【実施例】
【0053】
実施例1:ヒトオピオイド受容体の結合及び活性化
式Iのペプチドは、ヒトμオピオイド受容体に対する驚くほど高い親和性(サブナノモル)を示し、δ及びκオピオイド受容体と比べて選択的結合を有していた。
3H−DAMGO(トリチウム化された[D−Ala
2、N−Me−Phe
4、Gly−オール]−エンケファリン;CAS#78123−71−4)、
3H−DPDPE(CAS#88373−73−3)、及び
3H−U69593(CAS#96744−75−1)を用いて、ヒトのクローン化受容体を発現するCHO細胞由来の膜中で、それぞれ、μ、δ、及びκ受容体を標識をする標準的な結合アッセイで、化合物を試験した。表2に示すように、エンドモルフィン−1(EM1、配列番号:8)及びエンドモルフィン−2(EM2、配列番号:9)は、以前に報告されている最も選択的な内在性μアゴニストである。これらの天然オピオイドに基づく類似体は、選択性はあまり高くないが、μ受容体に対するより大きい親和性を示す。以前に記載されているテトラペプチドエンドモルフィン類似体(米国特許第5,885,958号;ck1、Tyr−c[D−Lys−Trp−Phe](配列番号:10);ck2、Tyr−c[D−Lys−Phe−Phe](配列番号:11))は、試験した化合物の中で最も高い親和性を示した。親水性アミノ酸及びアミド化されたカルボキシ末端を含む式Iのペプチド(化合物1、2、5)は、高い親和性結合を保持したが、μ受容体に対する選択性を増加させた。
【表2】
【0054】
受容体活性化:GTPγS機能アッセイ。非加水分解性GTP類似体の
35S−GTPγSを用いて、細胞膜に発現したクローン化ヒトオピオイド受容体の活性化を定量する標準的なアッセイで、3つのオピオイド受容体の機能的活性化を試験した。
図4Aは、化合物1が、参照化合物のDAMGOよりも有意に大きい潜在能力を有する完全効力アゴニストであることを示している。
図4Bは、化合物1がδアンタゴニストとしての予想外の完全効力を示すことを示している;すなわち、それは、参照δアゴニストのSNC80(CAS#156727−74−1)のED
80用量によってもたらされるδ活性化を阻害することができる。表3は、試験した全てのアゴニストが、低ナノモルからサブナノモル濃度のEC
50(有効濃度中央値)値を有する、μ受容体の強力な活性化因子であることを示している。全ての化合物は、μ受容体での完全効力(>90%)アゴニストであることが分かった。エンドモルフィン及び本発明の式Iの化合物は、受容体活性化に対する顕著な選択性を示し、δ活性化は、最大10μMの濃度で50%未満であり、>100000の選択性を示した。しかしながら、化合物1及び3は、完全効力δアンタゴニズムを示し;化合物1は、比較的低い濃度でこのアンタゴニズムを示した。
【表3】
a硫酸モルヒネ
【0055】
受容体活性化:β−アレスチン動員。β−アレスチンは、アゴニストによる活性化の後に、μオピオイド受容体に動員される細胞内タンパク質である。それは、多くの場合、周知のG−タンパク質介在性経路から独立している細胞内シグナル伝達経路を活性化することが示されている。β−アレスチンノックアウトマウスは、鎮痛の増加、並びに耐性、呼吸抑制、及び便秘などの副作用の減少を含む、モルヒネに対する応答性の変化を示すことが最近示された(16)。これらの結果は、モルヒネの鎮痛作用及び副作用が、細胞シグナル伝達プロセスの操作によって分離可能であることを示している。これらの知見は、「機能的選択性」、「偏ったアゴニズム」、「アゴニスト指向性シグナル伝達」、及び他の表現として様々に知られる最近の概念を支持する。この概念によれば、所与の受容体で異なるシグナル伝達カスケードを生じさせることができるアゴニストは、その受容体の他のアゴニストと比べて、異なるプロファイルの望ましい効果及び望ましくない効果をもたらすことができる。本発明の類似体のうちの3つを試験し、これらは、互いに異なりかつモルヒネとは異なるβ−アレスチン動員のパターン(低い効力を有する高い潜在能力から顕著な効力を有する中等度の潜在能力の範囲に及ぶ)を示した。先の実施例に記載された、モルヒネと比べた示差鎮痛作用/副作用プロファイルと合わせて、βアレスチンの結果は、これらの化合物が、有害副作用よりも鎮痛に有利に働く「機能的選択性」を示すことを示唆している。
【0056】
高いμアゴニスト選択性の有用性(すなわち、複数の受容体の活性化に起因する潜在的副作用の排除)を超えて、δアンタゴニズムは、オピオイド誘発性の耐性、依存性、及び報酬を減弱させると考えられる。1991年に初めて示され(1)、それ以降、数多くの研究で裏付けられたように、δアンタゴニストは、モルヒネ誘発性の耐性及び依存性を低下させる一方で、鎮痛を維持又は増強することができる。最近の研究(11)は、下記の条件付け場所嗜好性(CPP)試験で示されるような、μアゴニスト/δアンタゴニストの報酬特性の低下も示した。μアゴニスト/δアンタゴニストとしての及びμ/δ受容体二量体における式Iのペプチド(例えば、化合物1)の活性は、このペプチドが、耐性、依存性、及び報酬の低下を伴って、効果的な鎮痛を生じさせることを示している(18)。
