【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 垂直方向に伸びる垂直軸芯を中心に回転する回転ロッドと、前記回転ロッドの上端を回転可能に保持する保持部と、を備える掘削機において、前記回転ロッドの下端に取り付けられる掘削ヘッドであって、
前記回転ロッドの下端と係合し、前記回転ロッドとともに前記垂直軸芯を中心に回転する回転シャフトと、
前記回転シャフトに固定され、前記回転シャフトともに前記垂直軸芯を中心に回転するヘッド本体と、
前記回転シャフトの外周に沿って配置され、上端側が前記保持部に固定され、下端側に前記垂直軸芯を中心とする環状の固定ギヤが形成された固定ロッドと、
基端が前記回転シャフトの外周に回転可能に保持され、前記垂直軸芯と直交する水平軸芯上で延びる変換シャフトと、前記変換シャフトの外周に設けられ、前記固定ギヤと係合する変換ギヤと、を有し、前記ヘッド本体に前記水平軸芯を中心に回転可能に保持された変換部と、
前記水平軸芯と平行して延びる別水平軸芯上で延び、先端側にねじ山が形成され、前記ヘッド本体に前記別水平軸芯を中心に回転可能に保持された送り出しシャフトと、
前記別水平軸芯上で延び、先端側に掘削刃が設けられ、基端側に前記送り出しシャフトのねじ山と螺合するねじ山が形成され、前記ヘッド本体に、前記別水平軸芯を中心とする回転が規制され、前記別水平軸芯に沿ってスライド移動可能に保持されたビットと、
前記変換部及び前記送り出しシャフトと係合し、前記変換部の前記水平軸芯を中心とする回転力を、前記送り出しシャフトに伝達し、前記送り出しシャフトを前記別水平軸芯を中心に回転させる伝達部と、を備える掘削ヘッド。
【0010】
(1)の発明によれば、掘削ヘッドは、垂直方向に伸びる垂直軸芯を中心に回転する回転ロッドと、回転ロッドの上端を回転可能に保持する保持部と、を備える掘削機において、回転ロッドの下端に取り付けられる。
掘削ヘッドは、回転シャフトと、ヘッド本体と、固定ロッドと、変換部と、送り出しシャフトと、ビットと、伝達部と、を備える。
回転シャフトは、回転ロッドの下端と係合し、回転ロッドとともに垂直軸芯を中心に回転する。
ヘッド本体は、回転シャフトに固定され、回転シャフトともに垂直軸芯を中心に回転する。
固定ロッドは、回転シャフトの外周に沿って配置され、上端側が保持部に固定され、下端側に垂直軸芯を中心とする環状の固定ギヤが形成されている。
変換部は、基端が回転シャフトの外周に回転可能に保持され、垂直軸芯と直交する水平軸芯上で延びる変換シャフトと、変換シャフトの外周に設けられ、固定ギヤと係合する変換ギヤと、を有し、ヘッド本体に水平軸芯を中心に回転可能に保持されている。
送り出しシャフトは、水平軸芯と平行して延びる別水平軸芯上で延び、先端側にねじ山が形成され、ヘッド本体に別水平軸芯を中心に回転可能に保持されている。
ビットは、別水平軸芯上で延び、先端側に掘削刃が設けられ、基端側に送り出しシャフトのねじ山と螺合するねじ山が形成され、ヘッド本体に、別水平軸芯を中心とする回転が規制され、別水平軸芯に沿ってスライド移動可能に保持されている。
伝達部は、変換部及び送り出しシャフトと係合し、変換部の水平軸芯を中心とする回転力を、送り出しシャフトに伝達し、送り出しシャフトを別水平軸芯を中心に回転させる。
【0011】
本発明の掘削ヘッドは、掘削機の回転ロッドを回転させることで、以下の動作で、杭穴に拡底部を形成する。
掘削機の回転ロッドを回転させると、回転ロッドとともに回転シャフトが垂直軸芯を中心に回転する。これにより、回転シャフトの外周に基端が保持され変換部も垂直軸芯を中心に回転する。
すると、変換部は、回転せずに保持部に固定された状態の固定ロッドの固定ギヤと係合しながら、変換ギヤが垂直軸芯を中心に回転することで、変換シャフトが、垂直軸芯と直交する水平軸芯を中心に回転する。この変換部の回転力は、伝達部を介して、送り出しシャフトに伝達され、送り出しシャフトを別水平軸芯を中心に回転させる。
すると、送り出しシャフトの先端側に螺合するビットは、別水平軸芯に沿ってスライド移動する。そして、先端側に掘削刃が設けられたビットは、回転ロッドと直交する方向に突出し、杭穴の底部近傍の壁面を形成する地層に食い込みながら、垂直軸芯を中心に回転する。これにより、杭穴に拡底部を形成できる。
【0012】
このように、本発明の掘削ヘッドによれば、回転ロッドの垂直軸芯を中心とする回転力を別水平軸芯を中心とする送り出しシャフトの回転力に変換し、この回転力をねじにより徐々にビットをスライド移動する力に変換する。
