特許第6039417号(P6039417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039417発光素子搭載用基板およびそれを用いた発光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039417
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】発光素子搭載用基板およびそれを用いた発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20161128BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/64
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-286792(P2012-286792)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-130870(P2014-130870A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古久保 洋二
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/046655(WO,A1)
【文献】 特開2008−172113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック層が複数積層され、表面に発光素子用の搭載部を有する白色系の絶縁基体と、該絶縁基体の内部において、前記セラミック層を厚み方向に貫いている複数の貫通導体と、該複数の貫通導体に接続され、前記セラミック層の主面に形成されている導体層と、を具備してなる発光素子用基板であって、前記導体層は、隣り合う前記貫通導体間で、前記表面とは反対側に凸となるように湾曲していることを特徴とする発光素子用基板。
【請求項2】
前記導体層は、前記搭載部の直下に広がった面の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項3】
前記導体層は、細長い形状であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれかに記載の発光素子用基板の前記搭載部に発光素子を備えていることを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い反射性を有する発光素子搭載用基板およびそれを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネ・環境保全の面から、液晶テレビを始めとして、液晶画面のバックライトや、一般家庭用照明のLED(Light Emission Diode)化が進んでいる。LEDを発光素子とする発光装置は、蛍光灯や白熱電球に比較して寿命は約10倍、電気代は約1/10程度と、優れた点が多く、脚光を浴びている。
【0003】
従来より、この種の発光装置は、LEDタイプの発光素子を各種基板の上に実装し、その発光素子を各種基板の上に形成した電極パターンにワイヤボンディングあるいはバンプ実装によって接続した構成となっている。
【0004】
こうした中、高い反射性を有するだけでなく、従来の発光素子搭載用基板に用いられてきた合成樹脂に比べて、熱伝導性および機械的強度が高く、耐熱性や耐久性に優れ、長期間紫外線に曝されても劣化しないという理由から、アルミナセラミックスやガラスセラミックスを基材とした発光素子搭載用基板が注目されている。
【0005】
また、こうしたセラミック製の発光素子搭載用基板(以下、基板という場合がある)においては、近年、基板の内部に複数の貫通導体(サーマルビアという場合がある)を配置し、これらの貫通導体を基板内部の面内に広がる導体層で連結させて、発光素子の搭載面とは反対側の裏面側に熱を逃がすようにし、放熱性を向上させたものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
