特許第6039491号(P6039491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039491
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】センタリング装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/18 20060101AFI20161128BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B23Q3/18 Z
   B23Q3/06 303E
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-87026(P2013-87026)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-210300(P2014-210300A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】592026901
【氏名又は名称】マルゴ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】井口 正三
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−067897(JP,A)
【文献】 特開昭62−229900(JP,A)
【文献】 特開昭63−075905(JP,A)
【文献】 特開昭63−100742(JP,A)
【文献】 特開平05−069241(JP,A)
【文献】 特開2010−137324(JP,A)
【文献】 特開2010−205751(JP,A)
【文献】 実開昭62−019739(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/00−3/154
B23Q 3/16−3/18
B23P 19/00−21/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対向する一対の第1の位置決め部(1Aa,1Ba)及び相互に対向する一対の第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が共通の位置決め平面(P)上に配置され、前記第1及び第2の位置決め部(1Aa,1Ba,2Aa,2Ba)でワークピース(6)を挟み付けて位置決めするセンタリング装置(10)であって、
前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)をそれぞれ有し、前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)が前記位置決め平面(P)内の第1の位置決め方向(G1)に沿った第1の軸線(1x)上を動作するように移動可能に構成される一対の第1の位置決め体(1A,1B)と、
前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を共に前記第1の位置決め方向(G1)に直線状に案内する一体の第1の案内路(1C)と、
前記一対の第1の位置決め部(1Aa,1Ba)が前記第1の方向(G1)に相互に接近及び離反するように前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を駆動する第1の駆動機構(1D,1E,1F)と、
前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)をそれぞれ有し、前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が前記第1の位置決め方向(G1)と交差する前記位置決め平面(P)内の第2の位置決め方向(G2)に沿った第2の軸線(2x)上を動作するように移動可能に構成される一対の第2の位置決め体(2A,2B)と、
前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を共に前記第2の位置決め方向(G2)に直線状に案内する一体の第2の案内路(2C)と、
前記一対の第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が前記第2の位置決め方向(G2)に相互に接近及び離反するように前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を駆動する第2の駆動機構(2D,2E,2F)と、
を具備することを特徴とするセンタリング装置。
【請求項2】
前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)は、前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)から前記第1の位置決め方向(G1)と直交する第1の延在の向き(H1)に離間した位置に第1の被案内部(1Ac,1Bc)を有し、前記第1の被案内部(1Ac,1Bc)が前記第1の案内路(1C)に案内され、
前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)は、前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)から前記第2の位置決め方向(G2)と直交するとともに前記第1の延在の向き(H1)とは異なる第2の延在の向き(H2)に離間した位置に第2の被案内部(2Ac,2Bc)を有し、前記第2の被案内部(2Ac,2Bc)が前記第2の案内路(2C)に案内され、
前記第1の延在の向き(H1)及び前記第2の延在の向き(H2)は、前記位置決め平面(P)の片側へ向かう向きか、或いは、前記位置決め平面(P)に沿った向きである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンタリング装置。
【請求項3】
前記第1の延在の向き(H1)が前記位置決め平面(P)と直交する向きであり、前記第2の延在の向き(H2)が前記位置決め平面(P)に沿った向きであることを特徴とする請求項2に記載のセンタリング装置。
【請求項4】
前記第1の駆動機構(1D,1E,1F)は、
