(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
本実施形態では、機器の実施形態の一例としてスマートフォン1を採用し、人の腹部及び大腿部の筋肉面積を推定する場合について説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
自機であるスマートフォン1は、向き情報を得る第1のセンサ部と、移動情報を得るためのデバイス部と、対象部の断面の輪郭を演算するコントローラ10とを少なくとも備える。本実施形態では移動情報を得るためのデバイス部は第2のセンサ部を含んでいる。
【0022】
図1から
図3を参照しながら、第1の実施形態に係るスマートフォン1の外観について説明する。
【0023】
ハウジング20は、フロントフェイス1Aと、バックフェイス1Bと、サイドフェイス1C1〜1C4とを有する。フロントフェイス1Aは、ハウジング20の正面である。バックフェイス1Bは、ハウジング20の背面である。サイドフェイス1C1〜1C4は、フロントフェイス1Aとバックフェイス1Bとを接続する側面である。以下では、サイドフェイス1C1〜1C4を、どの面であるかを特定することなく、サイドフェイス1Cと総称することがある。
【0024】
スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3A〜3Cと、照度センサ4と、近接センサ5と、レシーバ7と、マイク8と、カメラ12とをフロントフェイス1Aに有する。スマートフォン1は、カメラ13をバックフェイス1Bに有する。スマートフォン1は、ボタン3D〜3Fと、コネクタ14とをサイドフェイス1Cに有する。以下では、ボタン3A〜3Fを、どのボタンであるかを特定することなく、ボタン3と総称することがある。
【0025】
タッチスクリーンディスプレイ2は、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有する。ディスプレイ2Aは、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence panel)、または無機ELパネル(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2Aは、文字、画像、記号または図形等を表示する。
【0026】
タッチスクリーン2Bは、タッチスクリーン2Bに対する指、またはスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーン2Bは、複数の指、またはスタイラスペン等がタッチスクリーン2Bに接触した位置を検出することができる。
【0027】
タッチスクリーン2Bの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(または超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。静電容量方式では、指、またはスタイラスペン等の接触及び接近を検出することができる。
【0028】
図4は、スマートフォン1の構成を示すブロック図である。スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、通信ユニット6と、レシーバ7と、マイク8と、ストレージ9と、コントローラ10と、カメラ12及び13と、コネクタ14と、モーションセンサ15と、を有する。
【0029】
タッチスクリーンディスプレイ2は、上述したように、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有する。ディスプレイ2Aは、文字、画像、記号、または図形等を表示する。タッチスクリーン2Bは、受付領域に対する接触を入力として受け付ける。つまり、タッチスクリーン2Bは、接触を検出する。コントローラ10は、スマートフォン1に対するジェスチャを検出する。コントローラ10は、タッチスクリーン2Bと協働することによって、タッチスクリーン2B(タッチスクリーンディスプレイ2)における操作(ジェスチャ)を検出する。コントローラ10は、タッチスクリーン2Bと協働することによって、ディスプレイ2A(タッチスクリーンディスプレイ2)における操作(ジェスチャ)を検出する。
【0030】
ボタン3は、使用者によって操作される。ボタン3は、ボタン3A〜ボタン3Fを有する。コントローラ10はボタン3と協働することによってボタンに対する操作を検出する。ボタンに対する操作は、例えば、クリック、ダブルクリック、プッシュ、ロングプッシュ、及びマルチプッシュである。
【0031】
例えば、ボタン3A〜3Cは、ホームボタン、バックボタンまたはメニューボタンである。本実施形態では、ボタン3A〜3Cとしてタッチセンサ型のボタンを採用している。例えば、ボタン3Dは、スマートフォン1のパワーオン/オフボタンである。ボタン3Dは、スリープ/スリープ解除ボタンを兼ねてもよい。例えば、ボタン3E及び3Fは、音量ボタンである。
【0032】
照度センサ4は、照度を検出する。例えば、照度とは、光の強さ、明るさ、輝度等である。照度センサ4は、例えば、ディスプレイ2Aの輝度の調整に用いられる。
【0033】
近接センサ5は、近隣の物体の存在を非接触で検出する。近接センサ5は、例えば、タッチスクリーンディスプレイ2が顔に近付けられたことを検出する。
【0034】
通信ユニット6は、無線により通信する。通信ユニット6によって行われる通信方式は、無線通信規格である。例えば、無線通信規格として、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信規格がある。例えば、セルラーフォンの通信規格として、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA、CDMA2000、PDC、GSM(登録商標)、PHS(Personal Handy-phone System)等がある。例えば、無線通信規格として、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、IrDA、NFC等がある。通信ユニット6は、上述した通信規格の1つまたは複数をサポートしていてもよい。
【0035】
レシーバ7は、コントローラ10から送信される音声信号を音声として出力する。マイク8は、使用者等の音声を音声信号へ変換してコントローラ10へ送信する。スマートフォン1は、レシーバ7に代えて、スピーカをさらに有してもよい。
【0036】
ストレージ9は、プログラム及びデータを記憶する。また、ストレージ9は、コントローラ10の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。ストレージ9は、半導体記憶デバイス、及び磁気記憶デバイス等の任意の記憶デバイスを含んでよい。また、ストレージ9は、複数の種類の記憶デバイスを含んでよい。また、ストレージ9は、メモリカード等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。
【0037】
ストレージ9に記憶されるプログラムには、フォアグランドまたはバックグランドで実行されるアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する制御プログラムとが含まれる。アプリケーションは、例えば、ディスプレイ2Aに所定の画面を表示させ、タッチスクリーン2Bを介して検出されるジェスチャに応じた処理をコントローラ10に実行させる。制御プログラムは、例えば、OSである。アプリケーション及び制御プログラムは、通信ユニット6による無線通信または記憶媒体を介してストレージ9にインストールされてもよい。
【0038】
ストレージ9は、例えば、制御プログラム9A、メールアプリケーション9B、ブラウザアプリケーション9C、及び測定アプリケーション9Zを記憶する。メールアプリケーション9Bは、電子メールの作成、送信、受信、及び表示等のための電子メール機能を提供する。ブラウザアプリケーション9Cは、WEBページを表示するためのWEBブラウジング機能を提供する。測定アプリケーション9Zは、利用者がスマートフォン1で対象部の断面の輪郭を測定する機能を提供する。
【0039】
制御プログラム9Aは、スマートフォン1を稼働させるための各種制御に関する機能を提供する。制御プログラム9Aは、例えば、通信ユニット6、レシーバ7、及びマイク8等を制御することによって、通話を実現させる。なお、制御プログラム9Aが提供する機能は、メールアプリケーション9B等の他のプログラムが提供する機能と組み合わせて利用されることがある。
【0040】
コントローラ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。コントローラ10は、通信ユニット6等の他の構成要素が統合されたSoC(System-on-a-Chip)等の集積回路であってもよい。コントローラ10は、複数の集積回路を組み合わせて構成されていてもよい。コントローラ10は、スマートフォン1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0041】
具体的には、コントローラ10は、ストレージ9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、ストレージ9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行して、ディスプレイ2A、通信ユニット6、及びモーションセンサ15などを制御することによって各種機能を実現する。コントローラ10は、ストレージ9に記憶されている測定アプリケーション9Zに含まれる命令を実行して各種機能を実現する。コントローラ10は、タッチスクリーン2B、ボタン3、モーションセンサ15などの各種検出部の検出結果に応じて、制御を変更することができる。本実施形態では、コントローラ10全体が制御部として機能する。コントローラ10は、第1のセンサ部により取得された向き情報と、第2のセンサ部により取得された移動情報とに基づいて、対象部の断面の輪郭を演算する。
【0042】
タイマー11はあらかじめ設定された周波数のクロック信号を出力する。タイマー11はコントローラ10からタイマー動作の指示を受け、クロック信号をコントローラ10に出力する。第1のセンサ部及び第2のセンサ部は、コントローラ10を介して入力されるクロック信号に従って、向き情報及び移動情報を複数回取得する。なお、タイマー11はコントローラ10の外部に備えられていてもよいし、後述する
図14で示すように、コントローラ10に含まれていてもよい。
【0043】
カメラ12は、フロントフェイス1Aに面している物体を撮影するインカメラである。カメラ13は、バックフェイス1Bに面している物体を撮影するアウトカメラである。
【0044】
