特許第6039487号(P6039487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039487
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20161128BHJP
   H01R 12/61 20110101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01R12/77
   H01R12/61
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-79792(P2013-79792)
(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公開番号】特開2014-203714(P2014-203714A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 好裕
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 啓二
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−349127(JP,A)
【文献】 特公平04−079112(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
H01R 12/61
H01R 4/24
H01R 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線の周囲が絶縁体によって覆われ、その外側がシールド部材によって覆われ、更にその外側が電線被覆によって覆われたシールド付フラットケーブルに接続されるコネクタであって、
前側から相手方コネクタが嵌合されるコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後端面から圧接刃が露出するように前記コネクタハウジングに収容される端子と、
前記コネクタハウジングの後端面に装着され、アース回路に接続されるバスバーと、
前記シールド部材を露出させる端末処理が予め施された前記シールド付フラットケーブルの端末処理部、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように後側から該コネクタハウジングに装着され、装着時の後側から前側への押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記端末処理によって露出したシールド部材を前記バスバーに接触させるカバーと、
を備え、
前記カバーに、前記シールド付フラットケーブルを保持固定するケーブル固定部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーに、前記ケーブル固定部として、前記カバーが前記コネクタハウジングに装着された際に、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド付フラットケーブルの電線被覆の付いた部分を挟持固定するケーブル挟持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記カバーに、前記ケーブル固定部として、前記カバーが前記コネクタハウジングに装着された際に、前記端末処理によって露出したシールド部材を前記バスバーに押圧接触させると同時に該バスバーとの間に前記シールド付フラットケーブルを挟持固定するケーブル挟持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
信号線の周囲が絶縁体によって覆われ、その外側がシールド部材によって覆われ、更にその外側が電線被覆によって覆われたシールド付フラットケーブルに接続されるコネクタであって、
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後端面から圧接刃が露出するように前記コネクタハウジングに収容される端子と、
前記コネクタハウジングの後端面に装着され、アース回路に接続されるバスバーと、
前記シールド付フラットケーブル、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように該コネクタハウジングに装着され、装着時の押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記シールド付フラットケーブルから露出したシールド部材を前記バスバーに接触させるカバーと、
を備え、
前記カバーに、前記シールド付フラットケーブルを保持固定するケーブル固定部が設けられ、
前記カバーは、
前記シールド付フラットケーブル、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように該コネクタハウジングに装着され、装着時の押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記シールド付フラットケーブルから露出したシールド部材を前記バスバーに接触させる第1のカバー体と、
前記第1のカバー体に装着される第2のカバー体と、
を有し、
前記第1のカバー体と第2のカバー体との間に、前記ケーブル固定部として、該第2のカバー体を前記第1のカバー体に装着した際に、前記第1のカバー体と前記第2のカバー体との間に前記シールド付フラットケーブルの電線被覆の付いた部分を挟持固定するケーブル挟持部が設けられていることを特徴とするネクタ。
【請求項5】
