特許第6039673号(P6039673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6039673表面変性フルオロポリマーメンブレン及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6039673
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】表面変性フルオロポリマーメンブレン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/32 20060101AFI20161128BHJP
   B01D 67/00 20060101ALI20161128BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20161128BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20161128BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20161128BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20161128BHJP
   C08J 9/42 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B01D71/32
   B01D67/00
   B01D69/02
   B01D69/10
   B01D69/12
   C08J7/00 ZCEW
   C08J9/42
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-531999(P2014-531999)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-534050(P2014-534050A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012056500
(87)【国際公開番号】WO2013043979
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/538,625
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー マーシャル マクラリー
(72)【発明者】
【氏名】タラン ポッダー
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−142806(JP,A)
【文献】 特開2000−061280(JP,A)
【文献】 特開2010−155233(JP,A)
【文献】 特開昭63−041543(JP,A)
【文献】 特開2009−039716(JP,A)
【文献】 特開平03−179038(JP,A)
【文献】 特開2010−058024(JP,A)
【文献】 米国特許第03718059(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 71/32
B01D 67/00
B01D 69/02
B01D 69/10
B01D 69/12
B29C 59/04
C08J 5/18
C08J 7/00
C08J 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性フルオロポリマーメンブレンを提供すること、及び、
前記フルオロポリマーメンブレンの第一表面の少なくとも一部に対して、非法線方向成分を有する力を加えること、
を含み、前記力を加える工程は前記第一表面を表面変性デバイスの接触表面と接触させ、前記第一表面を機械的に変性することを含み、さらに前記接触工程は、前記接触表面及び前記第一表面のうちの少なくとも一方を、前記接触表面及び前記第一表面のうちの他方に対して移動させることを含み、前記接触表面は、綿繻子布帛、ラムウール、PTFEフィルム又はフェルト及び綿モスリン又はフランネルからなる群のうちの少なくとも1つを含む、ろ過製品の製造方法。
【請求項2】
前記力を加える工程は前記第一表面の多孔度を減じる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記力を加える工程は前記第一表面の密度を増加させる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記移動工程は前記接触表面を第一の方向に進行させること、及び、
前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面を第二の方向に進行させること、
を含み、前記第一の方向と前記第二の方向は異なる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第一の方向は前記第二の方向に対して反対である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記接触表面は前記進行工程において弓状の経路に沿って動く、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記力は前記第一表面に対して鋭角に課される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、異なる第二部分を含み、前記第一部分は、前記第二部分の第二の平均密度よりも大きい第一の平均密度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第一部分の合計体積は前記第二部分の合計体積よりも小