(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端子本体から引き出された複数の接触片を有すると共に相手側コネクタ端子の相手側接触片を挿入したときに前記複数の接触片がそれぞれ前記相手側接触片に接触して変位するコネクタ端子において、
前記複数の接触片は、それぞれの一部が前記相手側接触片の挿入経路上に張り出すように前記端子本体に取り付けられると共に挿入された前記相手側接触片に接触することにより前記端子本体に対して互いに同一方向に変位するように配列され、前記相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる前記端子本体の部位からそれぞれの配列位置までの距離が長いほど前記相手側接触片の挿入経路上への張り出し量が大きく設定されていることを特徴とするコネクタ端子。
端子本体から引き出された複数の接触片を有すると共に相手側コネクタ端子の相手側接触片を挿入したときに前記複数の接触片がそれぞれ前記相手側接触片に接触して変位するコネクタ端子において、
前記端子本体は、前記相手側接触片が挿入される相手側接触片挿入空間が内部に形成された円筒形状を有し、
前記複数の接触片は、前記相手側接触片挿入空間内に延びて、それぞれの一部が前記相手側接触片の挿入経路上に張り出すように前記端子本体から引き出されると共に挿入された前記相手側接触片に接触することにより前記端子本体に対して径方向に変位するように配列され、前記相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる前記端子本体の部位からそれぞれの配列位置までの距離が長いほど前記相手側接触片の挿入経路上への張り出し量が大きく設定されていることを特徴とするコネクタ端子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のコネクタ端子では、複数の接触片2および3により相手側コネクタ端子に及ぼす接触圧を均等にすることはできるものの、それぞれの接触片2および3の内部に作用する単位面積あたりの応力は一定にならず、一部の接触片に応力集中が発生してしまう。その結果、応力が集中する接触片においては、ばね特性の経時変化が大きく、長期間の使用に際して、複数の接触片による接触圧のばらつきが発生し、局所的な発熱を生じるおそれがあった。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、複数の接触片における接触圧のばらつきおよびばね特性の経時変化のばらつきを抑制して局所的な発熱の発生を防止することができるコネクタ端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るコネクタ端子は、端子本体から引き出された複数の接触片を有すると共に相手側コネクタ端子の相手側接触片を挿入したときに複数の接触片がそれぞれ相手側接触片に接触して変位するコネクタ端子において、複数の接触片は、それぞれの一部が相手側接触片の挿入経路上に張り出すように端子本体に取り付けられると共に挿入された相手側接触片に接触することにより端子本体に対して互いに同一方向に変位するように配列され、相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる端子本体の部位からそれぞれの配列位置までの距離が長いほど相手側接触片の挿入経路上への張り出し量が大きく設定されているものである。
【0008】
好ましくは、端子本体は、相手側接触片が挿入される相手側接触片挿入空間が内部に形成された角筒形状を有し、複数の接触片は、相手側接触片挿入空間内に延びるように端子本体から引き出されている。
【0009】
端子本体は、両端部が角筒の1つの側面における角筒の軸方向に沿った中央部で互いに近接するように折り曲げられた板材から形成され、複数の接触片が、端子本体の両端部からそれぞれ角筒の内部に折り込まれた一対の折り込み片に連結されるように構成することができる。一対の折り込み片のそれぞれに2つ以上の接触片を連結してもよい。この場合、角筒の1つの側面の両端に位置する一対の角部を、支点となる端子本体の部位とすることができる。
複数の接触片は、支点となる端子本体の部位から1回以上の折り返し部分を介して配置されることが好ましい。
また、複数の接触片を相手側接触片の挿入経路上に向けて押し付ける補助ばねをさらに備えることができる。好ましくは、補助ばねは、角筒の軸方向端部から相手側接触片挿入空間内に折り返されて形成されている。
【0010】
