特許第6039407号(P6039407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039407
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/28 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   G06F13/28 310M
   G06F13/28 310Y
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-283769(P2012-283769)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-127052(P2014-127052A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】金澤 知明
【審査官】 田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−073510(JP,A)
【文献】 特開2002−024751(JP,A)
【文献】 特開平05−094403(JP,A)
【文献】 特開平09−179813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F13/20−13/378
15/16−15/177
G06T1/00−1/40
3/00−5/50
9/00−9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のピッチで搬送される媒体から取得した画像データを取り込むデータ取込手段と、このデータ取込手段により取り込まれた画像データを処理する複数の画像処理ユニットと、を有する画像処理装置において、
前記データ取込手段は、前記画像データに連続したデータ番号を付与し、前記データ番号が付与された画像データを前記複数の画像処理ユニットに並列的に送信し、
前記各画像処理ユニットは、
前記データ取込手段から受信した連続番号が付与された画像データを記憶する記憶手段と、
画像データに対して所定の処理を行う画像処理手段と、
前記画像処理手段が次の画像データの処理が可能であるか否かを監視する転送許可監視手段と、
当該画像処理ユニット内の画像処理手段に対する画像データの転送が許可されたことを示す転送権及び前記画像処理手段に転送する画像データの番号を示す転送権番号を他の画像処理ユニットから受信して記憶する転送権取得手段と、
前記転送権取得手段によって転送権及び転送権番号を取得し、かつ、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が可能であるとき、前記記憶手段に記憶された画像データから前記転送権番号と一致する連続番号が付与された画像データを前記画像処理手段に転送するとともに、転送権番号をインクリメントして転送権とともに、次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送し、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が不可能であるとき、前記転送権及び前記転送権番号を次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送するデータ転送制御手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記転送権は、各画像処理ユニット内に設けられた転送権取得手段間で転送される情報で、予め設定された順番に従い順次転送される請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
所定のピッチで搬送される媒体から取得した画像データを取り込むデータ取込手段と、このデータ取込手段により取り込まれた画像データを処理する複数の画像処理ユニットと、を有する画像処理装置において、
前記データ取込手段は、前記画像データに連続したデータ番号を付与し、前記データ番号が付与された画像データを前記複数の画像処理ユニットに並列的に送信し、
前記各画像処理ユニットは、
前記データ取込手段から受信した画像データを転送するデータ転送手段と、
このデータ転送手段から転送された画像を処理する画像処理手段と、
を有し、
前記データ転送手段は、
前記受信した連続番号が付与された画像データを記憶する記憶手段と、
前記画像処理手段が次の画像データの処理が可能であるか否かを監視する転送許可監視手段と、
当該画像処理ユニット内の画像処理手段に対する画像データの転送が許可されたことを示す転送権及び前記画像処理手段に転送する画像データの番号を示す転送権番号を他の画像処理ユニットから受信して記憶する転送権取得手段と、
