(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
グルココルチコイドレセプターを調節することを介して、障害もしくは状態を処置するための組成物であって、治療上有効な量の請求項1〜14のいずれかに記載の化合物を含む、組成物。
グルココルチコイドレセプターと拮抗することを介して、障害もしくは状態を処置するための組成物であって、有効量の請求項1〜14のいずれかに記載の化合物を含む、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
I.(一般)
本発明は、グルココルチコイドレセプター(GR)を調節し得、それによって、有益な治療効果を提供し得る化合物を提供する。上記化合物は、ベンジルピリミジンジオン−シクロヘキシル−フェニルを含む。本発明はまた、GRレセプターを、本発明の化合物で調節することによって、疾患および障害を処置する方法を提供する。
【0013】
II.(定義)
本明細書で使用される略語は、化学分野および生物学分野内のそれらの従来の意味を有する。
【0014】
置換基が、左から右に書かれたそれらの従来の化学式によって特定される場合、それらは、その構造を右から左に書くことから生じる化学的に同一な置換基を等しく包含する(例えば、−CH
2O−は、−OCH
2−に等しい)。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、示された炭素原子数を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和脂肪族ラジカルをいう。例えば、C
1−C
6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」とは、1〜7個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン(すなわち、1〜7個の炭素原子の二価の炭化水素ラジカル)のいずれかをいう;例えば、直鎖アルキレンは、式−(CH
2)
n−(ここでnは、1、2、3、4、5、6もしくは7である)の二価ラジカルである。好ましくは、アルキレンは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレン鎖、またはC
1−C
3−アルキル(好ましくは、メチル)によって一置換されたか、またはC
1−C
3−アルキル(好ましくは、メチル)によって同じかもしくは異なる炭素原子上で二置換されたメチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレン鎖(炭素原子の総数は、最大7個までであり、7個を含む)を表す。当業者は、上記アルキレンの単一の炭素が、二価であり得ること(−CH((CH
2)
nCH
3)−(ここでn=0〜5である)におけるように)を認識する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子の、少なくとも1個の二重結合を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素のいずれかをいう。アルケニル基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、イソペンテニル、1,3−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,5−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、もしくは1,3,5−ヘキサトリエニル。アルケニル基はまた、2〜3個、2〜4個、2〜5個、3〜4個、3〜5個、3〜6個、4〜5個、4〜6個および5〜6個の炭素を有し得る。上記アルケニル基は、代表的には、一価であるが、例えば、上記アルケニル基が2つの部分を一緒に連結する場合は、二価であり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子の、少なくとも1個の三重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素のいずれかをいう。アルキニル基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、ブタジイニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、イソペンチニル、1,3−ペンタジイニル、1,4−ペンタジイニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、1,3−ヘキサジイニル、1,4−ヘキサジイニル、1,5−ヘキサジイニル、2,4−ヘキサジイニル、もしくは1,3,5−ヘキサトリイニル。アルキニル基はまた、2〜3個、2〜4個、2〜5個、3〜4個、3〜5個、3〜6個、4〜5個、4〜6個および5〜6個の炭素を有し得る。上記アルキニル基は、代表的には、一価であるが、例えば、上記アルキニル基が2つの部分を一緒に連結する場合は、二価であり得る。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、別の炭化水素に共有結合する能力がある酸素置換基をも有する、上記で記載されるとおりのアルキルラジカル(例えば、メトキシ、エトキシもしくはt−ブトキシ基)をいう。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「ハロゲン」とは、別段示されなければ、単独でもしくは別の置換基の一部としての、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」とは、上記で定義されたとおりのアルキルであって、水素原子のうちのいくつかもしくは全てがハロゲン原子で置換されているものをいう。ハロゲン(ハロ)は、好ましくは、クロロもしくはフルオロを表すが、ブロモもしくはヨードであってもよい。例えば、ハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−フェニルなどが挙げられる。用語「ペルフルオロ」は、少なくとも2個の利用可能な水素がフッ素で置換された化合物もしくはラジカルを定義する。例えば、ペルフルオロメタンとは、1,1,1−トリフルオロメチルに言及する。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルコキシ」とは、上記で定義されたとおりのアルコキシであって、水素原子のうちのいくつかもしくは全てがハロゲン原子で置換されているものをいう。「ハロアルコキシ」は、モノハロアルキル(オキシ)およびポリハロアルキル(オキシ)を含むことが意味される。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルアミン」とは、中で定義されるとおりのアルキル基であって、1個以上のアミノ基を有するものをいう。上記アミノ基は、一級、二級もしくは三級であり得る。上記アルキルアミンは、ヒドロキシ基でさらに置換され得る。本発明において有用なアルキルアミンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミンおよびエタノールアミン。上記アミノ基は、上記アルキルアミンを、該化合物の残りの部分との結合点に連結して、上記アルキル基のω位に存在し得るか、または上記アミノ基は、上記アルキル基の少なくとも2個の炭素原子を一緒に連結し得る。当業者は、他のアルキルアミンが本発明において有用であることを認識する。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」とは、3〜12個の環原子を含むか、もしくは示された原子の数を含む、飽和もしくは部分不飽和の、単環式か、縮合二環式かもしくは橋架け多環式の環アセンブリをいう。例えば、C
3−C
8シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。シクロアルキルはまた、ノルボルニルおよびアダマンチルを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、3個の環員〜約20個の環員および1〜約5個のヘテロ原子(例えば、N、OおよびS)を有する環系をいう。さらなるヘテロ原子もまた有用であり得る(B、Al、SiおよびPが挙げられるが、これらに限定されない)。上記ヘテロ原子はまた、酸化され得る(例えば、−S(O)−および−S(O)
2−が挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、複素環としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、インドリニル、キヌクリジニルおよび1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン−ヘテロシクロアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル基(上記で定義されるとおり)であって、アルキレンによって別の基に連結されるものをいう。上記ヘテロシクロアルキルおよび上記ヘテロシクロアルキルがアルキレンによって連結される基は、上記アルキレンの同じ原子もしくは異なる原子に連結され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」とは、別段示されなければ、ポリ不飽和の、芳香族炭化水素置換基であって、単一の環、または一緒に縮合されるかもしくは共有結合的に連結される複数の環(好ましくは、1〜3個の環)であり得るものを意味する。例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」とは、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む(ここで上記窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化され、上記窒素原子(複数可)は、必要に応じて四級化される)アリール基(もしくは環)をいう。ヘテロアリール基は、炭素もしくはヘテロ原子を介して上記分子の残りの部分に結合され得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的例としては、以下が挙げられる:フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリル。上記で示されたアリール環系およびヘテロアリール環系の各々についての置換基は、以下で記載される受容可能な置換基の群から選択される。
【0029】
簡潔さのために、用語「アリール」とは、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)との組み合わせにおいて使用される場合、上記で定義されるとおりのアリール環およびヘテロアリール環の両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」とは、アリール基がアルキル基に結合されているそれらのラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)であって、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子によって置換されたそれらのアルキル基を含むもの(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むことが意図される。同様に、用語「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリール基がアルキル基に結合されるそれらのラジカルを含むことが意味される。
【0030】
上記用語の各々(例えば、「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの置換された形態および置換されていない形態の両方を含むことが意味される。ラジカルの各タイプについての置換基の例は、以下に提供される。
【0031】
上記アルキルラジカルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしばいわれるそれらの基を含む)についての置換基は、以下から選択されるが、これらに限定されない種々の基のうちの1個以上であり得る:−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO
2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)
2R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R”、−NR(SO
2)R’、−CNおよび−NO
2(ゼロから(2m’+1)までの範囲の数において、ここでm’は、このようなラジカル中の炭素原子の総数である)。R’、R”、R”’およびR””は、各々、好ましくは、独立して、水素、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基をいう。本発明の化合物が1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、R’、R”、R’”およびR””基のうちの1個より多くが存在する場合に、これら基各々であるように独立して選択される。R’およびR”が、同じ窒素原子に結合される場合、それらは、上記窒素原子と組み合わされて、4員環、5員環、6員環、もしくは7員環を形成し得る。例えば、−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことが意味される。置換基の上記の考察から、当業者は、用語「アルキル」が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(例えば、−CF
3および−CH
2CF
3)およびアシル(例えば、−C(O)CH
3、−C(O)CF
3、−C(O)CH
2OCH
3)など)に結合された炭素原子を含む基を含むことが意味されることを理解する。
【0032】
上記アルキルラジカルに関して記載された置換基に類似して、上記アリール基およびヘテロアリール基についての置換基は様々であり、例えば、以下から選択される:芳香族環系の空いている原子価(open valence)のゼロから総数までの範囲の数につき、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO
2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)
2R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R”、−NR(SO
2)R’、−CNおよび−NO
2、−R’、−N
3、−CH(Ph)
2、フルオロ(C
1−C
4)アルコキシ、およびフルオロ(C
1−C
