(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池セル(以下、セルということがある)を示すもので、このセルは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本形態では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配列された、所謂「横縞型」と呼ばれる構造を有している。
【0012】
このセルを上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが5〜50cmで、長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが1〜10cmの長方形である。このセルの厚さは、1〜5mmである。このセルは、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、
図1(a)に加えて、このセルの
図1(a)に示す2−2線に対応する部分断面図である
図2(a)を参照しながら、このセルの詳細について説明する。
【0013】
図2(a)は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A、Aのそれぞれの構成(の一部)
、並びに発電素子部A、A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、
図2(a)に示す構成と同様である。
【0014】
支持基板10は、電子伝導性を有さない(絶縁性)多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本形態では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本形態では、支持基板10の主面における複数の箇所に、それぞれ第1凹部12が形成されており、各第1凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
【0015】
支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」と、絶縁性セラミックスとを含んで構成され得る。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
【0016】
また、絶縁性セラミックスとしては、MgO(酸化マグネシウム)、又は、「MgAl
2O
4(マグネシアアルミナスピネル)とMgO(酸化マグネシウム)の混合物」が好適である。また、絶縁性セラミックスとして、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、Y
2O
3(イットリア)が使用されてもよい。
【0017】
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
【0018】
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
【0019】
図2に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各第1凹部12内には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。各燃料極集電部21の上面(外側面)には、第2凹部21aが形成されている。各第2凹部21aは、
図1(b)に示すように、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向(x軸方向)に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向(y軸方向)に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0020】
各第2凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の幅方向(y軸方向)に沿う2つの側面と底面とは、第2凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
【0021】
各燃料極集電部21の上面(外側面)における第2凹部21aを除いた部分には、第3
凹部21bが形成されている。各第3凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。周方向に閉じた側壁のうち、長手方向(x軸方向)に沿う2つの側壁は支持基板10の材料からなり、幅方向(y軸方向)に沿う2つの側壁は燃料極集電部21の材料からなる。
【0022】
各第3凹部21bには、インターコネクタ(導電性緻密質体)30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とは、第3凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
【0023】
燃料極20(燃料極集電部21および燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
【0024】
燃料極活性部22は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。あるいは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極集電部21は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。あるいは、NiO(酸化ニッケル)とY
2O
3(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmであり、燃料極集電部21の厚さ(即ち、第1凹部12の深さ)は、50〜500μmである。
【0025】
このように、燃料極集電部21は、電子伝導性を有する物質を含んで構成される。燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と酸化性イオン(酸素イオン)伝導性を有する物質とを含んで構成される。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸化性イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも多い。
【0026】
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO
3(ランタンクロマイト)から構成され得る。あるいは、(Sr,La)TiO
3(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
【0027】
燃料極20がそれぞれの第1凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向(発電素子部Aの配列方向)に延びる外周面において、複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。あるいは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
【0028】
即ち、燃料極20がそれぞれの第1凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。
【0029】
なお、
図2(a)に示すように、本形態では、固体電解質膜40が、燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、および支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
【0030】
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50および空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
【0031】
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O
2(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。あるいは、LSF=(La,Sr)FeO
3(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O
3(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
【0032】
なお、反応防止膜50が介装されるのは、セル作製時又は作動中のセル内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
【0033】
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(
図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本形態では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
【0034】
隣り合う発電素子部A、Aについて、他方の(
