(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(A)のハイドロゲル粒子において、油性成分の固体脂が、高級アルコール及び固形パラフィンを含むと共に、油性成分中の含有量が1〜12質量%である請求項1又2記載の水中油型乳化化粧料。
成分(A)のハイドロゲル粒子において、内部に分散している酸化チタン粒子が、表面活性抑制処理が施されている請求項1〜4のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
成分(E)の水溶性増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロース及び/又は(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーである請求項1〜8のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のハイドロゲル粒子は、ゲル形成剤、油性成分、酸化チタンを含有又は包含する。好ましくは、非架橋型ハイドロゲルの連続相とその連続相に分散した分散相とを備えており、分散相のそれぞれは、油性成分を含有し、油性成分は好ましくは固体脂及び液体油を含有する。また、成分(A)のハイドロゲル粒子は、粒子中に酸化チタンの粒子を分散させて包含しており、好ましくは、酸化チタンを分散相に油性成分とともに包含している。さらに、(A)のハイドロゲル粒子中の油性成分の固体脂は、高級アルコール及び固形パラフィンを含むことが好ましく、固体油は、成分(A)における油性成分中の含有量が1〜12質量%であるのが好ましい。
【0009】
ここで、「ハイドロゲル粒子」とは、ハイドロゲル中に油性成分を含有する分散相を分散させた1個乃至複数個の粒子をいう。なお、ハイドロゲル粒子の概念には、外層である外皮と内層である芯成分とからなる、内層と外層とが同心状のカプセルは含まれない。また、「ハイドロゲル」とは、水を溶媒としてゲル形成剤から得られたゲルをいう。
【0010】
ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は10〜300μmが好ましく、外観及び生産性の観点から、10〜250μmがより好ましく、30〜150μmが更に好ましい。なお、ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、型番:LA−910)を用いたレーザ回折散乱法によって測定することができる。
【0011】
ハイドロゲル粒子の形状は、特に限定されるものではないが、曲面で構成された回転体の形状を有することが好ましい。ここで、「曲面で構成された回転体」とは、仮想軸及び連続的な曲線で構成された閉じた図を仮想軸で回転させたものをいい、三角錐や円柱等の平面を有する形状は含まない。ハイドロゲル粒子の形状は、美観の観点から、球状体であることがより好ましい。
【0012】
成分(A)のハイドロゲル粒子は、非架橋型ハイドロゲルの連続相を備えていることが好ましい。ハイドロゲル粒子における連続相の含有量は、ハイドロゲル粒子の化粧料への配合時の崩壊を防止する観点から、30〜99質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
【0013】
「非架橋型ハイドロゲル」とは、ゾル−ゲルの熱可逆性によってゲル化が生じるものをいう。非架橋型ハイドロゲルは、水への溶解温度が一般に75℃以上のものが好ましく、75〜90℃のものがより好ましく、また、水に溶解させた後に冷却したときのゲル化温度が30〜45℃のものが好ましい。
【0014】
また、ハイドロゲル粒子において、連続相を構成する非架橋型ハイドロゲルは、水性成分としてのゲル形成剤と水とを含んでいる。
ゲル形成剤は、寒天、カラギーナン及びゼラチンから選ばれるものである。ゲル形成剤は、これらのうち単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。ゲル形成剤としては、これらの中では寒天が好ましい。
非架橋型ハイドロゲルのゼリー強度は、化粧料等に適用した場合の使用時の感触の観点から、147kPa(1500g/cm
2)以下であることが好ましく、19.6kPa(200g/cm
2)〜127kPa(1300g/cm
2)であることがより好ましい。ゼリー強度は、日寒水式法により求めることができる。具体的には、ゼリー強度は、ゲル形成剤の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm
2あたりの最大質量(g)として求めることができる。
【0015】
ハイドロゲル粒子におけるゲル形成剤の含有量は、使用時の感触が良好であり、ハイドロゲル粒子の化粧料への配合時の崩壊を防止するという観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、ゲル形成剤のハイドロゲル粒子における含有量は、使用時の感触が良好であり、ハイドロゲル粒子の化粧料への配合時の崩壊を防止するという観点から、8.0質量%以下が好ましく、7.0質量%以下がより好ましく、6.0質量%以下がさらに好ましく、5.0質量%以下が特に好ましい。
【0016】
ハイドロゲル粒子は連続相に分散した分散相を備えていることが好ましい。この分散相は、ハイドロゲル粒子中に複数個存在している。
ハイドロゲル粒子における分散相の含有量は、ハイドロゲル粒子の化粧料への配合時の壊れの防止の観点から、1〜70質量%であることが好ましく、7.5〜70質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましく、20〜60質量%であることが特に好ましい。
【0017】