さい、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、異なる第二部分を含み、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一部分は、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第二部分の第二の平均多孔度よりも小さい第一の平均多孔度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記第一部分の合計体積は前記第二部分の合計体積よりも小さい、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、第二表面を含む第二部分を含み、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面及び前記第二表面はフルオロポリマーメンブレンの向かい合った面に存在している、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面は前記第二表面の鏡面光沢度よりも高い鏡面光沢度を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面は前記力を加える工程の前よりも前記力を加える工程の後の鏡面光沢度のほうが高い、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記フルオロポリマーメンブレンはノードがフィブリルにより相互連結された微細構造を有し、前記力を加える工程に応答して、前記ノード及びフィブリルの部分を側方に変位させることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、液体ろ過用途のための改良されたフルオロポリマーメンブレン、及び、優れた粒子保持性と、液体ろ過用途における使用のために十分な液体透過性とを有する「スメア化」表面を形成するためのフルオロポリマーメンブレンの表面改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多孔性メンブレンは医薬、マイクロエレクトロニクス、化学及び食品産業における流体からの粒子性、イオン性、微生物性及び他の汚染物のろ過に広く使用されている。使用時に、メンブレンはろ過しようとする流体流を入れるデバイス(例えば、ひだカートリッジ要素、中空チューブ、フラットディスクスタックなど)へと加工される。
【0003】
半導体製造において、より狭いライン幅となる傾向は半導体製造の粒子汚染制御に対する負荷をかつてないほどに増加させている。より過酷なろ過の傾向は10nmまでの小さい等級化孔サイズを有するフルオロポリマーろ過メンブレンの導入をもたらした。このようなメンブレンの成功にもかかわらず、優れた粒子保持性を実現しながら、十分な液体透過性を維持するフルオロポリマーメンブレンが必要とされている。
【0004】
粒子保持性を改良し又はフルオロポリマーメンブレンの孔等級を低減するための既知の方法は、2つのカレンダーロールを通してメンブレンを通過させることによりメンブレンを圧縮することを含む。このような圧縮はメンブレンの緻密化をもたらし、粒子保持性を改良するが、圧縮されたメンブレンは液体透過性の有意な損失に悩まされ、ろ過デバイスとしての使用を限定する。
【発明の概要】
【0005】
発明の要旨
本発明は向上した粒子保持性及び許容可能な液体透過性を有し、それにより、液体ろ過用途に特に適するメンブレンを生じるフルオロポリマーメンブレンを提供する。関連して、本発明は許容可能な液体透過性を維持しながら、フルオロポリマーメンブレンの粒子保持性を改良する方法を提供する。
【0006】
1つの態様において、方法は、多孔性フルオロポリマーメンブレンの表面を変性し、「スメア化」表面を形成することを含むことができる。この点に関して、フルオロポリマーメンブレンはノードがフィブリルによって相互連結されたことを特徴とする微細構造を有することができる。スメア化表面は表面変性前のこのような表面の鏡面光沢値と比較して、より高い鏡面光沢値を有することができる(例えば、識別可能なノード/フィブリルが存在しない)。
【0007】
1つの特徴において、ろ過製品の製造における使用のための方法であって、多孔性フルオロポリマーメンブレンを提供する工程、及び、該フルオロポリマーメンブレンの第一表面の少なくとも一部分に力を加え、所望の表面変性を生じさせる工程を含む方法が提供される。加える力は第一表面に対して非法線方向成分を有することができる。幾つかの実施形態において、第一表面及び加える力の源の少なくとも一方は他方に対して移動されうる。力の適用は機械手段を含む多くのアプローチによって実現されうる。
【0008】
幾つかの実施において、機械変性力はメンブレンの第一表面の少なくとも一部分を、表面変性デバイスの接触表面と接触させることにより加えられ、それにより、第一表面を機械変性することができる。この点に関して、接触は接触表面及び第一表面のうちの少なくとも一方を接触表面及び第一表面のうちの他方に対して移動させることを含むことができ、それにより、「摩擦変性表面」を生じる。
【0009】
1つのアプローチにおいて、接触表面を第一の方向に進行させることができる。追加的に及び/又は代わりに、第二の方向にフルオロポリマーメンブレンの第一表面を進行させるようにフルオロポリマーメンブレンを移動させることを含むことができ、ここで、第一の方向及び第二の方向は異なっていてよい。例えば、第一の方向及び第二の方向は反対方向であることができる。
【0010】
別のアプローチにおいて、接触表面を第一の速度で第一の方向に進行させることができる。第二の速度で第一の方向にフルオロポリマーメンブレンの第一表面も進行させるようにフルオロポリマーメンブレンを進行させることができ、ここで、第一の速度及び第二の速度は異なる。
