(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0079】
以下、本発明の説明を行うが、本明細書で用いる用語について簡単に説明する。まず、トランジスタのソースとドレインについては、本明細書においては、一方をドレインと呼ぶとき他方をソースとする。即ち、電位の高低によって、それらを区別しない。従って、本明細書において、ソースとされている部分をドレインと読み替えることもできる。
【0080】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
【0081】
本明細書においては、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0082】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0083】
なお、チャネル長とは、トランジスタのソースとドレインとの間の距離をいう。チャネル長が小さいほど、オン抵抗が小さくなり、高速動作が可能なトランジスタとなる。また、チャネル幅とは、トランジスタのソースとドレインとの対向長をいう。チャネル幅が大きいほど、オン抵抗が小さくなり、高速動作が可能なトランジスタとなる。
【0084】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るトランジスタについて説明する。
【0085】
図1(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図1(A)に示す一点鎖線A1−A2に対応する断面図を
図1(B)に示す。また、
図1(A)に示す一点鎖線A3−A4に対応する断面図を
図1(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図1(A)においては、下地絶縁膜102などを省略して示す。
【0086】
図1(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜106におけるゲート電極104と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜106の二側面の一部は、ゲート電極104と重畳する。
【0087】
図1(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0088】
また、
図1(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0089】
図1(B)は、基板100上に設けられた下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた酸化物半導体膜106と、酸化物半導体膜106上に設けられたゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜112上にあり、酸化物半導体膜106と重畳して設けられたゲート電極104と、を有するトランジスタの断面構造である。
【0090】
なお、
図1(B)には、酸化物半導体膜106、ゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有する層間絶縁膜118と、層間絶縁膜118の開口部を介して酸化物半導体膜106と接して設けられた配線136と、を示す。
【0091】
酸化物半導体膜106の材料は、例えば、In−M−Zn−O系材料を用いればよい。ここで、金属元素Mは酸素との結合エネルギーがInおよびZnよりも高い元素である。または、In−M−Zn−O系材料から酸素が脱離することを抑制する機能を有する元素である。金属元素Mの作用によって、酸化物半導体膜の酸素欠損の生成がある程度抑制される。そのため、酸素欠損に起因するトランジスタの電気特性の変動を低減することができ、信頼性の高いトランジスタを得ることができる。
【0092】
金属元素Mは、具体的にはAl、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、TaまたはWとすればよく、好ましくはAl、Ti、Ga、Y、Zr、CeまたはHfとする。金属元素Mは、前述の元素から一種または二種以上選択すればよい。また、金属元素Mの代わりにSiまたはGeを用いても構わない。
【0093】
ただし、酸化物半導体膜106に含まれる金属元素Mの作用のみでは酸化物半導体膜106の酸素欠損の生成を完全に抑制できるわけではない。そのため、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112の少なくともいずれかから酸素を供給することが重要となる。
【0094】
また、酸化物半導体膜106中の水素濃度を、2×10
20atoms/cm
3以下、好ましくは5×10
19atoms/cm
3以下、さらに好ましくは1×10
19atoms/cm
3以下とする。これは、酸化物半導体膜106に含まれる水素が意図しないキャリアを生成することがあるためである。生成されたキャリアは、トランジスタの電気特性を変動させる要因となる。
【0095】
酸化物半導体膜106は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
【0096】
好ましくは、酸化物半導体膜106は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
【0097】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因するキャリア移動度の低下が抑制される。
【0098】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面に垂直な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。
【0099】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜106の上面側から結晶成長させる場合、被形成面側に対し上面側では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0100】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは上面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または上面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは上面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0101】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0102】
なお、酸化物半導体膜106は、領域106aおよび領域106bを有する。領域106aはチャネル領域として機能し、領域106bはソース領域およびドレイン領域として機能する。従って、領域106bは、半導体ではなく導体と呼ぶべき場合がある。そのため、便宜上は酸化物半導体膜106と示した場合でも、領域106bを除外して領域106aのみを指していることがある。
【0103】
領域106bは、領域106aよりも抵抗の低い領域である。領域106bは、酸化物半導体膜の抵抗を下げる作用のある不純物を含む領域である。酸化物半導体膜の抵抗を下げる作用のある不純物は、例えば、ヘリウム、ホウ素、窒素、フッ素、ネオン、アルミニウム、リン、アルゴン、ヒ素、クリプトン、インジウム、スズ、アンチモンおよびキセノンが挙げられる。
【0104】
酸化物半導体膜106における領域106aは、バンドギャップが2.8eV〜3.2eV程度であり、少数キャリア密度が10
−9個/cm
3程度と極めて少なく、多数キャリアはトランジスタのソースから来るのみである。
【0105】
酸化物半導体膜106は、シリコンと比べて1〜2eV程度バンドギャップが大きい。そのため、酸化物半導体膜106を用いたトランジスタは、衝突イオン化が起こりにくく、アバランシェブレークダウンが起こりにくい。即ち、当該トランジスタは、ホットキャリア劣化が起こりにくいといえる。
【0106】
また、領域106aは、不純物濃度が低く、酸素欠損が少ない。そのため、当該トランジスタは、酸化物半導体膜106の厚さが厚い場合(例えば、15nm以上100nm未満)でもゲート電極104の電界によって領域106aを完全空乏化させることができる。従って、当該トランジスタは、パンチスルー現象によるしきい値電圧の負方向へのシフトが起こらず、かつ、例えばチャネル長が3μmのとき、チャネル幅1μmあたりのオフ電流を、室温において10
−21A未満、または10
−24A未満とすることができる。
【0107】
酸素欠損の少ない酸化物半導体膜は、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)によって、酸素欠損に起因する信号を有さない酸化物半導体膜である。具体的には、酸素欠損に起因するスピン密度が、5×10
16spins/cm
3未満の酸化物半導体膜である。なお、酸化物半導体膜が酸素欠損を有すると、ESRにてg値が1.93近傍に対称性を有する信号が現れる。
【0108】
下地絶縁膜102は十分な平坦性を有することが好ましい。具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、さらに好ましくは0.1nm以下とする。上述の数値以下のRaとすることで、結晶化度の高い酸化物半導体膜106を設けることができる。また、下地絶縁膜102と酸化物半導体膜106との界面の凹凸が小さくなることで、界面散乱の影響を小さくできる。なお、Raとは、JIS B 0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、数式(17)にて定義される。
【0110】
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x
1,y
1,f(x
1,y
1)),(x
1,y
2,f(x
1,y
2)),(x
2,y
1,f(x
2,y
1)),(x
2,y
2,f(x
2,y
2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS
0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ
0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0111】
下地絶縁膜102は、過剰酸素を含む絶縁膜であると好ましい。
【0112】
過剰酸素を含む絶縁膜とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて放出される酸素が酸素原子に換算して1×10
18atoms/cm
3以上、1×10
19atoms/cm
3以上または1×10
20atoms/cm
3以上である絶縁膜をいう。
【0113】
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
【0114】
TDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そしてこの積分値と標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
【0115】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の放出量(N
O2)は、数式(18)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてほかにCH
3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
【0117】
N
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。S
H2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、N
H2/S
H2とする。S
