(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間層は、Tiが30〜50原子%、Alが0〜10原子%、Cが35〜50原子%、Oが5〜10原子%、Nが4〜20原子%の組成からなる請求項1乃至3のいずれか記載の表面被覆部材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の表面被覆部材の好適例である切削工具の一例について、
図1の概略断面図を基に説明する。
図1の切削工具1は、すくい面2と逃げ面3との交差稜線部が切刃4を構成しているとともに、基体5の表面に、TiCN層6と、中間層7と、Al
2O
3層8とを、基体5側から順に含む被覆層10が形成されている。また、
図1によれば、Al
2O
3層8の表面には表面層12が形成されている。
【0011】
そして、本実施態様によれば、中間層7は、(Ti
aAl
1−a)CNO(0.2≦a≦1)組成からなるとともに、被覆層10の表面から波長514.53nmのHe−Neレーザーを照射して得られるラマンスペクトルにおいて、波数1500〜1700cm
−1(1600cm
−1付近)の範囲内に現れるアモルファスカーボンに帰属されるピーク(PCピーク)(
図2のI
PCと記載したピーク)が存在する。すなわち、中間層7はアモルファスカーボンを含有する。これによって、中間層7の耐衝撃性が向上して、被覆層10にかかる衝撃によっても中間層7が破壊されることなく安定して存在するので、Al
2O
3層8の密着性が向上して層剥離が抑制でき、切削工具1の耐欠損性および耐摩耗性がともに向上する。
【0012】
ここで、アモルファスカーボンが中間層7内に存在するか否かを確認するためには、まず、被覆層10のうちの中間層7の直上の層までを研磨除去してラマンスペクトルを測定し、PCピークの存在を確認する。次に、中間層7までを研磨除去して、再度ラマンスペクトルを測定し、PCピークの消失を確認すればよい。
【0013】
また、本実施態様によれば、前記PCピークと、前記ラマンスペクトルにおいて、波数600〜800cm
−1(700cm
−1付近)の範囲内に現れるTiCNに帰属されるピーク(PT1ピーク)(
図2のI
PT1と記載したピーク)と、のピーク強度をそれぞれI
PC、I
PT1としたとき、その比(I
PC/I
PT1)が0.05〜0.2である。これによって、TiCN層6とAl
2O
3層8との密着性が向上する。本実施態様では、波数1500〜1700cm
−1(1600cm
−1付近)の範囲内に現れるアモルファスカーボンに帰属されるPCピークが観測されるか否かでアモルファスカーボンの存在の有無を判断する。
【0014】
なお、本発明において、ピーク強度I
PC、I
PT1の測定方法は、
図2に示すように、1700cm
−1における強度(測定値)と1500cm
−1における強度(測定値)とを結ぶ線分を0(ゼロ)点基準として、各ピークのピーク強度を算出する。また、1700cm
−1または1500cm
−1にピークが存在する場合には、そのピークを避けてその周辺のピークが存在しない位置をゼロ基準とする。
【0015】
また、本実施態様によれば、前記ラマンスペクトルにおいて、波数400〜500cm
−1(420cm
−1付近)の範囲内に現れるAl
2O
3に帰属されるピーク(PAピーク)(
図2のI
PAと記載したピーク)のピーク強度をI
PAとしたとき、I
PC/I
P
Aが0.03〜0.2であり、波数200〜300cm
−1(250cm
−1付近)の範囲内に現れるTiCNに帰属されるピーク(PT2ピーク)(
図2のI
PT2と記載したピーク)のピーク強度をI
PT2としたとき、I
PC/I
PT2が0.05〜0.2である。これによって、TiCN層6とAl
2O
3層8との密着性がさらに向上する。
【0016】
なお、本実施態様によれば、中間層7は、エネルギー分散型X線分光(EDS)分析において、Tiが30〜50原子%、Alが0〜10原子%、Cが35〜50原子%、Oが5〜10原子%、Nが4〜20原子%の組成からなる。本実施態様によれば、TiはTiCNO結晶として存在し、Alはその結晶内に固溶した状態で存在している。そして、残余のC(炭素)は、非晶質として存在する。本実施態様における中間層7の厚みは0.5〜1μmである。
【0017】
本実施態様によれば、TiCN層6としては、アセトニトリル(CH
3CN)ガスを原料として含み成膜温度が780〜900℃と比較的低温で成膜した柱状結晶からなる、いわゆるMT−TiCN層6a、6bと、成膜温度が950〜1100℃と高温で成膜した、いわゆるHT−TiCN層6cとが順に成膜された積層構成であることが望ましい。さらに、本実施態様では、MT−TiCN層6a、6bは、平均結晶幅が0.5μm未満と微細な微細柱状結晶からなる微細MT−TiCN層6aと、平均結晶幅が0.5〜2μmと比較的大きい粗大柱状結晶からなる粗大MT−TiCN層6bとの積層からなる。これによって、Al
2O
3層8との密着力が高まり、被覆層の剥離やチッピングを抑えることができる。本実施態様ではTiCN層6の厚みは5〜10μmである。また、TiCN層6の下層で基体5の直上には第1層としてTiN層11が設けられている。本実施態様ではTiN層11の厚みは0.1〜1μmである。