前記第1の位置決め方向(G1)と直交する第1の移動方向(J1)に移動可能に構成され、前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)との間に第1の傾斜面(1Da,1Db)及び該第1の傾斜面上を移動する第1の当接部(1Ad,1Bd)からなる第1の駆動方向転換部をそれぞれ有することにより、前記第1の移動方向(J1)の一方の向きに移動するときに前記一対の第1の駆動方向転換部により前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を共に前記第1の位置決め方向(G1)に沿った相互に離反する向きに駆動する第1の駆動部材(1D)と、
前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を前記第1の位置決め方向(G1)に沿った相互に接近する向きに付勢する第1の弾性部材(1Dd)と、
前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)に案内する第1の駆動用案内路(1F)と、
前記第1の駆動部材(1D)の前記第1の移動方向(J1)の位置を制御する第1の駆動位置制御機構(1E)と、
を有し、
前記第2の駆動機構(2D,2E,2F)は、
前記第2の位置決め方向(G2)と直交する第2の移動方向(J2)に移動可能に構成され、前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)との間に第2の傾斜面(2Da,2Db)及び該第2の傾斜面上を移動する第2の当接部(2Ad,2Bd)からなる第2の駆動方向転換部をそれぞれ有することにより、前記第2の移動方向(J2)の一方の向きに移動するときに前記一対の第2の駆動方向転換部により前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を共に前記第2の方向(G2)に沿った相互に離反する向きに駆動する第2の駆動部材(2D)と、
前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を前記第2の位置決め方向(G2)に沿った相互に接近する向きに付勢する第2の弾性部材(2Dd)と、
前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)に案内する第2の駆動用案内路(2F)と、
前記第2の駆動部材(2D)の前記第2の移動方向(J2)の位置を制御する第2の駆動位置制御機構(2E)と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンタリング装置。
【請求項5】
前記第1の駆動位置制御機構(1E)は、第1の回転駆動軸(1Ea)と、前記第1の回転駆動軸(1Ea)により回転駆動され、前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)の前記一方の向きに移動させる第1の駆動用カム(1Eb)と、前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)の前記一方の向きとは逆向きに付勢する第1の駆動用弾性部材(1Ec)とを有し、
前記第2の駆動位置制御機構(2E)は、第2の回転駆動軸(2Ea)と、前記第2の回転駆動軸(2Ea)により回転駆動され、前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)の前記一方の向きに移動させる第2の駆動用カム(2Eb)と、前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)の前記一方の向きとは逆向きに付勢する第2の駆動用弾性部材(2Ec)とを有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のセンタリング装置。
【請求項6】
前記第1の移動方向(J1)と前記第2の移動方向(J2)が平行であることを特徴とする請求項4又は5に記載のセンタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンタリング装置に係り、特に、微小な部品を位置決めする場合に好適なセンタリング装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、相互に対向する二対の位置決め体、合計4つの位置決め体を用いて部品等のワークピースを周囲から挟み付け、ワークピースを規定の位置に位置決めするようにしたセンタリング装置が使われている(例えば、以下の特許文献1及び2を参照)。この種のセンタリング装置では、ワークピースの高い位置決め精度が要求されるとともに、種々の機械の内部に組み込まれるセンタリングユニットとしても用いられる場合があるために簡易でコンパクトな機構が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−137324号公報
【特許文献2】特開2010−205751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のセンタリング装置では、ワークピースの種類や位置決めの要求精度にも依存するが、特許文献1のように大がかりな機構を要するために小型化が難しい場合があり、また、特許文献2のようにコンパクトではあるものの、部品点数が多く、複雑な構造を要する場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、位置決め精度を確保しつつ、簡易な構造を有するセンタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み、本発明のセンタリング装置(10)は、相互に対向する一対の第1の位置決め部(1Aa,1Ba)及び相互に対向する一対の第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が共通の位置決め平面(P)上に配置され、前記第1及び第2の位置決め部(1Aa,1Ba,2Aa,2Ba)でワークピース(6)を挟み付けて位置決めするセンタリング装置(10)であって、前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)をそれぞれ有し、前