【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る画像処理装置100の概略構成図である。また、画像処理装置100は、例えば、媒体としての郵便物の郵便番号、住所又はバーコードなどの区分情報の読取装置に適用できる。本実施例では、当該読取装置が郵便物処理装置(図示しない)に用いられた場合を一例として説明する。
【0017】
郵便物処理装置は、供給部に供給された郵便物等媒体P(P0、P1・・・の総称)を1通ずつ所定のピッチで搬送路に取出し、搬送ベルト(図示しない)で挟持して高速に搬送する(例えば、4m/s)。搬送された媒体Pは媒体を検知する検知部に搬送される。
図1は、媒体Pをカメラ10で検知する場合を示す。媒体Pは、図示されているように所定のピッチで図示矢印Aの方向に搬送される。カメラ(データ取得手段)10は、この搬送される媒体Pの上面の反射光を検知する。この場合のカメラ10は、搬送方向と交差する方向(主走査)にスキャンするラインセンサを有して構成される。カメラ10は、媒体Pが図示矢印A方向(副走査)に搬送されることにより、当該媒体の表面全体の反射画像データを読取ることになる。
図1には媒体P0〜P2が例示されており、このようにして連続する媒体の画像データが連続的にカメラ10によって読み取られる。
【0018】
カメラ10によって読み取られた画像データはデータ取込部(データ取込手段)20に送信される。
【0019】
データ取込部20は、媒体Pごとの画像データに連続したデータ番号を付与する。例えば最初に搬送されて読み取られた媒体P0の画像データにはデータ番号00H(16進数00)を付与する。同様に媒体P1の画像データには01Hを付与し、媒体P2の画像データには02Hを付与する。
【0020】
このようにして連続したデータ番号が付与された画像データを、当該画像データを使用する全てのデータ転送部30(30A、30B、・・・30Nの総称)に並列的に送信する。データ転送部30の個数は、処理する画像データのデータ量、処理の内容、媒体を搬送する搬送速度により設定される処理時間などによって設定される。
【0021】
データ転送部30は、データ転送判定部31(31A、31B・・31Nの総称)、DMA(Direct Memory Access:ダイレクトメモリアクセス)転送部32(32A、32B・・32Nの総称)及び画像データを記憶する記憶部33(33A、33B・・33Nの総称)を有して構成される。
【0022】
データ転送判定部31は、転送許可監視部311(311A、311B・・311Nの総称)及び転送権取得部312(312A、312B・・312Nの総称)を有する。
【0023】
転送許可監視部311は、対応する画像処理部40がデータ転送部30からのデータ転送が許可(イネーブル)されているか不可(デスイネーブル)かを監視する。
【0024】
転送権取得部312は、各データ転送判定部31に設けられており、転送データ番号及び転送権番号を取得する。この転送権番号を取得したデータ転送部30のみが、番号が付与された画像データを画像処理部40に送信することができる。
【0025】
画像処理部40(40A、40B・・40Nの総称)は、画像判定部41(41A、41B・・41Nの総称)及び結果通知部42(42A、42B・・42Nの総称)を有し、データ転送部30から転送されたデータ番号が付与された画像データの画像処理を行う。本実施例1では、画像データ内の位置情報に基づいて文字を検知(検出切り出し)し、当該文字情報の文字認識を経て、読み取られた郵便番号、住所などの区分情報を判定する(画像判定部)。判定結果は結果通知部42(42A、42B・・42Nの総称)に出力される。なお、データ転送部30及び画像処理部40で1つの画像処理ユニット50を構成し、本実施例1では、N個の画像処理ユニット50を有している。
【0026】
結果通知部42は、媒体ごとの判定結果を当該媒体のデータ番号と共に総合判定部60に送信する。
【0027】
総合判定部60は、他の画像処理部40の結果通知部42から送信された判定結果及び図示しない他の検知部から送信された判定結果を媒体のデータ取得順(データ番号順)に並べ替えた後、媒体ごとに総合的に判定し、最終的な区分判定を行う。
【0028】
他の検知部から送信された判定結果とは、例えば、ピッチ詰まり、2枚取りなど、媒体の搬送状態に関する検知結果が含まれる。これらの検知の結果。異常状態と判定された場合には、誤った区分判定を行う場合が考えられる。このような誤判定を防止するために、当該総合判定部60で総合的な区分判定を行う。
【0029】
図2は、