コネクタ14は、他の装置が接続される端子である。本実施形態のコネクタ14は、当該端子に接続される接続物を介してスマートフォン1と他の装置とが通信する通信部としても機能する。コネクタ14は、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、MHL(Mobile High-definition Link)、ライトピーク(Light Peak)、サンダーボルト(Thunderbolt)、LANコネクタ(Local Area Network connector)、イヤホンマイクコネクタのような汎用的な端子であってもよい。コネクタ14は、Dockコネクタのような専用に設計された端子でもよい。コネクタ14に接続される装置には、例えば、充電器、外部ストレージ、スピーカ、通信装置、情報処理装置が含まれる。
【0045】
モーションセンサ15は、モーションファクタを検出する。このモーションファクタは、自機であるスマートフォン1のコントロールファクタとして主に処理される。コントロールファクタは自機のおかれた状況を示す因子であり、コントローラ10で処理される。本実施形態のモーションセンサ15には、加速度センサ16と、方位センサ17と、角速度センサ18と、傾きセンサ19とが含まれている。加速度センサ16、方位センサ17、角速度センサ18、及び傾きセンサ19の出力は、組み合わせて利用することが可能である。モーションセンサ15の出力を組み合わせて処理することによって、自機であるスマートフォン1の動きを高度に反映させた処理を、コントローラ10によって実行することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、第1のセンサ部は自機であるスマートフォン1の向き情報を得る。スマートフォンの向き情報とは、第1のセンサ部から出力される情報である。スマートフォン1の向き情報とは、スマートフォン1の向いている方向に関する情報である。スマートフォン1の向き情報には、例えば地磁気の方向、地磁気に対する傾き、回転角の方向、回転角の変化、重力方向、重力方向に対する傾きが含まれる。
【0047】
スマートフォン1の向きとは、対象部の断面の輪郭を測定する際に、対象部に対向しているハウジング20の面の法線方向を示す。対象部に対向させるハウジング20の面は、第1のセンサ部でその向きを検出できる面であればよく、フロントフェイス1A、バックフェイス1B、サイドフェイス1C1〜1C4、のいずれを対向させてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1のセンサ部に方位センサ17を用いる。方位センサ17は地磁気の向きを検出するセンサである。本実施形態では、スマートフォン1の向きを地面に平行な面上に投影した成分が、方位センサ17で取得される向き情報である。方位センサ17で取得される向き情報は、スマートフォン1の方位である。スマートフォン1の方位は、0〜360度の向き情報として取得することができる。例えば、スマートフォン1の向きが北を向いていれば0度、東を向いていれば90度、南を向いていれば180度、西を向いていれば270度、として向き情報が取得される。本実施形態では、測定対象部の断面を地面に平行にすることによって、方位センサ17は向き情報をより正確に取得することができる。本実施形態の場合、対象部は腹部であるので、起立状態で測定することが好ましい。
【0049】
方位センサ17は、検出した地磁気の向きを出力する。例えば地磁気の向きがモーションファクタとして出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の向いている方位を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。例えば地磁気の向きの変化がモーションファクタとして出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の向きの変化を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。
【0050】
また、第1のセンサ部に角速度センサ18を用いてもよい。角速度センサ18は、スマートフォン1の角速度を検出する。角速度センサ18は、スマートフォン1の角速度を、向き情報として取得することができる。コントローラ10は、取得された角速度を1回時間積分することにより、スマートフォン1の向きを演算する。演算されたスマートフォン1の向きは、測定開始の初期値を基準とした相対角度である。
【0051】
角速度センサ18は、検出した角速度を出力する。例えば角速度の向きがモーションファクタとして出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の回転方向を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。例えば角速度の大きさが出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の回転量を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。
【0052】
また、第1のセンサ部に傾きセンサ19を用いてもよい。傾きセンサ19は、スマートフォン1に働く重力加速度を検出する。傾きセンサ19は、スマートフォン1の重力加速度を、向き情報として取得することができる。例えば、スマートフォン1は傾きセンサ19によって、−9.8〜9.8[m/秒
2]の向き情報として取得することができる。例えば、
図1に示すスマートフォン1のy軸方向が重力方向と同じ場合は9.8[m/秒
2]、逆の場合は−9.8[m/秒
2]、y軸方向が重力方向と垂直の場合は0[m/秒
2]、として向き情報が取得される。本実施形態では、測定対象物の断面を地面に垂直にすることによって、傾きセンサ19は向き情報をより正確に取得することができる。対象部が腹部の場合、横たわった状態で測定することが好ましい。
【0053】
傾きセンサ19は、検出した傾きを出力する。例えば重力方向に対する傾きがモーションファクタとして出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の傾きを反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。
【0054】
コントローラ10は、スマートフォン1の向き情報から向きを演算する場合がある。例えば、上述した角速度センサ18は向き情報として角速度を取得する。取得された角速度に基づいて、コントローラ10はスマートフォン1の向きを演算する。例えば、上述した傾きセンサ19は向き情報として重力加速度を取得する。取得された重力加速度に基づいて、コントローラ10はスマートフォン1の重力方向に対する向きを演算する。
【0055】
第1のセンサ部は、上述したモーションセンサを組み合わせて利用することが可能である。複数のモーションセンサからの向き情報を組み合わせて処理することによって、自機であるスマートフォン1の向きを、コントローラ10はより正確に演算することが可能となる。
【0056】
本実施形態では、自機の移動情報を得るためのデバイス部は第2のセンサ部である。第2のセンサ部は自機であるスマートフォン1の移動情報を得る。スマートフォン1の移動情報とは、第2のセンサ部から出力される情報である。スマートフォン1の移動情報とは、スマートフォン1の移動量に関する情報である。スマートフォン1の移動情報には、例えば加速度、速度、移動量が含まれる。
【0057】
スマートフォン1の移動量とは、本実施形態では、スマートフォン1のハウジング20の基準位置の移動量である。ハウジング20の基準位置は、第2のセンサ部で検出できる位置であればどこでもよく、例えばサイドフェイス1C1の面を基準位置とする。
【0058】
本実施形態では、第2のセンサ部に加速度センサ16を用いる。加速度センサ16はスマートフォン1に働く加速度を検出するセンサである。加速度センサ16は、スマートフォン1の加速度を移動情報として取得することができる。コントローラ10は、取得された加速度を2回時間積分することにより、スマートフォン1の移動量を演算する。
【0059】
加速度センサ16は、検出した加速度を出力する。例えば加速度の方向が出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の動いている方向を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。例えば加速度の大きさが出力されると、コントローラ10は、スマートフォン1の動いている速度、移動量を反映したコントロールファクタとして処理に利用することが可能となる。
【0060】
コントローラ10は、対象部の断面の輪郭を演算する。対象部の断面の輪郭は、第1のセンサ部、第2のセンサ部で取得された向き情報、移動情報に基づいて演算される。コントローラ10は演算の過程で向き、移動量を演算する場合がある。
【0061】
上述した各モーションセンサ15は、それぞれ3つの軸方向におけるモーションファクタの検出が可能なセンサを採用している。本実施形態のモーションセンサ15が検出する3つの軸方向は、互いに略直交している。
図1〜3に示したx方向、y方向、z方向は、モーションセンサ15の3つの軸方向と対応している。3つの軸の方向は互いに直交していなくてもよい。3方向が互いに直交していないモーションセンサ15では、演算によって直交する3方向におけるモーションファクタを算出可能である。各モーションセンサ15は、基準とする方向が異なっていてもよい。本実施形態においては、各モーションセンサは必ずしも3軸でなくてもよい。コントローラ10は、1軸方向における向き情報及び1軸方向における移動情報で、断面の輪郭の演算が可能である。
【0062】
第1のセンサ部、第2のセンサ部は、上述したモーションセンサ15のいずれかを用いるか、あるいは他のモーションセンサを用いてもよい。
【0063】
図4においてストレージ9が記憶することとしたプログラムの一部または全部は、通信ユニット6による無線通信で他の装置からダウンロードされてもよい。また、
図4においてストレージ9が記憶することとしたプログラムの一部または全部は、ストレージ9に含まれる読み取り装置が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。また、
図4においてストレージ9が記憶することとしたプログラムの一部または全部は、コネクタ14に接続される読み取り装置が読み取り可能なフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray Disc)などの記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0064】
図1〜
図4に示したスマートフォン1の構成は一例であり、本発明の要旨を損なわない範囲において適宜変更してよい。例えば、ボタン3の数と種類は
図1の例に限定されない。例えば、スマートフォン1は、画面に関する操作のためのボタンとして、ボタン3A〜3Cに代えて、テンキー配列またはQWERTY配列等のボタンを備えていてもよい。スマートフォン1は、画面に関する操作のために、ボタンを1つだけ備えてもよいし、ボタンを備えなくてもよい。