前記カバーに、前記第1のカバー体と前記第2のカバー体とを連結するヒンジ部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号線の周囲を絶縁体で被覆し、その外側をシールド部材で覆ったシールド付フラットケーブルに接続されるコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
信号線の周囲を絶縁体で被覆し、その外側をシールド部材で覆ったシールド付フラットケーブルが知られている(特許文献1参照)。この種のシールド付フラットケーブルの端末にコネクタを取り付ける場合、シールド付フラットケーブルの信号線にコネクタの信号用端子を接続し、シールド部材にコネクタ側のGND用部材(例えば、GND端子やシールドシェル等のアース接続される部材)を接続する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−4464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、シールド付フラットケーブルのシールド部材をコネクタ側のGND用部材であるシールドシェルに接続する場合は、シールド付フラットケーブルの信号線とコネクタの信号用端子を接続するのとは別に、シールド部材をシールドシェルに接続する必要があるので、接続に多くの工数を要するという課題があった。また例えば、シールド付フラットケーブルのシールド部材をコネクタ側のGND端子に接続する場合は、特許文献1に記載のように、予め、シールド付フラットケーブルの導体の1つをドレイン線(GND線)として確保し、そのドレイン線にシールド部材を導通させておく必要があり、構成が複雑化するという課題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールド付フラットケーブルの信号線の接続とシールド部材の接続を簡単に行うことのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 信号線の周囲が絶縁体によって覆われ、その外側がシールド部材によって覆われ、更にその外側が電線被覆によって覆われたシールド付フラットケーブルに接続されるコネクタであって、
前側から相手方コネクタが嵌合されるコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後端面から圧接刃が露出するように前記コネクタハウジングに収容される端子と、
前記コネクタハウジングの後端面に装着され、アース回路に接続されるバスバーと、
前記シールド部材を露出させる端末処理が予め施された前記シールド付フラットケーブルの端末処理部、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように後側から該コネクタハウジングに装着され、装着時の後側から前側への押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記端末処理によって露出したシールド部材を前記バスバーに接触させるカバーと、
を備え、
前記カバーに、前記シールド付フラットケーブルを保持固定するケーブル固定部が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、
前記カバーに、前記ケーブル固定部として、前記カバーが前記コネクタハウジングに装着された際に、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド付フラットケーブルの電線被覆の付いた部分を挟持固定するケーブル挟持部が設けられていること。
(3) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、
前記カバーに、前記ケーブル固定部として、前記カバーが前記コネクタハウジングに装着された際に、前記端末処理によって露出したシールド部材を前記バスバーに押圧接触させると同時に該バスバーとの間に前記シールド付フラットケーブルを挟持固定するケーブル挟持部が設けられていること。
(4) 信号線の周囲が絶縁体によって覆われ、その外側がシールド部材によって覆われ、更にその外側が電線被覆によって覆われたシールド付フラットケーブルに接続されるコネクタであって、
コネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後端面から圧接刃が露出するように前記コネクタハウジングに収容される端子と、
前記コネクタハウジングの後端面に装着され、アース回路に接続されるバスバーと、
前記シールド付フラットケーブル、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように該コネクタハウジングに装着され、装着時の押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記シールド付フラットケーブルから露出したシールド部材を前記バスバーに接触させるカバーと、
を備え、
前記カバーに、前記シールド付フラットケーブルを保持固定するケーブル固定部が設けられ、
前記カバーは、
前記シールド付フラットケーブル、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うように該コネクタハウジングに装着され、装着時の押圧力により、前記シールド付フラットケーブルの信号線を前記絶縁体を貫通する前記圧接刃に圧接させ、前記シールド付フラットケーブルから露出したシールド部材を前記バスバーに接触させる第1のカバー体と、
