特許第6039360号(P6039360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039360
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20161128BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20161128BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20161128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161128BHJP
【FI】
   F21S8/12 130
   F21S8/10 150
   F21S8/10 160
   F21S8/10 170
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-235276(P2012-235276)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-86327(P2014-86327A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】金澤 隆志
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−081968(JP,A)
【文献】 特開2012−164550(JP,A)
【文献】 特開2012−033413(JP,A)
【文献】 特開2006−100132(JP,A)
【文献】 特開2008−204915(JP,A)
【文献】 特開2011−034729(JP,A)
【文献】 実開平06−002503(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0268480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10−8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に搭載される車両用前照灯であって、
複数の発光素子からなる主光源と、
入射する光を所定の角度範囲に拡散させて反射させる反射部と、
前記車両の前後方向に延在する光軸上に配設され、前記主光源および反射部から出射される光を入射して前記車両の前方に投影する投影レンズと、
前記主光源および反射部が実装された状態で前記投影レンズの後方側に立設される基板と、
前記光軸に対して上下両側に離間して配置され、それぞれ前記主光源から出射された光を入射して前記反射部へ向けて反射させる第1リフレクタおよび第2リフレクタと、を備え、
前記反射部が、前記基板上において前記主光源の下方に配置され、
前記基板は、前記主光源および反射部が前記投影レンズの焦点近傍に位置するように配置され
前記第1リフレクタおよび第2リフレクタは、
前記基板と前記投影レンズとの間における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に配設されると共に、それぞれ前記主光源近傍に第1焦点が、前記反射部近傍に第2焦点が位置する回転楕円面を基調としており、前記主光源から出射されて前記投影レンズに入射する光のうち、当該投影レンズの周辺部を透過する光を遮るように配設されていることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記主光源の下端が前記焦点に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
少なくとも前記反射部の外縁付近が黒色塗装されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第1リフレクタおよび第2リフレクタが、
前記基板と前記投影レンズとの間における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に替えて、前記投影レンズの前記車両の前方側の表面における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に配設されており、それぞれ前記主光源近傍に第1焦点が、前記反射部近傍に第2焦点が位置する回転楕円面を基調とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第1リフレクタおよび第2リフレクタは、前記投射レンズの前記表面に反射膜として設けられることを特徴とする請求項4に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるヘッドランプやフォグランプ等の車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用前照灯として、光源から出射された光を投影レンズで前方に投影する、所謂、ダイレクトプロジェクション型のものが知られている。とりわけ、近年では、かかる車両用前照灯の光源として、半導体型の発光素子であるLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いるものの開発が加速傾向にある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両前照灯は、大拡散用配光に使用されるランプユニット(上段ランプユニット)と、斜めカットライン用配光に使用されるランプユニット(下段ランプユニット)とが、灯室内において車両の上下方向に並べて配置された構造をなしている。