図4に示した例では、スマートフォン1が2つのカメラを備えることとしたが、スマートフォン1は、1つのカメラのみを備えてもよいし、カメラを備えなくてもよい。照度センサ4と近接センサ5とは、1つのセンサから構成されていてもよい。
図4に示した例では、自機であるスマートフォン1の向き情報及び移動情報を取得するために、4種類のセンサを備えることとしたが、スマートフォン1は、このうちいくつかのセンサを備えなくてもよいし、他の種類のセンサを備えてもよい。
【0065】
次に、
図5、
図6を用いて、実施形態に係るスマートフォン1による腹部断面の輪郭の測定について説明する。
【0066】
図5は実施形態に係る腹部断面の輪郭の測定の様子を示す模式図である。
【0067】
図6は実施形態に係る腹部断面の輪郭の測定フロー図である。
【0068】
ステップS101で、利用者は断面の輪郭測定の測定アプリケーション9Zを起動させる。次に、ステップS102で測定を開始する。測定開始時、スマートフォン1は、断面の輪郭を測定する腹部のいずれかの位置に、腹部60の表面に対して当てられる。本実施形態では、利用者のへその高さ(
図5のA−Aで図示した位置)における断面の輪郭の測定を示す。断面の輪郭の測定に支障がない範囲で、スマートフォン1は、腹部60の表面へ接触させてもよいし、腹部60の表面へ着衣を介して当ててもよい。測定開始位置は腹部A−A位置のどこから開始してもよく、スマートフォン1にあらかじめ設定された開始アクションを行い、測定を開始する。あらかじめ設定された開始アクションは、スマートフォン1のいずれかのボタン3を押すことでもよいし、タッチスクリーン2B上の特定の位置をタップするなどでもよい。スマートフォン1の腹部の表面へ当てられる対向面は、フロントフェイス1A、バックフェイス1B、サイドフェイス1C1〜1C4のどの面でもよいが、操作性を考慮し、本実施形態ではバックフェイス1Bを対向面とした。
【0069】
ステップS103で、利用者は腹部60のA−A位置の表面に沿ってスマートフォン1を移動させ、腹部60を一周させる。ここで、スマートフォン1の移動は、腹部60の表面に対して当てたままで、一定速度で移動させると、各情報の取得間隔が一定となり、輪郭測定の精度を高めることができる。
【0070】
ステップS103では、あらかじめプログラムされた条件で、方位センサ17により向き情報を取得し、加速度センサ16により移動情報を取得する。向き情報と移動情報とは複数回取得される。向き情報と移動情報は、タイマー11から出力されたクロック信号に従って取得される。各情報の取得周期は測定対象部の断面の大きさや複雑さによって、適宜選択される。情報の取得周期は、例えばサンプリング周波数5〜60Hz(ヘルツ)の中から適宜選択される。取得された向き情報と移動情報の情報は、スマートフォン1の内部に一時的に記憶される。この測定はステップS102の開始から、ステップS104の終了まで連続して実行される。
【0071】
利用者は、スマートフォン1を腹部60の表面に対して当てたまま一周させたところで、スマートフォン1にあらかじめ設定された終了アクションを行い、測定を終了する(ステップS104)。あらかじめ設定された終了アクションは、スマートフォン1のいずれかのボタン3を押すことでもよいし、タッチスクリーン2B上の特定の位置をタップすることでもよい。あるいは、スマートフォン1の方位センサ17で取得された向き情報が、測定開始時の向き情報と一致した場合、または測定開始時の向き情報から360度変化した場合を一周と自動認識し、スマートフォン1が測定を終了させてもよい。自動認識の場合、利用者は終了アクションを行う必要がなく、測定はより簡略化される。
【0072】
スマートフォン1は、ステップS103にて得られた向き情報と移動情報とを、ステップS105において演算する。この演算はコントローラ10によって行われる。コントローラ10は、利用者の腹部の断面の輪郭及び腹囲を演算する。ステップS105における演算については後に詳述する。
【0073】
スマートフォン1は、ステップS105にて演算した結果を、ステップS106において出力する。演算した結果の出力は、例えばディスプレイ2Bへの表示、サーバへの送信など種々の方法が挙げられる。スマートフォン1は、腹部の断面の輪郭及び腹囲の演算結果の出力が終了すると、フローを終了する。
【0074】
本実施形態では、スマートフォン1はバックフェイス1Bを腹部に当て、y軸方向に移動する。このような場合、方位センサ17は、スマートフォン1のy軸方向の向きを測定できる1軸のセンサであればよい。加速度センサ16は、y軸方向の移動量が測定できる1軸のセンサであればよい。
【0075】
次に
図7〜
図9を用いて断面の輪郭の演算方法について、スマートフォン1を例に挙げて説明する。
【0076】
図7は実施形態に係る向きと移動量との一例を示す。
【0077】
図7(a)(b)の横軸は時間で、測定開始から測定終了までの時間を示す。時間はタイマー11が出力するクロック信号によりカウントされる。腹部の1周をTn秒で測定した場合、測定開始は0秒、測定終了はTn秒である。スマートフォン1は、0〜Tn秒の間に、あらかじめ決められた取得周期で向き情報、移動情報を取得する。nはレコード番号を表す整数である。
【0078】
図7(a)は、横軸に時間、縦軸にスマートフォン1の方位を示す。横軸のスマートフォン1の方位は、方位センサ17で取得された向き情報である。第1のセンサ部として方位センサ17を採用する本実施形態では、向き情報をスマートフォン1の方位とする。スマートフォン1の方位は、0〜360度の角度で表わされる。スマートフォン1の方位は、測定の最初の向きから360度の変化した状態で、1周と判定される。本実施形態では、わかりやすくするために、測定の最初の向きを0度と設定したので、1周後の向きは360度となる。
【0079】
図7(b)は、横軸に時間、縦軸にスマートフォン1の移動量を示す。縦軸のスマートフォン1の移動量は、加速度センサ16で取得された移動情報に基づいて演算されたものである。本実施形態のスマートフォン1の移動情報は、加速度センサ16で取得された加速度データである。移動量はコントローラ10によって演算されたものであり、加速度データを2回時間積分して演算される。加速度データのノイズが大きい場合は、デジタルフィルタ処理を行ってもよい。デジタルフィルタは、例えばローパスフィルタ、バンドパスフィルタ等がある。測定終了時のスマートフォン1の移動量は、測定対象部の周りの長さに相当し、本実施形態では腹囲である。腹囲は、スマートフォン1内での加速度センサ16の配置を考慮して演算されることが好ましい。すなわち、本実施形態では、腹部60の表面へ当てられる対向面であるバックフェイス1Bと、加速度センサ16との間隔を、あらかじめ考慮し移動量を補正し、正しい腹囲を演算する。
【0080】
本実施形態では、方位と移動量が同一時間Tnで測定された場合を示したが、方位と移動量はそれぞれ異なる時間Ta、Tbで測定されてもよい。その場合、
図7(a)の横軸はTaで規格化した規格化時間0〜1を用い、
図7(b)の横軸はTbで規格化した規格化時間0〜1を用い、互いの横軸の数値をそろえておくことが好ましい。
【0081】
図8は取得された情報から構成されたレコードの一例である。
【0082】
測定開始時をレコード番号R0、測定終了時をレコード番号Rnとした。各レコードは、時間に対応する向き情報と移動情報とが1対で格納されている。さらに各レコードは、移動情報に基づいて演算された移動量が格納されている。方位センサを用いた本実施形態では、向き情報はスマートフォン1の向いている方位である。1対で構成された向き情報及び移動情報に基づいて演算された方位及び移動量は、
図7(a)(b)の同一時間に取得された情報である。または同一規格化時間に取得された情報である。各レコードの時間間隔は等間隔でなくてもよい。また、1対のレコードは同一時間に取得された情報であることが断面の輪郭の測定の正確性から好ましいが、多少の時間のずれがあってもよい。時間のずれがある場合、コントローラ10は、時間のずれを無視してもよいし、一方のレコードから他方の時間に対応する情報を演算してもよい。
【0083】
図9は演算された断面の輪郭を示す図である。
【0084】
取得されたレコードR0からレコードRnを、向きと移動量に従って、順にプロットしていくことにより、対象部の断面の輪郭を演算することができる。図中のR0からRnは、レコード番号である。また実線上の点は、各レコードの位置を示す。実際はより多数の点で構成されるが、図を見やすくするために点の一部を省略して図示した。
【0085】
断面の輪郭の演算は次のように行っていく。まず、R0を任意の点に設定する。次に、R1の位置は、レコードR0とレコードR1の移動量の変化量と、レコードR1の向き情報とから演算される。次に、R2の位置は、レコードR1とレコードR2の移動量の変化量と、レコードR2の向き情報の変化量とから演算される。この演算をRnまで行い、R0の位置から、順にRnの位置までをつなげることで、対象部の断面の輪郭を演算し、表示をする。
【0086】
図10は演算された断面の輪郭の補正を説明する図である。
【0087】
方位センサ及び加速度センサには測定誤差がある。その結果、スマートフォン1の移動がA−A位置からずれてしまうことがあり、
図10の点線で示すような断面の輪郭が演算される。この演算結果は、測定開始点R0と測定終了点Rnがずれていて、正確な断面の輪郭が演算できていない。このような場合に、
図10の実線で示すように、測定開始点R0と測定終了点Rnとが一致するようにオフセットし、誤差を補正する。さらに、測定開始点R0と測定終了点Rnとの間の各レコードにも、微小なオフセットを加えて補正する。
【0088】
図11は実施形態に係る実測値による補正を説明する図である。
【0089】
上述の実施形態では、断面の輪郭を演算するときに、加速度センサ16により取得された移動情報を用いたが、あらかじめ他の手段で測定された対象部の周りの長さの実測値があれば、より正確な断面の輪郭の演算が可能である。
図11は横軸に時間、縦軸に移動量を示す。図中点線は、加速度センサ16により取得された移動情報に基づいて演算された移動量である。測定終了時の移動量は、測定対象部の周りの長さに相当し、本実施形態では腹囲となる。この測定終了時の移動量を、あらかじめ巻尺等で測定された腹囲の実測値を等しくなるように補正する。具体的には、
図11に示す補正量ΔWをオフセットし、その後オフセットしたΔWにあわせてグラフの傾きを補正する。補正後のデータを実線で示す。この補正後の実線データから構成されたレコードを用いて、コントローラ10は対象部の断面の輪郭を演算する。
【0090】
次に、演算された断面の輪郭の傾き及び位置の補正について説明する。測定開始時のスマートフォン1の向きを0度と設定すると、演算された断面の輪郭の対称軸は傾いている場合がある。例えば腹部断面の輪郭の場合、傾きを補正して、
図9のY軸方向に腹部もしくは背中を正対させて表示したい場合がある。
図9の座標軸において、傾きの補正は、断面の輪郭のX軸方向の幅、もしくは断面の輪郭のY軸方向の幅が最小もしくは最大になるように、断面の輪郭を回転させればよい。
【0091】
また、測定開始時のスマートフォン1の位置座標を