【0057】
実施例2:モルヒネと比べて、静脈内投与後の持続期間はより長いが、呼吸抑制の低下を伴う鎮痛の提供
呼吸抑制は、オピオイドの使用における主な安全性の問題である。モルヒネによって生じるのと同じぐらい効果的な鎮痛を提供するが、呼吸抑制をあまり伴わないオピオイドは、オピオイド鎮痛薬の安全な使用にとって大きな進歩となるであろう。静脈内(i.v.)注射などの全身投与の後の有効性は、ペプチドベースの化合物にとっては稀であり、その臨床的有用性にとって重要なものとなるであろう。2つのペプチド(化合物1及び2)を、モルヒネと比べた、呼吸(分時換気量)及び痛覚抑制の持続期間に対するそれらの効果について試験した。留置頸静脈カテーテルを有するラットを、複数の呼吸パラメータを測定するためのBUXCO(商標)全身プレチスモグラフ装置内に入れた。ビヒクル(生理食塩水)のi.v.注射後20分間、ベースライン分時換気量を測定した。その後、動物にモルヒネ又は試験化合物を注射し、全ての化合物による分時換気量の最大阻害の期間である20分間、ベースラインからの変化を測定した。標準的なテールフリック(TF)試験を用いて、痛覚抑制を測定した。ベースライン試験を実施した後、20分の呼吸試験の最後に、及びその後は、TF潜伏期間が2×ベースラインTF未満に戻るまで20分毎に、動物をBUXCO(商標)チャンバー内に入れた。ベースライン潜伏期間は3〜4秒であり、カットオフ時間(「最大痛覚抑制」)は、組織損傷を避けるために、9秒に設定された。
【0058】
図5Aは、10mg/kg用量の化合物1及び2が、他の全ての処理よりも有意に長い痛覚抑制をもたらし(
**=p<0.01)、5.6mg/kg用量が、10mg用量のモルヒネと同様の痛覚抑制をもたらしたことを示している。化合物1及び2のより大きな抗侵害受容作用にもかかわらず、呼吸の有意に(
*p<0.05)小さい阻害が、両方の用量の化合物1、及び5.6mg/kg用量の化合物2で認められた(
図5B)。これらの結果は、現在の標準的オピオイド鎮痛薬に優る予想外のかつ明らかにより安全な式Iのペプチドの治療プロファイルを示している。
【0059】
実施例3:神経運動協調及び認知機能の障害の低下を伴うモルヒネよりも持続期間が長い鎮痛の提供
神経運動及び認知障害は、2つの集団、すなわち、軍の戦闘部隊(この場合、差し迫った危機からの逃避が、障害のない運動及び認知技能を必要とし得る)、並びに高齢者(この場合、これらの障害は、骨折のリスクの増加をもたらし得るバランス障害を含む機能障害を悪化させ得る)において特に重要であるオピオイドの特徴である。
【0060】
実施例3a:神経運動協調
図6Aは、化合物2が、モルヒネ(MS)と比べて、有意により大きい痛覚抑制をもたらすが、有意に低下した運動障害をもたらすことを示している。両方の化合物をラットにおいて累積的静脈内(i.v.)用量で投与した。増加する4分の1対数用量を20分毎に投与し、テールフリック(TF)試験(尾部を熱光線から外すまでの潜伏期間の試験)、次いで、ロータロッド試験を、各々の注射の約15分後に実施した。各動物が、[(TFまでの潜伏期間−ベースライン潜伏期間)/(組織損傷を回避するための9秒の最大(カットオフ)時間)−ベースライン)]×100によって決定される、TF試験に対する90%を超える最大可能効果(%MPE)を示すまで、漸増用量を投与した。その後、動物を、3分間にわたって1分間に13回転(RPM)まで上昇する速度で回転するロッドの上に置き、ロッドから落下するまでの潜伏期間を測定した。薬物未投与状態で訓練する間の全180秒間、ロッドの上に一貫して留まり続けている動物のみを試験した。運動協調の%最大可能阻害(%MPI)を、100−(落下するまでの潜伏期間/180×100)として決定した。
【0061】
これら2つの化合物は、よく似た最大痛覚抑制の発現を示したが、135分及び155分でのモルヒネ群のTF潜伏期間よりも有意に(
*=p<0.05)長いTF潜伏期間によって示されるように、化合物2は、有意に長い痛覚抑制をもたらした(
図6A)。このより大きい痛覚抑制にもかかわらず、運動障害は、モルヒネの運動障害よりも有意に小さかった(
図6B、
*p<0.05)。モルヒネによる運動行動の障害は、ビヒクル対照の運動行動の障害よりも有意に大きかったが(
*p<0.05)、化合物2の運動行動の障害は、そうではなかった。
【0062】
実施例3b:認知障害
