(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉曲線に沿って配置され、前記主配索パターンをなす前記一連の導線を外周側に張り出させる補助ボビンをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触情報媒体。
射出成形用の型に、ICチップ、該ICチップと接続された一連の導線、及び、閉曲線に沿って配置される複数のボビンであって、各々が前記閉曲線に沿って設けられる主配索パターンを前記一連の導線に形成させ、かつ、各々の径が前記主配索パターンの径よりも小さい複数の副配索パターンを前記一連の導線に形成させる複数のボビンを含むユニットを、該ユニットの第1の面を前記型の底面に向けて配置する配置工程と、
前記第1の面と対向する前記ユニットの第2の面を覆うように、前記型に樹脂材料を注入することにより、成形を行う成形工程と、
を含むことを特徴とする非接触情報媒体の製造方法。
前記成形工程によって作製された成形品を前記型から離型し、前記型とは異なる射出成形用の第2の型に、前記第2の面を前記第2の型の底面に向けて配置する第2の配置工程と、
前記ユニットの前記第1の面を覆うように、前記第2の型に樹脂材料を注入することにより、二次成形を行う二次成形工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の非接触情報媒体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アミューズメント施設においては、ゲーム等に使用するコインを複数(例えば10枚以上)積み重ねて使用することがある。そのため、コイン代わりに非接触情報媒体を用いる場合にも、同様の形態で使用したいという要望がある。しかしながら、複数の非接触情報媒体を重ねると電磁気的な相互干渉が生じてしまうので、非接触情報媒体を複数個重ねた状態で、各非接触情報媒体と外部通信装置との間で通信を行うことが困難である。
【0007】
このような問題を解決するために、従来の非接触情報媒体に対して、特許文献4に開示された小さな巻線パターンを有するコイルアンテナを適用することが考えられる。しかしながら、このコイルアンテナをコイン型の非接触情報媒体に適用しようとすると、製造工程が困難且つ煩雑になってしまう。
【0008】
まず、コイルアンテナの作製工程において、空芯の巻線パターンを形成することは困難である。空芯の巻線パターンを形成するためには専用の設備が必要であり、汎用のコイル巻線機を適用できないため、製造工程が煩雑になると共に、製造コストが上昇してしまう。
【0009】
また、空芯コイルを両面粘着のフィルムの片面に貼り付け、他面を本体部材に貼着する工程をとる。この工程においては、粘着面に触れることができないこと、貼り間違いができないことなどから、手作業を要する。
【0010】
さらに、ICチップ及びコイルアンテナを封止し、コイン型の外形を形成する工程においては、射出成形時の熱及び圧力によりフィルムが溶融し、コイルアンテナのパターンが崩れてしまう場合もある。この場合、複数個重ねたまま通信可能という非接触情報媒体の性能を担保できなくなってしまう。安定した性能を得るためには、コイルアンテナのパターンを保持するための耐熱フィルムを貼る必要があるなど、手間がかかる。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数個重ねたまま各々が通信装置と通信可能で、且つ、製造が容易な非接触情報媒体、そのような非接触情報媒体においてコイルアンテナを巻回させる非接触情報媒体用ボビン部材、非接触情報媒体の本体の一部をなす非接触情報媒体用本体部材、及び非接触情報媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る非接触情報媒体は、非接触情報媒体の外形をなす本体と、前記本体内に収納されたICチップと、両端が前記ICチップに接続された一連の導線からなり、閉曲線に沿って設けられた主配索パターンと、各々の径が前記主配索パターンの径よりも小さい複数の副配索パターンとを含むコイルアンテナと、を備え、さらに、前記本体内に設けられ、前記閉曲線に沿って配置された複数のボビンであって、前記一連の導線を前記閉曲線に沿って巻回させることにより前記主配索パターンを形成させると共に、前記一連の導線を各々に巻回させることにより前記副配索パターンを形成させる複数のボビンを備えることを特徴とする。
【0013】
上記非接触情報媒体は、前記閉曲線に沿って配置され、前記主配索パターンをなす前記一連の導線を外周側に張り出させる補助ボビンをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
上記非接触情報媒体において、前記本体は、該本体の一部をなす第1の部材と、前記本体の一部をなし、前記第1の部材と共に、前記複数のボビン、前記ICチップ、及び前記コイルアンテナを封止する第2の部材と、を含み、前記複数のボビンは、該複数のボビンを固定する固定部材により互いに連結されて、前記第1の部材と前記第2の部材との間に収納されていることを特徴とする。
【0015】