そして、上段ランプユニットは、車両前後方向に延びるレンズ光軸上に配置される凸型の投影レンズ(投射レンズ)と、この投影レンズの後側焦点近傍に配置される光源(LED)と、この光源から出射される光を反射して車両の前方上方の標識や看板等を照明するオーバーヘッドサイン用の配光パターンとして外部に照射する反射面を有したリフレクタと、を備えている。
【0004】
このような車両用前照灯では、光源から出射された光を投影レンズによって屈折させつつ前方へ照射することによって、灯具前方に所定の配光パターンを形成する。このとき、投影レンズは、正面視において横長形状をなすと共に、上面視において前面側が車両前方に突出し、後面側が車両前方に凹んだ弓形形状をなしているので、水平方向の視認性に優れた拡散タイプのすれ違い配光を得ることができるようになっている。また、投影レンズに入射することなくリフレクタの反射面に入射する光束を当該反射面で反射することにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンとして有効活用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−277818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用前照灯では、上段ランプユニットにおいて、光源であるLEDの出射特性と、必要な配光(すなわち、主配光であるすれ違い配光およびオーバーヘッドサイン用の配光)を得ることと、を考慮して反射面を構成するべく、リフレクタを投影レンズの上方に突出して当該投影レンズの上面を覆うように配置していた。これにより、当該上段ランプユニットの寸法が車両上下方向に長くなってしまい、その結果、車両用前照灯全体として大型化を免れない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、その主たる目的は車両用前照灯の大型化を回避しつつ、必要な配光特性を得ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用前照灯は、
複数の発光素子からなる主光源と、
入射する光を所定の角度範囲に拡散させて反射させる反射部と、
前記車両の前後方向に延在する光軸上に配設され、前記主光源および反射部から出射される光を入射して前記車両の前方に投影する投影レンズと、
前記主光源および反射部が実装された状態で前記投影レンズの後方側に立設される基板と、
前記光軸に対して上下両側に離間して配置され、それぞれ前記主光源から出射された光を入射して前記反射部へ向けて反射させる第1リフレクタおよび第2リフレクタと、を備え、
前記反射部が、前記基板上において前記主光源の下方に配置され、
前記基板は、前記主光源および反射部が前記投影レンズの焦点近傍に位置するように配置され
前記第1リフレクタおよび第2リフレクタは、
前記基板と前記投影レンズとの間における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に配設されると共に、それぞれ前記主光源近傍に第1焦点が、前記反射部近傍に第2焦点が位置する回転楕円面を基調としており、前記主光源から出射されて前記投影レンズに入射する光のうち、当該投影レンズの周辺部を透過する光を遮るように配設されていることを特徴とする。
【0009】
このとき、前記主光源の下端が、前記投影レンズの焦点に位置することが望ましい。
【0011】
このとき、少なくとも前記反射部の外縁付近が黒色塗装されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の車両用前照灯は、前記第1リフレクタおよび第2リフレクタが、
前記基板と前記投影レンズとの間における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に替えて、前記投影レンズの前記車両の前方側の表面における当該投影レンズの周辺部と対応する位置に配設されており、それぞれ前記主光源近傍に第1焦点が、前記反射部近傍に第2焦点が位置する回転楕円面を基調とすることが好ましい。
ここで、投影レンズの車両の前方側の表面とは、当該投影レンズにおいて主光源および反射部(副光源)から入射した光を出射する出射面のことである。
【0013】
このとき、第1リフレクタおよび第2リフレクタは、前記投射レンズの前記表面に反射膜として設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用前照灯によれば、投影レンズの後方側に立設された基板に、主光源および反射部が、当該主光源の下方に反射部を配置するように実装され、さらに主光源および反射部は、投影レンズの焦点近傍に位置するように配置されている。このため、本発明の車両用前照灯では、従来のように、リフレクタを投影レンズの上方に突出して当該投影レンズの上面を覆うように配置していた車両用前照灯に比べて、全体の大きさを小型化できる。