図9のXY原点とすると、演算された断面の輪郭は中央からずれて表示される。腹部断面の輪郭の場合、この位置ずれ補正して、
図9のXY原点と腹部断面の輪郭の中心を一致させて表示したい場合がある。この位置の補正は、断面の輪郭のX軸方向の幅の中心線と、断面の輪郭のY軸方向の幅の中心線とが交わる点を、XY原点に移動させればよい。
【0092】
以上説明した通り、本実施形態に係る機器においては、スマートフォン1に内蔵されたセンサにより対象部の断面の輪郭の測定ができる。スマートフォン1は、CTなどの測定装置に比べて小型である。スマートフォン1は、短時間に断面の輪郭を測定できる。スマートフォン1は、利用者自身でデータの測定ができるので、測定が簡便である。スマートフォン1は、CTなどでは困難な機器の持ち運びが容易である。スマートフォン1は、利用者自身でデータの蓄積ができるので、日々の変化が容易に確認できる。スマートフォン1は、測定時に放射線被爆の恐れが少ない。
【0093】
図12は実施形態に係る電子巻尺を説明する概略図である。
【0094】
電子巻尺とは、引き出した分の巻尺の長さを測定し、データを取得する機能を持つもので、加速度センサと同様に、移動情報を取得することができる。スマートフォン1に内蔵させることもできる。
【0095】
電子巻尺71は、ハウジング70を備える。ハウジング70のフロントフェイス71Aにはタッチスクリーンディスプレイ72を備えている。ハウジング70のサイドフェイス71C2には、巻尺73が備えられている。巻尺73には寸法目盛が刻まれている。巻尺73は、通常はハウジング70の内部に巻き込まれている。巻尺73の先端には、ストッパ74が備えられている。測定前、ストッパ74はハウジング70の外部に配置され、ストッパ74のB面とサイドフェイス71C2とは接触している状態である。対象部の寸法を測る場合は、
図12の矢印方向にストッパ74を引っ張り、巻尺73をハウジング70から引き出す。その時、サイドフェイス71C2を基準とした巻尺73の引き出し量Xが、タッチスクリーンディスプレイ72にデジタル表示されている。
図12に示す実施形態は、X=5.00cmの場合である。
【0096】
本実施形態におけるスマートフォン1の第2のセンサ部に電子巻尺71を用いる場合、測定手順、断面の輪郭の演算は
図5〜
図9で説明した内容と同様である。電子巻尺を用いた場合、ステップS102の測定開始で、ハウジング70を腹部の表面に当てる。ステップ103で、利用者はストッパ74を測定開始位置に保持したまま、ハウジング70を腹部60のA−A位置の表面に沿って移動させ、腹部60を一周させる。サイドフェイス71C2とストッパ74のB面が一致したとき、測定は終了となる(ステップS104)。
【0097】
第2のセンサ部に加速度センサを用いた場合は、移動情報として加速度が取得される。第2のセンサ部に電子巻尺を用いた場合は、移動情報として直接移動量を取得することができるため、より精度の高い腹囲の測定が可能となる。
【0098】
図13は実施形態に係る演算された腹部断面の輪郭の例である。
【0099】
図13(a)、
図13(b)はほぼ同じ腹囲の被験者のものであるが、
図13(a)は筋肉面積が小さい、
図13(b)は筋肉面積が大きい被験者のものである。
図13(a)は、筋肉面積が小さいことから、滑らかな円形に近い輪郭形状となっている。
図13(b)は、筋肉面積が大きいことから、筋肉の発達部が数か所飛び出ているいびつな形となっている。このように、断面の輪郭は、筋肉面積によってその形状に特徴が表れる。
【0100】
演算された腹部断面の輪郭の形状特徴の算出、及び形状特徴に基づいて筋肉面積を推定する方法については、第3の実施形態にて詳述する。
【0101】
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係るスマートフォン1の構成を示すブロック図である。
【0102】
本実施形態では、タイマー11及び制御部10Aはコントローラ10に含まれている。タイマー11は、スマートフォン1の移動情報を得るためのデバイス部である。タイマー11は制御部10Aからタイマー動作の指示を受け、クロック信号を出力する。方位センサ17は、タイマー11から出力されるクロック信号に従って、向き情報を複数回取得する。クロック信号に従って取得された向き情報は、クロック情報とともに、スマートフォン1の内部に一時的に記憶される。ここでクロック情報とは、向き情報が取得された時間を示す情報である。一定周期のクロック信号を用いた場合、クロック情報は取得順を示すレコード番号でもよい。クロック情報は向き情報を取得した時間でもよい。本実施形態ではタイマー11はコントローラ10に含まれており、コントローラ10の機能部であるタイマー回路をタイマー11として用いることができる。また、本発明はこれに限ることなく、前述した
図4に記載した通り、タイマー11はコントローラ10の外部に備えられていてもよい。
【0103】
制御部10Aはクロック情報からスマートフォン1の移動情報を推定する。スマートフォン1の移動情報とは、スマートフォン1の移動量に関する情報であり、本実施形態では移動量である。制御部10Aは向き情報と、移動情報とに基づいて対象部の断面の輪郭を演算する。以下、第1実施形態と同じ点については説明を省略し、異なる点について説明を行う。
【0104】
図15は第2の実施形態に係る腹部断面の輪郭の測定フロー図である。
【0105】
ステップS101で、利用者は断面の輪郭測定の測定アプリケーション9Zを起動させる。測定アプリケーション9Zの起動後、利用者はあらかじめ巻尺等で測定された腹囲の実測値をスマートフォン1に入力する(ステップS111)。あるいは、スマートフォン1のストレージ9にあらかじめ記憶された利用者情報から、腹囲の実測値を読み込んできてもよい。また、腹囲の実測値の入力は必ずしも測定開始(ステップS102)前に行う必要はなく、測定終了(ステップS104)後に行ってもよい。
【0106】
次に、ステップS102で測定を開始する。測定開始時、スマートフォン1は、断面の輪郭を測定する腹部のいずれかの位置に、腹部60の表面に対して当てられる。本実施形態では、利用者のへその高さ(
図5のA−Aで図示した位置)における断面の輪郭の測定を示す。測定開始位置は腹部A−A位置のどこから開始してもよく、スマートフォン1にあらかじめ設定された開始アクションを行い、測定を開始する。ステップS103で、利用者は腹部60のA−A位置の表面に沿ってスマートフォン1を移動させる。スマートフォン1の移動は、腹部60の表面に対して当てたままで、一定速度で移動させる。利用者が一定速度でスマートフォンを移動することができるように、スマートフォンの移動を補助する補助具を用いてもよい。また、スマートフォン1から一定速度の補助音を出力して動作のガイダンスとしてもよい。
【0107】
ステップS103では、スマートフォン1はあらかじめプログラムされた条件で、方位センサ17により向き情報を取得する。向き情報は、タイマー11から出力されたクロック信号に従って複数回取得される。クロック信号に従って取得された向き情報は、クロック情報とともに、スマートフォン1に記憶される。この測定はステップS102の開始から、ステップS104の終了まで連続して実行される。
【0108】
利用者は、スマートフォン1を腹部60の表面に対して当てたまま一定速度で一周以上移動させる。その後利用者は、スマートフォン1にあらかじめ設定された終了アクションを行い、測定を終了させる(ステップS104)。あるいは、スマートフォン1の方位センサ17で取得された向き情報が、測定開始時の向き情報と一致した場合を一周と認識し、利用者が操作することなく、スマートフォン1は自動で測定を終了させてもよい。スマートフォン1の方位センサ17で取得された向き情報が、測定開始時の向き情報から360度変化した場合を一周と認識し、利用者が操作することなく、スマートフォン1は自動で測定を終了させてもよい。自動認識の場合、利用者は終了アクションを行う必要がなく、測定はより簡略化される。
【0109】
ステップS105において、制御部10Aは、利用者の腹囲の実測値とステップS103にて得られたクロック情報により、スマートフォン1の移動情報である移動量を推定する。利用者の腹囲を1周するスマートフォン1の一周移動量は、ステップS111で入力された腹囲の実測値と等しく、かつ、スマートフォン1は一定速度で移動しているとみなされていることから、スマートフォン1の移動情報である移動量を演算することができる。制御部10Aは取得された向き情報と、演算された移動情報に基づいて対象部の断面の輪郭を演算する。
【0110】
スマートフォン1は、ステップS105にて演算した結果を、ステップS106において出力する。スマートフォン1は、腹部の断面の輪郭及び腹囲の演算結果の出力が終了すると、フローを終了する。なお、本実施形態のフローにおいて、詳細を記載していない他の動作は
図6の記載内容に準じる。
【0111】
図16は第2の実施形態に係る取得された情報から構成されたレコードの一例である。
【0112】
測定開始時をレコード番号R0、測定終了時をレコード番号Rnとした。各レコードは、時間に対応する向き情報と移動情報とが1対で格納されている。移動情報はクロック情報であるレコード番号もしくは時間から推定された移動量である。レコード番号Rnの移動情報は、利用者の腹囲の実測値が格納される。各レコードの時間間隔は等間隔であり、スマートフォン1は一定速度で移動しているとみなされているので、移動情報である各移動量の間隔も等間隔である。このように取得されたレコードは、断面の輪郭を示す図として表される。
【0113】
取得されたレコードR0からレコードRnを、向きと移動量に従って、順にXY座標にプロットしていくことにより、対象部の断面の輪郭を演算することができる。本実施形態では、
図9に示す演算された断面の輪郭において、各プロット点が等間隔となる。測定時、スマートフォン1の移動が一定速度の場合、演算された断面の輪郭はY軸にほぼ対称の形状となる。測定時、スマートフォン1の移動が一定速度ではなかった場合、演算された断面の輪郭はY軸に非対称でいびつな形状となる。演算された断面の輪郭の形状の非対称性が大きい場合、一定速度での再測定を促すメッセージをスマートフォン1に表示させてもよい。非対称性の大きさの判定は、
図9のY軸で分離された各領域におけるプロット点数の差により判断することができる。例えば、このプロット点数の差が±10%以外の場合は、断面の輪郭の非対称性が大きいと判断する。非対称性の大きさの判定方法は、これに限ることなく、例えば断面の輪郭で囲まれた面積を演算しその面積の大きさを比較する判定方法でもよい。また、判定基準も適宜設定できる。
【0114】
以上本実施形態では、自機の移動情報を得るためのデバイス部としてタイマーを用いることにより、第2のセンサ部を用いることなく移動情報を得ることができる。そのため、本実施形態のスマートフォン1は部品点数がさらに削減できる。さらに本実施形態のスマートフォン1は、第2のセンサ部の精度に起因する測定誤差の低減を図ることができる。
【0115】
演算された腹部断面の輪郭の形状特徴の算出、及び形状特徴に基づいて筋肉面積を推定する方法については、第3の実施形態にて詳述する。
【0116】