また、端子本体は、両端部が角筒の軸方向に沿った1つの角部で互いに近接するように折り曲げられた板材から形成され、複数の接触片が、上記の1つの角部に隣接する角筒の1つの側面から引き出されるように構成することもできる。この場合、角筒の上記の1つの側面を挟んで上記の1つの角部とは反対側の角部を、支点となる端子本体の部位とすることができる。
【0011】
第2の発明に係るコネクタ端子は、端子本体から引き出された複数の接触片を有すると共に相手側コネクタ端子の相手側接触片を挿入したときに複数の接触片がそれぞれ相手側接触片に接触して変位するコネクタ端子において、端子本体は、相手側接触片が挿入される相手側接触片挿入空間が内部に形成された円筒形状を有し、複数の接触片は、相手側接触片挿入空間内に延びて、それぞれの一部が相手側接触片の挿入経路上に張り出すように端子本体から引き出されると共に挿入された相手側接触片に接触することにより端子本体に対して径方向に変位するように配列され、相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる端子本体の部位からそれぞれの配列位置までの距離が長いほど相手側接触片の挿入経路上への張り出し量が大きく設定されているものである。
【0012】
好ましくは、端子本体は、両端部が円筒の側面における円筒の軸方向に沿った1つの直線部分で互いに近接するように湾曲された板材から形成され、円筒の中心軸に関して1つの直線部分とは反対側の円筒の側面における円筒の軸方向に沿った直線部分を、支点となる端子本体の部位とすることができる。
また、端子本体および複数の接触片は、1枚の金属板から形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、複数の接触片は、相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる端子本体の部位からそれぞれの配列位置までの距離が長いほど相手側接触片の挿入経路上への張り出し量が大きく設定されているので、それぞれの接触片における応力を均等にすることができ、複数の接触片における接触圧のばらつきおよびばね特性の経時変化のばらつきを抑制して局所的な発熱の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るコネクタ端子を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るコネクタ端子を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部の内部を示す破断斜視図である。
【
図4】囲い部を省略した実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部の内部を示す破断斜視図である。
【
図5】囲い部および補助ばねを省略した実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部の内部を示す破断斜視図である。
【
図6】一対の囲い部のうちの一方の囲い部を省略した実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部を示す正面図である。
【
図7】実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部を示す背面図である。
【
図10】一対の囲い部を省略した実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部を示す正面図である。
【
図11】相手側接触片が挿入される前の実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部を示す断面図である。
【
図12】相手側接触片が挿入された状態の実施の形態1に係るコネクタ端子の端子部を示す断面図である。
【
図13】仮に複数の接触片の張り出し量を均等にしたコネクタ端子の端子部を模式的に示す正面図である。
【
図14】補助ばねを含むコネクタ端子の端子部を模式的に示す正面図である。
【
図15】相手側接触片が挿入されたときの折り込み片および複数の接触片の変位を模式的に示す正面図である。
【
図16】相手側接触片が挿入されたときの角筒の側面、折り込み片および複数の接触片の変位を模式的に示す正面図である。
【
図17】相手側接触片が挿入されたときの補助ばねの変位を模式的に示す正面図である。
【
図18】相手側接触片が挿入されたときの複数の接触片および補助ばねの変位を模式的に示す正面図である。
【
図19】嵌合前の実施の形態1に係るコネクタ端子を用いたハーネス側コネクタと相手側コネクタ端子を用いた機器側コネクタを、機器側コネクタの側から見た斜視図である。
【