前記転送権取得手段によって転送権及び転送権番号を取得し、かつ、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が可能であるとき、前記記憶手段に記憶された画像データから前記転送権番号と一致する連続番号が付与された画像データを前記画像処理手段に転送するとともに、転送権番号をインクリメントして転送権とともに次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送し、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が不可能であるとき、前記転送権及び前記転送権番号を次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送するデータ転送制御手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項4】
所定のピッチで搬送される媒体から取得した画像データを取り込むデータ取込手段と、このデータ取込手段により取り込まれた画像データを処理する複数の画像処理ユニットと、を有する画像処理装置において、
前記データ取込手段は、前記画像データに連続したデータ番号を付与し、前記データ番号が付与された画像データを前記複数の画像処理ユニットに並列的に送信し、
前記各画像処理ユニットは、
前記データ取込手段から受信した画像データを転送するデータ転送手段と、
このデータ転送手段から転送された画像を処理する画像処理手段と、を有し、
前記画像処理手段は、
前記画像処理手段が次の画像データの処理が可能であるか否かを監視する転送許可監視手段と、
当該画像処理手段に対する画像データの転送が許可されたことを示す転送権及び当該画像処理手段に転送する画像データの番号を示す転送権番号を他の画像処理ユニットから受信して記憶する転送権取得手段と、
前記転送権取得手段によって転送権及び転送権番号を取得し、かつ、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が可能であるとき、前記データ転送手段に対して前記転送権番号を送信すると共に転送要求を行い、前記データ転送手段からの画像データの受信後、転送権番号をインクリメントして転送権とともに次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送し、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が不可能であるとき、前記転送権及び前記転送権番号を次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送するデータ転送制御手段と、を有し、
前記データ転送手段は、
前記受信した連続番号が付与された画像データを記憶する記憶手段と、
前記画像処理手段から転送権番号と転送要求を受けたとき、前記記憶手段に記憶された画像データから前記転送権番号と一致する連続番号が付与された画像データを前記画像処理手段に転送するDMA転送部と、を有する画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、郵便物等の紙媒体を処理する紙媒体処理装置が用いられている。この種の紙媒体処理装置は、供給部に一括して供給された紙媒体(以下、媒体と称する。)を取出装置によって所定のピッチで1通ずつ搬送路に取出す。取出された媒体は、搬送中に当該媒体の表裏の画像がカメラ又はラインセンサなどの光学読取装置によって読み取られ画像処理装置で画像処理がなされる。
【0003】
例えば、カメラで読み取った媒体ごとの画像データは、データ取込部に連続して送信される。データ取込部は、カメラから受信した媒体の画像データを複数の画像処理部に区分するために、当該画像データの受信の順番に応じた番号を付与した番号付き画像データを形成し、当該番号付き画像データをデータ転送部に送る。データ転送部は、画像処理部が受信可能状態のとき、当該画像データを画像処理部にDMA転送する。画像処理部は、画像判定部及び結果通知部を有し、転送された画像を処理する。
【0004】
画像判定部は、画像データからOCR処理によって区分情報を検出し、当該検出された区分情報の判定を行う。判定結果は結果通知部に出力される。
【0005】
結果通知部は通信制御部を有し、画像判定部から入力した区分情報の判定結果を、総合判定部に出力する。
【0006】
なお、画像入力機能を装備したパソコンでラインイメージセンサの検出画像を取り込み、LANで接続した複数のパソコンに検出画像を転送して、複数のパソコンで欠陥を抽出する外観検査システムおよび外観検査方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−356512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の画像処理装置では、例えば、カメラからカメラデータが10ms間隔で入力される場合、カメラデータは10msごとに連続して入力されるため、当該カメラデータを1個の画像処理部で処理することが困難な場合がある。その場合には、複数の画像処理部を備え、当該複数の画像処理部により上述した画像処理を行っている。
【0009】