O2は、絶縁膜をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。数式(18)の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記絶縁膜の酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×10
16atoms/cm
2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
【0118】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
【0119】
なお、N
O2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
【0120】
または、過剰酸素を含む絶縁膜は、過酸化ラジカルを含む絶縁膜であってもよい。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×10
17spins/cm
3以上の絶縁膜である。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁膜は、ESRにて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有する絶縁膜である。
【0121】
または、過剰酸素を含む絶縁膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO
X(X>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO
X(X>2))は、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
【0122】
下地絶縁膜102は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。また、前述の単層または積層に加えて、窒化酸化シリコン、窒化シリコンを積層しても構わない。
【0123】
酸化窒化シリコンは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、また、窒化酸化シリコンは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示す。
【0124】
また、ゲート絶縁膜112は、過剰酸素を含む絶縁膜であると好ましい。
【0125】
ゲート絶縁膜112は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。
【0126】
下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112の少なくともいずれかに含まれる過剰酸素は、材料の化学量論的組成を超えて含まれる酸素である。従って、過剰酸素は、熱などのエネルギーを与えられると放出する性質を有する。過剰酸素は化学量論的組成に対して過剰に含まれるものであるため、放出することによって失われても、膜質を低下させることがない。
【0127】
例えば、酸化物半導体膜106の酸素欠損を、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112のいずれかから供給される酸素によって低減することができる。即ち、酸化物半導体膜106の酸素欠損が低減されることで、トランジスタのしきい値電圧の負方向へのシフトを抑制することができる。そのためには、下地絶縁膜およびゲート絶縁膜の少なくともいずれかに、過剰酸素を含む絶縁膜を用いればよい。
【0128】
なお、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112で酸化物半導体膜106を挟み、加熱処理を行うことで、下地絶縁膜102から放出させた酸素を、効率よく酸化物半導体膜106に供給することができる。また、当該加熱処理を、250℃以上550℃以下の温度で行うと、酸化物半導体膜106に酸素を供給するとともに、酸化物半導体膜106、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112の水素濃度を低減することができる。
【0129】
ただし、当該加熱処理により、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112のいずれかに含まれる過剰酸素が失われてしまうことがある。トランジスタの電気特性の変動を低減するという観点では、加熱処理後も下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112のいずれかは過剰酸素を含むことが好ましい。
【0130】
基板100に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐え得る程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを、基板100として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。
【0131】
また、基板100として、第5世代(1000mm×1200mmまたは1300mm×1500mm)、第6世代(1500mm×1800mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2500mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2880mm×3130mm)などの大型ガラス基板を用いる場合、半導体装置の作製工程における加熱処理などで生じる基板100の縮みによって、微細な加工が困難になる場合ある。そのため、前述したような大型ガラス基板を基板100として用いる場合、加熱処理による縮みの小さいものを用いることが好ましい。例えば、基板100として、400℃、好ましくは450℃、さらに好ましくは500℃の温度で1時間加熱処理を行った後の縮み量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下である大型ガラス基板を用いればよい。
【0132】
また、基板100として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板である基板100に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
【0133】
ゲート電極104は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ag、TaおよびWを一種以上含む、単体、窒化物、酸化物または合金を、単層で、または積層で用いればよい。
【0134】
層間絶縁膜118は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。
【0135】
なお、層間絶縁膜118は、比誘電率が低く、かつ十分な厚さを有すると好ましい。例えば、比誘電率が3.8程度である酸化シリコン膜を用い、200nm以上1000nm以下の厚さで設ければよい。層間絶縁膜118の上面は、大気成分などの影響で僅かに固定電荷を有し、その影響により、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。そのため、層間絶縁膜118は、上面に生じる電荷の影響が十分に小さくなるような範囲の比誘電率および厚さとすることが好ましい。同様の理由で、層間絶縁膜118上にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂膜を形成することで、層間絶縁膜118の上面に生じる電荷の影響を低減しても構わない。
【0136】
配線136は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ag、TaおよびWを一種以上含む、単体、窒化物、酸化物または合金を、単層で、または積層で用いればよい。
【0137】
また、
図1に示すトランジスタとは、異なる構造のトランジスタについて、
図2を用いて説明する。
【0138】
図2(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図2(A)に示す一点鎖線B1−B2に対応する断面図を
図2(B)に示す。また、
図2(A)に示す一点鎖線B3−B4に対応する断面図を
図2(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図2(A)においては、下地絶縁膜102などを省略して示す。
【0139】
図2(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜106におけるゲート電極104と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜106の二側面の一部は、ゲート電極104と重畳する。
【0140】
図2(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0141】
また、
図2(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0142】
図2(B)は、基板100上に設けられた下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた酸化物半導体膜106と、酸化物半導体膜106上に設けられたゲート絶縁膜112と、ゲート絶縁膜112上にあり、酸化物半導体膜106と重畳して設けられたゲート電極104と、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108と、を有するトランジスタの断面構造である。
【0143】
なお、
図2(B)には、酸化物半導体膜106、ゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有する層間絶縁膜118と、層間絶縁膜118の開口部を介して酸化物半導体膜106と接して設けられた配線136と、を示す。
【0144】
図2に示すトランジスタは、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108を有する点でのみ
図1に示すトランジスタと異なる。従って、そのほかの構成については、
図1についての説明を参照することができる。
【0145】
バリア膜108は、酸素透過性の低い絶縁膜である。具体的には、350℃、1時間の加熱処理によって酸素が透過しない性質を有する絶縁膜である。
【0146】
バリア膜108は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。好ましくは、酸化アルミニウム膜を用いる。
【0147】
図2に示すトランジスタは、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108を有するため、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112のいずれかに含まれる過剰酸素の外方拡散を抑制することができる。従って、下地絶縁膜102およびゲート絶縁膜112のいずれかに含まれる過剰酸素を、効率的に酸化物半導体膜106に供給することができる。即ち、
図1に示すトランジスタよりも、さらにトランジスタのしきい値電圧の負方向へのシフトを抑制することができる。
【0148】
また、
図1および
図2に示すトランジスタとは、異なる構造のトランジスタについて、
図3を用いて説明する。
【0149】
図3(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図3(A)に示す一点鎖線C1−C2に対応する断面図を
図3(B)に示す。また、
図3(A)に示す一点鎖線C3−C4に対応する断面図を
図3(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図3(A)においては、下地絶縁膜102などを省略して示す。
【0150】