図2(a)では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、一方の(
図2(a)では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、および、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
【0035】
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O
3(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。あるいは、LSC=(La,Sr)CoO
3(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。あるいは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
【0036】
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、隣り合う発電素子部A、Aについて、他方の(
図2(a)では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、一方の(
図2(a)では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70およびインターコネクタ30」を介して電気的に接続
される。
【0037】
この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本形態では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70およびインターコネクタ30」が、前記「電気的接続部」に対応する。
【0038】
なお、インターコネクタ30は、「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
【0039】
以上、説明した「横縞型」のセルに対して、
図3に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(あるいは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O
2+2e
−→O
2−(於:空気極60) …(1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
−(於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、
図2(a)に示すように、隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、セル全体から(具体的には、
図3において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
【0040】
そして、本形態では、
図2(a)に示すように、電気的接続部の一部を構成する空気極集電部70が、他方の発電素子部A(
図2(a)では左側)の空気極60表面から固体電解質膜40表面を介して、一方の発電素子A(
図2(a)では右側)のインターコネクタ30の中央部表面、およびインターコネクタ30の一方の発電素子側の端部に積層された固体電解質膜40表面に積層されており、他方の発電素子部A側から延びる空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端が、第3凹部21bの一方の発電素子部A側の端よりも他方の発電素子部A側に位置している。
【0041】
言い換えれば、燃料極活性部22に積層された固体電解質膜40が、一方および他方の発電素子部Aの両側から延設されてインターコネクタ30の両端部に積層され、空気極集電部70が、他方の発電素子部Aの空気極60表面から固体電解質膜40表面を介して、インターコネクタ30の中央部表面、およびインターコネクタ30の両端部に積層された固体電解質膜40表面に積層され、空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端が、第3凹部21bの一方の発電素子部A側の端よりも他方の発電素子部A側に位置している。
【0042】
すなわち、他方の発電素子部Aから延びている空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端は、第3凹部21bの一方の発電素子部A側の端よりも所定距離Lだけ、他方の発電素子部A側に位置しており、空気極集電部70の一方の発電素子部A側の先端部が積層されている固体電解質膜40の下面には、燃料極集電部21が存在していない。従って、空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端部と、燃料極集電部21とで固体電解質膜40を挟持していないため、この部分で電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能を向上できる。
【0043】
空気極集電部70の一方の発電素子部A側端と、第3凹部21bの一方の発電素子部A側端との所定距離Lは、例えば、0.5mm以上とすることが望ましい。これにより、斜め方向に不要な電池を構成することを抑制できる。なお、他方の発電素子部A側から延び
る空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端が、第3凹部21bの一方の発電素子部A側の端と同じ位置に位置しても良い。
【0044】
なお、複数の発電素子部の配列方向(長手方向(x軸方向))と直交する配列直交方向(幅方向(y軸方向))における空気極集電部70の両端は、
図1(b)に示すように、インターコネクタ30の両端に位置している。
【0045】
(製造方法)
次に、
図1に示した「横縞型」のセルの製造方法の一例について
図4〜
図5を参照しながら簡単に説明する。
図4〜
図5において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
【0046】
先ず、
図4に示す形状を有する支持基板の成形体10gを製する。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、NiO+MgO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製する。
【0047】
次に、
図5(b)に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各第1凹部内に、燃料極集電部の成形体21gをそれぞれ埋設・形成する。次いで、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各第2凹部に、燃料極活性部の成形体22gをそれぞれ埋設・形成する。また、各燃料極集電部の成形体21g、および各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとYSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成する。
【0048】
続いて、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各第3凹部に、インターコネクタの成形体30gをそれぞれ埋設・形成する。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO
3)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成する。
【0049】
次に、複数の燃料極の成形体(21g+22g)および複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜を形成する。固体電解質膜の成形膜は、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成する。
【0050】
次に、固体電解質膜の成形体における各燃料極の成形体と接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜を形成する。各反応防止膜の成形膜は、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成する。
【0051】
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gを、例えば、空気中にて1500℃で3時間焼成する。これにより、
図1に示したセルにおいて空気極60および空気極集電部70が形成されていない状態の構造体を得る。
【0052】
次に、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜を形成する。各空気極の成形膜は、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成する。
【0053】
