(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。また、各図面は、便宜上、必ずしも同一の縮尺により示されているとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態のゴルフクラブヘッドを備えたゴルフクラブの構成を示す。図示のとおり、ゴルフクラブ10は、主に、グリップGと、このグリップGに結合したシャフトSと、このシャフトSにホーゼルHZを介して結合されたゴルフクラブヘッド(以下単に「ヘッド」という。)100と、を含む。
【0011】
このヘッド100の具体的な構成について、
図2〜
図7を参照して説明する。
図2は、
図1に示したヘッドの上面図である。
図3は、
図1に示したヘッドの正面図である。
図4は、
図1に示したヘッドの右側面図である。
図5は、
図1に示したヘッドの背面図である。
図6は、
図1に示したヘッドの左側面図である。
図7は、
図1に示したヘッドの底面図である。
【0012】
図2〜
図7に示すように、ヘッド100のヘッド本体は、クラウン部110と、フェイス部120と、サイド部130と、ソール部140と、を有する。ヘッド100は、これらの部材によって囲まれた中空構造を有する。本明細書においては、クラウン部110、フェイス部120、サイド部130、及びソール部140によって囲まれた空間を、「中空部」又は「ヘッド(100)の中空部」と称することがある。この中空部内(例えば、ソール部140の中空部に面した内壁)に、樹脂等の重量調整材(図示せず)を配置することができる。重量調整材の配置は、ゴルフクラブのユーザが自ら行うことができるし、ゴルフクラブの販売店などによって顧客サービスとして提供されることもある。重量調整材の量や配置場所に応じて、ヘッド100の重量、重心及び慣性モーメントが調整される。
【0013】
ヘッド100は、様々な素材を用いて、様々な肉厚や外観を有するように製造される。例えば、クラウン部110、フェイス部120、サイド部130及びソール部140は、チタン及びチタン合金、またはステンレス鋼を含む任意の材料により構成することが可能である。一実施形態において、ヘッド100は、その容積が440CCであり、全てチタン合金で形成され、ソール部140の最も肉薄の部分が0.8mmとなるように構成される。当業者に明らかなように、ヘッド100は、クラウン部110、フェイス部120、サイド部130及びソール部140を個別に準備し、これらの部材を接合することで製造してもよいし、これらの部材の一部(例えば、クラウン部110及びフェイス部120)又は全部を一体形成してもよい。
【0014】
図2に示す実施形態において、クラウン部110は略扇形に形成されている。
図4〜
図6に示す実施形態において、クラウン部110は、外周縁から中央部に向かって高さが上昇するように、全体としてヘッド100の外方に凸に湾曲している。
図3に示すように、フェイス部120は、複数の円弧の両端をなだらかに湾曲する曲線で結んだ形状を成す。フェイス部120は、
図4及び
図6に示すように、クラウン部110に隣接して設けられ、クラウン部110の延設方向に交差する方向に延び、ヘッド100の第1の側面を形成する。フェイス部の外面には、複数のスコアラインが形成されたフェイス面が設けられている。
【0015】
図3〜
図7に示すように、一実施形態において、サイド部130は、ヘッド100のトウ側の側面から背面を通ってヒール側まで延伸している。サイド部130のトウ側の端部はフェイス部120のトウ側の端部と接続され、サイド部130のヒール側の端部はフェイス部120のヒール側の端部と接続されている。
【0016】
一実施形態において、ソール部140は、
図3〜
図7に示すように、略皿型の形状を成し、ヘッド100の底面を形成する。ソール部140は、
図7に示すように、フェイス部120及びサイド部130に隣接し、
図4〜
図6に示すように、クラウン部110に対向する位置に設けられる。ソール部140の詳細については後述する。なお、ソール部140はサイド部130と厳密に区別しなければならないものではなく、サイド部130とソール部140とを合わせた部分をソール部と捉えてもよい。
【0017】
図2〜
図7に示すように、ヘッド100の一端には、斜め上方に延びる筒状のホーゼル支持部20が形成されている。このホーゼル支持部20にホーゼル(図示せず)が挿入され固定される。上述のように、このホーゼルを介して、ヘッド100とシャフトS(