上記非接触情報媒体は、前記固定部材の外周側に配置された金属部材をさらに備え、前記固定部材は、前記第1の部材の前記非接触情報媒体の内側となる面上に、前記複数のボビンを前記第2の部材側に向けた状態で配置され、前記金属部材は、前記第1の部材の内部に封止されていることを特徴とする。
【0016】
上記非接触情報媒体は、前記固定部材の外周側に配置され、前記第2の部材の内部に封止された金属部材をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
上記非接触情報媒体において、前記本体は、該本体の一部をなす第1の部材と、前記本体の一部をなし、前記第1の部材と共に、前記複数のボビン、前記ICチップ、及び前記コイルアンテナを封止する第2の部材と、を含み、前記複数のボビンは、前記第1の部材と前記第2の部材との内のいずれか一方の前記非接触情報媒体の内側となる面上に設けられていることを特徴とする。
【0018】
上記非接触情報媒体は、前記複数のボビンの外周側に配置された金属部材をさらに備え、前記複数のボビンは、前記第1の部材の前記非接触情報媒体の内側となる面上に設けられ、前記金属部材は、前記第1の部材の内部に封止されていることを特徴とする。
【0019】
上記非接触情報媒体は、前記複数のボビンの外周側に配置された金属部材をさらに備え、前記複数のボビンは、前記第1の部材の前記非接触情報媒体の内側となる面上に設けられ、前記金属部材は、前記第1及び第2の部材によって封止されていることを特徴とする。
【0020】
上記非接触情報媒体は、前記複数のボビンの外周側に配置された金属部材をさらに備え、前記複数のボビンは、前記第1の部材の前記非接触情報媒体の内側となる面上に設けられ、前記金属部材は、前記第2の部材と、前記第1の部材とは異なる第3の部材とによって封止されていることを特徴とする。
【0021】
上記非接触情報媒体において、前記本体はコイン形状をなすことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る非接触情報媒体用ボビン部材は、非接触情報媒体において導線を巻回させることにより所定のコイルアンテナのパターンを形成させる非接触情報媒体用ボビン部材であって、閉曲線に沿って配置された複数のボビンと、前記複数のボビンを互いに連結する固定部材と、を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る非接触情報媒体用本体部材は、非接触情報媒体の本体の一部をなす非接触情報媒体用本体部材であって、前記非接触情報媒体の内側となる面上に閉曲線に沿って配置された複数のボビンを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る非接触情報媒体の製造方法は、射出成形用の型に、ICチップ及び該ICチップと接続されたアンテナを含むユニットを、該ユニットの第1の面を前記型の底面に向けて配置する配置工程と、前記第1の面と対向する前記ユニットの第2の面を覆うように、前記型に樹脂材料を注入することにより、成形を行う成形工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
上記非接触情報媒体の製造方法は、前記成形工程によって作製された成形品を前記型から離型し、前記型とは異なる射出成形用の第2の型に、前記第2の面を前記第2の型の底面に向けて配置する第2の配置工程と、前記ユニットの前記第1の面を覆うように、前記第2の型に樹脂材料を注入することにより、二次成形を行う二次成形工程と、をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
上記非接触情報媒体の製造方法において、前記アンテナは、両端が前記ICチップに接続された一連の導線からなり、閉曲線に沿って設けられた主配索パターンと、各々の径が前記主配索パターンの径よりも小さい複数の副配索パターンとを含むことを特徴とする。
【0027】
上記非接触情報媒体の製造方法において、前記ユニットは、前記閉曲線に沿って配置された複数のボビンであって、前記一連の導線を前記閉曲線に沿って巻回させると共に、前記一連の導線を各々に巻回させる複数のボビンを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、閉曲線をなす主配索パターンと、該閉曲線に沿って配置された複数の副配索パターンとを含むコイルアンテナのパターンを、該閉曲線に沿って配置された複数のボビンに導線を巻回することにより作製することで、複数個重ねたまま各々が通信装置と通信可能な非接触情報媒体を容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触情報媒体の外観を示す模式図である。また、
図2は、
図1のA−A断面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係る非接触情報媒体10は円形のコイン形状をなし、非接触情報媒体10の本体の一部をなす本体部材下部11と、非接触情報媒体10の本体の一部をなし、本体部材下部11と共に非接触情報媒体10の内蔵物を封止する本体部材上部12とを備える。また、非接触情報媒体10の表面及び裏面(図示せず)には、コインの額面等が表示されたラベル10aが貼付されている。なお、