前記第1のカバー体に装着される第2のカバー体と、
を有し、
前記第1のカバー体と第2のカバー体との間に、前記ケーブル固定部として、該第2のカバー体を前記第1のカバー体に装着した際に、前記第1のカバー体と前記第2のカバー体との間に前記シールド付フラットケーブルの電線被覆の付いた部分を挟持固定するケーブル挟持部が設けられていること。
(5) 上記(4)の構成のコネクタにおいて、
前記カバーに、前記第1のカバー体と前記第2のカバー体とを連結するヒンジ部が設けられていること。
【0007】
上記(1)の構成のコネクタによれば、コネクタハウジングにカバーを装着するという一つの作業を行うだけで、端子と信号線の接続、バスバーとシールド部材の接続を同時に一括して行うことができる。従って、コネクタとシールド付フラットケーブルの接続作業の工数を大幅に減らすことができる。また、シールド部材は、カバー装着時に、コネクタハウジングの後端面に装着したバスバープレート(GND用部材に相当)に接触するので、カバーの装着前にシールド付フラットケーブルのシールド部材を露出させておくだけでよく、構成を単純化することができる。また、シールド部材をバスバーに接触させる部分でシールド付フラットケーブルに固定力を及ぼすことが可能である上、その部分とは別に、カバーに設けたケーブル固定部によってシールド付フラットケーブルを保持固定することができるので、フラットケーブルと端子の圧接接続部分に外力が及ぶのを極力防ぐことができる。
上記(2)の構成のコネクタによれば、カバーをコネクタハウジングに装着した際に、カバーに設けられたケーブル挟持部が、シールド付フラットケーブルの電線被覆の付いた部分をコネクタハウジングとの間に挟持固定するので、カバーの装着と同時にシールド付フラットケーブルを強固に保持固定することができる。従って、圧接部分に無用な外力が及ぶのを防ぐことができる。
上記(3)の構成のコネクタによれば、シールド部材をバスバーに押圧接触させる部分がケーブル挟持部となっているので、カバーをコネクタハウジングに装着することにより、シールド部材をバスバーに押圧接触させると同時にシールド付フラットケーブルをカバーとバスバーとの間に挟持固定することができる。従って、圧接部分に無用な外力が及ぶのを防ぐことができる。
上記(4)の構成のコネクタによれば、第1のカバー体をコネクタハウジングに装着することによって、端子と信号線の接続、バスバーとシールド部材の接続を同時に一括して行うことができる。また、その上で、第1のカバー体に第2のカバー体を装着することで、ケーブル挟持部によってシールド付フラットケーブルを挟持固定することができるので、圧接部分に無用な外力が及ぶのを防ぐことができる。
上記(5)の構成のコネクタによれば、第1のカバー体と第2のカバー体をヒンジ部を介して連結したので、第1のカバーと第2のカバーを1部品として成形することができ、1部品として取り扱うことができる。
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタとシールド付フラットケーブルの接続構造は、下記(6)を特徴としている。
(6) 上記(1)のコネクタをシールド付フラットケーブルに接続したコネクタとシールド付フラットケーブルの接続構造であって、
前記シールド付フラットケーブルの電線被覆を、該シールド付フラットケーブルの厚み方向において前記バスバーとシールド部材を接触させる側の半体だけ切除して、その反対側の半体を前記圧接刃が圧接する位置まで残しておき、しかも、前記圧接刃が圧接する位置のシールド部材は除去し、前記バスバーと接触させる部分で前記シールド部材を露出させ、
前記シールド付フラットケーブル、前記端子の圧接刃、及び前記バスバーを前記コネクタハウジングの後端面との間に介在させた状態で、前記コネクタハウジングの後端面を覆うようにコネクタハウジングにカバーを装着し、装着時の押圧力により、前記圧接刃を前記シールド付フラットケーブルの絶縁体及び電線被覆の半体を貫通させて信号線に圧接接続し、且つ、前記シールド付フラットケーブルから露出したシールド部材を前記バスバーに接触させ、その状態で、前記カバーに設けたケーブル固定部により、前記シールド付フラットケーブルを保持固定したこと。
【0009】
上記(6)の構成のコネクタとシールド付フラットケーブルの接続構造によれば、上記(1)の構成のコネクタを使用するので、同コネクタの作用効果を得ることができる。また特に、圧接刃が信号線に圧接する部分に電線被覆の半体を残しているので、圧接刃が絶縁体及び電線被覆に同時に突き刺さることになり、圧接刃とシールド付フラットケーブルの結合が強固になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクタハウジングにカバーを装着するという一つの作業を行うだけで、端子と信号線の接続、バスバーとシールド部材の接続を同時に一括して行うことができる。従って、コネクタとシールド付フラットケーブルの接続作業の工数を大幅に減らして、組立効率のアップを図ることができる。また、バスバーであるGND用部材との接続のためにシールド部材を露出させておくだけでよいので、アース接続のための構成が複雑化しない。また、カバーに設けたケーブル固定部によってシールド付フラットケーブルを保持固定することができるので、圧接部分に外力が及ぶのを防止することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態のコネクタを含むコネクタ装置の分解斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態のコネクタのコネクタハウジングにバスバーと端子を組み付けた状態を背面から見て示す斜視図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態のコネクタの構成部品であるカバーの斜視図である。