図20】嵌合前の実施の形態1に係るコネクタ端子を用いたハーネス側コネクタと相手側コネクタ端子を用いた機器側コネクタを、ハーネス側コネクタの側から見た斜視図である。
【
図22】ブスバーに取り付けられた相手側コネクタ端子を示す斜視図である。
【
図23】嵌合完了時の実施の形態1に係るコネクタ端子を用いたハーネス側コネクタと相手側コネクタ端子を用いた機器側コネクタを、機器側コネクタの側から見た斜視図である。
【
図24】嵌合完了時の実施の形態1に係るコネクタ端子を用いたハーネス側コネクタと相手側コネクタ端子を用いた機器側コネクタを、ハーネス側コネクタの側から見た斜視図である。
【
図25】実施の形態2に係るコネクタ端子の端子部を模式的に示す正面図である。
【
図26】実施の形態3に係るコネクタ端子の端子部を模式的に示す正面図である。
【
図27】従来のコネクタ端子の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および
図2に、この発明の実施の形態1に係るコネクタ端子11の構成を示す。コネクタ端子11は、中心軸C1を有し、中心軸C1に沿って後端側に電線保持部12を有すると共に、前端側には電線保持部12と一体に形成された端子部13を備えている。
電線保持部12には、後端部に、このコネクタ端子11に接続される電線を通す環状の電線押さえ14が形成され、電線押さえ14の前方に、電線の導体部に圧力をかけて保持および接続を行う電線圧着部15が形成されている。
【0016】
端子部13は、コネクタ端子11の中心軸C1を軸とし且つ細長いほぼ矩形の断面を有する角筒形状の端子本体16を有している。端子本体16は、底板部17と、底板部17に対向すると共に底板部17と平行な天井部18と、底板部17の両側端と天井部18の両側端をそれぞれ接続する一対の側壁部19とを有している。これらの底板部17、天井部18および一対の側壁部19により角筒の4つの側面部分が構成されている。
端子本体16の天井部18は、中心軸C1に沿った中央部で2つの上板部20に分割され、それぞれの上板部20が対応する側壁部19に連結されている。
【0017】
また、電線保持部12とは反対側の端子本体16の前端部に、一対の囲い部21が形成されている。これらの囲い部21は、角筒形状の端子本体16の前端部を覆うように、それぞれの側壁部19の前端から中心軸C1の近傍まで側壁部19に対して垂直に延びている。ただし、それぞれの囲い部21は、側壁部19の高さよりも低い高さを有し、囲い部21の上縁は端子本体16の天井部18とほぼ同一面まで至るものの、囲い部21の下縁は端子本体16の底板部17にまで届かず、これにより、一対の囲い部21と端子本体16の底板部17の前端との間に、相手側コネクタ端子の相手側接触片を受け入れる挿入口22が形成されている。一対の囲い部21は、相手側接触片の挿入のガイドとして機能すると共に、端子本体16内の接触片25の破損を防止する作用を有している。
ここで、便宜上、端子本体16の底板部17および天井部18が延びる面をXY面、側壁部19が延びる面をYZ面、端子部13から電線保持部12に向けて中心軸C1が延びる方向を+Y方向、端子本体16の底板部17から天井部18に向かう方向を+Z方向と呼ぶものとする。
【0018】
中心軸C1を通るYZ面で端子部13を切断して2分割したときの一方の分割部分を
図3に示す。角筒形状の端子本体16の内部に、挿入口22に連通する相手側接触片挿入空間Sが形成されている。また、端子本体16の上板部20の後端の側部から折り返し部分23が端子本体16の内部に向けて−Z方向に延び、この折り返し部分23を介して上板部20の直下に上板部20と平行にXY面に沿って延びる折り込み片24が形成され、さらに、折り込み片24の前端から2つの接触片25が囲い部21に向かって−Y方向に延びている。
また、上板部20の前端から端子本体16の内部に折り返されて+Y方向に延びる補助ばね26が、上板部20と接触片25との間に形成されている。
【0019】
囲い部21を省略した
図4に明確に示されるように、2つの接触片25は、それぞれ、折り込み片24の前端から−Y方向に延びると共に断面が「く」の字状に屈曲している。補助ばね26の先端部は、折り込み片24の前端部分に接触し、折り込み片24の前端部分を底板部17に向けて−Z方向に押し付けている。これにより、折り込み片24を介して接触片25が底板部17に向けて押し付けられることとなる。
また、底板部17には、それぞれ相手側接触片挿入空間S内に突出する複数の突起部27が形成されている。
さらに、
図5は、囲い部21と補助ばね26を省略して端子本体16の内部を示したものである。2つの接触片25が、相手側接触片挿入空間S内に延びるように端子本体16の上板部20から引き出されている様子が明確に示されている。