次に、各組の隣り合う発電素子部について、他方の発電素子部Aの空気極の成形膜と、一方の発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜、固体電解質膜40、および、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電部の成形膜を形成する。この空気極集電部の成形膜は、空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端が、第3凹部21bの一方の発電素子部A側の端よりも所定距離Lだけ、他方の発電素子部A側に位置するように形成する。
【0054】
各空気極集電部の成形膜は、例えば、空気極集電部70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成する。
【0055】
そして、このように成形膜が形成された状態の支持基板10を、例えば、空気中にて1050℃で3時間焼成する。これにより、
図1に示したセルを得る。
【0056】
(作用・効果)
以上、説明したように、上記本発明の実施形態に係る「横縞型」のセルでは、空気極集電部70の一方の発電素子部A側の端部と、燃料極集電部21とで固体電解質膜40を挟持していないため、この部分で電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能を向上できる。
【0057】
また、支持基板10の上下面に形成されている、燃料極20(集電部21)を埋設するための複数の第1凹部12のそれぞれが、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁を有している。換言すれば、支持基板10において各第1凹部12を囲む枠体がそれぞれ形成されている。従って、この構造体は、支持基板10が外力を受けた場合に変形し難い。
【0058】
また、支持基板10の各第1凹部12内に燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)およびインターコネクタ30等の部材が隙間なく充填・埋設された状態で、支持基板10と前記埋設された部材とが共焼結される。従って、部材間の接合性が高く且つ信頼性の高い焼結体が得られる。
【0059】
また、インターコネクタ30が、燃料極集電部21の外側面に形成された第3凹部21bに埋設され、この結果、直方体状のインターコネクタ30の幅方向(y軸方向)に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。従って、燃料極集電部21の外側平面上に直方体状のインターコネクタ30が積層される(接触する)構成が採用される場合に比べて、燃料極20(集電部21)とインターコネクタ30との界面の面積を大きくできる。従って、燃料極20とインターコネクタ30との間における電子伝導性を高めることができ、この結果、燃料電池の発電出力を高めることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに、複数の発電素子部Aが設けられている。これにより、支持基板の片側面のみに複数の発電素子部が設けられる場合に比して、構造体中における発電素子部の数を多くでき、燃料電池の発電出力を高めることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、固体電解質膜40が、燃料極20(集電部21+活性部22)の外側面、インターコネクタ30の外側面における長手方向の両側端部、および支持基板10の主面を覆っている。ここで、燃料極20の外側面とインターコネクタ30の外側面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が
有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、
図4等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、各第1凹部12にはインターコネクタ30の全体が埋設されているが、インターコネクタ30の一部のみが各第1凹部12に埋設され、インターコネクタ30の残りの部分が第1凹部12の外に突出(即ち、支持基板10の主面から突出)していてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の第1凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板10の片側面のみに複数の第1凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層で構成されてもよい。
【0066】
加えて、上記実施形態においては、
図1(b)に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、周方向に閉じた側壁(支持基板10の材料からなる長手方向に沿う2つの側壁と、燃料極集電部21の材料からなる幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みとなっている。この結果、第3凹部21bに埋設されたインターコネクタ30の幅方向に沿う2つの側面と底面とが凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
【0067】
これに対し、
図6に示すように、燃料極集電部21の外側面に形成された第3凹部21bが、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みであってもよい。
【0068】
この場合には、複数の発電素子部Aの配列方向と直交する配列直交方向(y軸方向)における空気極集電部70の両端が、第3凹部21bの配列直交方向(y軸方向)における両端よりも所定距離Bだけ内側に位置することが望ましい。この場合には、インターコネクタ30における配列直交方向においても、電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能をさらに向上できる。
【0069】
また、
図7(a)、
図8に示すように、第3凹部21bの1つの側面が燃料極集電部21の材料からなり他の3つの側面が支持基板10の材料からなる場合、すなわち、第3凹部21bの他方の発電素子A側の側面と、インターコネクタ30との間には、燃料極集電部21が存在していない。この場合には、インターコネクタ30の配列方向の両側において、電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能をさらに向上できる。
【0070】
さらに、
図7(b)に示すように、第3凹部21bの3つの側面が燃料極集電部21の材料からなり他の1つの側面が支持基板10の材料からなり、複数の発電素子部Aの配列方向と直交する配列直交方向(y軸方向)における空気極集電部70の両端が、第3凹部
21bの配列直交方向(y軸方向)における両端よりも所定距離Bだけ内側に位置する場合であっても、電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能をさらに向上できる。
【0071】
また、
図9に示すように、第3凹部21bの側壁とインターコネクタ30との間には、インターコネクタ30、固体電解質膜40とは異なる材料からなるシール層75が形成されている場合であっても良い。固体電解質膜40は、シール層75に積層されており、インターコネクタ30には積層されていない。
図7(a)、
図8と異なる点は、シール層75が、インターコネクタ30の周囲を取り囲んでいる点である。
【0072】
すなわち、シール層75は、電気絶縁性を有する緻密な材料からなる焼成体である。シール層75は、例えば、金属酸化物を含有し、好ましくは金属酸化物を主成分とする。具体的には、上記金属酸化物として、(AE)ZrO
3、MgO、MgAl
2O
4、及びC
e
xLn
1−xO
2からなる群より選択される少なくとも1種類の酸化物を含有してもよい。ここで、AEは、アルカリ土類金属であり、Lnは、Y及びランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、xは0<x≦0.3を満たす。AEに該当する元素としては、Mg、Ca、Sr、及びBaが挙げられる。また、微量成分として、遷移金属酸化物(例えば、NiO、Mn
3O
4、Fe
2O
3、Cr
2O
3、CoO)が
含まれても良い。これらの成分は、酸化物として存在していても良いし、上記「(AE)
ZrO
3、MgO、MgAl
2O
4、及びCe
xLn
1−xO
2からなる群より選択される少なくとも1種類の酸化物」に固溶する形で存在していても良い。金属酸化物の平均粒径は0.1〜5.0μmが好ましく、さらに好ましくは0.3〜4.0μmである。シール層75の厚さは、10〜100μmである。
【0073】
このようなシール層75を用いた場合であっても、上記形態と同様、電流が
図2とは逆方向に流れる電池を構成することがなく、発電性能を向上できる。さらに、一般に、インターコネクタ(特に、ランタンクロマイトで構成されるインターコネクタ)は、上述した還元処理の際に膨張する性質を有する(還元膨張)。この還元膨張に起因して、インターコネクタの外側面の周縁部と固体電解質膜の内側面との界面において剥離が発生し、「ガスシール機能」の低下が発生し易いという問題があった。これに対し、上記実施形態では、上述のように、インターコネクタ30の外側面上には緻密膜(固体電解質膜40)が設けられていない。従って、上述したインターコネクタの還元膨張による剥離に起因する「ガスシール機能」の低下が発生しない。即ち、「ガスシール機能」の低下を抑制し得る。