広く用いられている標準的な認知機能試験は、モリス水迷路(MWM)である。訓練中、ラットは、空間記憶に基づいて、隠れた避難台を探す方法を習得する。台までの平均潜伏期間、及び台からの平均距離(泳ぐスピードによって影響を受けない尺度)は、課題を習得するにつれて減少し、空間記憶の指標を提供する。訓練4日後、台までの潜伏期間、及び台からの平均距離の有意な増加によって示されるように、モルヒネの注射は、空間記憶の障害をもたらした。対照的に、モルヒネと同等又はそれよりも大きい痛覚抑制を提供する用量の化合物2は、有意な障害をもたらさなかった。これらの結果は、現在の標準的なオピオイド鎮痛薬と比べて、認知機能に関する式1のペプチドの予想外でかつ優れた治療プロファイルを示している。
【0063】
実施例4:モルヒネと比べて、持続時間はより長いが、報酬は低下している鎮痛の提供
オピオイドは、依然として、激しい痛みを緩和するための標準治療であるが、鎮痛薬の疼痛以外の用途への転用は、深刻な国家の問題になっている(oas.samhsa.gov/2k9/painRelievers/nonmedicalTrends.pdfというワールド・ワイド・ウェブのサイトで見られる、米国保健社会福祉省薬物乱用精神衛生管理局を参照されたい)。学界及び産業界における多大な努力は、「不正開封防止」型のオピオイド薬に重点が置かれているが、乱用の可能性を最小限に抑えて極めて効果的な鎮痛を提供するオピオイドを開発するのにほとんど成功していない。条件付け場所嗜好性(CPP)パラダイムは、薬物の報酬特性を示すための広く受け入れられているモデルであり、モルヒネ及びヘロインなどのオピオイドを含む、主要な種類の乱用薬物は全て、CPPを生じる。簡潔に述べると、まず第1日目に、動物に、1つの小さい「スタートボックス」と、知覚的に異なる2つのより大きいコンパートメントとからなる3つのコンパートメントの装置(この実施例では、グレーと、黒及び白のストライプ)を自由に探索させる。次の3日間、動物に、薬物のi.v.注射を投与し、1つのコンパートメントに閉じ込め、ビヒクルをもう一方に投与する。薬物が投与されるコンパートメント(ベースライン試験の間に決定される、好ましいか又は好ましくない)と同様に、薬物又はビヒクルを投与する時間(午前又は午後)を調整する。この偏りのない設計によって、薬物選好と薬物嫌悪の両方の検出が可能になる。3日間の条件付け(2日、3日、及び4日)の後、5日目に、動物を、薬物を処置しない状態で全てのコンパートメントに自由に出入りさせ、薬物対応コンパートメント(drug−paired compartment)内で費やされる絶対時間及びその時間の割合の変化を測定した。条件付け前のベースライン試験における薬物対応コンパートメント内で費やされる時間又は時間の割合の有意な増加と比べた、条件付け後の試験日における薬物対応コンパートメント内で費やされる時間又は時間の割合の有意な増加を、報酬特性及び潜在的乱用傾向を反映する条件付け場所嗜好性と解釈する。
【0064】
最大痛覚抑制をもたらすことが示されているモルヒネ又は化合物1のいずれかの累積用量(
図7A)を、CPPを誘導する能力について試験したとき(
図7B)、モルヒネは、薬物側で費やされる時間の有意な(
***p<0.01)増加をもたらしたが、化合物1はそのような増加をもたらさず、それにもかからわず、化合物1では、その注射後140〜180分の間、有意に(
*p<0.05)より大きい痛覚抑制(
図7A)が認められた。これらの知見は、モルヒネと比べた、新規の類似体のより小さい乱用傾向と一致している。
【0065】
実施例5:慢性疼痛の軽減
慢性疼痛は、人口の大部分に影響を及ぼしている。慢性疼痛の一形態である神経因性疼痛は、治療が特に難しい。
図8は、化合物2が、ラットの神経部分損傷(SNI)モデルによって誘導される神経因性疼痛の予想外に強力な緩和を提供することを示している。SNI手術の前(「手術前」)、足引っ込め応答を誘発するためには、Randall−Selitto装置を用いて後肢に適用される約177gの平均圧力が必要であった。手術の約7〜10日後、動物は、引っ込めを誘発するのに必要な平均圧力の低下(〜約70g)によって示される、痛覚過敏を示した。モルヒネ及び化合物2を、痛覚過敏の完全な軽減をもたらすために選ばれた用量で髄腔内送達により投与した。累積投与は、手術前ベースライン応答への回帰を表すED
50が、モルヒネについては約1.4μg、化合物2については約0.018μgであることを示した。モルベースでは、化合物2は、神経因性疼痛に対して、モルヒネよりも160倍強力であった。同様の結果は、切開後(手術後)の疼痛及びフロイントの完全アジュバント(CFA)によって誘導される炎症性疼痛を含む、他の形態の慢性疼痛の後に認められた。上記の実施例は、式Iのペプチドが効果的である急性又は慢性疼痛の種類に関して、例示的ではあるが、網羅的ではない。
【0066】