分散相の体積基準平均粒子径は、ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径の1/10以下であることが好ましい。具体的には、分散相の体積基準平均粒子径は、皮膚上で滑らかに延ばすことができるという観点から、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。また、分散相の体積基準平均粒子径は、皮膚へのなじみ性が良好であるという観点から、0.01μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。以上より、分散相の体積基準平均粒子径は、0.01〜100μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましく、4〜100μmであることがさらに好ましく、5〜50μmであることが特に好ましく、5〜20μmであることが最も好ましい。なお、分散相の体積基準平均粒子径は、粒子化前の分散液の状態で、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、型番:LA−910)を用いて測定することができる。
【0018】
成分(A)のハイドロゲル粒子は油性成分を含有し、油性成分はハイドロゲル粒子中の各分散相に含まれていることが好ましい。
油性成分の全分散相における総含有量は、使用時における感触が良好であるという観点から、1〜99質量%であることが好ましく、50〜99質量%であることがより好ましい。
成分(A)のハイドロゲル粒子における油性成分の総含有量は、使用時の感触が良好であり、ハイドロゲル粒子の化粧料への配合時の崩壊を防止するという観点から、0.01〜60質量%であることが好ましく、7.5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることがさらに好ましい。
【0019】
油性成分の融点は、40〜90℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。なお、油性成分の融点は、示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimetry)によって測定することができる。後述の固体脂や液体油の融点もこれによって測定することができる。
【0020】
成分(A)に含まれる油性成分は、固体脂及び液体油を含有することが好ましい。
「固体脂」とは、融点が35℃以上の油性成分をいい、「液体油」とは、融点が35℃未満の油性成分をいう。
成分(A)に含まれる油性成分における固体脂の含有量は1〜12質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、4〜10質量%であることがさらに好ましい。
成分(A)における油性成分に含まれる固体脂全体の融点は、35℃以上であることが好ましく、40〜120℃であることがより好ましい。
【0021】
成分(A)に含まれる固体脂は、固体の高級アルコール及び固形パラフィンを含むのが好ましい。その結果、ハイドロゲル粒子は、分散相の表面に上記固体脂の封鎖膜が形成され、少量の固体脂でも酸化チタン粒子が分散相中に安定して存在し得ると考えられる。このように、固体の高級アルコール及び固形パラフィンを含む固体脂を用いることで、酸化チタン粒子がハイドロゲル粒子から漏出して他の配合成分と反応するといった不都合、および、塗布時ののびが悪く、また、塗布後の感触がべたつくといった不具合を回避することができる。
【0022】
成分(A)に含まれる固体の高級アルコールとしては、分子中の炭素数が14〜32であるものが好ましく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、アラキディルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。固体の高級アルコールは、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。固体の高級アルコールは、これらの中では分子中の炭素数が14〜22であるセチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキディルアルコール、ベヘニルアルコールを含むことがより好ましく、これらの高級アルコールを2種類以上含んでいることがさらに好ましい。高級アルコールの油性成分における含有量は1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
【0023】
成分(A)に含まれる固形パラフィンとしては、例えば、JIS K 2235に記載されているパラフィンワックスや、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、軟ロウ、日本薬局方のパラフィン等が挙げられる。固形パラフィンは、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。固形パラフィンの油性成分における含有量は1〜10質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。
【0024】
成分(A)中の油性成分が含むことができるその他の固体脂としては、例えば、固体のセラミド、固体のスフィンゴ脂質、ワセリン、固体のシリコーン、固体の油剤、固体の香料等が挙げられる。
【0025】
成分(A)中の分散相における液体油の含有量は、分散相中に40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
成分(A)中の油性成分に含まれる液体油全体の融点は、35℃未満であることが好ましい。
液体油としては、例えば、液体の皮膚保護剤、液体の油剤、液体の香料等が挙げられる。液体油は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
【0026】