しかしながら、上記のような発光素子搭載用基板では、貫通導体を連結する導体層が発光素子の搭載面の直下に広がっているために、導体層が発光素子の搭載面である反射面に投影され、反射面が導体層の色で透けて着色されたようになり、このため発光素子搭載用基板の反射面における反射特性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−44612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明は、放熱性とともに反射特性に優れた発光素子搭載用基板およびそれを用いた発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光素子搭載用基板は、セラミック層が複数積層され、表面に発光素子用の搭載部を有する白色系の絶縁基体と、該絶縁基体の内部において、前記セラミック層を厚み方向に貫いている複数の貫通導体と、該複数の貫通導体に接続され、前記セラミック層の主面に形成されている導体層と、を具備してなる発光素子用基板であって、前記導体層は、隣り合う前記貫通導体間で、前記表面とは反対側に凸となるように湾曲していることを特徴とする。
【0010】
本発明の発光装置は、上記の発光素子搭載用基板の前記搭載部に発光素子を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱性とともに反射特性に優れた発光素子搭載用基板およびそれを用いた発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の発光素子搭載用基板の一実施形態を模式的に示した斜視図である。
図2図1のA−A’線断面図である。
図3】(a)、(b)および(c)は、それぞれ図1に示したB線、C線およびD線の層における平面図である。
図4】従来の発光素子搭載用基板を模式的に示した斜視図である。
図5図4のA−A’線断面図である。
図6図5の変形例であり、図5に比較して、導体層の搭載面から距離が大きい状態を示したものである。
図7】本発明の発光装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図8】本実施形態の発光素子搭載用基板の製造工程に用いる変形した導体パターンを有する基体シートを作製する工程を示すものである。
図9】本実施形態の発光素子搭載用基板の製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態の発光素子搭載用基板を模式的に示した斜視図である。図2は、図1のA−A’線断面図である。図3の(a)、(b)および(c)は、それぞれ図1に示したB線、C線およびD線の層における平面図である。
【0014】
本実施形態の発光素子搭載用基板は、複数のセラミック層1a、1b、1cが積層され、表面に発光素子用の搭載部3を有する白色系の絶縁基体1を母体としており、この絶縁基体1の内部にはセラミック層1a、1b、1cを厚み方向に貫く貫通導体5が形成されている。ここで、セラミック層1aについては枠体部、セラミック層1bについては表層部およびセラミック層1cについては基体部という場合がある。
【0015】
また、絶縁基体1を構成するセラミック層1a、1b、1cの主面には導体層7が形成されており、導体層7は貫通導体5に接続された構成となっている。また、絶縁基体1の表面の搭載部3の周囲は発光素子の反射面9となっている。なお、図1および図2では、絶縁基体1の表面側には枠体部を設けた構造を示しているが、この枠体部の内壁も発光素子の反射面9として機能するようになっている。
【0016】
さらに、この実施形態の発光素子搭載用基板において、導体層7は、貫通導体5に接続した部位7aと貫通導体5から離れた部位7bとで搭載面3(反射面9)のある表面からの深さが異なり、貫通導体5から離れた部位7bにおける表面からの距離tが貫通導体5に接続した部位7aにおける表面からの距離tよりも大きくなっている。
【0017】
つまり、この発光素子搭載用基板では、図2に示すように、貫通導体5に接続されている導体層7が貫通導体5の周囲で折れ曲がり、貫通導体5の近傍から離れるに従って導体層7の絶縁基体1の搭載部3からの距離が大きくなるように変形している。
【0018】
本実施形態の発光素子搭載用基板によれば、貫通導体5を連結する導体層7が発光素子の搭載面3の直下に広がっているような面の形状をしていても導体層7が発光素子の搭載
面3を含む反射面9に投影されにくく、反射面9が導体層7の色で透けて着色されたような状態が低減される。これにより発光素子搭載用基板の反射面9における反射特性の低下を抑えることができる。
【0019】