【0011】
1つの実施形態において、表面変性デバイスの接触表面は鋭角経路に沿って進行させることができる。例えば、接触表面はフルオロポリマーメンブレンの第一表面と回転係合の曲面接触面(例えば、環状表面)を示す表面変性デバイスの回転可能な筒型表面(例えば、外側対面表面)上に提供されうる。
【0012】
1つのアプローチにおいて、回転している環状接触表面に対して直線経路に沿ってメンブレンを進行させることができる。別のアプローチにおいて、回転可能な環状接触表面に対して弓状経路に沿ってメンブレンを進行させることができる。
【0013】
処理を促進するために、フルオロポリマーメンブレンは長く伸びたウェブ形態で提供されてよく、ここで、接触表面がウェブの幅を横切ってウェブの表面の限定された部分に係合するように、ウェブを回転可能な表面変性デバイスを通過して進行させることができる。代わりに、ウェブ表面は長さに沿って累進的に変性されてもよい。
【0014】
1つのアプローチにおいて、回転可能なローラドライブは弓状経路に沿ってフルオロポリマーメンブレンウェブを進行させるように第一の方向に駆動され、そして回転可能な表面変性デバイスは弓状経路に沿って接触表面(例えば、環状表面)を進行させるように第二の方向に駆動されることができ、ここで、フルオロポリマーメンブレンの第一表面の少なくとも一部分は、回転可能な表面変性デバイスに対して係合しそして移動するときに、表面変性デバイスの接触表面によって摩擦変性される。別のアプローチにおいて、回転可能なローラドライブは第一の速度で弓状経路に沿ってフルオロポリマーメンブレンウェブを進行させるように第一の方向に駆動され、そして回転可能な表面変性デバイスは第一の速度とは異なる第二の速度で弓状経路に沿って接触表面(例えば、環状表面)を進行させるように第一の方向に駆動されることができ、ここで、フルオロポリマーメンブレンの第一表面は、回転可能な表面変性デバイスに対して係合しそして移動するときに、表面変性デバイスの接触表面によって摩擦変性される。
【0015】
別の特徴において、多孔性フルオロポリマーメンブレンを提供し、そして、非法線方向成分を有する力をメンブレンの第一表面に加え、第一表面の密度を上げ及び/又は多孔性を下げる方法を提供することができる。力の印加は上記のとおりに提供されうる。
【0016】
例として、フルオロポリマーメンブレンの公称厚さよりも小さい第一表面の厚さを横切って、表面密度は増加されうる。追加的に及び/又は代わりに、フルオロポリマーメンブレンの公称厚さよりも小さい第一表面の厚さを横切って表面多孔度は減少されうる。
【0017】
特定の実施において、方法は、非法線方向成分を有する力をフルオロポリマーメンブレンの第二表面に加え、第二表面の多孔度を低減し及び/又は密度を増加させることをさらに含むことができる。力の印加は上記のとおりに提供されうる。このような実施において、第二表面はフルオロポリマーメンブレンの第一表面の反対側であることができる。
【0018】
方法の実施形態と組み合わせて、ノードがフィブリルによって相互連結されている微細構造を有するフルオロポリマーメンブレンは提供されうる。例えば、延伸PTFEメンブレン(例えば、単一片構造物)を使用することができる。別の実施形態において、TFE及びPSVEの延伸コポリマーを含むメンブレンは提供されうる。このような実施形態において、方法は力を加える工程に応答して、ノード及びフィブリルの一部を横方向に変位させることをさらに含む。
【0019】
さらなる態様において、向上した粒子保持性及び許容可能な液体透過性を有する多孔性フルオロポリマーメンブレンを含む、改良されたろ過製品は提供されうる。このような利点はメンブレンに対して力変性表面、例えば、摩擦変性表面を提供することにより実現されうる。
【0020】
この点に関して、改良されたメンブレンは少なくとも第一部分及び第二部分を有することができる。第一部分は少なくとも部分的に又は完全に摩擦変性された第一表面を含むことができる。第一部分は第一の平均密度(例えば、その体積を横切る)を有し、その密度は第二部分の第二の平均密度(例えば、その体積を横切る)よりも大きく、及び/又は、第一部分は第一の平均多孔度(例えば、その体積を横切る)を有し、その多孔度は第二部分の第二の平均多孔度(例えば、その体積を横切る)よりも小さい。
【0021】
幾つかの実施形態において、第一表面を含む第一部分の体積は第二部分の体積よりも小さくてよい。種々の実施形態において、第二部分は第二表面を含むことができる。このような用途において、メンブレンの第一表面及び第二表面は向かい合った面に存在することができる。
【0022】
種々の実施形態において、ろ過製品は上記のとおりの多孔度及び/又は密度を有する多孔性延伸ポリテトラフルオロエチレンメンブレン(例えば、単一片構造)を含むことができる。このような実施形態において、メンブレンはイオノマー、例えば、ペルフルオロイオン交換ポリマーによりコーティングされていてよい。他の実施形態において、ろ過製品はTFE及びPSVEの延伸コポリマーを含むメンブレンを含むことができる。
【0023】
別の特徴において、ろ過製品は異なる鏡面光沢値の第一表面及び第二表面を有する多孔性フルオロポリマーメンブレンを含むことができる。例えば、第二表面の鏡面光沢値よりも高い鏡面光沢値を示す、摩擦変性された第一表面を有するメンブレンは提供されうる。この点に関して、第一表面は摩擦変性されていることができ、一方、第二表面は摩擦変性されていないか、又は、第一表面よりも低い程度で摩擦変性されている。
【0024】
