特許第6039470号(P6039470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039470電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039470
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】電子部品搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/04 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 23/02 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   H01L23/04 E
   !H01L23/02 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-51984(P2013-51984)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-179432(P2014-179432A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白崎 隆行
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−48198(JP,A)
【文献】 特開2007−5636(JP,A)
【文献】 特開2003−243552(JP,A)
【文献】 特開2009−76499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/04
H01L 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収容される凹部を含む上面と、下面と、前記凹部の底面から前記下面にかけて設けられた貫通孔とを有している筐体と、
前記貫通孔内を通っているとともに前記筐体に封止材により固定されており、前記筐体の前記凹部の底面から上方へ突出している上端と前記筐体の前記下面から下方へ突出している下端とを有し、前記電子部品が電気的に接続される端子と、
前記下面に設けられており、前記端子に電気的に接続された配線導体を含んでおり、前記端子に固定された固定端部と該固定端部の反対側に位置する先端部とを有しているフレキシブル基板とを備えており、
前記先端部が前記固定端部よりも低い位置に設けられていることを特徴とする電子部品搭載用パッケージ。
【請求項2】
前記下面は切り欠き部を含んでおり、
前記フレキシブル基板の少なくとも一部は前記切り欠き部内に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項3】
前記フレキシブル基板の一部は、前記切り欠き部外に設けられていることを特徴とする請求項2記載の電子部品搭載用パッケージ。
【請求項4】
請求項1記載の電子部品搭載用パッケージと、
前記電子部品搭載用パッケージの前記凹部に収容された電子部品と、
前記電子部品を覆うように前記電子部品搭載用パッケージに接合された蓋体とを備えることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光通信分野、マイクロ波通信およびミリ波通信等の分野で用いられる、高い周波数帯域で作動する各種電子部品を収納する電子素子搭載用パッケージおよびそれを用いた電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速通信に対する需要が急激に増加しており、高速大容量な情報伝送に関する研究開発が進められている。とりわけ、光通信装置を用いて光信号を受発信する半導体装置等の電子装置の高速化が注目されており、電子装置による光信号の高出力化と高速化が伝送容量を向上させるための課題であるとして研究開発されている。
【0003】
このような電子装置用の電子部品搭載用パッケージとして、例えば側壁に貫通孔を有する筐体と、貫通孔に充填された封止材と、封止材を貫通して筐体の側壁に固定された端子とを有しているものがある。電子部品は、筐体の上面に搭載され、例えば蓋体によって覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-78055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のパッケージのように、電子部品搭載用パッケージの筐体の側壁に端子が設けられていると、端子と外部回路基板とを接続する場合に、接続時の応力により端子に上下方向の力が加わり、端子に対しててこの原理による応力が発生し、端子を封止する封止材にクラックが発生しやすいものとなり、その結果、電子部品搭載用パッケージの気密信頼性が低下する可能性があった。
