特許第6039483号(P6039483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039483
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】コネクタの挿抜用ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20161128BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20161128BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A61B5/04 300R
   H01R43/26
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-69868(P2013-69868)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188357(P2014-188357A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 康之
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−151677(JP,A)
【文献】 特開2001−244131(JP,A)
【文献】 実開昭59−161803(JP,U)
【文献】 特許第4444614(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3124153(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0408
H01R 43/26
H01R 13/56 − 13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極の各コネクタを計測器に接続するためのコネクタの挿抜用ホルダであって、
板状に形成された樹脂製の基台部と、
前記基台部の平面部から離れる方向の突出方向に沿って突出し、前記平面部上に所定の間隔を空けて設けられた複数の樹脂製の突起部と、
を備え、
前記複数の突起部の各々は円柱形状であり、前記円柱形状の側面の一部を保持面とし、
前記複数の電極のコネクタの各々が、挿抜ホルダの前後方向に沿って前記基台部から一部が突出した状態で、前記複数の突起部の保持面によって前記コネクタの胴周部の一部分に形成した湾曲形状の窪み部が両側から挟みこまれて前記前後方向に対して位置決めされつつ保持されるように構成されていることを特徴とするコネクタの挿抜用ホルダ。
【請求項2】
前記基台部の平面部には、把持用の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタの挿抜用ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの挿抜用ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、被検者の10箇所に電極を貼り付けて心電図を計測する際、複数の電極のコネクタを心電計に接続する作業を電極毎に行わなければならならず、作業性が低かった。
【0003】
そこで、例えば、下記特許文献1には、リードアダプタを介して心電計と接続される心電計用電極が開示されている。この心電計用電極は、複数の電極とこれらの電極を並列に横並び状態で保持する保持ケースとを備えている。複数の電極の接触子(コネクタ)が保持された状態の保持ケースをリードアダプタに接続することで、複数の電極を一括して心電計に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4444614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された心電計用電極の保持ケースは、一枚の紙製のシートを折り曲げて形成されたものである。この保持ケースは、その底面部と接合部とが両面テープ等によって面接合されることで形成され、各接触子(各コネクタ)の一部を外部に突出した状態で収容する筒状収容部を有している。
【0006】
この筒状収容部に対して各接触子の取付けや取外しの作業を行うためには、各接触子に対応する分割扉片を個別に開閉する作業が必要となり、保持ケースに保持された複数の電極を交換する交換作業の作業性が低いものであった。また、保持ケースは、紙部材で形成されているため、繰り返して使用するための強度が不十分であったり、複数の電極を保持した状態で計測器に一括して複数の電極を挿抜するための強度が不十分であった。
【0007】
