(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039668
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】支持アームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20161128BHJP
B60K 15/035 20060101ALI20161128BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20161128BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
B60K15/03 A
B60K15/035 A
B60K15/077 A
F02M37/00 321B
F02M37/00 311A
F02M37/00 301L
F02M37/00 301E
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-525346(P2014-525346)
(86)(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公表番号】特表2014-528864(P2014-528864A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】EP2012003501
(87)【国際公開番号】WO2013023790
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年3月26日
(31)【優先権主張番号】1114125.6
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1114127.2
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1114129.8
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・サーラウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ・チェックリー
(72)【発明者】
【氏名】アダム・グラント
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−116147(JP,A)
【文献】
特開2010−070097(JP,A)
【文献】
特開2010−076526(JP,A)
【文献】
特表2002−536586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B60K 15/035
B60K 15/077
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(1)内に取り付けられる支持アームアセンブリ(39)であって、
支持アームアセンブリ(39)を取り付けるためのコネクタ(51)を有するアーム(43)と、
アーム(43)に取り付けられた給油制限部と、
支持アームアセンブリ(39)を燃料タンク(1)のルーフに対して付勢するように構成された付勢手段(49)と、
送信アームフロート(37)を有する燃料レベル送信ユニット(35)と、
燃料ポンプに接続するための燃料転送チューブ(17)と、
燃料転送チューブ(17)の遠位端に接続されたガイド部材(47)とを備え、
燃料レベル送信ユニット(35)は、アーム(43)に取り付けられ、
ガイド部材(47)は、送信アームフロート(37)から遠ざかる方向に燃料転送チューブ(17)を付勢することを特徴とする支持アームアセンブリ(39)。
【請求項2】
単一のアクセス開口部と、アクセス開口部に対向する第1の側壁と、アクセス開口部に対向しない第2の側壁とを有する鞍型の燃料タンク(1)内に取り付けられる支持アームアセンブリ(39)であって、
支持アームアセンブリ(39)を第1の側壁に取り付けるためのコネクタ(51)を有するアーム(43)と、
アーム(43)に取り付けられた給油制限部と、
支持アームアセンブリ(39)を燃料タンク(1)のルーフに対して付勢するように、第2の側壁に取り付けられた付勢手段(49)とを備えたことを特徴とする支持アームアセンブリ(39)。
【請求項3】
付勢手段(49)は、燃料タンク(1)に当接するように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の支持アームアセンブリ(39)。
【請求項4】
付勢手段(49)は、支持アームアセンブリ(39)を燃料タンク(1)内の所定位置に保持するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ(39)。
【請求項5】
燃料ポンプに接続するための燃料転送チューブ(17)をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項6】
給油制限部は、給油制限通気弁(27)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項7】
給油制限部は、通気口と流体連通する中空部材(111)と、燃料タンク(1)の内部を通気口(30)に流体連通させるために中空部材(111)に設けられた開口(113)とを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項8】
開口(113)は、中空部材(111)のより低い領域または中空部材(111)の底部に形成されたことを特徴とする請求項7に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項9】
中空部材(111)は、管状部材であり、