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)が前記位置決め平面(P)内の第1の位置決め方向(G1)に沿った第1の軸線(1x)上を動作するように移動可能に構成される一対の第1の位置決め体(1A,1B)と、前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を共に前記第1の位置決め方向(G1)に直線状に案内する一体の第1の案内路(1C)と、前記一対の第1の位置決め部(1Aa,1Ba)が前記第1の方向(G1)に相互に接近及び離反するように前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を駆動する第1の駆動機構(1D,1E,1F)と、前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)をそれぞれ有し、前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が前記第1の位置決め方向(G1)と交差する前記位置決め平面(P)内の第2の位置決め方向(G2)に沿った第2の軸線2x上を動作するように移動可能に構成される一対の第2の位置決め体(2A,2B)と、前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を共に前記第2の位置決め方向(G2)に直線状に案内する一体の第2の案内路(2C)と、前記一対の第2の位置決め部(2Aa,2Ba)が前記第2の位置決め方向(G2)に相互に接近及び離反するように前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を駆動する第2の駆動機構(2D,2E,2F)と、を具備する。
【0007】
これによれば、一対の第1の位置決め体と一対の第2の位置決め体によって四方向から挟み付けることによって位置決め平面上で部品などのワークピースを位置決めすることができる。この場合に、一対の第1の位置決め体はいずれも一体の第1の案内路によって第1の位置決め方向に案内され、一対の第2の位置決め体はいずれも一体の第2の案内路によって第2の位置決め方向に案内されるため、対向する位置決め部を備えた一対の位置決め体が別々の案内路によって案内される場合に比べると、機構を簡易化できるとともに部品点数も削減でき、しかも、相互に対向する位置決め部の軸線がずれにくくなるために位置決め精度を向上させることができる。
【0008】
ここで、前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)は、前記第1の位置決め部(1Aa,1Ba)から前記第1の位置決め方向(G1)と直交する第1の延在の向き(H1)に離間した位置に第1の被案内部(1Ac,1Bc)を有し、前記第1の被案内部(1Ac,1Bc)が前記第1の案内路(1C)に案内される。また、前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)は、前記第2の位置決め部(2Aa,2Ba)から前記第2の位置決め方向(G2)と直交するとともに前記第1の延在の向き(H1)とは異なる第2の延在の向き(H2)に離間した位置に第2の被案内部(2Ac,2Bc)を有し、前記第2の被案内部(2Ac,2Bc)が前記第2の案内路(2C)に案内される。そして、前記第1の延在の向き(H1)及び前記第2の延在の向き(H2)は、前記位置決め平面(P)の片側に向かう向きか、或いは、前記位置決め平面(P)に沿った向きである。
【0009】
これによれば、第1の延在の向きと第2の延在の向きを相互に異ならせることにより、前記第1の位置決め部と前記第1の被案内部との間の前記第1の延在の向きに伸びる前記第1の位置決め体の第1の軸線と、前記第2の位置決め部と前記第2の被案内部との間の前記第2の延在の向きに伸びる前記第2の位置決め体の第2の軸線が交差しないように構成できる。このため、前記第1の位置決め体及び前記第1の案内路と、前記第2の位置決め体及び前記第2の案内路とを、相互に迂回させたり特殊な形状に構成したりしなくても、相互に干渉しないように構成できるため、構造を簡易に構成することが可能になる。ここで、第1の延在の向きに延在する一対の第1の位置決め体の断面寸法や第2の延在の向きに延在する一対の第2の位置決め体の断面寸法を考慮すると、相互の干渉を回避しつつ各位置決め体の断面寸法を確保できるようにするには、第1の延在の向きと第2の延在の向きの角度差が80〜100度の範囲内であることが好ましく、実質的に90度(直角)であることが望ましい。特に、第1と第2の位置決め機構の干渉を回避しつつ全体を簡易に構成するには、前記第1の延在の向き(H1)が前記位置決め平面(P)と直交する向きであり、前記第2の延在の向き(H2)が前記位置決め平面(P)に沿った向きであることが望ましい。
【0010】
ここで、前記第1の駆動機構(1D,1E,1F)は、前記第1の位置決め方向(G1)と直交する第1の移動方向(J1)に移動可能に構成され、前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)との間に第1の傾斜面(1Da,1Db)及び該第1の傾斜面上を移動する第1の当接部(1Ad,1Bd)からなる第1の駆動方向転換部をそれぞれ有することにより、前記第1の移動方向(J1)の一方の向きに移動するときに前記一対の第1の駆動方向転換部により前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を共に前記第1の位置決め方向(G1)に沿った相互に離反する向きに駆動する第1の駆動部材(1D)と、前記一対の第1の位置決め体(1A,1B)を前記第1の位置決め方向(G1)に沿った相互に接近する向きに付勢する第1の弾性部材(1Dd)と、前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)に案内する第1の駆動用案内路(1F)と、前記第1の駆動部材(1D)の前記第1の移動方向(J1)の位置を制御する第1の駆動位置制御機構(1E)と、を有することが好ましい。
【0011】