図3(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜106におけるゲート電極104と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜106の二側面の一部は、ゲート電極104と重畳する。
【0151】
図3(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0152】
また、
図3(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0153】
図3(B)は、基板100上に設けられた下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた酸化物半導体膜106と、酸化物半導体膜106上に設けられた第1の層132aおよび第2の層132bを含むゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上にあり、酸化物半導体膜106と重畳して設けられたゲート電極104と、を有するトランジスタの断面構造である。なお、第1の層132aは、第2の層132bよりも酸化物半導体膜106側に設けられる。
【0154】
なお、
図3(B)には、酸化物半導体膜106、ゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有する層間絶縁膜118と、層間絶縁膜118の開口部を介して酸化物半導体膜106と接して設けられた配線136と、を示す。
【0155】
図3に示すトランジスタは、ゲート絶縁膜112に代えて、第1の層132aおよび第2の層132bを含むゲート絶縁膜132を有する点でのみ
図1に示すトランジスタと異なる。従って、そのほかの構成については、
図1についての説明を参照することができる。
【0156】
ここで、第1の層132aは、過剰酸素を含む絶縁膜である。
【0157】
第1の層132aは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。
【0158】
また、第2の層132bは、酸素透過性の低い絶縁膜である。具体的には、350℃、1時間の加熱処理によって酸素が透過しない性質を有する絶縁膜である。
【0159】
第2の層132bは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。好ましくは、酸化アルミニウム膜を用いる。
【0160】
図3(C)に示すように、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面と接して第1の層132aが設けられる。従って、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面に対し、第1の層132aから酸素を供給することができる。また、第1の層132aを覆うように第2の層132bが設けられることで、第1の層132aから効率よく酸素を供給することができる。
【0161】
酸化物半導体膜の側面には、酸化物半導体膜の側面の性質に起因して、寄生チャネルが形成されることがある。寄生チャネルは、トランジスタの本来のチャネルよりも、しきい値電圧が低いことが多い。そのため、寄生チャネルの影響が大きくなると、あたかもトランジスタのしきい値電圧が負方向にシフトしたかのように見える。これは、酸化物半導体膜の側面はキャリアが生成しやすいためである。そのため、酸化物半導体膜の側面に対しては、他の表面に対してよりも外部から酸素を多く供給してやることが重要となる。
【0162】
寄生チャネルの影響は、短チャネルのトランジスタにおいて顕著となることがあるため、微細化したトランジスタにおいては、
図3に示すような構造を採用することが効果的である。
【0163】
図3に示すトランジスタは、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面に寄生チャネルが形成されにくい。即ち、
図1に示すトランジスタよりも、さらにトランジスタのしきい値電圧の負方向へのシフトを抑制することができる。
【0164】
また、
図1乃至
図3に示すトランジスタとは、異なる構造のトランジスタについて、
図4を用いて説明する。
【0165】
図4(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図4(A)に示す一点鎖線D1−D2に対応する断面図を
図4(B)に示す。また、
図4(A)に示す一点鎖線D3−D4に対応する断面図を
図4(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図4(A)においては、下地絶縁膜102などを省略して示す。
【0166】
図4(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜106におけるゲート電極104と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜106の二側面の一部は、ゲート電極104と重畳する。
【0167】
図4(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0168】
また、
図4(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0169】
図4(B)は、基板100上に設けられた下地絶縁膜102と、下地絶縁膜102上に設けられた酸化物半導体膜106と、酸化物半導体膜106上に設けられた第1の層132aおよび第2の層132bを含むゲート絶縁膜132と、ゲート絶縁膜132上にあり、酸化物半導体膜106と重畳して設けられたゲート電極104と、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108と、を有するトランジスタの断面構造である。なお、第1の層132aは、第2の層132bよりも酸化物半導体膜106側に設けられる。
【0170】
なお、
図4(B)には、酸化物半導体膜106、ゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有する層間絶縁膜118と、層間絶縁膜118の開口部を介して酸化物半導体膜106と接して設けられた配線136と、を示す。
【0171】
図4に示すトランジスタは、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108を有する点で
図2に示すトランジスタと同様である。また、
図4に示すトランジスタは、ゲート絶縁膜112に代えて、第1の層132aおよび第2の層132bを含むゲート絶縁膜132を有する点で
図3に示すトランジスタと同様である。従って、
図4に示すトランジスタの構成は、
図1乃至
図3についての説明を参照することができる。
【0172】
図4に示すトランジスタは、下地絶縁膜102、酸化物半導体膜106およびゲート電極104上に設けられた、酸化物半導体膜106に達する開口部を有するバリア膜108を有するため、下地絶縁膜102および第1の層132aのいずれかに含まれる過剰酸素の外方拡散を抑制することができる。従って、下地絶縁膜102および第1の層132aのいずれかに含まれる過剰酸素を、効率的に酸化物半導体膜106に供給することができる。即ち、トランジスタのしきい値電圧の負方向へのシフトを抑制することができる。
【0173】
また、
図4(C)に示すように、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面と接して第1の層132aが設けられる。従って、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面に対し、第1の層132aから酸素を供給することができる。また、第1の層132aを覆うように第2の層132bが設けられることで、第1の層132aから効率よく酸素を供給することができる。
【0174】
そのため、
図4に示すトランジスタは、ゲート電極104と重畳する領域において酸化物半導体膜106の側面に寄生チャネルが形成されにくい。即ち、トランジスタのしきい値電圧の負方向へのシフトを抑制することができる。
【0175】
以上に示すように、チャネル長が小さい場合(5nm以上60nm未満)でも実質的に短チャネル効果が生じないトランジスタとして、チャネル幅の大きい(5nm以上200nm未満)、酸化物半導体膜を用いたトランジスタを提案する。
【0176】
また、チャネル長に対してチャネル幅を一定の比率とした、酸化物半導体膜を用いたトランジスタを提案する。
【0177】
加えて、酸化物半導体膜106の酸素欠損によるしきい値電圧の負方向へのシフト、寄生チャネルによるしきい値電圧の負方向へのシフトの抑制されたトランジスタを提案する。
【0178】
以上により、微細化してもスイッチング特性の得られるトランジスタを提供することができる。
【0179】
以下に、
図5および
図6を用いて、
図4に示すトランジスタの作製方法を示す。なお、
図1乃至
図3に示すトランジスタの作製方法については、
図4に示すトランジスタの作製方法を適宜採用すればよい。説明を容易にするため、ここでは
図4(B)に対応する断面図のみを示す。
【0181】
次に、基板100上に下地絶縁膜102を成膜する(
図5(A)参照。)。下地絶縁膜102は、下地絶縁膜102として示した材料から選択し、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法を用いて成膜すればよい。
【0182】
ここで、下地絶縁膜102の脱水化、脱水素化処理を行ってもよい。脱水化、脱水素化処理は、例えば、加熱処理によって行うことができる。加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。または、脱水化、脱水素化処理として、プラズマ処理、UV処理または薬液処理を行っても構わない。
【0183】
次に、下地絶縁膜102に対し、上面側から酸素を添加してもよい。酸素の添加は、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行えばよい。その場合、加速電圧を5kV以上100kV以下とする。また、酸素の添加量は1×10
14ions/cm
2以上1×10
16ions/cm
2以下とする。さらに、下地絶縁膜102に対し、上面側から異なる条件で酸素を添加してもよい。
【0184】
または、酸素の添加は、酸素を含むプラズマ中で基板側にバイアス電圧を印加することで行ってもよい。その場合、バイアス電圧を10V以上1kV未満とする。また、バイアス電圧の印加時間は、10s以上1000s以下、好ましくは10s以上200s以下、さらに好ましくは10s以上60s以下とすればよい。バイアス電圧が高いほど、バイアス電圧の印加時間が長いほど、酸素を添加することができるが、同時に起こる膜のエッチングを無視できなくなる。
【0185】
酸素を添加することで、下地絶縁膜102を過剰酸素を含む絶縁膜とすることができる。ただし、過剰酸素を含む絶縁膜の形成方法は上述の方法に限定されない。例えば、酸素の割合が高い雰囲気、かつ室温(25℃程度)以上150℃以下の基板温度において行うスパッタリング法によっても、過剰酸素を含む絶縁膜を形成することができる。具体的には、成膜ガス中の酸素などの酸化性ガスの割合を、20%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上とすればよい。過剰酸素を含む絶縁膜の形成方法は、適宜組み合わせることができる。
【0186】
以上のようにして過剰酸素を含ませた下地絶縁膜102を形成すればよい。ただし、本実施の形態は、下地絶縁膜102に過剰酸素を含む場合に限定されない。
【0187】
下地絶縁膜102は十分な平坦性を有することが好ましいため、下地絶縁膜102に対し、平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理としては、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)、またはドライエッチング法を用いればよい。具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、さらに好ましくは0.1nm以下となるように下地絶縁膜102を設ける。