(第3の実施形態)
第3の実施形態においては、演算された断面の輪郭の一部から筋肉面積を推定する。さらに推定された筋肉面積に基づいて腹部断面画像をスマートフォン1に表示する。本実施形態のスマートフォン1は、第1の実施形態と同じく
図4のブロック図の構成でもよいし、第2の実施形態と同じ
図14のブロック図の構成でもよい。以下、第1の実施形態、及び第2の実施形態と同じ部分については説明を省略し、異なる点について説明を行う。
【0117】
ストレージ9はあらかじめ作成された筋肉面積の推定式を記憶している。ストレージ9は複数の腹部断面画像を記憶している。これらの腹部断面画像は、筋肉面積と腹囲との組み合わせによって分類されている。制御部10Aは対象部の断面の輪郭の少なくとも一部を演算し、その輪郭の特徴係数を抽出する。制御部10Aはストレージ9に記憶された筋肉面積の推定式を読み出し、抽出された輪郭の特徴係数から筋肉面積を推定する。さらに、制御部10Aは、ストレージ9に記憶されている複数の腹部断面画像の中から1つの画像を抽出し、ディスプレイ2Aに表示させる。
【0118】
なお、本実施形態では、スマートフォン1のストレージ9及び制御部10Aを用いて動作する例を示したが、本発明はこれに限らない。ネットワークに接続されたサーバに搭載されたストレージ及び制御部を用いて、上述した動作の一部または全部を行わせてもよい。
【0119】
本実施形態では、角速度センサ18はスマートフォン1の向き情報を得る。タイマー11はスマートフォン1の移動情報を得るために動作する。本発明はこれに限ることなく、向き情報を得るために方位センサまたは傾きセンサ等を用いてもよい。また移動情報を得るために加速度センサまたは電子巻尺等を用いてもよい。
【0120】
図17は第3の実施形態に係る腹部断面画像が表示されるまでの処理の流れの一例を示すフロー図である。本実施形態では腹部断面の輪郭の少なくとも一部を演算する一例として、へその位置からほぼ半周部分の輪郭を演算する場合について説明する。
【0121】
ステップS101で、利用者は断面の輪郭測定の測定アプリケーション9Zを起動させる。測定アプリケーション9Zの起動後、利用者はあらかじめ巻尺等で測定された腹囲の実測値をスマートフォン1に入力する(ステップS111)。あるいは、スマートフォン1のストレージ9にあらかじめ記憶された利用者情報から、腹囲の実測値を読み込んできてもよい。ステップS111は必ずしも測定開始前に行う必要はなく、ステップS104の測定終了後に行ってもよい。この後のステップS103において、加速度センサ16を用いて移動情報を取得する場合は、ステップS111は必ずしも行う必要はない。
【0122】
次に、ステップS102で測定を開始する。測定開始時、スマートフォン1は、へその位置で、腹部60の表面に対して当てられる。測定開始位置は腹部断面のどの部分の輪郭を演算するかによって適宜選択される。測定開始位置をあらかじめ定めておくと、演算される輪郭の範囲が利用者毎に変わらなくなり、後述する輪郭の特徴係数の誤差を低減できる。本実施形態では、へその位置を測定開始位置とする。例えば、スマートフォン1のサイドフェイス1C1をへその位置に一致させて測定を開始する。利用者は、スマートフォン1にあらかじめ設定された開始アクションを行い、測定を開始する。
【0123】
ステップS103で、利用者は腹部60のA−A位置の表面に沿ってスマートフォン1を移動させる。スマートフォン1の移動は、腹部60の表面に対して当てたままで、一定速度で移動させる。
【0124】
ステップS103で、スマートフォン1はあらかじめプログラムされた条件で、角速度センサ18により、向き情報である角速度(度/秒)を取得する。向き情報は、タイマー11から出力されたクロック信号に従って複数回取得される。クロック信号に従って取得された向き情報は、取得の時間情報とともに、スマートフォン1に記憶される。この測定はステップS102の開始から、ステップS104の終了まで連続して実行される。移動情報として、加速度センサ16によって移動量を測定してもよい。加速度センサ16によって取得される移動情報は、第1の実施形態において説明した内容と同様であるので、ここでは省略する。
【0125】
利用者は、スマートフォン1を腹部60の表面に対して当てたまま一定速度で半周以上移動させる。本実施形態で半周とは、へそから背中の中心までである。移動が半周に足りないと輪郭の演算が不十分となり、後述する輪郭の特徴係数に誤差が生じる場合がある。従って、スマートフォン1は利用者に半周を報知する手段を有することが好ましい。
【0126】
スマートフォン1を半周以上移動させたら、利用者はスマートフォン1にあらかじめ設定された終了アクションを行い、測定を終了させる(ステップS104)。あるいは、後述するステップS115が同時に実行されている場合は、スマートフォン1の向きが、測定開始から180度変化した場合をほぼ半周と認識し、自動で測定を終了させてもよい。このような自動認識の場合、利用者は終了アクションを行う必要がなく、測定はより簡略化される。
【0127】
測定終了後または測定中に、制御部10Aは腹部断面の輪郭の半周部分を演算する(ステップS115)。制御部10Aは、ステップS103にて取得された角速度を1回積分することにより、スマートフォン1の向きを演算する。
【0128】
図18は第3の実施形態に係るスマートフォン1の向きの一例を示す。図を用いて、取得された向き情報から、半周部分の情報を抽出する方法について説明する。横軸は時間を示し、測定開始時間は0秒、測定終了時間はT(n’)秒である。n’は取得された最後のレコード番号を表す整数である。ここでn/2は半周分のレコード番号を示す整数である。縦軸はスマートフォン1の向きを示す。図中の実線は取得された情報であり、点線は取得されていない1周分の情報の仮想線である。図中曲線における向きが180度近傍の平坦部は、背中部分の情報と推定され、この平坦部の中点で背中の中心を通過したと判定し、半周を検出する。つまり、図中の0秒からT(n/2)秒を半周部分の情報として抽出する。この半周部分の情報の抽出方法は一例である。例えば、平坦部が180度からずれた位置にある場合は、平坦部を180度とする正規化を行ってもよい。また、平坦部から向きが−180度ずれた位置の情報を開始点とする正規化を行ってもよい。また、平坦部の中点ではなく、向きが180度の近傍で最も曲線の傾きが小さい位置の情報を背中の中心と判定してもよい。
【0129】
図19は第3の実施形態に係る取得及び正規化された情報から構成されたレコードの一例である。抽出された輪郭の半周部分の開始点(本実施形態ではへその位置)をレコード番号R0、半周部分(本実施形態では背中の中央部で、向きが180度のレコード)をレコードR(n/2)、取得された最後の情報をレコードR(n’)とした。各レコードは向き情報と移動情報とが一対で格納されている。移動情報は、クロック情報であるレコード番号(あるいは時間)から推定された移動量である。本実施形態では向き0〜180度のレコードを半周部分の情報として抽出する。レコード番号R(n/2)の移動情報は、利用者の腹囲の実測値の半分の値が格納される。各レコードの時間間隔は等間隔であり、スマートフォン1は一定速度で移動しているとみなされているので、移動情報である各移動量の間隔も等間隔である。このように取得されたレコードは、断面の輪郭の半周部分を示す図として表される。取得されたレコードR0からレコードR(n/2)を、向きと移動量に従って、順にXY座標にプロットしていくことにより、対象部の断面の輪郭の半周部分を演算することができる。なお、ステップS115はステップS103と並行して実行してもよい。
【0130】
スマートフォン1は、ステップS115で演算した結果を、ステップS116において補正する。この補正は、次のステップS117で実行される輪郭の特徴係数抽出の前処理である。輪郭の特徴係数は、任意のXY座標系上での輪郭の向き及び輪郭の位置等によって値が変化する。本実施形態では、輪郭の向きとは後述する対称軸の向きであり、輪郭の位置とは後述する中心点の位置である。輪郭の向き補正、輪郭の位置補正等を行うことにより、測定条件によって発生する輪郭の特徴係数のばらつきを小さくすることができる。輪郭の向き補正と輪郭の位置補正は、演算された断面の輪郭の半周部分を、開始点(本実施形態ではへその位置)と終了点(本実施形態では背中の中心)を結ぶ線を対称軸として折り返した反転閉曲線に基づいて行うと補正が容易である。輪郭の向き補正は、反転閉曲線の対称軸(へそと背中の中心を結んだ線)が所定の方向を向くように反転閉曲線を回転させる。輪郭の位置補正は、反転閉曲線の中心点が座標系の原点に来るように反転閉曲線を移動させる。向き及び位置の補正は、従来周知の手法により行うことができる。
【0131】
図20は第3の実施形態に係る演算及び補正された断面の輪郭を示す図である。図中実線は演算された断面の輪郭の半周部分であり、図中点線は演算された断面の輪郭の半周部分を対称軸で反転させた仮想曲線である。黒点は取得されたレコードをXY座標にプロットした点である。
【0132】
スマートフォン1はステップS116の補正の後に、断面の輪郭の特徴係数を抽出する(ステップS117)。本実施形態では、輪郭の特徴を抽出する方法は、フーリエ解析を用いる。断面の輪郭の半周部分の曲線、または反転閉曲線をフーリエ解析することで、フーリエ係数を求めることができる。周知のように、曲線をフーリエ解析したときに求められる各次数のフーリエ係数は曲線の特徴を示す係数として用いられる。何次のフーリエ係数を特徴係数とするかは、後に詳述する各推定式の作成の際に決められており、本実施形態では筋肉面積に影響するフーリエ係数Sa
1、Sa
2、Sa
3、Sa
4を輪郭の特徴係数として抽出する。各推定式を作成の際に、推定式の独立変数を主成分とした場合は、主成分を特徴係数として抽出してもよい。
【0133】
スマートフォン1はあらかじめ求められた筋肉面積推定式に、ステップS117で抽出した特徴係数Sa
1〜Sa
4を代入して、利用者の筋肉面積Aを推定する(ステップS118)。筋肉面積推定式の一例を数式1に示す。
【0134】
【数1】
筋肉面積推定式の作成方法については後に詳述する。
【0135】
次にスマートフォン1はステップS118で推定された筋肉面積Aに基づいて、利用者の腹部断面に最も近い画像を選択する(ステップS119)。
【0136】
図21は第3の実施形態に係る腹部断面画像の分類表の一例を示す。分類表は男性用であり、スマートフォン1はあらかじめ
図21に示す分類表を記憶している。本実施形態では、スマートフォン1には、筋肉面積と腹囲とが異なる25種類の画像(P11〜P55)が記憶されている。25種類の画像は、CTの画像でもよいし、これらの画像を模式化した絵でもよいし、マークでもよい。この25種類の画像から、利用者の推定された筋肉面積Aと腹囲に対応する1枚の画像が選択される。
【0137】
選択された画像は、スマートフォン1のディスプレイ2Aに表示される(ステップS110)。
【0138】