図1に示すデータ取込部20の番号付与部21の動作を説明する図である。上述したように、番号付与部21は、画像データに番号を付与する。本実施例1では、付与される番号領域として8ビット(bit)確保しており、最大FFH(16進数)の値まで与えることができる。本実施例1に係る郵便物処理装置は、1回の処理で、8ビットで表現される256(10進数)通以上の郵便物が供給される。この場合は、00H〜FFHの番号が繰り返し用いられる。搬送される媒体と当該媒体の画像データが混同することが防止できればよく、例えば、番号付与部でFFHを付与された画像データの次に00Hを付与された画像データがくることが事前に設定されていれば、当該媒体の順番を誤ることはない。もちろん、当該番号領域のビット数を1回の処理で処理される媒体の数に合わせて増やすことは容易である。
【0030】
図3は、
図1に示す画像処理部40の転送可/不可処理の動作を説明する図である。画像処理部40は、画像処理中のときは(S01のYes)、データ転送部30の転送許可監視部311に対し転送「不可」を送信する(S02)。
【0031】
また、画像処理部40は、画像処理中でないとき(S01のNo)、データ転送部30の転送許可監視部311に対し「可」を送信する(S03)。
【0032】
図4は、
図1に示すデータ転送部30(30A、30B・・30Nの総称)の転送権の動作を説明する図である。転送権は、入力された一連の画像データを、どのデータ転送部30が画像データを画像処理部40に送信することができるかを示すものである。
【0033】
当該画像処理装置100の電源投入後、当該装置は初期化される。この際、転送権Rは、データ転送部1(30A)の転送権取得部1(312A)が取得するように設定される。また、処理すべき画像データは最初の画像であることから転送権番号は00Hに設定される。ここで転送権番号とは、この転送権番号と一致するデータ番号の画像データが画像処理部40に転送される(詳細は後述する)。なお、データ番号00Hの画像データを、以下では画像データD00Hという。
【0034】
転送権Rを取得したデータ転送部1(30A)は、転送許可監視部1(311A)が転送「可」を受信していれば、データ取込部20の番号付与部21によって番号が付与されてデータ転送部1(30A)で受信した画像データは記憶部1(33A)に保存していた画像データのうち、転送権番号と一致する画像データD00を画像処理部1(40A)に転送する。画像データD00の転送終了後、転送権Rは、データ転送部2(30B)の転送権取得部2(312B)に転送されるとともに、転送権番号もインクリメントされて転送権取得部2(312B)に転送される。
【0035】
転送権Rを取得したデータ転送部2(30B)は、転送許可監視部2(311B)が転送「可」を受信していれば、上記同様、転送権番号と一致する番号の画像データD01を画像処理部2(40B)に転送する。画像データD01の転送終了後、転送権Rとインクリメントされた転送権番号とが、データ転送部3(30C)の転送権取得部3(312C)に転送される。
【0036】
以下同様にして、データ転送部がn個用いられる場合は、データ転送部n(30N)が画像データDnを画像処理部N(40N)に転送する。
【0037】
図5は、
図1に示すデータ転送部30のデータ転送処理の動作を説明するフローチャートで、図示しないデータ転送制御手段によって処理される。また、この動作は、データ転送部1(30A)〜データ転送部n(30N)で共通であるため、特に区別する必要がある場合を除いて総称符号を用いて説明する。
【0038】
データ転送部30は、転送権取得部312が転送権Rを取得しているか否かを判断し、転送権Rを取得していると判定すると(S11のYes)、転送許可監視部311は、対応する画像処理部40が画像処理中であるか否かを確認する(S12)。
【0039】
この確認の結果、転送許可監視部311が、画像処理部40が画像処理中ではなく、転送「可」を受信していると(S12のNo)、転送権番号と一致する画像データが存在するかを判定する(S13)。
【0040】
この判定の結果、転送権番号と、一致する画像データが存在している場合は(S13のYes)、画像処理部40へ画像データを転送する(S14―S15)。一方、一致するデータが存在しない場合は、当該データ転送部30でデータ取込部20から送信された画像データを何らかの理由で受信していないことになる。この場合は、当該データ転送部30から画像処理部40に対する画像転送はできないため、ステップS18に移行し、次の転送権取得部312に転送権R及び転送権番号を転送する。
【0041】
ステップS14で画像データの転送が終了したら(S15のYes)、転送権番号をインクリメントする(S17)。
【0042】