4)アルキル;およびここでR’、R”、R”’およびR””は、好ましくは、水素、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリールおよび置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールから独立して選択される。本発明の化合物が1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、R’、R”、R’”およびR””基のうちの1個より多くが存在する場合に、これら基各々であるように独立して選択される。
【0033】
2個の置換基が、「必要に応じて一緒に結合されて、環を形成する」場合、上記2個の置換基は、上記2個の置換基が結合される1個の原子または複数の原子と一緒になって共有結合して、置換されたかもしくは置換されていないアリール環、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール環、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル環、または置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0034】
「塩」とは、本発明の方法において使用される化合物の酸塩もしくは塩基塩をいう。薬学的に受容可能な塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。上記薬学的に受容可能な塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に受容可能な塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985(これは、本明細書に参考として援用される)において見いだされ得る。
【0035】
「水和物」とは、少なくとも1個の水分子と複合体化している化合物をいう。本発明の化合物は、1〜10個の水分子と複合体化し得る。
【0036】
「異性体」とは、同じ化学式を有するが、構造的には区別可能である化合物をいう。
【0037】
「互変異性体」とは、平衡状態で存在しかつ一方の形態から他方の形態に容易に変換される2種以上の構造異性体のうちの一方をいう。
【0038】
本明細書で使用される場合、語句「薬学的に受容可能な賦形剤」および「薬学的に受容可能なキャリア」とは、活性薬剤の被験体への投与および被験体による吸収を補助する物質をいい、上記患者に対して著しく有害な毒物学的影響を引き起こすことなく、本発明の組成物に含まれ得る。薬学的に受容可能な賦形剤の非限定的例としては、水、NaCl、生理食塩液、乳酸加リンゲル液(lactated Ringer’s)、標準の(normal)スクロース、標準のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味剤、矯味矯臭剤および着色剤などが挙げられる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「処理する、処置する(treat)」、「処理すること、処置すること(treating)」、および「処理、処置(treatment)」とは、傷害、病状もしくは状態の処置もしくは改善(任意の客観的もしくは主観的なパラメーター(例えば、緩和;軽減;症状を減らすこと、または傷害、病状もしくは状態を患者にとってより耐容性にすること;変性もしくは減退の速度が遅くなること;変性の最終点をより衰弱しないようにすること;患者の肉体的もしくは精神的な福祉を改善することが挙げられる)における増進の任意の特徴をいう。症状の処置もしくは改善は、客観的もしくは主観的なパラメーターに基づき得る;これらパラメーターとしては、身体検査、神経精神病学的検査、および/もしくは精神医学的評価の結果が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「障害」もしくは「状態」とは、本発明のグルココルチコイドレセプター調節因子で処置され得る患者もしくは被験体の状態(state)もしくは健康状態(health status)をいう。障害もしくは状態の例としては、肥満症、高血圧症、鬱病、不安、およびクッシング症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される場合、語句「グルココルチコイドレセプター」(「GR」)とは、コルチゾールおよび/もしくはコルチゾールアナログ(例えば、デキサメタゾン)に特異的に結合する細胞内レセプターのファミリーをいう。上記グルココルチコイドレセプターは、コルチゾールレセプターともいわれる。上記用語は、GRの異性体、組換えGRおよび変異したGRを含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「グルココルチコイドレセプターを調節する」とは、グルココルチコイド、グルココルチコイドアンタゴニスト、アゴニスト、および部分アゴニストに対するグルココルチコイドレセプターの応答を調整するための方法に言及する。上記方法は、グルココルチコイドレセプターと、有効量のアンタゴニスト、アゴニスト、もしくは部分アゴニストのいずれかとを接触させる工程、およびGR活性における変化を検出する工程を包含する。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「グルココルチコイドレセプター調節因子」とは、GRへのグルココルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾール、またはコルチゾールアナログ(合成もしくは天然))の結合を調節する任意の組成物もしくは化合物に言及する。上記調節は、GRへのGRアゴニストの結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)ことを包含し得る。「特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、アゴニストへのGRの結合と関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の組成物もしくは化合物に言及する。「特異的」によって、本発明者らは、上記薬物が、他の核レセプター(例えば、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)もしくはプロゲステロンレセプター(PR))よりむしろ、上記GRに優先的に結合することを意図する。本発明のGR調節因子は、以下の式Iの化合物を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「拮抗する」とは、レセプター分子におけるアゴニストの結合をブロックするか、またはレセプター−アゴニストによって生成されるシグナルを阻害することをいう。レセプターアンタゴニストは、アゴニスト媒介性応答をブロックするかもしくは低下させる。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「患者」もしくは「被験体」とは、本明細書で提供されるとおりの薬学的組成物の投与によって処置され得る状態に罹患しているか、上記状態に罹りやすい生きた生物をいう。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物および他の非哺乳動物が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される場合、語句「治療上有効な量」とは、同定された疾患もしくは状態を処置もしくは改善するために、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために有用な結合体化された機能剤もしくは薬学的組成物の量に言及する。上記効果は、当該分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出され得る。
【0047】
用語「a」、「an」、もしくは「a(n)」とは、本明細書において置換基の群もしくは「置換基」を参照して使用される場合、少なくとも1個を意味する。例えば、化合物が「1個の」アルキルもしくはアリールで置換される場合、上記化合物は、少なくとも1個のアルキルおよび/もしくは少なくとも1個のアリールで必要に応じて置換され、ここで各アルキルおよび/もしくはアリールは、必要に応じて、異なる。別の例において、化合物が「1個の」置換基で置換されている場合、上記化合物は、少なくとも1個の置換基で置換され、ここで各置換基は、必要に応じて異なる。
【0048】
本発明の化合物の記載は、当業者に公知の化学結合の原理によって制限される。よって、基が、多くの置換基のうちの1個以上によって置換され得る場合、このような置換は、化学結合の原理と適合し、本質的に不安定でなく、そして/または周囲条件(例えば、水性、中性、もしくは生理学的条件)下でおそらく不安定であると当業者に公知である化合物を与えるように、選択される。
【0049】
III.(化合物)
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
【0050】
【化2】
を提供し、
ここで上記破線は、存在しないかまたは結合である。Xは、OもしくはSである。R
1は、1〜3個のR
1a基で必要に応じて置換された、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。各R
1aは、独立して、H、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−OR
1b、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、C
1−6ハロアロキシ、−OR
1b、−NR
1bR
1c、−C(O)R
1b、−C(O)OR
1b、−OC(O)R
1b、−C(O)NR
1bR
1c、−NR
1bC(O)R
1c、−SO
2R
1b、−SO
2NR
1bR
1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。R
1bおよびR
1cは、各々、HもしくはC
1−6アルキルである。R
2は、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルキル−OR
1b、C
1−6アルキル−NR
1bR
1cもしくはC
1−6アルキレン−ヘテロシクロアルキルである。R
3は、HもしくはC
1−6アルキルである。Arは、1〜4個のR
4基で必要に応じて置換されたアリールである。各R
4は、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロゲン、C
1−6ハロアルキルもしくはC
1−6ハロアルコキシである。L
1は、結合もしくはC
1−6アルキレンである。下付文字nは、0〜3の整数である。本明細書に記載される化合物の塩および異性体もまた、含まれる。
【0051】
いくつかの他の実施形態において、本発明は、式Iaを有する化合物:
【0053】
いくつかの実施形態において、L
1は、メチレンである。他の実施形態において、Arは、フェニルである。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Ibを有する化合物:
【0056】
いくつかの他の実施形態において、本発明は、式Icを有する化合物:
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明は、R
1がアリールもしくはヘテロアリールである化合物を提供する。他の実施形態において、R
1は、フェニル、ピリジル、ピリミジン、およびチアゾールからなる群より選択される。いくつかの他の実施形態において、各R
1aは、独立して、H、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、ハロゲン、C
1−6ハロアルキル、−NR
1bR
1c、もしくは−SO
2R
1bである。さらに他の実施形態において、各R
1aは、C
1−6ハロアルキルである。いくつかの他の実施形態において、各R
1aは、独立して、H、Me、Et、−OMe、F、Cl、−CF
3、−NMe
2、もしくは−SO
2Meである。他の実施形態において、各R
1aは、−CF
3である。いくつかの他の実施形態において、R
2は、HもしくはC
1−6アルキルである。他の実施形態において、R
2は、Hである。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下から選択される化合物:
【0063】
いくつかの他の実施形態において、本発明は、以下の式を有する化合物:
【0066】
本発明の化合物は、塩として存在し得る。本発明は、このような塩を包含する。適用可能な塩形態の例としては、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、スルフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タートレート(例えば、(+)−タートレート、(−)−タートレートもしくはこれらの混合物(ラセミ混合物を含む))、スクシネート、ベンゾエート、ならびにアミノ酸(例えば、グルタミン酸)との塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。塩基付加塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩)もまた、含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の酸とを、そのまま(neat)もしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。受容可能な酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic acid)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric acid)、二水素リン酸(dihydrogenphosphoric acid)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric acid)、ヨウ化水素酸(hydriodic acid)、もしくは亜リン酸など)から得られる塩、ならびに有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から得られる塩。アルギネートなどのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのような有機酸の塩もまた、含まれる。特定の具体的な本発明の化合物は、上記化合物が塩基付加塩もしくは酸付加塩のいずれかに変換され得るように、塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0067】
