(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039323
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】溶接トーチ支持装置および溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/30 20060101AFI20161128BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20161128BHJP
B23K 9/022 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
B23K9/30
B23K9/12 350E
B23K9/12 331H
B23K9/022 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-197292(P2012-197292)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-50865(P2014-50865A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米本 臣吾
(72)【発明者】
【氏名】上月 崇功
(72)【発明者】
【氏名】池澤 行雄
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−319071(JP,A)
【文献】
特開昭53−149841(JP,A)
【文献】
特開平01−205880(JP,A)
【文献】
特公昭51−040023(JP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0173727(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第01384926(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00−10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って溶接ワイヤ又は溶加材を送り出す溶接トーチが取り付けられた第一部材と、
前記第一部材を前記溶接トーチの軸方向と直交する揺動軸回りに揺動可能に支持する第二部材であって、前記第一部材に連結された揺動モータを含む第二部材と、
前記前記第二部材を前記揺動軸と直交する回転軸回りに回転可能に支持する、前記溶接ワイヤ又は溶加材が挿通される基部側貫通穴が前記回転軸に沿って設けられた第三部材であって、前記第二部材に連結された回転モータを含む第三部材と、
を備えた、溶接トーチ支持装置。
【請求項2】
前記第一部材は、前記溶接トーチへの前記溶接ワイヤ又は溶加材の供給ルート上に配置されていて、前記第一部材には、前記溶接ワイヤ又は溶加材が挿通される先端側貫通穴が設けられており、
前記基部側貫通穴と前記先端側貫通穴をつなぐフレキシブルホースをさらに備える、請求項1に記載の溶接トーチ支持装置。
【請求項3】
前記溶接トーチはストレートな形状を有し、
前記揺動軸は、当該揺動軸が前記溶接トーチの中心線の延長線と交差する位置に配置されている、請求項1または2に記載の溶接トーチ支持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶接トーチ支持装置と、
前記溶接トーチ支持装置が先端に取り付けられたマニピュレータと、
を備えた、溶接装置。
【請求項5】
前記溶接トーチ支持装置における前記溶接トーチがウィービング動作し得るように、前記揺動モータと前記回転モータとを同期して制御する制御装置をさらに備える、請求項4に記載の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接トーチを支持する支持装置、およびこれを用いた溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多軸のロボットを用いてアーク溶接を行う溶接装置が知られている。例えば、特許文献1には
図5に示すような溶接装置100が開示されている。
【0003】
この溶接装置100では、第1〜第3アーム121〜123を含むマニピュレータの先端に、ブーメラン状に折れ曲がった溶接トーチ110が回転体115を介して取り付けられている。第3アーム123および第2アーム122は同方向に延びる棒状をなしており、第3アーム123には、第2アーム122を軸方向回りに回転させるサーボモータ132が設けられ、第2アーム122には、第1アーム121を揺動させるサーボモータ131が設けられている。第1アーム121に取り付けられた回転体115は、溶接トーチ110をその中心軸回りに回転させる。このような構成により、溶接トーチ110のワークに対する角度を自由に変えることができる。
【0004】