【0006】
また、電子装置を例えば外部回路基板等に実装する場合に、電子装置と外部回路基板との接続について考慮する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電子部品搭載用パッケージは、凹部を含む上面と下面と凹部の底面から下面にかけて設けられた貫通孔とを有している筐体と、貫通孔内に封止材により固定された端子と、下面に設けられており、端子に固定された固定端部と固定端部の反対側に位置する先端部とを有しているフレキシブル基板とを有している。端子は、筐体から突出している上端と下端とを有し、電子部品が電気的に接続される。フレキシブル基板は、先端部が固定端部よりも低い位置に設けられている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の電子部品搭載用パッケージと、電子部品搭載用パッケージの凹部に収容された電子部品と、電子部品搭載用パッケージに接合された蓋体とを有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、電子部品搭載用パッケージは、凹部を含む上面と下面と凹部の底面から下面にかけて設けられた貫通孔とを有している筐体と、貫通孔内に封止材により固定されており、筐体から突出した上端と下端とを有している端子と、端子に接続
されるとともに、下面に設けられたフレキシブル基板とを有していることによって、端子とフレキシブル基板とを接続する際に、接続時の応力により端子に上下方向の力が加わったとしても、端子の長手は、接続時の応力が加わる方向と同じ上下方向に設けられており、てこの原理による応力が発生しにくいものとなり、封止材にクラックが発生するのを抑制して、その結果、電子部品搭載用パッケージの気密信頼性が向上されるものとなる。
【0010】
また、フレキシブル基板は、下面に設けられ、端子に固定された固定端部と固定端部の反対側に位置する先端部とを有しており、先端部が固定端部よりも低い位置に設けられていることによって、電子装置が外部回路基板に実装される場合に、フレキシブル基板は、撓んで応力が発生し、外部回路基板に効果的に接するものとなり、外部回路基板は、フレキシブル基板に設けられた配線導体と半田等のろう材を介して効果的に接合されるものとなる。
【0011】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記構成の電子部品搭載用パッケージの凹部に収容された電子部品と、電子部品搭載用パッケージに接合された蓋体とを有していることによって、信頼性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の電子装置の一例を示す断面図である。
図2図1に示された電子装置のA部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1図3を参照して本発明の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態における電子装置は、電子素子搭載用パッケージと、電子素子搭載用パッケージに収納された電子部品8と、蓋体10とを有している。
【0015】
本実施形態の電子部品搭載用パッケージは、上面と下面と貫通孔2とを有している筐体1と、端子4と、フレキシブル基板7とを有している。なお、電子部品搭載用パッケージは、回路基板5と、基台6とをさらに有していてもよい。
【0016】
筐体1は、電子部品8が収容される凹部1aを含む上面と、下面と、凹部1aの底面から筐体1の下面にかけて設けられた貫通孔2とを有している。なお、電子部品搭載用パッケージは、下面に切り欠き部1bが設けられていてもよい。また、筐体1の下面に切り欠き部1bが設けられている場合には、フレキシブル基板7は切り欠き部1b内に設けられていてもよい。
【0017】
筐体1は、電子部品8を収容するための収容部材として機能するとともに電子素子搭載用パッケージの外部との電磁的遮蔽を行なう機能を有しており、Fe−Ni−Cr合金(
JIS規格のSUS304、SUS310等)、Fe-Ni-Cr-Mo合金(JIS規格のSUS303、SUS316等)等のステンレス鋼、Fe−Ni−Co合金、Cu−Zn合金等の金属材料から成る。