他の塩は、本発明の方法において使用される化合物の酸塩もしくは塩基塩を含む。薬学的に受容可能な塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、および四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。上記薬学的に受容可能な塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に受容可能な塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985(これは、本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。
【0068】
薬学的に受容可能な塩は、本明細書に記載される化合物で見いだされる特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸もしくは塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の塩基とを、そのままもしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、以下が挙げられる:ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の酸とを、そのままもしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、もしくは亜リン酸など)から得られる塩、ならびに比較的非毒性の有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から得られる塩。アルギネートなどのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのような有機酸の塩もまた、含まれる(例えば、Berge et al., 「Pharmaceutical Salts」, Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1−19を参照のこと)。特定の具体的な本発明の化合物は、上記化合物が塩基付加塩もしくは酸付加塩のいずれかに変換され得るように、塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
【0069】
上記化合物の中性形態は、好ましくは、上記塩と、塩基もしくは酸とを接触させ、従来の様式で親化合物を単離することによって、再生される。上記化合物の親形態は、特定の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解度)において種々の塩形態とは異なる。
【0070】
特定の本発明の化合物は、非溶媒和形態、ならびに溶媒和形態(水和形態を含む)において存在し得る。一般に、上記溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。特定の本発明の化合物は、複数の結晶形態もしくは非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって企図される使用に関しては等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0071】
特定の本発明の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)もしくは二重結合を有し、そのエナンチオマー、ラセミ混合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性形態(絶対立体化学の観点において、(R)−もしくは(S)−として、アミノ酸に関しては、(D)−もしくは(L)−として定義され得る)、および個別の異性体は、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、不安定すぎて、合成および/もしくは単離もできないことが当該分野で公知である化合物を含まない。本発明は、ラセミ形態および光学的に純粋な形態の化合物を含むことが意味される。光学的に活性な(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来の技術を使用して分割され得る。
【0072】
異性体は、同じ数および種類の原子を有する化合物、従って、同じ分子量を有するが、原子の構造的配置もしくは立体配置(configuration)に関して異なる化合物を包含する。
【0073】
特定の本発明の化合物が、互変異性形態において存在し得、上記化合物の全てのこのような互変異性形態が、本発明の範囲内にあることは、当業者に明らかである。互変異性体は、平衡状態において存在しかつ一方の異性形態から他方の異性形態へと容易に変換される2種以上の構造異性体のうちの1つをいう。
【0074】
別段示されなければ、本明細書に示される構造はまた、上記構造の全ての立体化学形態(すなわち、各不斉中心に対するR配置およびS配置)を含むことが意味される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー混合物およびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内にある。
【0075】
別段示されなければ、本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する原子のうちの1個以上において異常な割合の原子同位体を含み得る。例えば、本発明の化合物は、放射活性同位体(例えば、重水素(
2H)、トリチウム(
3H)、ヨウ素−125(
125I)、炭素−13(
13C)、もしくは炭素−14(
14C))などで放射標識され得る。本発明の化合物の全ての同位体バリエーションは、放射活性であろうとそうでなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
【0076】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学的変化を容易に受けて、本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境において、化学的方法もしくは生化学的方法によって、本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素もしくは化学的試薬とともに、経皮パッチレザバ中に置かれた場合、本発明の化合物へとゆっくりと変換され得る。
【0077】
本発明の化合物は、当該分野で公知の種々の方法によって調製され得る。例えば、上記化合物は、
図1に示されるように調製され得る。
図1において、クロロ−ピリミジンジオン1(WO06/014394に記載され、本明細書に援用される)は、Pd触媒の存在下で4−フェニルシクロヘキサ−1−エニルボトネートエステルとカップリングされて、シクロヘキセニルピリミジンジオン2を得る。次いで、触媒による水素化から、シス/トランス混合物が得られ、ここから所望のトランス異性体3が従来の分離技術(例えば、カラムクロマトグラフィー)によって得られ得る。
【0078】
化合物3は、
図2に記載される立体特異的合成によって調製され得る。市販のトランス−4−(4−クロロフェニル)−シクロヘキサンカルボン酸(4)は、アルコール(好ましくは、エタノール)中のパラジウム炭素触媒の存在下で水素化されて、トランス−4−フェニルシクロヘキサンカルボン酸(5)を得る。酸5は、4−ジメチルアミノピリジンおよびジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下での、メルドラム酸(6)での処理、続いて、エタノール中での加熱によって、ケトエステル7に変換される。上記ケトエステル7のアルキル化は、塩基(例えば、NaH)、および溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中のベンジルハライド8での処理により達成され、ベンジル化ケトエステル11を得ることができる得る。あるいは、ケトエステル7は、酢酸およびピペリジンの存在下で、トルエン中で加熱することによって、ベンズアルデヒド9と縮合して、オレフィン10を得ることができる。10の触媒による水素化から、ベンジル化ケトエステル11が得られる。ナトリウムエトキシドの存在下、エタノール中でのチオ尿素による11の処理から、2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピリミジン−4−オン12が得られ、これは、その後、酸加水分解(好ましくは、ジオキサン中の水性クロロ酢酸での)によって本発明の化合物3に変換される。
【0079】
R
2がヘテロアリール基である化合物は、
図2における上記ベンジルハライド(8)もしくはベンズアルデヒド(9)の代わりに、ヘテロアリールメチルハライドもしくはヘテロアリールアルデヒドを使用することによって、同様に調製される。
【0080】
R
1がアルキルもしくは置換アルキル基である化合物は、3を、塩基(例えば、水素化ナトリウム)および必要なアルキル化剤(好ましくは、アルキルハライドもしくは置換アルキルハライド)で処理することによって、調製され得る。
【0081】
IV.(薬学的組成物)
いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能な賦形剤および式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0082】
本発明の化合物は、調製され得、種々様々な経口、非経口および局所の剤形で投与され得る。経口調製物としては、上記患者による摂取に適切な、錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ロゼンジ、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などが挙げられる。本発明の化合物はまた、注射(すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、もしくは腹腔内)によって投与され得る。また、本明細書に記載される化合物は、吸入によって、例えば、鼻内に投与され得る。さらに、本発明の化合物は、経皮的に投与され得る。本発明のGR調節因子はまた、眼内経路、膣内経路、および直腸内経路によって投与され得る(坐剤、吹入剤(insufflation)、散剤およびエアロゾル製剤が挙げられる(例えば、ステロイド吸入薬のもの。Rohatagi, J. Clin. Pharmacol. 35:1187−1193, 1995; Tjwa, Ann. Allergy Asthma Immunol. 75:107−111, 1995を参照のこと)。よって、本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤、および式(I)の化合物、または式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩のいずれかを含む薬学的組成物を提供する。
【0083】
薬学的組成物を本発明の化合物から調製することに関しては、薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性の顆粒剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても働き得る、1種以上の物質であり得る。製剤化および投与のための技術に関する詳細は、科学文献および特許文献に十分に記載されている(例えば、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences, Maack Publishing Co, Easton PA(「Remington’s」)を参照のこと)。
【0084】
散剤において、上記キャリアは、微細固体であり、これは、微細活性成分(active component)と混合した状態にある。錠剤において、上記活性成分は、適切な割合において必要な結合特性を有するキャリアと混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0085】
上記散剤および錠剤は、好ましくは、5%もしくは10%〜70%の上記活性化合物を含む。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。用語「調製」は、他のキャリアありもしくはなしで上記活性成分が、キャリアによって囲まれる(よって、上記活性成分はキャリアと会合した状態にある)カプセル剤を提供する、キャリアとしての封入材料での上記活性化合物の製剤化を含むことが意図される。同様に、カシェ剤およびロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与用に適した固体剤形として使用され得る。
【0086】
適切な固体賦形剤は、炭水化物もしくはタンパク質充填剤であり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糖(ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールが挙げられる);デンプン(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、もしくは他の植物に由来する);セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウム);およびガム(アラビアガムおよびトラガカントガムが挙げられる);ならびにタンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン)。所望であれば、崩壊剤および可溶化剤が添加され得る(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)。
【0087】
糖衣錠コアは、適切なコーティング(例えば、濃縮糖溶液)を有して提供され、これはまた、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。染料もしくは色素は、産物識別のために、または活性化合物の量(すなわち、投与量)を特徴付けるために、上記錠剤もしくは糖衣錠に添加され得る。本発明の薬学的調製物はまた、ゼラチンから作製される、例えば、プッシュフィットカプセル剤(push−fit capsule)、ならびにゼラチンおよびコーティング(例えば、グリセロールもしくはソルビトール)から作製される軟質密封カプセル剤を使用して、経口的に使用され得る。プッシュフィットカプセル剤は、充填剤もしくは結合剤(例えば、ラクトースもしくはデンプン)、滑沢剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定化剤とともに混合された、GR調節因子を含み得る。軟質カプセル剤において、上記GR調節因子化合物は、安定化剤ありもしくはなしで、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、もしくは液体ポリエチレングリコール)中に溶解もしくは懸濁され得る。