液体の皮膚保護剤は、皮膚を柔軟にしたり、或いは、平滑にすることにより、肌荒れを防止する成分である。液体の皮膚保護剤としては、例えば、液体のパラフィン、液体のエステル油、液体の高級アルコール、液体のスクワラン、液体のグリセライドなどの液体油脂類;セチロキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミドなどの液体のセラミド;1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3−イソステアリルオキシ−2−プロパノールなどの液体のスフィンゴ脂質が挙げられる。液体の皮膚保護剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
成分(A)中の油性成分における液体の皮膚保護剤の含有量は10〜99質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましい。
【0027】
成分(A)に含まれる液体の油剤としては、例えば、液体の炭化水素油、液体の植物油、液体の脂肪酸等;液体のエチレングリコールジ脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数は12〜36)、液体のジアルキルエーテル(炭素数は12〜36)などの液体の油脂類;液体のシリコーン類等が挙げられる。液体の植物油としては、例えば、大豆油、ヤシ油、パーム核油、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油等が挙げられる。液体の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、カプリル酸等が挙げられる。液体のシリコーン類としては、シラノール骨格を有するものであればよく、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
また、液体の油剤として、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどの有機紫外線吸収剤も挙げられる。
液体の油剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
成分(A)中の油性成分における液体の油剤の含有量は10〜99質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましい。
【0028】
液体の香料としては、従来から使用されている一般的なものが挙げられる。液体の油剤は、単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。
油性成分における液体の香料の含有量は10〜99質量%であることが好ましく、20〜95質量%であることがより好ましい。
【0029】
液体油としては、液体の油剤である液体のシリコーン類を含むことがより好ましい。
【0030】
成分(A)のハイドロゲル粒子は、酸化チタンを含有又は包含しており、酸化チタンは紫外線防御能を有し、ハイドロゲル粒子中の各分散相内部に含まれて、ハイドロゲル粒子中に分散していることが好ましい。酸化チタン粒子の成分(A)中の分散相における含有量は、紫外線防御能の観点から、5〜60質量%であることが好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
成分(A)のハイドロゲル粒子における酸化チタン粒子の総含有量は、紫外線防御能の観点から、0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%であることがさらに好ましい。
【0031】
酸化チタン粒子は紫外線防御能を有するが、「紫外線防御能を有する」とは、領域が280〜400nmの範囲の紫外線、特に280〜340nmのUVB、UVAIIを吸収又は散乱する効果を有することを意味する。
【0032】
成分(A)に含まれる酸化チタン粒子の一次粒子の平均粒子径は、塗布時の使用感の観点から、0.001μm以上であることが好ましく、0.005μm以上であることがより好ましく、0.01μm以上であることがさらに好ましい。また、平均粒子径は、化粧料を塗布したときの透明性の観点から0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.06μm以下であることがさらに好ましい。なお、特に指定のない限り、平均粒子径は、電子顕微鏡写真で測定した粒子径の数平均値である。
【0033】
酸化チタン粒子は、その粒子表面に表面活性抑制処理が施されていないものであってもよく、また、その粒子表面に表面活性抑制処理が施されて、粒子表面に表面活性を抑制する表面活性抑制剤が付着したものであってもよい。
表面活性抑制剤としては、例えば、水酸化アルミニウム(或いはアルミナ)、含水ケイ酸、シリコーン(メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのアルキルシラン; トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどのフルオロアルキルシラン)、脂肪酸(パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸など)、脂肪酸石鹸(ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸など)、脂肪酸エステル(デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステルなど)等が挙げられる。酸化チタン粒子は、その粒子表面に表面活性抑制処理としてシリコーン処理が施されていることが好ましい。
【0034】
成分(A)のハイドロゲル粒子は、塗布時ののびが良く、塗布後のべたつき感を抑える点から、分散相における固体脂の含有量が1〜12質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
【0035】
成分(A)における連続相は、非架橋型ハイドロゲルのゲル形成剤及び水以外に、特開2000−126586号公報に記載の糖類、多価アルコール、水溶性高分子化合物、水溶性香料等の水溶性有機化合物の成分を含有していてもよい。
【0036】
また、成分(A)における連続相及び分散相のそれぞれは、着色剤、防腐剤等の成分を含有していてもよい。