管状部材は、使用時、燃料タンク内で実質的に垂直な方向に延びることを特徴とする請求項7または8に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項10】
アーム(43)に取り付けられたロールオーバー通気弁(25)をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項11】
支持アームアセンブリ(39)が、ほぼU字状の固定的な形状を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項12】
付勢手段(49)は、ばねで付勢され、および/または弾性材料で形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項13】
送信アームフロート(37)を有する燃料レベル送信ユニット(35)をさらに備え、
燃料レベル送信ユニット(35)は、アーム(43)に取り付けられることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項14】
燃料ポンプに接続するための燃料転送チューブ(17)と、
燃料転送チューブ(17)の遠位端に接続されたガイド部材(47)とをさらに備え、
ガイド部材(47)は、送信アームフロート(37)から遠ざかる方向に燃料転送チューブ(17)を付勢することを特徴とする請求項13に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項15】
少なくとも1つの通気ポート(71)がアーム(43)に設けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項16】
通気ポート(71)に接続された通気導管(29)をさらに備え、
支持アームアセンブリ(39)は、使用時、通気導管(29)を実質的に水平状態に支持することを特徴とする請求項15に記載の支持アームアセンブリ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ(39)を備えたことを特徴とする燃料タンク(1)。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1に記載の支持アームアセンブリ(39)または請求項17に記載の燃料タンク(1)を備えたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内に機能部品を実装するための装置に関する。とりわけ本発明は、これに限定するものではないが、燃料タンク内に実装するための支持アセンブリに関する。燃料タンクは、一般にエンジン動力車に用いられるものである。本発明の態様は、燃料タンクおよび車両に搭載される支持アームアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクは、押出ブロー成形プロセスを用いて成形されることが知られている。燃料タンクは、封止成形品として形成され、燃料ポンプ、ベント(弁)、および燃料レベル送信器等の機能部品を実装できるように、アクセス開口部が切除される。燃料タンクから放出され得る炭化水素(燃料)を低減するために、燃料タンク内に成形されるアクセス開口部の個数を少なくすることが好ましい。しかし、そうすると、燃料タンク内に必要な機能部品を実装することが困難となる。
【0003】
サスペンションアームに移動可能キャリアを設けることが、英国特許第2428415号に記載されている。サスペンションアームの遠位端を支持するために、ペグが燃料タンクの側壁に取り付けられている。キャリアは、燃料レベル送信ユニットを支持し、アクセス開口部を介して挿入できるように、当初、実装位置に配置される。その後、サスペンションアームが実装されたときにペグを取り付けることにより、キャリアを展開位置に回転させる。サスペンションアームの近位端は、アクセス開口部内に配置されたフランジにより支持されている。
【0004】
さらに、米国特許出願公開第2008/0149199号は、サドル型(鞍型)燃料タンク内の燃料ラインを位置決めするための多関節ブームを開示している。この多関節ブームは、燃料ラインを引っ張ることにより、第1の加圧位置から第2の加圧位置にピボット回転できるようにしたばね付勢機構を有する。多関節ブームの近位端は、燃料タンク内に設けられた旋回ポットに取り付けられている。多関節ブームの固定装置は、タンクのフロア(床部)に圧接し、支持部材は、タンクのルーフ(屋根部)に係合し、多関節ブームを所定の位置に固定する。
【0005】
これらのシステムの潜在的な問題点は、給油制限器および燃料レベル送信器等のその他の機能的な構成部品をタンク内に実装する必要がある点にある。1つの手法として、アクセス開口部内に配置された実装フランジに機能的構成部品を取り付けるものがある。たとえば米国特許第7,520,293号には、浮遊ベントバルブ(排気弁)に接続された触手を支持するために、アクセス開口部内にマニホールド(連結管)を取り付けることが記載されている。同様に、米国特許第6,298,540号には、燃料タンクのアクセス開口部内に取り付けられた燃料レベル送信ユニットが記載されている。英国特許第2428415号には、燃料タンク排気デバイスをサスペンションアームに取り付けることが記載されている。しかし、これらの手法によれば、実装フランジに対する負荷を(直接的または間接的に)増大させ、アクセス開口部の周囲の機密性を低減させることがある。
【0006】
燃料タンク内に給油できる燃料の容量を制限する給油制限器を燃料タンク内に設けることが知られている。給油制限器は、通常、通気孔を選択的に開閉して、燃料が供給されたときに燃料タンクから空気を排出することができる。一般に、燃料タンク内に設置したフロート(浮き)を用いてバルブを作動させ、燃料タンク内の燃料レベルが所定の高さに達すると、バルブが通気孔を閉じ、燃料タンクを封止する。燃料タンク内の圧力上昇に応じて、燃料ディスペンサ内に配置されたベンチュリが燃料供給(給油)を遮断する。