【0088】
坐剤を調製するために、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物もしくはカカオ脂)は、最初に融解され、上記活性成分が、例えば撹拌によって、そこに均一に分散させられる。次いで、その融解した均一な混合物が、慣習的なサイズの型に注がれ、冷却され、それによって固化される。
【0089】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョン(例えば、水もしくは水/プロピレングリコール溶液)が挙げられる。非経口注射に関しては、液体調製物が、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤に製剤化され得る。
【0090】
経口使用に適した水性液剤は、上記活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、および所望であれば増粘剤を添加することによって、調製され得る。経口使用に適した水性懸濁剤は、微細活性成分を、水中で粘性物質(例えば、天然もしくは合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム)、および分散剤もしくは湿潤剤、例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られる部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、とともに分散させることによって、作製され得る。上記水性懸濁剤はまた、1種以上の保存剤(例えば、エチルもしくはn−プロピル p−ヒドロキシベンゾエート)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤および1種以上の甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテームもしくはサッカリン)を含み得る。製剤は、容量オスモル濃度について調整され得る。
【0091】
固体形態調製物もまた、含まれ、これは、使用直前に、経口投与のための液体形態調製物に変換されることが、意図される。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、上記活性成分に加えて、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、バッファー、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0092】
油懸濁剤は、GR調節因子を、植物性油(例えば、落花生油、オリーブ油、胡麻油もしくは椰子油)中に、または鉱油(例えば、流動性パラフィン);もしくはこれらの混合物中に懸濁することによって、製剤化され得る。上記油懸濁剤は、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィンもしくはセチルアルコール)を含み得る。甘味剤は、口に合う経口調製物を提供するために添加され得る(例えば、グリセロール、ソルビトールもしくはスクロース)。これらの製剤は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)の添加によって保護され得る。注射用油ビヒクルの例としては、Minto, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281:93−102, 1997を参照のこと。本発明の薬学的製剤はまた、水中油型エマルジョンの形態にあり得る。その油相は、植物性油もしくは鉱油(上記に記載)、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然に存在するガム(例えば、アカシアガムおよびトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド、例えば、大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られるエステルもしくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、が挙げられる。上記エマルジョンはまた、シロップ剤およびエリキシル剤の製剤化におけるように、甘味剤および香味剤を含み得る。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、もしくは着色剤を含み得る。
【0093】
本発明のGR調節因子は、アプリケータースティック、液剤、懸濁剤、エマルジョン、ゲル、クリーム剤、軟膏、パスタ剤、ゼリー、塗布剤(paints)、散剤、およびエアロゾルとして製剤化されて、経皮的に、局所経路によって送達され得る。
【0094】
本発明のGR調節因子および組成物はまた、身体での遅延放出のためにマイクロスフェアとして送達され得る。例えば、マイクロスフェアは、ゆっくりと皮下に放出する薬物含有マイクロスフェアの皮内注射(Rao, J. Biomater Sci. Polym. Ed. 7:623−645, 1995を参照のこと)を介して;生分解性かつ注射用のゲル製剤として(例えば、Gao Pharm. Res. 12:857−863, 1995を参照のこと);または経口投与のためのマイクロスフェアとして(例えば、Eyles, J. Pharm. Pharmacol. 49:669−674, 1997を参照のこと)投与され得る。経皮経路および皮内経路の両方が、数週間もしくは数ヶ月間にわたって一定の送達を提供する。
【0095】
本発明のGR調節因子の薬学的製剤は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)とともに形成され得る。塩は、その対応する遊離塩基形態である水性もしくは他のプロトン性溶媒中に、より溶解性である傾向にある。他の場合には、上記調製物は、使用前に緩衝液と組み合わせられる、1mM〜50mM ヒスチジン、0.1%〜2% スクロース、2%〜7% マンニトール(4.5〜5.5のpH範囲において)中の凍結乾燥粉末であり得る。
【0096】
別の実施形態において、本発明のGR調節因子製剤は、細胞膜と融合するか、またはエンドサイトーシスされるリポソームの使用によって(すなわち、細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合してエンドサイトーシスを生じる、上記リポソームに結合したかまたはオリゴヌクレオチドに直接結合される、リガンドを使用することによって)送達され得る。リポソームを使用することによって、特に、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを有するか、別の方法で特定の器官に優先的に向けられる場合、上記GR調節因子をインビボで上記標的細胞へと送達することに焦点が当てられ得る(例えば、Al−Muhammed, J. Microencapsul. 13:293−306, 1996; Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6:698−708, 1995; Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576−1587, 1989を参照のこと)。
【0097】
上記薬学的調製物は、好ましくは、単位剤形にある。このような形態において、上記調製物は、上記活性成分の適切な量を含む単位用量へとさらに小分けされる。上記単位剤形は、パッケージされた調製物であり得、そのパッケージは、別個の量の調製物(例えば、パックされた錠剤、カプセル剤、およびバイアルもしくはアンプルに入った散剤)を含む。また、上記単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ自体であり得るか、またはパッケージされた形態にある、これらのうちのいずれかの適切な数であり得る。
【0098】
単位用量調製物中の活性成分の量は、特定の適用および上記活性成分の有効性に従って、0.1mg〜10000mg、より代表的には、1.0mg〜1000mg、最も代表的には、10mg〜500mgで変動もしくは調整され得る。上記組成物はまた、必要であれば、他の適合性の治療剤を含み得る。
【0099】
投薬レジメンはまた、当該分野で周知の薬物動態パラメーター(すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティー、代謝、クリアランスなど)を考慮に入れる(例えば、Hidalgo−Aragones (1996) J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 58:611−617; Groning (1996) Pharmazie 51:337−341; Fotherby (1996) Contraception 54:59−69; Johnson (1995) J. Pharm. Sci. 84:1144−1146; Rohatagi (1995) Pharmazie 50:610−613; Brophy (1983) Eur. J. Clin. Pharmacol. 24:103−108;最新版Remington’s(前出)を参照のこと)。当該分野の技術水準は、医師が個々の患者、GR調節因子および処置される疾患もしくは状態のために投薬レジメンを決定することを可能にする。
【0100】
GR調節因子製剤の単一もしくは複数回の投与は、上記患者によって必要とされかつ許容される場合、投与量および頻度に依存して、投与され得る。上記製剤は、上記疾患状態を効率的に処置するために十分な量の活性薬剤を提供するべきである。従って、一実施形態において、GR調節因子を経口投与するための上記薬学的製剤は、約0.5〜約20mg/kg 体重/日の間の一日量にある。代替の実施形態において、投与量は、約1mg〜約4mg/kg 体重/患者/日であり、これが使用される。より低い投与量が使用され得、特に、上記薬物が、解剖学上隠れた部位(例えば、脳脊髄液(CSF)腔)に、経口投与されるのとは対照的に、血流へ、体腔へもしくは器官の管腔へ、投与される場合に使用され得る。実質的により高い投与量は、局所投与において使用され得る。非経口投与可能なGR調節因子製剤を調製するための実際の方法は、公知であるか、または当業者に明らかであり、Remington’s(前出)などの刊行物においてより詳細に記載されている。Nieman, In 「Receptor Mediated Antisteroid Action,」 Agarwal, et al., eds., De Gruyter, New York (1987)もまた参照のこと。
【0101】
本明細書に記載される化合物は、グルココルチコイドレセプターを調節するにあたって有用であることが公知の他の活性薬剤とともに、または単独では有効でないことがあるが、上記活性薬剤の効力に寄与し得る補助剤とともに、互いと組み合わせて使用され得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、共投与は、ある活性薬剤を、第2の活性薬剤の0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、もしくは24時間以内に投与することを包含する。共投与は、2種の活性薬剤を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1分、5分、10分、15分、20分、もしくは30分以内に)、または任意の順序で逐次的に投与することを包含する。いくつかの実施形態において、共投与は、共製剤化(co−formulation)(すなわち、両方の活性薬剤を含む単一の薬学的組成物を調製すること)に付随し得る。他の実施形態において、上記活性薬剤は、別個に製剤化され得る。別の実施形態において、上記活性薬剤および/もしくは補助的薬剤は、連結されてもよいし、互いに結合体化されてもよい。
【0103】
本発明のGR調節因子を含む薬学的組成物が、受容可能なキャリア中に製剤化された後、それは、適切な容器中に入れられ、そして示された状態の処置のために表示され得る。GR調節因子の投与のために、このような表示は、例えば、投与の量、頻度および方法に関する指示を含む。
【0104】
本発明の薬学的組成物は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて形成され得る。塩は、その対応する遊離塩基形態であるものよりも、水性もしくは他のプロトン性溶媒に、より溶解性である傾向にある。他の場合には、上記調製物は、使用前に緩衝液と組み合わされる、1mM〜50mM ヒスチジン、0.1%〜2% スクロース、2%〜7% マンニトール(4.5〜5.5のpH範囲において)中の凍結乾燥粉末であり得る。
【0105】
別の実施形態において、本発明の組成物は、非経口投与(例えば、静脈内(IV)投与または体腔もしくは器官の管腔への投与のため)に有用である。投与のための製剤は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解された本発明の組成物の溶液を含む。使用され得る上記受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水およびリンゲル溶液、等張性塩化ナトリウムがある。さらに、滅菌不揮発性油が、慣習的なことには、溶媒もしくは懸濁媒体として使用され得る。この目的のために、任意の穏やかな不揮発性油が使用され得る(合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる)。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射剤の調製において同様に使用され得る。これら溶液は無菌であり、一般に、所望でない物質を含まない。これらの製剤は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。上記製剤は、適切な生理学的状態に必要とされる場合、薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調整剤および緩衝化剤、張度調整剤(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど))を含み得る。これら製剤中の本発明の組成物の濃度は、種々様々であり得、主に、液体容積、粘度、体重などに基づいて、特定の選択される投与様式および患者のニーズに従って、選択される。IV投与のために、上記製剤は、滅菌注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤)であり得る。この懸濁剤は、それらの適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用液剤もしくは懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)であり得る。