また、主光源および反射部から発せられる光が、それぞれ投影レンズを透過して車両前方に投影される際、投影レンズが光源像を光軸に対して上下対称に(すなわち、180度回転して)車両の幅方向(水平方向)へ拡散させる。このため、主光源の光を路面照射用の配光(例えば、すれ違い配光)として、反射部の光をオーバーヘッドサイン用の配光として利用することができ、それぞれ水平方向の視認性に優れた拡散タイプの配光を得ることができる。よって、各国の配光規格で定められたオーバーヘッドサイン用の配光規格を満足させることができる。
かくして、本発明の車両用前照灯によれば、車両用前照灯の大型化を回避しつつ、必要な配光特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用前照灯を概略的に示す斜視図である。
図2】(a)図1の車両用前照灯を示す上面図、(b)図1の車両用前照灯を示す正面図である。
図3】(a)図1の車両用前照灯におけるA−A断面を示す断面図、(b)図1の車両用前照灯における基板を示す正面図である。
図4図1の車両用前照灯における配光パターンを示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る車両用前照灯を概略的に示す斜視図である。
図6】(a)図5の車両用前照灯を示す上面図、(b)図5の車両用前照灯を示す正面図である。
図7】(a)図5の車両用前照灯におけるB−B断面を示す断面図、(b)図5の車両用前照灯における基板を示す正面図である。
図8図5の車両用前照灯における配光パターンを示す模式図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る車両用前照灯を概略的に示す斜視図である。
図10】(a)図9の車両用前照灯を示す上面図、(b)図9の車両用前照灯を示す正面図である。
図11】(a)図9の車両用前照灯におけるC−C断面を示す断面図、(b)図9の車両用前照灯における基板を示す正面図である。
図12図9の車両用前照灯における配光パターンを示す模式図である。
図13図9の車両用前照灯におけるC−C断面を示す断面図であり、(a)は主光源から出射された光の配光イメージを示す模式図、(b)は反射部で反射された光の配光イメージを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用前照灯1を概略的に示す斜視図であり、図2(a)は、図1の車両用前照灯1を示す上面図、(b)は、図1の車両用前照灯1を示す正面図である。図3(a)は、図1の車両用前照灯1におけるA−A断面を示す断面図、(b)は、図1の車両用前照灯1における基板6を示す正面図であり、図4は、図1の車両用前照灯1における配光パターンを示す模式図である。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用前照灯1から見た方向、つまり当該車両用前照灯1が搭載される車両から見た方向を意味するものとする。また、以下の説明では、車両用前照灯1をヘッドランプに適用する場合について述べるが、本発明はこれに限ることはなく、フォグランプ(補助前照灯)等の車両の前部に搭載される灯具に広く適用できるのは言うまでもない。
【0018】
図1および図2に示すように、かかる車両用前照灯1は、図示しない車両の前部に搭載されるヘッドランプに用いられる、所謂ダイレクトプロジェクション型のランプユニットであり、光源部2とレンズ部3とに大別される。そして、このランプユニットは、不図示のランプユニットハウジング内に配設されている。
光源部2は、複数の発光素子(図示省略)からなり左右に横長に配置された主光源4と、この主光源4よりも少数の発光素子からなり上下に延在して配置された副光源5と、これら主光源4および副光源5が実装される基板6と、当該基板6を保持する保持部7と、を有している。ここで、発光素子とは、半導体型の発光素子であるLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等を意味するが、本発明はこれに限らず、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子等、この他種々の発光素子であっても良い。
【0019】
また、レンズ部3は、中央部が前方に向かって凸形状をなす投影レンズ3aを有し、その左右両側部に後方に向かって延在するように脚部3b,3bが設けられている。具体的に、脚部3b,3bは、それぞれ側面から見て略L字状をなし、当該L字の底面部分を介して光源部2の保持部7に取り付けられている。詳細には、当該保持部7の基板6を保持する前面側に、当該基板6の前方を投影レンズ3aで覆うように取り付けられている。
【0020】
また、保持部7は、基板6の主光源4および副光源5が実装される前方側とは反対の後方側(すなわち、車両搭載位置における車体側)に、これら主光源4および副光源5の発光に起因して生じる熱を放熱するためのヒートシンク7aが一体的に形成されている。このため、このように構成されたランプユニットとしての車両用前照灯1では、ヒートシンク7aをランプユニットハウジング外に配設することにより、車両に搭載された状態において、当該ヒートシンク7aに車両走行時の走行風を当て、主光源4および副光源5の発光に起因して生じる熱を速やかに放熱させることができる。従って、ランプユニットハウジング内における熱の放熱性を向上させることが可能となっている。