着色剤としては、例えば、顔料及び染料が挙げられる。顔料としては、例えば、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の無機顔料、タール色素等の有機顔料が挙げられる。染料としては、例えば、油溶性染料、建染染料、レーキ染料等が挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、イソプロピルメチルフェノール、エタノール、フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸及びその塩類等が挙げられる。
【0037】
さらに、成分(A)の連続相及び分散相のそれぞれは、化粧品、医薬品、医薬部外品、食品等に用いられる保湿剤、制汗剤、抗菌剤、殺菌剤、粉体等の成分を含有していてもよい。
【0038】
成分(A)の連続相及び分散相のそれぞれは、紫外線防御能を有する酸化亜鉛粒子を含有していてもよい。酸化亜鉛粒子の一次粒子の平均粒子径は、塗布時の使用感の観点から、0.001μm以上であることが好ましく、0.005μm以上がより好ましく、0.01μm以上がさらに好ましい。また、平均粒子径は、化粧料を塗布したときの透明性の観点から、0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下がより好ましく、0.06μm以下がさらに好ましい。
【0039】
成分(A)のハイドロゲル粒子は、上記連続相及び分散相のほか、有機紫外線吸収剤、感触調整剤などの油剤を含有し且つ酸化チタン粒子を含有しない油性分散相を備えていてもよい。
【0040】
成分(A)のハイドロゲル粒子は、例えば、特開2010-150245号公報に記載の方法により、製造することができる。
すなわち、水中油型分散液を調製した後、その水中油型分散液から、一般的な滴下法、噴霧法、或いは、攪拌法により、製造することができる。ハイドロゲル粒子からの油性成分の漏出を抑制する観点から、滴下法、或いは、噴霧法で製造するのが好ましい。
水中油型分散液は、まず、連続相の構成成分である水性成分としてゲル形成剤をイオン交換水と混合し、その溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させることにより、連続相成分液を調製し、一方、分散相の構成成分を混合して加熱溶解させることにより分散相成分液を調製する。そして、ゲル化温度以上の温度で、連続相成分液と分散相成分液とを混合して、水中油型分散液を調製する。水中油型分散液を調製する際には、各種攪拌機、分散機等による公知の技術を用いることができる。また、水中油型分散液の安定性の観点から、連続相成分液及び/又は分散相成分液に乳化分散剤を添加することが好ましく、連続相成分液に乳化分散剤を添加することがより好ましい。
以上のようにして得られたハイドロゲル粒子は、そのまま、あるいは、必要に応じてさらに粉砕等により、微細なハイドロゲル粒子にして用いることができる。
【0041】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、紫外線防御効果の観点から、含有量は、全組成中に20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。そして、安定性の点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。また、成分(A)は、全組成中に20〜80質量%含有されるのが好ましく、25〜70質量%がより好ましく、30〜65質量%含有されるのが更に好ましい。
【0042】
本発明で用いる成分(B)の架橋型ジメチルポリシロキサンとしては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(INCI名)が好ましい。
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーは、常法に従って製造することができ、例えば、ジメトキシジメチルシロキサンとビニルジメチルメトキシシロキサンを脱アルコール縮合させた後、アゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤を用いて、付加重合させることにより製造することができる。
成分(B)は、低粘度シリコーン油と混合して膨潤させてペースト状になったものを用いるのが、本発明の効果をより十分に発揮することができ、好ましい。具体的には、25℃での動粘度が100mm
2/s以下のシリコーン油との混合物として使用するのが好ましく、シリコーン油としては、低重合度の直鎖状又は分岐状ジメチコン、環状のシクロシロキサン、メチルフェニルシロキサン、アルキル等による変性シリコーンなどが挙げられ、のびが軽く肌上での広がりが良い点で、25℃での動粘度が20mm
2/s以下の直鎖状又は分岐状ジメチコン、環状シリコーンが好ましい。より具体的には、20mm
2/s以下の直鎖状又は分岐状ジメチコンや、環状のシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサンが挙げられ、シリコーンKF−96(5CS)、シリコーンKF−96(10CS)、TMF−1.5(以上、信越化学工業社)、シリコーンSH200 Fluid 2CS、シリコーンSH200 Fluid 6CS、SH245 Fluid(以上、東レ・ダウコーニング社)、SF1258(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社)等が挙げられる。
【0043】
成分(B)としては、例えば、KSG−15、KSG−16、KSG−1610(信越化学工業社);9546 Silicone Elastomer Blend(東レ・ダウコーニング社);SFE−839(GE Silicones社);SUNGEL C7、SUNGEL CD20、SUNGEL D20、SUNGEL CP20、DC 1−9852(SUNJIN社);CHEMSIL K−61、CHEMSIL K−51(Thornley Company);Lotioncrafter EL51、Lotioncrafter EL61(Lotioncrafter社)等の市販品を用いることができる。