【0188】
次に、酸化物半導体膜を成膜する。酸化物半導体膜は、酸化物半導体膜106として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。酸化物半導体膜は、好ましくはスパッタリング法を用いて成膜する。この際、酸素などの酸化性ガスを5%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上含む成膜ガスを用いる。該成膜ガスとして、水素などの不純物濃度が低いガスを用いる。
【0189】
酸化物半導体膜の成膜後、第1の加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体膜から水素や水などの不純物を除去することができる。
【0190】
次に、酸化物半導体膜を加工し島状にして、酸化物半導体膜107を形成する(
図5(B)参照。)。
【0191】
次に、第1の層133aを成膜する。第1の層133aは、第1の層132aとして示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0192】
ここで、第1の層133aの脱水化、脱水素化処理を行ってもよい。脱水化、脱水素化処理は、例えば、加熱処理によって行うことができる。加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気、または減圧状態で行う。または、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。または、脱水化、脱水素化処理として、プラズマ処理、UV処理または薬液処理を行っても構わない。
【0193】
次に、第1の層133aに対し、上面側から酸素を添加してもよい。酸素の添加は、イオン注入法またはイオンドーピング法を用いて行えばよい。その場合、加速電圧を5kV以上100kV以下とする。また、酸素の添加量は1×10
14ions/cm
2以上1×10
16ions/cm
2以下とする。さらに、第1の層133aに対し、上面側から異なる条件で酸素を添加してもよい。
【0194】
または、酸素の添加は、酸素を含むプラズマ中で基板側にバイアス電圧を印加することで行ってもよい。その場合、バイアス電圧を10V以上1kV未満とする。また、バイアス電圧の印加時間は、10s以上1000s以下、好ましくは10s以上200s以下、さらに好ましくは10s以上60s以下とすればよい。
【0195】
酸素が添加されることで、第1の層133aを過剰酸素を含む絶縁膜とすることができる。ただし、過剰酸素を含む絶縁膜の形成方法は上述の方法に限定されない。例えば、酸素の割合が高い雰囲気、かつ室温以上150℃以下の基板温度において行うスパッタリング法によっても、過剰酸素を含む絶縁膜を形成することができる。具体的には、酸素の割合を、20%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上とすればよい。過剰酸素を含む絶縁膜の形成方法は、適宜組み合わせることができる。
【0196】
以上のようにして過剰酸素を含ませた第1の層133aを形成すればよい。ただし、本実施の形態は、第1の層133aに過剰酸素を含む場合に限定されない。
【0197】
次に、第2の層133bを成膜する。第2の層133bは、第2の層132bとして示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0198】
次に、導電膜105を成膜する(
図5(C)参照。)。導電膜105は、ゲート電極104として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0199】
次に、導電膜105を加工して、ゲート電極104を形成する。
【0200】
次に、ゲート電極104をマスクとし、またはゲート電極104の加工のためにマスクを用い、第2の層133bおよび第1の層133aを加工して、第2の層132bおよび第1の層132aを含むゲート絶縁膜132を形成する(
図6(A)参照。)。
【0201】
次に、ゲート電極104をマスクとして、酸化物半導体膜107に対し不純物を添加する。不純物としては、ヘリウム、ホウ素、窒素、フッ素、ネオン、アルミニウム、リン、アルゴン、ヒ素、クリプトン、インジウム、スズ、アンチモンおよびキセノンから選ばれた一種以上を添加すればよい。不純物添加の方法は、イオン注入法、イオンドーピング法で行えばよい。そのとき、加速電圧を5kV以上100kV以下とする。また、不純物の添加量は1×10
14ions/cm
2以上1×10
16ions/cm
2以下とする。その後、加熱処理を行ってもよい。
【0202】
酸化物半導体膜107は、前述の不純物を添加(および加熱処理)することにより、一部が低抵抗化する。ここで、低抵抗化した領域を領域106b、低抵抗化しなかった領域を領域106aとし、あわせて酸化物半導体膜106とする。
【0203】
なお、本実施の形態ではゲート絶縁膜132を形成した後で、酸化物半導体膜107へ不純物を添加する方法について説明しているが、これに限定されない。例えば、ゲート電極104を形成した後に、第2の層133bおよび第1の層133aを介して酸化物半導体膜107へ不純物を添加しても構わない。第2の層133bおよび第1の層133aを介することで、酸化物半導体膜107へダメージが入りにくくできる。
【0204】
次に、バリア膜108を成膜する(
図6(B)参照。)。バリア膜108は、バリア膜108として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0205】
なお、バリア膜108の形成後、第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理によって、下地絶縁膜102または/およびゲート絶縁膜132から酸素を放出させることができる。放出された酸素は、酸化物半導体膜106へ供給され、酸素欠損を低減することができる。また、寄生チャネルの影響を低減することができる。第2の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件で行えばよい。
【0206】
なお、第2の加熱処理は、バリア膜108の形成後であれば、いつ行ってもよい。また、第2の加熱処理を行わなくてもよい。
【0207】
以上のようにして
図4に示すトランジスタを作製することができる。
【0208】
図4に示すトランジスタは、酸化物半導体膜106に酸素欠損が少なく、寄生チャネルの影響も小さく、微細化してもスイッチング特性を得ることができる。
【0209】
次に、バリア膜108上に層間絶縁膜118を成膜する。層間絶縁膜118は、層間絶縁膜118として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0210】
次に、層間絶縁膜118およびバリア膜108に開口部を設け、酸化物半導体膜106を露出する。
【0211】
次に、配線136となる導電膜を成膜する。配線136となる導電膜は、配線136として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0212】
次に、配線136となる導電膜を加工して、配線136を形成する(
図6(C)参照。)。
【0213】
本実施の形態により、微細化してもスイッチング特性の得られるトランジスタを提供することができる。また、当該トランジスタを用いた集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0214】
なお、本実施の形態は適宜他の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0215】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる構造のトランジスタについて説明する。
【0216】
図7(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図7(A)に示す一点鎖線E1−E2に対応する断面図を
図7(B)に示す。また、
図7(A)に示す一点鎖線E3−E4に対応する断面図を
図7(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図7(A)においては、下地絶縁膜202などを省略して示す。
【0217】
図7(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜206におけるゲート電極204と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜206の二側面は、ゲート電極204と重畳する。
【0218】
図7(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0219】
また、
図7(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0220】
図7(B)は、基板200上に設けられた下地絶縁膜202と、下地絶縁膜202上に設けられた酸化物半導体膜206と、酸化物半導体膜206と同一平面上に設けられた一対の電極216と、酸化物半導体膜206上に設けられたゲート絶縁膜212と、ゲート絶縁膜212上にあり、酸化物半導体膜206と重畳して設けられたゲート電極204と、を有するトランジスタの断面構造である。
【0221】
なお、
図7(B)には、酸化物半導体膜206、一対の電極216、ゲート電極204上に設けられた、一対の電極216に達する開口部を有する層間絶縁膜218と、層間絶縁膜218の開口部を介して一対の電極216と接して設けられた配線236と、を示す。
【0222】
なお、基板200の材料は、基板100と同様の材料から選択して用いればよい。
【0223】
なお、下地絶縁膜202は、下地絶縁膜102と同様の材料から選択して用いればよい。
【0224】
ゲート電極204は、ゲート電極104と同様の材料から選択して用いればよい。
【0225】
ゲート絶縁膜212は、ゲート絶縁膜112と同様の材料から選択して用いればよい。なお、ゲート絶縁膜212は、ゲート絶縁膜132と同様の層構造として設けてもよい。
【0226】
酸化物半導体膜206は、酸化物半導体膜106と同様の材料から選択して用いればよい。
【0227】
層間絶縁膜218は、層間絶縁膜118と同様の材料から選択して用いればよい。
【0228】
配線236は、配線136と同様の材料から選択して用いればよい。
【0229】
一対の電極216は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ag、TaおよびWを一種以上含む、単体、窒化物、酸化物または合金を、単層で、または積層で用いればよい。
【0230】
図示しないが、下地絶縁膜202、一対の電極216、酸化物半導体膜206およびゲート電極204上にバリア膜を設けてもよい。バリア膜は、バリア膜108と同様の材料から選択して用いればよく、バリア膜108と同様の機能を有する。
【0231】
従って、
図7に示すトランジスタは、
図1乃至
図4に示すトランジスタとは、酸化物半導体膜206の形状、および一対の電極216を有する点でのみ異なる。そのため、そのほかの構成については、
図1乃至
図4についての説明を参照することができる。
【0232】
図7に示すトランジスタは、
図1に示すトランジスタにおいて、酸化物半導体膜106の領域106bに代えて、一対の電極216を有する構造である。従って、実施の形態1で示したトランジスタと比べて、ソース、ドレインの抵抗を小さくすることができる。そのため、微細化しても、オン特性の高いトランジスタを提供することができる。
【0233】
以下に、
図8を用いて、
図7に示すトランジスタの作製方法を示す。説明を容易にするため、ここでは
図7(B)に対応する断面図のみを示す。
【0235】
次に、基板200上に下地絶縁膜202を形成する。下地絶縁膜202は、下地絶縁膜102と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0236】
