50の一端(上流側端部)が分岐接続されている。気相部連通経路50の他端(下流側端部)は、第2開閉弁(ベーパ排出弁)170を介してベーパ回収経路140のマニホールド150に連通されている。マニホールド150は、ベーパ回収経路140を介して液化ガス貯槽20の気相領域と連通されており、液化ガス貯槽20の圧力P1が導入されている。
【0022】
マニホールド150には、液化ガス貯槽20の圧力P1を検知する第1圧力検知器160が設けられている。さらに、マニホールド150には、容積式流量計110の安全弁112の排出管114と、背圧弁120の背圧管122とが連通されている。
【0023】
また、気相部連通経路50には、電磁弁からなる第2開閉弁170と、第2圧力検知器180とが設けられている。第2開閉弁170は、燃料供給開始後に容積式流量計110により計測された流量計測値が所定値以下に低下した場合に開弁される。このように第2開閉弁170を開弁することにより車両70の燃料タンク30内のベーパが排出され、燃料タンク30の圧力が減圧される。尚、本実施の形態では、燃料タンク30から排出されたベーパが液化ガス貯槽20に回収されるように構成されているが、必ずしも液化ガス貯槽20に回収される必要はなく、他の容器に供給されるようにしても良い。
【0024】
ディスペンサ80は、上記各機器の他に、制御装置200と、記憶部210と、表示器220と、供給開始スイッチ222と、供給終了スイッチ224と、圧力計230とが設けられている。制御装置200は、液化ガス供給開始手段201と、流量低下判定手段202Aと、流量低下率判定手段202B、ベーパ排出手段203と、液化ガス供給再開手段204と、ベーパ排出量演算手段205と、供給流量補正演算手段206とを有する。
【0025】
液化ガス供給開始手段201は、供給開始スイッチ222がオンに操作されて供給開始信号が入力されると、第1開閉弁130を開弁する制御プログラムを実行する制御手段である。
【0026】
流量低下判定手段202Aは、燃料供給開始後に容積式流量計110により計測された流量計測値が予め定められた所定値以下に低下したか否かを判定する制御プログラムを実行する制御手段である。
【0027】
流量低下率判定手段202Bは、燃料供給開始後に容積式流量計110により計測された流量計測値の流量低下率が予め定められた所定低下率以下(予め設定された任意の流量低下率)に低下したか否かを判定する制御プログラムを実行する制御手段である。
【0028】
ベーパ排出手段203は、流量低下判定手段202A、流量低下率判定手段202Bにより容積式流量計110による流量計測値又は流量低下率が所定値以下に低下したことが検知された場合、第1開閉弁130を閉弁すると共に、第2開閉弁170を開弁して燃料タンク30のベーパを排出させる制御プログラムを実行する制御手段である。
【0029】
液化ガス供給再開手段204は、ベーパ排出手段203により燃料タンク30のベーパを排出された後、第2開閉弁170を閉弁すると共に、第1開閉弁130を開弁して燃料タンク30への液化ガスの供給を再開する制御プログラムを実行する制御手段である。
【0030】
ベーパ排出量演算手段205は、第2開閉弁の開弁により排出されたベーパ排出量を演算する制御プログラムを実行する制御手段である。尚、ベーパ排出量の演算方法としては、例えば、以下の方法(A)〜(C)がある。
(A)気相部連通経路50にベーパ計測用の流量計を設け、この流量計により計測された流量計測値からベーパの排出量を求める。
(B)排出されたベーパを専用容器に回収し、当該回収容器の質量を計測し、計測質量値から当該回収容器の質量を減算してベーパ排出量を求める。
(C)特許文献1に記載されているように、圧力センサにより検出された圧力値に基づいてベーパ排出量を求める。
【0031】
記憶部210は、上記制御装置200において実行される各制御手段の制御プログラムを格納している。また、記憶部210には、容積式流量計110により計測された液化ガスの供給流量の計測値と、第1圧力検知器160及び第2圧力検知器180により検知された圧力値とが格納されている。
【0032】
表示器220は、例えば、液晶モニタなどから構成されており、液化ガスの供給量、燃料タンク30の充填圧力、液化ガス温度等の他に操作者に操作手順や注意事項など表示して報知する。
【0033】
圧力計230は、セパレータ100に連通された第1圧力導入配管232と、マニホールド150に連通された第2圧力導入配管234とが連通されており、セパレータ100における供給圧力(ポンプ圧力)P3とマニホールド150に供給された圧力P1との圧力とを検出して双針表示する。
【0034】
作業者は、接続カップリング66を車両70の燃料タンク30の接続口32に接続した後、ホース60先端の手動開閉弁64を開弁させ、供給開始スイッチ222をオンに操作する。これで、制御装置200による燃料供給のための液化ガス供給制御処理が開始される。また、作業者は、燃料タンク30への液化ガスが供給開始された場合、圧力計230の指針により圧力差(P3−P1)を確認することができる。