【0018】
例えば、筐体1の凹部1aに収容される電子部品8が、強誘電体素子であるLN(ニオ
ブ酸リチウム)による変調素子(以下、LN素子という)の場合、LN素子の熱膨張係数15.4×10−6/℃と近似しているSUS303(熱膨張係数14.6×10−6/℃)、SUS304(熱膨張係数17.3×10−6/℃)、SUS310(熱膨張係数15.8×10−6/℃)、SUS316(熱膨張係数16.0×10−6/℃)等のFe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Cr−Mo合金の金
属材料を用いて、筐体1を作製することが好ましい。この場合、筐体1の凹部1aにLN
素子を収容して電子装置とした場合、筐体1と電子部品8との熱膨張係数が近似しているため、電子部品8が作動した際に発生する熱、または電子部品8を筐体1へろう材を介して実装するための加熱により、熱膨張係数の差に起因する応力で、電子部品8が筐体1から剥がれたりすることがなくなるので好ましい。
【0019】
また、筐体1は、筐体1を形成する金属材料のインゴットに圧延加工、打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施して基体および枠体をとし、これら基体と枠体とを接合することによって所定の形状に製作される。また、その表面に耐蝕性に優れ、かつ、ろう材との濡れ性に優れる金属を被着させておくことが好ましい。具体的には厚さ0.5〜9μmの
Ni層と厚さ0.5〜9μmのAu層を順次めっき法により被着させておくのがよく、筐体
1が酸化腐食するのを有効に防止するとともに、筐体1の凹部1aの底面に回路基板5を載置するための基台6を強固に接着固定させることができる。なお、基体および枠体は一体成形することが好ましい。この一体成形の方法としては、上述したFe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Cr−Mo合金等の金属材料のインゴットに切削加工、放電加工等の従来周知の金属加工法を施すことにより所定の形状に製作することができる。基体と枠体とを一体成形した場合は、組み立て時の接合ずれを生じるという不具合が発生することがなくなるので好ましい。
【0020】
筐体1は、凹部1aの底面から下面にかけて貫通孔2が形成され、端子4が貫通孔2内を通っているとともに筐体1に封止材3により固定されており、端子4の上端が筐体1の凹部1aの底面から上方へ突出しているとともに端子4の下端が筐体1の下面から下方へ突出しており、電子部品8が端子4に電気的に接続されている。
【0021】
貫通孔2は、凹部1aの底面側において空間が設けられるように他の貫通孔2aを有していてもよく、他の貫通孔2aの孔径が貫通孔2の孔径より小さいものとすると、インピーダンスがより整合されたものとなり好ましい。
【0022】
封止材3は、ガラス、セラミックスなどの絶縁性の無機材料から成り、端子4と筐体1との絶縁性を確保するとともに、端子4を筐体1の貫通孔2内に固定する機能を有する。このような封止材3の例としては、ホウケイ酸ガラス,ソーダガラス等のガラスおよびこれらのガラスに封止材3の熱膨張係数、比誘電率を調整するためのセラミックフィラーを加えたものが挙げられ、インピーダンスマッチングのためにその比誘電率を適宜選択する。比誘電率を低下させるフィラーとしては、酸化リチウム等が挙げられる。例えば、特性インピーダンスを50Ωとするには、貫通孔2の内径が1.75mmで端子4の外径が0.2mm
の場合であれば、封止材3の比誘電率が6.8であるものを用いればよい。また、貫通孔2
の内径が1.65mmで端子4の外径が0.25mmの場合であれば、封止材3の比誘電率が5であるものを用いればよい。
【0023】
端子4を貫通孔2に充填された封止材3を貫通して固定するには、例えば、封止材3がガラスから成る場合は、周知の粉体プレス法、押し出し成形法等を用いてガラス粉末を成形して、内径を端子4の外径に合わせ、外径を貫通孔2の内径に合わせた筒状の成形体を作製し、この封止材3の成形体を貫通孔2に挿入し、さらに端子4をこの封止材3の孔に挿通し、しかる後、所定の温度に加熱して封止材3を溶融させた後、冷却して固化させることにより行なうことができる。これにより、封止材3により貫通孔2が気密に封止されるとともに、封止材3によって端子4が筐体1と絶縁されて固定され、同軸線路が形成される。
【0024】