図1においては、色の異なる部分に網掛けを施している。
【0032】
図2に示すように、非接触情報媒体10の内部には、本体部材下部11上に配置されたボビン部材13と、該ボビン部材13上に配置されたICチップ14と、ボビン部材13に配置されたボビン(後述するボビン部13b及び補助ボビン部13c、13d)に巻回された一連の導線15とが設けられている。非接触情報媒体10の両面には浅い凹部16が設けられており、この凹部16の底面がラベル10aの貼付面となっている。なお、
図2においては、ラベル10aの記載を省略している。
【0033】
図3は、本体部材下部11を示す上面図である。
本体部材下部11は全体として円盤形状をなし、一方の主面にボビン部材13が配置される凹部11aが設けられた皿状の部材である。また、本体部材下部11の他方の主面には、上述した浅い凹部16が設けられている。
【0034】
本体部材下部11の周縁部には、最外周に対して所定の深さだけ切り欠いた切り欠き部11bが設けられている。切り欠き部11bは、後述するように、射出成形の際に本体部材上部12の材料が流れ込む領域である。なお、このような切り欠き部11bを設け、本体部材下部11と本体部材上部12とで色が異なる材料を用いることにより、非接触情報媒体10の表面に模様をつけることもできる。
【0035】
このような本体部材下部11は、例えば、ナイロン、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)等の硬質樹脂材料に、ガラスや非磁性(又は弱磁性)の金属又は合金等の粉末を混合したものを材料として用いた射出成形法により形成されている。
【0036】
図4Aは、ボビン部材13を示す上面図である。
図4Bは、
図4AのB−B断面図である。
図5Aは、ボビン部材13にICチップ14及び導線15を配置した状態を示す上面図である。
図5Bは、
図5Aに示すボビン部材13及び導線15を示す側面図である。
【0037】
ボビン部材13は、導線15を巻回させることにより所定のパターンのコイルアンテナを形成して保持するための部材である。本実施の形態1においては、コイルアンテナのパターンとして、閉曲線をなす主配索パターンと、該閉曲線に沿って配置され、各々の巻回形状の径が該閉曲線の径よりも小さい複数の副配索パターンとを含むパターンを形成する。実施の形態1においては、主配索パターンの閉曲線を円周状としている。
【0038】
ボビン部材13は、複数のボビン部13bと、補助ボビン部13c、13dとが、固定部材13aを介して互いに連結された構造を有する。また、固定部材13aの表面上には、ICチップ14を配置するための領域13eが設けられている。
【0039】
ボビン部13bは、閉曲線Cに沿って配置されている。言い換えると、ボビン部材13の中心から見て各ボビン部13bの外周側の端部領域を繋ぐ経路が所定形状の閉曲線Cをなすように、ボビン部13bが配置されている。これらの各ボビン部13bが、導線15を巻回させて副配索パターンを形成するための小ボビンを構成する。
【0040】
補助ボビン部13cは、閉曲線C上に突出する複数の端部13fを含む。これらの端部13fは、複数のボビン部13bの間において、主配索パターンをなす導線15を閉曲線Cに沿って外周側に張り出させる。なお、実施の形態1においては、補助ボビン部13cの複数の端部13fを閉曲線C上に延出させているが、これらの端部13fの各々を独立した補助ボビン部として、閉曲線C上の複数箇所に分けて配置しても良い。
【0041】
もう一つの補助ボビン部13dは、閉曲線Cに沿って配置されており、主配索パターンをなす導線15を閉曲線Cに沿って外周側に張り出させる。導線15の両端は、補助ボビン部13dを介して、領域13eに配置されるICチップ14に接続される。
【0042】
これらの複数のボビン部13b及び補助ボビン部13c、13dが、全体として、導線15を巻回させて主配索パターンを形成するための大ボビンを構成する。
図4Aに示すように、各ボビン部13bの径D2は、閉曲線Cの径D1よりも小さくなっており、それにより、各副配索パターンの径も主配索パターンの径と比較して小さくなる。このように主配索パターンに対して副配索パターンの径を小さくすることにより、非接触情報媒体10を複数重ねた場合にも、各非接触情報媒体10と通信装置との間で情報を送受信(所謂、重ね読み)可能な性能を出すことができる。
【0043】
各ボビン部13b及び補助ボビン部13c、13dの先端部には、導線15が巻回される芯部13gよりも外周側に突出した庇部13hが設けられている。庇部13hは、芯部13gからの導線15の抜けを防止する。
【0044】
このようなボビン部材13は、例えばPMP(ポリメチルペンテン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の耐熱樹脂材料を用いた射出成形法により形成されている。なお、ボビン部材13の耐熱性は、少なくとも本体部材上部12の射出成形時に固体状態を維持できる程度であれば良い。
【0045】