【0018】
本実施態様では、Al
2O
3層8はα型結晶構造である。Al
2O
3層8の厚みは1〜10μmである。また、Al
2O
3層8を構成する結晶の平均結晶幅は0.5〜2μmであり、被覆層の厚み方向に長い柱状結晶からなる。
【0019】
なお、各層の厚みおよび各層を構成する結晶の性状は、切削工具1の断面における電子顕微鏡写真(走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過電子顕微鏡(TEM)写真)を観察することにより、測定することが可能である。なお、各層を構成する結晶の平均結晶幅は、各層の厚みの50%の位置にて基体5と平行に10μm以上の長さの直線を引いて、各直線上に存在する粒界の数を求め、直線の長さ/粒界の数として算出する。例えば、TiCN層6のように複数組織の積層構造からなる場合の平均結晶幅は、各組織の境界を特定し、各組織の50%厚みの位置にて基体5と平行に10μm以上の長さの直線を引いて、各直線上に存在する粒界の数を求め、直線の長さ/粒界の数として算出する。また、各結晶の各層の厚み方向の長さ/平均結晶幅の比であるアスペクト比の平均値が1.2以上の場合、被覆層が柱状結晶からなる、アスペクト比の平均値が1.2未満の場合、被覆層が粒状結晶からなると定義する。
【0020】
さらに、Al
2O
3層8の上層に、表面層12としてTiN層、TiC層、TiCNO層、TiCO層、TiNO層の群から選ばれる少なくとも1層(他のTi系被覆層)を形成することによって、切削工具1の摺動性の向上や外観等の調整が可能となる。表面層12としてTiN層やTiCN層を用いた場合には、切削工具1の表面が有色となり、切削工具1を使用したときに表面層12が摩耗して使用済みかどうかの判別がつきやすく、また、摩耗の進行を容易に確認できる。なお、表面層12は、摺動性を高めるためにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層やCrN層を表面層12として形成しても良い。
【0021】
一方、切削工具1の基体5は、炭化タングステン(WC)と、所望により周期表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種と、からなる
硬質相を、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金やTi基サーメット、またはSi
3N
4、Al
2O
3、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)等のセラミックスのいずれかが好適に使用できる。中でも、切削工具として用いる場合には、基体5は、超硬合金またはサーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点で望ましい。また、表面被覆部材の用途によっては、基体5は炭素鋼、高速度鋼、合金鋼等の金属からなるものであっても良い。
【0022】
さらに、上記記載では切削工具1について説明したが、摺動部品や金型等の耐摩部品、掘削工具、刃物等の工具、耐衝撃部品等の各種の用途への応用も可能である。特に、切削工具1を高速切削条件で加工した場合に優れた切削性能を示す。つまり、本発明によれば、Al
2O
3層8が高温になっても、Al
2O
3層8とTiCN層6とが7中間層によって強固に結合しているので、Al
2O
3層8がチッピングしたり欠損したりすることを抑制することができる。もちろん、鋼の切削加工においても、従来の工具に対して優れた被覆層の耐剥離性および耐摩耗性を示すことができる。
【0023】
(製造方法)
また、本実施形態の切削工具1の一例である上述した表面被覆切削工具の製造方法の一実施形態について説明する。
【0024】
まず、上述した硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形する。その後、得られた成形体を真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体5を作製する。そして、上記基体5の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
【0025】
次に、得られた基体5の表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を形成する。まず、基体5の直上に第1層としてTiN層11を形成する。TiN層11の成膜条件としては、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N
2)ガスを10〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を850〜940℃、圧力を8〜50kPaにて成膜される。
【0026】
次に、第2層としてTiCN層6を形成する。ここでは、TiCN層6が、平均結晶幅が小さい微細MT−TiCN層6aと、この層よりも平均結晶幅が大きい粗大MT−TiCN層6bと、HT−TiCN層6cとの3層にて構成する場合の成膜条件について説明する。
【0027】
MT−TiCN層のうちの微細MT−TiCN層6aの成膜条件は、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを0.5〜10体積%、窒素(N