また、前記第2の駆動機構(2D,2E,2F)は、前記第2の位置決め方向(G2)と直交する第2の移動方向(J2)に移動可能に構成され、前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)との間に第2の傾斜面(2Da,2Db)及び該第2の傾斜面上を移動する第2の当接部(2Ad,2Bd)からなる第2の駆動方向転換部をそれぞれ有することにより、前記第2の移動方向(J2)の一方の向きに移動するときに前記一対の第2の駆動方向転換部により前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を共に前記第2の方向(G2)に沿った相互に離反する向きに駆動する第2の駆動部材(2D)と、前記一対の第2の位置決め体(2A,2B)を前記第2の位置決め方向(G2)に沿った相互に接近する向きに付勢する第2の弾性部材(2Dd)と、前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)に案内する第2の駆動用案内路(2F)と、前記第2の駆動部材(2D)の前記第2の移動方向(J2)の位置を制御する第2の駆動位置制御機構(2E)と、を有することが好ましい。
【0012】
さらに、前記第1の駆動位置制御機構(1E)は、第1の回転駆動軸(1Ea)と、前記第1の回転駆動軸(1Ea)により回転駆動され、前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)の前記一方の向きに移動させる第1の駆動用カム(1Eb)と、前記第1の駆動部材(1D)を前記第1の移動方向(J1)の前記一方の向きとは逆向きに付勢する第1の駆動用弾性部材(1Ec)とを有することが好ましい。
【0013】
また、前記第2の駆動位置制御機構(2E)は、第2の回転駆動軸(2Ea)と、前記第2の回転駆動軸(2Ea)により回転駆動され、前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)の前記一方の向きに移動させる第2の駆動用カム(2Eb)と、前記第2の駆動部材(2D)を前記第2の移動方向(J2)の前記一方の向きとは逆向きに付勢する第2の駆動用弾性部材(2Ec)とを有することが好ましい。
【0014】
さらに、前記第1の移動方向(J1)と前記第2の移動方向(J2)が平行であることが好ましい。また、前記第1の回転駆動軸(1Ea)と前記第2の回転駆動軸(2Ea)が平行であることが好ましい。この場合には特に、前記第1の駆動用カム(1Eb)と前記第2の駆動用カム(2Eb)が共通の駆動用回転軸(1Ea,2Ea)に取り付けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置決め精度を確保しつつ、簡易な構造を有するセンタリング装置を提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るセンタリング装置の実施形態を正面左側から見た斜視図である。
図2】同実施形態を正面右側から見た斜視図である。
図3】同実施形態に外装ケースを装着した状態を背面右側から見た斜視図である。
図4】同実施形態を背面右側から見た斜視図である。
図5】同実施形態を正面上側から見た斜視図である。
図6】同実施形態を上面右側から見た斜視図である。
図7】同実施形態の平面図である。
図8】同実施形態のセンタリング機構の右側面図である。
図9】同実施形態のセンタリング機構の正面図である。
図10】同実施形態のセンタリング機構の全体構成を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して本発明に係るセンタリング装置の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1乃至図4を参照して、本実施形態の全体構成について説明する。
【0018】
本実施形態のセンタリング装置10は、設置面に載置される基盤11と、この基盤11上に固定された板状の第1の支持基体12と、基盤11上に固定されるとともに第1の支持基体12にも固定された板状の第2の支持基体13を有する。ここで、第1の支持基体12と第2の支持基体13は、上記基盤11上において平面視でL字状となるように、第1の支持基体12の右側端部と第2の支持基体13の背面側端部が接続固定されている。第2の支持基体13には取付板14及び15からなるL字状に構成された取付基体が接続固定され、この取付基体14,15を介してモータ3が第2の支持基体13に支持されている。モータ3の出力軸3aは後述する回転駆動軸1Ea,2Eaを構成している。
【0019】
上記第1の支持基体12には第1の位置決め機構1が搭載されている。また、上記第2の支持基体13には第2の位置決め機構2が搭載されている。ここで、モータ3の出力軸3aは第2の支持基体13に搭載された軸支部4により回転自在に軸支された状態で第2の支持基体13を貫通している。この出力軸3aは、第2の支持基体13の先で後述する回転駆動軸1Eaとして第1の駆動位置制御機構(駆動用カム機構)1Eの一部を構成し、この第1の駆動位置制御機構1Eが上記第1の位置決め機構1の一部を構成している。また、モータ3の出力軸3aは、第2の支持基体13を貫通する手前側において後述する回転駆動軸2Eaとして第2の駆動位置制御機構(駆動用カム機構)2Eの一部を構成し、この第1の駆動位置制御機構2Eが上記第2の位置決め機構2の一部を構成するようになっている。なお、第1の支持基体12には、上記第1の駆動位置制御機構1Eの後述する第1の駆動用カム1Ebの干渉を回避するための開口部12aが設けられている。また、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2は、本実施形態のセンタリング装置10のセンタリング機構を構成する。
【0020】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第2の支持基体13に固定される外装ケース10Aと、第2の支持基体13とともに取付基体14,15に固定される外装ケース10Bとによって第1の支持基体12及び第1の位置決め機構1と、第2の支持基体13及び第2の位置決め機構2とが覆われる。外装ケース10Aには上面に十字状の開口部10aが形成され、この開口部10aにより、全体として外装ケース10Aの上面に沿って十字状に配置された上記第1の位置決め機構1に含まれる一対の第1の位置決め部1Aa、1Ba及び上記第2の位置決め機構2に含まれる一対の第2の位置決め部2Aa,2Baが後述する態様で移動可能に露出している。また、外装ケース10Aには開口部10bも形成され、ここから後述する第2の弾性部材2Ddが露出している。一方、外装ケース10Bには開口部10cが形成され、ここから第2の駆動部材2Dの上部が露出している。