【0021】
具体的に、光源部2は、主光源4および副光源5を実装した基板6が、投影レンズ3aの後方側に主光源4および副光源5を前方に向けた状態で保持部7に取り付けられている。すなわち、光源部2は、車両に取り付けられた状態において、投影レンズ3aの後方側に主光源4および副光源5を前方に向けた状態で保持部7と共に立設されている。
また、副光源5は、図3(a),(b)に示すように、基板6上において主光源4の下方に配置されており、基板6は、主光源4および副光源5が投影レンズ3aの焦点F1近傍に位置するように配置されている。
【0022】
このとき、主光源4の下端が、投影レンズ3aの焦点F1に位置することが望ましい。これにより、当該主光源4から出射される光が投影レンズ3aを透過して車両前方に照射されることで路面照射用の配光(すれ違い配光P1)を形成する際、当該すれ違い配光P1に、上端が水平なカットオフラインを形成することができるようになっている。
【0023】
一方、レンズ部3は、図1図3(a)に示すように、車両の前後方向に延在する光軸X上に配設され、主光源4および副光源5から出射される光を入射して、車両の前方に投影する投影レンズ3aを備えている。当該投影レンズ3aは、正面から見て左右方向に広がった略楕円形状をなし、後方へ向けて開口するように、左右両側部にそれぞれ略L字状の脚部3b,3bを有して構成されている。そして、これら脚部3b,3bを介して保持部7に取り付けられている。
【0024】
以上、説明したように、本実施形態の車両用前照灯1では、投影レンズ3aの後方側に立設された基板6に、主光源4および副光源5が、当該主光源4の下方に副光源5を配置するように実装され、これら主光源4および副光源5が、投影レンズ3aの焦点F1近傍に位置するように配設されている。このため、従来の車両用前照灯のように、リフレクタを投影レンズの上方に突出して当該投影レンズの上面を覆うように配置していたものに比べて、車両用前照灯1全体としての大きさを小型化できる。
また、主光源4および副光源5から出射される光が、それぞれ投影レンズ3aを透過して車両前方に投影される際、投影レンズ3aが図4に示すように、光源像を光軸Xに対して上下対称に(すなわち、180度回転して)車両の幅方向(水平方向)へ拡散させる。このため、主光源4の光を路面照射用の配光(例えば、すれ違い配光P1)として、副光源5の光をオーバーヘッドサイン用の配光P2として利用することができ、それぞれ水平方向の視認性に優れた拡散タイプの配光を得ることができる。よって、各国の配光規格で定められたオーバーヘッドサイン用の配光規格を満足させることができる。
かくして、本実施形態の車両用前照灯1によれば、車両用前照灯1の大型化を回避しつつ、必要な配光特性(すれ違い配光P1、オーバーヘッドサイン用の配光P2)を得ることができる。
【0025】
このとき、主光源4の下端が投影レンズ3aの焦点F1に位置することにより、当該主光源4から出射される光が投影レンズ3aを透過して車両前方に照射されることで路面照射用の配光であるすれ違い配光P1を形成する際、当該すれ違い配光P1に、上端がシャープなカットオフラインを形成することができる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図5図8を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1図3との対応部分に同一符号を付した図5図7に示すように、本実施形態の車両用前照灯10では、上述した第1実施形態の車両用前照灯1における副光源5の位置に、当該副光源5に替えて反射部21を設けると共に、基板6と投影レンズ3aとの間における当該投影レンズ3aの周辺部と対応する位置に、リフレクタ部31を設けている。すなわち、本実施形態の車両用前照灯10は、これら反射部21、リフレクタ部31の構成を除き、上述した第1実施形態の車両用前照灯1とほぼ同様に構成されているため、重複した説明は割愛する。
【0028】
具体的に、この車両用前照灯10は、基板6において、主光源4の下方に反射部21が設けられており、当該反射部21は、主光源4から出射された光を入射すると、当該光を所定の角度範囲に拡散させて反射させるようになっている。
【0029】
また、リフレクタ部31は、光軸Xに対して上下両側に離間して配置される第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bを有している。かかる第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bは、この場合、一体的に形成され、レンズ部30とほぼ同様の外形をなしており、当該レンズ部30の内部側(光源部20側)に配置され、脚部31c,31cを介してレンズ部30と共に保持部7に取り付けられている。このとき、中央部の投影レンズ3aと対峙する位置は、中心側が正面から見て左右方向に広がった略楕円形状をなす開口部3dとなっている。このため、上方側が第1リフレクタ31a、下方側が第2リフレクタ31bをなすようになっている。
【0030】