さらに、第3アーム123には、溶接トーチ110に溶接ワイヤ150を供給する供給装置140が取り付けられている。なお、特許文献1には供給装置140から溶接トーチ110へ溶接ワイヤ150がどのように供給されるかは具体的に記載されてはいないが、供給装置140が第3アーム123に外付けされていることから、溶接ワイヤ150は供給装置140から溶接トーチ110まで第3アーム123および第2アーム122の外面に沿って空中を進行するものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−2888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、溶接ワイヤ150が供給装置140から溶接トーチ110まで空中を進行する場合には、回転体115およびサーボモータ131,132の稼動により溶接トーチ110ならびに第1および第2アーム121,122が動いたときに、溶接ワイヤ150がマニピュレータと干渉するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、溶接トーチのワークに対する角度を自由に変えることができ、かつ、溶接トーチへの溶接ワイヤ又は溶加材のスムーズな供給が可能な溶接トーチ支持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、その溶接トーチ支持装置を用いた溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の溶接トーチ支持装置は、軸方向に沿って溶接ワイヤ又は溶加材を送り出す溶接トーチが取り付けられた第一部材と、前記第一部材を前記溶接トーチの軸方向と直交する揺動軸回りに揺動可能に支持する第二部材と、前記前記第二部材を前記揺動軸と直交する回転軸回りに回転可能に支持する、前記溶接ワイヤ又は溶加材が挿通される基部側貫通穴が前記回転軸に沿って設けられた第三部材と、を備える。
【0009】
上記の構成によれば、第一部材の揺動と第二部材の回動により、溶接トーチのワークに対する角度を自由に変えることができる。また、第三部材には、溶接ワイヤ又は溶加材が挿通される基部側貫通穴が回動軸に沿って設けられているので、第二部材が第三部材に対して回動しても、溶接ワイヤ又は溶加材は捩じられるものの溶接ワイヤ又は溶加材の変位は殆ど生じない。従って、溶接ワイヤ又は溶加材を溶接トーチへスムーズに供給することができる。
【0010】
前記第一部材は、前記溶接トーチへの前記溶接ワイヤ又は溶加材の供給ルート上に配置されていて、前記第一部材には、前記溶接ワイヤ又は溶加材が挿通される先端側貫通穴が設けられており、上記の溶接トーチ支持装置は、前記基部側貫通穴と前記先端側貫通穴をつなぐフレキシブルホースをさらに備えてもよい。この構成によれば、フレキシブルホースにより溶接ワイヤ又は溶加材を保護することができる。
【0011】
前記溶接トーチはストレートな形状を有し、前記揺動軸は、当該揺動軸が前記溶接トーチの中心線の延長線と交差する位置に配置されていてもよい。この構成によれば、第一部材が揺動したときの溶接ワイヤ又は溶加材の変位を極力小さくすることができる。
【0012】
例えば、前記第二部材は、前記第一部材に連結された揺動モータを含み、前記第三部材は、前記第二部材に連結された回転モータを含んでもよい。
【0013】
また、本発明の溶接装置は、上記の溶接トーチ支持装置と、前記溶接トーチ支持装置が先端に取り付けられたマニピュレータと、を備える。この構成によれば、マニピュレータの位置や向きを変化させることなく種々の溶接姿勢を取ることができるため、狭小空間における溶接が可能になる。
【0014】
上記の溶接装置は、前記溶接トーチ支持装置における前記溶接トーチがウィービング動作し得るように、前記揺動モータと前記回転モータとを同期して制御する制御装置をさらに備えてもよい。この構成によれば、マニピュレータを大きく動かすことなく溶接トーチをウィービング動作させることができる。なお、ウィービング動作とは、溶接トーチが溶接方向に対してジグザグに振れながら溶接方向に進むことをいう。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接トーチのワークに対する角度を自由に変えることができ、かつ、溶接ワイヤ又は溶加材を溶接トーチへスムーズに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る溶接トーチ支持装置を用いた溶接装置の構成図である。
【
図2】溶接トーチ支持装置の第三部材およびフレキシブルホースの斜視図である。
【
図3】溶接トーチ支持装置の第二部材および第一部材の一部の斜視図である。
【
図4】溶接トーチ支持装置の第一部材および溶接トーチの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態に係る溶接トーチ支持装置10を用いた溶接装置9を示す。この溶接装置9は、例えばMIG(Metal Inert Gas)溶接、MAG(Metal Active Gas)溶接またはTIG(Tungsten Inert Gas)溶接を行うものであり、溶接トーチ支持装置10と、溶接トーチ支持装置10が先端に取り付けられたマニピュレータ7と、制御装置8とを備える。MIG溶接およびMAG溶接の場合には、溶接トーチ1に溶接ワイヤが送給され、TIG溶接の場合には、溶接トーチ1に溶加材が送給される。
【0019】
溶接トーチ支持装置10は、第一ブラケット61および第二ブラケット62を介してマニピュレータ7の先端に取り付けられている。マニピュレータ7は、例えば多関節ロボットの複数のアームで構成される。
【0020】