なお、固定部材13aの形状は、
図4A、
図4Bに示すような円盤形状や板状に限定されず、複数のボビン部13bや補助ボビン部13c、13dの相対的な位置関係を固定することができ、且つ本体内(本体部材下部11と本体部材上部12との間)に載置可能であればどのような形状であっても良い。また、固定部材13aと、複数のボビン部13b及び補助ボビン部13c、13dとは、射出成形等により一体的に成形されていても良いし、締結や接着等により互いに連結されていても良い。さらに、導線15の巻回時にボビン部材13を位置決めするために、固定部材13aに開口を設けたり、固定部材13aの外周の一部に切り欠きやDカットを設けるなどしても良い。
【0046】
ICチップ14は、汎用の電子モジュールであり、その機能は特に限定されない。ICチップ14は、例えば、非接触情報媒体10の個体情報(ID)、額面、所有者、流通履歴等の各種データを記憶可能な記憶部を有しても良い。
【0047】
次に、非接触情報媒体10の製造方法について説明する。
図6A〜
図6Cは、非接触情報媒体10の製造方法を説明する図である。なお、本体部材下部11及びボビン部材13は、所定の樹脂材料を用いた射出成形法により予め作製しておく。
【0048】
まず、ボビン部材13のボビン部13b及び補助ボビン部13cに導線15を巻き付け、主配索パターン及び副配索パターンを含むコイルアンテナのパターンを形成する。なお、この工程は、汎用のコイル巻線機を用いて実施することができる。
【0049】
続いて、導線15の両端をICチップ14に接続し、ICチップ14をボビン部材13の所定の領域13eに接着剤を用いて仮固定する。それにより、ボビン部材13、ICチップ14、及び導線15が一体化された内蔵物17が作製される(
図6A参照)。
【0050】
次に、
図6Aに示すように、内蔵物17を本体部材下部11の凹部11aに接着剤により仮固定する。このとき、
図6Bに示すように、少なくともコイルアンテナのパターン上を、例えば熱硬化系又は紫外線硬化系の接着材で覆い、保護しても良い。これにより、続いて行われる射出成形時に熱及び圧力を受けてもパターンが崩れることはない。
【0051】
さらに、本体部材下部11の凹部11a及び切り欠き部11bを覆う本体部材上部12を射出成形法により形成し、内蔵物17を封止する。それにより、
図6Cに示す非接触情報媒体10が作製される。なお、
図6Cにおいては、樹脂材料の色の異なる部分に網掛けを施している。この後さらに、非接触情報媒体10表面の凹部16にラベル10aを貼付することにより、非接触情報媒体10が完成する。
【0052】
以上説明したように、実施の形態1によれば、閉曲線をなす主配索パターンと該閉曲線に沿って配置され、該閉曲線の径よりも巻回形状の径が小さい副配索パターンとを有するコイルアンテナが内蔵された非接触情報媒体を製造することができる。
【0053】
このような非接触情報媒体においては電磁気的な相互干渉が少ないので、複数の非接触情報媒体を重ねたままでも、各非接触情報媒体と通信装置との間で通信を行うことが可能となる。例えば、複数(例えば10枚以上)の非接触情報媒体を積み上げたり、山盛りに重ねたりした状態であっても、各非接触情報媒体と通信することができる。従って、そのような状態のまま、各非接触情報媒体の個体情報(ID)等の各種データを監視及び記録することが可能である。また、各非接触情報媒体の額面確認及び真贋判定をその場で行い、非接触情報媒体の位置や枚数を検出して総額を算出することも可能となる。
【0054】
また、実施の形態1によれば、ボビンに導線を巻き付けることによりコイルアンテナのパターンを形成するので、専用の巻線装置が不要となり、汎用のコイル巻線機を利用した一般的な製法を適用することができる。従って、非接触情報媒体の製造工程が容易となり、量産化も可能となる。それにより、非接触情報媒体単体の製造コストや、設備投資のためのイニシャルコストを低減することが可能となる。
【0055】
また、実施の形態1によれば、導線をボビンに巻き付けた状態のまま、コイルアンテナ及びICチップを本体部材に配置し、射出成形によりカバー部材で封止するので、射出成形時にもコイルアンテナのパターンを崩すことなく保持することができる。従って、コイルアンテナのパターンを取り付ける際の煩雑な工程を省略し、パターンを保持するためのフィルム貼付も不要となるなど、製造工程を簡素化してコストを低減することが可能となる。また、複数個積み重ねても各々が通信可能という非接触情報媒体の性能を担保することが可能となる。
【0056】
また、実施の形態1によれば、非接触情報媒体を安価に製造することができるようになるので、非接触情報媒体を幅広い分野で活用することが可能となる。例えば、カードゲーム、ボードゲームのような種々の遊戯に使用するコイン(チップ)、交通機関におけるトークンの他、子ども向けのゲーム等に利用することも可能となる。
【0057】
以上説明した実施の形態1においては、非接触情報媒体の外形状を円形のコイン形状としたが、楕円形状や、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状や、円周の複数箇所が外周側に向かって突出した星型形状等、種々の形状を採用しても良い。