図4図4(a)から図4(c)は、本発明の第1実施形態のコネクタで使用するシールド付フラットケーブルの端末処理部の構成を示す斜視図で、図4(a)は外観図、図4(b)はその一部拡大図、図4(c)は上方から見た図である。
図5図5は、図2で示した本発明の第1実施形態のコネクタのコネクタハウジングの後端面にカバーを装着してコネクタを完成させた状態を示す断面図である。
図6図6は、図5のVI部の拡大図である。
図7図7は、端子の後端の圧接刃が、電線被覆及びシールド部材を除去して露出させたフラットケーブル本体に圧接接続している状態を示す部分拡大図で、圧接刃が絶縁体を突き抜けて信号線である導体に接触している状態を示す図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態のコネクタを接続相手側の基板側コネクタに接続した状態を示す外観斜視図である。
図9図9は、図8の状態を示す縦断面図である
図10図10は、本発明の第2実施形態のコネクタを含むコネクタ装置の分解斜視図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態のコネクタのコネクタハウジングにバスバーと端子を組み付けた状態を背面から見て示す斜視図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態のコネクタの構成部品であるカバーの斜視図である。
図13図13(a)から図13(c)は、本発明の第2実施形態のコネクタで使用するシールド付フラットケーブルの端末処理部の構成を示す斜視図で、図13(a)は外観図、図13(b)はその一部拡大図、図13(c)は上方から見た図である。
図14図14は、図11で示した第2実施形態のコネクタのコネクタハウジングの後端面にカバーを装着してコネクタを完成させた状態を示す断面図である。
図15図15は、図14のXV部の拡大図である。
図16図16は、本発明の第2実施形態のコネクタを接続相手側の基板側コネクタに接続した状態を示す外観斜視図である。
図17図17は、図16の状態を示す縦断面図である。
図18図18(a)及び図18(b)は、本発明の第1実施形態または第2実施形態のコネクタで使用するシールド付フラットケーブルの端末処理部の他の構成例を示す図で、電線被覆Wcを半周皮むきして半体だけ残す場合を示しており、図18(a)は皮むきする前の状態の側面図及び断面図、図18(b)は皮むきした状態を示す側面図及び各部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1図9は第1実施形態の説明図で、図1は第1実施形態のコネクタを含むコネクタ装置の分解斜視図、図2は第1実施形態のコネクタハウジングにバスバーと端子を組み付けた状態を背面から見て示す斜視図、図3はコネクタの構成部品であるカバーの斜視図、図4(a)から図4(c)はコネクタで使用するシールド付フラットケーブルの端末処理部の構成を示す斜視図で、図4(a)は外観図、図4(b)はその一部拡大図、図4(c)は上方から見た図、図5図2で示したコネクタハウジングの後端面にカバーを装着してコネクタを完成させた状態を示す断面図、図6図5のVI部の拡大図、図7は前記端子の後端の圧接刃が、電線被覆及びシールド部材を除去して露出させたフラットケーブル本体に圧接接続している状態を示す部分拡大図で、圧接刃が絶縁体を突き抜けて信号導体(信号線)に接触している状態を示す図、図8は第1実施形態のコネクタを接続相手側の基板側コネクタに接続した状態を示す外観斜視図、図9図8の状態を示す縦断面図である。
【0014】
図1に示すコネクタ装置は、互いに嵌合する基板側コネクタ(レセプタクル)1と第1実施形態のケーブル側コネクタ2とから成る。基板側コネクタ1は回路基板3に固定されるもの、ケーブル側コネクタ2はシールド付フラットケーブルWの端末に取り付けられるものであり、このコネクタ装置を用いることで、シールド付フラットケーブルWを回路基板3に電気接続することができる。
【0015】
基板側コネクタ1は、樹脂製のオスハウジング10と、オスハウジング10に圧入される複数のオス端子18と、オスハウジング10を回路基板3に固定するためにオスハウジング10に圧入固定される一対の金属板製のペグ20とから成る。ペグ20は、図9に示すように、回路基板3のペグ用スルーホール5に挿入されて半田付けにより固定されることで、基板側コネクタ1を回路基板3に固定すると同時に回路基板3のアース回路に接続されるものである。
【0016】
オスハウジング10は、ケーブル側コネクタ2のメスハウジング50が嵌合される嵌合穴11a(図9参照)を備えたハウジング本体部11と、その後端(下端)側に一体化された左右一対の固定ブロック部12とを有し、オス端子18は、ハウジング本体部11に圧入されることで、一端側が嵌合穴11a内に突出し、他端側が固定ブロック部12の後端(下端)よりも後側(下側)に突出している(図示省略)。また、図1に示すように、ハウジング本体部11の外側面には、ケーブル側コネクタ2のメスハウジング50と嵌合した際に、メスハウジング50のロックアーム56とロックするロック突起16が設けられている。
【0017】
ここで、前側(上側)とは、相手側コネクタであるケーブル側コネクタ2と嵌合する側であり、回路基板3に固定するときに上側となる側と定義する。また、後側(下側)とは、相手側コネクタであるケーブル側コネクタ2と嵌合する際に嵌合側と反対側であり、回路基板3に固定するときに下側となる側と定義する。