【0007】
給油制限器を保守または交換する必要が生じる場合がある。バルブが燃料タンク内に配設されるため、保守または交換は、燃料タンクの少なくとも一部を分解することを含む場合がある。
【0008】
本発明の1つの目的は、先行技術に付随する上記問題点を実質的に解消し、または少なくとも部分的に低減することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】英国特許第2428415号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0149199号明細書
【特許文献3】米国特許第7,520,293号明細書
【特許文献4】米国特許第6,298,540号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明に係る1つの態様によれば、燃料タンク内に取り付けられる支持アームアセンブリが提供され、この支持アームアセンブリは、これを取り付けるためのコネクタを有するアームと、アームに取り付けられた給油制限部とを備える。
【0011】
給油制限部は、アームに取り付けられているため、燃料タンクを組み立てるために必要な工程(ステップ)を削減することができる。さらに、支持アームアセンブリが燃料タンク内に実装されるとき、確実に、給油制限部を正確に配置することができる。
【0012】
支持アームアセンブリは、燃料ポンプに接続するための燃料転送チューブを有していてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、支持アームアセンブリを完成した組み立て品として燃料タンク内に実装することができる。さらに、単一のアクセス開口部を介して、支持アームアセンブリを燃料タンク内に挿入してもよい。本発明に係る支持アームアセンブリは、燃料タンクのアクセス開口部から離れたところに取り付けて、アクセス開口部の周囲に形成される封止に加わる作業負荷を低減するようにしてもよい。支持アームアセンブリは、燃料タンクの側壁に動作可能に取り付けてもよい。
【0014】
給油制限部は、給油制限通気弁を有するものであってもよい。燃料タンクがガソリンシステムに用いられる場合、給油制限通気弁を設けることは適当である。給油制限通気弁は、蒸気キャニスタ(たとえばチャコールキャニスタ)に接続された通気管に燃料が侵入することを防止する遮断器を提供する。
【0015】
給油制限通気弁の周囲にカラーシュラウドを設けることができる。燃料転送チューブのためのガイド部材をカラーシュラウドから延長させることができる。カラーシュラウドは、アームと一体に形成することができ、またはアームとは別体のものと形成し、アームに取り付けてもよい。
【0016】
支持アームアセンブリがディーゼルシステムに用いられる場合、給油制限通気弁は必要ないかもしれない。給油高さを設定するためには、給油制限部は、通気口と流体連通する中空部材(すなわち容器)を有する。中空部材が通気管と流体連通し、開口が燃料タンクの内部と流体連通する。タンクに給油する際、中空部材の開口により、通気管を介して、燃料タンクからガスを通気させることができる。しかしながら、燃料レベルが中空部材の開口を超えて上昇したとき、開口が閉じ、もはやガスは燃料タンクから通気できない。通気管は燃料により閉じ、燃料タンクは効率的に封止される。燃料を連続的に供給し続けると、燃料タンク内の圧力が増大し、給油器を停止させる。中空部材は、給油制限通気弁等の可動部材を設ける必要なく、給油制限部として機能する。中空部材内の空気は、通気管を介して、燃料キャップへ実質的に排気される。開口は、中空部材のより低い領域または中空部材の底部に形成することができる。中空部材は、下方端部で開いた管または導管により形成することができる。中空部材は、管状部材であり、これは、使用時、燃料タンク内で実質的に垂直な方向に延びる。給油制限部の開口は、燃料タンク内の通気管より下方に配置してもよい。これにより、通気口を介した燃料の流出防止を支援してもよい。この開口が中空部材の長手方向軸に対して傾斜していてもよい。中空部材は、カラーシュラウドまたはその延長部分で形成してもよい。中空部材と通気導管との間の封止を形成するために、Oリングシール等の封止部材を設けてもよい。
【0017】
支持アームアセンブリは、ほぼU字状の固定的な形状を有していてもよい。使用時、支持アームアセンブリは、U字を反転させて、燃料タンクに設けたサドル部またはバッフルプレートを跨いで延びるように配置してもよい。支持アームアセンブリは、燃料転送チューブをU字状に支持する。支持アームアセンブリは、さまざまな形状を有していてもよい。アームは、たとえば多関節を有していてもよい。しかし、少なくともいくつかの実施形態では、支持アームアセンブリは、(多関節を有さない)固定的な形態を有していてもよい。
【0018】
燃料転送チューブは、可撓性を有するものであってもよいが、アームは、硬い、または実質的に曲がらないものであってもよい。クロスオーバーアームは、プラスティック材料でモールド成形されたものであってもよい。
【0019】
支持アームアセンブリは、ロールオーバー通気弁を有していてもよい。ロールオーバー通気弁はアームに取り付けてもよい。ロールオーバー通気弁は、支持アームアセンブリを実装したとき、燃料タンクの上部に配置されるようにアームの上部に配置してもよい。ロールオーバー通気弁は、ディーゼルシステムでは本質的ではなく、ロールオーバー通気弁の代わりにキャップまたはカバーを設けてもよい。
【0020】