【0020】
図3〜5では、中心軸C1を通るYZ面で切断された端子部13の一方の分割部分のみが示されていたが、残りの分割部分は、中心軸C1を通るYZ面に関して、
図3〜5に示した分割部分と面対称の構造を有している。すなわち、
図6および
図7に示されるように、一対の上板部20からそれぞれ2つの接触片25が引き出され、計4つの接触片25が相手側接触片挿入空間S内を−Y方向に延びている。
なお、4つの接触片25のうち、双方の側壁部19に近接した外側に位置する一対の接触片を接触片25a、側壁部19から離れた内側に位置する一対の接触片を接触片25bと呼ぶこととする。
【0021】
ここで、実施の形態1に係るコネクタ端子11に接続される相手側コネクタ端子31を
図8に示す。相手側コネクタ端子31は、平板形状を有すると共に中心軸C2を有し、中心軸C2に沿った前端に相手側接触片32が形成され、後端には、取付孔33が形成されている。
図6および
図7に示したように、コネクタ端子11の接触片25aおよび25bの下端部、すなわち、底板部17にもっとも近接する接触片25aおよび25bの部位は、いずれも、底板部17に形成された突起部27の頂点よりも高い位置にあり、接触片25aおよび25bの下端部と突起部27との間に相手側コネクタ端子31の相手側接触片32が挿入されることとなる。
【0022】
図9に示されるように、コネクタ端子11のそれぞれの接触片25は、予め、下端部が相手側接触片32の挿入経路R上に張り出すように設定されており、これにより、コネクタ端子11の相手側接触片挿入空間Sに相手側接触片32を挿入したときに、それぞれの接触片25が相手側接触片32から反力を受けて弾性変形し、相手側接触片32が、4つの接触片25の下端部と端子本体16の底板部17の複数の突起部27との間に挟まれて保持される。
【0023】
この実施の形態1のコネクタ端子11では、
図10に示されるように、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が、4つの接触片25において均一ではなく、互いに接続された側壁部19と上板部20の間に形成されている角部28からの距離に応じて、4つの接触片25は、互いに異なる張り出し量を有している。
具体的には、4つの接触片25のうち、対応する角部28から第1の距離Laだけ離れている外側の一対の接触片25aは、相手側接触片32の挿入経路Rに対して張り出し量Haを有しているが、対応する角部28から、第1の距離Laよりも長い第2の距離Lbだけ離れている内側の一対の接触片25bは、相手側接触片32の挿入経路Rに対して、接触片25aにおける張り出し量Haよりも大きな張り出し量Hbを有している。
このように、対応する角部28からの距離が長い接触片25ほど、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されている。
【0024】
そして、
図11に示されるように、相手側コネクタ端子31の相手側接触片32をコネクタ端子11の挿入口22に接近させ、
図12に示されるように、相手側接触片32をコネクタ端子11の相手側接触片挿入空間S内に挿入すると、それぞれの接触片25が相手側接触片32に接触して弾性変形し、相手側接触片32が4つの接触片25により底板部17の複数の突起部27に向けて押し付けられる。これにより、4つの接触片25と相手側接触片32とが互いに導電接続される。
このとき、4つの接触片25のうち、外側の一対の接触片25aと内側の一対の接触片25bとでは、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が異なると共に、それぞれの接触片の配置位置が異なることから、挙動が互いに相違することとなる。
【0025】
以下に、相手側接触片32を挿入したときの接触片25aと接触片25bの挙動について説明する。
まず、
図13に示されるように、コネクタ端子11の端子部13の構造を模式的に捉えると共に、仮に、接触片25aと接触片25bの下端部が同一高さに形成され、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量Hが均等であるような端子構造を想定する。同様にして、
図14に示されるように、補助ばね26がそれぞれ対応する上板部20に連結されている構造も模式的に捉える。また、端子部13の上板部20と折り込み片24は互いに同一の材質および同一の厚さを有し、接触片25aと接触片25bも、互いに同一の材質、同一の形状およびサイズに形成されているものとする。
【0026】