【0058】
また、実施の形態1においては、コイルアンテナの主配索パターンを円周状の閉曲線としたが、複数の副配索パターンを閉曲線に沿って配置可能な形状であれば円周状に限定されない。例えば、主配索パターンを、楕円形状や、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状や、星型形状等の閉曲線としても良い。この場合、コイルアンテナのパターンに応じて、ボビン部材に設けられる複数のボビン部の配置や形状を変更すると良い。
【0059】
また、実施の形態1においては、ボビン部13b及び補助ボビン部13cによってコイルアンテナ(導線15)のパターンを形成したが、閉曲線をなす主配索パターンと該閉曲線に沿って配置された複数の副配索パターンとを有芯コイルで形成できれば、ボビン部13bの配置や形状は上記説明をしたものに限定されない。例えば、副配索パターンを形成する複数のボビン部13bとは別に、主配索パターンを形成するための1つ以上のボビンをさらに設けても良い。反対に、補助ボビン部13c、13dを省略して、ボビン部13bのみで主配索パターン及び複数の副配索パターンを形成しても良い。
【0060】
また、実施の形態1においては、主配索パターンの内側に副配索パターンを形成したが、主配索パターンの外側に副配索パターンを形成しても良い。
【0061】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2に係る非接触情報媒体の外観は実施の形態1と同様であり、非接触情報媒体の内部構造が実施の形態1とは異なる。具体的には、実施の形態2に係る非接触情報媒体においては、コイルアンテナのパターンを形成するためのボビン部が本体部材に直接設けられていることを特徴とする。なお、実施の形態2に係る非接触情報媒体を構成する各部の材料については、実施の形態1と同様である。また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、コイルアンテナのパターンとして、閉曲線をなす主配索パターンと、該閉曲線に沿って配置され、各々の巻回形状の径が該閉曲線の径よりも小さい複数の副配索パターンとを含むパターンを形成する。
【0062】
図7Aは、実施の形態2に係る非接触情報媒体が備える本体部材の構造を示す上面図である。
図7Bは、
図7AのD−D断面図である。
図8は、
図7Aに示す本体部材にICチップ及び導線を配置した状態を示す上面図である。
【0063】
図7Aに示すように、実施の形態2における本体部材下部21は、全体として円盤形状をなし、一方の主面に凹部21aが設けられた皿状の部材である。また、本体部材下部21の周縁部には、最外周に対して所定の深さだけ切り欠いた切り欠き部21bが設けられている。
【0064】
凹部21aには、凹部21aの底面から突起した複数のボビン部21cが設けられている。これらのボビン部21cは、閉曲線Cに沿って配置されている。言い換えると、凹部21aの中心から見て各ボビン部21cの外周側の端部領域を繋ぐ経路が所定形状の閉曲線をなすように、ボビン部21cが配置されている。導線15は、これらのボビン部21cに渡って巻回されて主配索パターンを形成する。また、導線15は、各ボビン部21cに巻回されて、複数の副配索パターンを形成する。
図7Aに示すように、各ボビン部21cの径D2は、閉曲線Cの径D1よりも十分に小さくなっており、それにより、副配索パターンも主配索パターンの径と比較して小さくなる。
【0065】
各ボビン部21cの先端部には、導線15が巻回される芯部21dよりも外周側に突出した庇部21eが設けられている。庇部21eは、芯部21dからの導線15の抜けを防止する。
【0066】
なお、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、閉曲線C上に補助ボビン部を設け、主配索パターンをなす導線15の外周側に張り出させるようにしても良い。或いは、主配索パターンを形成するためのボビンを、ボビン部21cとは別に設けても良い。
【0067】
次に、実施の形態2に係る非接触情報媒体の製造方法について説明する。なお、本体部材下部21は、所定の樹脂材料を用いた射出成形法により予め作製しておく。
【0068】
まず、本体部材のボビン部21cに導線15を巻き付け、主配索パターン及び副配索パターンを含むコイルアンテナのパターンを形成する。なお、この工程は、汎用のコイル巻線機を用いて実施することができる。続いて、導線15の両端をICチップ14に接続し、ICチップ14を凹部21aの底面の所定の領域に接着剤を用いて仮固定する。この後、保護のために、少なくともICチップ14及び導線15上を、例えば熱硬化系又は紫外線硬化系といった接着剤によって固化させても良い。
【0069】
さらに、
図9に示すように、凹部21a及び切り欠き部21bを覆う本体部材上部22を射出成形法により形成し、ICチップ14及び導線15(コイルアンテナ)を封止する。それにより、非接触情報媒体20が作製される。なお、本体部材下部21及び本体部材上部22の表面に、実施の形態1と同様に浅い凹部16を設け、ラベルを貼付しても良い。