本発明の目的は、電極を交換する際の作業性が良く、繰り返して使用することが可能なコネクタの挿抜用ホルダを提供することにある。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタの挿抜用ホルダは、複数の電極の各コネクタを計測器に接続するためのコネクタの挿抜用ホルダであって、板状に形成された樹脂製の基台部と、前記基台部の平面部から離れる方向の突出方向に沿って突出し、前記平面部上に所定の間隔を空けて設けられた複数の樹脂製の突起部と、を備え、前記複数の突起部の各々は、前記コネクタを前記突出方向と交差する交差方向に対して位置決めしつつ保持するための保持面を有し、前記複数の電極のコネクタの各々が、前記交差方向に沿って前記基台部から一部が突出した状態で、前記複数の突起部の保持面によって両側から挟みこまれて保持されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のコネクタの挿抜用ホルダにおいて、前記複数の突起部の各々は円柱形状を有し、前記円柱形状の側面の一部が前記保持面であることが好ましい。
【0010】
また、本発明のコネクタの挿抜用ホルダにおいて、前記基台部の平面部には、把持用の開口部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコネクタの挿抜用ホルダによれば、電極を交換する際の作業性が良く、繰り返して使用することが可能なコネクタの挿抜用ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るコネクタの挿抜用ホルダと、挿抜される電極のコネクタ、およびコネクタが挿抜される計測器を示す図である。
図2】コネクタの挿抜用ホルダと挿抜用ホルダに保持されるコネクタを示す斜視図である。
図3】(a)はコネクタの挿抜用ホルダと挿抜用ホルダに保持されたコネクタを示す平面図であり、(b)は(a)に示す挿抜用ホルダおよびコネクタの部分拡大図である。
図4】(a)はコネクタの挿抜用ホルダによって計測器に挿し込まれるコネクタを示す斜視図であり、(b)はコネクタの挿抜用ホルダによって計測器に挿し込まれたコネクタを示す斜視図である。
図5】コネクタの挿抜用ホルダによってコネクタが挿抜される複数種類の計測器を示す図である。
図6】(a),(b)はそれぞれ本発明に係るコネクタの挿抜用ホルダの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るコネクタの挿抜用ホルダの実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、コネクタの挿抜用ホルダ(以下、挿抜用ホルダともいう)1と、挿抜用ホルダ1によってコネクタが挿抜される心電計(計測器の一例)10と、心電計10に接続される電極20を示す。
【0015】
挿抜用ホルダ1は、複数の電極20の各コネクタを一括して心電計10に接続(挿す)または接続解除(抜く)するためのホルダである。挿抜用ホルダ1は、板状に形成された基台部2と、基台部2から突出するように形成された複数の突起部3(3a〜3l)とを備えている。
【0016】
電極20は、被検者の心電図データを検出するための測定部材である。電極20は、被検者に接触(貼り付け)される電極部21と、心電計10に接続されるコネクタ22と、電極部21とコネクタ22とを接続するリード線23とを備えている。図1では、心電計10に接続される20a〜20jまでの10個の電極を示している。
【0017】
心電計10は、電極20で測定された心電図データを記録および波形表示するための計測機器である。心電計10は、心電図データが記録および表示される心電計本体11と、コネクタ22が抜き挿しされる中継アダプタ12と、心電計本体11と中継アダプタ12とを接続する接続線13とを備えている。
【0018】
図2は、挿抜用ホルダ1と挿抜用ホルダ1に取り付けられる電極20a(コネクタ22a,リード線23a)を示す。以下の説明において、図2に示す矢印Fの方向を挿抜用ホルダ1の前方向、矢印Bの方向を後方向、矢印Uの方向を上方向、矢印Dの方向を下方向とする。
【0019】
挿抜用ホルダ1の基台部2は、矩形状の平板によって形成されている。基台部2は剛性を有する樹脂製の部材により構成されている。基台部2の平面部4上には挿抜用ホルダ1の上方向に突出した複数(12本)の突起部3a〜3lが設けられている。このように、基台部2の平面部4上には平面部4から離れる方向に突出した複数(12本)の突起部3a〜3lが設けられている。
【0020】
突起部3a〜3lは、剛性を有する樹脂部材によって形成されている。突起部3a〜3lは、平面部4から離れる方向(突出方向)へ略垂直に伸び、それぞれの突起部3a,3b,・・・3lが予め定められた所定の間隔を空けて設けられている。突起部3a〜3lは、平面部4の前側に左右方向へ横一列になるように設けられている。突起部3a〜3lは、基台部2の前面2Fから予め定められた所定の距離Lの位置に設けられている。所定の距離Lについては図3を参照して後述する。
【0021】