コネクタを固定的またはピボット回転可能に燃料タンクの支持アームアセンブリに取り付けることができる。支持アームのピボット回転取付部により、燃料タンク内の構成部品および/またはアクセス開口部に加わる作業負荷を低減することができる。燃料タンクは、所定のケースにおいては車両走行中に湾曲し、燃料タンクが湾曲することに対し、支持アームアセンブリをピボット回転させることにより適応させるようにしてもよい。
【0021】
コネクタは、燃料タンクの側壁に固定されるブラケットに取り付けられるように構成してもよい。ブラケットは、アームをピボット回転可能に取り付けるための連結手段を有していてもよい。コネクタは、実装ブラケットと協働する第1のベアリング表面を有していてもよい。第1のベアリング表面は、少なくとも部分的に円筒状または球状であってもよい。相補的なベアリング表面を実装ブラケット上に形成してもよい。本発明は、上記説明した支持アームアセンブリに関するものであり、実装ブラケットと協働するものである。
【0022】
支持アームアセンブリは、所定の方向に支持してもよい。1つまたはそれ以上の係止部を設けて、支持アームアセンブリの動きを制限してもよい。択一的には、アームを所定の方向に付勢する付勢手段を設けてもよい。付勢手段は、支持アームアセンブリを燃料タンクのルーフに対して付勢するように構成してもよい。付勢手段は、燃料タンクの側壁に係合するようにアームから延びてもよい。付勢手段は、使用時、燃料タンクの側壁に当接してもよい。付勢手段は、たとえば燃料タンクの側壁、フロア(床部)、またはルーフ(屋根部)に当接してもよい。付勢手段を受容するデタントまたは凹部を燃料タンクに設けてもよい。付勢部材は、通常の動作状態にあるアームが設置される支持フットであってもよい。
【0023】
付勢手段は、ばね付勢された機構を有していてもよい。択一的には、付勢手段は、弾性材料で形成されるものであってもよい。付勢手段は、クロスオーバーアームと一体に形成してもよい。ただし付勢手段は、個別に形成した後、クロスオーバーアームに固定してもよい。後者の手法によれば、支持アームアセンブリの動作特性を特定の用途に応じて調整することができる。たとえば付勢手段の寸法(たとえば高さ)および材料特性(たとえば弾性)を異なる用途に対して変更することができる。付勢手段は、クロスオーバーアームに着脱自在に取り付けてもよい。
【0024】
支持アームアセンブリは、送信アームフロートを有する燃料レベル送信ユニットをさらに備えていてもよい。燃料レベル送信ユニットは、永続的にまたは着脱自在にアームに取り付けてもよい。
【0025】
支持アームアセンブリは、燃料転送チューブのためのガイド部材を有していてもよい。ガイド部材は、燃料転送チューブの遠位端に接続してもよい。ガイド部材は、使用時、送信アームフロートから遠ざかる方向に燃料転送チューブを付勢してもよい。これにより、燃料転送チューブが送信アームフロートと絡み合う(相互干渉する)リスクを低減することができる。
【0026】
少なくとも1つの通気ポートをアームに設けてもよい。通気ポートは、給油制限通気弁および/またはロールオーバー通気弁と流体連通させるものであってもよい。少なくとも1つの通気ポートは、支持アームと一体に形成されるものであってもよい。通気管を通気ポートに接続してもよい。ガソリンシステムにおいて、通気管が、給油制限通気弁および/またはロールオーバー通気弁を(チャコールキャニスタ等の)蒸気キャニスタに接続してもよい。ディーゼルシステムにおいては、通気管は、燃料タンクの内部を給油キャップに接続してもよい。支持アームアセンブリは、使用時、通気管を実質的に水平状態に支持するように構成してもよい。水平状態に配置することにより、燃料が通気管内で溜まるトラフの形成の防止を支援することができる。
【0027】
コネクタは、第1の軸の周りで、さらに任意的には第2の軸の周りで支持アームアセンブリをピボット回転可能にする。コネクタは、スリーブ、バレル、ソケット、ピン、実装ブラシ、またはピボット回転可能に接続するのに適した他の接合部を含むものであってもよい。1つの実施形態では、コネクタは、相補的なスリーブに配置される円筒状バレルを有する。
【0028】
支持アームアセンブリは、アームを一時的に支持するラッチ機構を有していてもよい。ラッチ機構は、ブラケット上に設けたラッチを受容するための凹部を有し、またはブラケットに形成された凹部に設置可能なラッチであってもよい。
【0029】
支持アームアセンブリは、クロスオーバーアームを所定位置に固定するための固定デバイスを有していてもよい。たとえばコネクタは、アームを所定位置に固定するように作動可能な固定デバイスを受容する開口部または凹部を有していてもよい。固定デバイスは、ラッチ、ラチェット、オーバセンター梃子、または他の固定機構であってもよい。固定デバイスは、ねじ等の機械式の固定具であってもよい。機械式の固定具は、たとえばコネクタに形成したスロットに配置してもよい。
【0030】
支持アームは、これを実装ブラケットに連結する際に生じる屑を収集するためのチャンバを有していてもよい。チャンバはコネクタ内に形成することができる。
【0031】
保守しやすくするために、固定デバイスによる固定を解除して、支持アームアセンブリを解放できるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、固定デバイスが固定され、および/または支持アームアセンブリが燃料タンク内(すなわち、その所定位置)に固定されているとき、その固定が解除されてもよい。
【0032】
支持アームアセンブリは、支持アームの第1の方向および/または第2の方向のピボット回転を制限する1つまたはそれ以上の係止部材を有していてもよい。係止部は、アームコネクタ上に設けた1つまたはそれ以上の突起部であってもよい。
【0033】
本発明に係る別の態様によれば、燃料タンクに取り付けられる上記説明した支持アームアセンブリを有する燃料タンクが提供される。この支持アームアセンブリは、燃料タンクの側壁にしっかりと固定されたブラケットにピボット回転可能に取り付けることができる。ブラケットは、燃料タンクに形成されたアクセス開口部から離れたところに設けることができる。ブラケットは、燃料タンクの側壁に溶接され、接合(たとえば摩擦溶接)されてもよい。