【0021】
次に、本実施形態の上記第1の位置決め機構1及び第2の位置決め機構2を含むセンタリング機構について、前述の図1乃至図4とともに図5乃至図10を参照して詳細に説明する。なお、図5乃至図9は本実施形態の上方から見た斜視図、平面図、側面図、正面図である。また、図10は、本実施形態のセンタリング機構の構成を模式的に示す概念図である。以下の説明では、図1乃至図9の各図面に従って各部を説明しながら、適宜に図10の概念図を参照して、構成を解説する。
【0022】
最初に、センタリング機構のうち、ワークピースを位置決めするための位置決め機能を奏する部分について説明する。本実施形態のセンタリング機構は、図7に示すように、上記第1の支持基体12及び上記第2の支持基体13の上部に配置された4つの位置決め部、すなわち、一対の第1の位置決め部1Aa,1Ba及び一対の第2の位置決め部2Aa,2Baを有する。これらの4つの位置決め部は、図10に示す位置決め平面P上に十字状に配列されるとともに、この位置決め平面Pに沿ってそれぞれ移動可能に構成される。
【0023】
一対の第1の位置決め部1Aa,1Baは、図10に示す第1の位置決め方向G1に沿った共通の第1の軸線1x上をそれぞれ移動可能に構成される。第1の位置決め部1Aa,1Baは、第1の位置決め体1A,1Bの上端に設けられ、ボルト等により上記第1の位置決め方向G1に沿って位置調整可能に取り付けられている。また、一対の第2の位置決め部2Aa,1Baは、上記第1の軸線1xと交差する(図示例では直交する)、図10に示す第2の位置決め方向G2に沿った共通の第2の軸線2x上をそれぞれ移動可能に構成される。第2の位置決め部2Aa,2Baは、第2の位置決め体2A、2Bの上端に設けられ、ボルト等により上記第2の位置決め方向G2に沿って位置調整可能に取り付けられている。なお、上記第1の軸線1xと第2の軸線2xはいずれも上記位置決め平面P上に配置される。
【0024】
センタリング機構は、4つの位置決め部の中心に配置された台座5を有し、この台座5上にワークピース6が載置可能に構成される。台座5は、必要に応じて、ワークピース6を吸着保持する吸引口や磁気吸着面を備えたものであってもよい。上記一対の第1の位置決め部1Aa,1Baは、上記第1の位置決め方向G1に沿って相互に接近及び離反するように構成され、それぞれの先端に設けられた凸部で上記台座5上のワークピース6を挟み付けて位置決めするようになっている。また、上記一対の第2の位置決め部2Aa,2Baは、上記第2の位置決め方向G2に沿って相互に接近及び離反するように構成され、それぞれの先端に設けられた凸部で上記台座5上のワークピース6を挟み付けて位置決めするようになっている。実際には、図示しない搬送装置によって台座5上にワークピース6が供給されると、上記一対の第1の位置決め部1Aa,1Ba及び上記一対の第2の位置決め部2Aa,2Baが同時に第1の位置決め方向G1及び第2の位置決め方向G2に沿って相互に接近し、中央のワークピース6を周囲4箇所から挟み付けて位置決めするように動作する。
【0025】
次に、上記一対の第1の位置決め部1Aa,1Baを駆動する第1の位置決め機構1について説明する。上述のように第1の位置決め部1Aa,1Baを備えた一対の第1の位置決め体1A、1Bは、図9に示すように、上記第1の位置決め部1Aa,1Baから図示下方、すなわち、図10に示す第1の延在の向きH1にそれぞれ伸びる第1の延在部1Ab,1Bbを有する。ここで、第1の延在の向きH1は、図示例では、位置決め平面Pと直交する方向となっている。
【0026】
また、上記第1の位置決め体1A,1B(第1の延在部1Ab,1Bb)には、位置決め平面Pの下方において上記第2の位置決め体2A,2Bが存在しない領域(第1の延在の向きH1に見た高さ、第1の位置決め部1Aa,1Baから第1の延在の向きH1に見て第2の位置決め体2A,2Bよりも離れた位置)に第1の被案内部1Ac,1Bcが設けられている。これらの第1の被案内部1Ac,1Bcは第1の案内路1Cによっていずれも直線状に案内される。第1の被案内部1Ac,1Bcと第1の案内路1Cは、例えば、リニアガイドなどで構成することができる。ここで、一対の第1の被案内部1Ac,1Bcはいずれも共通の第1の案内路1Cによって、第1の位置決め方向G1と平行な同一の軸線上をスライド移動可能に構成されている。
【0027】
上記一対の第1の位置決め体1A,1Bは、上記第1の延在部1Ab,1Bbに転動自在に取り付けられたローラからなる第1の当接部1Ad,1Bdを備えている。これらの第1の当接部1Ad,1Bdは、上記第1の延在部1Ab,1Bbに対して、第1の延在の向きH1と直交し、上記位置決め平面Pと平行な方向に伸びる軸線周りに回動可能に構成される。
【0028】
一方、第1の支持基体12の垂直な表面上には、第1の駆動部材1Dが図10に示す第1の移動方向J1に沿って移動可能に取り付けられている。この第1の移動方向J1は、図示例では、上記第1の延在の向きH1と平行で、上記位置決め平面Pと直交する方向となっている。第1の駆動部材1Dの上部には左右一対の第1の傾斜面1Da,1Dbが形成されている。第1の傾斜面1Daは上記第1の当接部1Adに当接し、第1の傾斜面1Dbは上記第1の当接部1Bdに当接している。また、第1の駆動部材1Dには第1の駆動用被案内部1Dcが設けられ、この第1の駆動用被案内部1Dcは第1の駆動用案内路1Fによって上記第1の移動方向J1に案内されるようになっている。第1の駆動用被案内部1Dcと第1の駆動用案内路1Fは例えばリニアガイドなどで構成される。
【0029】