図1)とが結合される。
【0018】
次に、
図8〜
図10を参照して、ソール部140の詳細を説明する。
図8は、蓋部材を取り外したヘッドの底面図である。
図9は、
図7のヘッドのA−A断面図である。
図10は、
図7のヘッドのB−B断面図である。
【0019】
図8に示すように、ソール部140には、中央付近から後端付近にわたって、重量調整材をヘッド本体の内部に配置するための開口部142が形成されている。開口部142は、ヘッド100の外部からヘッド100の中空部に連通している。一実施形態において、開口部142は、蓋部材144を受け入れることができるように、蓋部材144の輪郭と合致する形状に形成される。例えば、蓋部材144が略三角形状に形成される場合には、開口部142も蓋部材144の輪郭と合致する三角形状に形成される。一実施形態において、開口部142の大きさは、利用者が手で重量調整部材をヘッド本体の内部に設置することができるように、少なくとも人間の指が入る大きさに形成される。例えば、AIST人体寸法データベース1991-92(http://riodb.ibase.aist.go.jp/dhbodydb/91-92/参照)によると、大人の男性の中指の第二指近位関節幅の最小値が14mmであり、この最小値に基づいて計算される大人の男性の中指の第二指近位関節の平均断面積は約1.5cm
2である。開口部142の大きさは、このような若い男性の指を挿入できる大きさとする。例えば、一実施形態において、開口部142の大きさは、その平均断面積が3.5cm
2以上とすることができる。他の実施形態においては、平均断面積が3.0cm
2以上、2.5cm
2、又は2.0cm
2とする。開口部142の輪郭は、3つの頂部を有する略三角形状に形成される。
【0020】
開口部142の周囲には、蓋部材144を支持する蓋部材支持部146が形成されている。蓋部材支持部146は、開口部142に嵌め込まれた蓋部材144の周縁部に当接するように、開口部142の内周面に形成される。図示の実施形態のように蓋部材144が三角形状の場合には、蓋部材支持部146において、三角形状の蓋部材144の3つの頂部に対向する位置には、他の部分より幅広に形成された支持片148a、148b、148cが形成される。これらの支持片148a、148b、148cの各々には、ネジ孔149が形成されている。
【0021】
蓋部材144は、様々な金属や合金から作製され、固定部材により、開口部142を覆うように蓋部材支持部146に固定される。一実施形態においては、固定部材としてステンレス合金製のネジ150を用いることができる。一実施形態において、蓋部材144は、ヘッド本体(例えばソール部140)より低ヤング率の素材、例えばアルミ合金で作製される。このように、蓋部材144をヘッド本体より低ヤング率の素材で形成することにより、蓋部材144をヘッド本体と同程度のヤング率の素材で形成した場合よりも、蓋部材144の貫通孔143周辺や蓋部材支持部146への応力集中を緩和することができる。
図9及び
図10に示す実施形態においては、蓋部材144は、慣性モーメントをより大きくするために、その中央付近がヘッド100の外方(中空部の外方)に凸に湾曲する板状に形成される。蓋部材144は、開口部142を覆うことができるように開口部142の形状に適合する形状に形成される。蓋部材144は、例えば、図示のように3つの頂部を有する略三角形状の板状部材から成る。蓋部材144の板厚は、一定であってもよく、位置によって変化してもよい。また、蓋部材144の表面には、空力抵抗の改善や意匠性の観点等の様々な要請から、凹凸が設けられることがある。蓋部材144の3つの頂部のそれぞれには、支持片148a、148b、148cのネジ孔149に対応する位置に貫通孔143が形成されている。蓋部材144をヘッド本体に取り付ける際には、各貫通孔143が対応するネジ孔149と対向するように蓋部材144を開口部142に嵌め込み、各貫通孔143に固定部材(ネジ150)を挿入し、このネジ150をネジ孔149と螺合させればよい。ネジ150を取り外すことにより、蓋部材144をヘッド本体のソール部140(蓋部材支持部146)から取り外すことができる。このように、蓋部材144は、ヘッド本体のソール部140(蓋部材支持部146)に着脱自在に取り付けられ得る。ネジ孔149は、図示の実施形態のように支持片148a、148b、148cを貫通していてもよいが、必ずしも貫通している必要はない。