コネクタ端子11の端子部13に相手側接触片32が挿入されて外側の接触片25aと内側の接触片25bの下端部がそれぞれ平板形状の相手側接触片32の表面に接触したときに、
図15に示されるように、折り込み片24のみに注目すると、折り込み片24は、折り返し部分23との接続点から延びているため、この接続点を支点P1として、支点P1からの距離が長い外側の接触片25aの配置位置の方が、内側の接触片25bの配置位置よりも折り込み片24の変位量が大きくなる。その結果、接触片自体の変形量は、外側の接触片25aの方が内側の接触片25bよりも小さくなる。
次に、
図16に示されるように、上板部20に注目すると、上板部20と側壁部19との間の角部を支点P2として、支点P2からの距離が長い内側の接触片25bの配置位置の方が、外側の接触片25aの配置位置よりも上板部20の変位量が大きくなり、接触片自体の変形量は、内側の接触片25bの方が外側の接触片25aよりも小さくなる。
【0027】
ここで、折り込み片24と上板部20とを合わせて考えると、上板部20の方が折り込み片24よりも対応する支点から長い距離を占めているので、支点P2からの距離が長い内側の接触片25bの配置位置の方が、外側の接触片25aの配置位置よりも変位量が大きく、このため、接触片自体の変形量は、内側の接触片25bの方が外側の接触片25aよりも小さくなる。
また、
図17に示されるように、補助ばね26に注目すると、補助ばね26は上板部20に取り付けられているため、補助ばね26の幅方向に関して、支点P2からの距離が長い内側の接触片25bに対応する部位の方が、外側の接触片25aに対応する部位よりも変位量が大きくなる。従って、補助ばね26が内側の接触片25bに及ぼす押し付け力は、外側の接触片25aに及ぼす押し付け力よりも小さくなる。
【0028】
以上の折り込み片24および上板部20の変位と補助ばね26の押し付け力を総合的に考慮すると、
図18に示されるように、外側の一対の接触片25aの方が内側の一対の接触片25bよりも接触片自体の変形量が大きくなることが分かる。このため、相手側接触片32が挿入された際にそれぞれの接触片25の内部に発生する応力は、外側の一対の接触片25aに集中し、コネクタを長期使用したときに、応力が大きい外側の接触片25aから応力緩和が生じるおそれがある。
【0029】
このようにして、応力の大きい1つの接触片25aに応力緩和が生じると、この接触片25aにより相手側接触片32に及ぼされる荷重が低下し、接触抵抗が増大して発熱を生じ、さらに応力緩和が加速されることとなる。そして、接触片25aが導通不能となると、コネクタの電流路が残りの接触片25のみとなり、残りの接触片25に設計値を越える電流が流れて発熱を生じ、今度は、残りの接触片25に応力緩和が進行して、同様に、残りの接触片25のうち応力の大きい接触片25から導通不能へと向かうこととなる。最終的に残った1つの接触片25に全ての電流が流れ、異常過熱を招く事態となる。
【0030】
そこで、この実施の形態1では、4つの接触片25の下端部を同一高さとすることなく、
図10に示したように、相手側接触片32に接触した際に生じる変位の支点P2となる角部28からの距離が長い接触片25ほど、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されている。それぞれの接触片25の張り出し量は、相手側接触片32が挿入された際に接触片25の内部に発生する応力が均等となるように設計される。応力を均等とした上で、さらに、接触片25の幅を調整する等により、それぞれの接触片25による接触圧が均等となるようにコネクタ端子11の端子部13が設計される。
【0031】
なお、この実施の形態1に係るコネクタ端子11の端子部13は、端子本体16から4つの接触片25までを、銅、ステンレス等からなる1枚の金属板を曲げ加工することにより製造することができる。さらに、端子本体16の上板部20と折り込み片24を接続する折り返し部分23が上板部20の後端の側部から引き出され、4つの接触片25が折り込み片24から端子本体16の前端に向かって延び、補助ばね26が上板部20の前端から引き出されて端子本体16の内部に折り返されるため、これら折り返し部分23、折り込み片24、接触片25および補助ばね26は、コネクタ端子11の電線保持部12に干渉することがなく、端子部13と電線保持部12を合わせてコネクタ端子11の全体を1枚の金属板を折り曲げることで製造することが可能となる。
【0032】
図19および