よって、拡底する際の負荷が徐々に大きくなるので、杭穴において拡底部を形成する際に、掘削機に生ずる負担を軽減することができる。
また、回転ロッドの垂直軸芯を中心とする回転力を、機械的な構成により、ビットをスライド移動する力に変換するので、油圧を用いる必要がないので、油圧によりビットをスライド移動させて拡底する時に生ずる油漏れや油圧供給管の損傷等の不具合が生ずることがない。
したがって、杭穴において拡底部を形成する際に、掘削機に生ずる負担を軽減するとともに、不具合の発生を低減できる掘削ヘッドを提供できる。
【0013】
更に、本発明の掘削ヘッドは、回転ロッドに油圧供給管を設ける必要がないので、油圧によりビットをスライド移動させるヘッドに比べ、容易に製造できる。
【0014】
(2) 前記変換部、前記送り出しシャフト、前記ビット及び前記伝達部を、それぞれ1対で備え、
1対の前記変換部の前記変換シャフトは、前記水平軸芯上で、互いに反対方向に延び、
1対の前記送り出しシャフトのうち一方の前記送り出しシャフトは、第1の前記別水平軸芯上で延び、
1対の前記送り出しシャフトのうち他方の前記送り出しシャフトは、第1の前記別水平軸芯と平行して延びる第2の前記別水平軸芯上で延び、
1対の前記送り出しシャフトは、互いに先端が反対方向に向けて配置され、
1対の前記ビットのうち一方の前記ビットは、一方の前記送り出しシャフトと螺合され、
1対の前記ビットのうち他方の前記ビットは、他方の前記送り出しシャフトと螺合され、
1対の前記伝達部のうち一方の前記伝達部は、一方の前記変換部及び一方の前記送り出しシャフトと係合し、
1対の前記伝達部のうち他方の前記伝達部は、他方の前記変換シャフト及び他方の前記送り出しシャフトと係合する、(1)に記載の掘削ヘッド。
【0015】
(2)の発明によれば、掘削ヘッドは、変換部、送り出しシャフト、ビット及び伝達部を、それぞれ1対で備える。
1対の変換部の変換シャフトは、水平軸芯上で、互いに反対方向に延びる。
1対の送り出しシャフトのうち一方の送り出しシャフトは、第1の別水平軸芯上で延びる。
1対の送り出しシャフトのうち他方の送り出しシャフトは、第1の別水平軸芯と平行して延びる第2の別水平軸芯上で延びる。
1対の送り出しシャフトは、互いに先端が反対方向に向けて配置されている。
1対のビットのうち一方のビットは、一方の送り出しシャフトと螺合されている。
1対のビットのうち他方のビットは、他方の送り出しシャフトと螺合されている。
1対の伝達部のうち一方の伝達部は、一方の変換部及び一方の送り出しシャフトと係合する。
1対の伝達部のうち他方の伝達部は、他方の変換部及び他方の送り出しシャフトと係合する。
【0016】
このように、1対の変換部の変換シャフトは、水平軸芯上で、互いに反対方向に延びるように配置した。そして、1対のビットは、互いに反対方向にスライド移動するようにした。
これにより、掘削ヘッドの回転バランスが向上するとともに、杭穴の底部近傍の壁面を形成する地層に、1対のビットが互いに反対方向に食い込むので、拡大により杭穴の中心位置がずれにくくなり、杭の施工精度が向上する。
【0017】
(3) 前記固定ロッドは、
前記保持部に固定される固定部を有し、
前記保持部と前記固定部との間に所定の摩擦力を発生する摩擦部材を介して、前記保持部に固定される(1)又は(2)に記載の掘削ヘッド。
【0018】
ここで、例えば、杭穴の底部近傍の壁面を形成する地層が硬く、ビットのスライド移動による拡大が規制された場合、送り出しシャフトの別水平軸芯を中心とする回転が規制される。これにより、変換部の水平軸芯を中心とする回転も規制される。
このような場合、回転ロッドの垂直軸芯を中心とする回転力は、変換部の変換ギヤを介して、固定ロッドにおける環状の固定ギヤに伝達される。即ち、回転ロッドの回転力は、固定ロッドを回転させる力となる。
【0019】
(3)の発明によれば、上記のような固定ロッドの回転させる力が、保持部と固定部との間における、摩擦部材による所定の摩擦力を超えた場合に、固定ロッドが回転する。
これにより、例えば、地層が硬く、過大な負荷が発生した場合に、この負荷を固定ロッドの回転により解消することができる。
よって、掘削機の回転ロッドや回転ロッドを回転させるモータや治具に、過大な負荷がかかるのを防止することができる。
また、地上において、固定ロッドが回転しているか否かを視認することにより、ビットが拡大しているか否かを判断することができる。