しかしながら、画像処理部の処理速度のばらつきにより、何れかの画像処理部に負荷が集中する場合があり、結果として処理速度が遅延することになり、正常な処理が困難になる場合があるという課題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、負荷集中を防止することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の画像処理装置は、所定のピッチで搬送される媒体から取得した画像データを取り込むデータ取込手段と、このデータ取込手段により取り込まれた画像データを処理する複数の画像処理ユニットと、を有する画像処理装置において、前記データ取込手段は、前記画像データに連続したデータ番号を付与し、前記データ番号が付与された画像データを前記複数の画像処理ユニットに並列的に送信し、
前記各画像処理ユニットは、前記データ取込手段から受信した連続番号が付与された画像データを記憶する記憶手段と、画像データに対して所定の処理を行う画像処理手段と、前記画像処理手段が次の画像データの処理が可能であるか否かを監視する転送許可監視手段と、当該画像処理ユニット内の画像処理手段に対する画像データの転送が許可されたことを示す転送権及び前記画像処理手段に転送する画像データの番号を示す転送権番号を他の画像処理ユニットから受信して記憶する転送権取得手段と、前記転送権取得手段によって転送権及び転送権番号を取得し、かつ、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が可能であるとき、前記記憶手段に記憶された画像データから前記転送権番号と一致する連続番号が付与された画像データを前記画像処理手段に転送するとともに、転送権番号をインクリメントして転送権とともに、次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送し、前記転送許可監視手段による監視の結果、画像データの処理が不可能であるとき、前記転送権及び前記転送権番号を次の画像処理ユニットの転送権取得部に転送するデータ転送制御手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係る画像処理装置の概略構成図
図2図1に示すデータ取込部の番号付与部の動作を説明する図
図3図1に示す画像処理部の転送可/不可処理の動作を説明するフローチャート
図4図1に示すデータ転送部の転送権の動作を説明する図
図5図1に示すデータ転送部のデータ転送処理の動作を説明するフローチャート
図6】実施例1に係る画像処理部の動作を説明するタイミングチャート
図7】実施例2に係る画像処理装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例に係る画像処理装置100は、データ取込部20と、データ転送部30(30A、30B、・・30Nの総称)および画像処理部40(40A、40B・・40Nの総称)を1ユニットとする画像処理ユニット50(50A、50B、・・50Nの総称)で構成されている。
【0014】
データ取込部20は、媒体P(P1、P2・・・の総称)を検知する検知部から出力される検知データを入力する。本実施例では、検知部としてカメラ(データ取得手段)10が接続された場合を示す。データ取込部(データ取込手段)20は、カメラ10が媒体Pから取得したカメラデータ(画像データ)を入力し、入力された画像データ毎に連続番号を付与して複数の画像処理ユニット50のデータ転送部30に画像データを転送する。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る画像処理装置100の概略構成図である。また、画像処理装置100は、例えば、媒体としての郵便物の郵便番号、住所又はバーコードなどの区分情報の読取装置に適用できる。本実施例では、当該読取装置が郵便物処理装置(図示しない)に用いられた場合を一例として説明する。
【0017】
郵便物処理装置は、供給部に供給された郵便物等媒体P(P0、P1・・・の総称)を1通ずつ所定のピッチで搬送路に取出し、搬送ベルト(図示しない)で挟持して高速に搬送する(例えば、4m/s)。搬送された媒体Pは媒体を検知する検知部に搬送される。図1は、媒体Pをカメラ10で検知する場合を示す。媒体Pは、図示されているように所定のピッチで図示矢印Aの方向に搬送される。カメラ(データ取得手段)10は、この搬送される媒体Pの上面の反射光を検知する。この場合のカメラ10は、搬送方向と交差する方向(主走査)にスキャンするラインセンサを有して構成される。カメラ10は、媒体Pが図示矢印A方向(副走査)に搬送されることにより、当該媒体の表面全体の反射画像データを読取ることになる。図1には媒体P0〜P2が例示されており、このようにして連続する媒体の画像データが連続的にカメラ10によって読み取られる。
【0018】
カメラ10によって読み取られた画像データはデータ取込部(データ取込手段)20に送信される。
【0019】