さらなる実施において、ろ過製品のメンブレンはメンブレンの前記摩擦変性された第一表面と反対側に、第二表面を有する第三部分を含むことができる。このような実施形態において、メンブレンの第二部分は第一部分及び第二部分の間に位置されうる。1つの例において、第三部分が第二部分の第二の平均密度と同一であるか又は大きい第三の平均密度を有し、及び/又は、第二部分で第二の平均多孔度と同一であるか又は大きい第三の平均多孔度を有するメンブレンは提供されうる。
【0025】
なおもさらなる態様において、30%を超える28nm粒子保持率を提供する多孔性フルオロポリマーメンブレンを含むろ過製品は提供されうる。
【0026】
本発明により考えられる種々のろ過製品は上記の種々の態様の方法を用いて製造されうる。さらに、本発明の多くの追加のモダリティー、特徴及び利点は本明細書の下記の実施形態の説明を考慮したときに、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な説明
図1図1は多孔性フルオロポリマーメンブレンの1つの実施形態の側面図を示す。
【0028】
図2図2は多孔性フルオロポリマーメンブレンの別の実施形態の側面図を示す。
【0029】
図3図3図1のメンブレンの実施形態を含むろ過製品の実施形態の側面図を示す。
【0030】
図4図4は表面変性された多孔性フルオロポリマーメンブレン及びこのようなメンブレンを含むろ過製品の製造のための方法実施形態のプロセスフローダイアグラムである。
【0031】
図5図5はフルオロポリマーメンブレンの表面を変性するために使用することができる方法の実施形態の模式図を示す。
【0032】
図6図6a及び6bは、それぞれ、初期のメンブレン表面と対比した、変性又はスメア化された表面を示すメンブレン実施形態のSEM顕微鏡写真を示す。
【0033】
図7図7a及び7bは、それぞれ、初期のメンブレン表面と対比した、変性又はスメア化された表面を示す別のメンブレン実施形態のSEM顕微鏡写真を示す。
【0034】
図8図8a及び8bは、それぞれ、初期のメンブレン表面と対比した、変性又はスメア化された表面を示す別のメンブレン実施形態のSEM顕微鏡写真を示す。
【0035】
図9図9a及び9bは、それぞれ、初期のメンブレン表面と対比した、変性又はスメア化された表面を示す別のメンブレン実施形態のSEM顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示の実施形態の詳細な説明
変性又は「スメア化」された表面を有するフルオロポリマー製品及びこのようなフルオロポリマー製品の製造方法を本明細書中に記載する。本発明の製品はろ過デバイスとして有用であるために十分な液体透過性とともに、優れた粒子保持性を有する。
【0037】
フルオロポリマー製品は、力により変性された、例えば、摩擦変性された表面を有する延伸PTFEメンブレンを含むことができる。場合により、延伸PTFEは単一片構造であることができる。延伸PTFEメンブレンは米国特許第7,306,729号、同第3,953,566号、同第5,476,589号及び同第5,183,545号明細書に記載の方法により調製でき、それらの全体を参照により本明細書中に取り込む。
【0038】
表面変性された延伸PTFEメンブレンを含むろ過製品は単一層を含むことができ、又は、多層を有する複合材として構成されうる。多層はすべて同一であっても、又は、多孔度、孔サイズ及び微細構造の点で変更されてもよい。
【0039】
幾つかのろ過製品の実施形態において、表面変性されたフルオロポリマーメンブレンは当該技術分野で既知の方法を用いてポリマー支持層にラミネート化されうる。支持層は織物、不織布、編物、ネットなどを含むことができる。
【0040】
1つの実施形態において、フルオロポリマー製品はペルフルオロイオン交換ポリマーによりコーティングされた表面の部分を少なくとも有する、表面変性された延伸PTFEメンブレンを含むことができる。コーティングされたメンブレンは米国特許第5,183,545号及び同第5,094,895号明細書に記載の方法により調製でき、それらの全体を参照により取り込む。例えば、下記の例1を参照されたい。
【0041】
別の実施形態において、フルオロポリマー製品はノードがフィブリルによって相互連結されたことを特徴とする微細構造を含む官能性TFEコポリマー材料を含む延伸ポリマー材料を含むことができ、ここで、官能性TFEコポリマー材料はTFE及びPSVEの官能性コポリマーを含む。官能性TFEコポリマー材料は米国特許公開第2010/0248324号及び同第2011/0039960号明細書に記載の方法により調製でき、それらの全体を参照により取り込む。例えば、下記の例3を参照されたい。
【0042】
別の実施形態において、フルオロポリマー製品はノードがフィブリルによって相互連結されたことを特徴とする微細構造を含む官能性TFEコポリマー材料を含む水透過性多孔性材料を含むことができ、ここで、官能性TFEコポリマー材料はTFE、PSVEの官能性コポリマー及びポリマー鎖にペンダントしたスルホン酸を含む。これらの材料は米国特許公開第2010/0280200号明細書に記載の方法により調製でき、それらの全体を参照により取り込む。例えば、下記の例4を参照されたい。
【0043】
種々の実施形態において、フルオロポリマー製品は、最終用途に応じて、平坦な多孔性ポリマーメンブレンの積層ディスク、ひだカートリッジ又は環状形態の形態を取ることができる。
【0044】
上記のとおり、フルオロポリマー製品の粒子保持性はフルオロポリマーメンブレンに対して少なくとも1つの力により変性された表面を提供するように、非法線方向成分を有する力を加えることにより有意に向上されうる。考えられる実施形態において、表面変性は、本明細書の下記にさらに記載されるとおり、摩擦変性された表面を提供するための機械処理手段により実現されうる。
【0045】