各突起部3a,3b,・・・3lの間の間隔は、電極20のコネクタ22を取り付けることが可能な程度の幅に設定されている。図2には、突起部3aと3bの間に取り付けられる電極20aが示されている。電極20aのコネクタ22aは、突起部3aと3bの上方から下方に向けて、突起部3aと3bの突出方向に沿って(図2に示す一点鎖線24の方向に沿って)突起部3aと3bの間に嵌入され平面部4に当接した状態で取り付けられる。また、突起部3aと3bの間に取り付けられたコネクタ22aは、突起部3aと3bの突出方向に沿って(図2に示す一点鎖線24の方向に沿って)上方へ取り外される。コネクタ22aは、挿込口25が挿抜用ホルダ1の前方を向くように取り付けられる。
【0022】
なお、図示は省略されているが、その他の突起部間、例えば、突起部3bと3c間、突起部3cと3d間、突起部3fと3g間等に対しても、同様に各突起部の突出方向に沿ってコネクタが取り付けおよび取り外しされる。
【0023】
突起部3a〜3lは、例えば、円柱形状を有しており、それぞれの円柱側面6a〜6lは各突起部間に取り付けられたコネクタを保持する保持面が形成されている。突起部3a〜3lは、保持面6a〜6lによってコネクタを保持するとともに突起部3a〜3lの突出方向と交差する挿抜用ホルダ1の前後方向(交差方向の一例)に対してコネクタの位置決めを行う。保持および位置決めについては図を参照して後述する。
【0024】
また、平面部4の後方中央部には開口部5が形成されている。開口部5は、挿抜用ホルダ1に取り付けたコネクタ22を心電計10(中継アダプタ12)に挿抜する際に操作者によって把持される把持用の開口である。本例の開口部5は、円形状に形成されている。
【0025】
図3(a)は、コネクタ22a〜22jが取り付けられた状態の挿抜用ホルダ1を示す。図に示すように、挿抜用ホルダ1の突起部3aと3bの間には電極20aのコネクタ22aが取り付けられている。同様に、突起部3bと3cの間には電極20bのコネクタ22bが、突起部3cと3dの間にはコネクタ22cが、突起部3dと3eの間にはコネクタ22dが取り付けられている。また、突起部3fと3gの間には電極20eのコネクタ22eが、突起部3gと3hの間にはコネクタ22fが、突起部3hと3iの間にはコネクタ22gが、突起部3iと3jの間にはコネクタ22hが、突起部3jと3kの間にはコネクタ22iが、突起部3kと3lの間にはコネクタ22jが取り付けられている。コネクタ22a〜22jは、心電計10で測定される生体情報に対応して四肢誘導用の4本(コネクタ22a〜22d)と胸部誘導用の6本(22e〜22j)に分かれて配置されている。挿抜用ホルダ1は、合計10本のコネクタが取り付けられる構成になっている。
【0026】
コネクタ22a〜22jの各々は、基台部2の平面部4上に挿抜用ホルダ1の前後方向に沿うように取り付けられる。また、コネクタ22a〜22jは、挿込口25側の一部が基台部2の前面2Fよりも前に突出した状態で取り付けられる。さらに、コネクタ22a〜22jは、突出した端部の前面が二点鎖線31で示されるように略横一列となる位置に取り付けられる。コネクタ22a〜22jの突出した端部は、心電計10の中継アダプタ12に挿し込まれる部分となる。
【0027】
突起部3a〜3lは、隣り合う突起部間の距離(突起部の向かい合う保持面間の距離)W1が、その突起部間にそれぞれ取り付けられるコネクタ22a,22b,・・・22jの胴部幅W2よりも僅かに小さくなるように平面部4上に設けられている。突起部3a〜3lは、各突起部間に取り付けられたコネクタ22a,22b,・・・22jの胴部を保持面6aと6b,6bと6c,・・・6kと6lによって両側から挟みこむように保持する。
【0028】
図3(b)は、図3(a)における突起部3a〜3lに保持されたコネクタ22a〜22jの部分拡大図を示す。図に示されるように、コネクタ22aは胴部に窪み部26aを有している。同様に、コネクタ22bは胴部に窪み部26bを有し、コネクタ22cは窪み部26cを、コネクタ22dは窪み部26dを有している。
【0029】
各窪み部26a〜26dは、例えば、コネクタ胴周部の一部分に形成されており、図に示すように平面視において胴部幅が徐々に変化する湾曲形状を有している。コネクタ22a,22b,22cは、この窪み部26a,26b,26cが突起部3aと3b間,3bと3c間,3cと3d間にそれぞれ嵌入するように取り付けられる。この場合、隣り合う突起部間の距離W1は、コネクタ22a〜22cの窪み部の胴部幅W2よりも僅かに小さくなるように設けられている。
【0030】
突起部3aと3b間,3bと3c間,3cと3d間に取り付けられたコネクタ22a,22b,22cは、その窪み部26a,26b,26cがそれぞれ突起部の保持面6aと6b,6bと6c,6cと6dによって両側から挟みこむように保持される。各突起部3a,3b,3c,3dは、保持したコネクタ22a,22b,22cの端部(中継アダプタ12に挿し込まれる分だけ)を基台部2の前面2Fよりも前に突出して配置させ、さらにその突出した端部の前面を二点鎖線31(図3(a)参照)で示されるように略横一列に揃える位置(基台部2の前面2Fから所定の距離の位置)に形成されている。
【0031】