【0022】
図8及び
図9に示すように、一実施形態において、蓋部材144の貫通孔143の1つの近傍には雄係合部141が形成される。
図8及び
図9に図示した実施形態では、蓋部材144の3つの頂部のうち最もフェース部120に近い頂部に形成された貫通孔143の近傍に、雄係合部141が形成されている。また、蓋部材支持部146の雄係合部141と対向する位置には、雄係合部141と係合する雌係合部147が形成されている。雌係合部147は、ネジ150が貫通孔143を貫通する貫通方向(
図9に2点鎖線の矢印で示されている。以下、「ネジ150の貫通方向」ということがある。)の中空部の外方から雄係合部141に当接することで、雄係合部141と係合する。
【0023】
図8及び
図9に示す実施形態において、雄係合部141は、ヘッド100の中空部の外方(
図9の下方)を向く傾斜面141aを有する。また、雌係合部147は、中空部の内方(
図9の上方)を向き、傾斜面141aと対向する傾斜面147aを有する。傾斜面147aは、傾斜面141aと略平行に延伸している。この構成によれば、蓋部材144が開口部142に嵌め込まれているときには、傾斜面147aがネジ150の貫通方向の外方から傾斜面147aに当接しており、これにより雄係合部141と雌係合部147とが係合する。他の実施形態において、雄係合部141は、ネジ150の貫通方向と略垂直な方向に延伸し、ヘッド100の中空部の外方を向く第1垂直面を有していてもよい。このとき、雌係合部147は、ネジ150の貫通方向と略垂直な方向に延伸し、ヘッド100の中空部の内方を向く第2垂直面を有する。そして、第2垂直面がネジ150の貫通方向の外方から第1垂直面に当接することにより、雄係合部141と雌係合部147とが係合する。
【0024】
蓋部材144の雄係合部141が雌係合部147に嵌め込まれると、雌係合部147の傾斜面147aが雄係合部141の傾斜面141aにネジ150の貫通方向の中空部の外方側から当接する。これにより蓋部材144は、ネジ150の貫通方向への移動が規制されるので、打球時の衝撃等によりネジ150が緩んだとしても、蓋部材144をソール部140に確実に保持することができる。
【0025】
このように、蓋部材144の雄係合部141を蓋部材支持部146の雌係合部147と係合させることにより、蓋部材144がネジ150の貫通方向にヘッド100から係脱することを防止し、蓋部材144を蓋部材支持部146に確実に保持することができる。ネジ150が緩んだとしても、蓋部材144のネジ150の貫通方向への移動は規制されているため、蓋部材144のがたつきによる異音の発生を抑制することができる。また、蓋部材144を三角形状に構成し、その頂部の1つだけに雄係合部141を設けることにより、蓋部材144の着脱が容易になる。上記の実施形態における蓋部材144は、ヘッド100の中空部の外方に凸に湾曲しているため、特開2007−136068号公報に記載されている平面の蓋部材を用いる場合よりも小さな力で座屈(曲げ)変形しやすい。したがって、この変形による蓋部材144の脱落を防止するために、本発明が好適に適用される。なお、雄係合部141と雌係合部147とは、常時当接している必要はなく、少なくともネジ150が緩んだ時のみ係合する配置となっていれば良い。したがって、蓋部材144がネジ150により蓋部材支持部146に十分に固定されているときは、雄係合部141と雌係合部147の対向面同士は当接していなくても良い。
【0026】
上記の実施形態においては、蓋部材144は、3つの頂部を有する略三角形状に形成され、各頂部において蓋部材支持部146に対してネジ止めされており、また、雄係合部141は、その3つの頂部の1つにのみ設けられる。このような構成によれば、蓋部材144を蓋部材支持部146に対して3点で確実に固定できるとともに、4カ所以上でネジ止めを行う態様と比べて設計及び製造が容易になる。また、係合部(雄係合部141と雌係合部147とが係合する部分)も一ヶ所のみに設けられているので、製造が容易である。
【0027】
次に、
図11〜
図13を参照し、本発明の他の実施形態について説明する。
図11は、この実施形態のヘッドの底面図である。
図12は、