データ取込部20は、媒体Pごとの画像データに連続したデータ番号を付与する。例えば最初に搬送されて読み取られた媒体P0の画像データにはデータ番号00H(16進数00)を付与する。同様に媒体P1の画像データには01Hを付与し、媒体P2の画像データには02Hを付与する。
【0020】
このようにして連続したデータ番号が付与された画像データを、当該画像データを使用する全てのデータ転送部30(30A、30B、・・・30Nの総称)に並列的に送信する。データ転送部30の個数は、処理する画像データのデータ量、処理の内容、媒体を搬送する搬送速度により設定される処理時間などによって設定される。
【0021】
データ転送部30は、データ転送判定部31(31A、31B・・31Nの総称)、DMA(Direct Memory Access:ダイレクトメモリアクセス)転送部32(32A、32B・・32Nの総称)及び画像データを記憶する記憶部33(33A、33B・・33Nの総称)を有して構成される。
【0022】
データ転送判定部31は、転送許可監視部311(311A、311B・・311Nの総称)及び転送権取得部312(312A、312B・・312Nの総称)を有する。
【0023】
転送許可監視部311は、対応する画像処理部40がデータ転送部30からのデータ転送が許可(イネーブル)されているか不可(デスイネーブル)かを監視する。
【0024】
転送権取得部312は、各データ転送判定部31に設けられており、転送データ番号及び転送権番号を取得する。この転送権番号を取得したデータ転送部30のみが、番号が付与された画像データを画像処理部40に送信することができる。
【0025】
画像処理部40(40A、40B・・40Nの総称)は、画像判定部41(41A、41B・・41Nの総称)及び結果通知部42(42A、42B・・42Nの総称)を有し、データ転送部30から転送されたデータ番号が付与された画像データの画像処理を行う。本実施例1では、画像データ内の位置情報に基づいて文字を検知(検出切り出し)し、当該文字情報の文字認識を経て、読み取られた郵便番号、住所などの区分情報を判定する(画像判定部)。判定結果は結果通知部42(42A、42B・・42Nの総称)に出力される。なお、データ転送部30及び画像処理部40で1つの画像処理ユニット50を構成し、本実施例1では、N個の画像処理ユニット50を有している。
【0026】
結果通知部42は、媒体ごとの判定結果を当該媒体のデータ番号と共に総合判定部60に送信する。
【0027】
総合判定部60は、他の画像処理部40の結果通知部42から送信された判定結果及び図示しない他の検知部から送信された判定結果を媒体のデータ取得順(データ番号順)に並べ替えた後、媒体ごとに総合的に判定し、最終的な区分判定を行う。
【0028】
他の検知部から送信された判定結果とは、例えば、ピッチ詰まり、2枚取りなど、媒体の搬送状態に関する検知結果が含まれる。これらの検知の結果。異常状態と判定された場合には、誤った区分判定を行う場合が考えられる。このような誤判定を防止するために、当該総合判定部60で総合的な区分判定を行う。
【0029】
図2は、図1に示すデータ取込部20の番号付与部21の動作を説明する図である。上述したように、番号付与部21は、画像データに番号を付与する。本実施例1では、付与される番号領域として8ビット(bit)確保しており、最大FFH(16進数)の値まで与えることができる。本実施例1に係る郵便物処理装置は、1回の処理で、8ビットで表現される256(10進数)通以上の郵便物が供給される。この場合は、00H〜FFHの番号が繰り返し用いられる。搬送される媒体と当該媒体の画像データが混同することが防止できればよく、例えば、番号付与部でFFHを付与された画像データの次に00Hを付与された画像データがくることが事前に設定されていれば、当該媒体の順番を誤ることはない。もちろん、当該番号領域のビット数を1回の処理で処理される媒体の数に合わせて増やすことは容易である。
【0030】
図3は、図1に示す画像処理部40の転送可/不可処理の動作を説明する図である。画像処理部40は、画像処理中のときは(S01のYes)、データ転送部30の転送許可監視部311に対し転送「不可」を送信する(S02)。
【0031】
また、画像処理部40は、画像処理中でないとき(S01のNo)、データ転送部30の転送許可監視部311に対し「可」を送信する(S03)。
【0032】
図4は、図1に示すデータ転送部30(30A、30B・・30Nの総称)の転送権の動作を説明する図である。転送権は、入力された一連の画像データを、どのデータ転送部30が画像データを画像処理部40に送信することができるかを示すものである。
【0033】
当該画像処理装置100の電源投入後、当該装置は初期化される。この際、転送権Rは、データ転送部1(30A)の転送権取得部1(312A)が取得するように設定される。また、処理すべき画像データは最初の画像であることから転送権番号は00Hに設定される。ここで転送権番号とは、この転送権番号と一致するデータ番号の画像データが画像処理部40に転送される(詳細は後述する)。なお、データ番号00Hの画像データを、以下では画像データD00Hという。