次に、一対の電極216となる導電膜を成膜する。一対の電極216となる導電膜は、一対の電極216として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0237】
次に、一対の電極216となる導電膜を加工し、下地絶縁膜202を露出する開口部を有する導電膜217を形成する。
【0238】
次に、酸化物半導体膜207を成膜する(
図8(A)参照。)。酸化物半導体膜207は、酸化物半導体膜106として示した材料および方法を用いて成膜すればよい。
【0239】
酸化物半導体膜207の成膜後、第1の加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理は、実施の形態1を参照する。
【0240】
次に、酸化物半導体膜207および、導電膜217に対して平坦化処理を行う。平坦化処理はCMP処理などを用いればよい。当該平坦化処理によって、導電膜217の開口部にのみ、酸化物半導体膜を設ける。
【0241】
次に、導電膜217の開口部のみに設けられた酸化物半導体膜および、導電膜217を加工し、島状にして、酸化物半導体膜206および一対の電極216を形成する(
図8(B)参照。)。
【0242】
次に、ゲート絶縁膜212、およびゲート絶縁膜212上のゲート電極204を形成する(
図8(C)参照。)。ゲート絶縁膜212は、ゲート絶縁膜112またはゲート絶縁膜132と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。ゲート電極204は、ゲート電極104と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0243】
次に、バリア膜を成膜してもよい。バリア膜は、バリア膜108と同様の材料および方法を用いて成膜すればよい。
【0244】
以上のようにして
図7に示すトランジスタを作製することができる。
【0245】
図7に示すトランジスタは、酸化物半導体膜206に酸素欠損が少なく、寄生チャネルの影響が小さく、微細化してもスイッチング特性を得ることができる。また、一対の電極216を有することによって、微細化してもオン特性の優れたトランジスタとすることができる。
【0246】
次に、層間絶縁膜218を成膜する。層間絶縁膜218は、層間絶縁膜118と同様の材料および方法を用いて成膜すればよい。
【0247】
次に、層間絶縁膜218に開口部を設け、一対の電極216を露出する。
【0248】
次に、配線236を形成する。配線236は、配線136と同様の材料および方法を用いて形成すればよい(
図8(D)参照。)。
【0249】
本実施の形態により、微細化してもスイッチング特性の得られ、かつオン特性の優れたトランジスタを提供することができる。また、当該トランジスタを用いた集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0250】
なお、本実施の形態は適宜他の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0251】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2とは異なる構造のトランジスタについて説明する。
【0252】
図9(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図9(A)に示す一点鎖線F1−F2に対応する断面図を
図9(B)に示す。また、
図9(A)に示す一点鎖線F3−F4に対応する断面図を
図9(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図9(A)においては、下地絶縁膜302などを省略して示す。
【0253】
図9(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜306におけるゲート電極304と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜306の二側面は、ゲート電極304と重畳する。
【0254】
図9(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0255】
また、
図9(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0256】
図9(B)は、基板300上に設けられた下地絶縁膜302と、下地絶縁膜302上に設けられた第1の領域306aおよび第2の領域306bを有する酸化物半導体膜306と、酸化物半導体膜306上に設けられたゲート絶縁膜312と、ゲート絶縁膜312上にあり、酸化物半導体膜306と重畳して設けられたゲート電極304と、ゲート電極304上に設けられた絶縁膜320と、ゲート電極304および絶縁膜320の側面と接して設けられた側壁絶縁膜310と、酸化物半導体膜306上に設けられ、酸化物半導体膜306の第2の領域306bおよび側壁絶縁膜310と接して設けられた一対の電極316と、一対の電極316上に設けられ、絶縁膜320と上面の高さの揃った層間絶縁膜318と、を有するトランジスタの断面図である。
【0257】
なお、
図9(B)には、層間絶縁膜318および絶縁膜320上に設けられた層間絶縁膜328と、層間絶縁膜318および層間絶縁膜328に設けられた一対の電極316に達する開口部を介して、一対の電極316と接して設けられた配線336を示す。
【0258】
図9(B)において、ゲート電極304と絶縁膜320は同様の上面形状である。また、ゲート絶縁膜312は、ゲート電極304および側壁絶縁膜310と同様の上面形状である。
【0259】
なお、酸化物半導体膜306の第1の領域306aは、トランジスタのチャネル領域として機能する。また、酸化物半導体膜306の第2の領域306bは、トランジスタのソース領域およびドレイン領域として機能する。
【0260】
図9に示すトランジスタは、一対の電極316が側壁絶縁膜310を挟んでゲート電極304の近くにまで設けられている。そのため、ソース、ドレインの抵抗を小さくすることができ、トランジスタのオン特性を高めることができる。
【0261】
なお、基板300の材料は、基板100と同様の材料から選択して用いればよい。
【0262】
下地絶縁膜302は、下地絶縁膜102と同様の材料から選択して用いればよい。
【0263】
ゲート電極304は、ゲート電極104と同様の材料から選択して用いればよい。
【0264】
ゲート絶縁膜312は、ゲート絶縁膜112と同様の材料から選択して用いればよい。なお、ゲート絶縁膜312は、ゲート絶縁膜132と同様の層構造として設けてもよい。
【0265】
酸化物半導体膜306は、酸化物半導体膜106と同様の材料から選択して用いればよい。
【0266】
側壁絶縁膜310は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して用いればよい。
【0267】
絶縁膜320は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して用いればよい。
【0268】
一対の電極316は、一対の電極216と同様の材料から選択して用いればよい。
【0269】
なお、層間絶縁膜318は、層間絶縁膜218と同様の材料から選択して用いればよい。
【0270】
なお、層間絶縁膜328は、層間絶縁膜218と同様の材料から選択して用いればよい。
【0271】
配線336は、配線136と同様の材料から選択して用いればよい。
【0272】
図示しないが、下地絶縁膜302、一対の電極316、酸化物半導体膜306、絶縁膜320およびゲート電極304上にバリア膜を設けてもよい。バリア膜は、バリア膜108と同様の材料から選択して用いればよく、バリア膜108と同様の機能を有する。
【0273】
以下に、
図10乃至
図12を用いて、
図9に示すトランジスタの作製方法を示す。説明を容易にするため、ここでは
図9(B)に対応する断面図のみを示す。
【0275】
次に、下地絶縁膜302を成膜する。下地絶縁膜302は、下地絶縁膜102と同様の材料および方法を用いて成膜すればよい。
【0276】
次に、酸化物半導体膜307を形成する。酸化物半導体膜307は、酸化物半導体膜107と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0277】
次に、ゲート絶縁膜313を形成する。ゲート絶縁膜313は、ゲート絶縁膜112またはゲート絶縁膜132と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0278】
次に、導電膜305を成膜する。導電膜305は、ゲート電極304となる材料として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0279】
次に、絶縁膜321を成膜する(
図10(A)参照。)。絶縁膜321は、絶縁膜320として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0280】
次に、絶縁膜321および導電膜305を加工し、絶縁膜322およびゲート電極304を形成する(
図10(B)参照。)。絶縁膜322とゲート電極304とは、同様の上面形状である。
【0281】
次に、絶縁膜322およびゲート電極304をマスクとし、酸化物半導体膜307に不純物を添加する。具体的には、不純物として、ヘリウム、ホウ素、窒素、フッ素、ネオン、アルミニウム、リン、アルゴン、ヒ素、クリプトン、インジウム、スズ、アンチモンおよびキセノンから選ばれた一種以上を添加すればよい。なお、その方法は、イオン注入法、イオンドーピング法で行えばよい。好ましくはイオン注入法を用いる。そのとき、加速電圧を5kV以上100kV以下とする。また、不純物の添加量は1×10
14ions/cm
2以上1×10
16ions/cm
2以下とする。その後、加熱処理を行ってもよい。
【0282】
不純物の添加された領域は、低抵抗化し、第2の領域306bとなる。また、不純物の添加されない領域は、第1の領域306aとなる。以上のようにして、第1の領域306aおよび第2の領域306bを有する酸化物半導体膜306を形成する(
図10(C)参照。)。
【0283】
次に、側壁絶縁膜310となる絶縁膜を成膜する。側壁絶縁膜310となる絶縁膜は、側壁絶縁膜310として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。次に、側壁絶縁膜310となる絶縁膜に対し異方性の高いエッチング処理を行うことにより、絶縁膜322およびゲート電極304の側面に接する側壁絶縁膜310を形成することができる。
【0284】
側壁絶縁膜310を形成するとともに、ゲート絶縁膜313を側壁絶縁膜310およびゲート電極304をマスクとして加工し、ゲート絶縁膜312を形成する(
図11(A)参照。)。
【0285】
次に、導電膜317を成膜する(
図11(B)参照。)。導電膜317は、一対の電極316として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0286】
なお、導電膜317の形成後、第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理によって、下地絶縁膜302または/およびゲート絶縁膜312から酸素を放出させることができる。放出された酸素は、酸化物半導体膜306へ供給され、酸素欠損を低減することができる。第2の加熱処理は、実施の形態1で示した第2の加熱処理と同様の条件で行えばよい。
【0287】
また、第2の加熱処理は、導電膜317の形成直後に限定されず、導電膜317を形成した後であればどの工程時に行ってもよい。
【0288】
次に、層間絶縁膜319を成膜する(
図11(C)参照。)。層間絶縁膜319は、層間絶縁膜318として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0289】
次に、層間絶縁膜319上から平坦化処理(CMP処理、ドライエッチング処理など)を行い、一対の電極316、層間絶縁膜318、側壁絶縁膜310および絶縁膜320を形成する(
図12(A)参照。)。
【0290】