図20に、この実施の形態1に係るコネクタ端子11を用いたハーネス側コネクタ41と相手側コネクタ端子31を用いた機器側コネクタ42を示す。ハーネス側コネクタ41は、電線43の端部に取り付けられると共にハーネス側コネクタハウジング44を有し、機器側コネクタ42は、モータ、インバータ等の電気機器の壁部45に固定され、機器側コネクタハウジング46を有している。
【0033】
ハーネス側コネクタ41の構造を
図21に示す。コネクタ端子11の電線保持部12に電線43の端部を接続すると共にコネクタ端子11の後端部に防水ゴム部材47を装着し、電気絶縁性を有するハーネス側コネクタハウジング44内にシールド部材48を介してコネクタ端子11を挿入し、留め金49を用いてシールド部材48を電線43の編組50に接続および固定した後、リテーナ51の固定用孔52にハーネス側コネクタハウジング44の突起53を嵌め込んでリテーナ51をハーネス側コネクタハウジング44の後端部に装着することで、ハーネス側コネクタ41が組み立てられる。また、ハーネス側コネクタ41を機器側コネクタ42に嵌合したときに機器側コネクタ42との境界部で防水効果を奏するために、ハーネス側コネクタハウジング44内に、環状の防水ゴム部材54が嵌め込まれる。
【0034】
一方、機器側コネクタ42においては、
図8に示した相手側コネクタ端子31が電気絶縁性を有する機器側コネクタハウジング46内に収容された状態で、機器側コネクタハウジング46が電気機器の壁部45に固定されている。相手側コネクタ端子31の後端部は、機器側コネクタハウジング46から露出して電気機器の内部に突出し、
図22に示されるように、相手側コネクタ端子31の取付孔33に通されたボルト55を用いて相手側コネクタ端子31がブスバー56に接続されている。
そして、
図23および
図24に示されるように、ハーネス側コネクタ41のハーネス側コネクタハウジング44を機器側コネクタ42の機器側コネクタハウジング46に嵌め合わせることにより、機器側コネクタ42とハーネス側コネクタハウジング44とが接続される。これにより、機器側コネクタ42の相手側コネクタ端子31の相手側接触片32が、ハーネス側コネクタ41のコネクタ端子11の端子部13内に挿入され、端子部13の4つの接触片25にそれぞれ接触して導電接続される。
【0035】
図10に示したように、4つの接触片25のうち、相手側接触片32に接触した際に生じる変位の支点P2となる角部28からの距離が長い接触片25ほど、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が予め大きく設定されており、それぞれの接触片25の内部に発生する応力が均等になると共にそれぞれの接触片25による接触圧が均等となるように設計されている。このため、一部の接触片25への応力集中に起因した接触圧のばらつきおよび接触片25のばね特性の経時変化のばらつきが抑制され、長期間の使用に際しても、局所的な発熱の発生を防止することが可能となる。その結果、電気的接続の信頼性の高いコネクタが実現される。
【0036】
この実施の形態1のように、4つの接触片25における相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量を調整する代わりに、接触片を含む端子本体の形成材料として応力緩和しにくい材料を使用することにより、局所的な応力緩和の発生を回避する方法も考えられるが、高い導電率を有しながらも応力緩和が小さい材料を選択することは難しく、コネクタ設計の自由度が小さくなるのが現状である。
これに対して、実施の形態1では、局所的な応力緩和発生の問題を構造上の工夫によって改善しているため、コネクタ設計の自由度が大きくなる。
【0037】
なお、コネクタ端子11の端子部13は、4つの接触片25を有していたが、これに限るものではなく、相手側接触片32に接触した際に生じる変位の支点となる端子本体16の部位からそれぞれの接触片の配列位置までの距離が長いほど相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されていれば、2つ、3つ、あるいは5つ以上の接触片を有していてもよい。
また、補助ばね26で折り込み片24の前端部分を押し込むことにより、それぞれの接触片25が相手側接触片32の挿入経路R上に向けて押し付けられていたが、接触片25のみで十分な接触圧が得られる場合には、補助ばね26を省略することもできる。
さらに、コネクタ端子11が1枚の金属板を曲げ加工することにより製作されていたが、これに限るものではなく、ダイキャスト、切削等により製作することもできる。
【0038】
実施の形態2
上記の実施の形態1においては、端子本体16の天井部18が、中心軸C1に沿った中央部で2つの上板部20に分割され、それぞれの上板部20から2つの接触片25が引き出されていたが、例えば、