また、貫通孔2と封止材3との間に筒状体3aを設けてもよく、筒状体3aは、筐体1と同様の金属材料からなり、加工方法も筐体1と同様である。この場合、筐体1は筒状体3aを更に有しており、上述のように貫通孔2と封止材3との間に筒状体3aが介在して
いる構造も、本実施形態に含まれる。この場合においては、筒状体3aは筐体1にろう付けされており、端子4が筒状体3a内を通っているとともに筒状体3aに封止材3により固定されている。
【0025】
端子4は、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等の金属から成り、例えば端子4がFe−Ni−Co合金から成る場合は、この合金のインゴット(塊)に圧延加工、打ち抜き加工等の金属加工方法を施すことによって、長さが1.5〜22mm、直径が0.1〜0.5mm
の線状に製作される。
【0026】
端子4の直径が0.1mmより小さい場合は、端子4が曲がりやすいものになり取り扱い
上の少しの不注意でも端子4が曲がってしまいやすくなる。端子4が曲がってしまうと、エア同軸部を有する場合は、この部分でのインピーダンスが狂いやすくなり、また、外部回路との接続の作業性が低下する場合がある。また端子4の直径が0.5mmを超えると、
インピーダンス整合を行うために必要な貫通孔2および挿通孔6aの径が不要に大きくなるため、電子装置が小型化し難くなるので、端子4の直径は0.1〜0.5mmであるのが好ましい。
【0027】
フレキシブル基板7は、端子4に電気的に接続された配線導体7aを有し、筐体1の下面に設けられている。
【0028】
このような構成によって、端子4とフレキシブル基板7とが接続される場合に、接続時の応力により端子4に上下方向の力が加わったとしても、端子4の長手は、接続時の応力が加わる方向と同じ上下方向に設けられており、てこの原理による応力が発生しにくいものとなり、封止材3にクラックが発生するのを抑制して、その結果、電子部品搭載用パッケージの気密信頼性が向上されるものとなる。また、端子4に接続される基板に柔軟性を有するフレキシブル基板7を用いているので、端子4とフレキシブル基板7とが接続される場合に、端子4に加わる接続時の衝撃が緩和されるものとなり、封止材3にクラックが発生するのを抑制することが可能となる。
【0029】
また、フレキシブル基板7は、端子4に固定された固定端部7bと固定端部7bの反対側に位置する先端部7cとを有しており、先端部7cが固定端部7bよりも低い位置に設けられている。
【0030】
このような構成によって、電子装置が外部回路基板に実装される場合に、フレキシブル基板7は、先端部7cから先端部7cと固定端部7bとの間にかけて外部回路基板に押し付けられるようにして撓んで応力が発生し、外部回路基板に効果的に接するものとなり、外部回路基板は、フレキシブル基板7に設けられた配線導体7aと半田等のろう材を介して効果的に接合されるものとなる。
【0031】
また、筐体1の下面に切り欠き部1bが設けられている場合において、フレキシブル基板7の少なくとも一部は切り欠き部1b内に設けられていると、筐体1の下面の切り欠き部1bが設けられていないフラットな箇所と外部回路基板との間にフレキシブル基板7および端子4が介在していないため、電子素子搭載用パッケージは低背化が可能となるものである。また、筐体1の下面の切り欠き部1bが設けられていないフラットな箇所と外部回路基板との間にフレキシブル基板7および端子4が介在していないため、電子装置は傾きにくく外部回路基板に安定して実装されるものとなり、実装信頼性に関して向上されたものとなる。
【0032】
また、筐体1の下面に切り欠き部1bが設けられ、フレキシブル基板7が切り欠き部1b内に設けられた場合において、フレキシブル基板7の一部は、切り欠き部1b外に設け
られていると、筐体1の下面の切り欠き部1bが設けられていないフラットな箇所より下方へフレキシブル基板7が設けられたものとなり、実装時の応力がフレキシブル基板7に集中して加わるものとなり、外部回路基板は、フレキシブル基板7に設けられた配線導体7aと半田等のろう材を介してより効果的に接合されるものとなる。
【0033】
なお、フレキシブル基板7は、端子4となす角を95°〜120°とした箇所を有しているのが好ましい。フレキシブル基板7が端子4となす角を95°以上とした箇所を有していると、電子装置が外部回路基板に実装される場合に、実装時の応力がフレキシブル基板7により効果的に加わるものとなり、外部回路基板により効果的に接するものとなり、外部回路基板は、フレキシブル基板7に設けられた配線導体7aと半田等のろう材を介してより効果的に接合されるものとなる。フレキシブル基板7が端子4となす角を120°以下とした箇所を有していると、電子装置が外部回路基板に実装される場合に、電子装置が外部回路基板に傾いて実装されるのを効果的に防止することが可能となる。