ここで、表面変性されたフルオロポリマーメンブレンの実施形態を例示している図1を参照する。多孔性フルオロポリマーメンブレン1は第一部分2及び第二部分3を含むことができる。第一部分1は変性された第一表面2aを含むことができる。このような表面変性は第二部分3の体積を横切る平均密度よりも大きい、体積を横切る平均密度を有する第一部分2を生じさせることができる。追加的に及び/又は代わりに、このような表面変性は第二部分3の体積を横切る平均多孔度よりも小さい、体積を横切る平均多孔度を有する第一部分2を生じさせることができる。
【0046】
図2は、表面変性されたフルオロポリマーメンブレンの別の実施形態を例示している。多孔性メンブレン10は第一部分12、第二部分13及び第三部分14を含むことができる。第一部分12は変性された第一表面12aを含むことができる。このような表面変性は第二部分13の体積を横切る平均密度よりも大きい、体積を横切る平均密度を有する第一部分12を生じさせることができる。追加的に及び/又は代わりに、このような表面変性は第二部分13の体積を横切る平均多孔度よりも小さい、体積を横切る平均多孔度を有する第一部分12を生じさせることができる。
【0047】
場合により、第三部分14は、力により変性された、例えば、摩擦変性された、変性された第二表面14aを含むことができる。変性された第二表面14aは第二部分13の体積を横切る平均密度よりも大きい、体積を横切る平均密度を有する第三部分14を生じさせることができる。追加的に及び/又は代わりに、このような表面変性は第二部分13の体積を横切る平均多孔度よりも小さい、体積を横切る平均多孔度を有する第三部分を生じさせることができる。
【0048】
変性された第一表面12a及び変性された第二表面14aが提供される形態において、表面12a及び14aを横切る相対多孔度及び密度は同一であるか又は異なることができる。この点に関して、このような表面の表面変性は所望の相対測定値を成立させるように制御されうる。
【0049】
図3において、表面変性されたフルオロポリマーメンブレンを含むろ過製品の1つの実施形態は示されている。ろ過製品100は少なくとも第一支持層30に隣接して配置されている、多孔性フルオロポリマーメンブレン20を含む。示すとおり、多孔性フルオロポリマーメンブレン20は第一支持層30と第二支持層40との間に配置されてよい。この点に関して、第一支持層30及び/又は第二支持層40は下記のもの:織物、不織布、編物及びネットのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0050】
図3に示すとおり、多孔性フルオロポリマーメンブレン20は第一部分22及び第二部分23を含むことができる。第一部分22は変性された第一表面22aを含むことができる。変性された第一表面22aはろ過製品100の上流側上に配置されることができ、ここで、液体Lは多孔性フルオロポリマーメンブレン20の残部を通過する前に、変性された第一表面22aでろ過される。又は、第一表面22aはろ過製品100の下流側に配置されうる。評価されうるとおり、向上した粒子保持性は変性された第一表面22aにより提供される。
【0051】
変性された第一表面22aは第二部分23の体積を横切る平均密度よりも大きい、体積を横切る平均密度を有する第一部分22を生じさせるこ。追加的に及び/又は代わりに、このような表面変性は第二部分23の体積を横切る平均多孔度よりも小さい、体積を横切る平均多孔度を有する第一部分22を生じさせることができる。
【0052】
図4は向上した粒子保持性及び許容可能な液体透過性を有するろ過製品の製造方法の1つの実施形態を示す。その方法は、多孔性フルオロポリマーメンブレンの提供(工程100)を含む。種々の実施形態において、多孔性フルオロポリマーメンブレンは本明細書中で上記に参照されるとおりの延伸PTFE、本明細書中で上記に参照されるとおりのTFE及びPSVEの官能性コポリマーを含む官能性TFEコポリマー材料、TFE、PSVE及びポリマー鎖に結合したスルホン酸の官能性コポリマーを含む官能性TFEコポリマー材料を含む延伸ポリマー材料、又は、他のフルオロポリマーメンブレンを含む。
【0053】
本方法は表面に対して非法線方向成分を有する力を加えることにより、フルオロポリマーメンブレンの表面を変性すること(工程102)を含む。例えば、力を加えることは、表面変性デバイスの接触表面とメンブレン表面を接触させ、メンブレン表面を機械的に変性すること(工程102a)により実現されうる。力を加えることと組み合わせて、メンブレン表面及び接触表面の間の相対移動を提供し、摩擦変性を生じさせることができる。種々の実施形態において、このような接触はメンブレン及び接触表面の一方を他方に対して進行させること、メンブレン及び接触表面を反対方向に進行させること、又は、メンブレン及び接触表面を同一方向に異なる速度で進行させること(工程102b)により実現されうる。この点に関して、多孔性フルオロポリマーメンブレンはウェブとして提供することができ、ここで、ウェブが接触表面を通過して進行するときに、ウェブの表面はその長さに沿って累進的に変性される。
【0054】
方法は、場合により、多孔性フルオロポリマーメンブレンの別の表面の変性を行ってもよい(工程104)。このような構成において、変性の力は上記のとおりに課されることができる(工程102)。
【0055】
表面変性の後に、方法は、場合により、フルオロポリマーメンブレンの表面の1つ以上にコーティングを提供することができる(工程106)。例えば、1つのアプローチにおいて、イオノマーコーティングはフルオロポリマーメンブレンの変性された表面に対して適用されうる(工程106a)。別のアプローチにおいて、イオノマーコーティングは表面変性前のメンブレンの表面の1つ以上に適用されうる。
【0056】