詳細には、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bは、回転楕円面を基調とするような形状からなり、基板6と投影レンズ3aとの間における当該投影レンズ3aの周辺部と対応する位置に配設されている。これにより、主光源4から出射されて投影レンズ3aに入射する光のうち、当該投影レンズ3aの周辺部を透過する光を遮るようになっている。また、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bは、それぞれ主光源4近傍に第1焦点F2が、反射部21近傍に第2焦点F3が位置した状態で配置されている。そして、それぞれ主光源4から出射された光を入射して反射部21へ向けて反射させるようになっている。
なお、ここでは、リフレクタ部31が一体で形成される場合について述べたが、本発明はこれに限定されることはない。つまり、当該第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bをそれぞれ別体に形成し、それぞれ上述した位置に配置するようにしても良い。
【0031】
以上、説明したことにより、本実施形態の車両用前照灯10では、主光源4から出射される光の一部が、投影レンズ3aを透過して車両の前方に投影されることで、路面照射用の配光としてのすれ違い配光P10(図8参照)を得ることができる。このとき、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bが投影レンズ3aの上下方向に突出して配置されることはないため、従来のものに比べて、車両用前照灯10の大型化を回避することができる。
【0032】
また、主光源4から出射される光の他の一部が、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bのうちの少なくとも一方によって反射部21へ向けて反射され、当該反射部21が入射した光を拡散させる。このとき、反射部21は擬似的な発光面として機能する。すなわち、上述した第1実施形態における副光源5(図1図3参照)としての役割を果たす。これにより、反射部21によって拡散された光の一部が投影レンズ3aを透過して車両の前方に投影されることで、オーバーヘッドサイン用の配光P11(図8参照)を得ることができる。つまり、本実施形態の車両用前照灯10では、すれ違い配光P10およびオーバーヘッドサイン用の配光P11などの必要な配光特性を得ることができる。
【0033】
ところで、このような車両用前照灯では、主光源4から出射された光(白色光)は、短波長光よりも長波長光の方が屈折し難いために、投影レンズ3aにおける光の屈折角が大きい周辺部において、短波長光と長波長光とに分離(色分光)してしまう。その結果、投影レンズ3aから光が出射される際、当該投影レンズ3aの周辺部からは、短波長の青みがかった光が投影レンズ3aの中央側に出射され、長波長の赤みがかった光が投影レンズ3aの外方側に出射される。
【0034】
そして、このような状態で投影レンズ3aの周辺部から出射された光のうち、投影レンズ3aの外方側に出射される赤みがかった光は、投影レンズ3aの中央部から出射される白色光に紛れて目立たないものの、投影レンズ3aの中央側に出射される青みがかった光は、そのまま配光パターンに投影されてしまうため、当該配光パターンは、中央側ほど青みがかった色ムラのあるものとなってしまう。
【0035】
そこで、本実施形態の車両用前照灯10では、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bが、基板6と投影レンズ3aとの間における当該投影レンズ3aの周辺部と対応する位置に配設されると共に、それぞれ主光源4近傍に第1焦点F2が、反射部21近傍に第2焦点F3が位置しており、主光源4から出射されて投影レンズ3aに入射する光のうち、当該投影レンズ3aの周辺部を透過する光を遮るように配設されている。このため、主光源4から出射される光が投影レンズ3aを透過する際に、色分光し易い投影レンズ3aの周辺部を通ることのないように遮ることで、当該投影レンズ3aの周辺部への光の入射を格段と減少させることができる。すなわち、主光源4から出射された光が投影レンズ3aを透過する際に生じる色分光を低減でき、結果として、投影される配光パターン(例えば、すれ違い配光P10)としての光源像に生じる色ムラを格段と減少させることができる。
【0036】
また、当該投影レンズ3aの周辺部を通る光を第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bへ反射させて利用することで、オーバーヘッドサイン用の配光P11として有効活用することもできる。よって、この場合、主光源4から出射される光の利用率を向上させつつ、色ムラの少ない配光パターンを得ることができる。
【0037】
このとき、少なくとも反射部21の外縁付近が黒色塗装されていることが好ましい。これにより、反射部21とその周囲とのコントラストを大きくすることができるため、当該反射部21の周囲の反射率を低い状態にすることができ、意図しない方向へ光が反射することを未然に防止することができる。
【0038】