【0106】
別の実施形態において、本発明の組成物の製剤は、細胞膜と融合するか、またはエンドサイトーシスされるリポソームの使用によって(すなわち、エンドサイトーシスを生じる細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合する、上記リポソームに結合したかまたはオリゴヌクレオチドに直接結合される、リガンドを使用することによって)送達され得る。リポソームを使用することによって、特に、上記リポソーム表面が、標的細胞に特異的なリガンドを運ぶか、または別の方法で特定の器官に優先的に指向される場合、本発明の組成物の、インビボでの上記標的細胞への送達に焦点が当てられ得る。(例えば、Al−Muhammed, J. Microencapsul. 13:293−306, 1996; Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6:698−708, 1995; Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576−1587, 1989を参照のこと)。
【0107】
V.(グルココルチコイド調節を介する処置方法)
いくつかの実施形態において、本発明は、グルココルチコイドレセプターを調節することを介して、障害もしくは状態を処置する方法を提供し、上記方法は、このような処置を必要とする被験体に、治療上有効な量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。
【0108】
いくつかの他の実施形態において、本発明は、グルココルチコイドレセプターに拮抗することを介して、障害もしくは状態を処置する方法を提供し、上記方法は、このような処置を必要とする被験体に、有効量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。
【0109】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される技術を使用して、グルココルチコイドレセプター活性を調節する方法を提供する。例示的実施形態において、上記方法は、GRと有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)とを接触させる工程、およびGR活性の変化を検出する工程を包含する。
【0110】
例示的実施形態において、上記GR調節因子は、GR活性のアンタゴニスト(本明細書において「グルココルチコイドレセプターアンタゴニスト」ともいわれる)である。グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、本明細書で使用される場合、GRへのグルココルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾールおよび合成もしくは天然のコルチゾールアナログ)の結合を部分的にもしくは完全に阻害(拮抗)し、それによって、上記アゴニストへのGRの結合と関連するいかなる生物学的応答をも阻害する、任意の組成物もしくは化合物に言及する。
【0111】
関連する実施形態において、上記GR調節因子は、特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストである。本明細書で使用される場合、特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストとは、別の核レセプター(NR)よりむしろ、上記GRへ優先的に結合することによって、アゴニストへのGRの結合と関連するいかなる生物学的応答をも阻害する組成物もしくは化合物に言及する。いくつかの実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)もしくはプロゲステロンレセプター(PR)よりむしろ、GRに優先的に結合する。例示的実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)よりむしろ、GRに優先的に結合する。別の例示的実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、プロゲステロンレセプター(PR)よりむしろ、GRに優先的に結合する。
【0112】
関連する実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、上記NRについての会合定数(K
d)より少なくとも10倍低いK
dで、上記GRに結合する。別の実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、上記NRについての会合定数(K
d)より少なくとも100倍低いK
dで、上記GRに結合する。別の実施形態において、上記特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、上記NRについての会合定数(K
d)より少なくとも1000倍低いK
dで、上記GRに結合する。
【0113】
本発明での使用に適した障害もしくは状態の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:肥満症、糖尿病、心血管疾患、高血圧症、シンドロームX、鬱病、不安、緑内障、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)もしくは後天性免疫不全症候群(AIDS)、神経変性、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知強化、クッシング症候群、アジソン病、骨粗鬆症、虚弱、筋虚弱、炎症性疾患、変形性関節症、関節リウマチ、喘息および鼻炎、副腎機能関連の病気、ウイルス感染症、免疫不全、免疫調節、自己免疫疾患、アレルギー、創傷治癒、強迫行為、多剤耐性、嗜癖、精神病、食欲不振、悪液質、外傷後ストレス症候群、術後骨折、医学的異化作用、精神病性大鬱病、軽度認知障害、精神病、認知症、高血糖症、ストレス障害、抗精神病薬誘導性体重増加、せん妄、鬱病患者の認知障害、ダウン症候群を有する個体における認知悪化、インターフェロン−α治療と関連する精神病、慢性疼痛、胃食道逆流症と関連する疼痛、産後精神病、産後鬱病、早産児における神経学的障害、および片頭痛。いくつかの実施形態において、上記障害もしくは状態は、精神病性大鬱病、ストレス障害もしくは抗精神病薬誘導性体重増加である。
【0114】
VI.(グルココルチコイドレセプター活性を調節するためのアッセイおよび方法)
本発明の化合物は、それらの抗グルココルチコイド特性について試験され得る。グルココルチコイドレセプター活性を調節し得る化合物をアッセイする方法は、本明細書で提示される。代表的には、本発明の化合物は、上記GRに選択的に結合することによって、またはGRリガンドが上記GRに結合しないようにすることによって、グルココルチコイドレセプター活性を調節し得る。いくつかの実施形態において、上記化合物は、ほとんどもしくは全く細胞傷害性効果を示さない。
【0115】
A.(結合アッセイ)
いくつかの実施形態において、GR調節因子は、GRのリガンド(例えば、デキサメタゾン)と競合する分子をスクリーニングすることによって同定される。当業者は、競合的結合アッセイを行うために多くの方法が存在することを認識する。いくつかの実施形態において、GRは、標識されたGRリガンドとともに予めインキュベートされ、次いで、試験化合物と接触させられる。このタイプの競合的結合アッセイはまた、本明細書において結合置換アッセイといわれ得る。GRに結合したリガンドの量の変化(例えば、減少)は、上記分子が潜在的GR調節因子であることを示す。あるいは、GRへの試験化合物の結合は、標識された試験化合物で直接測定され得る。この後者のタイプのアッセイは、直接結合アッセイといわれる。
【0116】
直接結合アッセイおよび競合的結合アッセイの両方が、種々の異なる様式において使用され得る。上記様式は、イムノアッセイおよびレセプター結合アッセイにおいて使用されるものに類似であり得る。競合的結合アッセイおよび直接結合アッセイを含め、結合アッセイに関する異なる様式の説明については、Basic and Clinical Immunology 7th Edition (D. Stites and A. Terr ed.) 1991; Enzyme Immunoassay, E.T. Maggio, ed., CRC Press, Boca Raton, Florida (1980);および「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」, P. Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers B.V. Amsterdam (1985)(その各々が、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0117】
固相競合的結合アッセイにおいて、例えば、上記サンプル化合物は、固体表面に結合した結合因子上の特異的結合部位に関して、標識された分析物と競合し得る。このタイプの様式において、上記標識された分析物は、GRリガンドであり得、上記結合因子は、固相に結合したGRであり得る。あるいは、上記標識された分析物は、標識されたGRであり得、上記結合因子は、固相GRリガンドであり得る。捕捉因子に結合された標識分析物の濃度は、試験化合物が上記結合アッセイにおいて競合する能力に逆比例する。
【0118】
あるいは、上記競合的結合アッセイは、液相において行われ得、当該分野で公知の種々の技術のうちのいずれかが、結合していない標識タンパク質から上記結合した標識タンパク質を分離するために使用され得る。例えば、いくつかの手順が、結合したリガンドと過剰な結合したリガンドとの間を、または結合した試験化合物と過剰な結合していない試験化合物との間を区別するために開発された。これらは、スクロース勾配、ゲル電気泳動、もしくは等電点電気泳動における沈降分離;硫酸プロタミンとのレセプター−リガンド複合体の沈降もしくはヒドロキシルアパタイトに対する吸着;およびデキストラン被覆木炭(DCC)に対する吸着もしくは固定化抗体への結合による結合していない化合物もしくはリガンドの除去による、上記結合した複合体の同定を包含する。分離の後、結合したリガンドもしくは試験化合物の量が、決定される。
【0119】
あるいは、均質結合アッセイが、行われ得、このアッセイにおいて、分離工程は必要とされない。例えば、上記GR上の標識は、上記GRの、そのリガンドもしくは試験化合物への結合によって変化させられ得る。上記標識GRにおけるこの変化は、標識によって発せられるシグナルの減少もしくは増大を生じる。その結果、上記結合アッセイの最後での上記標識の測定は、結合した状態における上記GRの検出もしくは定量を可能にする。種々様々な標識が使用され得る。上記成分は、いくつかの方法のうちのいずれか1つによって標識され得る。有用な放射活性標識としては、
3H、
125I、
35S、
14C、もしくは
32Pを組み込んだものが挙げられる。有用な非放射活性標識としては、蛍光団、化学発光因子、リン光性因子、電気化学発光因子などを組み込んだものが挙げられる。蛍光因子は、タンパク質構造におけるシフト(例えば、蛍光異方性および/もしくは蛍光分極)を検出するために使用される分析技術において特に有用である。標識の選択は、必要とされる感度、上記化合物との結合体化の容易さ、安定性要件、および利用可能な機器に依存する。使用され得る種々の標識もしくはシグナル生成システムの総説については、米国特許第4,391,904号(これは、全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。上記標識は、当該分野で周知の方法に従って、上記アッセイの所望の成分に直接的にもしくは間接的に連結され得る。
【0120】
ハイスループットスクリーニング法は、多数の潜在的な調節因子化合物をアッセイするために使用され得る。このような「化合物ライブラリー」は、次いで、所望の特徴的活性を示すそれらのライブラリーメンバー(特に化学種もしくはサブクラス)を同定するために、本明細書に記載されるように、1種以上のアッセイにおいてスクリーニングされる。化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者に周知である。化学ライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(例えば、357 MPS,390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY、Symphony, Rainin, Woburn, MA、433A Applied Biosystems, Foster City, CA、9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照のこと)。
【0121】
B.(細胞ベースのアッセイ)
細胞ベースのアッセイは、本発明の化合物によってGRの結合もしくは活性の調節をアッセイするために、GRを含む全細胞もしくは細胞画分を必要とする。本発明の方法に従って使用され得る例示的細胞タイプとしては、例えば、任意の哺乳動物細胞(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞、およびリンパ球(例えば、T細胞およびB細胞)のような白血球、白血病、バーキットリンパ腫、腫瘍細胞(マウス乳腺腫瘍ウイルス細胞を含む)、内皮細胞、線維芽細胞、心臓細胞、筋細胞、乳房腫瘍細胞、卵巣癌、子宮頸癌、神経膠芽腫、肝細胞、腎臓細胞、および神経細胞が挙げられる)、ならびに真菌細胞(酵母が挙げられる)が挙げられる。細胞は、初代細胞または腫瘍細胞、または他のタイプの不死化細胞系であり得る。当然のことながら、GRは、GRの内因性バージョンを発現しない細胞において発現され得る。
【0122】