図4は、挿抜用ホルダ1によって心電計10の中継アダプタ12に挿抜される複数のコネクタ22a〜22jを示す。図4(a)はコネクタ22a〜22jが挿し込まれていない状態を示し、図4(b)はコネクタ22a〜22jが挿し込まれた状態を示す。
【0032】
図4(a)に示されるように、挿抜用ホルダ1に取り付けられたコネクタ22a〜22jは、中継アダプタ12のコネクタ挿込口14a〜14jの配列(コネクタ挿込口14a〜14dと14e〜14j)に対応して、コネクタ22a〜22dの4本とコネクタ22e〜22jの6本に分けて配置されている。また、コネクタ22a〜22jにおける隣り合うコネクタ間のピッチも中継アダプタ12のコネクタ挿込口14a〜14jのピッチに対応して設けられている。
【0033】
突起部間3a−3b,3b−3c,・・・3k−3lに取り付けられた各コネクタ22a,22b,・・・22jは、コネクタの胴部幅よりも僅かに狭い突起部間距離で形成された突起部3aと3b,3bと3c,・・・3kと3lによって両側から挟み込まれている。これによりコネクタ22a,22b,・・・22jは突出方向へ容易に抜け落ちないように保持される。また、各コネクタ22a,22b,・・・22jは、胴部に形成された窪み部26a,26b,・・・26jが突起部3aと3b,3bと3c,・・・3kと3lによって両側から挟み込まれている。このためコネクタ22a,22b,・・・22jは前後方向へ移動しないように突起部によって確実に保持される。
【0034】
また、突起部3a〜3lによって挟み込まれたコネクタ22a〜22jは、コネクタ22a〜22jの端部が基台部2の前面2Fよりも前に突出して保持されており、この突出した端部がそれぞれ中継アダプタ12のコネクタ挿込口14a〜14jに挿し込まれる。このとき突出した端部はその前面が略横一列に揃うように保持されているので、複数のコネクタ22a〜22jであっても同時に一括して確実にコネクタ挿込口14a〜14jに挿し込まれる。
【0035】
図4(b)に示されるように、挿抜用ホルダ1は、開口部5を把持されて中継アダプタ12に対するコネクタ22a〜22jの挿し込みが行われる。コネクタ22a〜22jの挿し込み時には、中継アダプタ12に対して挿抜用ホルダ1を前方向に押し込む。基台部2の前面2Fよりも前に突出したコネクタ22a,22b,・・・22jの部分が中継アダプタ12のコネクタ挿込口14a,14b,・・・14jにそれぞれ押し込まれて行き、基台部2の前面2Fが中継アダプタ12の前面に当接してコネクタ22a,22b,・・・22jの挿し込み接続が完了する。
【0036】
なお、中継アダプタ12からコネクタ22a〜22jを抜き外しする場合にも開口部5が把持される。把持した挿抜用ホルダ1を後方向へ真っ直ぐに引き抜くことにより、中継アダプタ12から挿抜用ホルダ1が外される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の挿抜用ホルダ1によれば、突起部3a〜3lの突出方向に沿って電極20a〜20jのコネクタ22a〜22jを差し込むという簡単な動作で、電極20a〜20jを挿抜用ホルダ1に取り付けることができる。また、取り外す作業も同様に、突起部3a〜3lの突出方向に沿って電極20a〜20jのコネクタ22a〜22jを引き抜くという簡単な動作で、電極20a〜20jを挿抜用ホルダ1から取り外すことができる。
【0038】
また、挿抜用ホルダ1を構成する基台部2や突起部3a〜3lは、樹脂材料で形成されているため、計測器10に対するコネクタ22a〜22jの挿抜作業や挿抜用ホルダ1に対するコネクタ22a〜22jの取付けおよび取外し作業を繰り返し行っても十分な強度(剛性)を維持することができる。また、隣り合う突起部(3aと3b,3bと3c等)の間隔W1はコネクタの胴部幅W2よりも僅かに狭く形成されているので、各突起部3a、3b、・・・3lは突起部間に嵌入されて取り付けられたコネクタ22a,22b,・・・22jを突起部の弾性力によって両側から挟み込み確実に保持することができる。
【0039】
また、挿抜用ホルダ1に取り付けられた複数の電極20a〜20jのコネクタ22a〜22jの各々は、隣接する突起部の各保持面6a,6b,・・・6lによって両側から挟まれ、各コネクタの一部が基台部2から突出した状態で保持される。この保持状態において、各コネクタ22a,22b,・・・22jは突起部の突出方向と交差する前後方向に対して位置決めされている。このため、複数の電極20a〜20jが取り付けられた挿抜用ホルダ1を前後方向に沿って計測器10のコネクタ挿込口14a〜14jに挿し込むことで、複数の電極20a〜20jを一括して計測器に接続することができる。また、抜き出す作業も同様に、挿抜用ホルダ1を前後方向に沿って引っ張り出すことで、複数の電極20a〜20jを一括して計測器10から抜き外すことができる。
【0040】
また、挿抜用ホルダ1を構成する突起部3a〜3lは各々が単純な円柱形状に形成されているので、挿抜用ホルダ1の製造が容易であり、コスト面でも安価にすることができる。
【0041】