【0034】
本発明に係る別の態様によれば、上述した種類の支持アームアセンブリを実装するためのブラケットが提供され、このブラケットは、
燃料タンクの内壁上に取り付け可能なベース部と、
支持アームが第1の軸の周りでピボット回転できるように支持アームをブラケットにピボット回転可能に連結する連結手段と、
支持アームを連結手段内に固定する固定デバイスとを備え、
固定デバイスは、支持アームを連結手段内に固定する固定部を受容するガイドチャンネルを有するものである。
【0035】
本願に係る発明の範囲において、上記段落、クレーム、下記の発明の詳細な説明、および/または添付図面で説明したさまざまな態様、実施形態、実施例、特徴、および変形例は、独立して、または組み合わせて実施することができる。たとえば1つの実施形態に関連して説明した特徴は、互換性のない特徴でない限り、他のすべての実施形態に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
例示するためにのみ添付図面を参照して、本発明を以下説明する。
【
図1】本発明に係る実装ブラケットおよび支持アームの実施形態を具現化する燃料タンクアセンブリの断面図である。
【
図2A】本発明に係る実施形態によるクロスオーバーアームの第1の斜視図である。
【
図2B】本発明に係る実施形態によるクロスオーバーアームの第2の斜視図である。
【
図3】本発明に係る実施形態による実装ブラケットおよび支持アームの断面図である。
【
図5】本発明に係る実施形態によるクロスオーバーアームに取り付けられたカラーシュラウドの斜視図である。
【
図6】本発明に係る実施形態によるクロスオーバーアームを支持する弾性を有するフットの斜視図である。
【
図7A】ディーゼル燃料システムのための挿入部の断面図である。
【
図7B】ディーゼル燃料システムのための挿入部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、一般に、自動車車両(明確に図示せず)のための燃料タンク1に関する。
図1は、本発明に係る実施形態による燃料タンク1の断面図である。
【0038】
単一チャンバを有するサドル型燃料タンク1について説明するが、図示した本発明に係る実施形態は、内部隔壁プレートを有するもの等のその他のタイプの燃料タンクにも適用することができる。さらに図示した燃料タンク1は、石油(ガソリン)、ディーゼル(重油)、バイオディーゼル、アルコール、および燃料として、尿素系溶液等の添加剤として機能させることを意図した他の液体を格納するものであってもよい。分かりやすくするために、第1の実施例として石油(ガソリン)に関して本発明を以下説明する。
【0039】
燃料タンク1は、従来技術の押出ブロー成形技術により成形された単一部品の筐体(カーケイス)3から構成される。燃料タンク1は、第1の(能動)チャンバ5および第2の(受動)チャンバ7を有する。第1および第2のチャンバ5,7の間にサドル部(鞍部)9が形成されているが、これらのチャンバは互いに連通している。燃油供給モジュール(FDM)11は、一体式燃料ポンプ13を有し、第1の燃料レベル送信ユニット15が第1のチャンバ5内に設置されている。燃料ポンプ13を用いて、第2のチャンバ7から燃料を引き上げることができるように、(一方の遠位端にフィルタ19を有する)燃料転送チューブ17が設置されている。燃油供給モジュール11は、フランジFに取り付けられたフィルタモジュール21を採用し、フランジは、筐体3に成形されたアクセス開口部Aに液密に取り付けられている。
【0040】
燃料タンク1は、インレット逆止弁(ICV)23、ロールオーバー弁(ROV)25、および給油制限通気弁(FLWW)27をさらに有する。ロールオーバー弁25および給油制限通気弁27は、常開弁であり、燃料タンク1を換気させることができる。通気ラインアセンブリ28は、通気導管29を有し、給油制限通気弁27を通気口30に連結するものである。気化燃料を収集し、動作時にエンジンインレットマニホールド(図示せず)に供給するために、通気口30は、チャコールキャニスタ(図示せず)等の蒸気キャニスタに接続されている。ロールオーバー弁25は、T字コネクタ31を介して通気導管に接続されている。ロールオーバー弁25は、燃料タンク1がひっくり返った(反転)した場合に閉じて、燃料が通気口30から漏れるのを防止するものである。給油制限通気弁27は、燃料タンク1内の燃料レベルが最大給油高さに達したときに閉じる。別の実施形態において、ロールオーバー弁25を燃料送達モジュール11のフランジF上の別のポート(口)に接続することにより、これを通気ラインアセンブリ28から分離させてもよい。
【0041】
第1の燃料レベル送信ユニット15は、第1の測定モジュール32と、第1のチャンバ5内の燃料レベルの変化に応じてピボット回転する第1の送信アームフロート33とを有する。第2の燃料レベル送信ユニット35は、第2のチャンバ7内の燃料レベルをモニタするために設けられている。第2の燃料レベル送信ユニット35は、第2の測定モジュール(図示せず)と、第2のチャンバ7内の燃料レベルの変化に応じてピボット回転する第2の送信アームフロート37とを有する。
【0042】
支持アームアセンブリ39は、ロールオーバー弁25および給油制限通気弁27に対して、第2の燃料レベル送信ユニット35を支持するために設けられたものである。支持アームアセンブリ39は、(後述する)ブラケット41上にピボット回転可能に取り付けられ、筐体3の内壁に確実に固定されるものである。支持アームアセンブリ39は、モジュール式構成を有し、アーム43(クロスオーバーアームともいう。)、カラーシュラウド45(給油制限通気弁27を少なくとも部分的に包囲するもの。)、転送チューブ支持部材47、および弾性を有する支持フット49を有する。