【0018】
左右の固定ブロック部12の外側面には、前後方向(上下方向)に延びるペグ取付スロット13が形成され、このペグ取付スロット13に、前側(上側)から後側(下側)に向けてペグ20が先端側から圧入されている。
【0019】
ペグ20の先端側は、図9に示すように、回路基板3のペグ用スルーホール5に挿入される部分である。ペグ20の基端側は、圧入後にペグ取付スロット13に入らずに外側(上側)に残る部分であり、この基端側の外側面が、基板側コネクタ1とケーブル側コネクタ2とを嵌合したときに、ケーブル側コネクタ2に設けられたアース用のバスバープレート(バスバー)70が接触導通する部分となっている。
【0020】
一方、第1実施形態のコネクタとしてのケーブル側コネクタ2は、図1に示すように、樹脂製のメスハウジング(コネクタハウジング)50と、メスハウジング50の端子挿入孔54に挿入される多数のメス端子60と、メスハウジング50の後部に装着されるバスバープレート(バスバー)70と、バスバープレート70の後側からメスハウジング50の後部に装着されるカバー(ストレインリリーフとも呼ばれる)80とから成る。なお、このケーブル側コネクタ2の以下の説明においては、前側は基板側コネクタ1と嵌合する側、後側はその反対側と定義する。
【0021】
メスハウジング50は、図1及び図2に示すように、基板側コネクタ1のハウジング本体部11の嵌合穴11aの内部に嵌まる嵌合ブロック部51と、その外周に、オスハウジング10のハウジング本体部11の周壁が挿入される挿入溝52を介して設けられた外装フード部53とを有するものである。嵌合ブロック部51にはメス端子60の挿入される端子挿入孔54が形成され、外装フード部53には、オスハウジング10とメスハウジング50が適正に嵌合した際、オスハウジング10のロック突起16にロックすることで嵌合状態を保持するロックアーム56が設けられている。
【0022】
メスハウジング50の左右両側部には、バスバープレート70の左右のサイドバー72が圧入されるバスバー取付スロット55が設けられている。また、メスハウジング50の左右両側部の外面には、カバー80の左右側板82が挿入される側板挿入部58が設けられ、この側板挿入部58には、カバー80側のロック溝82aがロックするロック凸部58aが設けられている。また、図2に示すように、メスハウジング50の後端面のバスバープレート70が装着される部分より下方には、シールド付フラットケーブルWの挟持固定のための挟持用凸部59が設けられている。
【0023】
メス端子60は、図1に示すように、端子挿入孔54に対する挿入方向の前部にオス端子との嵌合部61を有し、端子挿入孔54に対する挿入方向の後端に、シールド付フラットケーブルWのフラットケーブル本体Waに圧接接続されるY字形の圧接刃62を有しており、図2に示すように、メスハウジング50の端子挿入孔54に収容された状態で、メスハウジング50の後端面から圧接刃62が露出するようになっている。
【0024】
図1に示すように、バスバープレート70は、帯板をコ字状に曲げた形状のもので、メスハウジング50の後端面に押し当てられる中央バー71と、その中央バー71の左右両端から前方に延びて、メスハウジング50のバスバー取付スロット55に後方から圧入される一対のサイドバー72とを有している。中央バー71の後面には、図2に示すように、シールド付フラットケーブルWのシールド部材(編組やアルミ箔など)Wbとの接触導通性を良くするための接触凸部73が設けられている。また、図1に示すように、サイドバー72には、前端の近い位置に、基板側コネクタ1のペグ20との接触導通性を良くするための押圧凸部74が設けられ、その後側に、バスバー取付スロット55にサイドバー72を圧入した際に、バスバー取付スロット55の内壁に食い込むことで、圧入による固定強度を確保する圧入凸部75が設けられている。このバスバープレート70は、アース回路に接続されるものである。
【0025】
カバー80は、実装した時に主にシールド付フラットケーブルWとメス端子60の圧接接続部分に力がかからないようにするためのもので、図1及び図3に示すように、中央のカバー本体部81と、その左右両側部から前方に延出して、メスハウジング50にカバー80を装着するときにメスハウジング50の側板挿入部58に挿入される一対の左右側板82とを有する。また、このカバー本体部81の内面には、ケーブル固定部として、カバー80がメスハウジング50に装着された際に、メスハウジング50との間にシールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcの付いた部分を挟持固定するケーブル挟持用凸部84が設けられている。また、圧接刃62に対応する位置には、圧接の支障にならないように逃げ穴89が設けられている。
【0026】
一対の左右側板82には、メスハウジング50にカバー80を適正に装着したときに、メスハウジング50側のロック凸部58aにロックするロック溝82aが形成されている。
【0027】
また、このケーブル側コネクタ2が取り付けられるシールド付フラットケーブルWは、図4(a)から図4(c)に示すように、信号線(信号導体)Wa1の周囲を絶縁体Wa2で覆ったフラットケーブル本体Waの外側を、編組やアルミ箔などのシールド部材Wbで覆い、更にその外側を電線被覆Wcで覆った屈曲自在のフレキシブルフラットケーブルであり、信号線Wa1が一定間隔で互いに平行に並んでいる。そして、電線被覆Wc及びシールド部材Wbを除去して露出したフラットケーブル本体Waの信号線Wa1の位置に、メス端子60の後端に設けた圧接刃62を食い込ませることで、内部の信号線Wa1とメス端子60とを圧接接続させることができるものである。