図11のヘッドのA−A断面図である。
図13は、
図11のヘッドのB−B断面図である。
【0028】
この実施形態のヘッド200において、開口部242は、ソール部240の中心からずれた位置に形成される。したがって、蓋部材244もソール部240の中心からずれた位置に取り付けられることになる。蓋部材支持部246は、蓋部材支持部146と同様に、開口部242の内周面に形成される。開口部242は、上述した開口部142と同様に、略三角形状に形成される。また、
図12に示すように、蓋部材244は、ヘッド200の外方に凸に湾曲した板状部材から成る。蓋部材244には、蓋部材144と同様に、ネジ250a、250b、250cをそれぞれ受け入れる貫通孔が3つ形成されている。
【0029】
図12及び
図13に示すように、三角形状の蓋部材244の3つの貫通孔のうち、ネジ250aを受け入れる貫通孔とネジ250bを受け入れる貫通孔との間の三角形の辺に相当する位置に、雄係合部241が形成される。一実施形態において、雄係合部241は、雄係合部141と同様に、ヘッド200の中空部の外方を向く傾斜面を有するように形成される。また、蓋部材支持部246の雄係合部241と対向する位置には、雄係合部241と係合する雌係合部247が形成されている。雌係合部247は、ネジの貫通方向(
図12に2点鎖線の矢印で示されている。)の中空部の外方側から雄係合部241に当接することで、雄係合部241と係合する。
【0030】
本実施形態のヘッド200においては、蓋部材244の雄係合部241を蓋部材支持部246の雌係合部247と係合させることにより、蓋部材244がヘッド200からネジの貫通方向には係脱しないようにしたため、蓋部材244を蓋部材支持部246に確実に保持することができる。また、ヘッド200においては、蓋部材244がソール部240の中心からずれた位置に設けられるので、打球の衝撃によって蓋部材244が蓋部材支持部246からより外れにくくなっている。また、本実施形態においては、三角形状の蓋部材244の三角形の辺に相当する部分に雄係合部241を設けたため、頂部のみが係合する場合よりも確実に蓋部材242を抜け止めすることができる。
【0031】
次に、
図14及び15を参照し、本発明のさらに他の実施形態について説明する。
図14は、この実施形態のヘッドの底面図である。
図15は、
図14のヘッドのA−A断面図である。
【0032】
この実施形態のヘッド300において、開口部342は略四角形状に形成され、蓋部材344も開口部342に適合した四角形状に形成される。蓋部材支持部346は、蓋部材支持部146と同様に、開口部342の内周面に形成される。蓋部材344の4つの頂部のそれぞれには貫通孔が形成されている。蓋部材344は、この貫通孔を介して4本のネジで蓋部材支持部346に固定される。
【0033】
さらに、本実施形態のヘッド300においては、ソール部340の内周面(中空部側表面)に、衝撃緩衝部350が形成される。衝撃緩衝部350は、ソール部340において、打球部であるフェイス部120と蓋部材344の固定位置との間の領域に形成される。
図15に示すように、衝撃緩衝部350は、ソール部340の内周面(中空部側表面)から中空部の内方に突出する突条である。一実施形態において、衝撃緩衝部350は、ソール部340のトウ側からヒール側に向かってフェイス面と略平行に延びる。一実施形態において、衝撃緩衝部350は、その長さが、蓋部材344の全体寸法、特に、フェイス部120(フェイス面)と略平行な方向の寸法(幅)より長くなるように構成される。
【0034】
本実施形態のヘッド300では、蓋部材344を略四角形状とし、4つの頂部を4本のネジで固定するため、蓋部材344を蓋部材支持部346に確実に保持することができる。また、開口部342を、略四角形状としたため、より広い開口面積を確保でき、重量調整材設置の作業性を向上することができる。さらに、本実施形態のヘッド300においては、打球の衝撃が発生するフェイス部120と蓋部材344との間の領域に衝撃緩衝部350を設けたため、打球時のフェイス部120の変形が衝撃緩衝部350で遮断され、ソール部340の蓋部材344周辺の部分の変形が抑制される。これにより、打球の衝撃によって蓋部材344が外れることを防止することができる。また、打球による衝撃を蓋部材344側に逃がさないため、より強い反発力での打球も期待できる。さらに、衝撃緩衝部350によって、樹脂等の流動性のある重量調整材を使用する場合に、蓋部材344周辺に付着させた重量調整材が意図せずフェイス部120側に流れ込んだり、逆に、蓋部材344から離れた位置に付着させた重量調整材が蓋部材344側に流れ込むことを防止できる。