【0034】
また、貫通孔2と封止材3との間に筒状体3aを設けている場合において、電子装置が外部回路基板に実装される場合に、フレキシブル基板7は、筐体1の内側に位置する箇所より外側を高くした筒状体3aに接合されたものとすると、フレキシブル基板7は、容易に先端部7cが固定端部7bよりも低い位置に設けられるものとすることができ、好ましい。
【0035】
また、筐体1の下面に切り欠き部1bが設けられている場合において、切り欠き部1bは第1の空間1baと第2の空間1bbとを有し、第2の空間1bbは第1の空間1baの上方に設けられており、フレキシブル基板7が第1の空間1ba内に設けられて、貫通孔2とフレキシブル基板7との間に第2の空間1bbによる空隙が設けられている場合には、端子4とフレキシブル基板7に設けられた配線導体7aとを接続する箇所の周辺に空間が設けられたものとなり、端子4とフレキシブル基板7に設けられた配線導体7aとを接続するろう材4aにフィレットが形成されたものとすることが可能となり、端子4とフレキシブル基板7とが強固に接合されたものとすることができ、好ましい。また、貫通孔2と封止材3との間に筒状体3aを設けている場合において、筒状体3aとフレキシブル基板7に設けられた配線とをろう材4aを介して接合し、ろう材4aにフィレットが形成されたものとすると、上述と同様に筒状体3aとフレキシブル基板7とが強固に接合されたものとすることができ、好ましい。
【0036】
また、筐体1の下面には他の端子が接合され、端子4を信号端子として用い、他の端子を接地端子として用いてもよい。他の端子は、端子4と同様にして作製してもよく、筐体1の下面にろう材等を用いて接合される。位置決めの容易性と接合強度の向上のために、予め筐体1の下面に穴を形成しておき、その穴に他の端子を挿入して接合してもよい。また、同様の理由で、筐体1の下面に当接するように他の端子に鍔をつけて、接合面積をより大きくしてもよい。また、他の端子として、はんだ、導電性接着剤等の導電性の接合材を用いてもよい。このようにして筐体1に他の端子を接合することにより、他の端子をフレキシブル基板7の接地配線導体に接続した際には、筐体1が接地導体としても機能する。また、他の端子は、端子4を挟むように2箇所を筐体1およびフレキシブル基板7の接地配線導体に接続され、フレキシブル基板7の配線導体7aの両側に配置された接地配線導体にろう材等で接合されるようにして、コプレナー線路を構成してもよい。
【0037】
基台6および電子部品8は筐体1の凹部1aの底面に接合されており、導体線路5bを有する回路基板5が基台6の上面に載置されるとともに接合されている。
【0038】
回路基板5は、絶縁基板5aがアルミナ(Al)セラミックスまたは窒化アルミニウム(AlN)セラミックス絶縁基板5a等のセラミックスから成り、インピーダンス
整合用の基板として機能する。回路基板5は、絶縁基板5aの上面に高周波信号の伝送線路としての導体線路5bが形成され、絶縁基板5aの下面には、接地導体5cが形成されている。この接地導体5cは、Au−Sn合金等の低融点ろう材を介して基台6の上面に接合している。このように、回路基板5は、絶縁基板5aと導体線路5bと接地導体5cとで構成されている。
【0039】
導体線路5bは、端子4と同じ例えば50Ωのインピーダンスとなるように形成されたマイクロストリップ線路であり、その一端側は電子部品8とボンディングワイヤ9を介して接続され、他端側は端子4の上端に半田を介して接合されることにより、端子4と電子部品8とが電気的に接続される。また、接地電位(グランド)は、フレキシブル基板7の接地配線導体から筐体1と基台6を介して回路基板5の下面の接地導体5cとろう材等を介して電気的に接続している。回路基板5の導体線路5bの特性インピーダンスを50Ωとするには、マイクロストリップ構造の回路基板5の場合であれば、誘電率9.5である96%酸
化アルミニウム質焼結体からなり、厚みが0.3mmである絶縁基板5aの下面に接地導体
5cを形成し、上面の導体線路5bを、幅が0.3mmで厚みが4μmのものとすればよく
、絶縁基板5aが同じ材料からなり、厚みが0.5mmである場合には、導体線路5bを厚
みが4μmで幅が0.5mmのものとすればよい。
【0040】