モルヒネの慢性投与は、グリア細胞(アストログリア及びミクログリア)の活性化の増加及び「オピオイド誘発性痛覚過敏」によって示される、脊髄での炎症応答を生じさせることがいくつかの研究において示されている。初回投与後に同様の痛覚抑制をもたらす用量のモルヒネ及び化合物1を2回/日で3日間投与したとき、モルヒネは、化合物1よりも大きいグリア活性化をもたらした。これらの結果は、式1の化合物が、モルヒネと比較して、炎症応答と関連したより少ない副作用を誘発することを示唆している。
【0067】
本明細書で引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各々の参考文献が参照により組み込まれることが個別的かつ具体的に示され、かつその全体が本明細書に示される場合と同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本発明者らによって知られている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい態様の変形は、上記の説明を読めば当業者には明らかとなり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を利用することを予期しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されているものとは別の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、準拠法により認められるものとして、本明細書に添付されている特許請求の範囲に記載されている主題の全ての変更及び等価物を含む。本明細書で別途指示されない限り、或いは文脈と明らかに矛盾しない限り、これらの全ての可能な変形における上記の要素の任意の組合せが、本発明に包含される。
本発明の態様として、例えば以下のものがある。
〔1〕式Iの環状ペプチドであって:
(I) H−Tyr−c[X
1−X
2−X
3−X
4]−X
5
式中、X
1及びX
4は、各々独立に、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり;
X
2及びX
3は、各々独立に、芳香族アミノ酸であり;
X
5は、NHR、Ala−NHR、Arg−NHR、Asn−NHR、Asp−NHR、Cys−NHR、Glu−NHR、Gln−NHR、Gly−NHR、His−NHR、Ile−NHR、Leu−NHR、Met−NHR、Orn−NHR、Phe−NHR、Pro−NHR、Ser−NHR、Thr−NHR、Trp−NHR、Tyr−NHR、又はVal−NHRであり、ここで、Rは、H又はアルキル基であり;かつアミノ酸X
1及びX
4の側鎖上のアミノ基とカルボン酸基の間にアミド結合があり;
但し、X
1が酸性アミノ酸である場合、X
4は塩基性アミノ酸であり;X
1が塩基性アミノ酸である場合、X
4は酸性アミノ酸であることを特徴とする、環状ペプチド。
〔2〕前記〔1〕に記載のペプチドであって:
(i)X
1が、D−Lys、D−Orn、Lys、及びOrnからなる群から選択され;かつX
4が、D−Asp、D−Glu、Asp、及びGluからなる群から選択されるか;又は
(ii)X
1が、D−Asp、D−Glu、Asp、及びGluからなる群から選択され;かつX
4が、D−Lys、D−Orn、Lys、及びOrnからなる群から選択される、ペプチド。
〔3〕前記〔1〕に記載のペプチドであって:
X
2が、Trp、Phe、及びN−アルキル−Pheからなる群から選択され、ここで、N−アルキル−Pheのアルキル基が、1〜約6個の炭素原子を含み;かつ
X
3が、Phe、D−Phe、及びp−Y−Pheからなる群から選択され、ここで、Yが、NO
2、F、Cl、又はBrである、ペプチド。
〔4〕X
2がN−メチル−Pheである、前記〔3〕に記載のペプチド。
〔5〕X
3がp−Cl−Pheである、前記〔3〕に記載のペプチド。
〔6〕RがHであり、X
5がNH
2である、前記〔1〕に記載のペプチド。
〔7〕RがHであり、X
5が、Ala−NH
2、Arg−NH
2、Asn−NH
2、Asp−NH
2、Cys−NH
2、Glu−NH
2、Gln−NH
2、Gly−NH
2、His−NH
2、Ile−NH
2、Leu−NH
2、Met−NH
2、Orn−NH
2、Phe−NH
2、Pro−NH
2、Ser−NH
2、Thr−NH
2、Trp−NH
2、Tyr−NH
2、又はVal−NH
2である、前記〔1〕に記載のペプチド。
〔8〕前記アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、又はイソヘプチル基である、前記〔1〕に記載のペプチド。
〔9〕前記〔1〕に記載のペプチドであって:
Tyr−c[D−Lys−Trp−Phe−Glu]−NH
2(配列番号:1)、