2)ガスを10〜60体積%、アセトニトリル(CH
3CN)ガスを0.1〜0.4体積%の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を780〜900℃、圧力を5〜25kPaとする。MT−TiCN層のうちの粗大MT−TiCN層6bの成膜条件は、微細MT−TiCN層6aの混合ガスの配合比率に対して、アセトニトリル(CH
3CN)ガスを0.4〜2.0体積%の割合に変更して成膜する。
【0028】
HT−TiCN層6cの成膜条件は、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを0.1〜5体積%、メタン(CH
4)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N
2)ガスを0〜30体積%の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜40kPaとして成膜する。
【0029】
そして、中間層7を成膜するには、成膜温度を950〜1100℃、5〜40kPaとし、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを1〜5体積%、メタン(CH
4)ガスを4〜10体積%、窒素(N
2)ガスを10〜30体積%、一酸化炭素(CO)ガスを4〜8体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ内に3〜20分導入して成膜する条件1と、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスを0.5〜5.0体積%、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを1〜5体積%、メタン(CH
4)ガスを4〜10体積%、窒素(N
2)ガスを10〜30体積%、一酸化炭素(CO)ガスを4〜8体積%と残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを流す条件2とを5〜10分間ずつ3回以上繰り返す。これによって、所定の組成でアモルファスカーボンを含有する中間層7が成膜される。この方法によって、中間層7内にアモルファスカーボンが分散するメカニズムは不明であるが、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスが触媒として働いているのではないかと推察される。また、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスのほとんどは、中間層7中に取り込まれず、系外に排出される。
【0030】
続いて、Al
2O
3層8を形成する。本実施態様におけるAl
2O
3層8は、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスを0.5〜5.0体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO
2)ガスを0.5〜5.0体積%、硫化水素(H
2S)ガスを0〜0.5体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を950〜1100℃、圧力を5〜10kPaとして成膜する。
【0031】
さらに、Al
2O
3層8の上層に表面層12を成膜する。例えば、TiN層を成膜する条件は、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N
2)ガスを10〜60体積%の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスをチャンバ内に導入し、成膜温度を960〜1100℃、圧力を10〜85kPaとする。
【0032】
そして、所望により、成膜した被覆層10の表面の少なくとも切刃部を研磨加工する。この研磨加工により、切刃部が平滑に加工され、被削材の溶着を抑制して、さらに耐欠損性に優れた切削工具となる。
【実施例】
【0033】
平均結晶幅1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均結晶幅1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を6質量%の割合で添加、混合して、プレス成形により切削工具形状(CNMA120412)に成形した。得られた成形体について、脱バインダ処理を施し、0.5〜100Paの真空中、1400℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金に対して、ブラシ加工にてすくい面側から刃先処理(すくい面側が0.05mm/逃げ面側が0.05mmのRホーニング)を施した。
【0034】
そして、上記超硬合金をCVD装置内にセットし、以下の順序で被覆層を成膜した。まず、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを2.0体積%、窒素(N