回路基板5の絶縁基板5aは、例えばアルミナセラミックスからなる場合であれば、酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ,可塑剤,および溶剤を添加混合して得た泥漿物に、従来周知のドクターブレード法、カレンダーロール法等を採用することによってセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を形成し、次にこのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施して所定形状となすとともに、必要に応じて複数枚を積層して成形体となし、しかる後、この成形体を約1,600℃の温度で焼成することによって製作される。この焼成後の絶縁基板5aは
、厚みが約0.2〜0.3mmであり、インピーダンスを例えば50Ωに整合させるために薄く製作される。
【0041】
導体線路5b、接地導体5cは、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料からなる。
【0042】
導体線路5b、接地導体5cは、例えばタングステンからなる場合であれば、タングステンの粉末に有機溶剤,バインダを添加混練して金属ペーストを作製し、絶縁基板5aとなるセラミックグリーンシートに金属ペーストを所定の配線パターンとなるように、従来周知のスクリーン印刷法を用いて印刷することによって形成する。
【0043】
導体線路5b、接地導体5cは、薄膜加工で作製することもできる。導体線路5b、接地導体5cを薄膜加工で作製することにより、導体線路5b、接地導体5cを密着金属層、拡散防止層および主導体層が順次積層された3層構造の導体層とすることができ、高精度なパターンを形成できるので好ましい。
【0044】
導体線路5b、接地導体5cを薄膜加工で作製する場合、例えば以下のようにして作製される。
【0045】
焼成後の絶縁基板5aに、蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法等の薄膜形成法によって導体線路5b、接地導体5cとなる各層(密着金属層、拡散防止層および主導体層が順次積層された3層構造の導体層)を形成する。その後レジスト膜を形成し、フォトリソ加工、エッチング等の薄膜加工によって導体線路5b、接地導体5cを形成する。
【0046】
基台6は挿通孔6aを設けられており、端子4が挿通孔6a内を挿通されて、エア同軸構造となり、端子4が筐体1の凹部1aの底面から突出した部分において、インピーダンスの不整合が発生しにくくなり、高周波信号を良好に伝送させることが可能となる。
【0047】
なお、筐体1は、凹部1aの底面に第3の空間1aaが設けられていると、筐体1の凹部1aの底面に基台6を配置する場合に、位置決めが容易となるとともに所定の位置からのずれを防止することが可能となり、端子4および基台6の挿通孔6aが容易に同軸構造とすることが可能となってインピーダンスがより整合されたものとなり好ましい。
【0048】
基台6は、貫通孔2に連通し直径が0.23〜1.15mmの挿通孔6aを有している。端子4が通る挿通孔6aの直径は、中心に端子4が貫通することで特性インピーダンスが50Ωのエア同軸が形成されるような寸法とする。例えば、端子4の直径が0.2mmの場合であれ
ば、挿通孔6aの直径は0.46mmとすればよい。
【0049】
基台6は、筐体1の凹部1aの底面にAu−Sn合金等の低融点ろう材を介して接合しており、基台6の上面には、回路基板5がAu−Sn合金等の低融点ろう材を介して載置接合している。また、基台6は、筐体1の熱膨張係数と、回路基板5の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を持つFe−Ni合金等の金属から成り、温度変化によって、上面に載置する回路基板5に大きな応力が働いて割れたりすることがないようにするための緩衝材としての中継基台として機能する。すなわち、LN素子の熱膨張係数に合わせた筐体1に、直接、回路基板5を載置すると、筐体1の熱膨張係数と回路基板5の熱膨張係数との差が大きいことによる応力により、回路基板5にクラックが発生することがあるために、筐体1の上面の載置部1bに基台6を載置し、この基台6の上面に回路基板5を載置するという本実施形態の構成としている。
【0050】
基台6は、例えば筐体1がSUS304(熱膨張係数17.3×10−6/℃)で、回路基板5
がアルミナセラミックス(熱膨張係数6.5×10−6/℃)の場合は、筐体1および回路基
板5の中間の熱膨張係数を持つFe−50Ni合金(熱膨張係数9.9×10−6/℃)の金属