中でも、安定性、なめらかな塗布性の観点から、KSG−16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)が好ましい。
【0044】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、なめらかな塗布性能とファンデーションを重ね塗りする場合の化粧のりを得る観点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。そして、きしみ感の低減となめらかな塗布性を得る点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。また、成分(B)は、全組成中に0.01〜5質量%含有されるのが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜1.5質量%含有されるのが更に好ましい。
【0045】
成分(B)が、きしみ感を低減させることができる理由としては、成分(B)が架橋したポリマーであり、油相中で網目状に広がりながら、油相を膨潤させてペースト状にすることができることと関係があると考えられる。すなわち、本発明の水中油型乳化化粧料中に含有した成分(B)は、化粧料を肌に塗布すると、油相を抱えたまま(膨潤させたまま)肌の上に広がる。そして、網目状に広がった成分(B)と油相が肌の上に残るため、さらに塗布しても伸びが良くなる。そのため、きしみの要因と推測されるハイドロゲル粒子中の固体脂や酸化チタンなどがあっても、肌の上に広がった成分(B)の効果できしみ感を低減させることができると考えられる。
【0046】
また、成分(C)のポリエチレングリコールは、数平均分子量が400〜10000、製造性、水への溶解性の観点から、好ましくは400〜4000、より好ましくは600〜3000、更に好ましくは600〜2000のものである。
具体的には、ポリエチレングリコール1000(PEG−20)、ポリエチレングリコール1540(PEG−32)、ポリエチレングリコール2000(PEG−40)等が挙げられる。
これらのうち、なめらかな塗布性が得られる点から、ポリエチレングリコール1540(PEG−32)が好ましい。
【0047】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、なめらかな塗布性能を得る観点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。そして、なめらかな塗布性とべたつき抑制の両立の点から、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。また、成分(C)は、全組成中に0.01〜5質量%含有されるのが好ましく、0.05〜4質量%がより好ましく、0.1〜3質量%含有されるのが更に好ましい。
【0048】
本発明において、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合(A)/((B)+(C))は、化粧のりがより向上する点、及びみずみずしい感触の点から、6以上が好ましく、10以上がより好ましく、30以上が更に好ましい。そして、130以下が好ましく、120以下がより好ましく、110以下が更に好ましい。また、成分(A)、(B)及び(C)の質量割合(A)/((B)+(C))は、6〜130であるのが好ましく、10〜120がより好ましく、30〜110が更に好ましい。
【0049】
本発明で用いる成分(D)の油剤は、25℃で液状のものである。
具体的には、パラフィン、スクワラン、スクワレン等の炭化水素類;ツバキ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、オリーブ油等のトリグリセリドを主体とする天然動植物油;ホホバ油、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、フタル酸ジエチル、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸セチル、乳酸セチル、1−イソステアロイル−3−ミリストイルグリセロール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、ジ−パラメトキシケイヒ酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等のエステル油;アルキル−1,3−ジメチルブチルエーテル等のエーテル油;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ユーカリ油、ハッカ油等の精油等が挙げられる。
これらのうち、エステル油が好ましく、紫外線防御効果をより高めるため、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
【0050】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、塗布時ののびとしっとり感の点から、全組成中に5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、7質量%以上が更に好ましい。そして、油性感のなさからの点から、全組成中に20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)は、全組成中に5〜20質量%含有するのが好ましく、6〜18質量%がより好ましく、7〜16質量%含有するのが更に好ましい。
【0051】
成分(E)の水溶性増粘剤としては、例えば、カラギーナン、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルキチン、キトサン等が挙げられる。これらのうち、安定性の観点から、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、キサンタンガムが好ましく、塗布時の伸ばしやすさの点から、ヒドロキシエチルセルロース、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーがより好ましい。