図25に模式的に示されるように、角筒形状を有する端子本体61の天井部を1枚の上板部62で構成し、この上板部62から4つの接触片63を引き出すこともできる。
この場合、端子本体61を、両端部が角筒の軸方向に沿った1つの角部64で互いに近接するように折り曲げられた金属板から形成し、角部64に隣接する角筒の側面を形成する上板部62から4つの接触片63を引き出せばよい。
【0039】
4つの接触片63は、それぞれ、端子本体61内への相手側接触片32の挿入経路R上に張り出しており、相手側接触片32を挿入した際に相手側接触片32からの反力を受けて互いに同一方向に変位するが、このとき、上板部62も、上板部62を挟んで角部64とは反対側の角部65を支点Pとして変位する。
そこで、支点Pとなる角部65からの距離が長い接触片63ほど、相手側接触片32の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されている。すなわち、4つの接触片63のうち、支点Pからの距離がもっとも短い値Laを有する接触片63aの張り出し量はもっとも小さく、支点Pからの距離がLb、LcおよびLdと次第に長くなる接触片63b、63cおよび63dの張り出し量は次第に大きく設定されている。
【0040】
実施の形態1と同様に、それぞれの接触片63の張り出し量は、相手側接触片32が挿入された際に接触片63の内部に発生する応力が均等となるように設計され、さらに、それぞれの接触片63による接触圧が均等となるように端子部が設計される。これにより、一部の接触片63への応力集中に起因した接触圧のばらつきおよび接触片63のばね特性の経時変化のばらつきが抑制され、長期間の使用に際しても、局所的な発熱の発生を防止することが可能となる。
【0041】
実施の形態3
上記の実施の形態1および2においては、端子本体16および61が角筒形状を有していたが、これに限るものではなく、例えば、
図26に模式的に示されるように、円筒形状の端子本体71の内部に形成された相手側接触片挿入空間に、端子本体71と共通の中心軸Gを有する円筒形状の相手側接触片を挿入するように構成することもできる。相手側接触片の挿入経路がRで示されている。
端子本体71は、両端部が円筒の側面における円筒の軸方向に沿った1つの直線部分72で互いに近接するように湾曲された金属板から形成され、4つの接触片73が、相手側接触片挿入空間内に延びて、それぞれの一部が相手側接触片の挿入経路R上に張り出すように端子本体71から引き出され、相手側接触片に接触することにより端子本体71に対して径方向に変位するように配列形成されている。
【0042】
これら4つの接触片73は、端子本体71の相手側接触片挿入空間内に相手側接触片を挿入した際に相手側接触片に接触し、それぞれ相手側接触片からの反力を受けて端子本体71に対し径方向に変位するが、このとき、端子本体71は、湾曲した端子本体71の中心部、すなわち、円筒の中心軸Gに関して直線部分72とは反対側の円筒の側面における円筒の軸方向に沿った直線部分74を支点Pとして変位する。
そこで、支点Pとなる直線部分74からの距離が長い接触片73ほど、相手側接触片の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されている。
【0043】
なお、4つの接触片73は、支点Pとなる直線部分74の両側に対称に2つずつ分割されて配置されており、支点Pから端子本体71の周方向に沿って第1の距離Laだけ離れた一対の接触片73aと、第1の距離Laよりも長い第2の距離Lbだけ離れた一対の接触片73bから構成されており、支点Pからの距離が長い一対の接触片73bは、支点Pからの距離が短い一対の接触片73aよりも、相手側接触片の挿入経路R上に対する張り出し量が大きく設定されている。
【0044】
実施の形態1および2と同様に、それぞれの接触片73の張り出し量は、相手側接触片が挿入された際に接触片73の内部に発生する応力が均等となるように設計され、さらに、それぞれの接触片73による接触圧が均等となるように端子部が設計される。これにより、一部の接触片73への応力集中に起因した接触圧のばらつきおよび接触片73のばね特性の経時変化のばらつきが抑制され、長期間の使用に際しても、局所的な発熱の発生を防止することが可能となる。
【0045】
なお、上記の実施の形態2および3においても、実施の形態1と同様に、接触片63および73は、4つに限るものではなく、相手側接触片に接触した際に生じる変位の支点となる端子本体の部位からそれぞれの接触片の配列位置までの距離が長いほど相手側接触片の挿入経路R上への張り出し量が大きく設定されていれば、2つ、3つ、あるいは5つ以上の接触片を有していてもよい。