層間絶縁膜319上から平坦化処理を行うことで、導電膜317の絶縁膜322(ゲート電極304)と重畳している領域のみを除去することができる。その際に、絶縁膜322も平坦化処理に曝され、厚さの薄くなった絶縁膜320となる。
【0291】
このような方法を用いて、一対の電極316を形成することにより、一対の電極316を側壁絶縁膜310を挟んでゲート電極304の近くにまで設けることができる。
【0292】
以上のようにして、
図9に示すトランジスタを作製することができる。
【0293】
図9に示すトランジスタは、酸化物半導体膜306に酸素欠損が少なく、寄生チャネルの影響が小さく、微細化してもスイッチング特性を得ることができる。また、一対の電極316を有することによって、微細化してもオン特性の優れたトランジスタとすることができる。
【0294】
次に、層間絶縁膜328を成膜する(
図12(B)参照。)。層間絶縁膜328は、層間絶縁膜328として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0295】
次に、層間絶縁膜328および層間絶縁膜318を加工し、一対の電極316を露出する開口部を形成する。
【0296】
次に、配線336を形成する(
図12(C)参照。)。配線336は、配線136と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0297】
本実施の形態により、微細化してもスイッチング特性の得られ、かつオン特性の優れたトランジスタを提供することができる。また、当該トランジスタを用いた集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0298】
なお、本実施の形態は適宜他の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0299】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なる構造のトランジスタについて説明する。
【0300】
図13(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図13(A)に示す一点鎖線G1−G2に対応する断面図を
図13(B)に示す。また、
図13(A)に示す一点鎖線G3−G4に対応する断面図を
図13(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図13(A)においては、下地絶縁膜402などを省略して示す。
【0301】
図13(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜406におけるゲート電極404と重畳する領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜406の二側面は、ゲート電極404と重畳する。
【0302】
図13(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0303】
また、
図13(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0304】
図13(B)は、基板400上に設けられた下地絶縁膜402と、下地絶縁膜402上に設けられたチャネル幅の1倍以上5倍以下の厚さを有する酸化物半導体膜406と、酸化物半導体膜406上に設けられたゲート絶縁膜412と、ゲート絶縁膜412上にあり、酸化物半導体膜406と重畳して設けられたゲート電極404と、を有するトランジスタの断面構造である。
【0305】
なお、
図13(B)には、酸化物半導体膜406、ゲート電極404上に設けられた、酸化物半導体膜406に達する開口部を有する層間絶縁膜418と、層間絶縁膜418の開口部を介して酸化物半導体膜406と接して設けられた配線436と、を示す。
【0306】
図13は、いわゆるフィン型のトランジスタである。フィン型のトランジスタは、チャネル領域が厚いことによって、キャリアの伝導経路が大きくでき、チャネル幅が小さくてもオン特性の優れたトランジスタとすることができる。
【0307】
なお、シリコンを用いたフィン型のトランジスタの場合、チャネル領域が厚いことによって、ゲートの電界による空乏層が広がり切らず、トランジスタを完全にオフすることが難しいことが課題となる。一方、酸化物半導体膜を用いたフィン型のトランジスタでは、チャネル領域が厚い場合でもゲートの電界による空乏層が十分に広がり、トランジスタをオフすることができる。
【0308】
なお、基板400の材料は、基板100と同様の材料から選択して用いればよい。
【0309】
なお、下地絶縁膜402は、下地絶縁膜102と同様の材料から選択して用いればよい。
【0310】
ゲート電極404は、ゲート電極104と同様の材料から選択して用いればよい。
【0311】
ゲート絶縁膜412は、ゲート絶縁膜112と同様の材料から選択して用いればよい。なお、ゲート絶縁膜412は、ゲート絶縁膜132と同様の層構造として設けてもよい。
【0312】
酸化物半導体膜406は、酸化物半導体膜106と同様の材料から選択して用いればよい。酸化物半導体膜406の厚さは、100nm以上2μm未満とする。
【0313】
層間絶縁膜418は、層間絶縁膜118と同様の材料から選択して用いればよい。
【0314】
配線436は、配線136と同様の材料から選択して用いればよい。
【0315】
図示しないが、下地絶縁膜402、酸化物半導体膜406およびゲート電極404上にバリア膜を設けてもよい。バリア膜は、バリア膜108と同様の材料から選択して用いればよく、バリア膜108と同様の機能を有する。
【0316】
以下に、
図14を用いて、
図13に示すトランジスタの作製方法を示す。説明を容易にするため、ここでは
図13(B)に対応する断面図のみを示す。
【0318】
次に、基板400上に下地絶縁膜402を形成する。下地絶縁膜402は、下地絶縁膜102と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0319】
次に、酸化物半導体膜を形成する(
図14(A)参照。)。酸化物半導体膜は、酸化物半導体膜107と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0320】
次に、ゲート絶縁膜412およびゲート絶縁膜412上のゲート電極404を形成する(
図14(B)参照。)。ゲート絶縁膜412は、ゲート絶縁膜112またはゲート絶縁膜132と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。ゲート電極404は、ゲート電極104と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0321】
次に、ゲート電極404をマスクとし、酸化物半導体膜407に不純物を添加する。具体的には、不純物として、ヘリウム、ホウ素、窒素、フッ素、ネオン、アルミニウム、リン、アルゴン、ヒ素、クリプトン、インジウム、スズ、アンチモンおよびキセノンから選ばれた一種以上を添加すればよい。なお、その方法は、イオン注入法、イオンドーピング法で行えばよい。好ましくはイオン注入法を用いる。そのとき、加速電圧を5kV以上100kV以下とする。また、不純物の添加量は1×10
14ions/cm
2以上1×10
16ions/cm
2以下とする。その後、加熱処理を行ってもよい。
【0322】
次に、バリア膜を成膜してもよい。バリア膜は、バリア膜108と同様の材料および方法を用いて成膜すればよい。
【0323】
以上のようにして
図13に示すトランジスタを作製することができる。
【0324】
図13に示すトランジスタは、酸化物半導体膜406に酸素欠損が少なく、寄生チャネルの影響が小さく、微細化してもスイッチング特性を得ることができる。また、酸化物半導体膜406がチャネル幅の1倍以上5倍以下の厚さを有することによって、微細化してもオン特性の優れたトランジスタとすることができる。
【0325】
次に、層間絶縁膜418を形成する。層間絶縁膜418は、層間絶縁膜118と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0326】
次に、層間絶縁膜418に開口部を設け、酸化物半導体膜406を露出する。
【0327】
次に、配線436を形成する。配線436は、配線136と同様の材料および方法を用いて形成すればよい(
図14(C)参照。)。
【0328】
本実施の形態により、微細化してもスイッチング特性の得られ、かつオン特性の優れたトランジスタを提供することができる。また、当該トランジスタを用いた集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0329】
なお、本実施の形態は適宜他の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0330】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4とは異なる構造のトランジスタについて説明する。
【0331】
図15(A)は本発明の一態様に係るトランジスタの上面図である。
図15(A)に示す一点鎖線H1−H2に対応する断面図を
図15(B)に示す。また、
図15(A)に示す一点鎖線H3−H4に対応する断面図を
図15(C)に示す。なお、説明を容易にするため、
図15(A)においては、下地絶縁膜502などを省略して示す。
【0332】
図15(A)に、トランジスタのチャネル長(L)およびチャネル幅(W)を示す。なお、トランジスタのチャネル領域は、酸化物半導体膜506における一対の電極516に挟まれる領域である。なお、少なくとも酸化物半導体膜506の二側面は、ゲート電極504と重畳する。
【0333】
図15(A)に示すトランジスタは、チャネル長が5nm以上60nm未満、かつチャネル幅が5nm以上200nm未満である。
【0334】
また、
図15(A)に示すトランジスタは、チャネル長に対して、チャネル幅が0.5倍以上10倍以下である。
【0335】
図15(B)は、基板500上に設けられた下地絶縁膜502と、下地絶縁膜502上に設けられたゲート電極504と、ゲート電極504上に設けられたゲート絶縁膜512と、ゲート絶縁膜512を介してゲート電極504と重畳して設けられた酸化物半導体膜506と、酸化物半導体膜506上に設けられた一対の電極516と、一対の電極516上に設けられた層間絶縁膜518と、を有するトランジスタの断面図である。
【0336】
基板500の材料は、基板100と同様の材料から選択して用いればよい。
【0337】
下地絶縁膜502は、基板500に起因する不純物が、酸化物半導体膜506に影響しないようにするために設ける。ただし、基板500が不純物を含まない場合は、下地絶縁膜502を設けなくても構わない。または、ゲート絶縁膜512によって不純物の拡散が抑制できる場合は、下地絶縁膜502を設けなくても構わない。
【0338】
下地絶縁膜502は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。また、前述の単層または積層に加えて、窒化酸化シリコン、窒化シリコンを積層しても構わない。
【0339】
ゲート電極504は、ゲート電極104と同様の材料から選択して用いればよい。
【0340】
ゲート絶縁膜512は、ゲート絶縁膜112またはゲート絶縁膜132と同様の材料から選択して用いればよい。
【0341】
酸化物半導体膜506は、酸化物半導体膜106と同様の材料から選択して用いればよい。
【0342】
一対の電極516は、一対の電極216と同様の材料から選択して用いればよい。
【0343】
層間絶縁膜518は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを含む材料から一種以上選択して、単層で、または積層で用いればよい。また、前述の単層または積層に加えて、窒化酸化シリコン、窒化シリコンを積層しても構わない。
【0344】
