(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビや液晶プロジェクターに代表される映像表示システムは、表示する映像信号を受信し、受信した映像信号に対して映像処理を行い、映像処理後の映像信号を表示デバイスに出力する機能を内部に備えている。
【0003】
映像表示システムの内部で行う映像処理には、ノイズ除去処理、エッジ強調処理から、低解像度の映像をより高解像度の映像へ変換する超解像処理など、様々な映像処理があり、映像表示システムでの差別化要因の一つとなっている。複数の映像フレームを参照する映像処理や映像の回転・変形を行う映像処理など、入力順とは異なる順番で映像信号を参照する必要がある場合、映像信号をいったんフレームメモリに蓄えてから映像処理を行う方法が一般的に用いられている。
【0004】
また、映像処理部及び映像出力部の動作タイミング制御を簡単にするために、映像処理システム全体の基準の動作タイミングとなるシステム基準信号を生成し、そのシステム基準信号から、映像処理部及び映像出力部の動作タイミングとなる基準信号を生成する。そして、映像処理部及び映像出力部は、各々の基準信号に従って動作させる方法がよく用いられている。
【0005】
図6、
図7を用いて、映像表示システムの一例を説明する。
図6は、映像表示システムの構成を示した図である。
図6において、601は、映像表示システムであり、映像信号を受信する映像受信部602、受信した映像信号に対して映像処理を行う映像処理部603、表示デバイスであるパネル605へ映像処理後の映像信号を出力する映像出力部604からなる。607は、映像処理システム601の前述したシステム基準信号と映像処理部及び映像出力部への基準信号を生成する基準信号生成モジュールである。
【0006】
606は、映像処理部603が映像処理において使用するフレームメモリである。システム基準信号生成部608は、映像受信部602より、受信映像の垂直同期信号Vsyncである受信映像同期信号611を受け取り、映像処理システム601全体の基準の動作タイミングとなるシステム基準信号(Vsync)612を生成する。このシステム基準信号612は、パネル605が要求する映像タイミング、入出力映像間でのフレームレートの変換、映像フレームの追い越し・抜け等を考慮して生成される。
【0007】
第1の基準信号生成部609は、システム基準信号612から映像処理部603の動作タイミングとなる基準信号613を生成する。第2の基準信号生成部610は、システム基準信号612から映像出力部604の動作タイミングとなる基準信号614を生成する。映像処理部603は、基準信号613に従って動作する。映像出力部604は、基準信号614に従って動作する。
【0008】
図7は、各基準信号を示した図である。701は、システム基準信号である垂直同期信号Vsyncであり、
図6におけるシステム基準信号612である。702は、映像処理部用基準信号である垂直同期信号Vsyncと有効データ信号DEであり、
図6における基準信号613である。
【0009】
703は、映像出力部基準信号である垂直同期信号Vsyncと有効データ信号DEであり、
図6における基準信号614である。基準信号702及び703は、第1の基準信号生成部609及び第2の基準信号生成部610において、システム基準信号701を基に生成される。基準信号702及び703を生成するための設定値としては、システム基準信号701からのVsyncの遅延量、VsyncからDEまでのバックポーチ期間、DEをアサートする期間等がある。
【0010】
映像処理部用基準信号702のVsyncが、システム基準信号701のVsyncより遅延しているのは、映像受信部602が映像信号を受信し終え、映像処理部603での映像処理を開始することができるまでの遅延時間を考慮しているからである。映像出力部用基準信号703のVsyncが、映像処理部用基準信号702のVsyncより遅延しているのは、映像処理部603での映像処理により、映像出力部604への映像信号の到達が遅延する時間を考慮しているからである。このように、映像受信部602、映像処理部603、及び映像出力部604におけるそれぞれの処理時間や動作タイミング制約を考慮して、システム基準信号から、個別の基準信号を生成することで、映像処理システム全体の動作タイミング制御を簡単にしている。
【0011】
このような映像処理システムにおいて、ユーザーが、ゲームモードに代表される遅延量や補間処理などの映像処理の内容を変えたり、1画面の表示をPbyPやPinPの2画面表示に変えたりといった映像表示モードを切り替える場合がある。この場合、第1の基準信号生成部609の設定値を変更し、生成する映像処理部用基準信号702のパターンを変更する必要が出てくる。
【0012】