図5にさらに示すとおり、方法はろ過製品の組み立て(工程108)をさらに含むことができる。例えば、メンブレンを支持層の間に配置し、そしてひだを付けて、カートリッジデバイスを形成することができる。
【0057】
さて、メンブレン表面変性のための1つの機械処理手段を例示している図5を参照する。例示のとおり、機械処理手段は、一方のローラが他方のローラと反対方向に回転している2つの回転ローラの間にメンブレンを通過させるなどして、メンブレンウェブMを表面変性デバイスと接触させ、表面変性されたウェブSMを生じさせることを含むことができる。第一ローラ60はメンブレンウェブMを進行させるための金属バッキングロールを含むことができる。第二の反対方向に回転しているローラ50はメンブレンウェブMの上部表面を摩擦変性する力を加えるための、適切な接触表面52を含む、バフ研磨ローラを含むことができる。
【0058】
接触表面52は比較的に柔軟又は順応性材料を含むことができる。接触表面材料の非限定的な例としては、綿繻子布帛、ラムウール、PTFEフィルム又はフェルト及び綿モスリン又はフランネルが挙げられる。好ましくは、綿ドメットフランネルは接触表面52として使用することができる。
【0059】
変性しようとするメンブレンウェブMの表面はウェブの幅を横切って接触表面52と線状接触している。好ましくは、変性しようとする表面と接触表面52との間にわずかな軽い物理的圧力が存在する。1つの実施形態において、物理的接触の占有領域は回転の方向に約1インチ〜2インチであり、そしてウェブ幅と等しい。
【0060】
接触表面52及びメンブレンMは接触表面52により加えられる力がメンブレン表面に対して非法線(例えば、非垂直)の主要方向成分を有するように提供されうる。例えば、加えられる力はメンブレン表面に鋭角で加えられる主要方向成分を有することができる。この点に関して、法線力のいかなる適用をも最小限とし、それにより、接触表面52とメンブレンMの上部表面との間の軽い物理的圧力を維持することが望ましいであろう。
【0061】
理解されるであろうとおり、図5のフルオロポリマーメンブレンの表面変性の機械的手段は全メンブレン構造を変更することなく、それにより、液体透過性を維持しながら、粒子保持性を改良するために利用することができる。すなわち、メンブレンの変性は主にその表面部分に限定され、それにより、その残りの体積を横切る液体透過性を維持することができる。
【0062】
図5に関連して記載したとおりの機械手段を利用すると、メンブレン表面上の露出した孔は図6a、7a、8a、9a中のSEM顕微鏡写真に示されるとおり、ノード200及びフィブリル202の表面層をフィルム状構造へと「スメア化」することによりマスク化されうる。得られたフルオロポリマーメンブレンは少なくとも1つの摩擦変性された表面を有し、その表面は当初のメンブレンの表面と顕著に異なる。このような表面の微細構成は鏡面光沢値により特性化されうる。
【0063】
スメア化の程度はメンブレン表面に課せられる加工の程度を変更することにより変更されうる。これは接触表面、例えば、バフ研磨ホイールの線速度及びメンブレンウェブの線速度の比として表現されうる。50〜1500の比を使用することができる。好ましくは、200〜500の比を使用することができる。
【0064】
上記のとおり、フルオロポリマーメンブレンは、両方の表面上で同様の又は変更しているスメア化の程度でもって、両方の表面上で変性されうる。
【0065】
試験方法
水流速度
乾燥メンブレンをテスター(Sterifil Holder 47mm Catalog Number: XX11J4750, Millipore)を横切ってもたれ掛けた。試験ホルダーを脱イオン水(室温)で充填した。10"Hg(4.9psid)真空をメンブレンを横切って課し、そして400cmの脱イオン水がメンブレンを通して流れる時間を測定した。メンブレンの水流速度を圧力単位に正規化し、そしてgpm/m/psiの単位で報告した。疎水性メンブレンの場合に、これらをIPAなどの溶媒で予備湿潤し、孔を通した水通過を容易にした。
【0066】
ガーリー
ガーリー空気流試験は12.4cmの水圧で100cmの空気が6.45cmのサンプルを通して通過する時間を秒で測定する。サンプルはGurley Densometer Model 4340 Automatic Densometerで測定した。
【0067】
鏡面光沢値
表面の鏡面光沢値をBYK Gardner Glossmeterを用いて、ASTM D2457に示される手順を用いて決定した。60°での値を報告した。
【0068】
粒子保持性
メンブレンの粒子保持効力は本方法を用いて決定した。メンブレンのサンプル(142mm直径)を蛍光ポリスチレンラテックス微小球を含むチャレンジ液に付した。
【0069】
2つの別々のチャレンジ液を28nm微小球(Part No G25, Thermo Fisher Scientific Inc.)及び49nm微小球 (Part No B50, Thermo Fisher Scientific Inc.)について調製した。49nmのチャレンジ液は0.1%のTriton(登録商標)X-100を含む液1mlあたりに約104,000個の粒子を含むように調製した。これらの液を「チャレンジ」とラベル付けした。
【0070】
最初に、メンブレンをIPAにより湿潤化した。その後、500mLの界面活性剤0.1%Triton(登録商標)X−100溶液をメンブレンを横切って6psiの差圧下に流した。このエフルエントを回収し、「バックグランド」とラベル付けした。
【0071】
その後、メンブレンを横切って6psiの差圧下に、250mLのチャレンジ液をメンブレンを通して流した。ろ液を回収し、「下流」とラベル付けした。
【0072】