ここで、図4は、従来の発光素子搭載用基板を模式的に示した斜視図である。図5は、図4のA−A’線断面図である。図6は、図5の変形例であり、図5に比較して、導体層の搭載面から距離が大きい状態を示したものである。
【0020】
例えば、図4および図5に示した従来の発光素子搭載用基板を例にすると、従来の発光素子搭載用基板では、絶縁基体101の搭載面103および反射面109の下方側の内部において貫通導体105に接続され、セラミック層101bとセラミック層101cとの間の面内に広がるように形成された導体層107は、この界面のほぼ全域において搭載面103および反射面109にほぼ水平になるように形成されている。
【0021】
導体層107のほぼ全域がこのように搭載面103および反射面109にほぼ水平になるように形成されている場合には、貫通導体105の上端105aと反射面109との間の距離が短いときには、発光素子から導体層107までの距離が短い分、導体層107による集熱により高い放熱性を示すものの、導体層107の全域が反射面109に近いために、導体層107の色がセラミック層101bに透けてしまい、セラミック層101bが白色から着色されたような状態となるため反射面109における反射特性が低下する。
【0022】
一方、図6に示した発光素子搭載用基板のように、導体層107のほぼ全域がこのように搭載面103および反射面109にほぼ水平になるように形成されている場合に、貫通導体105の上端105aと反射面109との間の距離が長いときには、導体層107の全域が反射面109から遠いために、導体層107の色がセラミック層101bに透けにくくなり、セラミック層101bの色が本来の白色系の状態を維持しやくなるために反射面109における反射特性の低下は低減されるが、一方で、発光素子から導体層107までの距離が長いことから、貫通導体105および導体層107による集熱性が弱まるために発光素子搭載用基板の放熱性が低下してしまう。
【0023】
これに対し、本実施形態の発光素子搭載用基板では、図2に示したように、貫通導体5に接続されている導体層7が貫通導体5の周囲で折れ曲がり、貫通導体5の近傍から離れるに従って導体層7の絶縁基体1の搭載部3からの距離が大きくなるように変形していることから、貫通導体5の部分を除いて導体層7の位置が絶縁基体1の反射面9から遠くなっている。これにより貫通導体5を連結する導体層7が発光素子の搭載面3の直下に広がっているような面の形状をしていても、導体層7は貫通導体5の上端5aの部分を除いて発光素子の搭載面3を含む反射面9に投影されにくくなり、反射面9が導体層7の色で透けて着色されたような状態になることを軽減することができる。その結果、発光素子搭載用基板の反射面9における反射特性の低下を抑えることが可能となる。
【0024】
この場合、導体層7の貫通導体5から離れた部位7bは、貫通導体5から離れる方向に向けて、表面(反射面9)からの深さが次第に大きくなっていることが望ましい。導体層7の貫通導体5から離れた部位7bが貫通導体5から離れる方向に向けて、次第に深くなるように湾曲していると、導体層7の鋭い折れ曲がりが無いために、折れ曲がった2つの面による色のコントラストを低減することができ、これにより反射特性の低下を抑えることができる。
【0025】
また、このとき導体層7は、貫通導体5から離れる方向に向けて、表面(反射面9)とは反対側に凸となるように湾曲しているい。導体層7が貫通導体5を中心にして曲がっているときに、貫通導体5の側面に沿うように下側に向けて凸となるように曲がっていると、導体層7の反射面9からの距離の大きい領域をより大きく広げることができる。その結果、導体層7を貫通導体5の近傍を除いて透ける領域をより減少させることができる。こうして反射面9での反射特性を低減することができる。
【0026】
この実施形態の発光素子搭載用基板に適用される絶縁基体1としては、白色系のセラミックス材料であれば好適であるが、機械的強度や反射特性の点でガラスセラミックスあるいはアルミナ質セラミックスを適用することがのぞましい。
【0027】
貫通導体5および導体層7には、絶縁基体1との同時焼成を可能とする金属材料であれば良いが、絶縁基体1がガラスセラミックスの場合には銀または銅を用いるのがよく、一方、絶縁基体1がアルミナ質セラミックスの場合には、タングステン(W)やモリブデン(Mo)あるいはこれらの合金を用いるのがよい。この場合、絶縁基体1の反射面9に透ける領域をより小さくし、絶縁基体1の反射面9における反射特性を高めるとともに、貫通導体5による放熱性を高めるという理由から、貫通導体5の直径は30〜100μmであることが望ましい。