ここで(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーとは、C10−30アルキルアクリル酸とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの低級アルキルエステルとの共重合体であって、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポールETD2020、カーボポール1342、カーボポール1382(以上、Lubrizol Advanced Materials 社)等の市販品を用いることができる。
【0052】
また、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーなどの酸型の水溶性増粘剤は、水酸化カリウム等を中和剤として用い、水溶性ないし水分散性の塩として用いるのが好ましい。
【0053】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、安定性の点から、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。そして、塗布時の伸ばしやすさの点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。また、成分(E)は、全組成中に0.01〜5質量%含有されるのが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%含有されるのが更に好ましい。
【0054】
本発明で用いる成分(F)の水の含有量は、塗布時のみずみずしさの点から、全組成中に、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。また、水は全組成中に、10〜60質量%含有されるのが好ましく、20〜55質量%がより好ましく、25〜50質量%含有されるのが更に好ましい。
本発明は、成分(A)のハイドロゲル粒子を含有していても、成分(B)、(C)、(D)及び(E)を併用することにより、塗布時にダマになりにくく滑らかな塗布性を実現し、かつ、塗布後のファンデーションの塗布性も良好となる。
【0055】
本発明の水中油型乳化化粧料は、更に(G)平均粒径1〜15μmの粉体を含有することができ、肌の凹凸や毛穴を目立たなくさせることができる。かかる粉体は、粉体の凝集を抑制して、色むら(付着むら)のない仕上がり、良好な使用感を得る観点から、平均粒径2〜12μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
ここで、平均粒径は、エタノールを溶媒とし、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定された体積基準平均粒径をいう。
【0056】
成分(G)の粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0057】
これらのうち、シリコーン樹脂が好ましく、使用時にきしみ感がない点から、ポリメチルシルセスキオキサンが好ましい。
ポリメチルシルセスキオキサンは、メチルトリメトキシシロキサンをアルカリ水溶液中で乳化重合させた固形物であり、例えば、トスパール145A、トスパール150KA等のトスパールシリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)等の市販品を好適に用いることができる。
【0058】
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、ダマの発生やきしみを低減し、毛穴をぼかす点から、全組成中に0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。そして、塗布時の伸ばしやすさの点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、成分(G)は、全組成中に0.01〜5質量%含有されるのが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%含有されるのが更に好ましい。
【0059】
本発明の水中油型乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性成分、非イオン界面活性剤等の界面活性剤、水溶性及び油溶性ポリマー、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0060】
本発明の水中油型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、加熱した成分(F)の一部に、成分(C)を加えて均一にし、水相を調製する。油相として、成分(D)に(B)、(E)、(G)を加え、ディスパーで攪拌して分散させる。室温まで冷却した水相に、油相成分の混合物とその他成分及び成分(F)の残りを攪拌しながら徐々に添加して乳化し、さらに、成分(A)を加えて分散させ、水中油型乳化化粧料を得ることができる。
【0061】
剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状が挙げられ、乳液状が好ましい。
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、日焼け止め化粧料がより好ましい。
【0062】