Cary Eclipse 蛍光分光光度計を用いて、チャレンジ液、バックグランド及び下流のサンプルの蛍光強度を測定した。分光光度計からの強度測定値を、所与の微小球サイズの3種の異なる粒子濃度のチャレンジ液から生成される検量標準を含む3点曲線に対して検量した。
【0073】
強度値から、%での粒子保持効率(E)を下記の等式により計算した。
【数1】
【0074】
約20%未満の効率値は方法のノイズレベルの範囲内であると考えられ、検知せず又は非検知として報告された。
【実施例】
【0075】
例1
公称質量12g/m及び公称厚19ミクロン及び等級化孔サイズ0.05μmを有する延伸PTFEメンブレン(W.L. Gore & Associates, Inc.から入手可能なPart Number S30595又はSMPL-GMM 405)をエタノール中に1wt%Nafion(登録商標)950イオノマーを含む溶液で浸漬塗布した。その後、メンブレンを約50℃で乾燥した。コーティングされたメンブレンの水流速度、ガーリー数、粒子保持性及び光沢特性を表Iに示す。メンブレンのSEM顕微鏡写真を図6bに示す。
【0076】
約250平方cmのこのコーティングされたメンブレンの1つの表面を電気ドリル上に取り付けたバフホイール上で「バフ研磨」により変性した。バフホイールは軟質らせん縫い綿モスリンタイプのVermont American part number 17544又は同等物のものであった。表Iに示すとおり、表面変性されたメンブレンは未変性のコーティングされたメンブレンと比較して、水流速度の有意な損失なしに優れた保持率を有した。図6aは上記の表面変性から得られたスメア化表面を明確に示している。スメア化表面の鏡面光沢値は未変性のコーティングされたメンブレン表面と比較して顕著な差異を示す。
【表1】
【0077】
例2
米国特許第7,306,729号明細書の教示に従って延伸PTFEメンブレンを製造した。コーティングされたメンブレンの水流速度、ガーリー数、粒子保持性及び光沢特性を表IIに示す。メンブレンのSEM顕微鏡写真を図7bに示す。
【0078】
約250cmのこのコーティングされたメンブレンの1つの表面を、電気ドリル上に取り付けたバフホイールで「バフ研磨」することにより変性した。バフホイールは軟質らせん縫い綿モスリンタイプのVermont American part number 17544又は同等物のものであった。
【0079】
表IIに示すとおり、表面変性されたメンブレンは未変性のメンブレンと比較して、水流速度の有意な損失なしに優れた保持率を有した。図7aは上記の表面変性から得られたスメア化表面を明確に示している。変性されたメンブレンの鏡面光沢値は未変性のメンブレンと比較して顕著な差異を示す。
【表2】
【0080】
例3
TFE及びPSVEのコポリマーを含む延伸官能性コポリマーメンブレンを米国特許公開第2011/0039960号明細書の教示に従って製造した。コーティングされたメンブレンの水流速度、ガーリー数、粒子保持性及び光沢特性を表IIIに示す。メンブレンのSEM顕微鏡写真を図8bに示す。
【0081】
このメンブレンのロールの1つの表面を図5に示す模式図中の装置を用いることにより変性した。図5は加熱されうるクロム鋼バッキングロール(60)及びバッキングロールの回転方向と反対方向に回転しているバフホイール(50)を示している。バフホイールは軟質らせん縫い綿モスリンクロス材料であるStewart MachDonaldタイプ2084又は同等物から作られていた。装置は、また、バッキングロール(60)と近接して巻出及び再巻取をも含む。メンブレン(M)のウェブを装置に通し、約2インチの線接触となるようにメンブレン表面とバフ研磨材料との間の接触を調整した。ポテンシオメータはバッファーの駆動トルクを制御した。回転時に、ポテンシオメータ上の設定を3.6〜4.0とした。バッキングロールを40℃に加熱した。
【0082】
メンブレン表面に課す加工の程度はバフホイールの動きとウェブの動きとの間の比として表現されうる。この比を各々の線速度から計算する。5フィート/分のウェブ速度及び1650ft/分のバッファー速度では、従って、比は330と決定された。
【0083】
表IIIに示すとおり、表面変性されたメンブレンは未変性のメンブレンと比較して、水流速度の有意な損失なしに優れた保持率を有した。図8aは上記の表面変性から得られたスメア化表面を明確に示している。変性されたメンブレンの鏡面光沢値は未変性のメンブレンと比較して顕著な差異を示す。
【表3】
【0084】
例4
TFE及びPSVEのコポリマーを含む透水性延伸官能性コポリマーメンブレンを米国特許第2011/0280200号明細書の教示に従って製造した。メンブレンのSEM顕微鏡写真を図9bに示す。透水性メンブレンの水流速度、ガーリー数、粒子保持性及び光沢特性を表IVに示す。
【0085】
約7インチ直径のこのメンブレンサンプルの1つの表面をバフホイールを用いた「バフ研磨」により変性した。バフホイールは電気ドリル上に取り付けられた軟質らせん縫い綿モスリンタイプのVermont American part number 17544又は同等物のものであった。変性されたメンブレンの水流速度、ガーリー数、粒子保持性及び光沢特性を表IVに示す。メンブレンのSEM顕微鏡写真を図9bに示す。
【0086】
表IVに示すとおり、表面変性されたメンブレンは未変性のメンブレンと比較して、水流速度の有意な損失なしに優れた保持率を有した。図4aは上記の表面変性から得られたスメア化表面を明確に示している。変性されたメンブレンの鏡面光沢値は未変性のメンブレンと比較して顕著な差異を示す。
【表4】
【0087】