【0070】
以上説明したように、実施の形態2によれば、コイルアンテナを形成するためのボビン部を本体部材と一体化させるので、部品点数を減らすことができる。従って、製造工程を簡素化し、製造コストを低減することが可能となる。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る非接触情報媒体を示す断面図である。
【0072】
図10に示すように、実施の形態3に係る非接触情報媒体30は、本体部材下部31と、本体部材上部12と、ボビン部材13と、ICチップ14と、導線15とを備える。この内、本体部材上部12〜導線15の構造については、実施の形態1と同様である。
【0073】
図11は、本体部材下部31の構造を示す上面図である。本体部材下部31の外形は、実施の形態1と同様に、全体として円盤形状をなし、一方の主面にボビン部材13が配置される凹部31aが設けられ、周縁部に本体部材上部12で覆われる切り欠き部31bが設けられている。
【0074】
本体部材下部31の凹部31aよりも外周側である周縁部31cの内部には、金属部材31dが配置されている。金属部材31dの材料は、銅、アルミニウム、真ちゅう等の種々の金属又は合金が、非接触情報媒体30に要求される重量感に応じて選択される。金属部材31dは、円環の一部を切断した略C字形状をなしている。なお、周縁部31cに配置する金属部材31dの数は1個に限定されず、例えば、複数の金属部材を互いに間隔を空けて周縁部31cに配置しても良い。
このような本体部材下部31は、金属部材31dを芯材として射出成形を行うことにより作製される。
【0075】
以上説明したように、実施の形態3によれば、非接触情報媒体の周縁部に金属部材を配置するので、コイルアンテナによる通信を妨げることなく、簡単な構成で、非接触情報媒体に重量感を付与することができる。
【0076】
なお、非接触情報媒体に重量感を付与する方法としては、この他にも、本体部材下部31及び本体部材上部12を形成する樹脂材料に金属粉末を混合するなどして比重を調整するといった方法を用いても良い。
【0077】
また、実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、ボビン部材13を用いる代わりに、凹部31aの底面に複数のボビン部を直接設けても良い。
【0078】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図12は、本発明の実施の形態4に係る非接触情報媒体を示す断面図である。なお、実施の形態4に係る非接触情報媒体の外形、各部の材料、及び機能は、実施の形態1及び3と同様である。
【0079】
図12に示すように、実施の形態4に係る非接触情報媒体40は、二色成形法により作製された本体部材下部41及び本体部材上部42と、該本体部材下部41及び本体部材上部42によって封止されたボビン部材13、ICチップ14、及び導線15と、本体部材上部42の内部に封止された金属部材43とを備える。このうち、ボビン部材13、ICチップ14、及び導線15の構成は、実施の形態1と同様である。なお、非接触情報媒体40に重量感を特に付与する必要がない場合には、金属部材43を設けなくても良い。
【0080】
次に、非接触情報媒体40の製造方法について説明する。
図13A〜
図13Eは、非接触情報媒体40の製造方法を説明する図である。ここで、ボビン部材13、ICチップ14、及び導線15が一体化された内蔵物17(
図5A及び
図5B参照)は、予め作製しておく。この際、ICチップ14を保護するとともに導線15の巻回パターンを保持するために、ICチップ14及び導線15上を接着材等で覆っても良い。また、後述する射出成形において用いる型との位置決めのため、ボビン部材13に開口、切り欠き、Dカット等(いずれも図示せず)を設けても良い。
【0081】
まず、
図13Aに示すように、下型44a及び上型44bからなる射出成形用の型44に、内蔵物17及び金属部材42を配置する。下型44a及び上型44bによって囲まれるキャビティ44cは、
図12に示す本体部材上部42に対応する形状をなしており、非接触情報媒体40の表面に附される絵柄に応じた凹凸(図示せず)が設けられている。このような型44に対し、内蔵物17を下型44aの内底面上に、裏面(ICチップ14及び導線15が配置された側とは反対側の面)17aを内底面側に向け、位置合わせして直接載置する。一方、金属部材43は、下型44a及び上型44bに設けられたピン44fにより保持される。
【0082】
なお、
図13Aにおいては、下型44aの内底面を単一の平面としているが、内蔵物17の載置領域と金属部材43の載置領域との間に段差を設け、非接触情報媒体40における内蔵物17及び金属部材43の厚み方向の位置をそれぞれ調節しても良い。また、ボビン部材13に位置決めのための開口等を設ける場合には、下型44aの内底面に、該開口に対応する突起等を設けると良い。
【0083】
続いて、スプルー44dを介して、溶融した樹脂材料をキャビティ44cに注入することにより、一次成形を行う。これにより、本体部材上部42が形成され、内蔵物17の表面17bが覆われる。ここで、ゲート44eの位置と樹脂材料の注入方向を最適化することで、内蔵物17が樹脂材料の注入圧によって押さえられる。なお、一次成形工程においては、ベース色の樹脂材料が用いられる。