【0035】
また、セパレータ100には、気液分離されたベーパが所定量に達すると自動的にベーパ回収経路140に流出するように開となり、流出後に自動的に閉となるフロート弁(図示せず)を内蔵しており、この弁と手動開閉弁251(常時開)とが連通しベーパマニホールド150に接続されている。また、第1圧力導入配管232、第2圧力導入配管234、液化ガス排出配管240の夫々には手動式開閉弁252、254が設けられている。
【0036】
尚、通常、手動式開閉弁251、252、253は通常開弁されており、手動式開閉弁254は閉弁されている。
【0037】
〔液化ガス供給制御処理〕
ここで、
図2を参照して上記のように構成された液化ガス供給システム10における液化ガス供給のための制御処理について説明する。
図2はディスペンサ80の制御装置200が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0038】
先ず、車両70がディスペンサ80の前に到着すると、作業者はホース60を伸ばして接続カップリング66を車両70の燃料タンク30の接続口32に接続する。続いて、作業者は、ホース60先端に設けられた手動開閉弁64を開弁させてホース60と燃料タンク30とを連通させる。この後、作業者は、ディスペンサ80の供給開始スイッチ222をオンに操作する。
【0039】
図2に示されるように、S11において、供給開始スイッチ222がオンに操作されると、S12に進む。S12では、ポンプ90を起動させて液化ガス貯槽20の液化ガスを加圧して液化ガス供給配管経路40に吐出させる。続いて、S13に進み、第1開閉弁130を開弁させる。これにより、ポンプ90により圧送された液化ガスは、配管42、セパレータ100、流量計110、背圧弁120、第1開閉弁130、配管46、安全カップリング62、ホース60、手動開閉弁64、接続カップリング66、接続口32、配管34、過充填防止弁36を介して燃料タンク30に充填される。上記S11〜S13の処理は、液化ガス供給開始手段201によって実行される。
【0040】
次のS14では、流量計110により検出された流量パルスを積算して供給量Q(体積流量)を計測し、供給量の計測値を記憶部210に記憶する。
【0041】
S15では、温度センサ102により測定された液化ガスの測定温度を読み込み、液化ガスの液密度と温度との関係データに基づいて供給量に対する温度補正演算を行なう。次のS16では、一定温度に換算された液化ガスの供給流量Qを演算する。
【0042】
続いて、S17に進み、上記S16で演算された液化ガスの供給流量Qがゼロを超えて、且つ予め設定された所定流量未満か否かを判定する。尚、上記所定流量は、例えば、液化ガス供給配管経路40により供給可能な最大流量に対して30%〜40%に減少した任意の値に設定される。S17において、供給流量Qがゼロを超えて、且つ予め設定された所定流量未満の場合(YESの場合)、S18に進み、供給流量Qがゼロであり、又は予め設定された所定流量未満でない場合(NOの場合)、後述するS25に進む。尚、S17の処理は、流量低下判定手段202Aによって実行される。
【0043】
S18では、流量計測値の変化から単位時間当たりの流量低下率を演算し、演算された流量低下率が予め設定された所定流量低下率以下か否かを判定する。尚、所定流量低下率は、例えば、液面上昇に伴う気相領域の圧力上昇に伴う流量減少の場合(流量低下率が小)と、過充填防止弁36が液位上昇により閉弁した場合(流量低下率が大)とがある。つまり、過充填防止弁36が閉弁した場合には、弁開度が全開から全閉に切り替わるため、流量がゼロに低下するため、流量低下率がそれまでより急激に増大する。尚、S18の処理は、流量低下率判定手段202Bによって実行される。
【0044】
S18において、流量低下率が予め設定された所定流量低下率以下でない場合(NOの場合)、液位が満タン位置に達し、過充填防止弁36が閉弁したものと判断して後述するS25に進む。また、S18において、流量低下率が予め設定された所定流量低下率以下の場合(YESの場合)、過充填防止弁36が開弁しており、液位が徐々に上昇し、燃料タンク30の気相領域の圧力P2が液化ガス貯槽20の気相領域の圧力P1以上に上昇(P1<P2)しているものと判断してS19の処理に進む。
【0045】
S19では、第1開閉弁130を閉弁して燃料タンク30への液化ガスの供給を停止させ、S20では第2開閉弁170を開弁して燃料タンク30の気相領域のベーパを排出させ、燃料タンク30の圧力を減圧する。このように、燃料タンク30の圧力が上昇して液化ガスの供給量が所定値以下に低下した場合、燃料タンク30の気相領域のベーパを排出させることで、燃料タンク30の圧力を減圧するため、液化ガスを燃料タンク30に供給することが可能になる。尚、S20の処理は、ベーパ排出手段203により実行される。
【0046】