【0043】
図2Aおよび
図2Bに示すように、クロスオーバーアーム43は、円筒状実装バレル51、第1の弁ハウジング53、および第2の弁ハウジング55を含む単一成形部品からなる。円筒状実装バレル51は、クロスオーバーアーム43の近位端に設けられ、支持アームアセンブリ39を実装ブラケット41内でピボット回転可能に取り付ける。円筒状実装バレル51は、(
図1の紙面に垂直に延び、
図4に示す)長手方向軸Xを有し、その周囲をクロスオーバーアーム43がピボット回転することができる。バレル51の第1の端部57は、バレル51をブラケット41内に配置しやすくするために、傾斜または湾曲した外形形状を有する。弾性を有するラッチ部材59がブラケット41に係合するようにバレル51上に設けられる。固定ねじ52を受容するための細長いスロット61がバレル51に設けられ、クロスオーバーアーム43をブラケット41内に固定するための他の機械的固定治具が設けられている。収集チャンバ63がバレル51内に形成されている(
図3参照)。
【0044】
クロスオーバーアーム43は、燃料転送チューブ17を保持するために、第1のガイドチャンネル67に沿って配設された一連の転送チューブクリップ65を有する。通気ラインアセンブリ28を支持するために、(
図1に示す)通気ラインクリップ69がクロスオーバーアーム43上のフランジ70に取り付けられている。
【0045】
第1の弁ハウジング53は、ロールオーバー弁25を収容するためにクロスオーバーアーム43の上部に配置されている。第2の弁ハウジング55は、給油制限通気弁27を収容するためにクロスオーバーアーム43の遠位端に配設されている。通気導管29と接続するための第1のポート71が、第2の弁ハウジング55に隣接してクロスオーバーアーム43にモールド成形されている。第1のポート71は、第2の弁ハウジング55と流体連通し、給油制限通気弁27を通気口30に接続する。任意ではあるが、ロールオーバー弁25に接続するために、T字コネクタ31の代わりに、第2のポートを設けてもよい。上述のように、ロールオーバー弁25および給油制限通気弁27は、燃料送達モジュール11のフランジ22に独立して接続するものであってもよい。
【0046】
図4に示すように、ブラケット41は、ベースプレート73および実装スリーブ75を有する単一の成形部品からなる。ベースプレート73は、筐体3の側壁に取り外せないように固定されるものである。本実施形態では、ベースプレート73は、燃料タンクのサドル部9に熱板溶接される。
【0047】
図4に示すように、スリーブ75は第1の端部77で開口しているので、バレル51を挿入することができる。スリーブ75の第2の端部79は、バレル51の第1の端部57と適合するような外形形状を有する側壁81で閉口している。スリーブ75は、バレル51の外側表面と適合する内側円筒状ベアリング表面82を有する。したがって、スリーブ75は、支持アームアセンブリ39をピボット回転可能に実装するためのソケットを構成するものである。
【0048】
スリーブ75の第1の端部77は、クロスオーバーアーム43のピボット回転動作を制限するためのカラー部83を構成する。
図4に示すように、カラー部83上に形成された2つの突起部85が、長手方向軸Xの周りの回転角度を制限する係止部を構成するものである。
【0049】
バレル51がスリーブ75内に挿入されたとき、弾性ラッチ部材59を受容するために、スロット87がスリーブ75に形成される。バレル51をスリーブ75内に保持するために、固定ねじ52がブラケット41の孔部89を介して挿入される。ガイド91(
図3参照)は、貫通するように形成された軸方向ボアを有する半径方向の突起ボスを有するものであるが、任意的には、(
図3の断面図に示す)固定ねじ52がブラケット41内にねじ止めされたとき、固定ねじ52を支持するために、ブラケット41の外側表面上に形成される。支持アームアセンブリ39が長手方向軸Xの周りに回転できるように、固定ねじ52は、細長いバレル51の長く伸びたスロット61に配置される。固定ねじ52は、クロスオーバーアーム43のピボット回転動作を制限するように、長く伸びたスロット61の各端部に当接することができる。択一的には、固定ねじ52を締め付けたときに、固定ねじがスロット61の周辺端部に「食い込む」ことにより、バレル51がスリーブ75内で回転するのを制限するように、固定ねじ52の直径に対する長く伸びたスロット61の幅を設定してもよい。固定ねじ52がブラケット41内に閉じ込められ、実装を支援するようにしてもよい。
【0050】
本実施形態においては、固定ねじ52は、ねじ切りねじである。固定ねじ52がブラケット41内に挿入されるとき、ねじ山がブラケット41内にねじ切るほどに、削り屑が形成され得るものである。
図3に示すように、チャンバ63はスリーブ75の端壁81で閉じているので、この削り屑は、バレル51のチャンバ63内に収集され、閉じ込められる。よって、削り屑が燃料タンク1の本体部に入ることを防止することができる。
【0051】
図5に示すように、カラーシュラウド45は、シュラウド93およびガイド部材95を有する。シュラウド93は、カラーシュラウド45をクロスオーバーアーム43の遠位端上に取り付けるために、第2の弁ハウジング55の上方に配置される。給油制限通気弁27は、シュラウド93内に収容される。
【0052】
第2のガイドチャンネル97がガイド部材95内に形成され、燃料転送チューブ17が一連の転送チューブクリップ99を介して第2のガイドチャンネル97に固定される。支持部材47は、ガイド部材95から延びる弾性ワイヤ部材である。支持部材47およびガイド部材95は、燃料タンク1の第2のチャンバ7の底部に燃料転送チューブ17の端部を配置するものである。
【0053】