第二ブラケット62はマニピュレータ7の先端面に固定されており、第一ブラケット61はマニピュレータ7に対する複数の固定角度のうちの一を選択できるように第二ブラケット62に取り付けられている。また、第一ブラケット61には、後述する末端ブラケット44が、第一ブラケット61に対する複数の固定角度のうちの一を選択できるように取り付けられている。
【0021】
溶接トーチ支持装置10は、具体的に、溶接トーチ1と、溶接トーチ1が取り付けられた第一部材2と、第一部材2を支持する第二部材3と、第二部材3を支持する第三部材4と、を含む。そして、第三部材4に、上述した末端ブラケット44が設けられている。
【0022】
溶接トーチ1は、当該溶接トーチ1の軸方向(溶接トーチ1の中心軸CLが延びる方向)に沿って溶接ワイヤ又は溶加材11を送り出す。本実施形態では、溶接トーチ1がストレートな形状を有し、溶接トーチ1の中心軸CLが直線となっている。ただし、溶接トーチ1はブーメラン状に折れ曲がった形状を有していてもよい。
【0023】
上述した第一部材2、第二部材3および第三部材4は、全て溶接トーチ1への溶接ワイヤ又は溶加材11の供給ルート上に配置されている。第二部材3は、第一部材2を溶接トーチ1の軸方向と直交する揺動軸A1回りに揺動可能に支持し、第三部材4は、第二部材3を揺動軸A1と直交する回転軸A2回りに回転可能に支持している。本実施形態では、揺動軸A2は、当該揺動軸A2が溶接トーチ1の中心線CLの延長線および回転軸A1の延長線と交差する位置に配置されている。なお、以下では説明の便宜のために、溶接ワイヤ又は溶加材11の供給ルートに沿う方向のうちの溶接トーチ1側(
図1の右側)を前方、その反対側(
図1の左側)を後方という。
【0024】
第三部材4は、前面、後面および4つの側面を有する直方体状のケース42と、このケース42に収容された回転モータ41とを含む。上述した末端ブラケット44は、ケース42の1つの側面に取り付けられている。ケース42の前面には、
図2に示すように円形状の開口42bが設けられており、この開口42bを通じて回転モータ41の回転シャフト41aが突出している。上述した回転軸A2は、回転モータ41の回転中心である。
【0025】
回転シャフト41aは、比較的に大きな外径を有している。このような回転シャフト41aは、例えば、モータの回転子が取り付けられる本体シャフトと、この本体シャフトに嵌合する筒状部材とで構成される。
【0026】
図1に示すように、回転モータ41は中空モータであって、回転シャフト41aの中心には、当該回転シャフト41aを貫通するモータ貫通穴41bが設けられている。一方、ケース42の後面には、回転軸A2を中心にケース貫通穴42aが設けられている。これらの貫通穴41b,42aは、回転軸A2に沿って第三部材4を貫通する基部側貫通穴4aを構成し、溶接ワイヤ又は溶加材11はこの基部側貫通穴4aに挿通される。
【0027】
ケース42の後面には、外部接続口43aを有する中空の接続部材43がケース貫通穴42aと対応する位置に取り付けられている。外部接続口43aには、溶接トーチ支持装置10に溶接ワイヤ又は溶加材11およびシールドガスを供給するホース15が接続される。なお、ホース15を利用して、溶接トーチ1に電気を供給する電源ケーブルを配設することも可能である。ただし、電源ケーブルは、第一部材2に直接接続されていてもよい。
【0028】
図2に示すように、モータ貫通穴41bには、フレキシブルホース5の一端が接続される。フレキシブルホース5の他端は後述する先端側貫通穴21aに接続される。すなわち、基部側貫通穴4aは、フレキシブルホース5により先端側貫通穴21aとつながれる。フレキシブルホース5は、基部側貫通穴4aから先端側貫通穴21aへ溶接ワイヤ又は溶加材11およびシールドガスを導く。
【0029】
図1に戻って、第二部材3は、回転モータ41に連結されている。具体的に、第二部材3は、回転モータ41の回転シャフト41aと嵌合するブロック32と、ブロック32に固定された揺動モータ31とを含む。上述した揺動軸A1は、揺動モータ31の回転中心である。
【0030】
ブロック32は、側面視で二股フォーク状の形状に形成されている。より詳しくは、
図3に示すように、ブロック32は、回転軸A2を挟んで離間する一対の挟持片37と、これらの挟持片37の後端部同士を接合する接合部36とを有している。すなわち、一対の挟持片37の間には、接合部36を底とする溝が形成されている。一対の挟持片37の間の距離は、上述したフレキシブルホース5の直径よりも十分に大きく設定されている。
【0031】
これにより、フレキシブルホース5は、一対の挟持片37の間、つまり、第二部材3の内部に配置されることになる。したがって、後述するように、第一部材2の揺動と第二部材3の回動とによって溶接トーチ1のワークに対する角度が変化しても、フレキシブルホース5が第二部材3から大きく飛び出すことがないため、溶接作業に支障が生じることがない。
【0032】
接合部36からは筒状部35が後方に向かって突出しており、この筒状部35の内部に回転モータ31の回転シャフト41aが嵌まり込む。なお、筒状部35は、図略のボルトによって回転シャフト41aに回転不能に固定される。接合部36には、挟持片37の間の溝と筒状部35の内部とを連通する連通穴36aが設けられており、この連通穴36aにフレキシブルホース5が挿通される。連通穴36aの断面形状は、筒状部35の内部の断面形状と同じであってもよいし、それよりも小さくてもよい。
【0033】
一方(