続いて、S21に進み、燃料タンク30の気相領域から排出されたベーパ排出量の液換算値QLを演算する。尚、ベーパ排出量の演算方法としては、前述した演算方法(A)〜(C)の何れかの演算方法を用いる。また、第2開閉弁170の開弁により燃料タンク30から排出されたベーパは、気相部連通経路50、マニホールド150、ベーパ回収経路140を介して液化ガス貯槽20の気相領域に流入される。S21の処理は、ベーパ排出量演算手段205によって実行される。
【0047】
次のS22では、ベーパの排出が完了したか否かを判定する。S22では、燃料タンク30の気相領域から排出されたベーパ排出量QLに基づいてベーパ排出完了を判定しており、例えばベーパ排出流量QLの低下率が所定低下率以下に達した場合、あるいはベーパ排出開始からの経過時間が予め設定された所定時間が経過した場合にベーパ排出完了したものと判定する。
【0048】
従って、S22において、ベーパの排出が完了していないと判定された場合(NOの場合)、上記S21に戻り、ベーパ排出量QLを演算する。また、S22において、ベーパの排出が完了したと判定された場合(YESの場合)、S23に進み、第2開閉弁170を閉弁して燃料タンク30の気相領域からのベーパの排出を停止させる。続いて、S24に進み、第1開閉弁130を開弁して燃料タンク30への液化ガスの供給を再開する。尚、S24の処理は、液化ガス供給再開手段204によって実行される。
【0049】
次の
図3に示すS25では、供給終了スイッチ224がオンに操作されたか否かを判定する。S25において、供給終了スイッチ224がオンに操作されないときは(NOの場合)、S26に進む。また、S25において、供給終了スイッチ224がオンに操作されたときは(YESの場合)、後述するS29に進む。
【0050】
次のS26では、流量計110から流量計測値が出力されたか否かを判定する。S26において、流量計110から流量計測値が出力されないときは(YESの場合)、液化ガスの供給が停止しているものと判断してS27に進む。また、S26において、流量計110から流量計測値が出力されたときは(NOの場合)、上記S14の処理に戻り、S14以降の処理を再度実行する。
【0051】
S27では、液化ガスの供給停止時間Tの計時を開始する。続いて、S28に進み、液化ガスの供給停止時間Tが予め設定された所定停止時間(供給停止検出時間)を越えたか否かを判定する。S28において、液化ガスの供給停止時間Tが予め設定された所定停止時間を越えないうちに流量計測値が出力されたときは(NOの場合)、今回の流量計測値の停止は、一時的なもの、或いは、燃料タンク30への低流量での液化ガスの供給が継続しているものであり、燃料タンク30への液化ガスの充填が終了していない(充填継続中である)ものと判断し、上記S14の処理に戻り、S14以降の処理を再度実行する。
【0052】
また、S28において、液化ガスの供給停止時間Tが予め設定された所定停止時間を越えたときは(YESの場合)、燃料タンク30に内蔵され、当該燃料タンク30内の液化ガスが所定量に達した場合にそれ以上の燃料タンク30への液化ガスの充填を防止するための過充填防止弁36が閉止したことにより液化ガスの供給が停止していること、即ち、燃料タンク30への充填が終了したと判断し、S29の処理に進む。
【0053】
S29では、液化ガスの流量計測値Qからベーパ排出量の液換算値QLを差し引いて燃料タンク30に充填された真の供給量Q0を演算し、演算された供給量Q0を表示器220に表示する。続いて、S30に進み、第1開閉弁130を閉弁させ、さらにS31でポンプ90を停止させて今回の液化ガス供給処理を終了する。
【0054】
この後、作業者は、ホース60先端に設けられた手動開閉弁64を閉弁させ、さらにホース60先端の接続カップリング66を燃料タンク30の接続口32から分離させてホース60及び接続カップリング66をディスペンサ80に戻す。
【0055】
従って、供給開始後に燃料タンク30の圧力P2が液化ガス貯槽20の気相領域の圧力P1以上に上昇(P1<P2)している場合には、第2開閉弁170を一時的に開弁させることで燃料タンク30のベーパを液化ガス貯槽20に排出すると共に、燃料タンク30の圧力P2を減圧して液化ガスの供給効率を高めて供給時間を短縮することが可能になる。さらに、液化ガス貯槽20に排出された燃料タンク30のベーパ量を液量QLに換算して流量計110により計測された流量計測値(体積流量)Qからベーパ量に相当する液量QLを差し引いて燃料タンク30に供給された真の供給量Q0を正確に表示することが可能になる。
【0056】
尚、上記実施例では、車両70に搭載された燃料タンク30に液化ガスを供給する場合を一例として挙げたが、これに限らず、例えば、タンクローリ車のタンクから車両用燃料タンク以外の被供給容器(例えば、住宅や建築物の暖房設備に液化ガスを供給するための貯蔵タンクなど)に液化ガスを供給する場合にも適用することができるのは勿論である。
【0057】
また、液化ガスとしては、例えば、ブタン・プロパンなどを主成分とするLPG(Liquefied petroleum gas)を用いても良いし、あるいはディーゼル燃料として使用されるDME(ジメチルエーテル)を用いても良い。