例えば、映像処理の内容を変える場合、それによって映像処理部603での映像信号の遅延量が変わるため、映像処理部用基準信号702のVsyncの遅延量を変更する必要が出てくる。ここで、遅延量の設定値を大きく変更する場合、第1の基準信号生成部609は、基準信号のパターンの切り替え前後で、乱れた基準信号を生成する可能性がある。
【0013】
例えば、DEのデイアサートから次のVsyncのアサートまでのフロントポーチの期間が消失し、DEの期間が短くなり、かつ、デイアサートとVsyncのアサートが同時に起きるケースが考えられる。その乱れた基準信号による映像処理部603の誤動作及びごみデータの出力を防止するために、映像処理部のソフトウエアリセット及びアボート処理を行い、処理パラメータを再設定後、映像処理部を再起動している。その映像処理部が止まっている間、映像出力部は、黒画面など実際に入力された映像信号とは異なる映像を出力し表示することとなる。なお、パネル605へは、安定したタイミングで映像を出力する必要があるため、一般的には、映像出力部用基準信号703を動的に大きく変化させることはしない。
【0014】
特許文献1では、安定した一定の周期の基準信号を生成することを目的として、信号の不安定検出手段など、周期を乱さないための手段が提案されている。
特許文献2では、コピーガード信号など定常的に起きる乱れた信号による誤動作を防ぐことを目的として、乱れた信号をマスクする手段が提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図5を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の映像処理システムの全体構成を示す図である。前述した背景技術で説明した
図6の映像処理システムをより詳細化し、かつ、本発明の特徴に関する構成を追加した図である。
【0021】
101は、映像処理システムであり、映像信号を受信する映像受信部102、受信した映像信号に対して映像処理を行う映像処理部103、表示デバイスであるパネル105へ映像処理後の映像信号を出力する映像出力部104からなる。
107は、映像処理システム101のシステム基準信号と映像処理部及び映像出力部への基準信号を生成する基準信号生成モジュールである。
106は、映像処理部103が映像処理において使用するフレームメモリである。
【0022】
映像処理部103には、第1の映像処理部122、第2の映像処理部129、第3の映像処理部130、第4の映像処理部131の異なる映像処理ブロックがある。第1の映像処理部122は、基準信号生成モジュール107から基準信号を受け取り、その基準信号に同期して、映像処理を行う。また、第1の映像処理部122は、ライトアクセスするためのライトDMAC132及びリードアクセスするためのリードDMAC133を介して、フレームメモリ106に対して映像信号のライト、リードする。
【0023】
映像受信部102により受信した映像信号は、第1の映像処理部122、第2の映像処理部129、第3の映像処理部130、そして第4の映像処理部131のそれぞれで独自の映像処理を施し、映像出力部104へ入力される。
映像出力部104は、設定により、映像出力部104から出力する映像信号を基準信号に従って出力するか、黒画面を表示するために内部で生成した黒画面の映像信号を基準信号に従って出力するかを切り替えるために設けられている。
【0024】
第1の映像処理部122が受け取る基準信号は、2種類に分類することができる。一つは、映像処理の設定値や処理係数などのパラメータの更新と、ピクセル数や処理中の座標などのカウンタのクリアや更新を指示する基準信号である。もう一つは、映像信号に対して映像処理の実行を指示する基準信号である。本実施形態では、前者の基準信号を映像更新基準信号125、後者の基準信号を映像処理基準信号126と定義する。
【0025】
第1の映像処理部122が受け取った映像更新基準信号125と映像処理基準信号126は、第1の映像処理部122から順に、第2の映像処理部129、第3の映像処理部130、そして、第4の映像処理部131へと映像信号と合わせて伝搬させる。そうすることで、第2の映像処理部129、第3の映像処理部130、第4の映像処理部131にも、映像更新基準信号125と映像処理基準信号126を与えることができる。
【0026】
また、映像出力部104が受け取る基準信号も、映像出力部104の設定値の更新を指示する基準信号と、有効な映像信号の処理及びパネルへの出力を指示する基準信号の2種類からなる。本実施形態では、前者を出力更新基準信号127、後者を出力処理基準信号128と定義する。
従って、映像処理部103は、映像更新基準信号125、映像処理基準信号126に従ってデータ処理動作を実行する。映像出力部104は、出力更新基準信号127、出力処理基準信号128に従って動作する。
【0027】
本実施形態では、基準信号の変更を伴う映像表示モードを切り替える際に、これら映像更新基準信号125、映像処理基準信号126を制御する仕組みを設けることで、乱れた基準信号の生成を防止し、最短で1映像フレームの黒画面表示での切り替えを実現する。