また、基台部2は樹脂材料で形成されており十分な強度(剛性)を有するため、基台部2に把持用の開口部5を形成してもなお十分な強度を維持することができる。医療従事者等は把持用の開口部5に指を入れつつ基台部を把持することで、力を込めた状態で基台部を把持し易くなるため、複数の電極20a〜20jを一括して計測器10に挿し込む作業や一括して抜き外す作業の作業効率が向上する。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
図5は、共通の挿抜用ホルダ1を用いて複数のコネクタ22a〜22jを挿抜することが可能な異なる種類の計測器10,10A,10Bを示す。
計測器10(上述した心電計)はφ3ジャックコネクタを入力端子として備えている。また、計測器10AはDINコネクタを入力端子として備えるポリグラフであり、計測器10Bは同じくDINコネクタを入力端子として備えるモニタである。
【0044】
計測器10は中継アダプタ12を備え、計測器10Aは中継アダプタ12Aを備え、計測器10Bは中継アダプタ12Bを備えている。各中継アダプタ12,12A,12Bは共通のコネクタ挿込口14a〜14jを有している。このように異なる種類の入力端子(φ3ジャックコネクタ、DINコネクタ)を中継アダプタ12,12A,12Bによって共通のコネクタ挿込口14a〜14jに変換することにより、同一の挿抜用ホルダ1を用いて挿抜用ホルダ1に取り付けられた複数のコネクタ22a〜22jを異なる種類の計測器(心電計,ポリグラフ,モニタ等)に挿抜することができる。
【0045】
これにより、被検者は異なる種類の計測器によって生体情報を測定する場合でも、貼り付けられた電極を測定毎に取り外すことなく貼付したまま挿抜用ホルダ1に取り付けられた状態のコネクタ22a〜22jを持って各計測器が設置されている検査室、病棟等を移動し、挿抜用ホルダ1で一括してコネクタ22a〜22jを各計測器に挿抜するだけで良い。
【0046】
図6(a)は、挿抜用ホルダ1の第1の変形例(挿抜用ホルダ1A)と第2の変形例(挿抜用ホルダ1B)を示す。
【0047】
挿抜用ホルダ1Aは、4本のコネクタ22a’〜22d’を一括して挿抜することができる形態のホルダである。基台部2Aの平面部4A上には5本の突起部3a’〜3e’が設けられており、突起部3a’と3b’間にはコネクタ22a’が、突起部3b’と3c’間にはコネクタ22b’が、3c’と3d’間にはコネクタ22c’が、3d’と3e’間にはコネクタ22d’が取り付けられている。
【0048】
挿抜用ホルダ1Bは、6本のコネクタ22e’〜22j’を一括して挿抜することができる形態のホルダである。基台部2Bの平面部4B上には7本の突起部3f’〜3l’が設けられており、突起部3f’と3g’間にはコネクタ22e’が、突起部3g’と3h’間にはコネクタ22f’が、3h’と3i’間にはコネクタ22g’が、3i’と3j’間にはコネクタ22h’が、3j’と3k’間にはコネクタ22i’が、3k’と3l’間にはコネクタ22j’が取り付けられている。
【0049】
図6(b)は、挿抜用ホルダ1の第3の変形例(挿抜用ホルダ1C)と第4の変形例(挿抜用ホルダ1D)を示す。
【0050】
挿抜用ホルダ1Cは、図6(a)に示す挿抜用ホルダ1Aにおいて4本のコネクタ22a’〜22d’をコネクタホルダ27によって連結した形態のホルダである。コネクタホルダ27は、例えば、薄い帯状の樹脂部材によって構成されており、コネクタの窪み部分以外の位置で隣接するコネクタを連結している。
【0051】
挿抜用ホルダ1Dは、図6(a)に示す挿抜用ホルダ1Bにおいて6本のコネクタ22f’〜22j’をコネクタホルダ28によって連結した形態のホルダである。コネクタホルダ28もコネクタホルダ27と同様に樹脂部材によって構成され、窪み部分以外の位置でコネクタを連結している。
【0052】
以上のような変形例の挿抜用ホルダ1A,1B,1C,1Dの場合にも、挿抜用ホルダ1と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、挿抜用ホルダ1C,1Dの場合には、隣接するコネクタが予めコネクタホルダ27、28によって連結されている。このため各コネクタを各突起部間に一括して差し込むことができる。また、コネクタが窪み部分以外の位置でコネクタホルダ27、28によって連結されているので、コネクタを各突起部間に差し込んだときに各突起部とコネクタホルダによって各コネクタをガタツキ無く確実に保持することができ、複数の電極コネクタを一括してより容易に挿抜することができる。
【符号の説明】
【0053】
1(1A〜1D):コネクタの挿抜用ホルダ(挿抜用ホルダ)、2:基台部、3(3a〜3l):突起部、4:平面部、5:開口部、6a〜6l:保持面、10:心電計(計測器の一例)、12:中継アダプタ、20(20a〜20j):電極、21:電極部、22(22a〜22j):コネクタ、25:挿込口、26a〜26d:窪み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6