【0028】
なお、このような直径の貫通導体5を有する絶縁基体1としては、主面の面積が1mm×1mm以上であることが好ましい。このような面積の絶縁基体1に形成される導体層7(ここではセラミック層101aとセラミック層101bとの間の界面に形成される導体層7)としては、その1層における総面積が絶縁基体1の主面の面積の30%以上であることが望ましい。
【0029】
導体層7の形状としては、図3に示したようなベタ面を取る矩形状のみならず細長い配線パターンの形状であっても良い。
【0030】
図7は、本発明の発光装置の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の発光装置は、上述した発光素子搭載用基板の搭載部3に発光素子13を備えていることを特徴とするものである。この発光装置は、発光素子搭載用基板を構成する導体層7が、貫通導体5に接続した部位7aと貫通導体5から離れた部位7bとで搭載面3のある表面からの深さが異なり、貫通導体5から離れた部位7bにおける表面からの距離tが貫通導体5に接続した部位7aにおける表面からの距離tよりも大きいことにより、放熱性とともに反射特性に優れた発光装置を得ることができる。
【0031】
次に、本実施形態の発光素子搭載用基板および発光装置の製造方法について説明する。図8は、本実施形態の発光素子搭載用基板の製造工程に用いる変形した導体パターンを有する基体シートを作製する工程を示すものである。図9は、本実施形態の発光素子搭載用基板の製造工程を示す模式図である。
【0032】
まず、セラミック層1a(枠体部)、セラミック層1b(表層部)、セラミック層1c(基体部)を形成するためのシート状成形体21を作製する。その組成は、例えば、ガラスセラミックスの場合、ホウケイ酸ガラスなどのガラス粉末とAl粉末とを混合した混合粉末を用いる。また、アルミナ質セラミックスの場合には、Al粉末にMnやSiO、MgOなどの焼結助剤を適宜添加したものを用いる。
【0033】
次に、この混合粉末に対して、有機バインダを溶媒とともに添加してスラリーや混練物を調製した後、これをプレス法、ドクターブレード法、圧延法、射出法などの成形方法を用いてシート状成形体を形成する。
【0034】
作製したシート状成形体21を枠体部用シート(図9の21a)、表層用シート(図9の21b)、基体用シート(図9の21c)として適用する。
【0035】
次に、作製したシート状成形体にそれぞれNCパンチングや金型を用いて、貫通孔を形成する。
【0036】
次に、貫通孔を形成したシート状成形体のうち表層用シート(図9の21b)および基体用シート(図9の21c)となるシート状成形体に貫通導体および導体層となる導体パターンを形成する。このとき導体パターンを形成するための導体ペーストには、シート状成形体の材質に応じて、銀、銅、タングステンおよびモリブデンのうちのいずれかの金属材料を適用する。
【0037】
次に、表層用シート21bおよび基体用シート21cとなるシート状成形体の貫通孔にスクリーン印刷法により導体ペースト注入して生の貫通導体25を形成した後、続いて、導体層7となる導体パターン27をシート状成形体の貫通孔を含めた主面上に形成する。
【0038】
次に、生の貫通導体25および導体パターン27を形成したシート状成形体のうち、基体用シート21cとなるシート状成形体に対しては、図8に示すように、凹凸を有する金型29を用いてプレス加工を行い基体用シート21cを作製する。このとき用いる金型29としては、シート状成形体の貫通孔に当たる部分が凹状に、一方、貫通孔以外の部分が凸状になるように加工されているものを用いる。
【0039】
次に、シート状成形体に貫通穴を形成して枠体部用シート21aとなるシート状成形体を作製し、この枠体部用シート21aと、表層用シート21bおよび基体用シート21cとを仮積層し、この後、加圧積層する。このとき表層用シート21bから基体用シート21c側に生のシートが入り込み貫通導体の周囲の凹部に充填され、こうして生の積層体を得る。
【0040】
次に、生の積層体を所定の温度条件で焼成することにより、図1に示すような発光素子搭載用基板を得ることができる。次に、この発光素子搭載用基板の搭載部3に発光素子13を実装することにより発光装置を得ることができる。
【実施例】
【0041】