【0028】
基準信号生成モジュール107は、前述した映像更新基準信号125、映像処理基準信号126、出力更新基準信号127、出力処理基準信号128を生成するモジュールである。基準信号生成モジュール107は、システム基準信号生成部108、第1の基準信号生成部109、第2の基準信号生成部110、新設定値格納部111、現設定値格納部112、そして、本実施形態の特徴の一つである更新制御部113からなる。
【0029】
基準信号生成モジュール107は、映像信号に対して映像処理を行う映像処理部103、および映像信号を出力する映像出力部104に対して、それぞれ個別の処理パラメータの更新を行う更新基準信号とデータ処理を行う処理基準信号とを、システム基準信号と設定値とから生成する。
【0030】
システム基準信号生成部108は、映像受信部102より、受信映像の垂直同期信号Vsyncである受信映像同期信号123を受け取り、映像処理システム101全体の基準の動作タイミングとなるシステム基準信号(Vsync)124を生成する。このシステム基準信号124は、パネル105が要求する映像タイミング、入出力映像間でのフレームレートの変換、映像フレームの追い越し・抜け等を考慮して生成される。
【0031】
第1の基準信号生成部109は、内部に基準信号生成カウンタ119と、本実施形態の特徴の一つである処理信号マスク部120を有する。そして、映像処理部103内の第1の映像処理部122へ出力する基準信号である映像更新基準信号125と映像処理基準信号126を生成する。
【0032】
第2の基準信号生成部110は、内部に基準信号生成カウンタ121のみを有し、映像出力部104へ出力する基準信号である出力更新基準信号127、出力処理基準信号128を生成する。
新設定値格納部111は、新しい設定値をあらかじめ登録しておくための格納部で、基準信号生成に使用する設定値を格納する新基準信号設定値格納部115と、更新制御部113が使用する設定値を格納する更新制御部設定値格納部116を備えている。
【0033】
新設定値格納部111への設定は、プロセッサ114がソフトウエア処理により行う。映像処理モードの切り替えを行う場合、プロセッサ114は、新設定値格納部111の新基準信号設定値格納部115への切り替え後の新しい設定値の設定と共に、更新制御部設定値格納部116に対して、1の値を設定する。
【0034】
現設定値格納部112は、基準信号生成カウンタ119及び基準信号生成カウンタ121が使用する設定値を格納する現基準信号設定値格納部117と、本実施形態の処理信号マスク部120が使用する設定値を格納するマスク部設定値格納部118を備えている。
【0035】
従来は、システム基準信号124に同期して、新設定値格納部111の新基準信号設定値格納部115の値を現設定値格納部112の現基準信号設定値格納部117にコピーしていた。本実施形態では、新たに更新制御部113を設け、システム基準信号124に同期して、更新制御部設定値格納部116の値を参照し、値が1の場合、マスク部設定値格納部118の設定値を1に設定する。
【0036】
そして、更新制御部113は、次のシステム基準信号124に同期して、新基準信号設定値格納部115を現基準信号設定値格納部117へコピーすると共に、マスク部設定値格納部118の設定値を0に設定する。即ち、更新制御部113は、新しい設定値の更新をシステム基準信号を1つ分遅らせることになる。
【0037】
第1の基準信号生成部109は、システム基準信号124を受けると、現基準信号設定値格納部117より設定値を取得し、基準信号生成カウンタ119を用いて、基準信号である映像更新基準信号125及び映像処理基準信号126を生成する。そして、生成した映像更新基準信号125及び映像処理基準信号126を映像処理部103内の第1の映像処理部122へ送信する。
【0038】
新たに設けた処理信号マスク部120は、マスク部設定値格納部118の値を取得し、値が1の場合、基準信号生成カウンタ119が生成した映像処理基準信号126のみに対して、出力段でディセーブルになるようにマスクを行う。映像処理部103は、映像処理基準信号126がアサートされないため、アイドル状態のままとなる。この状態で、次の映像処理基準信号126であるVsyncを受け取ったとしても、映像処理実行中ではないため、誤動作やゴミデータを出力することはなくなる。
【0039】
第2の基準信号生成部110は、システム基準信号124を受けると、現基準信号設定値格納部117より設定値を取得し、基準信号生成カウンタ121を用いて、基準信号である出力更新基準信号127及び出力処理基準信号128を生成する。そして、生成した基準信号を映像出力部104へ送信する。パネル105へは、安定したタイミングで映像を出力する必要があるため、出力更新基準信号127及び出力処理基準信号128に対して、設定値を動的に大きく変化させたり、ディセーブルさせたりすることはない。