本発明の第3の実施形態によれば、すべてのステップをスマートフォン1で実行する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネットワークで接続されたサーバ等で各ステップの少なくとも一部を実行してもよい。例えば、測定ステップS102〜S104と表示ステップS110はスマートフォン1で実行し、その他のステップはネットワークで接続されたサーバで実行してもよい。複雑な演算をサーバで実行させることにより、スタートからエンドまでの処理スピードを向上させることができる。
【0139】
また、本発明の第3の実施形態によれば、画像を表示するので、腹部CTを測定することなく利用者の筋肉の蓄積状態をわかりやすく伝えることができる。腹部CTの画像を表示した場合は、推定される利用者の腹部断面形状がよりリアルに視覚化でき、例えばトレーニングの指導に有効である。また、画像の表示と共に筋肉面積の数字を表示すれば、具体的に筋肉の蓄積状態を利用者に知らせることができる。また、利用者本人が日常的に測定することができるので、トレーニングの効果の認識に有効である。
【0140】
図22は、第3の実施形態に係る筋肉面積推定式の作成フロー図である。
図22を用いて、筋肉面積推定式を作成する手順について説明する。なお、これら推定式の作成は、スマートフォン1で行う必要はなく、事前に別のコンピュータ等を用いて計算してもよい。作成された推定式は、あらかじめアプリケーションに組み込まれているため、利用者は直接推定式を作成、変更しなくてもよい。
【0141】
ステップS121で、作成者は推定式の作成を実行する。ステップS122で、推定式の作成者は事前に取得された所定の人数分のサンプルデータをコンピュータに入力する。サンプルデータは所定の人数のサンプル被験者から取得されたデータである。一人の被験者のサンプルデータは、CTで得た筋肉面積、巻尺等で測定された腹囲、スマートフォン1で取得された向き情報、移動情報から少なくとも構成される。所定の人数とは、統計的に十分な人数であればよい。被験者は、例えば性別、人種、年齢層等の条件を一定にすると、より推定の精度が向上する。
【0142】
次に、コンピュータは入力された腹囲、向き情報、移動情報から断面の輪郭の半周部分を演算する(ステップS123)。さらに演算された断面の輪郭の半周部分の補正を行う(ステップS124)。ステップS123及びステップS124は、前述のステップS115及びステップS116と同じ処理であるので、詳細の説明は省略する。
【0143】
次に、演算、補正された断面の輪郭の半周部分曲線、または反転閉曲線のフーリエ解析を行う(ステップS125)。断面の輪郭をフーリエ解析することで、複数のフーリエ係数を求めることができる。周知のように、曲線をフーリエ解析して得られる各次数のフーリエ係数は、曲線の特徴を表す係数として用いられる。本実施形態では、所定の人数分のサンプルデータのフーリエ解析を行い、X軸、Y軸、及びそれらの1〜k次(kは任意の整数)のフーリエ係数を求める。さらに、フーリエ係数は、周知の主成分分析を行い、その次元数を削減しておいてもよい。なお、主成分分析とは、多変量データ(本実施形態では複数のフーリエ係数)に共通な成分を探って、一種の合成変数(主成分)を作り出す分析手法であり、さらに少ない変数で曲線の特徴を表現することができる。
【0144】
次に、ステップS125で求められた複数のフーリエ係数(または主成分)とCTで得た筋肉面積とで回帰分析を行う(ステップS126)。回帰分析とは、結果となる数値と要因となる数値の関係を調べて、それぞれの関係を明らかにする統計的手法の一つである。フーリエ係数(または主成分)を独立変数として、CTで得た筋肉面積を従属変数として、所定の人数のサンプル被験者のデータを用いて回帰分析を行い、筋肉面積推定式を作成する。
【0145】
作成された推定式の一例は、前述の数式1である。数式1の独立変数Sa
1、Sa
2、Sa
3、Sa
4は、利用者の筋肉面積を推定する特徴係数である。このように、筋肉面積の推定式は、上述の統計的手段(主成分分析、回帰分析等)により作成することができる。
【0146】
なお、ステップS122で、作成者はCTで得た内臓脂肪面積及び皮下脂肪面積を筋肉面積と共に入力してもよい。その際、入力された内臓脂肪面積及び皮下脂肪面積は、ステップS125で求められた形状の特徴を表す係数と共に独立変数として用いられる。作成者は、これらの独立変数と、CTで得た筋肉面積を従属変数とで回帰分析を行い、筋肉面積推定式を作成してもよい。CTで得た内臓脂肪面積及び皮下脂肪面積を独立変数として加えることにより、筋肉面積の推定精度は向上することがある。
【0147】
以上説明した通り、本実施形態に係るスマートフォン1によると、腹部の断面の輪郭の半周部分を簡便に精度よく測定することができるから、筋肉面積を短時間で精度よく推定することができる。
【0148】
また、本実施形態に係るスマートフォン1によると、人の腹部断面の輪郭はほぼ左右対称なので、断面の輪郭の少なくとも半周部分を演算するだけで、腹部断面の筋肉面積を推定することができる。そのため利用者は、スマートフォン1を少なくとも腹部周りに半周移動させればよく、より測定時間が短くなる。あわせて、スマートフォン1を測定途中で左右の手でもちかえる動作がなくなるので、スマートフォン1を一定速度での移動させやすくなり、より測定精度を高めることができる。
【0149】
なお、本発明は半周より少ない特定の部分の輪郭を演算してもよい。例えば、体を支える重要な筋肉である脊柱起立筋の後ろの部分の輪郭を演算して、特徴係数を抽出して、脊柱起立筋の筋肉面積を推定することができる。
【0150】
図23は、成人の腹部断面図を示している。
図23には、筋肉100、脊柱の背側に位置する筋肉である脊柱起立筋100a、背骨101、皮下脂肪102、内臓脂肪103、及び臓器104を示している。
【0151】
図23から分かるように、脊柱起立筋100aは、背中の中央両側にほぼ対象に存在している。脊柱起立筋100aは、本願発明の、腹部の輪郭形状の特徴から筋肉面積を推定することができる。脊柱起立筋100aは、脊柱起立筋が存在する部分の輪郭、例えばスマートフォン1の向きが90度から180度までの1/4周部分の輪郭を演算して、輪郭の特徴係数を抽出し、筋肉面積を推定することができる。
【0152】
例えば、脊柱起立筋100aの後ろの1/4周部分を演算する場合について説明する。処理の流れは、前述の
図17に示すフロー図のステップS115において、断面の輪郭の1/4周部分を演算すればよい。例えばスマートフォン1の向きが、90度から180度変化したところまでをほぼ1/4周と判定して、1/4周部分の輪郭の演算は行われる。具体的には、前述の
図18に示すスマートフォン1の向きのグラフにおいて、図中の向き90度から180度を1/4周部分の情報を抽出する。すなわち、前述の
図19において、向き90度から180度のレコードを1/4周部分の情報として抽出する。
【0153】
図24は抽出された1/4周部分の向き情報及び移動情報に基づいて演算された断面の輪郭を示す図である。図中太線の実線は演算された1/4周部分の断面の輪郭であり、図中点線は、演算された1/4周部分の断面の輪郭を、閉曲線となるように補正した部分である。例えば補正は、座標系のY軸及びX軸を対称軸として折り返した反転閉曲線に基づいて行ってもよいし、Y軸を対称軸として折り返した反転曲線を所定の曲線でつないだ閉曲線に基づいて行ってもよい。
【0154】
本実施形態に係るスマートフォン1によると、断面の輪郭の少なくとも一部を演算するだけで、腹部断面の筋肉面積を推定することができる。そのためより測定時間は短くなる。さらに、スマートフォン1を背中より先に回す動作がなくなるので、スマートフォン1を一定速度での移動させやすくなり、より測定精度を高めることができる。
【0155】
なお、本実施形態では半周部分及び1/4周部分の演算例を示したが、本発明はこれに限ることなく、任意の部分の断面輪郭の演算を行い、筋肉面積を推定することができる。
【0156】
次に本実施形態について確認実験を行い、本発明の効果を確認した。測定は京セラ製スマートフォン(型番WX10K)を用いた。筋肉面積の推定は、断面の輪郭の半周部分を演算し、反転閉曲線で補正した輪郭の特徴係数を用いて行った。筋肉面積の推定式は、輪郭の形状特徴を表す係数を独立変数として求めた。第1集団(20歳〜60歳代、男性、25名)について、推定された筋肉面積とCTで得た筋肉面積との相関を、相関係数により評価した。その結果、相関係数は0.96であり、高い相関が確認され、本願発明の効果が確認された。さらに、第2集団(20歳代〜60歳代、男性、41名)について、同様の評価を行った。その結果、相関係数は0.70であり、相関は認められたが、第1集団より低い結果となった。第2集団は、皮下脂肪面積のばらつきが第1集団より大きく、その点が相関係数の低下の要因であると考えた。そこで、輪郭の形状特徴を表す係数と共に皮下脂肪面積を独立変数として求めた推定式により、筋肉面積の推定を行った。その結果、相関係数は0.88となり、より高い相関が確認され、本願発明の効果が確認された。
【0157】
図25は、スマートフォン1に表示される腹部断面画像の例を示す。
図25(a)は、腹囲101cm以上、筋肉面積101〜150cm
2で分類された画像(
図21のP35)である。
図25(b)は、腹囲81〜90cm、筋肉面積201cm
2以上で分類された画像(
図21のP53)である。スマートフォン1は推定された筋肉面積及び腹囲に基づいて、これらのCT画像もしくはCT画像の模式図を表示する。CT画像もしくはCT画像の模式図を表示することにより、利用者の腹部断面形状がよりリアルに視覚化でき、筋肉トレーニングの指導に有効である。
【0158】
本実施形態では、推定された筋肉面積及び腹囲に基づいて1枚の画像が選択される例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、筋肉面積の推定と同様の手法を用いて、腹部輪郭の特徴係数から内臓脂肪面積及び皮下脂肪面積を推定し、推定された筋肉面積、内臓脂肪面積及び皮下脂肪面積に基づいて1枚の画像が選択されてもよい。
図25(c)の画像は、
図25(b)の画像と比べて、腹囲、筋肉面積、皮下脂肪面積はとほぼ同じであるが、内臓肪面積が大きいものである。推定された筋肉面積、内臓脂肪面積、及び皮下脂肪面積に基づいて、CT画像もしくはCT画像の模式図を表示することにより、利用者の腹部断面形状がさらにリアルに視覚化でき、利用者の健康意識の向上に有効である。
【0159】
(第4の実施形態)
第4の実施形態においては、大腿部断面における筋肉面積を推定する。本実施形態のスマートフォン1は、第1の実施形態と同じく
図4のブロック図構成でもよいし、第2の実施形態と同じ
図14のブロック図の構成でもよい。以下、第1〜第3の実施形態と同じ部分については説明を省略し、異なる点について説明を行う。
【0160】
図14のストレージ9は、あらかじめ作成された大腿部筋肉面積の推定式を記憶している。ストレージ9は複数の大腿部断面画像を記憶している。これらの大腿部断面画像は、筋肉面積によって分類されている。制御部10Aは大腿部の輪郭を演算し、その輪郭の特徴係数を抽出する。制御部10Aはストレージ9に記憶された大腿部筋肉面積の推定式を読み出し、抽出された輪郭の特徴係数から大腿部筋肉面積を推定する。さらに、制御部10Aは、ストレージ9に記憶されている複数の大腿部断面画像の中から1つの画像を抽出し、ディスプレイ2Aに表示させる。