なお、層間絶縁膜518は、比誘電率が低く、かつ十分な厚さを有すると好ましい。例えば、比誘電率が3.8程度である酸化シリコン膜を用い、200nm以上1000nm以下の厚さで設ければよい。層間絶縁膜518の上面は、大気成分などの影響で僅かに固定電荷を有し、その影響により、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。そのため、層間絶縁膜518は、上面に生じる電荷の影響が十分に小さくなるような範囲の比誘電率および厚さとすることが好ましい。同様の理由で、層間絶縁膜518上にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂膜を形成することで、層間絶縁膜518の上面に生じる電荷の影響を低減しても構わない。
【0345】
以下に、
図16を用いて、
図15に示すトランジスタの作製方法を説明する。説明を容易にするため、ここでは
図15(B)に対応する断面図のみを示す。
【0347】
次に、基板500上に下地絶縁膜502を成膜する。下地絶縁膜502は、下地絶縁膜502として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0348】
次に、ゲート電極504を形成する。ゲート電極504は、ゲート電極104と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0349】
次に、ゲート絶縁膜512を形成する(
図16(A)参照。)。ゲート絶縁膜512は、ゲート絶縁膜112またはゲート絶縁膜132と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0350】
次に、酸化物半導体膜506を形成する(
図16(B)参照。)。酸化物半導体膜506は、酸化物半導体膜107と同様の材料および方法を用いて形成すればよい。
【0351】
次に、一対の電極516となる導電膜を成膜する。一対の電極516となる導電膜は、一対の電極516として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0352】
次に、一対の電極516となる導電膜を加工して、一対の電極516を形成する。なお、一対の電極516となる導電膜の加工は、一部に、電子線描画装置(EB(Electron Beam)露光機ともいう。)を用いると好ましい。EB露光機は、極めて微細な加工が可能であるため、微細化したトランジスタを作製するために好適である。
【0353】
次に、層間絶縁膜518を成膜する(
図16(C)参照。)。層間絶縁膜518は、層間絶縁膜518として示した材料から選択し、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて成膜すればよい。
【0354】
以上のようにして
図15に示すトランジスタを作製することができる。
【0355】
図15に示すトランジスタは、酸化物半導体膜506に酸素欠損が少なく、寄生チャネルの影響が小さく、微細化してもスイッチング特性を得ることができる。また、一対の電極516を有することによって、微細化してもオン特性の優れたトランジスタとすることができる。
【0356】
本実施の形態により、微細化してもスイッチング特性の得られ、かつオン特性の優れたトランジスタを提供することができる。また、当該トランジスタを用いた集積度の高い半導体装置を提供することができる。
【0357】
なお、本実施の形態は適宜他の実施の形態と組み合わせて用いることができる。
【0358】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを用いて、半導体記憶装置を作製する例について説明する。
【0359】
揮発性半導体記憶装置の代表的な例としては、記憶素子を構成するトランジスタを選択してキャパシタに電荷を蓄積することで、情報を記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)、フリップフロップなどの回路を用いて記憶内容を保持するSRAM(Static Random Access Memory)がある。
【0360】
不揮発性半導体記憶装置の代表例としては、トランジスタのゲートとチャネル領域との間にフローティングゲートを有し、当該フローティングゲートに電荷を保持することで記憶を行うフラッシュメモリがある。
【0361】
上述した半導体記憶装置に含まれるトランジスタの一部に実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用することができる。
【0362】
まずは、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用した半導体記憶装置を構成するメモリセルの具体例を
図17に示す。
【0363】
メモリセルは、ビット線BLと、ワード線WLと、センスアンプSAmpと、トランジスタTrと、キャパシタCと、を有する(
図17(A)参照。)。
【0364】
キャパシタCに保持された電圧の時間変化は、トランジスタTrのオフ電流によって
図17(B)に示すように徐々に低減していくことが知られている。当初V0からV1まで充電された電圧は、時間が経過するとdata1を読み出す限界点であるVAまで低減する。この期間を保持期間T_1とする。即ち、2値メモリセルの場合、保持期間T_1の間にリフレッシュをする必要がある。
【0365】
ここで、トランジスタTrに実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用すると、該トランジスタはオフ電流を極めて小さくすることができるため、保持期間T_1を長くすることができる。即ち、リフレッシュの頻度を少なくすることが可能となるため、消費電力を低減することができる。例えば、オフ電流が1×10
−21Aから1×10
−25AであるトランジスタTrでメモリセルを構成すると、電力を供給せずに数日間から数十年間に渡ってデータを保持することが可能となる。
【0366】
また、トランジスタTrに実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用すると、該トランジスタは微細化されているため、メモリセルの面積を小さくできる。よって、半導体記憶装置の集積度を高めることができる。
【0367】
図17(C)は、メモリセルの断面構造の一例である。なお、
図17(C)では、トランジスタTrに
図4で示したトランジスタを適用している。そのため、トランジスタTrの各構成のうち、以下で説明しないものについては、実施の形態1などの説明を参照する。
【0368】
ここで、キャパシタCは、下地絶縁膜102上にあり、トランジスタTrの領域106bと接して設けられた電極116、ゲート絶縁膜132と同一層かつ同一材料で形成された絶縁層およびゲート電極104と同一層かつ同一材料で形成された電極(容量電極)によって構成される。なお、
図17(C)では、電極116が下地絶縁膜102に埋め込まれた形状としているが、これに限定されない。電極116は、下地絶縁膜102上にあり、トランジスタTrの領域106bと接して設けられていれば、どのような形状としても構わない。
【0369】
電極116は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ag、TaおよびWを一種以上含む、単体、窒化物、酸化物または合金を、単層で、または積層で用いればよい。
【0370】
また、ワード線WLは、ゲート電極104と電気的に接続される。また、ビット線BLは、配線136と電気的に接続される。
【0371】
図17(C)に示すメモリセルでは、トランジスタTrとキャパシタCとが、同一層かつ同一材料で形成された電極および絶縁膜によって構成されるため、工程数が削減でき、生産性を高めることができる。ただし、トランジスタTrとキャパシタCとが、同一層かつ同一材料で形成された電極および絶縁膜によって構成されなくても構わない。例えば、トランジスタTrとキャパシタCとを重畳して設けることで、メモリセルの面積をさらに小さくしても構わない。
【0372】
以上のように、本発明の一態様によって、集積度が高く、消費電力の小さい半導体記憶装置を得ることができる。
【0373】
次に、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用した半導体記憶装置を構成するメモリセルについて、
図17と異なる例を
図18を用いて説明する。
【0374】
図18(A)は、メモリセルの回路図である。メモリセルは、トランジスタTr_1と、トランジスタTr_1のゲートと電気的に接続するワード線WL_1と、トランジスタTr_1のソースと電気的に接続するソース線SL_1と、トランジスタTr_2と、トランジスタTr_2のソースと電気的に接続するソース線SL_2と、トランジスタTr_2のドレインと電気的に接続するドレイン線DL_2と、キャパシタCと、キャパシタCの一端と電気的に接続する容量線CLと、キャパシタCの他端、トランジスタTr_1のドレインおよびトランジスタTr_2のゲートと電気的に接続するノードNと、を有する。
【0375】
なお、本実施の形態に示す半導体記憶装置は、ノードNの電位に応じて、トランジスタTr_2の見かけ上のしきい値電圧が変動することを利用したものである。例えば、
図18(B)は容量線CLの電圧V
CLと、トランジスタTr_2を流れるドレイン電流I
d_2との関係を説明する図である。
【0376】
なお、トランジスタTr_1を介してノードNの電位を調整することができる。例えば、ソース線SL_1の電位をVDDとする。このとき、ワード線WL_1の電位をトランジスタTr_1のしきい値電圧VthにVDDを加えた電位以上とすることで、ノードNの電位をHIGHにすることができる。また、ワード線WL_1の電位をトランジスタTr_1のしきい値電圧Vth以下とすることで、ノードNの電位をLOWにすることができる。
【0377】
そのため、N=LOWで示したV
CL−I
d_2カーブと、N=HIGHで示したV
CL−I
d_2カーブのいずれかを得ることができる。即ち、N=LOWでは、V
CL=0VにてI
d_2が小さいため、データ0となる。また、N=HIGHでは、V
CL=0VにてI
d_2が大きいため、データ1となる。このようにして、データを記憶することができる。
【0378】
ここで、トランジスタTr_1に実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用すると、該トランジスタはオフ電流を極めて小さくすることができるため、ノードNに蓄積された電荷がトランジスタTr_1のソースおよびドレイン間を意図せずにリークすることを抑制できる。そのため、長期間に渡ってデータを保持することができる。また、書き込み時に高い電圧が不要であるため、フラッシュメモリなどと比較して消費電力が低く、動作速度を速めることができる。
【0379】
また、トランジスタTr_1に実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用すると、該トランジスタは微細化されているため、メモリセルの面積を小さくできる。よって、半導体記憶装置の集積度を高めることができる。
【0380】
図18(C)は、メモリセルの断面構造の一例である。なお、
図18(C)では、トランジスタTr_1に
図4で示したトランジスタを適用している。そのため、トランジスタTr_1の各構成のうち、以下で説明しないものについては、実施の形態1などの説明を参照する。
【0381】
なお、本実施の形態では、トランジスタTr_2として、シリコンを用いたトランジスタを適用した場合について説明する。ただし、トランジスタTr_2に、実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを適用しても構わない。
【0382】
シリコンを用いたトランジスタは、実施の形態1乃至実施の形態5に示すトランジスタと比べて、オン特性を高めやすい利点を有する。従って、低いオフ電流の求められるトランジスタTr_1よりも、高いオン特性の求められるトランジスタTr_2に好適といえる。
【0383】
ここで、トランジスタTr_2は、基板150上に設けられた下地絶縁膜152と、下地絶縁膜152上に設けられた、領域156aおよび領域156bを含むシリコン膜156と、シリコン膜156上に設けられたゲート絶縁膜162と、ゲート絶縁膜162上にあり、シリコン膜156と重畳して設けられたゲート電極154と、ゲート絶縁膜162およびゲート電極154の側壁に接して設けられた側壁絶縁膜160と、を有する。