また、上記第1の位置決め体1Aと1Bは、第1の延在部1Abと1Bbに接続された圧縮状態のコイルばね等よりなる第1の弾性部材1Ddによって、常に第1の位置決め方向G1に沿って相互に接近する方向に付勢されている。この状態で、上記第1の駆動部材1Dが第1の移動方向J1に沿って図示上方へ向かう向きに移動すると、第1の傾斜面1Da,1Dbが第1の当接部1Ad,1Bdを押し上げながら左右に移動させることで第1の位置決め体1Aと1Bが第1の位置決め方向G1に沿って相互に離反する向きに移動する。また、第1の駆動部材1Dが図示下方へ向かう向きに移動すると、第1の傾斜面1Da,1Dbが下方へ退避することにより、上記第1の弾性部材1Ddの弾性力によって第1の当接部1Ad,1Bdgが第1の傾斜面1Da,1Db上に保持されつつ移動し、第1の位置決め体1Aと1Bが第1の位置決め方向G1に沿って相互に接近する。ここで、第1の傾斜面1Da,1Dbと第1の当接部1Ad,1Bdは第1の駆動方向転換部を構成する。なお、上記構成とは逆に、逆向きの第1の傾斜面を第1の位置決め体1A,1Bに形成し、第1の当接部を第1の駆動部材1Dに形成してもよい。
【0030】
上記第1の駆動部材1Dは、上記第1の移動方向J1と直交し、上記位置決め平面P及び上記第1の位置決め方向G1と平行な軸線周りに転動自在に取り付けられた第1のカムフォロア1Deを備えている。この第1のカムフォロア1Deは、上記モータ3の出力軸3aにより構成される第1の回転駆動軸1Eaに取り付けられた円盤状の第1の駆動用カム1Ebのカム面(外周面)に当接している。また、上記第1の駆動部材1Dには、第1の支持基体12との間にコイルばね等よりなる第1の駆動用弾性部材1Ecが取り付けられ、この第1の駆動用弾性部材1Ecは、第1の駆動部材1Dを常に第1の移動方向J1に沿った下向きに付勢している。上記第1の回転駆動軸1Ea、第1の駆動用カム1Eb、第1の駆動用弾性部材1Ecは、上記第1の駆動部材1Dの第1の移動方向J1に沿った位置を制御する第1の駆動位置制御機構1Eを構成する。また、上記第1の回転駆動軸1Eaの第1の回転軸線方向K1は、上記第1の移動方向J1と直交する。図示例では、第1の回転軸線方向K1は、第1の位置決め方向G1と平行になっている。
【0031】
上記第1のカムフォロア1Deは、第1の駆動用カム1Ebのカム面によって上記第1の駆動用弾性部材1Ecの弾性力に逆らって押し上げられている。このため、上記第1の回転駆動軸1Eaが回転すると、第1の駆動用カム1Ebのカム面が回転して、そのカムプロファイルに応じて上記第1の回転軸線方向K1と直交する半径方向に移動することにより、第1の駆動部材1Dは、第1のカムフォロア1Deが第1の駆動用カム1Ebのカム面上に保持された状態で、第1の駆動用カム1Ebのカムプロファイルに従って上記第1の移動方向J1に沿って上下に移動する。そして、第1の駆動部材1Dが上下に移動すると、上述のように一対の第1の位置決め体1Aと1Bは上記第1の位置決め方向G1に沿って相互に接近したり離反したりする。なお、図10に示すように、第1の位置決め機構1において、第1の位置決め体1A,1B、第1の案内路1C及び第1の駆動部材1Dは、上記第1の位置決め方向G1並びに上記第1の延在の向きH1及び第1の移動方向J1に平行な平面(図示例では垂直面)Qに沿って配置されている。
【0032】
次に、上記一対の第2の位置決め部2Aa,2Baを駆動する第2の位置決め機構2について説明する。上述のように第2の位置決め部2Aa,2Baを備えた一対の第2の位置決め体2A、2Bは、図7に示すように、上記第2の位置決め部2Aa,2Baから図示右側、すなわち、図10に示す第2の延在の向きH2にそれぞれ伸びる第2の延在部2Ab,2Bbを有する。ここで、第2の延在の向きH2は、図示例では、位置決め平面P及び第1の位置決め方向G1と平行な方向となっている。
【0033】
また、上記第2の位置決め体2A,2B(第2の延在部2Ab,2Bb)には、位置決め平面Pの右側方において上記第1の位置決め体1A,1Bが存在しない領域(第2の位置決め部2Aa,2Baから第2の延在の向きH2に見て第1の位置決め体1Bよりも離れた位置)に第2の被案内部2Ac,2Bcが設けられている。これらの第2の被案内部2Ac,2Bcは第2の案内路2Cによっていずれも直線状に案内される。第2の被案内部2Ac,2Bcと第2の案内路2Cは、例えば、リニアガイドなどで構成することができる。ここで、一対の第2の被案内部2Ac,2Bcはいずれも共通の第2の案内路2Cによって、第2の位置決め方向G2と平行な同一の軸線上をスライド移動可能に構成されている。
【0034】
上記一対の第2の位置決め体2A,2Bは、上記第2の延在部2Ab,2Bbに転動自在に取り付けられたローラからなる第2の当接部2Ad,2Bdを備えている。これらの第2の当接部2Ad,2Bdは、上記第2の延在部2Ab,2Bbに対して、第2の延在の向きH2と平行で、上記位置決め平面Pと平行な方向に伸びる軸線周りに回動可能に構成される。
【0035】
一方、図8に示すように、第2の支持基体13の垂直な表面上には、第2の駆動部材2Dが図10に示す第2の移動方向J2に沿って移動可能に取り付けられている。この第2の移動方向J2は、図示例では、上記第2の延在の向きH2と直交し、上記第1の移動方向J1と平行で、上記位置決め平面Pと直交する方向となっている。第2の駆動部材2Dの上部には左右一対の第2の傾斜面2Da,2Dbが形成されている。第2の傾斜面2Daは上記第2の当接部2Adに当接し、第2の傾斜面2Dbは上記第2の当接部2Bdに当接している。また、第2の駆動部材2Dには第2の駆動用被案内部2Dcが設けられ、この第2の駆動用被案内部2Dcは第2の駆動用案内路2Fによって上記第2の移動方向J2に案内されるようになっている。第2の駆動用被案内部2Dcと第2の駆動用案内路2Fは例えばリニアガイドなどで構成される。
【0036】
また、上記第2の位置決め体2Aと2Bは、第2の延在部2Abと2Bbに接続された圧縮状態のコイルばね等よりなる第2の弾性部材2Ddによって、常に第2の位置決め方向G2に沿って相互に接近する方向に付勢されている。この状態で、上記第2の駆動部材2Dが第2の移動方向J2に沿って図示上方へ向かう向きに移動すると、第2の傾斜面2Da,2Dbが第2の当接部2Ad,2Bdを押し上げながら左右に移動させることで第2の位置決め体2Aと2Bが第2の位置決め方向G2に沿って相互に離反する向きに移動する。また、第2の駆動部材2Dが図示下方へ向かう向きに移動すると、第2の傾斜面2Da,2Dbが下方へ退避することにより、上記第2の弾性部材2Ddの弾性力によって第2の当接部2Ad,2Bdが第2の傾斜面2Da,2Db上に保持されつつ移動し、第2の位置決め体2Aと2Bが第2の位置決め方向G2に沿って相互に接近する。ここで、第2の傾斜面2Da,2Dbと第2の当接部2Ad,2Bdは第2の駆動方向転換部を構成する。なお、上記構成とは逆に、逆向きの第2の傾斜面を第2の位置決め体2A,2Bに形成し、第2の当接部を第2の駆動部材2Dに形成してもよい。