本発明の水中油型乳化化粧料は、塗布のしやすさ及び製剤安定性の点から、25℃における粘度が20000〜120000mPa・sであるのが好ましく、25000〜100000mPa・sがより好ましく、30000〜80000mPa・sであるのが更に好ましい。ここで、粘度はB8R型ヘリカル型粘度計(ローターT-C、10rpm、1分、25℃)で測定した値である。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0063】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F):
(A)寒天、カラギーナン及びゼラチンから選ばれるゲル形成剤、油性成分、並びに酸化チタンを含有するハイドロゲル粒子 20〜80質量%、
(B)架橋型ジメチルポリシロキサン 0.01〜5質量%、
(C)数平均分子量が400〜10000のポリエチレングリコール 0.01〜5質量%、
(D)25℃で液状の油剤 5〜20質量%、
(E)水溶性増粘剤 0.01〜5質量%、
(F)水
を含有する水中油型乳化化粧料。
【0064】
<2>成分(A)及び(B)の質量割合(A)/((B)+(C))が、6〜130であって、10〜120が好ましく、30〜110がより好ましい前記<1>記載の水中油型乳化化粧料。
<3>成分(A)のハイドロゲル粒子において、油性成分の固体脂が、高級アルコール及び固形パラフィンを含むと共に、油性成分中の含有量が1〜12質量%である前記<1>又は<2>記載の水中油型乳化化粧料。
<4>成分(A)のハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径が10〜300μmである前記<1>〜<3>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<5>成分(A)のハイドロゲル粒子において、内部に分散している酸化チタン粒子が、表面活性抑制処理が施されている前記<1>〜<4>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0065】
<6>成分(A)のハイドロゲル粒子において、表面活性抑制処理がシリコーン処理である前記<5>記載の水中油型乳化化粧料。
<7>成分(A)のハイドロゲル粒子において、油性成分に含まれる液体油の融点が35℃未満である前記<1>〜<6>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<8>成分(A)の含有量が、全組成中に20〜80質量%であって、25〜70質量%が好ましく、30〜65質量%がより好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0066】
<9>成分(B)が、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーである前記<1>〜<8>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<10>成分(B)の含有量が、全組成中に0.01〜5質量%であって、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜1.5質量%がより好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<11>成分(C)が、ポリエチレングリコール1000(PEG−20)、ポリエチレングリコール1540(PEG−32)及びポリエチレングリコール2000(PEG−40)から選ばれる1種または2種以上である前記<1>〜<10>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<12>成分(C)の含有量が、全組成中に0.01〜5質量%であって、0.05〜4質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい前記<1>〜<11>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0067】
<13>成分(D)の油剤が、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルを含む前記<1>〜<12>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<14>成分(D)の含有量が、全組成中に5〜20質量%であって、6〜18質量%が好ましく、7〜16質量%がより好ましい前記<1>〜<13>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0068】
<15>成分(E)の水溶性増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロース及び/又は(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーである前記<1>〜<14>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<16>成分(E)の含有量が、全組成中に0.01〜5質量%であって、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0069】
<17>さらに、(G)平均粒径1〜15μm、好ましくは2〜12μm、より好ましくは3〜10μmの粉体を含有する前記<1>〜<16>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<18>成分(G)が、ポリメチルシルセスキオキサンである前記<17>記載の水中油型乳化化粧料。
<19>成分(G)の含有量が、全組成中に0.01〜5質量%であって、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい前記<17>又は<18>記載の水中油型乳化化粧料。
【実施例】
【0070】
製造例1