【0084】
続いて、一次成形工程によって作製された一次成形品を型44から離型する。
図13B及び
図13Cは、一次成形品を示す斜視図である。
図13Bに示すように、一次成形品46の一方の面(内蔵物17の表面17b側)は、全て樹脂材料で覆われている。一方、
図13Cに示すように、一次成形品46の他方の面においては、内蔵物17の裏面17aが露出している。
【0085】
続いて、
図13Dに示すように、下型45a及び上型45bからなる射出成形用の型45に、一次成形品46を、内蔵物17の裏面17aを上方に向けて配置する。下型45a及び上型45bによって囲まれるキャビティ45cは、
図12に示す本体部材下部41に対応する形状をなしている。
【0086】
続いて、スプルー45dを介して、溶融した樹脂材料をキャビティ45cに注入することにより、二次成形を行う。なお、二次成形工程においては、一次成形工程とは異なる色の樹脂材料が用いられる。この二次成形工程により本体部材下部41が形成され、内蔵物17が封止されると共に、1次成形品の表面に設けられた凹部(図示せず)に異なる色の樹脂材料が充填されて絵柄が形成される。さらに、型45から二次成形品を離型することにより、
図13Eに示すように、最終製品形状をなす非接触情報媒体40が得られる。なお、
図13Eにおいては、樹脂材料の色の異なる部分に網掛けを施している。
【0087】
以上説明したように、実施の形態4においては、内蔵物17を射出成形用の型44に直接載置し、本体部材上部42の形成と同時に内蔵物17の一方の面を覆う。このため、実施の形態1のように、本体部材下部11(
図6A参照)を別途作製し、そこに内蔵物17を接着剤や粘着テープ等により固定してから射出成形を行う製造方法と比較して、手間と工数を大幅に削減し、リードタイムを短縮することができ、さらなるコストダウンを図ることが可能となる。また、実施の形態4に係る非接触情報媒体40の製造方法は、自動生産ラインに向いているため、非接触情報媒体40を効率良く大量に生産することが可能となる。
【0088】
なお、実施の形態4においては、本体部材下部41と本体部材上部42とで、中央部における表面色が変わってしまうが、該中央部にラベルを貼付すれば、コイン型非接触情報媒体の用途に問題なく使用することができる。
【0089】
また、実施の形態4においては、ボビン部材13、ICチップ14、及び導線15が一体化された内蔵物17を二色成形法によって封止しているが、内蔵物17の代わりに、空芯コイルを粘着フィルム等によって挟み込んだシート状のコイルユニット、PETフィルム等にICチップ及びアンテナを配置したRFIDインレイ、又は基板モジュール等を配置し、同様の製法により非接触情報媒体を作製しても良い。ただし、成形樹脂の温度や圧力によって、これらの内蔵物が損傷しないように、接着剤等により予め表面を覆っておくなどの保護対策を取ることが望ましい。
【0090】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図14は、本発明の実施の形態5に係る非接触情報媒体を示す断面図である。なお、実施の形態5に係る非接触情報媒体の外形、各部の材料、及び機能は、実施の形態1及び3と同様である。
【0091】
図14に示すように、実施の形態4に係る非接触情報媒体50は、本体部材下部51と、本体部材上部52と、該本体部材下部51及び本体部材上部52に封止されたICチップ14、導線15、及び金属部材53とを備える。なお、非接触情報媒体50に重量感を特に付与する必要がない場合には、金属部材53を設けなくても良い。
【0092】
本体部材下部51の内側面51aには、該内側面51aから突起した複数のボビン部51bが設けられており、導線15は、これらのボビン部51bに巻回されている。なお、ボビン部51bの形状及び配置は、
図7Aに示すボビン部21cと同様であり、導線15の巻回パターンは、
図8と同様である。
【0093】
なお、実施の形態5においては、非接触情報媒体50における金属部材53の厚み方向の位置を調節するため、本体部材下部51の周縁部を中心部よりも一段下げているが、中心部と周縁部とを同一平面としても良い。
【0094】
次に、非接触情報媒体50の製造方法について説明する。
図15は、非接触情報媒体50の製造方法を説明する図である。
【0095】
まず、本体部材下部51を射出成形法により作製する。そして、ボビン部51bに導線15を巻回すると共に、該導線15と接続されたICチップを、内側面51aに接着剤等を用いて固定する。ここで、本体部材下部51の周縁部はボビン部51bよりも低くなっているので、ボビン部51bに対し、汎用のコイル巻線機を用いて導線15を容易に巻回することができる。なお、ICチップ14を保護するとともに導線15の巻回パターンを保持するために、ICチップ14及び導線15上を接着材等で覆っても良い。
【0096】
続いて、