図3では下側)の挟持片37には、他方の挟持片37とは反対側に膨らむ略正方形状の厚肉部が設けられており、この厚肉部の外側面に揺動モータ31が取り付けられている。厚肉部の中心には円形状の開口38が設けられており、この開口38を通じて揺動モータ31の回転シャフト31aが挟持片37よりも内側に突出している。他方(
図3では上側)の挟持片37には、揺動軸A1を中心とする円形穴が設けられており、この円形穴に揺動ピン33が嵌め込まれている。揺動ピン33は、円形穴に嵌合する大径部と、挟持片37よりも内側に突出する小径部を有している。
【0034】
第一部材2は、揺動モータ31に連結されている。具体的に、第一部材2は、
図3および
図4に示すように、溶接トーチ1側から順に、第一ブロック21、第二ブロック22、第三ブロック23および一対の対向片24を有している。第二ブロック22、第三ブロック23および一対の対向片24は一体的に形成されている。
【0035】
第一ブロック21と第二ブロック22は、溶接トーチ1の軸方向に延びる同一の直径の円柱状をなしている。第一ブロック21の前側端面には溶接トーチ1が接合されている。第一ブロック21には、溶接ワイヤ又は溶加材11が挿通される、当該第一ブロック21を貫通する先端側貫通穴21a(
図1参照)が設けられている。上述したように、先端側貫通穴21aにはフレキシブルホース5の他端が接続される。第二ブロック22の前側端面にはネジ穴22bが設けられており、第一ブロック21は、ネジ穴22bに螺合するボルトBにより第二ブロック22に固定される。
【0036】
第三ブロック23は、溶接トーチ1の軸方向に延びる八角柱状をなしている。また、第三ブロック23には、当該第三ブロック23の後側端面に開口しながら当該第三ブロック23を横向きに貫通する断面T字状の横穴23aが設けられている。第二ブロック22および第三ブロック23には、第二ブロック22の前側端面から横穴23aまで延びる挿通穴22aが設けられており、この挿通穴22aにフレキシブルホース5が挿通される。
【0037】
一対の対向片24は、第三ブロック23の後側端面から、横穴23aと連続した壁面を構成するように後方に突出している。対向片24同士の間の距離は、フレキシブルホース5の直径よりも僅かに大きく設定されている。
【0038】
各対向片24の後端部には、嵌合穴24aが設けられている。一方の対向片24の嵌合穴24aには上述した揺動モータ31の回転シャフト31aが嵌合し、他方の対向片24の嵌合穴24aには上述した揺動ピン33の小径部が嵌合している。なお、対向片24は、図略のボルトによって回転シャフト31aおよび揺動ピン33の小径部に回転不能に固定される。
【0039】
上述した制御装置8は、溶接トーチ1がウィービング動作し得るように、揺動モータ31と回転モータ41とを同期して制御する。ウィービング動作としては振り子状や三角形状などの種々の軌跡が想定されるため、制御装置8は、所望の軌跡に応じたプログラムを実行する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の溶接トーチ支持装置10では、第一部材2の揺動と第二部材3の回動により、溶接トーチ1のワーク(図示せず)に対する角度を自由に変えることができる。また、第三部材4には、溶接ワイヤ又は溶加材11が挿通される基部側貫通穴4aが回動軸A2に沿って設けられているので、第二部材3が第三部材2に対して回動しても、溶接ワイヤ又は溶加材11は捩じられるものの溶接ワイヤ又は溶加材11の変位は殆ど生じない。従って、溶接ワイヤ又は溶加材11を溶接トーチ1へスムーズに供給することができる。
【0041】
また、本実施形態では、揺動軸A1が溶接トーチ1の中心線CLの延長線と交差する位置に配置されているので、第一部材2が揺動したときの溶接ワイヤ又は溶加材11の変位を極力小さくすることができる。
【0042】
さらに、溶接トーチ支持装置10を用いた溶接装置9では、マニピュレータ7の位置や向きを変化させることなく種々の溶接姿勢を取ることができるため、狭小空間における溶接が可能になる。そして、揺動モータ31と回転モータ41とが同期して制御されることにより、マニピュレータ7を大きく動かすことなく溶接トーチ1をウィービング動作させることができる。
【0043】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0044】
例えば、揺動モータ、回転モータは、夫々、揺動軸A1、回転軸A2からオフセットして配置され、減速機等を介して夫々、第一部材を揺動、第二部材を回転させてもよい。
【0045】
例えば、第二部材3は、必ずしも溶接ワイヤ又は溶加材11の供給ルート上に配置せれている必要はなく、供給ルートから側方に反れた位置で第一部材2と第三部材4とに跨って延びていてもよい。
【0046】
また、第一部材2も必ずしも溶接ワイヤ又は溶加材11の供給ルート上に配置されている必要はなく、溶接トーチ1を側方からクランプするような形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 溶接トーチ
10 溶接トーチ支持装置
11 溶接ワイヤ又は溶加材
2 第一部材
21a 先端側貫通穴
3 第二部材
31 揺動モータ
4 第三部材
4a 基部側貫通穴
41 回転モータ
5 フレキシブルホース
7 マニピュレータ
8 制御装置
9 溶接装置
A1 揺動軸
A2 回転軸
CL 中心線