【0036】
上記各実施形態と同様に、ヘッド400の蓋部材444には雄係合部441が形成され、ソール部440に形成された雌係合部447が、ネジの貫通方向の中空部の外方側から雄係合部441に当接することで、蓋部材444がソール部440に対して抜け止め固定されている。
【0037】
この実施形態のヘッド400においては、ソール部440に開口部442が形成されている。そして、ソール部440のうち開口部442が形成されている開口部形成面440aの前側縁部には衝撃緩衝部450が形成され、開口部形成面440aの後側縁部には衝撃緩衝部451が形成されている。衝撃緩衝部450は、ソール部440の内周面(中空部側表面)から中空部の内方に突出する突条である。
図17に示すように、ソール部440の外表面のうち突条が設けられた中空部側表面と反対側の部分に、突条と平行に延びる溝が形成されている。衝撃緩衝部450は、当該溝を画定する断面コ字状の突条であり、フェイス部120の外表面(フェイス面)と略平行な方向に略直線状に延びている。衝撃緩衝部450は、その長さが、蓋部材444の全体寸法、特に、フェイス部120の外表面(フェイス面)と略平行な方向の寸法(幅)より長くなるように構成される。衝撃緩衝部450は、トウ側端部からヒール側端部まで延伸する。一方、ソール部440のうち開口部形成面440aの後側縁部で、蓋部材444の固定位置とサイド部130との間の領域に、開口部形成面440aに対して傾斜する傾斜部が衝撃緩衝部451として形成されている。衝撃緩衝部451は、ソール面440のトウ側端部の衝撃緩衝部450よりもやや後側の位置から、開口部442(又は開口部422に嵌め込まれた蓋部材蓋部材444)の後側を回り込むように、ソール面440のヒール側端部まで延伸している。これにより、衝撃緩衝部450及び衝撃緩衝部451は、蓋部材444の略全周を取り囲むことになる。
【0038】
図19及び
図20に示すように、蓋部材支持部446の外周面には、蓋部材支持部446とほぼ同じ形状に形成されたエラストマー等の弾性部材から成る押圧部材460が設けられる。押圧部材460は、蓋部材444と蓋部材支持部446との間に設けられる。押圧部材460は、蓋部材444からの押圧力に反発して、蓋部材444をネジの貫通方向に沿ってヘッド400の内方から外方に向かって押圧する。これにより、蓋部材444の雄係合部441は、ソール部440の雌係合部447に常時付勢されるので、蓋部材444とソール部440との衝突による異音の発生を抑制することができる。
【0039】
本実施形態のヘッド400においては、衝撃緩衝部450及び衝撃緩衝部451によって、蓋部材444の略全周が取り囲まれているため、打球時のフェイス部120の変形の蓋部材444への伝達をより確実に抑制することができる。
【0040】
次に、
図21〜23を参照し、本発明のさらに他の実施形態について説明する。
図21は、この実施形態のヘッドの底面図である。
図22は、
図21のヘッドのA−A断面図である。
図23は、衝撃緩衝部の説明図である。
【0041】
この実施形態のヘッド500においては、ソール部540で、打球部であるフェイス部120と蓋部材544の固定位置との間の領域に衝撃緩衝部550が形成される。衝撃緩衝部550は、ソール部540の内周面(中空部側表面)から中空部の内方に突出する突条である。
図22に示すように、ソール部540の外表面のうち突条が設けられた中空部側表面と反対側の部分に、突条と平行に延びる溝が形成されている。衝撃緩衝部550は、当該溝を画定する断面U字状の突条である。衝撃緩衝部550は、フェイス部120の外表面(フェイス面)と略平行な方向に略直線状に延びている。衝撃緩衝部550は、その長さが、蓋部材544の全体寸法、特に、フェイス部120の外表面(フェイス面)と略平行な方向の寸法(幅)より長くなるように構成される。
【0042】
例えば、
図23に示すように、ソール部に幅の狭い溝が形成されている場合には、打球の衝撃によって、当該溝の周囲、特にトウ−ヒール方向の中央部分が大きく変形することがある。そのため、ソール部の中央付近に打球の衝撃による負荷が集中し、ソール部の中央付近に設けられた蓋部材へも大きな負荷が作用する。