図15に示すように、ICチップ14及び導線15が配置された本体部材下部51を、下型54a及び上型54bからなる射出成形用の型54に載置し、本体部材下部51の周縁部に金属部材53を載置する。なお、この際に、接着剤を用いて金属部材53を本体部材下部51に固定しても良い。下型54a及び上型54bによって囲まれるキャビティ54cは、
図14に示す本体部材上部52に対応する形状をなしている。
【0097】
続いて、スプルー54dを介して、溶融した樹脂材料をキャビティ54cに注入することにより、射出成形を行う。さらに、型54から成形品を離型することにより、最終製品形状をなす非接触情報媒体50が得られる。
【0098】
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。
図16は、本発明の実施の形態6に係る非接触情報媒体を示す断面図である。なお、実施の形態6に係る非接触情報媒体の外形、各部の材料、及び機能は、実施の形態1及び3と同様である。
【0099】
図16に示すように、実施の形態6に係る非接触情報媒体60は、ボビン部材61と、本体部材62と、ボビン部材61及び本体部材62によって封止されたICチップ14及び導線15と、金属部材63と、本体部材62と共に金属部材63を封止する表面部材64とを備える。なお、非接触情報媒体60に重量感を特に付与する必要がない場合には、金属部材63を設けなくても良い。
【0100】
ボビン部材61は、ボビンベース61aと、ボビンベース61aの内側面61bに設けられた複数のボビン部61cとを有し、導線15は、これらのボビン部61cに巻回されている。なお、ボビン部61cの形状及び配置は、
図4Aに示すボビン部13bと同様であり、導線15の巻回パターンは、
図5Aと同様である。
【0101】
ボビンベース61aは、
図4Bに示す固定部材13aと比較して厚く形成されている。また、ボビンベース61aの外側面61dは、非接触情報媒体60の表面に露出している。即ち、ボビンベース61aは、非接触情報媒体60の本体の一部を構成している。なお、ボビンベース61aは、上述したように、実施の形態1におけるボビン部材13と同様の材料によって形成しても良いし、本体部材下部11及び本体部材上部12と同様の材料によって形成しても良い。前者の場合、非接触情報媒体60に重量感を付与するために、PMP(ポリメチルペンテン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の耐熱樹脂材料等の材料に対し、これらの材料よりも比重が大きい材料を添加しても良い。
【0102】
次に、非接触情報媒体60の製造方法について説明する。
図17A及び
図17Bは、非接触情報媒体60の製造方法を説明する図である。
【0103】
まず、ボビン部材61を射出成形法により作製する。そして、ボビン部61cに導線15を巻回すると共に、該導線15と接続されたICチップ14を、内側面61bに接着剤等を用いて固定する。ここで、ボビン部材61の内側面61bは平面状をなしているので、ボビン部61cに対し、汎用のコイル巻線機を用いて導線15を容易に巻回することができる。なお、ICチップ14を保護するとともに導線15の巻回パターンを保持するために、ICチップ14及び導線15上を接着材等で覆っても良い。
【0104】
続いて、
図17Aに示すように、ICチップ14及び導線15が配置されたボビン部材61を、下型65a及び上型65bからなる射出成形用の型65に載置し、ボビン部材61の外周側に金属部材63を載置する。下型65a及び上型65bによって囲まれるキャビティ65cは、
図16に示す本体部材62に対応する形状をなしており、非接触情報媒体60の表面に附される絵柄に応じた凹凸(図示せず)が設けられている。また、下型65aの内底面の周縁部には、非接触情報媒体60における金属部材63の高さを調整するため、段差が設けられている。さらに、上型65bには、金属部材63を保持するピン65eが設けられている。
【0105】
続いて、スプルー65dを介して、溶融した樹脂材料をキャビティ65cに注入することにより、一次成形を行う。この一次成形工程により、ICチップ14及びボビン部61cに巻回された導線15が封止される。
【0106】
続いて、一次成形品を型65から離型し、
図17Bに示すように、下型66a及び上型66bからなる射出成形用の型66に、裏側面61dが上型66bの方を向くように配置する。下型66a及び上型66bによって囲まれるキャビティ66cは、
図16に示す非接触情報媒体60の周縁部に対応する形状をなしている。
【0107】
続いて、スプルー66dを介して、溶融した樹脂材料をキャビティ66cに注入することにより、二次成形を行う。なお、二次成形工程においては、一次成形工程とは異なる色の樹脂材料が用いられる。この二次成形工程により、金属部材63が封止されると共に、一次成形品の表面に設けられた凹部(図示せず)に異なる色の樹脂材料が充填されて絵柄が形成される。さらに、型66から二次成形品を離型することにより、最終製品形状をなす非接触情報媒体60が得られる。
【0108】
なお、実施の形態6においては、非接触情報媒体60の両面で、中央部における表面色及び材料が変わってしまうが、該中央部にラベルを貼付すれば、コイン型非接触情報媒体の用途に問題なく使用することができる。