【0028】
次に組み付けの仕方及び利用の仕方について述べる。
基板側コネクタ1を組み立てる場合は、まず、オスハウジング10にオス端子18を圧入すると共に、ペグ20をオスハウジング10のペグ取付スロット13に圧入する。基板側コネクタ1を回路基板3に固定する場合は、図8及び図9に示すように、オスハウジング10の固定ブロック部12の後端面(下端面)を回路基板3上に載せると共に、各オス端子18の突出端を端子用スルーホール4に挿入し、ペグ20の先端側をペグ用スルーホール5に挿入する。この状態で半田付けすることにより、基板側コネクタ1を回路基板3に固定することででき、同時に、各オス端子18をそれぞれの回路に接続することができると共に、ペグ20をアース回路に接続することができる。
【0029】
一方のケーブル側コネクタ2を組み立てるには、まず、メスハウジング50の端子挿入孔54にメス端子60を挿入固定する(あるいは圧入する)。また、バスバープレート70のサイドバー72を、メスハウジング50に形成したバスバー取付スロット55に圧入する。このとき、図2に示すように、メス端子60とバスバープレート70は互いに非接触な状態に保たれている。
【0030】
次に図4(a)から図4(c)に示すように、シールド付フラットケーブルWの端末を処理する。第1実施形態のコネクタを使用する場合には、電線被覆Wcを適当寸法だけ除去して、除去した先にシールド部材Wbを適当寸法だけ露出させる。また、シールド部材Wbを適当寸法だけ除去して、除去した先にフラットケーブル本体Wa(信号線Wa1と絶縁体Wa2から成る部分)を適当寸法だけ露出させる。
【0031】
そして、このシールド付フラットケーブルWの端末処理部を、先にメスハウジング50の後部に装着したバスバープレート70の中央バー71の上に被せるように配置し、その後側から図5及び図6に示すように、カバー80をメスハウジング50の後部に押し付け力を加えながら装着し、カバー80の左右側板82のロック溝82aを、メスハウジング50側のロック凸部58aにロックさせる。
【0032】
そうすると、シールド付フラットケーブルWの端末処理部、メス端子60の圧接刃62、及びバスバープレート70がメスハウジング50の後端面とカバー80との間に介在した状態で、メスハウジング50の後端面がカバー80によって覆われる。このカバー80を装着する際の押圧動作により、図7に示すように、電線被覆Wc及びシールド部材Wbが除去されたフラットケーブル本体Waの信号線Wa1の位置にメス端子60の圧接刃62が食い込み、メス端子60と信号線Wa1が圧接接続される。また、カバー80の装着により、シールド付フラットケーブルWから露出したシールド部材Wbがバスバープレート70に押圧接触する。
【0033】
また、カバー80の装着により、図6に示すように、ケーブル固定部として設けられたケーブル挟持用凸部84と、メスハウジング50の後端面の挟持用凸部59との間に、シールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcが付いた部分が挟持固定される。
【0034】
そして、図8及び図9に示すように、このように構成したケーブル側コネクタ2を基板側コネクタ1に嵌合することで、フラットケーブルを回路基板3に電気接続することができる。この際、ケーブル側コネクタ2のバスバープレート70のサイドバー72が基板側コネクタ1のペグ20の基端側の外側面に摺動して接触導通することにより、シールド付フラットケーブルWのシールド部材Wbを、バスバープレート70及びペグ20を介して回路基板3のアース回路に接続することができる。
【0035】
以上のように、このコネクタ装置におけるケーブル側コネクタ2によれば、メスハウジング50にカバー80を装着するという一つの作業を行うだけで、メス端子60と信号線Wa1の接続、バスバープレート70とシールド部材Wbの接続を同時に一括して行うことができる。従って、ケーブル側コネクタ2とシールド付フラットケーブルWの接続作業の工数を大幅に減らすことができる。
【0036】
また、シールド部材Wbは、カバー80の装着時に、メスハウジング50の後端面に装着したバスバープレート(GND用部材に相当)70に接触するので、カバー80の装着前にシールド付フラットケーブルWのシールド部材Wbを露出させておくだけでよく、構成を単純化することができる。
【0037】
また、シールド部材Wbをバスバープレート70に接触させる部分でシールド付フラットケーブルWに固定力を及ぼすことが可能である上、その部分とは別に、カバー80に設けたケーブル固定部(ケーブル挟持用凸部84)によってシールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcが付いた部分を保持固定することができるので、フラットケーブル本体Waとメス端子60の圧接接続部分に無用な外力が及ぶのを極力防ぐことができる。
【0038】
なお、バスバープレート70にシールド部材Wbを押圧接触させる部分で、十分に強力なケーブル挟持力が得られる場合は、カバー80によってシールド部材Wbを押圧する部分を、ケーブル挟持部(ケーブル固定部)として機能させ、前記ケーブル挟持用凸部84を省略することもできる。