【0161】
図23は第4の実施形態に係る大腿部断面画像が表示されるまでの処理の流れの一例を示すフロー図である。本実施形態では一例として、股下約15cmの位置の大腿部輪郭を演算する。但し、本願発明者の検討によると、大腿部に力が入った状態での測定は、大腿部に力が入っていない状態での測定と比べて、より高い精度で筋肉面積が推定できることが分かった。そこで本実施形態では、大腿部に力を入れた状態で大腿部の輪郭情報を取得した。
【0162】
ステップS101で、利用者は断面の輪郭測定の測定アプリケーション9Zを起動させる。測定アプリケーション9Zの起動後、利用者はあらかじめ巻尺等で測定された大腿部の周りの長さの実測値をスマートフォン1に入力する(ステップS111)。あるいは、スマートフォン1のストレージ9にあらかじめ記憶された利用者情報から、大腿部の周りの長さの実測値を読み込んできてもよい。ステップS111は必ずしも測定開始前に行う必要はなく、ステップS104の測定終了後に行ってもよい。ステップS111は、ステップS103において加速度センサ16により移動情報を取得する場合は、必ずしも行う必要はない。
【0163】
次に、ステップS102で測定を開始する。本実施形態では、大腿部前面を測定開始位置とする。利用者は、スマートフォン1にあらかじめ設定された開始アクションを行い、測定を開始する。
【0164】
ステップS103で、利用者は大腿部表面に沿ってスマートフォン1を移動させる。スマートフォン1の移動は、大腿部の表面に対して当てたままで、一定速度で移動させる。
【0165】
ステップS103で、スマートフォン1はあらかじめプログラムされた条件で、角速度センサ18により、向き情報である角速度(度/秒)を取得する。向き情報は、タイマー11から出力されたクロック信号に従って複数回取得される。クロック信号に従って取得された向き情報は、取得の時間情報とともに、スマートフォン1に記憶される。この測定はステップS102の開始から、ステップS104の終了まで連続して実行される。移動情報として、加速度センサ16によって移動量を測定してもよい。加速度センサ16によって取得される移動情報は、第1の実施形態において説明した内容と同様であるので、ここでは省略する。
【0166】
なお、制御部10Aは、ステップ103の実行過程において、スマートフォン1のレシーバ7等から一定時間間隔で音を発生させてもよい。利用者は、この一定時間間隔の音を聞きながらスマートフォン1を移動させることにより、一定速度で大腿部周りに移動させることが容易になる。
【0167】
利用者は、スマートフォン1を大腿部の表面に対して当てたまま一定速度で1周以上移動させる。スマートフォン1は、1周分のデータを取得した旨を利用者に通知することが好ましい。
【0168】
スマートフォン1を1周以上移動させたら、利用者はスマートフォン1にあらかじめ設定された終了アクションを行い、測定を終了させる(ステップS104)。また、制御部10Aは、スマートフォン1の向きが、測定開始から360度変化した場合をほぼ1周と認識し、自動で測定を終了させてもよい。このような自動認識の場合、利用者は終了アクションを行う必要がなく、測定がより簡略化される。
【0169】
また、利用者は、スマートフォン1からの通知により360度分(1周分)のデータ取得があったと認識した場合には、終了アクション等を行って測定を終了させてもよい。
【0170】
なお、制御部10Aは、スマートフォン1の移動が1周未満の場合でも、向き情報が一定時間変化しない場合や、向きの増減が反転した場合など、異常を検知した場合には自動で測定を終了させてもよい。
【0171】
測定が終了すると(ステップS104)、制御部10Aは、1周以上の情報が取得されたか否かを判定する(ステップS201)。この判定は、例えば
図7において、測定終了時の向き情報が360度以上であるか否かによって行うことができる。また、制御部10Aは、ステップS104で測定が終了した時間によって、1周以上のデータが取得されたか否かの判定を行ってもよい。
【0172】
ステップS201において1周以上の情報が取得されたと判定すると、制御部10Aは、第2の実施形態と同様に、大腿部断面の輪郭の1周部分を演算する(ステップS115)。制御部10Aは、ステップS103にて取得された角速度を1回積分することにより、スマートフォン1の向きを演算する。
【0173】
ステップS103において1周分以上の情報を取得した場合のスマートフォン1の向き情報の一例は、先に
図7に示したとおりである。制御部10Aは、ステップS115において大腿部断面の輪郭の1周部分を演算した後、輪郭の特徴係数の抽出(ステップS217)を行う。
【0174】
なお、制御部10Aは、
図7において、利用者が開始ボタンの押下等あらかじめ設定された開始アクションを行ったときの向き情報及び移動情報を測定開始時(時間0秒)における情報とすることができる。また、スマートフォン1が所定の姿勢になったときの向き情報及び移動情報を測定開始時(時間0秒)における情報としてもよい。すなわち、スマートフォン1のバックフェイス1Bが大腿部に押し当てられている姿勢を傾きセンサが検出したときを時間0として、それ以降の取得データを用いて大腿部の輪郭を演算するように構成してもよい。
【0175】
一方、ステップS201において、取得された情報が1周未満であると判定すると、制御部10Aは、大腿部断面画像を非表示として(ステップS204)、処理を終了する。精度が十分ではないデータを表示して利用者を混乱させることがないようにするためである。
【0176】
スマートフォン1はステップS115の輪郭の演算の後に、演算された輪郭から特徴係数を抽出する(ステップS217)。本実施形態では、第3の実施形態と同様の手法で、筋肉面積に影響するフーリエ係数Sa1、Sa2、Sa3、Sa4を輪郭の特徴係数として抽出する。
【0177】
スマートフォン1はあらかじめ求められた筋肉面積推定式に、ステップS217で抽出した特徴係数を代入して、利用者の大腿部断面における筋肉面積を推定する(ステップS218)。なお、筋肉面積推定式は先に
図22で示したものと同様の手法によりに求めることができる。
【0178】
次にスマートフォン1はステップS218で推定された筋肉面積に基づいて、ストレージ9に記憶されている複数の大腿部断面画像の中から利用者の大腿部断面に最も近い画像を選択する(ステップS119)。選択された画像は、第3の実施形態と同様にスマートフォン1のディスプレイ2Aに表示される(ステップS110)。このように、本実施形態によれば、大腿部の筋肉面積について推定することができる。
【0179】
なお、本実施形態では、タイマー11から移動情報を得るように構成したが、この態様には限定されない。例えば、第1実施形態と同様に第2のセンサ部に加速度センサ16を用い、取得された加速度情報を2回時間積分することによりスマートフォン1の移動量を演算するように構成してもよい。
【0180】
また、本実施形態によれば、向き情報及び移動情報を取得する際に、スマートフォンから一定時間間隔で音を発生させるように構成した。これにより利用者は、スマートフォンを一定速度で大腿部周りに移動させることが容易になる。
【0181】
また、本実施形態によれば、大腿部の輪郭の測定が1周未満である場合に大腿部断面画像を非表示とするように構成した。これにより、精度が十分ではないデータを表示して利用者を混乱させることがないようにすることができる。
【0182】
また、本実施形態によれば、スマートフォン1が所定の姿勢になったとき以降の向き情報及び移動情報を用いて大腿部の輪郭の一部を演算するように構成した。これによりスマートフォン1は常に一定の正しい姿勢から測定を開始することができる。
【0183】
なお、本実施形態では、被験者が大腿部に力を入れたときの輪郭から形状特徴を算出したが、本発明はこれに限らない。例えば、同一被験者で大腿部に力を入れていないとき、及び力を入れているときの両者の輪郭を用いて形状特徴を算出してもよい。その際、両者の輪郭の特徴を表す係数を独立変数として、CTで得た筋肉面積を従属変数として回帰分析を行い、筋肉面積推定式を作成してもよい。
【0184】
図27は、スマートフォン1により演算された同一被験者の右足大腿部の輪郭の一例を示す図である。
図27(a)は大腿部に力を入れていない状態、
図27(b)は大腿部に力を入れている状態での輪郭の例である。
【0185】
被験者は椅子に座り、足が地面に水平になるように足先を台にのせた状態で、大腿部の輪郭を測定された。図の輪郭は、右足を足先から観察したものである。図の上側は大腿部前側、下側は大腿部後側、右側は大腿部内側、左側は大腿部外側を示す。例えば、大腿部に力を入れていない状態(
図27a)では、大腿部の輪郭は後外側が直線に近い楕円形である。例えば、大腿部に力を入れている状態(
図27b)では、大腿部の輪郭は円形に近い形である。このような、力の入れ方で異なる2つの輪郭から形状特徴を算出し、筋肉面積を推定することにより、筋肉面積の推定精度は向上することがある。
【0186】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、力を入れている状態もしくは力を入れていない状態のいずれか一方を用いて演算及び推定してもよい。
【0187】
次に本発明の実施形態に係るシステムを、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0188】
図28に示した実施形態のシステムは、サーバ80と、スマートフォン1と、通信ネットワークを含んで構成される。
図28に示したように、スマートフォン1で測定された断面の輪郭の演算結果を、通信ネットワークを通じてサーバ80に送信し、サーバ80では、断面の輪郭の分類、判定を行い、画像及びアドバイスを利用者に返信する。そして、スマートフォン1は、サーバ80から送信された画像等をディスプレイ2Aに表示することができる。スマートフォン1の通信手段を利用することで、サーバ80には複数の利用者からの情報を収集することができるため、さらに分類、判定の精度が上がる。また、取得された向き情報、移動情報及び周囲長を当該サーバ80に送信する形態を採用してもよい。この場合、断面の輪郭の演算をサーバ80で行うため、利用者が使うスマートフォン1のコントローラ10への演算の負担を軽減することができ、スマートフォン1の小型化、簡略化が可能となる。また、演算の処理速度も向上する。
【0189】
本実施形態に係るシステムはスマートフォン1とサーバ80を通信ネットワークで接続した構成を示したが、本発明のシステムはこれに限定されるものではない。人体に沿って移動させる測定子と、測定子の向き情報を得る第1のセンサ部と、測定子の移動情報を得るためのデバイス部と、人体の断面の輪郭を演算する制御部と、を備えていればよい。また、それぞれが通信手段で接続されていてもよい。
【0190】
本発明を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施例に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【0191】