ステップS17でインクリメントされた転送権番号及び転送権Rを次の転送権取得部に転送する。(S18)。この処理により、転送権R及び転送権番号がデータ転送部1からデータ転送部2に移る。
【0043】
その後はステップS11に移行し、同様の処理を行う(S11〜S18のループ)。
【0044】
なお、ステップS12において、画像処理部40が画像処理中の場合は(S12のYes)、転送許可監視部311が、画像処理部40から転送「不可」を受信している。この場合は、当該画像処理部40に対して画像データの転送ができないため、ステップS17に移行し、転送権R及び転送権番号を次の転送権取得部312に転送する(S18)。
【0045】
図6は、実施例1に係る画像処理部40の動作を説明するタイミングチャートである。なお、当該
図6は、データ転送部30及び対応する画像処理部40からなる画像処理ユニットが3ユニットである場合についてその動作を説明する。
【0046】
画像データD00〜D08は、
図1に示すカメラ10が、所定のピッチ時間tp(実施例1では10ms)の間隔で搬送される媒体P0、P1、・・P8を検知した画像データである。全ての画像処理部40がこの画像データD01、D02・・D08の転送権周期tc内で処理される場合は、それぞれの画像処理部40で当該連続的に出力される画像データD00、D01・・・D08の処理を順番に行うことができる。なお、転送権周期tcとは、画像処理ユニットが3ユニットの場合、何れかの画像処理ユニットが転送権を取得する周期で、図示した所定のピッチ時間tpの3倍の時間になる。
【0047】
本実施例1は、上述した転送権周期tc内で処理されない場合に当該処理できなかった画像処理部40をスキップし、次の画像処理部40が次の画像を処理するようになっている。
【0048】
画像処理部1(40A)は、データ転送部1(30A)から転送された画像番号が00である画像データD00を受信し、処理を開始する。この処理時間がtd1である。
【0049】
データ転送部1は、画像データD00の転送を終了したので、次に転送する画像データの番号に対応する転送権番号をインクリメントし、転送権Rとともに次に転送権を取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0050】
タイミングt01で、次の画像データD01が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部2は、当該転送権番号と一致する画像データD01であることを確認後、当該画像データD01を画像処理部2に転送する。
【0051】
同様に、タイミングt02で次の画像データD02が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部3は、当該転送権番号と一致する画像データD02であることを確認後、当該画像データD02を画像処理部3に転送する。
【0052】
次に、タイミングt03で、次の画像データD03が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部1は、対応する画像処理部1が、画像データD00の処理中であり、画像データD03の処理を行うことができないため、転送権R及び転送権番号を次に転送権Rを取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0053】
データ転送部2は、データ転送部1から転送権Rの転送を受け、画像データD03を画像処理部2に転送する。
【0054】
以下同様に、画像データD04、D05、D06及びD07がそれぞれデータ転送部3、1、2、3に対応する画像処理部3、1、2、3に転送され処理される。
【0055】
タイミングt08で、次の画像データD08が出力されると、転送権を取得したデータ転送部1は、対応する画像処理部1が、画像データD05の処理中であり、画像データD08の処理を行うことができないため、転送権R及び転送権番号を、次に転送権Rを取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0056】
データ転送部2は、データ転送部1から転送権Rの転送を受け、画像データD08を画像処理部2に転送する。
【0057】
以上の処理を繰り返すことによりデータ取込部20の番号付与部21で番号(画像番号)が付与された画像データはデータ転送部1〜3に転送され、管理された転送データ順に画像データが画像処理部40に転送され、処理される。
【0058】
以上の処理を行うことにより、カメラ10から連続して出力される画像データを複数の画像処理部40で分散して処理をする際に特定の画像処理部40に負荷が集中することを防止することができる。