いくつかの場合において、GRのフラグメント、ならびにタンパク質融合物は、スクリーニングのために使用され得る。GRリガンドとの結合に関して競合する分子が所望される場合、上記使用されるGRフラグメントは、上記リガンド(例えば、デキサメタゾン)を結合し得るフラグメントである。あるいは、GRの任意のフラグメントは、GRを結合する分子を同定するために標的として使用され得る。GRフラグメントは、例えば、少なくとも20個、30個、40個、50個のアミノ酸の任意のフラグメント(最大でGRの1個のアミノ酸を除いて全てを含むタンパク質)を含み得る。代表的には、リガンド結合フラグメントは、膜貫通領域および/またはGRの細胞外ドメインのうちの大部分もしくは全てを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、GR活性化によって誘発されるシグナル伝達は、GR調節因子を同定するために使用される。GRのシグナル伝達活性は、多くの方法において決定され得る。例えば、下流の分子事象は、シグナル伝達活性を決定するためにモニターされ得る。下流の事象としては、GRレセプターの刺激の結果として起こるそれらの活性もしくは発現が挙げられる。不変の細胞における転写活性化および拮抗の機能的評価において有用な例示的な下流の事象は、多くのグルココルチコイド応答エレメント(GRE)依存性遺伝子(PEPCK、チロシンアミノトランスフェラーゼ、アロマターゼ)のアップレギュレーションを含む。さらに、GR活性化を受けやすい特異的細胞タイプが使用され得る(例えば、グルココルチコイドによってダウンレギュレートされる骨芽細胞におけるオステオカルシン発現;PEPCKおよびグルコース−6−ホスファターゼ(phospahte)(G−6−Pase)のグルココルチコイド媒介性アップレギュレーションを示す初代肝細胞)。GRE媒介性遺伝子発現はまた、周知のGRE調節配列を使用してトランスフェクトされた細胞系において示された(例えば、レポーター遺伝子構築物の上流にトランスフェクトされたマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV))。有用なレポーター遺伝子構築物の例は、ルシフェラーゼ(luc)、アルカリホスファターゼ(ALP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。転写抑制の機能的評価は、単球もしくはヒト皮膚線維芽細胞のような細胞系において行われ得る。有用な機能的アッセイとしては、IL−1β刺激性IL−6発現;コラゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ−2および種々のケモカイン(MCP−1、RANTES)のダウンレギュレーション;またはトランスフェクトされた細胞系におけるNFkBもしくはAP−1転写因子によって調節される遺伝子の発現を測定するものが挙げられる。
【0124】
代表的には、全細胞アッセイにおいて試験される化合物はまた、細胞傷害性アッセイにおいて試験される。細胞傷害性アッセイは、識別される調節効果が、非GR結合細胞効果に起因する程度を決定するために使用される。例示的実施形態において、上記細胞傷害性アッセイは、構成的に活性な細胞と試験化合物とを接触させることを包含する。細胞活性における任意の減少は、細胞傷害性効果を示す。
【0125】
C.(特異性)
本発明の化合物は、特異性アッセイ(本明細書において選択性アッセイといわれる)に供せられ得る。代表的には、特異性アッセイは、インビトロで、または非GRタンパク質に結合する程度についての細胞ベースのアッセイにおいてGRを結合する化合物を試験することを包含する。選択性アッセイは、上記のように、インビトロでまたは細胞ベースの系において行われ得る。GR結合は、任意の適切な非GRタンパク質(抗体、レセプター、酵素などが挙げられる)に対して試験され得る。例示的実施形態において、上記非GR結合タンパク質は、細胞表面レセプターもしくは核レセプターである。別の例示的実施形態において、上記非GRタンパク質は、ステロイドレセプター(例えば、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、アンドロゲンレセプター、もしくはミネラル・コルチコイドレセプター)である。
【0126】
本明細書において使用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示されかつ記載される特徴の等価物、またはその一部を排除するという意図はなく、種々の改変が、特許請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。さらに、本発明の任意の実施形態のうちのいずれか1つ以上の特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の他の実施形態のうちの任意の1つ以上の他の特徴と組み合わされ得る。例えば、上記GR調節因子化合物の特徴は、疾患状態を処置する方法および/もしくは本明細書に記載される薬学的組成物に等しく適用可能である。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体において参考として援用される。
【実施例】
【0127】
VII.実施例
LCMS法:
方法A:正および負のイオンエレクトロスプレー、ならびにPhenomenex Luna 3ミクロンC18(2) 30×4.6mmカラムおよび2mL/分 流速を使用するELS/ダイオードアレイ検出を備えたWaters Platform LC四重極質量分析計を使用して実験を行った。溶媒系は、最初の50秒間にわたって0.1% ギ酸含有95% 水(溶媒A)および0.1%ギ酸含有5% アセトニトリル(溶媒B)、続いて、次の4分間にわたって最大で5% 溶媒Aおよび95% 溶媒Bまでの勾配であった。最後の溶媒系を、さらに1分間にわたって一定に保持した。
【0128】
方法B: 正および負のイオンエレクトロスプレー、ならびにHiggins Clipeus 5ミクロンC18 100×3.0mmカラムおよび1mL/分 流速を使用するELS/ダイオードアレイ検出を備えたWaters Micromass ZQ2000四重極質量分析計を使用して実験を行った。最初の溶媒系は、最初の1分間にわたって0.1% ギ酸含有95% 水(溶媒A)および0.1% ギ酸含有5% アセトニトリル(溶媒B)、続いて、次の8分間にわたって最大で5% 溶媒Aおよび95% 溶媒Bまでの勾配であった。最終溶媒系を、さらに5分間にわたって一定に保持した。
【0129】
方法C: 正および負のイオンエレクトロスプレー、ならびにPhenomenex Luna 3ミクロンC18 (2) 30×4.6mmカラムおよび2mL/分 流速を使用するELS/ダイオードアレイ検出を備えたWaters ZMD四重極質量分析計を使用して、実験を行った。溶媒系は、最初の50秒間にわたって0.1% ギ酸含有95% 水(溶媒A)および0.1% ギ酸含有5% アセトニトリル(溶媒B)、続いて、次の4分間にわたって最大で5% 溶媒Aおよび95% 溶媒Bまでの勾配であった。最終溶媒系を、さらに1分間にわたって一定に保持した。
【0130】
方法D: Acquity UPLC BEH C18 1.7ミクロン 100×2.1mm(40℃において維持)を使用するPDA UV検出器を備えたWaters Acquity UPLCシステムに連結されたWaters Micromass ZQ2000四重極質量分析計を使用して、実験を行った。上記分析計は、正および負のイオンモードにおいて作動するエレクトロスプレー源を有する。最初の溶媒系は、0.4分にわたって0.1% ギ酸含有95% 水(溶媒A)および0.1% ギ酸含有5% アセトニトリル(溶媒B)、続いて、次の6.4分間にわたって最大で5% 溶媒Aおよび95% 溶媒Bまでの勾配であった。
【0131】
方法E: Higgins Clipeus 5ミクロンC18 100×3.0mm カラムおよび1mL/分 流速を使用する、正および負のイオンエレクトロスプレーならびにELS/ダイオードアレイ検出を備えた、Hewlett Packard HP1100 LCシステムに連結したWaters Quattro Micro三重四重極質量分析計を使用して、実験を行った。最初の溶媒系は、最初の1分間にわたって0.1% ギ酸含有85% 水(溶媒A)および0.1% ギ酸含有15% アセトニトリル(溶媒B)であり、続いて、次の13分間にわたって最大で5% 溶媒Aおよび95% 溶媒Bまでの勾配であった。上記溶媒系を、さらに7分間にわたって一定に保持し、その後、最初の溶媒条件へと戻した。
【0132】
実施例1:5−ベンジル−6−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(2a)の調製
【0133】
【化10】
【0134】
トリフルオロメタンスルホン酸 4−フェニル−シクロヘキサ−1−エニルエステル。窒素下で−20℃において、テトラヒドロフラン(25mL)中のジイソプロピルアミン(4.46mL)の溶液を、n−ブチルリチウム(12.6mL)の2.5M溶液で処理し、15分間にわたって撹拌した。得られた混合物を、−78℃へと冷却し、その後、テトラヒドロフラン(20mL)中の4−フェニルシクロヘキサノン(5.0g)の溶液を、20分間にわたって添加した。得られた溶液を、−78℃において3時間にわたって撹拌し、次いで、テトラヒドロフラン(25mL)中のN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(10.76g)の溶液で処理した。上記混合物を、−78℃において1.5時間にわたって撹拌し、次いで、室温へと加温し、さらに18時間にわたって撹拌した。上記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を、2M 水酸化ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させた。上記溶媒を減圧下で除去して、標題化合物を油状物として得た(7.3g)。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.32−7.31 (2 H, m), 7.24−7.22 (3 H, m), 5.87−5.84 (1 H, m), 2.85−2.84 (1 H, m), 2.55−2.54 (1 H, m), 2.44−2.43 (2 H, m), 2.35−2.34 (1 H, m), 2.09−2.07 (1 H, m), 1.96−1.95 (1 H, m)。
【0135】
【化11】
【0136】
4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−[1,3,2]ジオキサボロラン。1,4−ジオキサン(150mL)中のトリフルオロ−メタンスルホン酸4−フェニル−シクロヘキサ−1−エニルエステル(5.8g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(5.3g)、酢酸カリウム(5.58g)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.77g)の混合物を脱気し、次いで、2時間にわたって80℃へと加熱した。上記反応混合物を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、ジエチルエーテルおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜1:20)の混合物で溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(4.0g)。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.30−7.28 (2 H, m), 7.24−7.15 (3 H, m), 6.65−6.64 (1 H, m), 2.82−2.71 (1 H, m), 2.40−2.36 (2 H, m), 2.23−2.22 (2 H, m), 1.95−1.94 (1 H, m), 1.70−1.68 (1 H, m), 1.43 (3 H, s), 1.28 (9 H, s)。
【0137】
【化12】
【0138】
5−ベンジル−6−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(2a)。1,4−ジオキサン(18mL)および水(2mL)中の5−ベンジル−6−クロロ−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(WO06014394)(1.0g)、4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−[1,3,2]ジオキサボロラン(1.4g)、ビス[ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロロパラジウム(II)(0.06g)およびフッ化セシウム(1.92g)の混合物を、140℃においてマイクロ波反応器中で20分間にわたって加熱した。得られた混合物を、塩化アンモニウム飽和水溶液で希釈し、濾過して、沈殿物を除去した。その濾液を、ジクロロメタンで抽出し、その合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、続いて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、メタノールおよびジクロロメタン(体積で0:1〜1:20)の混合物で溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物2aを灰白色固体として得た(0.48g)。LCMS(方法A): R
t=3.56分。(M+H)
+ = 359。
1H NMR (DMSO−D
6): δ 11.06 (1 H, s), 10.69 (1 H, s), 7.23−7.21 (10 H, m), 5.84−5.79 (1 H, m), 3.61 (2 H, s), 3.57 (1 H, s), 2.77−2.67 (1 H, m), 2.19−2.16 (3 H, m), 1.84−1.81 (1 H, m), 1.68−1.67 (1 H, m)。
【0139】
実施例2〜4:5−置換6−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオンの調製
表1に示される中間体を、WO06014394(その内容は、それらの全体において本明細書に参考として援用される)に記載される手順に従って調製した。
【0140】
【表1】
表2に示される実施例を、最後のクロスカップリングにおいて表1の中間体1a〜1cを使用して、実施例1に記載されるものに類似の方法を使用して調製した。
【0141】
【表2】
実施例5:(E)−5−ベンジル−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3a)の調製
【0142】
【化13】
【0143】
(E)−5−ベンジル−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3a)。IMS/DCMの[5:2]混合物中の5−ベンジル−6−(4−フェニルシクロヘキサ−1−エニル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(2a)(380mg)の溶液を、Pd(OH)
2(150mg)および10% Pd/C(100mg)で、45psiにおいて50℃で18時間にわたって水素化した。粗製の反応混合物をアルゴンで脱気し、セライトパッドを介して濾過し、真空中で濃縮して、クリーム状(cream)の固体を得た。1H NMRから、シス/トランス異性体の混合物であることが示され、その一部を、20分間にわたって70〜80% MeOH/水(+0.1% ギ酸)、次いで、さらに5分間にわたって均一濃度(80%)で溶出するC18 Synergyカラムを使用して個々の異性体へと分離した。
1H NMR(シクロヘキサンブリッジヘッドプロトンカップリング定数)から、第1の溶出する異性体をトランス異性体3aとして、第2のものをシス異性体3bbとして割り当てることが可能であった。第1の溶出する異性体3a: R