例えば、上述の実施形態においては、機器としてスマートフォン1の場合について説明したが、本発明の機器はこれに限ることなく、第1のセンサ部と、デバイス部と、制御部を備えていればよい。さらには、自機の内部に、第1のセンサ部とデバイス部と制御部を備えている必要もなく、それぞれが個別に分かれていてもよい。
【0192】
また、上述の実施形態においては、腹部及び大腿部の筋肉面積を推定する場合について説明したが、他の断面の輪郭の測定にも適用できる。
【0193】
また、上述の実施形態においては、第1のセンサ部として方位センサ及び角速度センサを用いる場合について説明したが、第1のセンサ部は自機の向き情報を取得できるものであれば他のものでもよく、例えば、傾きセンサ等を用いてもよい。
【0194】
また、第2のセンサ部として加速度センサまたは電子巻尺を用いる場合について説明したが、第2のセンサ部は自機の移動情報を取得できるものであれば他のものでもよく、車輪の回転数を検出することによって移動情報を取得する電子ローラー距離計等、を用いてもよい。
【0195】
また、上述の実施形態においては、対象物を1周、半周、1/4周して断面の輪郭を測定する例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば2周の断面の輪郭を測定してそのデータを平均化することで、よりばらつきの少ない高精度な測定が可能となる。
【0196】
本開示内容の多くの側面は、プログラム命令を実行可能なコンピュータシステムその他のハードウェアにより実行される、一連の動作として示される。コンピュータシステムその他のハードウェアには、たとえば、汎用コンピュータ、PC(パーソナルコンピュータ)、専用コンピュータ、ワークステーション、PCS(Personal Communications System、パーソナル移動通信システム)、移動(セルラー)電話機、データ処理機能を備えた移動電話機、RFID受信機、ゲーム機、電子ノートパッド、ラップトップコンピュータ、GPS(Global Positioning System)受信機またはその他のプログラム可能なデータ処理装置が含まれる。各実施形態では、種々の動作は、プログラム命令(ソフトウェア)で実装された専用回路(たとえば、特定機能を実行するために相互接続された個別の論理ゲート)や、一以上のプロセッサにより実行される論理ブロックやプログラムモジュール等により実行されることに留意されたい。論理ブロックやプログラムモジュール等を実行する一以上のプロセッサには、たとえば、一以上のマイクロプロセッサ、CPU(中央演算処理ユニット)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子機器、ここに記載する機能を実行可能に設計されたその他の装置及び/またはこれらいずれかの組合せが含まれる。ここに示す実施形態は、たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはこれらいずれかの組合せにより実装される。命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントであってもよい。そして、命令は、機械読取り可能な非一時的記憶媒体その他の媒体に格納することができる。コードセグメントは、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラスまたは命令、データ構造もしくはプログラムステートメントのいずれかの任意の組合せを示すものであってもよい。コードセグメントは、他のコードセグメントまたはハードウェア回路と、情報、データ引数、変数または記憶内容の送信及び/または受信を行い、これにより、コードセグメントが他のコードセグメントまたはハードウェア回路と接続される。
【0197】
ここで用いられるネットワークには、他に特段の断りがない限りは、インターネット、アドホックネットワーク、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、セルラーネットワーク、WWAN(Wireless Wide Area Network)、WPAN(Wireless Personal Area Network )、PSTN(Public Switched Telephone Network)、地上波無線ネットワーク(Terrestrial Wireless Network)もしくは他のネットワークまたはこれらいずれかの組合せが含まれる。無線ネットワークの構成要素には、たとえば、アクセスポイント(たとえば、Wi-Fiアクセスポイント)やフェムトセル等が含まれる。さらに、無線通信器機は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、セルラー通信技術(たとえばCDMA(Code Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)またはその他の無線技術及び/または技術標準を用いた無線ネットワークに接続することができる。ネットワークには、一つ以上の技術を採用することができ、かかる技術には、たとえば、UTMS(Universal Mobile Telecommunications System)、LTE(Long Term Evolution)、EV-DO(Evolution-Data Optimized or Evolution-Data Only)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、CDMA-2000(Code Division Multiple Access-2000)またはTD-SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)が含まれる。
【0198】
通信ユニット等の回路構成は、たとえば、WWAN、WLAN、WPAN、等の種々の無線通信ネットワークを用いることで、機能性を提供する。WWANは、CDMAネットワーク、TDMAネットワーク、FDMAネットワーク、OFDMAネットワーク、SC-FDMAネットワーク等とすることができる。CDMAネットワークは、CDMA2000、Wideband-CDMA(W-CDMA)等、一つ以上のRAT(Radio Access Technology)を実装することができる。CDMA2000は、IS-95、IS-2000及びIS-856標準を含む。TDMAネットワークは、GSM(登録商標)、D-AMPS(Digital Advanced Phone System)またはその他のRATを実装することができる。GSM(登録商標)及びW-CDMAは、3rd Generation Partnership Project(3GPP)と称するコンソーシアムから発行される文書に記載されている。CDMA2000は、3rd Generation Partnership Project 2(3GPP2)と称するコンソーシアムから発行される文書に記載されている。WLANは、IEEE802.11xネットワークとすることができる。WPANは、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15xまたはその他のタイプのネットワークとすることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)もしくはCDMA2000といった無線技術として実装することができる。TDMAは、GSM(登録商標)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM(登録商標) Evolution)といった無線技術により実装することができる。OFDMAは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、E-UTRA(Evolved UTRA)等の無線技術により実装することができる。こうした技術は、WWAN、WLAN及び/またはWPANのいずれかの組合せに用いることができる。また、こうした技術は、UMB(Ultra Mobile Broadband)ネットワーク、HRPD(High Rate Packet Data)ネットワーク、CDMA20001Xネットワーク、GSM(登録商標)、LTE(Long-Term Evolution)等を使用するために実装することができる。
【0199】
ここで用いられるストレージは、さらに、ソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び光学ディスクの範疇で構成されるコンピュータ読取り可能な有形のキャリア(媒体)として構成することができ、かかる媒体には、ここに開示する技術をプロセッサに実行させるためのプログラムモジュールなどのコンピュータ命令の適宜なセットや、データ構造が格納される。コンピュータ読取り可能な媒体には、一つ以上の配線を備えた電気的接続、磁気ディスク記憶媒体、磁気カセット、磁気テープ、その他の磁気及び光学記憶装置(たとえば、CD(Compact Disk)、レーザーディスク(登録商標)、DVD(登録商標)(Digital Versatile Disc)、フロッピー(登録商標)ディスク及びブルーレイディスク(登録商標))、可搬型コンピュータディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EPROM、EEPROMもしくはフラッシュメモリ等の書換え可能でプログラム可能なROMもしくは情報を格納可能な他の有形の記憶媒体またはこれらいずれかの組合せが含まれる。メモリは、プロセッサ/プロセッシングユニットの内部及び/または外部に設けることができる。ここで用いられるように、「メモリ」という語は、あらゆる種類の長期記憶用、短期記憶用、揮発性、不揮発性その他のメモリを意味し、特定の種類やメモリの数または記憶が格納される媒体の種類は限定されない。
【0200】
なお、ここでは、特定の機能を実行する種々のモジュール及び/またはユニットを有するものとしてのシステムを開示しており、これらのモジュール及びユニットは、その機能性を簡略に説明するために模式的に示されたものであって、必ずしも、特定のハードウェア及び/またはソフトウェアを示すものではないことに留意されたい。その意味において、これらのモジュール、ユニット、その他の構成要素は、ここで説明された特定の機能を実質的に実行するように実装されたハードウェア及び/またはソフトウェアであればよい。異なる構成要素の種々の機能は、ハードウェア及び/もしくはソフトウェアのいかなる組合せまたは分離したものであってもよく、それぞれ別々に、またはいずれかの組合せにより用いることができる。また、キーボード、ディスプレイ、タッチスクリーン、ポインティングデバイス等を含むがこれらに限られない入力/出力もしくはI/Oデバイスまたはユーザインターフェースは、システムに直接にまたは介在するI/Oコントローラを介して接続することができる。このように、本開示内容の種々の側面は、多くの異なる態様で実施することができ、それらの態様はすべて本開示内容の範囲に含まれる。