【0034】
転送権Rを取得したデータ転送部1(30A)は、転送許可監視部1(311A)が転送「可」を受信していれば、データ取込部20の番号付与部21によって番号が付与されてデータ転送部1(30A)で受信した画像データは記憶部1(33A)に保存していた画像データのうち、転送権番号と一致する画像データD00を画像処理部1(40A)に転送する。画像データD00の転送終了後、転送権Rは、データ転送部2(30B)の転送権取得部2(312B)に転送されるとともに、転送権番号もインクリメントされて転送権取得部2(312B)に転送される。
【0035】
転送権Rを取得したデータ転送部2(30B)は、転送許可監視部2(311B)が転送「可」を受信していれば、上記同様、転送権番号と一致する番号の画像データD01を画像処理部2(40B)に転送する。画像データD01の転送終了後、転送権Rとインクリメントされた転送権番号とが、データ転送部3(30C)の転送権取得部3(312C)に転送される。
【0036】
以下同様にして、データ転送部がn個用いられる場合は、データ転送部n(30N)が画像データDnを画像処理部N(40N)に転送する。
【0037】
図5は、図1に示すデータ転送部30のデータ転送処理の動作を説明するフローチャートで、図示しないデータ転送制御手段によって処理される。また、この動作は、データ転送部1(30A)〜データ転送部n(30N)で共通であるため、特に区別する必要がある場合を除いて総称符号を用いて説明する。
【0038】
データ転送部30は、転送権取得部312が転送権Rを取得しているか否かを判断し、転送権Rを取得していると判定すると(S11のYes)、転送許可監視部311は、対応する画像処理部40が画像処理中であるか否かを確認する(S12)。
【0039】
この確認の結果、転送許可監視部311が、画像処理部40が画像処理中ではなく、転送「可」を受信していると(S12のNo)、転送権番号と一致する画像データが存在するかを判定する(S13)。
【0040】
この判定の結果、転送権番号と、一致する画像データが存在している場合は(S13のYes)、画像処理部40へ画像データを転送する(S14―S15)。一方、一致するデータが存在しない場合は、当該データ転送部30でデータ取込部20から送信された画像データを何らかの理由で受信していないことになる。この場合は、当該データ転送部30から画像処理部40に対する画像転送はできないため、ステップS18に移行し、次の転送権取得部312に転送権R及び転送権番号を転送する。
【0041】
ステップS14で画像データの転送が終了したら(S15のYes)、転送権番号をインクリメントする(S17)。
【0042】
ステップS17でインクリメントされた転送権番号及び転送権Rを次の転送権取得部に転送する。(S18)。この処理により、転送権R及び転送権番号がデータ転送部1からデータ転送部2に移る。
【0043】
その後はステップS11に移行し、同様の処理を行う(S11〜S18のループ)。
【0044】
なお、ステップS12において、画像処理部40が画像処理中の場合は(S12のYes)、転送許可監視部311が、画像処理部40から転送「不可」を受信している。この場合は、当該画像処理部40に対して画像データの転送ができないため、ステップS17に移行し、転送権R及び転送権番号を次の転送権取得部312に転送する(S18)。
【0045】
図6は、実施例1に係る画像処理部40の動作を説明するタイミングチャートである。なお、当該図6は、データ転送部30及び対応する画像処理部40からなる画像処理ユニットが3ユニットである場合についてその動作を説明する。
【0046】
画像データD00〜D08は、図1に示すカメラ10が、所定のピッチ時間tp(実施例1では10ms)の間隔で搬送される媒体P0、P1、・・P8を検知した画像データである。全ての画像処理部40がこの画像データD01、D02・・D08の転送権周期tc内で処理される場合は、それぞれの画像処理部40で当該連続的に出力される画像データD00、D01・・・D08の処理を順番に行うことができる。なお、転送権周期tcとは、画像処理ユニットが3ユニットの場合、何れかの画像処理ユニットが転送権を取得する周期で、図示した所定のピッチ時間tpの3倍の時間になる。
【0047】
本実施例1は、上述した転送権周期tc内で処理されない場合に当該処理できなかった画像処理部40をスキップし、次の画像処理部40が次の画像を処理するようになっている。
【0048】
画像処理部1(40A)は、データ転送部1(30A)から転送された画像番号が00である画像データD00を受信し、処理を開始する。この処理時間がtd1である。
【0049】
データ転送部1は、画像データD00の転送を終了したので、次に転送する画像データの番号に対応する転送権番号をインクリメントし、転送権Rとともに次に転送権を取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0050】