図6は、支持フット49の斜視図である。ガイド部材95は、第1のクリップ固定部101を有し、第1のクリップ固定部は、支持フット49を着脱可能に取り付けられる保持プレート103を受容する。支持フット49は、弾性プラスティック材料でモールド成形され、筐体3の側壁に設けた協働成形部または協働デタント(戻り止め)105内に配置される。使用時、支持フット49は、燃料タンク1内で所定の方向に支持アームアセンブリ39を付勢する。支持フット49は、給油制限通気弁27の高さを設定し、ひいては燃料タンク1の有効容量を設定する。
【0054】
支持フット49は、ガイド部材95と一体に成形してもよい。しかし、支持フット49を第1のクリップ固定部101に取り付けることにより、モジュラー式の仕様設計が実現され、さまざまな用途に適用するように支持アームアセンブリ39を調整することができる。たとえば、支持フット49の寸法を変更することにより、燃料タンク1内の給油制限通気弁27の高さを変えることができる。
【0055】
第2の燃料レベル送信ユニット35の第2の測定モジュールは、第2のクリップ固定部107を用いて、カラーシュラウド45の側壁に着脱可能に取り付けられる。理解されるように、第2の燃料レベル送信ユニット35は、カラーシュラウド45および/またはクロスオーバーアーム43と一体成形してもよい。
【0056】
支持アームアセンブリ39の組み立て方法および燃料タンク1内の実装方法について以下説明する。筐体3は、従来式の技術を用いて成形され、側壁を切除して開口部Aを設ける。アクセス(内部作業)するために開口部を用い、ブラケット41を筐体3の内壁に直接的に熱板溶接する。本実施形態に係るブラケット41をサドル部9に固定し、アクセス性(内部作業性)を改善するように開口部Aの方に向ける。すなわちブラケット41を開口部Aから離れたところに取り付けて、開口部Aの周囲およびフランジFに加わる作業負荷を低減することができる。
【0057】
ロールオーバー弁25および給油制限通気弁27をクロスオーバーアーム43に取り付けることにより、支持アームアセンブリ39を組み立てる。そしてカラーシュラウド45を給油制限通気弁27の周囲に配設し、(第2の送信アームフロート37とともに)第2の燃料レベル送信ユニット35をカラーシュラウド45に取り付ける。第1のクリップ固定部101を介して、支持フット49をガイド部材95に固定する。
【0058】
クロスオーバーアーム43およびガイド部材95にそれぞれ形成された第1および第2のガイドチャンネル67,97に燃料転送チューブ17を挿入する。転送チューブクリップ65,99が燃料転送チューブ17を所定位置に保持する。通気導管29を第1のポート71に固定し、通気ラインクリップ69を介して、クロスオーバーアーム43に取り付ける。T字コネクタ31を介して、ロールオーバー弁25を通気導管29に接続する。
【0059】
支持アームアセンブリ39は、U字状形状を有し、燃料タンク1内に配置されたとき、サドル部9を跨るように延びる。クロスオーバーアーム43またはガイド部材95を変形させることなく、組み立てられた支持アームアセンブリ39を、開口部Aを通して挿入し、燃料タンク1内に実装することができる。すなわち支持アームアセンブリ39は、固定的な配置構成を有する。
【0060】
燃料レベル送信ユニット35および燃料転送チューブ17の遠位端が第2のチャンバ7に配置されるように、支持アームアセンブリ39を燃料タンク1内に配置する。燃料転送チューブ17をその長手方向に沿って支持することにより、支持部材47およびガイド部材95は、第2の送信アームフロート37の動作を妨害または阻止し得る第2の送信アームフロート37との絡み合い(相互干渉)を防ぐことを支援する。
【0061】
ロールオーバー弁25を燃料タンク1の上部に配置する。任意的には、キャップ109を、燃料タンク1のルーフ(屋根部)に当接するようにロールオーバー弁25の上に設けてもよい。第2の燃料レベル送信ユニット35およびカラーシュラウド45を第2のチャンバ7内に配置する。そして支持フット49をサドル9の側壁に形成したデタント(戻り止め)105に配置し、バレル51を実装ブラケット41内に挿入する。バレル51上のラッチ部材59をブラケット41のスロット87内に配置して、クロスオーバーアーム43を一時的に固定する。図面に示す実施例においては、支持アームアセンブリ39が適正に配置されたことを作業オペレータに音感および触感で分かるように構成されたスナップ嵌合(snap-fit)手段を用いて支持アームアセンブリを固定するように、ラッチ部材59が構成されている。固定ねじ52をブラケット41の孔部89内にねじ止めして、支持アームアセンブリ39を固定する。そして燃料送達モジュール11およびフィルタモジュール21を実装し、従来式手法で燃料タンク1の組み立てを完了する。
【0062】
上述したように、支持アームアセンブリ39を長手方向軸Xの周りに回転させることができる。使用時、筐体3は、たとえば燃料タンク1が実装される車両が凹凸のある路面(地形)上を走行する場合等、外部負荷に起因して湾曲することがある。ブラケット41と支持アームアセンブリ39は、ピボット回転可能に連結されているので、こうした燃料タンク1の湾曲にも順応することができる。さらに、支持アームアセンブリ39が燃料タンク1内でピボット回転できるので、燃料タンク1に加わる負荷が実装ブロック41に直接的に伝わることはない。こうした構成により、燃料タンクアセンブリの使用時の耐久性および信頼性を改善することができる。択一的には、固定ねじ52が、スリーブ75内でのバレル51の回転を回避または実質的に防止するように機能する場合、クロスオーバーアーム43自体が湾曲することにより、燃料タンク1の筐体3の湾曲に対応することができる。この場合、外力が実装ブロック41に伝わるが、実装ブロック41がアクセス開口部Aから離れたところにあるので、外力がフィルタモジュール21の周囲の液密封止性に悪影響を与えるものではない。