2)ガスを33体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を880℃、ガス圧を16kPaにてTiN層を成膜した。次に、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを2.5体積%、窒素(N
2)ガスを25体積%、アセトニトリル(CH
3CN)ガスを0.1〜0.9体積%(試料No.1〜8に合わせて調整した。試料によっては成膜の途中で混合比率を変更した。)の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を865℃、圧力を9kPaとして、TiCN層のMT−TiCN層を成膜した。その後、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを3.5体積%、メタン(CH
4)ガスを7体積%、窒素(N
2)ガスを25体積%の割合で含み、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用い、成膜温度を1010℃、圧力を20kPaとして、TiCN層のHT−TiCN層を成膜した。
【0035】
そして、表1、2に示す成膜条件にしたがって表2に示す中間層を成膜した。その後、試料No.1〜7については、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスを1.5体積%、塩化水素(HCl)ガスを2.0体積%、二酸化炭素(CO
2)ガスを4.0体積%、硫化水素(H
2S)ガスを0.3体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用いて、成膜温度を1005℃、圧力を9kPaとして、Al
2O
3層8を成膜した。試料No.8については、三塩化アルミニウム(AlCl
3)ガスを2体積%、塩化水素(HCl)ガスを1.5体積%、二酸化炭素(CO
2)ガスを6.0体積%、硫化水素(H
2S)ガスを0.2体積%、アセトニトリル(CH
3CN)ガスを0.3体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用いて、成膜温度を900℃、圧力を5kPaとして、遊離炭素を含む非晶質Al
2O
3層を成膜した。表中、試料No.8にはAl
2O
3*と記載した。
【0036】
そして、Al
2O
3層8の上層に、四塩化チタン(TiCl
4)ガスを3.5体積%、窒素(N
2)ガスを25体積%、残りが水素(H
2)ガスからなる混合ガスを用いて、成膜温度を1010℃、圧力を15kPaとして、表面層を成膜し、表2に示す層構成の被覆層を成膜した。そして、被覆層の表面をすくい面側から30秒間ブラシ加工して表2の切削工具を作製した。なお、HT−TiCN層については、いずれの試料についても、平均結晶幅が1.5μmの粒状結晶からなり、0.5μm厚みで成膜されていた。表2への記載は省略した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
得られた工具について、堀場製作所製レーザーラマン分光装置HR800を用いて、波長5
14.53nmのHe−Neレーザーを照射してラマンスペクトルを得た。得られたスペクトルチャートについて、各ピーク強度を算出した。結果は表3に示した。なお、
図2(a)中のは試料No.3のピークを示し、
図2中の(b)は試料No.6のピークを示す。また、各試料について、中間層の直上まで研磨した場合と中間層まで研磨した場合についてラマンスペクトルを確認し、PCピークは中間層に由来するものであることを確認した。
【0040】
さらに、被覆層の断面について、電界放出型透過電子顕微鏡(日立製H−9000UHR III)を用い、中間層を構成する結晶の平均結晶幅(または平均結晶幅)、厚みを見積もった。また、中間層の組成は、サーモフィッシャーサイエンティフィック製のエネルギー分散型X線分光分析(EDS)装置を用いて測定した。結果は表3に示した。
【0041】
次に、このスローアウェイチップを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に示した。
(連続切削条件)
切削方法:端面加工
被削材 :FCD700
切削速度:300m/分
送り :0.3mm/rev
切り込み:1.5mm
切削状態:湿式
評価項目:クレータ摩耗により切削不能となるまでの切削長
(断続切削条件)
被削材 :クロムモリブデン鋼 4本溝入り鋼材(SCM435)
工具形状:CNMG120412(全周)
切削速度:300m/分
送り速度:0.35mm/rev
切り込み:1.5mm
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:欠損に至る衝撃回数
【0042】
【表3】
【0043】
表1〜3に示される結果から、ラマンスペクトルにおいてPCピークが存在しない中間層を形成した試料No.6〜8では、上記切削試験においては少ない衝撃回数で欠損に至った。試料No.8についてはクレータ摩耗の進行も速かった。
【0044】
これに対し、所定の成膜条件で成膜し、(Ti
aAl
1−a)CNO(0.2≦a≦1)組成でラマンスペクトルにおいてPCピークが存在する中間層を形成した試料No.1〜5では、上記切削試験において良好な耐クレータ摩耗性および耐欠損性を示した。