【0039】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図10図17は第2実施形態の説明図で、図10は第2実施形態のコネクタを含むコネクタ装置の分解斜視図、図11は第2実施形態のコネクタのコネクタハウジングにバスバーと端子を組み付けた状態を背面から見て示す斜視図、図12はコネクタの構成部品であるカバーの斜視図、図13(a)から図13(c)はコネクタで使用するシールド付フラットケーブルの端末処理部の構成を示す斜視図で、図13(a)は外観図、図13(b)はその一部拡大図、図13(c)は上方から見た図、図14図11で示したコネクタハウジングの後端面にカバーを装着してコネクタを完成させた状態を示す断面図、図15図14のXV部の拡大図、図16は第2実施形態のコネクタを接続相手側の基板側コネクタに接続した状態を示す外観斜視図、図17図16の状態を示す縦断面図である。
【0040】
図10に示すコネクタ装置は、互いに嵌合する基板側コネクタ(レセプタクル)1と第2実施形態のケーブル側コネクタ102とから成る。基板側コネクタ1の構成は第1実施形態と同様であり、第2実施形態のケーブル側コネクタ102は、メスハウジング150とカバー180の構成が第1実施形態のケーブル側コネクタ2と異なるだけで、他の構成要素は第1実施形態と同様である。従って第1実施形態と同様の構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図2に示すように、このメスハウジング150の後端面には、挟持用凸部59(図2参照)は設けられていない。その理由は、シールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcの付いている部分を挟持固定する部分が、メスハウジング150の後端面ではないからである。そのため、メスハウジング150の下半部の寸法が第1実施形態のメスハウジング50より短縮されている。それ以外の点は、第1実施形態のメスハウジング50と同様である。
【0042】
カバー180は、図12に示すように、中央のカバー本体部(第1のカバー体)181と、その左右両側部から前方に延出して、メスハウジング150にカバー180を装着するときにメスハウジング50の側板挿入部58に挿入される一対の左右側板182と、ヒンジ185を介してカバー本体部181に連結された補助カバー(第2のカバー体)186と、から成る。カバー本体部181と左右側板182と補助カバー186とヒンジ185は、樹脂により一体成形されている。
【0043】
補助カバー186は、カバー本体部181の後部にヒンジ85を介して連結されており、シールド付フラットケーブルWの圧接後に、図15に示すように、カバー本体部181の下部に合体されることで、シールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcの付いた部分を、カバー本体部181と補助カバー186との間に挟持固定するものであり、カバー本体部181の下面と補助カバー186の上面とでケーブル挟持部(ケーブル固定部)190が構成されている。
【0044】
カバー本体部181は、第1実施形態と同様に、シールド付フラットケーブルW、メス端子60の圧接刃62、及びバスバープレート70をメスハウジング150の後端面との間に介在させた状態で、メスハウジング150の後端面を覆うようにメスハウジング150に装着される。そして、装着時の押圧力により、シールド付フラットケーブルWの信号線Wa1を絶縁体Wa2を貫通する圧接刃62に圧接させ、シールド付フラットケーブルWから露出したシールド部材Wbをバスバープレート70に接触させる役目を果たす。
【0045】
一対の左右側板182には、メスハウジング150にカバー本体部181を適正に装着したときに、メスハウジング150側のロック凸部58aにロックするロック溝182aが形成されている。また、カバー本体部181の左右側面には、ヒンジ185を曲げて補助カバー186をカバー本体部181の下面に合体させたときに、補助カバー186側の係合突起187と係合するロック板183が設けられている。
【0046】
次に組み付けの仕方及び利用の仕方について述べる。
ケーブル側コネクタ102を組み立てるには、まず、メスハウジング150にメス端子60及びバスバープレート70を装着する。
【0047】
次に図13(a)から図13(c)に示すように、シールド付フラットケーブルWの端末を処理する。第2実施形態のコネクタを使用する場合には、電線被覆Wcを第1実施形態の場合よりも長めに除去して、除去した先にシールド部材Wbを適当寸法だけ露出させる。また、シールド部材Wbを適当寸法だけ除去して、除去した先にフラットケーブル本体Wa(信号線Wa1と絶縁体Wa2から成る部分)を適当寸法だけ露出させる。
【0048】
そして、このシールド付フラットケーブルWの端末処理部を、先にメスハウジング150の後部に装着したバスバープレート70の中央バー71の上に被せるように配置し、その後側から図14及び図15に示すように、カバー本体部181をメスハウジング150の後部に押し付け力を加えながら装着し、カバー本体部181の左右側板182のロック溝182aを、メスハウジング150側のロック凸部58aにロックさせる。
【0049】
そうすると、シールド付フラットケーブルWの端末処理部、メス端子60の圧接刃62、及びバスバープレート70がメスハウジング150の後端面とカバー80との間に介在した状態で、メスハウジング150の後端面がカバー本体部181によって覆われる。このカバー本体部181を装着する際の押圧動作により、電線被覆Wc及びシールド部材Wbが除去されたフラットケーブル本体Waの信号線Wa1の位置にメス端子60の圧接刃62が食い込み、メス端子60と信号線Wa1が圧接接続される。また、カバー本体部181の装着により、図15に示すように、シールド付フラットケーブルWから露出したシールド部材Wbがバスバープレート70に押圧接触する。