【0063】
支持フット49は、燃料タンク1内の所定の位置/方向に向かって、支持アームアセンブリ39を付勢する。すなわち、燃料転送チューブ17が実質的に同じ位置に維持されるので、燃料タンク1の動きにより、燃料タンク1からの燃料供給は影響されない。また支持フット49は、第2の燃料レベル送信ユニット35が燃料タンク1内の所定の高さに維持されることを支援する。支持フット49は、燃料タンク1のルーフに対してロールオーバー弁25を付勢してもよい。
【0064】
通気ラインクリップ69は、通気導管29を実質的に水平状態に支持する。これにより、燃料が集まる通気導管29のトラフ(いわゆるU字トラップ)の形成を防ぎ、その結果、燃料タンク1への給油時、時期尚早な中断を防止できる。
【0065】
特に石油(ガソリン)に関する燃料タンク1について説明してきた。理解されるように、ディーゼル燃料(重油)、アルコール、および燃料として、尿素系溶液等の添加剤として機能させることを意図した液体に適した燃料タンクとするように変形することができる。同等のディーゼル燃料タンク1は、燃料送達モジュール11の代わりに、ディーゼル燃料送達モジュール(DDM)を採用する。また燃料タンク1は、チャコールキャニスタ等ではなく、燃料給油キャップ(図示せず)に通気する。したがって、ディーゼル用途では、ロールオーバー弁25は省略することができ、キャップ109が燃料タンク1のルーフ(屋根部)に当接させることができる。
【0066】
ディーゼルシステムのための別の任意的な変形例では、給油制限通気弁27を省略する。むしろ、給油制限通気弁27を置換するために、シュラウド93の内部に配置された管状インサート111により、燃料タンクの給油制限量が制御される。
図7Aおよび
図7Bに示すように、通気導管29を介して、燃料タンク1の内部を通気口30と流体連通させるために、傾斜した開口113がインサート111の底部に形成される。インサート111の上部は、第2の弁ハウジング55内に配置され、周縁フランジ115が第2の弁ハウジング55の上部に当接する。Oリング117は、インサート111の上部の周囲に設けられ、通気ラインアセンブリ28との封止部を形成している。外側カラー119がインサート111上に形成され、インサート111を固定するために、一対のラッチ部材121が相補的なスロット(図示せず)と協働する。
【0067】
図8は、支持アームアセンブリ39のカラーシュラウド45内に実装されたインサート111の断面図である。使用時、燃料タンク1内の燃料が開口113を覆うとき、筐体3内の燃料の上方にある空気は、もはや通気口30を介して通気することができない。筐体3が効果的に封止されているため、燃料を連続的に供給し続けると、燃料タンク1内の圧力が増大する。圧力が増大すると、給油器を停止させ、燃料タンク1への給油が中止される。燃料タンク1内の燃料により、インサート111の開口113が閉じることは、給油制限通気弁27を閉じることと同等である。理解されるように、燃料タンク1内における開口113の高さは、給油制限を決定するものである。
【0068】
管状インサート111を設けることなく、同様の結果を実現することができる。代わりに、シュラウド93を燃料タンク1内の所望の高さまで下方に延長させることができる。燃料タンク1内の燃料がシュラウド93の底部を覆うと、通気ラインアセンブリ28が閉じ、燃料タンク1が効率的に封止される。その結果として圧力が上昇すると、給油器が停止し、燃料タンク1への給油が制限される。こうした変形は、独立して特許可能であると確信され、同時係属出願の主題となっている。
【0069】
理解されるように、本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな変更例及び変形例を想到することができる。たとえばロールオーバー弁25および給油制限通気弁27は、支持アームアセンブリ39にオーバーモールド成形することができる。同様に、燃料転送チューブ17は、たとえばガスアシスト成形技術を用いて、支持アームアセンブリ39と一体成形することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…燃料タンク、3…筐体(カーケイス)、5…第1の(能動)チャンバ、7…第2の(受動)チャンバ、9…サドル部(鞍部)、11…燃油供給モジュール(FDM)、13…燃料ポンプ、15…第1の燃料レベル送信ユニット、17…燃料転送チューブ、23…インレット逆止弁(ICV)、25…ロールオーバー弁(ROV)、27…給油制限通気弁(FLWW)、28…通気ラインアセンブリ、29…通気導管、30…通気口、31…T字コネクタ、32…第1の測定モジュール、33…第1の送信アームフロート、35…第2の燃料レベル送信ユニット、37…第2の送信アームフロート、39…支持アームアセンブリ、41…ブラケット、43…クロスオーバーアーム、45…カラーシュラウド、47…転送チューブ支持部材、49…支持フット、51…円筒状実装バレル、52…固定ねじ、53…第1の弁ハウジング、55…第2の弁ハウジング、59…弾性ラッチ部材、61…スロット、63…収集チャンバ、67…第1のガイドチャンネル、65…転送チューブクリップ、69…通気ラインクリップ、70…フランジ、71…第1のポート、73…ベースプレート、75…実装スリーブ、81…側壁、82…ベアリング表面、83…カラー部、85…突起部、89…孔部、91…ガイド、93…シュラウド、95…ガイド部材、97…第2のガイドチャンネル、99…転送チューブクリップ、101…第1のクリップ固定部、103…保持プレート、105…協働デタント(戻り止め)、107…第2のクリップ固定部、109…キャップ、111…インサート、115…周縁フランジ、117…Oリング、119…外側カラー、121…ラッチ部材、F…フランジ、21…フィルタモジュール、A…アクセス開口部。