Tyr−c[D−Glu−Phe−Phe−Lys]−NH
2(配列番号:2)、
Tyr−c[D−Lys−Trp−Phe−Glu]−Gly−NH
2(配列番号:3)、
Tyr−c[D−Glu−Phe−Phe−Lys]−Gly−NH
2(配列番号:4)、
Tyr−c[D−Lys−Trp−Phe−Asp]−NH
2(配列番号:5)、
Tyr−c[D−Glu−N−Me−Phe−Phe−Lys]−NH
2(配列番号:6)、及び
Tyr−c[D−Orn−Phe−p−Cl−Phe−Asp]−Val−NH
2(配列番号:7)からなる群から選択される、ペプチド。
〔10〕薬学的に許容される担体及び前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
〔11〕患者を治療する方法であって、前記患者に、有効量の前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドを投与することを含む、方法。
〔12〕鎮痛を提供するためか、胃腸障害の緩和を提供するためか、又は薬物依存の治療を提供するためのものである、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記胃腸障害が下痢である、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記患者が薬物乱用の病歴を有する、前記〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記ペプチドが非経口的に投与される、前記〔11〕に記載の方法。
〔16〕μ−オピオイド受容体を活性化する方法であって、前記μ−オピオイド受容体を前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドと接触させることを含む、方法。
〔17〕試料中のμオピオイド受容体の量を測定する方法であって:
(i)μオピオイド受容体を含有すると考えられる試料を、前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドと接触させて、化合物−受容体複合体を形成させること;
(ii)工程(i)で形成される複合体を検出すること;及び
(iii)工程(ii)で検出される複合体の量を定量すること
を含む、方法。
〔18〕μオピオイド受容体に結合する分子の存在を検出する競合アッセイ法であって: (i)μオピオイド受容体に結合する分子を含有すると考えられる試料を、μオピオイド受容体及び前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドと接触させ、前記ペプチド及び受容体が、化合物−受容体複合体を形成すること;
(ii)工程(i)で形成される複合体の量を測定すること;並びに
(iii)工程(ii)で測定される複合体の量を、前記試料の非存在下で前記μオピオイド受容体と前記ペプチドの間で形成される複合体の量と比較すること
を含む、競合アッセイ法。
〔19〕疼痛の治療に使用するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチド。
〔20〕薬物依存の治療に使用するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチド。
〔21〕胃腸障害の治療に使用するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチド。
〔22〕疼痛を治療するための医薬の調製のための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
〔23〕薬物依存を治療するための医薬の調製のための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
〔24〕胃腸障害を治療するための医薬の調製のための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
〔25〕疼痛を治療するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
〔26〕薬物依存を治療するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
〔27〕胃腸障害を治療するための前記〔1〕又は〔2〕又は〔3〕又は〔4〕又は〔5〕又は〔6〕又は〔7〕又は〔8〕又は〔9〕に記載のペプチドの使用。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1'〕式Iの環状ペプチドであって:
(I) H−Tyr−c[X1−X2−X3−X4]−X5