タイミングt01で、次の画像データD01が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部2は、当該転送権番号と一致する画像データD01であることを確認後、当該画像データD01を画像処理部2に転送する。
【0051】
同様に、タイミングt02で次の画像データD02が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部3は、当該転送権番号と一致する画像データD02であることを確認後、当該画像データD02を画像処理部3に転送する。
【0052】
次に、タイミングt03で、次の画像データD03が出力されると、転送権R及び転送権番号を取得したデータ転送部1は、対応する画像処理部1が、画像データD00の処理中であり、画像データD03の処理を行うことができないため、転送権R及び転送権番号を次に転送権Rを取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0053】
データ転送部2は、データ転送部1から転送権Rの転送を受け、画像データD03を画像処理部2に転送する。
【0054】
以下同様に、画像データD04、D05、D06及びD07がそれぞれデータ転送部3、1、2、3に対応する画像処理部3、1、2、3に転送され処理される。
【0055】
タイミングt08で、次の画像データD08が出力されると、転送権を取得したデータ転送部1は、対応する画像処理部1が、画像データD05の処理中であり、画像データD08の処理を行うことができないため、転送権R及び転送権番号を、次に転送権Rを取得する権利を有するデータ転送部2に転送する。
【0056】
データ転送部2は、データ転送部1から転送権Rの転送を受け、画像データD08を画像処理部2に転送する。
【0057】
以上の処理を繰り返すことによりデータ取込部20の番号付与部21で番号(画像番号)が付与された画像データはデータ転送部1〜3に転送され、管理された転送データ順に画像データが画像処理部40に転送され、処理される。
【0058】
以上の処理を行うことにより、カメラ10から連続して出力される画像データを複数の画像処理部40で分散して処理をする際に特定の画像処理部40に負荷が集中することを防止することができる。
【実施例2】
【0059】
図7は、実施例2に係る画像処理装置200の概略構成図である。実施例1では、それぞれの画像処理ユニット50内のデータ転送部30に転送許可監視部311及び転送権取得部312が設けられているが、実施例2では、画像処理部140(140A、140B・・140Nの総称)に転送許可監視部311及び転送権取得部312が設けられている。従ってデータ転送部130(130A、130B・・130Nの総称)にはデータ転送判定部31、DMA転送部32及び記憶部33が設けられて構成される。上記、実施例2を構成する各部の基本的な機能は実施例1と同様であるため、その詳細な説明は省略し、変更になっている部分の説明を行う。
【0060】
データ取込部20で番号が付与された画像データは、併置して配置された複数のデータ転送部130に送信される。
【0061】
画像処理部140は、転送権R及び転送権番号を取得し、転送許可監視部312が転送「可」状態のとき、データ転送部130に対して転送権番号を送信すると共に転送要求を行う。
【0062】
データ転送部130は、画像処理部140から転送権番号を受信し、当該転送権番号と一致する画像データを当該画像処理部140にDMA転送する。
【0063】
DMA転送された画像データは、実施例1同様に画像処理部140で画像処理され、その結果は結果通知部42に通知される。
【0064】
以上の処理を行うことにより、実施例1同様、カメラ10から連続して出力される画像データを複数の画像処理部40で分散して処理をする際に特定の画像処理部40に負荷が集中することを防止することができる。また、実施例2のデータ転送部130は、実施例1のデータ転送部30に比べて単純な構成になり、データ取込部20から出力された画像データを記憶部33に保存し、画像処理部140からの転送要求の際に指定された画像データを送信すればよいため、画像処理部140での処理が異なる複数の処理を同時に行う場合など、他のシステムに応用する場合に汎用性があるという利点がある。
【符号の説明】
【0065】
P0、P1、P2 媒体
100 データ転送装置
10 カメラ
20 データ取込部
21 番号付与部
30A〜30N データ転送部1〜データ転送判定部N
31A〜31N データ転送判定部1〜データ転送」判定部N
32A〜32N DMA転送部1〜DMA転送部N
40A〜40N 画像処理部1〜画像処理部N
41A〜41N 画像判定部1〜画像判定部N
42A〜42N 結果通知部1〜結果通知部N
50A〜50N 画像処理ユニット1〜画像処理ユニットN
60 総合判定部
130A〜130N データ転送部1〜データ転送部N
140A〜140N 画像処理部1〜画像処理部N
150A〜150N 画像処理ユニット1〜画像処理ユニットN
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7