【0384】
なお、トランジスタTr_2上には層間絶縁膜158が設けられ、層間絶縁膜158上には水素含有層168が設けられる。
【0385】
基板150の材料は、基板100と同様の材料から選択して用いればよい。
【0386】
下地絶縁膜152は、下地絶縁膜102と同様の材料から選択して用いればよい。
【0387】
シリコン膜156は、単結晶シリコン膜、多結晶シリコン膜などのシリコン膜を用いればよい。
【0388】
なお、領域156aはチャネル領域として機能する。また、領域156bはソース領域およびドレイン領域として機能する。
【0389】
なお、本実施の形態ではシリコン膜をチャネル領域、ソース領域およびドレイン領域に用いているが、基板150がシリコンウェハなどの半導体基板の場合、半導体基板内にチャネル領域、ソース領域およびドレイン領域が設けられていても構わない。
【0390】
ゲート絶縁膜162は、ゲート絶縁膜112と同様の材料から選択して用いればよい。
【0391】
ゲート電極154は、ゲート電極104と同様の材料から選択して用いればよい。
【0392】
側壁絶縁膜160は、側壁絶縁膜310と同様の材料から選択して用いればよい。
【0393】
層間絶縁膜158は、層間絶縁膜118と同様の材料から選択して用いればよい。なお、層間絶縁膜158上にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂膜を形成しても構わない。
【0394】
水素含有層168は、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で水素を1×10
21atoms/cm
3以上含む絶縁膜である。
【0395】
水素含有層168は、例えば、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜を用いればよい。
【0396】
トランジスタTr_2は、シリコンを用いたトランジスタであるため、シリコン膜156の表面を水素終端化することで電気特性を向上させることができる。そのため、水素含有層168から水素が供給されると好ましい。ただし、本実施の形態は、水素含有層168が設けられた構造に限定されない。例えば、水素含有層168を用いずに、トランジスタTr_2に水素を供給しても構わない。
【0397】
また、図示しないが、水素含有層168と下地絶縁膜102との間に水素透過性の低い層を設けても構わない。トランジスタTr_1は酸化物半導体膜を用いたトランジスタである。酸化物半導体膜中で水素はキャリアの生成源となることがあるため、水素の混入を極力低減することが好ましい。そのため、水素含有層168が設けられる場合は、水素透過性の低い層でトランジスタTr_1への水素の拡散を抑制することが好ましい。
【0398】
なお、水素透過性の低い層は、具体的には、350℃、1時間の加熱処理によって水素が透過しない性質を有する絶縁膜である。
【0399】
また、キャパシタCは、下地絶縁膜102上にあり、トランジスタTr_1の領域106bと接して設けられた電極166、ゲート絶縁膜132と同一層かつ同一材料で形成された絶縁層およびゲート電極104と同一層かつ同一材料で形成された電極(容量電極)によって構成される。電極166は、下地絶縁膜102、水素含有層168および層間絶縁膜158に設けられた開口部を介して、トランジスタTr_2のゲート電極154と接する。なお、
図18(C)では、電極166が下地絶縁膜102に埋め込まれた形状としているが、これに限定されない。電極166は、下地絶縁膜102上にあり、トランジスタTr_1の領域106bおよびトランジスタTr_2のゲート電極154と接して設けられていれば、どのような形状としても構わない。
【0400】
電極166は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ag、TaおよびWを一種以上含む、単体、窒化物、酸化物または合金を、単層で、または積層で用いればよい。
【0401】
また、ワード線WL_1は、ゲート電極104と電気的に接続される。また、ソース線SL_1は、配線136と電気的に接続される。また、容量線CLは、容量電極と電気的に接続される。
【0402】
図18(C)に示すメモリセルでは、トランジスタTr_1とキャパシタCとが、同一層かつ同一材料で形成された電極および絶縁膜によって構成されるため、工程数が削減でき、生産性を高めることができる。ただし、トランジスタTr_1とキャパシタCとが、同一層かつ同一材料で形成された電極および絶縁膜によって構成されなくても構わない。例えば、トランジスタTrとキャパシタCとを重畳して設けることで、メモリセルの面積をさらに小さくしても構わない。
【0403】
以上のように、本発明の一態様によって、集積度が高く、消費電力の小さい半導体記憶装置を得ることができる。
【0404】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0405】
(実施の形態7)
実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタまたは実施の形態6に示した半導体記憶装置を少なくとも一部に用いてCPU(Central Processing Unit)を構成することができる。
【0406】
図19(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。
図19(A)に示すCPUは、基板1190上に、演算論理装置(ALU:Arithmetic logic unit)1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース(Bus I/F)1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース(ROM I/F)1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図19(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0407】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
【0408】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行う。
【0409】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
【0410】
図19(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、記憶素子が設けられている。レジスタ1196の記憶素子には、実施の形態6に示す半導体記憶装置を用いることができる。
【0411】
図19(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作を行う。即ち、レジスタ1196が有する記憶素子において、フリップフロップによるデータの保持を行うか、キャパシタによるデータの保持を行う。フリップフロップによってデータが保持されている場合、レジスタ1196内の記憶素子への、電源電圧の供給が行われる。キャパシタによってデータが保持されている場合、キャパシタへのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内の記憶素子への電源電圧の供給を停止することができる。
【0412】
電源停止に関しては、
図19(B)または
図19(C)に示すように、記憶素子群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に
図19(B)および
図19(C)の回路の説明を行う。
【0413】
図19(B)および
図19(C)では、記憶素子への電源電位の供給を制御するスイッチング素子に実施の形態1乃至実施の形態5のいずれかに示すトランジスタを用いた構成の一例を示す。
【0414】
図19(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、記憶素子1142を複数有する記憶素子群1143とを有している。具体的に、それぞれの記憶素子1142には、実施の形態6に示す半導体記憶装置を用いることができる。記憶素子群1143が有するそれぞれの記憶素子1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、記憶素子群1143が有するそれぞれの記憶素子1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
【0415】
図19(B)では、スイッチング素子1141として、オフ電流の極めて小さいトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲートに与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
【0416】
なお、
図19(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、これに限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
【0417】
また、
図19(C)には、記憶素子群1143が有するそれぞれの記憶素子1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、記憶素子群1143が有するそれぞれの記憶素子1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
【0418】
記憶素子群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
【0419】
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのLSIにも応用可能である。
【0420】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0421】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態7の少なくともいずれかを適用した電子機器の例について説明する。
【0422】
図20(A)は携帯型情報端末である。
図20(A)に示す携帯型情報端末は、筐体9300と、ボタン9301と、マイクロフォン9302と、表示部9303と、スピーカ9304と、カメラ9305と、を具備し、携帯型電話機としての機能を有する。本発明の一形態は、本体内部にある演算装置、無線回路または記憶回路に適用することができる。
【0423】
図20(B)は、ディスプレイである。
図20(B)に示すディスプレイは、筐体9310と、表示部9311と、を具備する。本発明の一形態は、本体内部にある演算装置、無線回路または記憶回路に適用することができる。
【0424】
図20(C)は、デジタルスチルカメラである。
図20(C)に示すデジタルスチルカメラは、筐体9320と、ボタン9321と、マイクロフォン9322と、表示部9323と、を具備する。本発明の一形態は、本体内部にある演算装置、無線回路または記憶回路に適用することができる。
【0425】
図20(D)は2つ折り可能な携帯情報端末である。
図20(D)に示す2つ折り可能な携帯情報端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、留め具9633、操作スイッチ9638、を有する。本発明の一形態は、本体内部にある演算装置、無線回路または記憶回路に適用することができる。
【0426】
なお、表示部9631aまたは/および表示部9631bは、一部または全部をタッチパネルとすることができ、表示された操作キーに触れることでデータ入力などを行うことができる。
【0427】
本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、電子機器の性能を高め、消費電力を小さくできることができる。
【0428】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。