t=10.86分、(M+H)
+ = 361。第2の溶出するシス異性体3bb:R
t=11.01分、(M+H)
+ = 361。
【0144】
実施例6:(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチルベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3b)の調製
【0145】
【化14】
【0146】
(E)−4−フェニルシクロヘキサンカルボン酸(5)。エタノール(400mL)中の(E)−4−(4−クロロフェニル)−シクロヘキサンカルボン酸(4)(15g)および10% パラジウム炭素(4g)の混合物を、水素雰囲気下で4日間にわたって撹拌した。上記反応混合物をジクロロメタンで希釈し、セライト(登録商標)を通して濾過し、その濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、エタノール(150mL)中に溶解し、5M 水性水酸化ナトリウム(25mL)で処理した。得られた混合物を、室温で16時間にわたって撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。その残渣を1M 水性塩酸(200mL)で処理し、15分間にわたって撹拌し、次いで、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、標題化合物を白色固体として得た(11g)。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.27−7.25 (5 H, m), 2.52 (1 H, tt, J = 11.90, 3.44 Hz), 2.48−2.29 (1 H, m), 2.17−2.14 (2 H, m), 2.02−1.98 (2 H, m), 1.56−1.55 (4 H, m)。
【0147】
【化15】
【0148】
(E)−3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−プロピオン酸エチルエステル(7)。ジクロロメタン(200mL)中の(E)−4−フェニルシクロヘキサンカルボン酸(5)(11g)、ジメチルピリジン−4−イル−アミン(7.3g)、2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン(8.5g)および4Åモレキュラーシーブ(2.0g)の混合物を、室温において10分間にわたって撹拌し、次いで、ジクロロメタン(40mL)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(12.4g)の溶液で処理した。得られた混合物を、室温において1.5時間にわたって撹拌し、次いで、濾過し、その濾液を、1M 水性塩酸および水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた固体をエタノール(100mL)中に溶解し、還流しながら1.5時間にわたって加熱し、次いで、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、酢酸エチルおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜3:7)の混合物で溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を白色固体として得た(11g)。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.23−7.22 (5 H, m), 4.25−4.17 (2 H, m), 3.52 (2 H, s), 2.54−2.53 (2 H, m), 2.09−1.99 (4 H, m), 1.54−1.51 (4 H, m), 1.32−1.25 (3 H, m)。
【0149】
【化16】
【0150】
(Z)−2−(4−フェニルシクロヘキサンカルボニル)−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−アクリル酸エチルエステル(10)。3−オキソ−3−(4−フェニル−シクロヘキシル)−プロピオン酸エチルエステル(7)(11.56g,42.1mmol)、3−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(11g,63.15mmol)、氷酢酸(7.16mmol,0.41mL)およびピペリジン(2.1mmol,0.21mL)を、トルエン(250mL)中に溶解し、ディーンスターク条件下で還流しながら48時間にわたって加熱した。冷却した反応混合物を、等容積の酢酸エチルで希釈し、1M 水性HClおよびブラインで洗浄した。その有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エバポレートして、透明な褐色の油状物を得た。その残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:シクロヘキサン中0〜10% tert−ブチルメチルエーテル)によって精製して、12.3g(68%)の(Z)−2−(4−フェニル−シクロヘキサンカルボニル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アクリル酸エチルエステルを得た。
1H NMR (400 MHz, 192191)、LCMS(方法C), R
t=4.77分、(M+H)
+ = 431.2。
【0151】
【化17】
【0152】
3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−(3−トリフルオロメチルベンジル)−プロピオン酸エチルエステル(11)。変性エタノール(250mL)中の(Z)−2−(4−フェニルシクロヘキサンカルボニル)−3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−アクリル酸エチルエステル(10)(12.3g,28.6mmol)および10% Pd炭素(2.5g,20重量%)の混合物を、水素雰囲気下で2時間にわたって撹拌した。上記固体を、セライトを通す濾過によって除去し、エタノールで洗浄した。その濾液を真空下でエバポレートして、透明な油状物を得た。その残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:シクロヘキサン中0〜10% tert−ブチルメチルエーテル)によって精製して、8.6g(70%)の3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−(3−トリフルオロメチルベンジル)−プロピオン酸エチルエステル(22)を得た。
1H NMR (400 MHz, 192227)。LCMS (方法A), R
t=4.76分, (M+H)
+ = 433.2 (94%); R
t=5.22分, (M+H)
+ = 262.9 (6.5%)。
【0153】
【化18】
【0154】
(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−チオキソ−5−(3−トリフルオロメチルベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピリミジン−4−オン(12a)。ナトリウム(5g,217.8mmol)およびチオ尿素(18g,236mmol)を、無水エタノール(300mL)中に溶解し、還流しながら窒素下で1時間にわたって加熱した。上記反応混合物を0℃へと冷却し、無水エタノール(150mL)中の3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−(3−トリフルオロメチルベンジル)−プロピオン酸エチルエステル(11)(15.7g,36.3mmol)をゆっくりと添加した(反応混合物温度<10℃)。上記反応混合物を、還流しながら1.5時間にわたって加熱した。上記反応混合物を冷却し、次いで、真空下で桃色の固体へとエバポレートした。上記固体を水(500mL)の中に懸濁し、pH=5へと氷酢酸で調整した。得られた沈殿物を濾過によって単離し、DCM中に再溶解し、相分離カートリッジを通過させて、水を除去した。その濾液を、灰白色固体へとエバポレートし、これを熱いメタノール中で粉砕した。上記固体を濾過によって回収し、真空下で50℃において乾燥させて、4.8g(30%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, 192268)。LCMS (方法C): R
t=4.10分, (M+H)
+ = 444.9。
【0155】
【化19】
【0156】
(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチルベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3b)。(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−チオキソ−5−(3−トリフルオロメチルベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピリミジン−4−オン(12a)(4.8g,10.8mmol)を、ジオキサン(150mL)中に懸濁し、10%(w/v) 水性クロロ酢酸(100mL)を添加した。上記反応混合物を100℃において加熱し、さらにジオキサン(25mL)を添加して、完全な溶解をもたらした。加熱を64時間にわたって継続した。冷却した反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機物を、飽和水性炭酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エバポレートして、灰白色固体を得、これを熱いメタノール中で粉砕した。上記固体を濾過によって回収し、真空下で50℃において乾燥させて、3.7g(80%)の標題化合物を得た。
1H NMR (DMSO−d
6): δ 11.12 (1 H, s), 10.52 (1 H, s), 7.61 (1 H, s), 7.51 (3 H, m), 7.30−7.13 (5 H, m), 3.83 (2H, s), 2.90 (1 H, m), 1.83−1.80 (4 H, m), 1.50−1.40 (4 H, m)。LCMS (方法B): R
t=5.26分, (M+H)
+ = 429.01。
【0157】
実施例7:(E)−5−(3−メチルベンジル)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3h)の調製
【0158】
【化20】
【0159】
(E)−2−(2−エチルベンジル)−3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−プロピオン酸エチルエステル(11a)。テトラヒドロフラン(10mL)中の水素化ナトリウム(0.07g)の懸濁物を、テトラヒドロフラン(8mL)中の(E)−3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−プロピオン酸エチルエステル(7)(0.50g)の溶液で処理し、得られた混合物を、1時間にわたって室温で撹拌した。1−ブロモメチル−2−エチルベンゼン(0.38g)を添加し、得られた混合物を、2時間にわたって還流し、室温へと冷却し、1M 水性塩酸を添加することによってクエンチした。その水性相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、ジクロロメタンおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜4:6)の混合物で溶出する、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(0.86g)。
1H NMR (CDCl
3): δ 7.31−7.27 (1 H, m), 7.17−7.16 (6 H, m), 7.09−7.08 (2 H, m), 4.16−4.16 (2 H, m), 3.97 (1 H, t, J = 7.47 Hz), 3.22−3.21 (2 H, m), 2.68 (2 H, q, J = 7.55 Hz), 2.41−2.41 (2 H, m), 1.94−1.92 (3 H, m), 1.75−1.68 (1 H, m), 1.54 (1 H, s), 1.40−1.39 (3 H, m), 1.27−1.18 (6 H, m)。
【0160】
【化21】
【0161】
(E)−2−(3−メチルベンジル)−3−オキソ−3−(4−フェニルシクロヘキシル)−プロピオン酸エチルエステル(11h)。標題化合物を、上記の化合物11aについて記載されるように調製した。
1H NMR (CDCl
3): 7.29 (2 H, m), 7.17−7.12 (4 H, m), 7.02−6.95 (3 H, m), 4.16 (2 H, qd, J = 7.13, 2.38 Hz), 3.95 (1 H, t, J = 7.51 Hz), 3.13 (2 H, dd, J = 7.52, 2.32 Hz), 2.45 (2 H, m), 2.31 (3 H, s), 1.97−1.94 (3 H, m), 1.80−1.73 (1 H, m), 1.53−1.27 (4 H, m), 1.22 (3 H, t, J = 7.13 Hz)。
【0162】
【化22】
【0163】
(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−2−チオキソ−5−(3−メチルベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−ピリミジン−4−オン(12g)。標題化合物を、上記の化合物12aについて記載されるように、化合物11hから調製した。LCMS (方法A): R
t=4.07分, (M+H)
+ = 391。
【0164】
【化23】
【0165】
(E)−5−(3−メチルベンジル)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3h)。標題化合物を、上記の化合物3bについて記載されるように化合物12gから調製した。
1H NMR (DMSO−d6): 11.06 (1 H, s), 10.46 (1 H, s), 7.32−7.24 (2 H, m), 7.18−7.16 (4 H, m), 7.00−6.98 (3 H, m), 3.68 (2 H, s), 2.90−2.79 (1 H, m), 2.48−2.44 (1 H, m), 2.25 (3 H, s), 1.91−1.73 (4 H, m), 1.46−1.43 (4 H, m)。LCMS(方法B), R