本発明の上記の記載は例示及び説明の目的で示されている。さらに、記載は本明細書における開示の形態に本発明を限定することを意図しない。結果的に、上記の教示、関連技術の技能及び知識に合わせて行う変更及び修正は本発明の範囲に入る。上記で本明細書中に記載した実施形態は、本発明を実施する既知の形態を説明し、他の当業者がこのような又は他の実施形態で本発明を利用し、そして本発明の特定の用途又は使用により要求される種々の変更を行うことが可能となることがさらに意図される。添付の特許請求の範囲は従来技術により許容される範囲で変更実施形態を含むものと解釈されることが意図される。以下、本発明の好ましい態様を列挙する。
(1)多孔性フルオロポリマーメンブレンを提供すること、及び、
前記フルオロポリマーメンブレンの第一表面の少なくとも一部に対して、非法線方向成分を有する力を加えること、
を含み、前記力を加える工程は前記第一表面を表面変性デバイスの接触表面と接触させ、前記第一表面を機械的に変性することを含み、さらに前記接触工程は、前記接触表面及び(前記第一表面のうちの少なくとも一方を、前記接触表面及び前記第一表面のうちの他方に対して移動させることを含む、ろ過製品の製造方法。
(2)前記力を加える工程は前記第一表面の多孔度を減じる、(1)記載の方法。
(3)前記力を加える工程は前記第一表面の密度を増加させる、(1)記載の方法。
(4)前記移動工程は前記接触表面を第一の方向に進行させること、及び、
前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面を第二の方向に進行させること、
を含み、前記第一の方向と前記第二の方向は異なる、(1)記載の方法。
(5)前記第一の方向は前記第二の方向に対して反対である、(4)記載の方法。
(6)前記接触表面は前記進行工程において弓状の経路に沿って動く、(1)記載の方法。
(7)前記接触表面は、綿繻子布帛、ラムウール、PTFEフィルム又はフェルト及び綿モスリン又はフランネルからなる群のうちの少なくとも1つを含む、(1)記載の方法。
(8)前記力は前記第一表面に対して鋭角に課される、(1)記載の方法。
(9)前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、異なる第二部分を含み、前記第一部分は、前記第二部分の第二の平均密度よりも大きい第一の平均密度を有する、(1)記載の方法。
(10)前記第一部分の合計体積は前記第二部分の合計体積よりも小さい、(9)記載の方法。
(11)前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、異なる第二部分を含み、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一部分は、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第二部分の第二の平均多孔度よりも小さい第一の平均多孔度を有する、(1)記載の方法。
(12)前記第一部分の合計体積は前記第二部分の合計体積よりも小さい、(11)記載の方法。
(13)前記フルオロポリマーメンブレンは前記第一表面を含む第一部分、及び、第二表面を含む第二部分を含み、前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面及び前記第二表面はフルオロポリマーメンブレンの向かい合った面に存在している、(1)記載の方法。
(14)前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面は前記第二表面の鏡面光沢度よりも高い鏡面光沢度を有する、(13)記載の方法。
(15)前記フルオロポリマーメンブレンの前記第一表面は前記力を加える工程の前よりも前記力を加える工程の後の鏡面光沢度のほうが高い、(1)記載の方法。
(16)前記フルオロポリマーメンブレンはノードがフィブリルにより相互連結された微細構造を有し、前記力を加える工程に応答して、前記ノード及びフィブリルの部分を側方に変位させることをさらに含む、(1)記載の方法。

(17)少なくとも第一部分及び第二部分を有し、該第一部分が摩擦変性された第一表面を含む、多孔性フルオロポリマーメンブレンを含み、前記第一部分は、
前記第二部分の第二の平均密度よりも大きい第一の平均密度を有する、及び、
前記メンブレンの前記第二部分の第二の平均多孔度よりも小さい第一の平均多孔度を有する、のうちの少なくとも一方であり、前記メンブレンはノードがフィブリルによって相互連結された微細構造を有し、前記第一表面の部分は前記ノード及び前記フィブリルが側方に変位されたものを含み、前記横方向の変位は前記第二部分に対する変位である、(1)記載の方法で得られたろ過製品。
(18)前記第一部分の合計体積は前記第二部分の合計体積よりも小さい、(17)記載のろ過製品。
(19)前記第二部分は第二表面を含み、前記メンブレンの前記第一表面及び第二表面はメンブレンの向かい合った面に存在している、(17)記載のろ過製品。
(20)前記メンブレンの前記摩擦変性された第一表面は前記第二表面の鏡面光沢度よりも高い鏡面光沢度を有する、(19)記載のろ過製品。
(21)前記メンブレンは第二表面を含む第三部分を含み、前記第二部分は前記第一部分及び前記第三部分の間に存在している、(17)記載のろ過製品。
(22)前記第三部分は前記第二の平均密度よりも大きい第三の平均密度を有する、(21)記載のろ過製品。
(23)前記メンブレンは30%よりも大きい28nm粒子保持率を提供する、(17)記載のろ過製品。
(24)前記メンブレンはイオノマーコーティングによりコーティングされている、(17)記載のろ過製品。
(25)前記メンブレンの1つの面に隣接して配置された第一の支持層を少なくともさらに含む、(17)記載のろ過製品。
(26)前記ろ過製品は、前記第一表面の反対側の前記メンブレンの第二面上に配置された第二の支持層をさらに含む、(17)記載のろ過製品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B