【0037】
上記第2の駆動部材2Dは、上記第2の移動方向J2及び上記第2の位置決め方向G2と直交し、上記位置決め平面Pと平行な軸線周りに転動自在に取り付けられた第2のカムフォロア2Deを備えている。この第2のカムフォロア2Deは、上記モータ3の出力軸3aにより構成される第2の回転駆動軸2Eaに取り付けられた円盤状の第2の駆動用カム2Ebのカム面(外周面)に当接している。また、上記第2の駆動部材2Dには、第2の支持基体13との間にコイルばね等よりなる第2の駆動用弾性部材2Ecが取り付けられ、この第2の駆動用弾性部材2Ecは、第2の駆動部材2Dを常に第2の移動方向J2に沿った下向きに付勢している。上記第2の回転駆動軸2Ea、第2の駆動用カム2Eb、第2の駆動用弾性部材2Ecは、上記第2の駆動部材2Dの第2の移動方向J2に沿った位置を制御する第2の駆動位置制御機構2Eを構成する。また、上記第2の回転駆動軸2Eaの第2の回転軸線方向K2は、上記第2の移動方向J2と直交する。図示例では、第2の回転軸線方向K2は、第2の位置決め方向G1と直交している。
【0038】
上記第2のカムフォロア2Deは、第2の駆動用カム2Ebのカム面によって上記第2の駆動用弾性部材2Ecの弾性力に逆らって押し上げられている。このため、上記第2の回転駆動軸2Eaが回転すると、第2の駆動用カム2Ebのカム面が回転して、そのカムプロファイルに応じて上記第2の回転軸線方向K2と直交する半径方向に移動することにより、第2の駆動部材2Dは、第2のカムフォロア2Deが第2の駆動用カム2Ebのカム面上に保持された状態で、上記第2の駆動用カム2Ebのカムプロファイルに従って上記第2の移動方向J2に沿って上下に移動する。そして、第2の駆動部材2Dが上下に移動すると、上述のように一対の第2の位置決め体2Aと2Bは上記第2の位置決め方向G2に沿って相互に接近したり離反したりする。なお、図10に示すように、第2の位置決め機構2において、第2の位置決め体2A,2B及び第2の案内路2Cは、上記第2の位置決め方向G2並びに上記第2の延在の向きH2、或いは、上記位置決め平面Pに平行な平面(図示例では水平面)Rに沿って配置されている。また、上記第2の駆動部材2Dは、平面Rと直交し、第2の移動方向J2に平行な平面(図示例では垂直面)Sに沿って配置されている。
【0039】
以上説明した本実施形態のセンタリング装置は、以下のような作用効果を奏する。まず、本実施形態では、前述の第1の位置決め機構1及び第2の位置決め機構2の動作により、位置決め平面P上に配列された一対の第1の位置決め部1Aa,1Baが第1の位置決め方向G1に沿った第1の軸線1x上で相互に接近し、また、一対の第2の位置決め部2Aa,2Baが第2の位置決め方向G2に沿った第2の軸線2x上で相互に接近して、各位置決め部の先端に設けられた凸部が台座5上のワークピース6を第1の位置決め方向G1と第2の位置決め方向G2の双方においてそれぞれ両側から挟み付けることで、ワークピース6が台座5上で位置決め平面Pに沿った方向に位置決めされる。なお、上記平面Rは上記位置決め平面Pと一致していてもよいが、本実施形態では、上記平面Rは位置決め平面Pよりも下方において平行に配置されている。これにより、上記各位置決め体1Aa,1Ba,2Aa,2Ba以外の部材を位置決め平面P上に配置しなくても構成することが可能になるため、ワークピース6の給排動作がさらに容易になるように構成できる。
【0040】
この場合に、一対の第1の位置決め部1Aa,1Baはいずれもが共通の第1の案内路1Cにより第1の位置決め方向G1に沿って案内されているため、第1の位置決め部1Aaと1Baが軸ずれを生ずる虞が少なく、同様に、一対の第2の位置決め部2Aa,2Baもいずれもが共通の第2の案内路2Cにより第2の位置決め方向G2に沿って案内されているため、第2の位置決め部2Aaと2Baが軸ずれを生ずる虞も少ないため、調整作業を容易にしつつ位置決め精度を確保することができる。また、第1の位置決め方向G1と第2の位置決め方向G2のいずれにも一つずつ案内路1C、2Cを設けるだけでよいため、機構を簡易に構成することができる。
【0041】
さらに、相互に対向する一対の第1の位置決め部1Aa,1Baの第1の位置決め方向G1に沿ったそれぞれの位置のいずれもが単一の第1の駆動部材1Dの第1の移動方向J1に沿った位置によって規定される。同様に、相互に対向する一対の第2の位置決め部2Aa,2Baの第2の位置決め方向G2に沿ったそれぞれの位置のいずれもが単一の第2の駆動部材2Dの第2の移動方向J2に沿った位置によって規定される。このため、第1及び第2の各位置決め機構1,2の駆動構造を簡易に構成することができ、一対の第1の位置決め部1Aaと1Baの第1の位置決め方向G1に沿った位置並びに一対の第2の位置決め部2Aaと2Baの位置決め方向G2に沿った位置の精度に影響を与える各部材の寸法箇所を低減することができ、最終的な位置決め精度を容易に向上させることができる。また、各位置決め機構の調整箇所も少なくなり、故障も低減されるとともに、耐久性も向上する。
【0042】
また、本実施形態では、図10に示すように、第1の延在の向きH1と第2の延在の向きH2が異なる結果、第1の位置決め部1Aa,1Baが配置される位置決め平面Pから第1の位置決め体1A,1Bが延在する角度と、第2の位置決め部2Aa,2Baが配置される位置決め平面Pから第2の位置決め体2A,2Bが延在する角度が相互に異なることとなるため、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2が相互に干渉しにくくなる。したがって、各位置決め機構を構成する各部材を複雑な形状にしたり、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2の構造寸法を相互に大きく変えたりする必要がなくなるといったように、各部の剛性や寸法精度を犠牲にすることなく両位置決め機構1と2を構成することができるため、最終的に構造を簡易に維持しつつ、位置決め精度を高めることができる。
【0043】