式中、X1及びX4は、各々独立に、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり;
X2及びX3は、各々独立に、芳香族アミノ酸であり;
X5は、Ala−NHR、Gly−NHR、Ile−NHR、Leu−NHR、又はVal−NHRであり、ここで、Rは、H又はアルキル基であり;かつアミノ酸X1及びX4の側鎖上のアミノ基とカルボン酸基の間にアミド結合があり;
但し、X1が酸性アミノ酸である場合、X4は塩基性アミノ酸であり;X1が塩基性アミノ酸である場合、X4は酸性アミノ酸であることを特徴とする、環状ペプチド。
〔2'〕前記〔1'〕に記載のペプチドであって:
(i)X1が、D−Lys、D−Orn、Lys、及びOrnからなる群から選択され;かつX4が、D−Asp、D−Glu、Asp、及びGluからなる群から選択されるか;又は
(ii)X1が、D−Asp、D−Glu、Asp、及びGluからなる群から選択され;かつX4が、D−Lys、D−Orn、Lys、及びOrnからなる群から選択される、ペプチド。
〔3'〕前記〔1'〕に記載のペプチドであって:
X2が、Trp、Phe、及びN−アルキル−Pheからなる群から選択され、ここで、N−アルキル−Pheのアルキル基が、1〜6個の炭素原子を含み;かつ
X3が、Phe、D−Phe、及びp−Y−Pheからなる群から選択され、ここで、Yが、NO2、F、Cl、又はBrである、ペプチド。
〔4'〕X2がN−メチル−Pheである、前記〔3'〕に記載のペプチド。
〔5'〕X3がp−Cl−Pheである、前記〔3'〕に記載のペプチド。
〔6'〕X1がD−アミノ酸である、前記〔1'〕に記載のペプチド。
〔7'〕RがHであり、X5が、Ala−NH2、Gly−NH2、Ile−NH2、Leu−NH2、又はVal−NH2である、前記〔1'〕に記載のペプチド。
〔8'〕前記アルキル基が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、又はイソヘプチル基である、前記〔1'〕に記載のペプチド。
〔9'〕式:Tyr−c[D−Orn−Phe−p−Cl−Phe−Asp]−Val−NH2(配列番号:7)を有するペプチド。
〔10'〕薬学的に許容される担体及び前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は5又は6又は7又は8又は9に記載のペプチドを含む薬学的組成物。
〔11'〕試料中のμオピオイド受容体の量を測定する方法であって:
(i)μオピオイド受容体を含有すると考えられる試料を、前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は5又は6又は7又は8又は9に記載のペプチドと接触させて、化合物−受容体複合体を形成させること;
(ii)工程(i)で形成される複合体を検出すること;及び
(iii)工程(ii)で検出される複合体の量を定量すること
を含む、方法。
〔12'〕μオピオイド受容体に結合する分子の存在を検出する競合アッセイ法であって:
(i)μオピオイド受容体に結合する分子を含有すると考えられる試料を、μオピオイド受容体及び前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は5又は6又は7又は8又は9に記載のペプチドと接触させ、前記ペプチド及び受容体が、化合物−受容体複合体を形成すること;
(ii)工程(i)で形成される複合体の量を測定すること;並びに
(iii)工程(ii)で測定される複合体の量を、前記試料の非存在下で前記μオピオイド受容体と前記ペプチドの間で形成される複合体の量と比較すること
を含む、競合アッセイ法。
〔13'〕前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドを含む、疼痛を治療するための医薬組成物。
〔14'〕前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドを含む、薬物依存を治療するための医薬組成物。
〔15'〕前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドを含む、胃腸障害を治療するための医薬組成物。
〔16'〕疼痛を治療するための医薬の調製のための前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドの使用。
〔17'〕薬物依存を治療するための医薬の調製のための前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドの使用。
〔18'〕胃腸障害を治療するための医薬の調製のための前記〔1'〕又は〔2'〕又は〔3'〕又は〔4'〕又は〔5'〕又は〔6'〕又は〔7'〕又は〔8'〕又は〔9'〕に記載のペプチドの使用。
【0069】
参考文献