【0040】
以上、説明したように、更新制御部113と処理信号マスク部120を設けた。これにより、新しい基準信号設定値による基準信号の生成開始をシステム基準信号を1つ分遅らせ、新しい基準信号を生成する1つ前の基準信号の映像処理基準信号126をディセーブルさせることができる。
【0041】
図2及び
図3のタイミングチャートを用いて、映像表示モード切り替え時の動作を説明する。
図2は、更新制御部113及び処理信号マスク部120を適用しない場合のタイミングチャートである。
図3は、更新制御部113及び処理信号マスク部120を適用した場合のタイミングチャートである。
【0042】
図2において、201は、システム基準信号である。システム基準信号Vsync207、208、210、211、212、213、214で基準信号がアサートされている。202は、必要なソフトウエア処理を示している。203は、映像更新基準信号であるVsyncとHsyncを示している。204は、映像処理基準信号であるDEを示している。205は、出力更新基準信号であるVsycnとHsyncを示している。206は、出力処理基準信号であるDEを示している。
【0043】
以下に、設定値変更のケースを用いて説明する。
第1の基準信号生成部109への設定値、即ち、映像更新基準信号203及び映像処理基準信号204を生成するための設定値が
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=3Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
から
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=1Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
への切り替えを行う。
【0044】
第2の基準信号生成部110への設定値、即ち、出力更新基準信号205及び出力処理基準信号206を生成するための設定値は
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=5Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
で、切り替えは行なわない。
【0045】
215で示すように、最初は、Vsync_Delay=3Hsyncであるため、Vsync207から3Hsync遅延して映像更新基準信号203のVsyncが生成されている。さらに、V_BP=1Hsyncかつ、DE_T=5Hsyncのため、3Hsycn遅延したVsyncから、1Hsycn後に、映像処理基準信号204のDEがアサートされ、5Hsync後に、DEはディアサートされる。
【0046】
216で示すように、Vsync_Delay=5Hsyncであるため、Vsync207から5Hsync遅延して出力更新基準信号205のVsyncが生成されている。さらに、V_BP=1Hsyncかつ、DE_T=5Hsyncのため、3Hsycn遅延したVsyncから、1Hsycn後に、出力処理基準信号206のDEがアサートされ、5Hsync後に、DEはディアサートされる。
【0047】
映像処理部103は、映像更新基準信号203のVsyncで、映像処理の設定値や処理係数などのパラメータの更新と、ピクセル数や処理中の座標などのカウンタのクリアもしくは更新を行う。また、映像処理基準信号204のDEがアサートしている期間で、映像信号に対して映像処理の実行を行う。同様に、映像出力部104も、出力更新基準信号205のVsyncで、映像処理の設定値や処理係数などのパラメータの更新と、ピクセル数や処理中の座標などのカウンタのクリアもしくは更新を行う。出力処理基準信号206のDEがアサートしている期間で、映像信号に対して映像出力の実行を行う。
【0048】
Vsync207を起点に生成された映像処理基準信号204のDE期間に、映像処理部103は、映像信号“old2”の映像処理を行う。さらに、2Hsyncの遅延の後、出力処理基準信号206のDE期間において、映像出力部104により映像信号“old2”の出力処理が行われる。
【0049】
ここで、映像更新基準信号203のVsync_Delayを3Hsyncから1Hsyncに、システム基準信号Vsync211で切り替えたとする。すると、217で示すように映像処理基準信号204において、前フレームのDEアサート期間中に、次のフレームの映像更新基準信号203のVsycnが入ることとなる。
【0050】