t=5.17分, (M+H)
+ = 375。
【0166】
実施例8〜34: 5−置換(E)−6−(4−シクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオンの調製
以下の表3中の中間体11は、実施例7において化合物11aについて記載されるように7bから調製した。
【0167】
【表3-1】
【0168】
【表3-2】
【0169】
【表3-3】
【0170】
【表3-4】
中間体11を、実施例6における12aの調製について記載されるように、以下の表4中の中間体12に変換した。
【0171】
【表4-1】
【0172】
【表4-2】
【0173】
【表4-3】
【0174】
【表4-4】
【0175】
【表4-5】
中間体12を、実施例6の化合物3bの調製の場合のように、以下の表5中の化合物3に変換した。
【0176】
【表5-1】
【0177】
【表5-2】
【0178】
【表5-3】
【0179】
【表5-4】
【0180】
【表5-5】
【0181】
【表5-6】
【0182】
【表5-7】
【0183】
【表5-8】
実施例35: (E)−3−メチル−5−(3−メチルベンジル)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13a)
【0184】
【化24】
【0185】
(E)−3−メチル−5−(3−メチルベンジル)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13a)。水素化ナトリウム(2.1mg;0.053mmol)を、乾燥DMF(2mL)中の化合物3h(20mg;0.053mmol)の溶液に添加し、続いて、3.3μL(0.053mmol) MeIを添加した。上記混合物を、周囲温度において16時間にわたって撹拌した。さらに1当量のNaHおよびMeIを次の24時間にわたって添加した。その内容物を水(0.5mL)で希釈し、真空中で濃縮し、得られた残渣を、分取用LC(30〜95% CH
3CN/H2O+0.1% ギ酸で溶出するC18カラム)によって精製して、凍結乾燥後に標題生成物を得た(13mg)。
1H NMR δ (ppm) (DMSO− d
6): 10.76 (1 H, s), 7.28 (2 H, m), 7.18−7.17 (4H, m), 7.05−6.92 (3 H, m), 3.74 (2 H, s), 3.16 (3 H, s), 2.90 (1 H, s), 2.25 (3 H, s), 1.90−1.78 (4 H, m), 1.48 (4 H, m)。LCMS(方法B): R
t=5.56分, (M+H)
+ = 389。
【0186】
実施例36〜42: 5−置換(E)−3−アルキル−6−(4−シクロヘキシル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオンの調製
以下の表6中の実施例の化合物を、適切な化合物3から、実施例38〜41について以下に記載されるように必須のアルキル化剤を用いて調製した。アミンのアルキル化を記載する関連反応については、Larock, R.C. Comprehensive Organic Transformations. New York: VCH Publishers, Inc., 1989(その内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)の397〜408頁を参照のこと。
【0187】
【表6-1】
【0188】
【表6-2】
【0189】
【表6-3】
実施例38.(E)−3−メチル−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13d)の調製
【0190】
【化25】
【0191】
水素化ナトリウム(6mg;0.14mmol)を、乾燥DMF(3mL)中の(E)−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3b)(50mg;0.117mmol)の溶液に添加し、続いて、30分後に9μL(0.14mmol) ヨウ化メチルを添加した。上記反応混合物を、周囲温度において18時間にわたって撹拌した。さらに0.2当量のNaHおよびMeIを添加し、撹拌を2時間25分間にわたって継続した。次いで、上記内容物を水(10mL)で希釈した。上記混合物を酢酸エチルで抽出し(2×20mL)、その有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、エバポレートした。その残渣を、沸騰メタノールから再結晶化させて、上記生成物を得た(10.2mg)。R
t=5.63分。
【0192】
実施例39.(E)−3−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13e)の調製
【0193】
【化26】
【0194】
水素化ナトリウム(18mg;0.46mmol)を、乾燥DMF(5mL)中の(E)−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3b)(150mg;0.35mmol)の溶液に添加し、続いて、80℃において25分後に、9μL(0.14mmol)の(2−ブロモ−エトキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シランを添加した。上記反応混合物を、80℃において18時間にわたって撹拌した。さらに2.5当量のNaHおよびMeIを24時間にわたって添加した。上記反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出し(4×10mL)、次いで、その有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、エバポレートした。上記物質を、酢酸エチルおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜1:0)の混合物で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(57mg)。R
t=5.09分。
【0195】
実施例40.(E)−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13f)の調製
【0196】
【化27】
【0197】
テトラブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M,141μL;0.141mmol)を、THF(5mL)中の(E)−3−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13f)(55mg;0.094mmol)の撹拌溶液に添加した。上記反応混合物を1時間にわたって撹拌し、次いで、5日間にわたって静置した。水(10mL)を添加し、上記混合物をジエチルエーテルで抽出した(2×10mL)。その有機物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、エバポレートした。上記物質を、酢酸エチルおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜1:0)の混合物で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(20mg)。R
t=5.28分。
【0198】
実施例41.(E)−3−(2−メトキシ−エチル)−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13g)の調製
【0199】
【化28】
【0200】
水素化ナトリウム(13mg;0.316mmol)を、乾燥DMF(4mL)中の(E)−6−(4−フェニル−シクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(3b)(104mg;0.243mmol)の溶液に添加し、続いて、30分後に、30μL(0.316mmol)の1−ブロモ−2−メトキシエタンを添加した。上記反応混合物を、80℃において42時間にわたって撹拌した。上記反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出し(3×10mL)、次いで、その有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、エバポレートした。上記物質を、酢酸エチルおよびシクロヘキサン(体積で0:1〜1:0)の混合物で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、次いで、分取用LC(10〜98% CH
3CN/H
2O+0.1% ギ酸で溶出するC18カラム)によってさらに精製して、上記生成物(7mg)を凍結乾燥後に得た。Rt=5.70分。
【0201】
実施例43:グルココルチコイドレセプター結合アッセイ
以下は、ヒト組換えグルココルチコイドレセプターに対するデキサメタゾン結合の阻害を決定するためのアッセイの記載である:
結合プロトコル:化合物を、リガンドとしての
3H−デキサメタゾンとともに、ヒト組換えグルココルチコイドレセプターを使用して、結合置換アッセイで試験した。レセプターの供給源は、組換えバキュロウイルス感染昆虫細胞であった。このGRは、おそらく、熱ショックタンパク質および他の内因性タンパク質と関連するようである全長ステロイドホルモンレセプターであった。
【0202】
上記アッセイを、適切な体積のアッセイ緩衝液中、試験化合物、試験化合物のビヒクル(総結合のために)もしくは過剰デキサメタゾン(20μM,非特異的結合を決定するために)の存在下で、最終体積100μl(0.5nM GR溶液、2.5nM 3H−デキサメタゾン(Perkin Elmer NET119200)を含む)においてv底96ウェルポリプロピレンプレート中で行った。
【0203】
IC
50決定のために、試験化合物を、6つの濃度において二連で試験した。試験化合物を、100% DMSO中の10mMストックから希釈した。上記試験される溶液を、2% DMSO/アッセイ緩衝液中で2×最終アッセイ濃度に調製した。
【0204】
全ての試薬およびアッセイプレートを、試薬の添加の間に氷上で維持した。上記試薬を、v底ポリプロピレンプレートのウェルに以下の順序で添加した: 25μlの10nM 3H−デキサメタゾン溶液、50μlのTB/NSB/化合物溶液および25μlの2nM GR溶液。添加後に、インキュベーション混合物を混合し、2.5時間にわたって4℃においてインキュベートした。
【0205】
2.5時間のインキュベーション後、結合していないカウントを、以下のとおり、デキストラン被覆チャコール(DCC)で除去した:15μlのDCC溶液(アッセイ緩衝液中10% DCC)を全てのウェルに添加し、混合した(総容積115μl)。上記プレートを、4000rpmにおいて10分にわたって4℃で遠心分離した。75μlの上清を、オプティプレートへと注意深くピペットで移した。150μlのシンチレーションカクテルを添加した(Microscint−40, Perkin Elmer)。上記プレートを、約10分間にわたって激しく振盪し、Topcountで計数した。
【0206】
IC
50決定のために、結果を、[
3H]−デキサメタゾン結合の阻害%として計算し、IC
50値(結合したカウントのうちの50%を置き換える化合物の濃度)を得るために、シグモイド曲線(100および0に固定した)に適合させた。上記IC
50値を、Cheng−Prusoff方程式を使用して、K
i(阻害定数)に変換した。試験結果を、表7に示す。
【0207】
試薬: アッセイ緩衝液: 5mM DTT、10mM モリブデン酸ナトリウム、100μM EDTAおよび0.1% BSAを含む、10mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.6)。
【0208】
実施例44:SW1353/MMTV−5細胞を使用するGR機能的アッセイ
SW1353/MMTV−5は、内因性グルココルチコイドレセプターを含む接着性ヒト軟骨肉腫細胞系である。これを、ウイルスプロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルスの長末端反復)に由来するグルココルチコイド応答性エレメント(GRE)の後ろに位置するホタルルシフェラーゼをコードするプラスミド(pMAMneo−Luc)でトランスフェクトした。安定な細胞系SW1353/MMTV−5を、ジェネティシン(これは、このプラスミドを維持するために必要とされる)で選択した。従って、この細胞系は、ルシフェラーゼの発現をもたらすグルココルチコイド(デキサメタゾン)に対して感受性である(EC
50dex 10nM)。このデキサメタゾン誘導性応答は、経時的に徐々に失われた。そしてより早い継代に由来する新しい培養を、3ヶ月ごとに(低温保存したアリコートから)開始した。
【0209】
GR−アンタゴニストについて試験するために、SW1353/MMTV−5細胞を、5xEC
50dex(50nM)の存在下で上記化合物のいくつかの希釈物とともにインキュベートし、誘導されるルシフェラーゼ発現の阻害を、Topcount(Britelite Plus kit, Perking Elmer)で検出される発光を使用して測定した。各アッセイに関して、各試験化合物のIC
50からK
iを計算するために必要とされるEC
50dexを決定するために、デキサメタゾンについての用量応答曲線を作製した。
【0210】
SW1353/MMTV−5細胞を96ウェルプレートにまき、24時間にわたって培地(ジェネティシンなし)中でインキュベートした。培地+50nM デキサメタゾン中の上記化合物の希釈物を添加し、上記プレートを、さらに24時間にわたってさらにインキュベートし、その後、ルシフェラーゼ発現を測定する。
【0211】
【表7-1】
【0212】
【表7-2】
【0213】
【表7-3】
【0214】
【表7-4】
【0215】
【表7-5】
【0216】
【表7-6】
【0217】
【表7-7】
表7において、5.0nM未満のK
i値を有するGR結合化合物は、+++で示され;5.0nM〜10.0nMのK
i値を有する化合物は、++で示され;そして10nMより大きいK
i値を有する化合物は、+で示される。50nM未満のK
i値を有するGR機能性化合物は、+++で示され、50nM〜100nMのK
i値を有する化合物は、++で示され;そして100nMより大きいK
i値を有する化合物は、+で示される。
【0218】
前述の発明は、理解を明瞭にする目的で、図示および例示によっていくぶん詳細に記載されてきたが、当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを認識する。さらに、本明細書で提供される各参考文献は、各参考文献が個々に参考として援用されるかのように同程度まで、その全体において参考として援用される。本願と、本明細書に提供される参考文献との間に矛盾があれば、本願が優先するものとする。