しかも、反射部21は、樹脂等の部材にシルバー塗装(銀色塗装)を施すことで構成されるようにすれば、入射する光を所定の角度範囲に拡散して反射させることが可能な反射部21を簡単な構成で実現することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した第1および第2実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、種々の改良および設計の変更が可能である。
【0040】
例えば、上述した第2実施形態においては、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bが、基板6と投影レンズ3aとの間における当該投影レンズ3aの周辺部と対応する位置に配設される場合について述べたが、一例であってこれに限ることはない。
【0041】
すなわち、図5図7との対応部分に同一符号を付した図9図11に示す車両用前照灯100のように、第1リフレクタ31aおよび第2リフレクタ31bを上述した第2実施形態における配置に替えて、投影レンズ3aの車両の前方側の表面における当該投影レンズ3aの周辺部と対応する位置に、それぞれ配置される第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bを有するリフレクタ部301として設けるようにしても良い。この場合も上述した第2実施形態と同様に、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bは、回転楕円面を基調とするような形状であり、それぞれ主光源4近傍に第1焦点F4が、反射部21近傍に第2焦点F5が位置するように配置されている。
ここで、投影レンズ3aの車両の前方側の表面とは、当該投影レンズ3aにおいて主光源4および反射部21から入射した光を出射する出射面のことである。
【0042】
また、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bは、投射レンズ3aの表面に塗装やめっき等の手法を用いて被膜形成される反射膜として設けられることが好ましい。
【0043】
これにより、かかる車両用前照灯100では、図13(a)に示すように、主光源4から出射される光の一部(L1〜L3)が、投影レンズ3aを透過して車両の前方に投影されることで路面照射用の配光としてのすれ違い配光P100(図12参照)を得ることができる。
このとき、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bが、投射レンズ3aの表面に塗装やめっき等の手法を用いて被膜形成される反射膜として設けられることより、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bを、投影レンズ3aの表面に、直接、反射膜として被膜形成する分、従来のように、リフレクタを投影レンズの上方に突出して当該投影レンズの上面を覆うように配置していた車両用前照灯に比べて、車両用前照灯100の大型化を確実に回避することができる。
【0044】
また、図13(b)に示すように、主光源4から出射される光の他の一部が、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bのうちの少なくとも一方によって反射部21へ向けて反射され、当該反射部21が入射した光を拡散させる。このとき、反射部21は擬似的な発光面として機能する。すなわち、反射部21が、上述した第1実施形態における副光源5(図1図3参照)としての役割を果たす。これにより、反射部21によって拡散された光の一部(L4,L5)が投影レンズ3aを透過して車両の前方に投影されることで、オーバーヘッドサイン用の配光P101(図12参照)を得ることができる。つまり、この場合も上述した第2実施形態の車両用前照灯10と同様に、すれ違い配光P100およびオーバーヘッドサイン用の配光P101などの必要な配光特性を得ることができる。
【0045】
しかも、第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bによって、主光源4から出射される光が投影レンズ3aを透過する際に、色分光し易い投影レンズ3aの周辺部を通ることのないように遮ることで、当該主光源4から出射された光が投影レンズ3aを透過する際に生じる色分光を低減でき、結果として、投影される配光パターン(例えば、すれ違い配光P100)としての光源像に生じる色ムラを格段と減少させることができる。
【0046】
また、当該投影レンズ3aの周辺部を通る光を第1リフレクタ301aおよび第2リフレクタ301bへ反射させて利用することで、オーバーヘッドサイン用の配光P101として有効活用することもできる。よって、この場合においても、主光源4から出射される光の利用率を向上させつつ、色ムラの少ない配光パターンを得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1、10、100…車両用前照灯
2、20…光源部
21…反射部
3、30、300…レンズ部
3a…投影レンズ
31、301…リフレクタ部
31a、301a…第1リフレクタ
31b、301b…第2リフレクタ
4…主光源
5…副光源
6…基板
7…保持部
7a…ヒートシンク
X…光軸
図1
図2
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図13