【0050】
次にヒンジ185を曲げて補助カバー186をカバー本体部181に合体させ、補助カバー186とカバー本体部181との間にシールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcの付いた部分を挟むことで、フラットケーブル本体Waとメス端子60の圧接接続部分に無用な外力が及ばないようにすることができる。
【0051】
そして、図16及び図17に示すように、このように構成したケーブル側コネクタ102を基板側コネクタ1に嵌合することで、シールド付フラットケーブルWを回路基板3に電気接続することができる。この際、ケーブル側コネクタ102のバスバープレート70のサイドバー72が基板側コネクタ1のペグ20の基端側の外側面に摺動して接触導通することにより、シールド付フラットケーブルWのシールド部材Wbを、バスバープレート70及びペグ20を介して回路基板3のアース回路に接続することができる。
【0052】
以上のように、このコネクタ装置におけるケーブル側コネクタ102によれば、メスハウジング150にカバー本体部181を装着するという一つの作業を行うだけで、メス端子60と信号線Wa1の接続、バスバープレート70とシールド部材Wbの接続を同時に一括して行うことができる。従って、ケーブル側コネクタ102とシールド付フラットケーブルWの接続作業の工数を大幅に減らすことができる。
【0053】
また、シールド部材Wbは、カバー本体部181の装着時に、メスハウジング150の後端面に装着したバスバープレート(GND用部材に相当)70に接触するので、カバー本体部181の装着前にシールド付フラットケーブルWのシールド部材Wbを露出させておくだけでよく、構成を単純化することができる。
【0054】
また、カバー本体部181と補助カバー186との間に設けたケーブル挟持部でシールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcが付いた部分を保持固定することができるので、フラットケーブル本体Waとメス端子60の圧接接続部分に無用な外力が及ぶのを極力防ぐことができる。
【0055】
また、本実施形態では、カバー本体部181と補助カバー186をヒンジ185を介して連結しているので、カバー本体部181と補助カバー186を1部品として成形することができて1部品として取り扱うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0057】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態の説明においては、シールド付フラットケーブルWの端末処理を行う際に、電線被覆Wcを末端から所定寸法の範囲にわたり全周皮むきする場合を示しているが、半周皮むきするように構成することも可能である。
【0058】
図18(a)及び図18(b)は電線被覆Wcを半周皮むきして半体だけ残す場合を示しており、図18(a)は皮むきする前の状態の側面図及び断面図、図18(b)は皮むきした状態を示す側面図及び各部の断面図である。
【0059】
この例では、シールド付フラットケーブルWの電線被覆Wcを、シールド付フラットケーブルWの厚み方向においてバスバープレート70とシールド部材Wbを接触させる側の半体Wsだけ切除して、その反対側の半体Wtを圧接刃62が圧接する位置まで残しておく。しかも、圧接刃62が圧接する位置のシールド部材Wbは除去し(この部分は空所Wdとなる)、バスバープレート70と接触させる部分でシールド部材Wbを露出させておく。
【0060】
このように端末処理したシールド付フラットケーブルWをバスバープレート70の後面に重ねる。そして、シールド付フラットケーブルW、メス端子60の圧接刃62、及びバスバープレート70をメスハウジング50、150の後端面との間に介在させた状態で、メスハウジング50、150の後端面を覆うようにメスハウジング50、150にカバー本体部81、181を装着し、装着時の押圧力により、圧接刃62をフラットケーブル本体Waの絶縁体Wa2及び電線被覆Wcの半体Wtを貫通させて信号線Wa1に圧接接続し、且つ、シールド付フラットケーブルWから露出したシールド部材Wbをバスバープレート70に接触させ、その状態で、カバー80、180に設けたケーブル固定部(ケーブル挟持用凸部84やケーブル挟持部190)によりシールド付フラットケーブルWを保持固定する。
【0061】
このように構成したケーブル側コネクタ2、102とシールド付フラットケーブルWの接続構造によれば、圧接刃62が信号線Wa1に圧接する部分に電線被覆Wcの半体Wtを残しているので、圧接刃62が、絶縁体Wa2及び電線被覆の半体Wtに同時に突き刺さることになり、圧接刃62とシールド付フラットケーブルWの結合が強固になる。
【符号の説明】
【0062】
W シールド付フラットケーブル
Wa1 信号線
Wa2 絶縁体
Wb シールド部材
Wc 電線被覆
Ws 切除する半体
Wt 残す半体
2,102 ケーブル側コネクタ(コネクタ)
50,150 メスハウジング(コネクタハウジング)
60 端子
62 圧接刃
70 バスバープレート(バスバー)
80 カバー
84 ケーブル挟持用凸部(ケーブル固定部、ケーブル挟持部)
180 カバー
181 カバー本体部(第1のカバー体)
185 ヒンジ部
186 補助カバー(第2のカバー体)
190 ケーブル挟持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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