ホウケイ酸ガラス粉末を60質量%とAl粉末を40質量%の割合で混合した後、さらに、有機バインダーとしてアクリル系バインダーを19質量%、ワックスとしてパラフィンワックスを3質量%、有機溶媒としてトルエンを混合してスラリーを調製した後、ドクターブレード法にて平均厚みが100μm、150μm、200μmのシート状成形体を作製した。ここで、平均厚みが100μmのシート状成形体は表層用シート(図9の21b)として、平均厚みが150μmのシート状成形体は枠体部用シート(図9の21a)として、および平均厚みが200μmのシート状成形体は基体用シート(図9の21c)として使用した。
【0042】
次に、平均厚みが150μmのシート状成形体には枠体部となるように貫通穴を形成した。また、平均厚みが100μmのシート状成形体には搭載部となる部分に貫通孔を形成し、導体ペーストを印刷して、貫通孔に充填し、また、その発光素子との接続を行うための導体パターンを形成した。
【0043】
平均厚みが200μmのシート状成形体にもまず貫通孔を形成し、導体ペーストを印刷して、貫通孔に充填し、また、その主面の両面に導体パターンを形成し、次いで、図8に示すように金型を用いて80℃にてプレスを行い、基体用シート(21c)を作製した。凹凸の深さについては、表1に示すような寸法になるよう調整した。
【0044】
また、金型の凸部の先端の形状を丸くした金型を用いた基体用シートも作製した。
【0045】
次に、作製した枠体部用シート、表層用シートおよび基体用シートを図9に示すように重ねて密着させて発光素子搭載用基板の焼成前の積層体を作製した。
【0046】
次に、大気中、910〜950℃の温度にて1時間の焼成を行い、発光素子搭載用基板を得た。なお、作製した発光素子搭載用基板のうち、金型の凸部の先端の形状を丸くした金型を用いた基体用シートを用いて作製したものは、導体層が貫通導体の近傍から離れる方向に、下層側に凸となるように湾曲した形状を有するものとなっていた。
【0047】
比較例として、基体用シートを金型を用いたプレスを行わない方法により図5および図6に示す構造の発光素子搭載用基板を同様の条件で作製した。
【0048】
得られた発光素子搭載用基板の評価として、以下を実施した。
【0049】
<熱抵抗評価>
発光素子搭載用基板全体で5Wの負荷をかけた時の負荷前後の基板の温度上昇を測定し、熱抵抗を評価した。値については20W以上を不可と判断した。
【0050】
<反射率測定>
発光素子搭載用基板の5mm平方角部分での反射率を分光測色計(コニカミノルタ製CM−3700d)を用いて波長360〜720nmの範囲にて測定し、360nm、430nm、540nm、700nmでの反射率の平均値を求めた。値は80%以下を不可と判断した。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から明らかなように、基体部内の導体層を変形させた試料(試料No.1、2)では、熱抵抗が10℃/W以下、反射率が85%以上であった。特に、導体層を湾曲させた試料No.2は、反射率が87%であった。
【0053】
これに対し、基体部内の導体層が水平な形状の試料(試料No.3、4)のうち、搭載面から貫通導体の上端までの距離が短い場合(試料No.3)には、熱抵抗は8℃/Wと低かったものの、反射率が75%であった。一方、搭載面から貫通導体の上端までの距離が長い場合には反射率は90%であったものの、熱抵抗が50℃/Wと大きかった。
【符号の説明】
【0054】
1、101・・・・・・・・絶縁基体
1a、101a・・・・・・セラミック層(枠体部)
1b、101b・・・・・・セラミック層(表層部)
1c、101c・・・・・・セラミック層(基体部)
3、103・・・・・・・・搭載部
5、105・・・・・・・・貫通導体
7、107・・・・・・・・導体層
9、109・・・・・・・・反射面
13・・・・・・・・・・・発光素子
t・・・・・・・・・・・・反射面と貫通導体の上端と間の距離
・・・・・・・・・・・導体層の貫通導体と接続した部位と反射面との距離
・・・・・・・・・・・貫通導体から離れた位置における導体層と反射面との距離
21・・・・・・・・・・・シート状成形体
21a・・・・・・・・・・枠体部用シート
21b・・・・・・・・・・表層用シート
21c・・・・・・・・・・基体用シート
25・・・・・・・・・・・生の貫通導体
27・・・・・・・・・・・導体パターン
29・・・・・・・・・・・金型

図2
図5
図6
図7
図8
図9
図1
図3
図4