従って、DE期間が短く、かつ、DEのディアサートからVsyncのアサートまでの期間がない乱れた基準信号が生成され、映像処理部103に送信される。この217の前後のフレームで、乱れた基準信号による誤動作及びごみデータの出力を防止するために、映像出力部104からは、最低2フレームの間、映像処理部103からの映像信号ではなく、黒画面を出力させなければならない。出力する黒画面は、2フレーム期間で、「黒画面1」、「黒画面2」である。
【0051】
そのためのソフトウエア処理をソフトウエア処理202のタイミングチャートを用いて説明する。209でユーザーより映像表示モードの切り替え要求(表示切替リクエスト)が来ると、映像出力部104に対して、黒画面表示の設定を行う。この設定は、210のシステム基準信号Vsyncから生成される出力更新基準信号205のVysncで、映像出力部104に設定され、黒画面表示となる。
【0052】
次に、プロセッサ114は、210のVsync後に、基準信号生成モジュール107への新しい設定値の設定を行うと共に、映像処理部の誤動作及びごみデータ出力を防止するために、映像処理部103に対して、リセット及びアボート処理を直ちに開始する。ここで、アボート処理とは、例えば、実行中の処理を中止してプログラム命令の実行を正しく完結した時の状態に演算処理装置を復元し、その復元された状態からプログラム命令の実行を再開する処理である。
【0053】
基準信号生成モジュール107への設定は、システム基準信号Vsync211で行われ、乱れた基準信号が生成されるが、映像処理部103はリセット状態であり、かつ、映像出力部104は、黒画面を表示している。従って、誤動作も、ごみデータの表示も起きない。
【0054】
システム基準信号Vsync211後に、映像処理部103への映像処理の設定値や処理係数などのパラメータ設定とイネーブル、及び映像出力部104への黒画面出力解除設定を行う。その設定は、Vsync212で反映され、Vsync212から、新たな映像表示モードで表示が開始される。従って、プロセッサ114は、3つのVsync期間にまたがって設定を行い、2Vsync期間の黒画面表示で切り替えを行っている。
【0055】
次に、
図3を用いて本実施形態の基準信号生成装置を適用した場合の映像表示モード切り替え時の動作を説明する。
図2と同様に、301は、システム基準信号である。システム基準信号Vsync307、308、310、311、312、313、314で基準信号がアサートされている。302は、必要なソフトウエア処理を示している。303は、映像更新基準信号であるVsyncとHsyncを示している。304は、映像処理基準信号であるDEを示している。305は、出力更新基準信号であるVsycnとHsyncを示している。306は、出力処理基準信号であるDEを示している。
【0056】
変更する設定も
図2を用いて説明した設定値と同じで、下記のとおりである。
第1の基準信号生成部109への設定値、即ち、映像更新基準信号303及び映像処理基準信号304を生成するための設定値が
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=3Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
から
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=1Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
への切り替えを行う。
【0057】
第2の基準信号生成部110への設定値、即ち、出力更新基準信号305及び出力処理基準信号306を生成するための設定値は
システム基準信号からの遅延:Vsync_Delay=5Hsync
VsyncからDEまでの期間:V_BP=1Hsync
DEの期間:DE_T=5Hsync
で、切り替えは行なわない。
【0058】
309でユーザーより映像表示モードの切り替え要求が来ると、ソフトウエア処理302で示すように、プロセッサ114は、基準信号生成モジュール107の新基準信号設定値格納部115及び更新制御部設定値格納部116へ値の設定を行う。それと同時に、映像出力部104に対して、黒画面表示を行うよう設定を行う。
【0059】
システム基準信号Vsync310において、更新制御部113は、新基準信号設定値格納部115から現基準信号設定値格納部117へのコピーを行うことなく、マスク部設定値格納部118への設定のみを行う。また、処理信号マスク部120は、マスク部設定値格納部118の設定値を取得し、映像処理基準信号304をマスクする。
【0060】
従って、315に示す期間は、DE信号はディアサートされたままとなり、映像処理部103は、映像信号への映像処理を行わない。また、映像出力部104は、設定値に従って黒画面を出力する。また、この間、ソフトウエア処理302で示すように、映像処理部103への映像処理の設定値や処理係数などのパラメータ設定と、映像出力部104への黒画面出力解除設定を行う。
【0061】