【0043】
一方、ヘッド500においては、ソール部540に比較的幅広の溝が形成されているため、当該溝(又は衝撃緩衝部550)によって、打球時のフェイス部120の変形が遮断されるので、打球時のフェイス部120の変形の蓋部材544への伝達を抑制できる。
【0044】
本発明は上述した実施形態に限定されることなく、上述した実施形態に様々な変更を行ったものについても、本発明の範囲に含まれる。例えば、ソール部に形成される開口部は、本明細書において明示された位置以外の位置に配置されてもよい。かかる開口部は、ソール部140のみならず、クラウン部、フェイス部、及びサイド部のうちの少なくとも1つに設けることができる。このような開口部は複数形成されてもよい。この場合、複数の開口部の各々に1つの蓋部材が着脱自在に取り付けられる。
【0045】
開口部の形状は、円形状、矩形状、多角形状等を含む任意の形状とすることができる。
【0046】
蓋部材は、ネジ以外の公知の固定部材を用いて、蓋部材支持部に固定してもよい。
【0047】
衝撃緩衝部は、ソール部と一体に形成してもよく、ソール部とは別に準備してもよい。ソール部とは別に準備された衝撃緩衝部は、接着剤や両面テープ等でソール部に固定される。また、衝撃緩衝部は、様々な形状とすることができ、例えば、突条と傾斜部との組み合わせからなるようなものであってもよい。
【0048】
ヘッド100内に想定された配置領域内に樹脂等の重量調整材が確実に配置されるようにするために、この配置領域の外周(のうちの少なくとも一部又は全部)に沿って延びる凸部を形成してもよいし、この配置領域全体がこの配置領域を囲む領域よりも下方に位置するように、この配置領域全体を凹部として形成してもよい。
【0049】
重量調整材としては、樹脂、接着剤、シール(錘が付着したシール)、弾性体及び金属材料等を含む任意の材料を用いることができる。なお、弾性体及び金属材料等は、接着剤や両面テープ等により、ヘッド100の内面に固定することができる。
【0050】
重量調整材を配置することに代えて、又は、重量調整材を配置することとともに、蓋部材144の材料及び/又は厚みを変更することによって、ヘッド100の重心、慣性モーメント、及び/又は、打球音を調整することもできる。すなわち、材料及び/又は厚みの異なる複数の蓋部材(すなわち、相互に異なる質量を有する複数の蓋部材)を用意しておき、利用者が、これら複数の蓋部材の中から選択した蓋部材をヘッド100に取り付けるようにしてもよい。なお、蓋部材を構成する材料としては、例えば、カーボン、マグネシウム合金、アルミ合金、チタン合金、ステンレス合金、タングステン合金等を含む任意の材料が挙げられる。
【0051】
重量調整材を配置することに代えて、又は、重量調整材を配置するとともに、蓋部材144をヘッド100に固定するためのネジの材料及び又は長さを変更することによって、ヘッド100の重心、慣性モーメント、及び/又は、打球音を調整することもできる。すなわち、材料及び/又は長さの異なる複数のネジ(すなわち、相互に異なる質量を有する
複数のネジ)を用意しておき、利用者が、これら複数のネジの中から選択したネジを用いて蓋部材144をヘッド100に固定するようにしてもよい。なお、ネジを構成する材料は、カーボン、マグネシウム合金、アルミ合金、チタン合金、ステンレス合金、タングステン合金等を含む任意の材料を含む。
【0052】
クラウン部110、フェイス部120、サイド部130及びソール部140のうちの少なくとも1つの内面(の一部又は全部)を鏡面加工してもよい。これにより、例えばソール部140に開口部が形成されている場合には、この開口部を介して、上記鏡面加工されたクラウン部110、フェイス部120及び/又はサイド部130の内面に写る、利用者の指(手)、ノズル等の装置、及び/又は、重量調整材を見ることにより、より容易かつ正確に、ヘッド100内の意図した位置に重量調整材を配置することができる。
【0053】
各実施形態において、主に大型チタン製ヘッドを例に挙げているが、380CCに満たないフェアウェイウッドやユーティリティーのヘッドにおいても最低肉厚部の厚みが1.0mm以下の部分を有するヘッドには特に有効である。また、最低肉厚部はソールに限られるものではなく、フェースやクラウン或いはサイド部分にあっても良い。