材料からなることが好ましい。この場合、基台6が、筐体1および回路基板5の中間の熱膨張係数を持つことで、熱膨張係数の差によって発生する応力が回路基板5に加わることを低減し、回路基板5が割れてしまうことがなくなるので好ましい。なお、基台6は、その材料のインゴットに圧延加工、打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことで形成できる。
【0051】
また、基台6は厚みが1〜2mmであると、回路基板5にクラック等を発生するのを抑制することができ好ましい。厚みが1mm以上であると筐体1と回路基板5の熱膨張係数の差によって発生する応力を緩和することができ、厚みが2mm以下であると電子装置の高さが低いものとすることができ、装置を薄型化されたものとすることができる。伝送する周波数が高くなるにつれ、伝送特性を高めるために回路基板5の厚みを薄くし、導体線路5bを細く形成することが好ましいので、回路基板5を割れ難くするためには基台6は厚みが1.7〜2mmがより好ましい。
【0052】
また、電子部品搭載用パッケージは、基台6の側面の全面を筐体1の凹部1aの側壁に当接されていることが好ましい。この場合、基台6の側面と枠体2の内面との間に空間1dが形成されてないため、そもそも共振が発生せず、共振によるノイズが導体線路5bを伝送する高周波信号に加わることがなく、高周波信号を良好に伝送することが可能となる。
【0053】
また、上述のように、基台6は、その側面を凹部1aの側壁に当接させることが好ましいが、凹部1aの側壁と底面とがなす角部が凹状になっていると、基台6の側面の全面を
凹部1aの側壁に当接させることが困難となり、基台6の側面と凹部1aの側壁との間に空間1dを有することとなる。そうすると、空間1dで共振が発生するおそれがあり、共振によるノイズが導体線路5b中の高周波信号に加わってしまい、高周波信号を良好に伝送することが難しくなるおそれがある。このような場合、基台6の下部の角に切り欠きを形成することで、基台6の側面を凹部1aの側壁に容易に当接させることができる。その結果、基台6の側面と凹部1aの側壁との間の共振の発生を抑制し、高周波信号を良好に伝送することが可能となる。
【0054】
また、基台6の側面と凹部1aの側壁との間に空間1cを有する場合は、空間1cの幅が50μm以上0.1mm以下であることが好ましい。空間1cの幅と共振の強さとの関係は
、空間1cの幅の2乗に反比例して共振の強さは減少するので、空間1cの幅1cW、すなわち基台6の側面と凹部1aの側壁との間の距離が小さく、50μm以上であると共振が起こりにくく、共振によるノイズも小さくなり、導体線路5bを伝わる高周波信号が良好なものとなる。従って、空間1cの幅1cWは50μm以上が好ましく、また空間1cの幅1cWは大きいほど共振が弱くなるので、電気特性的には空間1cの幅1cWは大きいほど好ましいが、電子装置を小型化するために、空間1cの幅1cWは0.1mm以下とする
のが好ましい。
【0055】
蓋体10は、筐体1の上面外周部に半田付け法、シーム溶接法により接合され、電子部品8を電子素子搭載用パッケージの中に気密封止するものである。蓋体10の材料は、Fe−Ni−Co合金等の金属材料、アルミナセラミックス等のセラミックスから成り、筐体1の上面外周部にAu−Sn合金等の低融点ろう材を介して接合したり、シーム溶接等の溶接により接合することで、電子部品8を電子素子搭載用パッケージ内に封止する。
【0056】
本実施形態の電子部品搭載用パッケージは、端子4の上端が回路基板5の導体線路5bとろう材で接続されており、端子4が挿通孔6aの中心をエア同軸でインピーダンスが例えば50Ωとなるように挿通されており、また筐体1の貫通孔2の中心にインピーダンスが50Ωとなるように封止材3で固定されている。そして、端子4の下端をフレキシブル基板7の配線導体7aにろう材で接続し、筐体1の下面をフレキシブル基板7の接地配線導体に端子4を挟むように2箇所をろう材で接続し、コプレナー線路を構成して筐体1の外部においてもインピーダンスが50Ωとなるように形成されている。
【符号の説明】
【0057】
1・・・・・・・筐体
1a・・・・・・凹部
1b・・・・・・切り欠き部
2・・・・・・・貫通孔
3・・・・・・・封止材
4・・・・・・・端子
5・・・・・・・回路基板
5b・・・・・・導体線路
6・・・・・・・基台
7・・・・・・・フレキシブル基板
7a・・・・・・配線導体
7b・・・・・・固定端部
7c・・・・・・先端部
8・・・・・・・電子部品
10・・・・・・・蓋体
図1
図2