システム基準Vsync311において、更新制御部113は、新基準信号設定値格納部115から現基準信号設定値格納部117へのコピーを行う。そして、第1の基準信号生成部109と第2の基準信号生成部110は、新しい設定値に従って、各基準信号の生成を開始する。また、システム基準VSYNC311から生成された映像更新基準信号303のVsyncによって、映像処理部103の映像処理の設定値や処理係数などのパラメータ設定が更新され、新たな設定値で映像処理を開始する。システム基準VSYNC311から生成された出力更新基準信号305のVsyncによって、映像出力部104の黒画面出力の解除が行われ、映像処理部103からの映像信号を出力するようになる。
【0062】
従って、
図2の本実施形態の基準信号生成装置の処理を適用しない場合に比べて、黒画面出力が2フレームから、1フレームで済むようになるので、ユーザーからの表示モード切り替え要求を受けてから、実際に切り替えが完了するまでの間も、1フレーム早くなる。さらに、ソフトウエア処理において、3フレームにまたがっていた処理が、2フレームの短期間になり、かつ、少ない設定になる。
【0063】
また、映像処理部103のリセット、アボート処理は、即時に行う。このため、
図2のソフトウエア処理202で示すように、映像更新基準信号203のVsyncのアサート以降に開始して、次の映像更新基準信号203のVsycnのアサートまでに終了する必要がある。
【0064】
次に、更新制御部113の処理手順を
図4のフローチャートに示す。
S401で、システム基準信号124を受けると、S402で、プロセッサによる設定値更新が完了しているか否かを新設定値格納部111のステータスを確認する。新設定値格納部111には、完了ステータスがあり、プロセッサ114は、設定途中の中途半端な設定値が使われないよう、設定が完了した時点で完了ステータスを立てるようにする。
S403で新しい設定が完了しているか否かを判断し、設定が完了していない場合にはS401に戻る。また、設定が完了していたならば、S404で、更新制御部設定値格納部116の設定値を確認する。
【0065】
S405では、設定値=1か否かを判断する。設定値=1でない場合にはS409に進み、設定値=1ならば、S406に進む。
S406では、マスク部設定値格納部118に1を設定し、システム基準信号を1つ分、更新を遅らせるようにする。
S407では、更新制御部設定値格納部116の設定値を0に設定する。S408では、次のシステム基準信号を受信する。次に、S409で、新基準信号設定値格納部115の値を現基準信号設定値格納部117にコピーし、S410で、マスク部設定値格納部118の値を0に設定する。
【0066】
次に、第1の基準信号生成部109の処理手順を
図5のフローチャートに示す。
S501で、システム基準信号を受けると、S502で、1クロックサイクル待機した後、S503で、現基準信号設定値格納部117から、Vsync_Delayの値を取得する。次に、S504で、基準信号生成カウンタ119で、Vsync_Delay分カウントする。S505で、現基準信号設定値格納部117からV_BPとDE_Tの値、マスク部設定値格納部118からマスク部設定値を取得する。次に、S506で、基準信号生成カウンタ119で、Vsync,Hsync、DEを生成する。
【0067】
次に、S507で、マスク部設定値が1か否かを判断する。マスク部設定値が1でない場合にはS509に進む。マスク部設定値が1の場合、S508に進み、処理信号マスク部120で、DE信号の出力をマスクする。その後、S510で1クロックサイクル待機する。S502及びS510で、1クロックサイクルの待機を行うのは、更新制御部113が、新基準信号設定値格納部115の値を現基準信号設定値格納部117へのコピーする時間を保証するためである。
【0068】
以上のように、設定値を更新する更新タイミングを制御する更新制御部113と、処理基準信号のみをディセーブルにする処理信号マスク部120を設けることで、乱れた基準信号生成を防止し、最短で1映像フレームの黒画面表示での切り替えが可能となる。従って、ユーザーに対して、レスポンスの良い映像処理システムを提供することが可能となる。また、プロセッサ114は、切り替えタイミングを考慮したソフトウエアリセット及びアボート処理の必要がなく、通常の設定シーケンスで処理することができ、ソフトウエア処理の負荷も減らすことも可能となる。
【0069】
本実施形態では、基準信号を必要とする映像処理ブロックは1つであるか、より多くの映像処理ブロックからなるパイプライン処理を行うことで、より多くの基準信号が必要になる場合も容易に想像できる。従って、基準信号生成モジュールが持つ基準信号生成部は、第1の基準信号生成部109及び第2の基準信号生成部110の2つに限定するものではない。
【0070】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。