特に、本実施形態では、第1の延在の向きH1は位置決め平面Pと平行であり、第2の延在の向きH2は位置決め平面Pと直交するため、第1の延在の向きH1と第2の延在の向きH2の角度差は90度であり、その結果、第1の位置決め体1A,1Bと第2の位置決め体2A,2Bとが相互に直交する方向に延在するため、相互の干渉の問題をほとんど考慮しなくても、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2を設計できる。また、位置決め平面Pに対しては、第1の延在の向きH1が直交し、第2の延在の向きが平行となるため、機械設計上の全体構造の複雑さを招くことなしに、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2の相互干渉を回避し、しかも、コンパクトに構成することが可能になっている。
【0044】
第1の延在の向きH1と第2の延在の向きH2は上述のように相互に異なるが、これらの向きは、センタリング装置1の構造上、位置決め平面Pの片側に向けた向きか、或いは、位置決め平面Pに沿った向きかのいずれかであることが、台座5上へのワークピース6の供給と、台座5上からのワークピースの取り出しを行う上で好ましい。図示例の場合、第1の延在の向きH1が位置決め平面Pから垂直下方へ向かう向きであり、第2の延在の向きH2が位置決め平面P(第1の位置決め方向G1)に沿った向きであるため、位置決め平面Pの上方側には機構が配置されないことにより、位置決め平面Pに対して上方側からのワークピースの給排動作を容易に行うことができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、第1の位置決め機構1における第1の駆動部材1Dの第1の移動方向J1と、第2の位置決め機構2における第2の駆動部材2Dの第2の移動方向J2が相互に平行に設定されているため、第1のカムフォロア1Deと第2のカムフォロア2Deを適宜に設定することにより、第1の位置決め機構1を駆動する第1の駆動用カム1Ebと第2の位置決め機構2を駆動する第2の駆動用カム2Ebの回転軸線方向K1とK2を相互に平行に構成できる。また、本実施形態のように、第1のカムフォロア1Deと第2のカムフォロア2Deの位置関係を調整すれば、上記軸線K1とK2を一致させることも容易に実現できる。したがって、図示例では、モータ3の単一の出力軸3aを第1の回転駆動軸1Eaと第2の回転駆動軸2Eaのいずれとしても用い、第1の位置決め機構1と第2の位置決め機構2の回転駆動軸を共通としている。この場合に、本実施形態とは異なり、一対の第1の位置決め部1Aa及び1Baの動作タイミングと、一対の第2の位置決め部2Aa及び2Baの動作タイミングとをずらすことによって、ワークピースによっては位置決め精度が向上するときもある。このときには、各回転駆動軸に対する第1の駆動用カム1Ebと第2の駆動用カム2Ebの取付角度を変更したり、異なるカムプロファイルを有するカムに変更したりすることによって、第1の位置決め部1Aa,1Baと、第2の位置決め部2Aa,2Baの間の動作タイミングの関係を適宜に変更することができる。
【0046】
なお、本実施形態とは異なる例としては、第1の回転駆動軸1Eaと、第2の回転駆動軸2Eaを別々に構成し、異なるモータによって、或いは、異なる回転伝達系を介して、それぞれ別々に駆動するようにしてもよい。この場合でも、両回転駆動軸の軸線K1とK2が相互に平行に設定されることにより、構造を簡易に構成でき、装置全体をコンパクトに構成することも可能である。異なるモータなどの別々の駆動源によって第1の回転駆動軸1Eaと第2の回転駆動軸2Eaを相互に独立した形で駆動する場合には、コントローラ等の制御装置における制御プログラムの設定を行うことによって、第1の位置決め部1Aa,1Baと、第2の位置決め部2Aa,2Baとの間の動作タイミングの関係を適宜に変更することができるため、種々のワークピースや、このセンタリング装置が組み込まれる各種の装置構造への対応性を高めることができる。
【0047】
尚、本発明のセンタリング装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。上記実施形態では、第1の延在の向きH1を位置決め平面Pと直交する向き(垂直下方へ向かう向き)に設定し、第2の延在の向きH2を位置決め平面Pと平行な(に沿った)向き(水平の向き)に設定しているが、例えば、上記の第2の延在の向きH2を、上記第2の軸線2xの周りに回動させて斜め下方に向かう向きにしてもよい。また、上記の第1の延在の向きH1を、上記第1の軸線1xの周りに回動させて斜め下方に向かう向きとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…第1の位置決め機構、1x…第1の軸線、1A,1B…第1の位置決め体、1Aa,1Ba…第1の位置決め部、1Ab,1Bb…第1の延在部、1Ac,1Bc…第1の被案内部、1Ad,1Bd…第1の当接部、1C…第1の案内路、1D…第1の駆動部材、1Da,1Db…第1の傾斜面、1Dc…第1の駆動用被案内部、1Dd…第1の弾性部材、1De…第1のカムフォロア、1E…第1の駆動位置制御機構、1Ea…第1の回転駆動軸、1Eb…第1の駆動用カム、1Ec…第1の駆動用弾性部材、1F…第1の駆動用案内路、2…第2の位置決め機構、2x…第2の軸線、2A,2B…第2の位置決め体、2Aa,2Ba…第2の位置決め部、2Ab,2Bb…第2の延在部、2Ac,2Bc…第2の被案内部、2Ad,2Bd…第2の当接部、2C…第2の案内路、2D…第2の駆動部材、2Da,2Db…第2の傾斜面、2Dc…第2の駆動用被案内部、2Dd…第2の弾性部材、2De…第2のカムフォロア、2E…第2の駆動位置制御機構、2Ea…第2の回転駆動軸、2Eb…第2の駆動用カム、2Ec…第2の駆動用弾性部材、2F…第2の駆動用案内路、3…モータ、3a…出力軸、10…センタリング装置、10A,10B…外装ケース、11…基盤、12…第1の支持基体、12a…開口部、13…第2の支持基体、14,15…取付板(取付基体)、P…位置決め平面、Q,R,S…平面、G1…第1の位置決め方向、G2…第2の位置決め方向、H1…第1の延在の向き、H2…第2の延在の向き、J1…第1の移動方向、J2…第2の移動方向、K1…第1の回転軸線方向、K2…第2の回転軸線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10