固体脂として、高級アルコール(花王社製、商品名:KALCOL220−80、融点72℃、炭素数18〜22の混合物、ベヘニルアルコール含有量80質量%以上)、及び固形パラフィン(SONNEBORN社製 商品名:Multiwax835)、液体油として、ポリグリセリン変性シリコーン(信越化学工業社製 商品名:KF−6104)、及びシクロペンタシロキサン(信越化学工業社製 商品名:KF−995、融点−40℃)(以上、油性成分)、並びに疎水化処理酸化チタン微粒子(表面活性抑制剤としてシリコーンにより表面処理されたもの)を含む分散相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子における含有量が、高級アルコール1.0質量%、固形パラフィン1.0質量%、ポリグリセリン変性シリコーン2.45質量%、シクロペンタシロキサン20.3質量%、及び疎水化処理酸化チタン微粒子12.25質量%となるように配合を行った。各成分の分散相成分液における含有量は、高級アルコール2.70質量%、固形パラフィン2.70質量%、ポリグリセリン変性シリコーン6.62質量%、シクロペンタシロキサン54.9質量%、及び疎水化処理酸化チタン微粒子33.1質量%である。従って、固体脂の分散相成分液における含有量は5.4質量%である。また、固体脂の油性成分における含有量は8.08質量%である。
【0071】
寒天(伊那食品工業社製 商品名:UP−16、ゼリー強度58.8kPa)、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製 商品名:ゴーセノールEG−05)、多糖誘導体(花王社製 商品名:SPS−S、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルステアリルエーテルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム)、及び精製水を含む連続相成分(水性成分)液を調整した。このとき、得られるハイドロゲル粒子における含有量が、寒天1.0質量%、ポリビニルアルコール0.5質量%、多糖誘導体0.1質量%、及び精製水その他残部となるように配合を行った。
【0072】
分散相成分液と連続相成分液とを質量比37:63の割合となるように合計3000g準備し、分散相成分液を80℃及び連続相成分液を90℃でそれぞれ加熱溶解させた後、80℃の分散相成分液と80℃に冷却した連続相成分液とをアンカー式攪拌機を用いて攪拌混合し、それらの混合液を得た。
次いで、この混合液を乳化機〔特殊機化社製 商品名:T.K.ホモミクサーMARKII2.5型〕を用いて回転数10000rpmで3分間攪拌して水中油型分散液を調製した。
【0073】
得られた水中油型分散液を80℃にし、10kg/hrの流量で噴霧ノズル(スプレーイングシステム社製 商品名:SUE−28B)を用い、気液比(気体/液体)を1063として10℃に冷却された500L槽内に噴霧し、槽下部において、噴霧により形成された分散液の液滴が冷却固化されたハイドロゲル粒子を回収した。このハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径は61μmであった。なお、体積基準平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、型番:LA−910)を用いたレーザ回折散乱法によって測定した。
【0074】
実施例1〜20及び比較例1〜7
表2及び表3に示す組成の水中油型乳化化粧料を製造し、化粧のり、ダマの発生、きしみ感のなさ及び毛穴ぼかし効果を評価した。結果を表2及び表3に併せて示す。
【0075】
(製造方法)
80℃に加熱し、プロペラで攪拌している成分(F)の一部に、成分(C)及び(E)のヒドロキシエチルセルロースを加え、水相を調製する。油相として、成分(D)に成分(B)、成分(E)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、成分(G)を加え、ディスパーで攪拌して分散させる。室温まで冷却した水相に、油相、成分(F)の残部に溶解したその他成分を徐々に添加して乳化し、さらに、成分(A)を加えて分散させ、水中油型乳化化粧料を得た。
【0076】
(評価方法)
(1)化粧のり(ファンデーションのよれにくさ):
ヒト頬部(4cm×4cm)に各化粧料25〜30mgを均一になるよう指で塗布する。1分間乾燥後、各化粧料の上から、固形粉末タイプのパウダーファンデーション(組成は表1参照)を、パウダーファンデーション用パフを用いて3回重ねて塗布する。この場合の塗布直後の化粧のり(ファンデーションのよれにくさ)を、専門パネラー3人の協議により、下記基準で評価した。
◎:のりがよい(よれにくい)。
○:のりがややよい(ややよれにくい)。
△:のりがやや悪い(ややよれやすい)。
×:のりが悪い(よれやすい)。
【0077】
【表1】
【0078】
(2)ダマの発生:
ヒト頬部(4cm×4cm)に各化粧料を1回当たり0.3gと規定(推奨使用量より算出)し、規定した1回当たりの使用量を人差し指で馴染ませ、馴染んだらすぐ同化粧料を重ね塗りしていき、ダマが発生するまでの回数をカウントした。
◎:5回以上の重ね塗りでダマが発生した。
○:4回の重ね塗りでダマが発生した。
△:3回の重ね塗りでダマが発生した。
×:2回の重ね塗りでダマが発生した。
【0079】
(3)きしみ感のなさ:
ヒト頬部(4cm×4cm)に各化粧料を1回当たり0.3gと規定(推奨使用量より算出)し、規定した1回当たりの使用量を人差し指で馴染ませ、専門パネラー3人の協議により、きしみ感のなさについて、以下の基準で評価した。
◎:きしみ感がない。
○:ほとんどきしみ感がない。
△:ややきしみ感がある。
×:きしみ感がある。
【0080】
(4)毛穴ぼかし効果:
直径5cm、厚さ5mmの肌模型(商品名;バイオカラー、H010-029、ビューラックス社製)に各化粧料0.05gを均一になるよう指で塗布する。1分間乾燥後、専門パネラー3人の協議により、毛穴ぼかし効果について、以下の基準で目視評価した。
◎:毛穴がきれいにぼやけた
○:毛穴がややぼやけた
△:毛穴がややぼやけない
×:毛穴がぼやけない
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】